JPH09266895A - 磁気共鳴イメージング方法及び装置 - Google Patents

磁気共鳴イメージング方法及び装置

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JPH09266895A
JPH09266895A JP8079728A JP7972896A JPH09266895A JP H09266895 A JPH09266895 A JP H09266895A JP 8079728 A JP8079728 A JP 8079728A JP 7972896 A JP7972896 A JP 7972896A JP H09266895 A JPH09266895 A JP H09266895A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】正確に脂肪からのNMR信号を抑制した画像を
得ることができる磁気共鳴イメージング方法及び装置を
提供する。 【解決手段】2項式パルスをプリパルスとして照射して
脂肪からのNMR信号を抑制するシーケンスを含むMR
I方法において、2項式パルスの最後のパルスを除くパ
ルスについて、最後のパルス照射までに生じる磁化の縦
緩和を補償するようにパルス強度(フリップ角)を設定
しておく。これにより2項式パルス終了時に、抑制しよ
うとする核スピンの縦磁化成分を正確にゼロとすること
ができ、プリパルスに続く撮像シーケンスで脂肪からの
信号を正確に抑制した信号計測ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核磁気共鳴現象を
利用して被検体(人体)の対象部位の断層像を得る際、脂
肪の信号を抑制した画像を得るための撮像を行なう磁気
共鳴イメージング(以下、MRIという)方法及び装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】MRI装置では、通常被検体組織に含ま
れるプロトン(1H)を対象としており、プロトンの核
スピンをその共鳴周波数と同じ周波数の高周波(RF)
磁場で励起し、それから発生する核磁気共鳴(以下、N
MRという)信号を計測する。ところでプロトンは生体
組織の水や蛋白質に含まれるのみならず、脂肪にも多く
のプロトンが含まれるために、この脂肪からのNMR信
号がMRIでは高信号となり診断の妨げになることがあ
る。このため、脂肪からの信号を抑制する方法が種々提
案されている。例えば、水のプロトンと脂肪のプロトン
との化学シフト差を利用して脂肪のプロトンを選択励起
する方法(ジャーナル オブ マグネチックレゾナン
ス、第55号、283〜300頁、1983年)などが開発されて
いる。
【0003】このうち化学シフト差を利用して脂肪のプ
ロトンを選択励起する方法は、選択励起のための高周波
パルスとして二項式パルスを用いる。ここで言う二項式
パルスとは、パルス全体の強度の絶対値の合計が90°と
なっており、奇数番目と偶数番目に照射するパルスの符
号を正負反転させたもので、
【0004】
【数1】 (以下、[1・−1]パルスと記述する。)
【0005】
【数2】 (以下、[1・−2・1]パルスと記述する。)
【0006】
【数3】 (以下、[1・−3・3・−1]パルスと記述する。)
などがある。このような二項式パルスによって脂肪のプ
ロトンが選択励起される原理を図6及び図7を参照して
説明する。尚、図6は二項パルスを用いた脂肪抑制撮像
シーケンスの模式図であり、図7は図6のシーケンスに
おける脂肪抑制部分(二項式パルス照射部分)での水の
磁化と脂肪の磁化(核スピンの巨視的磁化)の振る舞い
を模式的に示した図であり、(a)はz’軸に平行な平
面から見た図、(b)はx’y’平面図である。ここで
は、説明を簡単にするために二項式パルスとして[1・
−1]パルスを用いている。
【0007】まず図6に示すように所定の周波数の45
゜パルスを照射すると、水と脂肪の磁化は共に静磁場方
向に対し45゜傾く(図7の状態(1)→(2))。これら磁
化は、その化学シフトの差によって位相差を生じ、所定
の時間τが経過したときに脂肪の磁化の位相は水の磁化
に対し反転する(同図(3))。この時点で−45゜パル
スを照射すると、水の磁化は元に戻るのに対し脂肪の磁
