JP3708135B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に係り、特に、3次元フーリエ変換法を用いて画像再構成がなされる磁気共鳴イメージング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージング装置は、いわゆる核磁気共鳴(NMR)現象を利用して被検体中の所望の検査部位における原子核スピン(以下、単にスピンと称する)の密度分布、緩和時間分布等を計測して、その計測データから該被検体の任意の断面を画像表示するものである。
【0003】
そして、このような磁気共鳴イメージング装置において、近年では、いわゆる3次元フーリエ変換法を用いて画像再構成がなされるものが知られるようになった。
【0004】
ここで、3次元フーリエ変換法とは、充分厚い領域を励起し、位相エンコード方向の他にスライス方向にもエンコーディングを行なうことによって、厚いスライスの情報をこの方向のフーリエ変換によって分解し、薄いスライスの画像を得るものである。
【0005】
そして、この場合、スライス方向のエンコード数は、この方向の離散フーリエ変換を行なう際に最も都合の良いように、たとえば、8、16、32、64、128というように、2のべき乗数に設定されたものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように構成された磁気共鳴イメージング装置において行なわれる3次元フーリエ変換法は、上述のように、そのスライスエンコード数を2のべき乗数となるように設定していたために、スライスエンコード数の増加にともなって撮像時間および撮像領域(高周波磁場で励起される領域で、スラブ厚と称される)が大幅に増大してしまうという問題点が残されていた。
【0007】
たとえば、TR:50ms、位相エンコード数:256、加算回数1回の3次元フーリエ変換法を用いた三次元計測において、64スライスエンコード数で領域が不足の場合、次の2のべき乗数である128スライスエンコードを選択することになるが、この場合、スライスエンコード数を64から128に増大させなければならなくなり、
ΔTs(秒)=0.05×256×(128−64)=819.2
の式から明らかなように、実に13分以上の撮像時間の延長を招いてしまうことになっていた。
【0008】
また、特に血流描画にこのような三次元計測を適用させた場合に、遅い流速の血流描出能が大幅に低下してしまうという問題点が残されていた。
【0009】
たとえば、スライス厚:1mm、スライスエンコード:32で計測して得られる撮像領域は32mmとなり、この場合において、関心領域をカバーすることができず、スライスエンコード数を64(スラブ厚:64mm)にして撮像領域を広げると、流入効果が充分に得られなくなり抹消の血流描出能が大幅に低下してしてしまっていた。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところのものは、許容できる撮像時間内で最適なスラブ厚を有する画像情報の取得を行ない得る磁気共鳴イメージング装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、血流描画に適用させた場合、遅い流速の血流描出能を劣化させることのない磁気共鳴イメージング装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、被検体へ RF パルスとスライス方向傾斜磁場を印加して被検体の所定スラブを励起し、スライスエンコード傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場を所定パルスシーケンスに則って印加し、前記前記被検体の所定スラブからNMR信号を 3 次元計測し、この計測された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換法により画像再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記スラブから所定のスライス厚を有した2のべき乗以外の整数のスライス画像を得るために前記パルスシーケンスのスライスエンコード方向最大傾斜磁場強度とスライスエンコード数とを設定する手段と、前記スライスエンコード方向に対応する記憶領域が前記スライスエンコード数より大きい 2 のべき乗からなる値の記憶領域を有し、前記計測された NMR 信号を一時記憶する記憶手段と、前記パルスシーケンスの実行によって計測された各 NMR 信号をスライスエンコード方向、位相エンコード方向及びリードアウト方向に対応する前記記憶手段の各所定アドレスへ格納するとともに NMR 信号が計測されなかったスライス方向の記憶領域にはゼロデータを格納する手段と、前記記憶手段に格納された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換することによりスライス方向において隣接するスライス画像同士のスライスピッチがスライス厚よりも小さい画像を取得する手段とを備えたことを特徴としている。
