JP3709044B2 - ガラス研磨用研磨材組成物およびその製造方法 - Google Patents

ガラス研磨用研磨材組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラスの研磨に用いる研磨材組成物に関し、さらに詳しくは、酸化セリウムを含む希土類酸化物を主成分とするガラス研磨用研磨材組成物に関する。本発明の研磨材組成物は、通常、粉末形態で取扱われるが、研磨材として使用するに際しては、一般に水性分散液の形態で、例えば、光ディスクおよび磁気ディスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板、光学レンズなど各種ガラス材料および製品の仕上げ研磨に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス材料は様々な用途に利用されており、それぞれ平滑性その他の表面特性を得るために、研磨液による研磨が行われている。例えば、光学レンズ用ガラス基板や光学レンズなどにおいては鏡面となる表面精度が要求されており、また、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、薄膜トランジスタ(TFT)型LCDやねじれネマティック(TN)型LCDなどの液晶用ガラス基板、液晶TV用カラーフィルター、LSIフォトマスク用ガラス基板などにおいては、高精度な平坦度や表面粗さおよび無欠陥を要求されるため、より高精度な表面研磨が求められている。
【0003】
従来、これらのガラス基板の表面研磨に用いられている研磨材としては、酸化鉄、酸化ジルコニウムおよび二酸化ケイ素に比べて研磨速度が数倍優れているという理由から、希土類酸化物、特に酸化セリウムを主成分とする研磨材が用いられている。
【0004】
酸化セリウムを主成分とするガラス研磨用研磨材は、その砥粒を水などの液体に分散させて使用するのが一般的であるが、従来の酸化セリウム系研磨材は次のような問題がある。第1は、研磨に用いるスラリー状態では、分散質である砥粒が分散媒と容易に分離し沈澱してしまう。通常、研磨材は循環使用されるため、配管や保存容器内でこのような沈澱が起こると、研磨砥粒が有効に利用できないため所定濃度のスラリー組成が維持できず研磨能率が低下してしまう。第2の問題は、被研磨物であるガラス成分が循環使用している研磨スラリー中で増加してゆくため、上記砥粒の沈澱が硬いものになってしまうことと、このガラス成分が研磨の終了時にガラス表面に砥粒と共に残ったときに再付着し、砥粒の洗浄性を悪化させることである。さらに、砥粒の沈澱が研磨機や配管内へ付着することによってこれらの洗浄性も悪くなり、砥粒交換やマシン洗浄などの作業性も著しく悪くなる。また、研磨パッドの目詰まりを惹き起こし、研磨対象物の表面に傷を生じさせる原因となる。
【0005】
上記のような砥粒の沈澱の問題を解決する手段として、研磨材主成分に第二リン酸カルシウムなどを添加することによって、砥粒の沈澱を柔らかくし、沈澱した砥粒を容易に再分散させる技術が提案されている(特開昭50−13405号公報)。この技術によれば、沈澱の硬さは低減されるものの、スラリー中での砥粒の分離が速いため、循環使用の際、所定濃度のスラリー組成が維持できず研磨能率の低下を惹き起こす点については解決されない。また、添加剤自身の溶解度が低いため、スクラッチを惹き起こす原因となり、特に高精度が要求されるガラス基板には研磨面品質の面から充分満足のいくものではないという課題がある。
【0006】
また、アルミニウムと錯体を形成する有機酸および/またはキレート剤を、通常用いられる研磨液中に含有させることによって、基体中のアルミニウム成分をマスキングして、砥粒の分散性を向上させる技術が提案されている(特開平7−70553号公報)。この技術においては、研磨スラリー中での研磨材の分散性が良いため一旦沈澱してしまうと硬い沈澱となり、研磨機や被加工物の洗浄性が悪化するばかりでなく、循環使用の際、所定濃度のスラリー組成が維持できず研磨能率の低下を惹き起こしてしまう。また、研磨スラリーのpH調製を必要とするため操作性が悪く実用的とは言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決すべくなされたもので、その目的は、砥粒の沈澱が柔らかく再分散性に優れ、しかもスラリー中での砥粒の分離が起こらないため研磨効率を長期にわたって初期のまま維持することができ、且つ被加工物や研磨機の洗浄性などの作業性に優れ、研磨品質に優れたガラス研磨用研磨材組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、その一面において、酸化セリウムを含む希土類酸化物を主成分とする研磨材、キレート化剤、次の一般式(I)で表わされるアセトナト配位子を1〜3個有するアルミニウムのアセトナト錯体および有機分散剤が含有されていることを特徴とするガラス研磨用研磨材組成物が提供される。