化は更に45゜傾き、結果として元の位置から90゜傾
くことになる(同図(4))。この状態で通常行なわれる
撮像シーケンス(信号計測部)を実行しMRI画像を作
成すると、脂肪からは信号が発生せず、脂肪信号の抑制
された画像となる。ここでは撮像シーケンスとしてMR
Iにおける代表的なシーケンスであるスピンエコー法を
示しているが他の撮像シーケンスを用いても当然のこと
ながらかまわなぃ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところでこのような、
二項式パルスを照射する際に奇数番目のパルスと偶数番
目のパルスとの間の時間τは、水の磁化の位相と脂肪の
磁化の位相とを180°反転させるのに必要な最短時間
であって、次式(1)により表わすことができる。
【0009】
【数4】 ここで、δは水と脂肪の化学シフト差をHz単位で表わ
したものである。この化学シフト差δは、静磁場強度に
依存し、静磁場強度の大きい装置では化学シフト差δも
大きいが、低磁場装置では化学シフト差δが小さい。こ
のことは、上述した2項式パルスを用いた脂肪抑制シー
ケンスにおいてパルス間時間τを大きくしなければなら
ないことを意味する。
【0010】一方、スピンの磁化は次式(2)で表され
るように時間の経過とともに縦(T 1)緩和(縦磁化成
分の回復)を生じる。
【0011】
【数5】 このように縦緩和は時定数T1に特徴付けられ、時間t
の関数として表わすことができる。図7ではこのような
1緩和を無視して脂肪抑制を説明したが、上述のよう
に静磁場強度の低い装置ではパルス間の時間τが大きく
なるため、このτ間に生じるT1緩和を無視することは
できない。即ち、実際には図8に示すように2つの二項
パルスの時間間隔τに生じるT1緩和により、2番目の
パルス照射時(図8(a)の(3))に磁化は45°より
縦磁化成分が回復した位置にある。この状態で2番目の
パルスを照射すると(同図(4))、脂肪の縦磁化はゼロ
にはならないため、完全に脂肪抑制効果を得ることがで
きなくなる。
【0012】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、脂肪抑制シーケンスを含んだMRI方
法において、低磁場装置であっても縦緩和による画像の
劣化がなく、効果的に脂肪からの信号が抑制された画像
を得ることができるMRI方法及び装置を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のMRI方法は、極性の反転する複数の高周波パルス
から成る二項式パルスを用いて、化学シフト差のある原
子核スピンの一方を選択励起して当該原子核スピンを含
む組織からのNMR信号を抑制するステップを含むMR
Iにおいて、二項式パルスは複数の高周波パルスのパル
ス間における核スピン縦緩和を補償するパルス強度に設
定されている。
【0014】また本発明のMRI装置は、被検体の配置
される空間に静磁場及び傾斜磁場を発生する磁場発生手
段と、被検体の目的部位の核スピンを励起する高周波磁
場を照射する高周波磁場発生手段と、目的部位から発生
するNMR信号を検出する検出手段と、NMR信号を信
号処理して画像化し表示する手段と、磁場発生手段、高
周波磁場発生手段及び検出手段を所定のパルスシーケン
スで駆動するシーケンサとを含むMRI装置において、
シーケンサが実行するパルスシーケンスは、極性の反転
する複数の高周波パルスから成る二項式パルスを用い
て、化学シフト差のある原子核スピンの一方を選択励起
して当該核スピンを含む組織からのNMR信号を抑制す
るステップと、ステップの後に実行される撮像のためシ
ーケンスとを含み、抑制ステップに用いられる二項式パ
ルスは複数の高周波パルスのパルス間における核スピン
縦緩和を補償するパルス強度に設定されているものであ
る。
【0015】尚、ここでパルス強度とは、静磁場方向に
向いた磁化を傾ける角度(フリップ角)と同義である。
【0016】
【作用】二項式パルスの強度を、化学シフト差のある核
スピン位相が反転するまでの時間間隔τに生じるT1
和を補償するような所望の強度(角度)に設定しておく
ことにより、二項式パルスの照射終了時に一方の核スピ
ンを正確に横磁化とすることができ、それに続く撮像シ