また本発明の上記他の目的を達成するために本発明は、被検体へ RF パルスとスライス方向傾斜磁場を印加して被検体の所定スラブを励起し、スライスエンコード傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場を血流計測用の所定パルスシーケンスに則って印加し、前記前記被検体内を流れる血流からNMR信号を 3 次元計測し、この計測された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換することより得た複数の画像を投影処理することにより前記血流を描出する磁気共鳴イメージング装置において、
前記スラブを所定のスライス厚を有した2のべき乗以外の整数のスライス画像を得るために前記パルスシーケンスのスライスエンコード方向最大傾斜磁場とスラ イスエンコード数とを設定する手段と、前記スライスエンコード方向に対応する記憶領域が前記スライスエンコード数より大きい 2 のべき乗からなる記憶領域を有し、前記計測された NMR 信号を一時記憶する記憶手段と、前記パルスシーケンスの実行によって計測された各 NMR 信号をスライスエンコード方向、位相エンコード方向及びリードアウト方向に対応する前記記憶手段の各所定アドレスへ格納するとともに NMR 信号が計測されなかった記憶領域にはゼロデータを格納する手段と、前記記憶手段に格納された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換することによりスライス方向において隣接するスライス画像同士のスライスピッチがスライス厚よりも小さくスライス画像同士がオーバーラップした画像を取得する手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
【作用】
このように構成された磁気共鳴イメージング装置では、エンコード数設定手段がスライス方向のエンコード数を所定の整数に設定することにより、計測時に印加されるスライスエンコードの傾斜磁場の1ステップ分の強度は、スライス厚を決定するのに必要な最大強度をスライスエンコード数/2で除した値に設定されることになる。
【0014】
そして、このように1ステップ分の強度が設定されたスライスエンコードの傾斜磁場を印加しながら、所定の繰返し時間TRで、位相エンコード数×スライスエンコード数×加算回数分のデータ計測を行ない、この計測によって得られるエコー信号データを記憶手段の記憶領域に格納することになる。
【0015】
このとき、記憶領域設定手段が、記憶手段のスライス方向の記憶領域をスライス方向エンコード数より大きい再構成スライス枚数分として設定する構成となっているので、スライス方向の記憶領域にはエコー信号データが格納されていない領域ができることとなる。
このようにして格納された記憶領域のエコー信号データは、スライス方向のフーリエ変換に必要な点数となるように、スライス方向のフーリエ変換を実行する手段により、記憶領域の前記エコー信号データが格納されていない領域に“0”データが格納され、その後フーリエ変換によって画像再構成が行なわれる。
【0016】
したがって、このようなことから、スライスエンコード数を特に2のべき乗数となるように設定することがなくなることから、撮像時間および撮像領域を増大させることがなく、許容できる撮像時間内で最適なスラブ厚を有する画像情報の取得を行なうことができる。
【0017】
また、上述した画像再構成を血流描画に適用させた場合、撮像領域を増大させることがないことから、末梢の血流描出能が低下するようなことはなくなる。すなわち、撮像領域に数回の励起が与えられて信号が低下している状態で、該撮像領域を通過する移動体(血流)は、該撮像領域の面積が小さい程励起回数が少なく、したがって、この部分の信号が大きくとれるからである。
【0018】
【実施例】
図2は、本発明による磁気共鳴イメージング装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
【0019】
まず、同図において、この磁気共鳴イメージング装置は、静磁場発生磁石2と、磁場勾配発生系3と、送信系4と、受信系5と、信号処理系6と、シーケンサ7と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成されている。
【0020】