【0009】
【化3】
Figure 0003709044
(式中のRは炭素数1または2のアルキルまたはアルコキシ基である。)
【0010】
本発明によれば、他の一面において、酸化セリウムを含む希土類酸化物を主成分とする研磨材にキレート化剤、上記アルミニウムのアセトナト錯体および有機分散剤を混合することを特徴とするガラス研磨用研磨材組成物を製造する方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のガラス研磨用研磨材組成物に含有される酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材としては、例えば、酸化セリウム含量が50重量%程度であるバストネサイト系、塩化希土系の低セリウム研磨材、酸化セリウム含量が70〜90重量%である合成系の高セリウム研磨材、酸化セリウム含量が99重量%以上の高純度酸化セリウムなどを挙げることができる。
【0012】
バストネサイト系研磨材は、希土類元素のフッ化炭酸塩鉱物であるバストネス石を粉砕し、化学処理、乾燥、焙焼、粉砕、分級、仕上げの各工程を経て得られるものであり、酸化セリウムを約50重量%含むほかに、他の希土類元素がLaOF、NdOF、PrOFなどの塩基性フッ化物として共存する。塩化希土系研磨材は、塩化希土を水酸化物ケーキとし、乾燥したのち部分硫酸塩として焙焼し、粉砕、分級、仕上げにより得られるものであり、酸化セリウムを約50重量%含むほかに、他の希土類元素がLa23・SO3、Nd23・SO3、Pr511・SO3などの塩基性無水硫酸塩として共存する。
【0013】
合成系の高セリウム研磨材は、バストネス石などの原料を焙焼したのち硝酸を用いて溶解し、希アンモニア水でpHを調製しながら加熱してCe4+を加水分解して水酸化物とし、これをろ別、乾燥、焙焼、粉砕、分級、仕上げの各工程を経て製造するもので、酸化セリウム70〜90重量%を含有する。高純度の酸化セリウムは、酸化希土を硝酸に溶解し、水溶液中に存在するCe4+をリン酸トリブチル−ベンゼンで抽出して有機相に移行させ、さらに亜硝酸ナトリウムのような還元剤を含む水相により逆抽出してシュウ酸セリウムとしたのち、焙焼することにより得られるもので、酸化セリウムの純度は通常99.9重量%以上に達する。
【0014】
酸化セリウムは、そのモース硬度がガラスのモース硬度と同等または少し高めの5.5〜6.5であり、かつ微調節が可能であるので、ガラスの研磨材として好適に使用することができる。低セリウム研磨材も高セリウム研磨材も優れた研磨力を有するが、高セリウム研磨材には特に寿命が長いという特徴がある。
本発明の研磨材組成物に用いる酸化セリウムを含む希土類酸化物混合物を主成分とする研磨材の粒子径には特に制限はないが、一般にはJIS R 6002、「6.電気抵抗試験方法」によって測定した体積分布の累積値50%に相当する粒子径が0.5〜3.0μmの研磨材を好適に使用することができる。酸化セリウムの結晶系は、立方晶系であることが好ましい。
【0015】
本発明の研磨材組成物はキレート化剤を含むことを特徴としている。キレート化剤を含有せしめることによって、研磨によって生じたガラス成分の反応性を低下させることができる。
従来のガラス表面仕上げ研磨においては研磨材スラリーは通常循環使用されるが、使用時間が長くなるに従って、被加工物であるガラスの成分が循環使用しているスラリー中に増加してゆく。そのガラス成分が研磨材粒子表面を均一に覆ってしまうと研磨材の沈澱が非常に硬いものになってしまうばかりでなく、被加工物であるガラス表面との親和性が高いため再付着してガラスの洗浄性を悪化させる。
【0016】
本発明の研磨材組成物はキレート化剤を含むため、研磨材粒子表面とガラス表面との反応性が低下し、研磨材粒子表面がガラス成分で覆われることが防止され、ひいては硬い沈澱が生成することがなく、洗浄性の悪化が防止される。
キレート化剤の好ましい具体例としては、o−フェナントロリン、グルコン酸およびその塩、アミノ酸、およびエチレンジアミン四酢酸などを挙げることができる。