ーケンスにおいて、その核スピンを含む組織からの信号
を抑制することができる。従って、より正確に脂肪のみ
を半選択的に励起することができるため、効果の高い脂
肪肪抑制画像が得られる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
詳細に説明する。
【0018】図3は本発明によるMRI方法が適用され
るMRI装置の全体構成を示すブロック図である。この
MRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層像を
得るもので、同図に示すように、静磁場発生磁気回路1
と、傾斜磁場発生系2と、送信系3と、受信系4と、信
号処理系5と、シーケンサ6と、中央処理装置(CPU)
7と、操作部8とを備えて成る。
【0019】上記静磁場発生磁気回路1は、被検体9の
周りにその体軸方向または体軸と直交する方向に均一な
静磁場を発生させるもので、上記被検体9の周りのある
広がりをもった空間に永久磁石方式又は常電導方式ある
いは超電導方式の磁場発生手段が配置されている。傾斜
磁場発生系2は、X、Y、Zの三軸方向に巻かれた傾斜
磁場コイル10と、それぞれのコイルを駆動する傾斜磁
場電源11とから成り、後述のシーケンサ6から命令に
したがってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源11を駆動
することにより、X、Y、Zの三軸方向の傾斜磁場G
s、Gp、Gfを被検体9に印加するようになっている。
この傾斜磁場の加え方により、被検体9に対するスライ
ス面を設定することができ、またNMR信号に位置情報
を付加することができる。
【0020】送信系3は、後述のシーケンサ6から送出
される高周波磁場パルスにより被検体9の生体組織を構
成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせるために高
周波信号を照射するもので、高周波発振器12と変調器
13と高周波増幅器14と送信側の高周波コイル15と
から成り、上記高周波発振器12から出力された高周波
パルスを高周波増幅器14で増幅した後に被検体9に近
接して配置された受信側の高周波コイル16に供給する
ことにより、電磁波が上記被検体9に照射されるように
なっている。ここで高周波磁場パルスの周波数は、静磁
場強度と原子核種で決まる核スピンの共鳴周波数に設定
されている。対象原子核としてはプロトンが一般的であ
る。
【0021】受信系4は、被検体9の生体組織の原子核
の核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信
号)を検出するもので、受信側の高周波コイル16と増
幅器17と直交位相検波器18とA/D変換器19とか
ら成り、上記送信側の高周波コイル15から照射された
電磁波による被検体9の応答の電磁波(NMR信号)は
被検体9に近接して配置された受信側の高周波コイル1
6で検出され、増幅器17及び直交位相検波器18を介
してA/D変換器19に入力してディジタル量に変換さ
れ、さらにシーケンサ6からの命令によるタイミングで
直交位相検波器18によりサンプリングされた二系列の
収集データとされ、その信号が信号処理系5に送られる
ようになっている。
【0022】この信号処理系5は、上記受信系4で検出
したエコー信号を用いて画像再構成演算を行うと共に画
像表示をするもので、上記エコー信号についてフーリエ
変換、補正係数計算、画像再構成等の処理及び後述シー
ケンサ6の制御を行うCPU7と、経時的な画像解析処
理及び計測を行うプログラムやその実行において用いる
不変のパラメータなどを記憶するROM(読み出し専用
メモリ)20と、計測で得た計測パラメータや上記受信
系4で検出したエコー信号、及び関心領域設定に用いる
画像を一時保管すると共にその関心領域を設定するため
のパラメータなどを記憶するRAM(随時書き込み読み
出しメモリ)21と、上記CPU7で再構成された画像
データを記録するデータ格納部となる光磁気ディスク2
2及び磁気ディスク23と、これらの光磁気ディスク2
2又は磁気ディスク23から読み出した画像データを映
像化して断層像として表示する表示部となるディスプレ
イ24とから成る。
【0023】シーケンサ6は、上記被検体9の生体組織