静磁場発生磁石2は、被検体の周りにその体軸方向または体軸と直交する方向に均一な静磁場を発生させるもので、該被検体1の周りのある広がりをもった空間に永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の磁場発生手段が配置されている。
【0021】
磁場勾配発生系3は、X、Y、Zの三軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とからなっている。後述のシーケンサ7からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X、Y、Zの三軸方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzを被検体1に印加するようになっている。この傾斜磁場の加え方により被検体1に対するスライス面を設定することができる。
【0022】
シーケンサ7は、上記被検体1の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰返し印加するもので、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系4、磁場勾配発生系3および受信系5にそれぞれ送るようになっている。
【0023】
送信系4は、上記シーケンサ7から送り出される高周波パルスにより被検体の生体組織を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高周波磁場を照射するもので、高周波発振器11、変調器12、および高周波増幅器13、高周波コイル14aとからなっている。上記高周波発振器11から出力された高周波パルスをシーケンサ7の命令にしたがって変調器12で振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、電磁波が上記被検体1に照射されるようになっている。
【0024】
受信系5は、被検体1の生体組織の原子核の磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、高周波コイル14bと増幅器15と直交位相検波器16とA/D変換器17とからなっている。高周波コイル14aから照射された電磁波による被検体1の応答の電磁波(NMR信号)は被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、増幅器15および直交位相検波器16を介してA/D変換器17に入力してディジタル量に変換され、さらにシーケンサ7からの命令によるタイミングで直行位相検波器16によりサンプリングされた二系列の収集データとされ、その信号が信号処理系6に送られるようになっている。
【0025】
信号処理系6は、CPU8と、磁気ディスク18および磁気テープ19等の記録装置と、CRT等のディスプレィ20とからなっている。CPU8でフーリエ変換、補正係数計算、像再構成等の処理を行ない、任意断面の信号強度分布あるいは複数の信号に適当な演算を行なって得られた分布を画像化してディスプレィ20に断層像として表示するようになっている。
【0026】
そして、図3は、前記シーケンサ7に組み込まれたパルスシーケンスの一実施例を示す説明図で、このパルスシーケンスに沿った動作で3次元フーリエ変換法を用いた画像再構成がなされるようになっている。
【0027】
同図において、(a)は、高周波磁場の信号の照射タイミングおよび被検体のスライス位置を選択的に励起するためのエンベロープを示している。(b)は、スライス方向の傾斜磁場Gzの印加のタイミングおよびその振幅を変えて計測することを示している。(c)は、位相エンコード方向の傾斜磁場Gyの印加のタイミングおよびその振幅を変えて計測することを示している。(d)は、周波数エンコード方向の傾斜磁場Gxの印加のタイミングを示している。(e)は、計測されるエコー信号(NMR信号)を示している。
【0028】
90°パルス印加と同時に傾斜磁場Gzを印加すると、この傾斜磁場Gzの強度に応じた検査部位(断面)において、いわゆる巨視的磁化が90°倒れ、引き続きその回転位相がバラバラに乱れ始める。Te/2時間後に傾斜磁場Gzの印加と同時に180°パルスを印加すると該巨視的磁化は180°回転し、Te時間後に互に収束することになってエコー信号が発生することになる。
【0029】
このパルスシーケンスは、周知のスピンエコー法からなるもので、傾斜磁場Gzの振幅を図示Aのように変えて計測することに特徴を有し、これにより厚いスライスの情報を得ることができるようになっている。
【0030】
ここで、図3のAに示す該傾斜磁場Gzにおける傾斜磁場強度に対するスライス厚(スライス方向分解能)、撮像領域(スラブ厚)、スライス位置の変化分(スライスピッチ)の関係を図4(a)を用いて示す。