グルコン酸およびその塩としては、例えば、グルコン酸およびそのナトリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、第一鉄塩などを挙げることができる。
【0017】
含有するアミノ酸には特に制限はなく、例えば、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸、これらの金属塩、アミノ酸のアミノ基の水素原子の一部がアルキル基、ヒドロキシルアルキル基、アルコキシル基などにより置換された化合物などを使用することができる。ただし、研磨材スラリーが酸性になると、酸化セリウム自身が有するガラス研磨に対するケミカルな効果が低下して加工速度が低くなるため、酸性アミノ酸を使用する場合には、塩基性アミノ酸と併用することが好ましい。また、アミノ酸は、天然品、合成品のいずれも使用することができ、さらに、光学異性体を有するアミノ酸にあっては、D型、L型のいずれをも使用することができる。
【0018】
本発明の研磨材組成物に使用することができるアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジヨードチロシン、チロキシン、ヒドロキシリジン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸などを挙げることができる。これらの中で、グリシンおよびアルギニンを特に好適に使用することができる。アミノ酸は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0019】
上記のキレート化剤の中でも、o−フェナントロリンおよびグルコン酸およびその塩が好ましい。
キレート化剤の含有量は0.05〜0.3重量%であることが好ましい。その含有量が0.05重量%未満ではガラス成分の反応性抑制効果が乏しく、逆に、0.3重量%を越えると研磨速度を低下させてしまう。
【0020】
本発明の研磨材組成物は、さらに、前記式(I)で表わされるアセトナト配位子を1〜3個有するアルミニウムのアセトナト錯体を含むことを特徴としている。アルミニウムのアセトナト錯体を含有せしめることによって、被加工物や研磨機への研磨材の付着を抑制し、洗浄性の低下を防ぐことができる。通常、研磨材は平均粒径が1〜2μm程度の超微粉であり、その表面活性のために研磨スラリー中では一定の凝集状態で存在する。この凝集粒は見かけの表面積を低下させ研磨材の被加工物や研磨機各部への付着性を抑えるはたらきをしているが、その最も外殻にある粒子は活性を保ったままで存在するため一旦被加工物や研磨機各部に付着すると、流水や超音波照射などの洗浄では除去できなくなる。従来の研磨材では被加工物や研磨機への付着が生じ易い。対照的に、アルミニウムのアセトナト錯体を含む本発明の研磨材では、研磨材スラリー中でのアルミニウムのアセトナト錯体と研磨材の凝集粒子との相互作用により、研磨材の付着が抑制され、洗浄性の低下が防止される。
【0021】
本発明で用いられるアルミニウムのアセトナト錯体の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などのアセチルアセトネート(R=メチル)配位子を有する錯体、およびアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などのエチルアセトアセテート(R=エトキシ)配位子を有する錯体などが挙げられる。これらの中でもアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好ましい。アルミニウムのアセトナト錯体は1分子中に2種または3種の異なるアセトナト配位子を有する錯体であってもよく、また、アルミニウムのアセトナト錯体は単独で用いても、または2種以上を組合せ用いてもよい。
アルミニウムのアセトナト錯体の含有量は0.05〜0.3重量%であることが好ましい。その含有量が0.05重量%未満では研磨材付着防止効果が劣り、また、0.3重量%を越えると研磨速度が低下する。
【0022】
本発明の研磨材組成物は、さらに有機分散剤を含むことを特徴としている。有機分散剤を含有せしめることによって、研磨材を水性スラリーとして用いる際に研磨材粒子の沈降を防止することができる。
有機分散剤は、発明の目的を損なわず且つ分散剤としての機能を有するものであれば、格別限定されるものではなく、その具体例としては、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などの芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。有機分散剤の含有量は0.01〜0.5重量%の範囲内であることが好ましい。有機分散剤の量が過少であると沈降防止効果が乏しく、逆に、過大であると沈澱は生じ難くなるが、一旦沈澱を生じると硬い沈澱となり易い。