【0031】
まず、スライス厚(スライス方向分解能)Δdは、次式(1)で示され、スライスエンコード傾斜磁場強度の最大値Gseによって決定され、スライスエンコード数Nseに依存しないことが判る。
【0032】
【数1】
Δd=π/(γ・Gse・Δt) ……(1)
ここで、スライスエンコード傾斜磁場の1step分の増分をΔGseとすると、
【0033】
【数2】
ΔGse=2・Gse/Nse ……(2)
となる。そして、この計測によって得られる撮像領域(スラブ厚)Dは、
【0034】
【数3】
D=2π/(γ・ΔGse・Δt) ……(3)
で表せる。
【0035】
したがって、上式(1)ないし(3)より、
【0036】
【数4】
Δd=D/Nse ……(4)
となり、スライス厚はスラブ厚をスライスエンコード数で除した値となる。
【0037】
一方、スライス位置の変化分(スライスピッチ)ΔPは、フーリエ変換の点数をNftとすると、
【0038】
【数5】
ΔP=D/Nft ……(5)
となる。
【0039】
さらに、上式の関係を図4(b)および(c)を用いて具体的に説明する。
【0040】
まず、2のべき乗以外のスライスエンコード数としてたとえば48スライスエンコードを選定した場合を考える。
【0041】
ここで、離散フーリエ変換を効率良く行なうためには、フーリエ変換の点数は2のべき乗とするのがよいことから、48以上の2のべき乗の数として64が選定される。
【0042】
スライスエンコード:64、スライス厚:1mmの撮像を行なう場合のスライスエンコードの最大傾斜磁場強度をG64とすると、上式(1)よりGseの値が等しければ、スライス厚も等しいことから、
【0043】
【数6】
G48=G64 ……(6)
となるようなG48をかけることによって64スライスエンコード時と同じスライス厚1mmの画像が得られることになる。
【0044】
また、Gseは等しくてもNseは異なるため、上式(2)から傾斜磁場の1step分の増分ΔG48は、
【0045】
【数7】
ΔG48= 64/48・ΔG64 ……(7)
となる。
【0046】
また、上式(3)から、撮像領域(スラブ厚)DはΔGseによって決定されるためスライスエンコード64の撮像領域に対して48/64だけ狭くなってしまう。
【0047】
したがって、スライス厚一定のままスライスエンコード数を任意に設定することにより、任意に撮像領域を設定することができるようになる。
【0048】
また、スラブ厚は48/64に減少するが、スライス厚とスライス枚数は等しいことから、図5(b)のように、スライスピッチは、
【0049】
【数8】
ΔP48=48/64・ΔP64 ……(8)
で求められる。なお、図5(a)は、本実施例を適用していない64スライスエンコードの場合を示した説明図である。
【0050】
このことから、スライスエンコード:64でフーリエ変換の点数が64点であるならば、スライス厚が1mmのとき、スライスピッチΔP64は1mmとなるが、ΔP48は0.75mmとなる。
【0051】
ここで、48スライスエンコードの場合は48スライスエンコード分のデータしかないため、図1(c)に示すように、計測空間上の高周波領域には”0”をつめることによつて、64スライスエンコード分のデータを構成し、これにより、フーリエ変換の点数を2のべき乗数としてフーリエ変換を行なう。
【0052】
なお、図1(a)は、本実施例を適用していない64スライスエンコードの場合を示した説明図で、また、図1(b)は、第1スライスエンコードステップ分の計測データを示す説明図である。
【0053】
上述した実施例のように構成した磁気共鳴イメージング装置によれば、スライスエンコード数を2のべき乗数以外の整数とし、この場合において、計測時に印加されるスライスエンコードの傾斜磁場の1ステップ分の強度は、スライス厚を決定するのに必要な最大強度をスライスエンコード数/2で除した値に設定されることになる。
【0054】
そして、このように1ステップ分の強度が設定されたスライスエンコードの傾斜磁場を印加しながら、所定の繰返し時間TRで、位相エンコード数×スライスエンコード数×加算回数分のデータ計測を行ない、この計測によって得られるエコー信号データを計測空間に格納することになる。
【0055】
さらに、このようにして格納された計測空間上のエコー信号データは、スライス方向のフーリエ変換に必要な点数となるように、前記計測空間上の前記エコー信号データが格納されていない高周波域の領域に”0”データが格納されるようになり、その後フーリエ変換によって画像再構成が行なわれるようになる。
【0056】
したがって、このようなことから、スライスエンコード数を特に2のべき乗数となるように設定することがなくなることから、撮像時間および撮像領域を増大させることがなく、許容できる撮像時間内で最適なスラブ厚を有する画像情報の取得を行なうことができる。
【0057】
そして、上述した構成を、特に、血流描画に適用させることによって、遅い流速の血流描出能を劣化させることがなくなる。この理由は、撮像領域に数回の励起が与えられて信号が低下している状態で、該撮像領域を通過する移動体(血流)は、該撮像領域の面積が小さい程励起回数が少なく、したがって、この部分の信号を大きくとれるからである。
【0058】
なお、本発明が適用される血流描画の方法としては、たとえば次に示すように、Time−of−flight法、Phase−sensitive法、あるいはPhase−contrast法等のようなものが知られている。
【0059】
Time−of−flight法
同一の領域に対して、高周波磁場による励起をたとえば10msの短時間で連続的に行なった場合、該領域の組織に含まれるスピンは飽和状態となり、得られる信号は低いものになる。これに対して、血流に含まれるスピンは随時該領域から流出し、新たに未飽和のスピンが流入してくるため、相対的に他の組織により高い信号を得ることができる。この流入効果を利用して、複数枚のスライスについて撮像を行ない、得られた画像を重ねあわせ投影処理を行なうことによって血流の描画が得られることになる。
【0060】
Phase−sensitive法
たとえば時刻t1においてX0の位置に2個のスピンS1、S2が存在し、一方のスピンS1は静止しており、他方のスピンS2は速度vでx方向に移動しているとした場合、図6に示すように、時刻t1からt2までの周波数エンコード方向の傾斜磁場Gxの印加により、それぞれ次式(9)、(10)に示す位相変化Φs、Φfを受けることになる。
【0061】
【数9】
【0062】
【数10】
【0063】
この式(9)と式(10)とから、
【0064】
【数11】
【0065】
となる。そして、この式(11)から、静止スピンS1と移動スピンS2との位相差は、移動速度vに比例していることがわかる。
【0066】
このため、図7(a)ないし(e)に示す標準的スピンエコーシーケンスにおいては、エコー信号Eの計測の際に、同図(e)に示すように、静止スピン(破線カーブ)と移動スピン(実線カーブ)との位相が揃わないこととなる。そこで、図8(a)ないし(e)に示すように負方向の傾斜磁場A、Bを追加することにより、同図(e)に示すようにエコー信号Eのピークに一致して静止スピンと移動スピンとの位相が揃うことになる。
【0067】
ここで、前者のパルスシーケンスは位相感応型シーケンスと称され、また後者のパルスシーケンスは位相不感型シーケンスと称されている。
【0068】
位相不感型シーケンスでは、静止部分については位相感応型シーケンスで得られる信号強度と等強度の信号が得られ、移動磁化の存在部位では位相拡散による信号の欠損を抑え、位相感応型シーケンスより高い信号が得られる。従って、図9に示すように、位相感応型シーケンスで計測した位相感応画像I1と位相不感型シーケンスで計測した位相不感画像I2との差をとって差分画像I3を得ることにより、たとえば血管21内の血流のような移動部分のみを画像化することができる。
【0069】
Phase−contrast法
傾斜磁場の印加により血流内のスピンは位相回転を受けることから、図10にしめすような正負一対の傾斜磁場パルスを印加した場合、その印加順序によって、血流内のスピンは、流速に応じた位相回転Φf(−)、Φf(+)を受けることになる。この正負一対の傾斜磁場パルスはフローエンコードパルスと称され、このフローエンコードパルスの極性を反転(+−の順序を逆転)すれば、位相回転の極性も反転するため、これらを交互に印加し得られる信号の複素差分を取れば、位相回転を受けない静止部分の信号は除去され、血流信号のみ検出されることになる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明による磁気共鳴イメージング装置によれば、許容できる撮像時間内で最適なスラブ厚を有する画像情報の取得を行なうことができる。また、血流描画に適用させた場合、遅い流速の血流描出能を劣化させることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(c)は本発明によるNMRイメージング装置の原理を示す説明図、(a)、(b)は従来の原理を示す原理図である。
【図2】本発明によるNMRイメージング装置の概略全体構成図である。
【図3】本発明によるNMRイメージング装置に適用されるパルスシーケンスの一実施例を示す説明図である。