【0023】
本発明の研磨材組成物は、キレート化剤、アルミニウムのアセトナト錯体および有機分散剤の種類および含有量を適切に選定することによって、その水性スラリーにおける沈降速度を適切に制御することが望ましい。すなわち、研磨速度を初期のまま維持するためには研磨材組成物スラリーが研磨パッドと被加工物の間に初期のスラリー濃度を保ったまま供給しなければならず、そのためには研磨材組成物スラリーを循環使用している間中最適な沈降速度を保つ必要があり、その最適値は、研磨材組成物の濃度20重量%の水性分散液とした場合の20℃における界面沈降速度で0.1〜1.0mm/sの範囲である。ここで「界面沈降速度」とは、水性分散液を静置したとき、上層の上澄みの透明層と分散状態の下層との界面が沈下する速度(mm/s)を指す。
【0024】
研磨材粒子同士の凝集性が強すぎ大きな凝集粒を生成すると、沈降速度が速いため配管や定盤の下の滞留部分に容易に堆積してしまい、初期のスラリー濃度を維持できなくなる。また、研磨材粒子同士の分散性が良すぎると、沈降速度が遅いためなかなか沈澱しないが、滞留部分に一旦沈澱を生成すると、非常に硬くほぐれにくい沈澱となる。この硬い沈澱は、研磨材スラリーの所定の研磨材濃度を低下させ、研磨速度を低下させる原因になるだけでなく、研磨機の洗浄の際の作業性を著しく低下させる原因にもなる。さらに、研磨パッドが目詰まりを起こすため研磨面に傷を生じさせる原因にもなる。水性分散液の界面沈降速度を上記範囲とすることによって、これらの難点を克服することができる。
【0025】
本発明の研磨材組成物は、従来の酸化セリウム系研磨材と同様に、一般に、水などの分散媒に分散させて濃度5〜30重量%程度のスラリー状態で使用される。分散媒としては水や水溶性有機溶媒が使用される。水溶性有機溶媒としてはアルコール、多価アルコール、アセトン、テトラヒドロフランなどが例示されるが、水が通常使用される。また、従来の酸化セリウム系研磨材に常用される助剤を添加することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例および比較例に基づき本発明を具体的に説明する。
実施例1
酸化セリウムを約50重量%含有するバストネサイト系研磨材(東北金属化学(株)製ROX H−1、平均粒子径1.8μm)中に、アルミニウムのアセトナト錯体としてアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)0.1重量%、キレート化剤としてo−フェナントロリン0.1重量%、有機分散剤としてβ−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(商品名:デモールN、花王(株)製)0.3重量%を含有させた。
【0027】
このように調製された研磨材組成物を水に分散して濃度20重量%のスラリー状研磨液とした。このスラリー状研磨液を用い、平面パネル用無アルカリガラスを低速研磨した。研磨条件は以下のとおりである。
研磨機:4ウェイタイプ両面研磨機(不二越機械工業(株)製、5B型)
研磨パッド:発泡ポリウレタンパッド(LP−77、ローデス製)
下定盤回転数:60rpm
スラリー供給量:100ml/min
加工圧力:150g/cm2
被加工物:50×50mmの平面パネル用無アルカリガラス基板
【0028】
研磨を始めてから3、6、9、12時間後に、スラリーを30ml取り出し、良く攪拌した後、20℃において静置して沈降界面の下降速度を測定し、その後そのスラリーを24時間放置した後容器を転倒させ、沈澱部分の流れ具合によって沈澱の硬さを評価した。沈澱の硬さはA、B、C、Dの4段階で評価した。この順に沈澱が硬くなることを示す。また、ガラス表面のスクラッチの数を暗室での目視によって測定した。このスクラッチの数は、50×50mmサイズの試料6枚について測定したスクラッチ本数の合計数で示した。さらに被加工物の加工前後の厚みと重量減少から研磨速度を測定した。評価結果は表1に示す。
【0029】
比較例1
キレート化剤を含有せしめなかった他は実施例1と同様にして調製した研磨材組成物を水に分散させて濃度20重量%のスラリー状研磨液とした。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0030】
比較例2