【図4】(a)は傾斜磁場に対するスライス厚等の関係を示す説明図、(b)は従来の方法における傾斜磁場に対するスライス厚等の関係を示す説明図、(c)は本発明の方法における傾斜磁場に対するスライス厚等の関係を示す説明図である。
【図5】(a)は従来におけるスライスピッチを示す説明図、(b)は本発明におけるスライスピッチを示す説明図である。
【図6】血流描画原理を示すための説明図である。
【図7】血流描画原理を示すための説明図である。
【図8】血流描画を行なうためのパルスシーケンスである。
【図9】血流のみを描画する説明図である。
【図10】血流描画原理を示すための説明図である。
【符号の説明】
A 傾斜磁場
7 シーケンサ
Claims (2)
- 被検体へ RF パルスとスライス方向傾斜磁場を印加して被検体の所定スラブを励起し、スライスエンコード傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場を所定パルスシーケンスに則って印加し、前記前記被検体の所定スラブからNMR信号を 3 次元計測し、この計測された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換法により画像再構成する磁気共鳴イメージング装置において、
前記スラブから所定のスライス厚を有した2のべき乗以外の整数のスライス画像を得るために前記パルスシーケンスのスライスエンコード方向最大傾斜磁場強度とスライスエンコード数とを設定する手段と、前記スライスエンコード方向に対応する記憶領域が前記スライスエンコード数より大きい 2 のべき乗からなる値の記憶領域を有し、前記計測された NMR 信号を一時記憶する記憶手段と、前記パルスシーケンスの実行によって計測された各 NMR 信号をスライスエンコード方向、位相エンコード方向及びリードアウト方向に対応する前記記憶手段の各所定アドレスへ格納するとともに NMR 信号が計測されなかったスライス方向の記憶領域にはゼロデータを格納する手段と、前記記憶手段に格納された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換することによりスライス方向において隣接するスライス画像同士のスライスピッチがスライス厚よりも小さい画像を取得する手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 被検体へ RF パルスとスライス方向傾斜磁場を印加して被検体の所定スラブを励起し、スライスエンコード傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、リードアウト傾斜磁場を血流計測用の所定パルスシーケンスに則って印加し、前記前記被検体内を流れる血流からNMR信号を 3 次元計測し、この計測された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換することより得た複数の画像を投影処理することにより前記血流を描出する磁気共鳴イメージング装置において、
前記スラブを所定のスライス厚を有した2のべき乗以外の整数のスライス画像を得るために前記パルスシーケンスのスライスエンコード方向最大傾斜磁場とスライスエンコード数とを設定する手段と、前記スライスエンコード方向に対応する記憶領域が前記スライスエンコード数より大きい 2 のべき乗からなる記憶領域を有し、前記計測された NMR 信号を一時記憶する記憶手段と、前記パルスシーケン スの実行によって計測された各 NMR 信号をスライスエンコード方向、位相エンコード方向及びリードアウト方向に対応する前記記憶手段の各所定アドレスへ格納するとともに NMR 信号が計測されなかった記憶領域にはゼロデータを格納する手段と、前記記憶手段に格納された NMR 信号を 3 次元フーリエ変換することによりスライス方向において隣接するスライス画像同士のスライスピッチがスライス厚よりも小さくスライス画像同士の一部がオーバーラップした画像を取得する手段とを備え、遅い血流の描出能を向上させたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR910003742B1 (ko) * | 1986-09-09 | 1991-06-10 | 세미콘덕터 에너지 라보라터리 캄파니 리미티드 | Cvd장치 |
-
1992
- 1992-06-26 JP JP16906492A patent/JP3708135B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH067318A (ja) | 1994-01-18 |
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