アルミニウムのアセトナト錯体を含有せしめなかった他は、実施例1と同様にして研磨材組成物を調製した。このように調製された研磨材組成物を水に分散させて濃度20重量%のスラリー状研磨液とした。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0031】
比較例3
有機分散剤を含有せしめなかった他は、実施例1と同様にして研磨材組成物を調製した。このように調製された研磨材組成物を水に分散させて濃度20重量%のスラリー状研磨液とした。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0032】
比較例4
キレート化剤とアルミニウムのアセトナト錯体の両成分を含有せしめなかった他は、実施例1と同様にして研磨材組成物を調製した。このように調製された研磨材組成物を水に分散させて濃度20重量%のスラリー状研磨液とした。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
比較例5
実施例1の酸化セリウム研磨材のみを水に分散させて濃度20重量%のスラリー状研磨液とした。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
比較例6
実施例1の酸化セリウム研磨材を水に分散させて濃度20重量%のスラリーとした後、クエン酸ナトリウムを20mM添加し、次いでpHを約8に調整してスラリー状研磨液を得た。このスラリー状研磨液を用い、実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0035】
実施例2
キレート化剤としてo−フェナントロリンに代えて、グルコン酸ナトリウムを用いた他は、実施例1と同様に、濃度20重量%のスラリーを調製し、このスラリー状研磨液を用い実施例1と同様に研磨および評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003709044
【0037】
*1 アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)
*2 o−フェナントロリン
*3 グルコン酸ナトリウム
*4 β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩
【0038】
【発明の効果】
本発明の研磨材組成物は、そのスラリーが研磨の進行と共に硬い沈澱を生成せず、配管や研磨機の滞留部分に研磨材が付着することがなく、初期のスラリー濃度を維持することができるため、研磨能力を長時間にわたって維持できる。しかも、研磨されたガラスの品質が優れている。従って、本発明の研磨材組成物は、ガラス研磨用鏡面研磨材として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 酸化セリウムを含む希土類酸化物を主成分とする研磨材、キレート化剤、次の一般式(I)で表わされるアセトナト配位子を1〜3個有するアルミニウムのアセトナト錯体および有機分散剤が含有されていることを特徴とするガラス研磨用研磨材組成物。
    Figure 0003709044
    (式中のRは炭素数1または2のアルキルまたはアルコキシ基である。)
  2. 研磨材組成物の濃度20重量%の水性分散液の界面沈降速度が0.1〜1.0mm/sである請求項1記載のガラス研磨用研磨材組成物。
  3. 研磨材組成物重量に基づき、キレート化剤0.05〜0.3重量%、アルミニウムのアセトナト錯体0.05〜0.3重量%および有機分散剤0.01〜0.5重量%が含有されている請求項1または2記載のガラス研磨用研磨材組成物。
  4. キレート化剤がo−フェナントロリン、グルコン酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、ならびにエチレンジアミン四酢酸から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載のガラス研磨用研磨材組成物。
  5. 酸化セリウムを含む希土類酸化物を主成分とする研磨材にキレート化剤、次の一般式(I)で表わされるアセトナト配位子を1〜3個有するアルミニウムのアセトナト錯体および有機分散剤を混合することを特徴とするガラス研磨用研磨材組成物を製造する方法。
    Figure 0003709044
    (式中のRは炭素数1または2のアルキルまたはアルコキシ基である。)
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