を構成する原子の原子核に核磁気共鳴を起こさせる高周
波磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し
印加する制御手段となるもので、CPU7の制御で動作
し、被検体9の断層像のデータ収集に必要な種々の命令
を送信系3及び傾斜磁場発生系2並びに受信系4に送る
ようになっている。また、操作部8は、上記信号処理系
5で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボ
ール25及びキーボード26から成る。
【0024】図1は、シーケンサ6に組み込まれている
パルスシーケンスの一実施例を示す模式図であり、この
パルスシーケンスは、脂肪からの信号を抑制するための
シーケンス部分(脂肪抑制部)と撮像シーケンス部分
(信号計測部)とから成る。脂肪抑制部は、プリパルス
である2項式パルスからなり、ここでは説明を簡単にす
るために[1・−1]パルスを用いている。2項式パル
スとしては、この他[1・−2・1]パルス、[1・−
3・3・−1]パルス等その他の2項式パルスを用いて
もよい。またこのプリパルスに続く信号計測部では、9
0°パルスと180°パルスとの照射により1つのエコ
ー信号を計測するスピンエコー法を用いている。尚、本
発明のMRI方法はプリパルスの与え方に特徴を有する
ものであり、信号計測部にどのようなタイプのパルスシ
ーケンスを用いても一向に差し支えない。
【0025】[1・−1]パルスは、一般には+45°
パルス(第1パルス)と、これと間隔τを置いて照射さ
れる−45°パルス(第2パルス)とからなり、間隔τ
は、脂肪の磁化の位相が水の磁化の位相に対し反転する
のに必要な時間である。また、本発明においては第1パ
ルスは間隔τにおける磁化の縦緩和を補償する強度(フ
リップ角:(45+α)°)に設定されている。αの求
め方については後述する。
【0026】次に、このようなパルスシーケンスにおけ
る磁化の振る舞いを図2を参照して説明する。尚、図2
は回転座標系(x'、y'、z')における磁化の振る舞い
を示したもので静磁場方向をz’軸とし、(a)はz'
軸に平行な平面から見た図、(b)はx'y'平面図を示
している。
【0027】まず第1パルス照射前の状態(1)では水
の磁化及び脂肪の磁化は共にz’軸上にある。ここでフ
リップ角(45+α)°の第1パルスを照射すると
(2)、水の磁化及び脂肪の磁化はz軸から(45+
α)°傾けられる。その後、水の磁化及び脂肪の磁化は
それぞれ回転の位相が変化し、時間τの間に水の位相と
脂肪の位相が反転する。これにより脂肪の磁化はx'y'
平面上、水の磁化に対して符号が反転する。またT1
和による縦磁化の回復(α°回復する)によりz軸から
45°傾くことになる(3)。最後に第2パルス(−4
5°パルス)を照射するにより水の磁化はZ軸に戻り、
脂肪の磁化はx'y'平面上に倒されることになる。
【0028】次にαの求め方を説明する。αは、第1の
パルス照射からτ時間後(第2パルス照射直前)に磁化
が45°に回復しているように設定されるのであるか
ら、磁化が45°に回復する時刻tよりもτ時間遡った
時刻Tにおける磁化の挙動が分ればそれから求めること
ができる。
【0029】まず一般に縦磁化成分(Mz')と磁化(M
0)の関係は次式(3)で表わされる。
【0030】
【数6】 ここでθは巨視的磁化のz軸に対する傾きを表す。また
磁化の縦緩和T1は、次式(4)で表され、
【0031】
【数7】 ここでT1は組織による時定数であり、縦磁化成分Mz'
が0である時刻を0として時間t経過後に縦磁化が左辺
の大きさに回復することを示す。従って、式(4)より
θ=45°である時刻tを求めることができる。
【0032】次に、時刻tから時間τさかのぼった時刻
をTとおくと、この時刻Tにおける縦磁化成分Mz'T
は、式(3)及び(4)から次式で示される。
【0033】
【数8】 この式(5)における左辺Mz'Tは、式(3)より
【0034】
【数9】 であるから、
【0035】
【数10】 となり、第1のパルスのフリップ角を得ることができ
る。
【0036】以上説明したように、図1に示すパルスシ
ーケンスでは、2項式パルスの最後のパルス(第2のパ
ルス)を照射する直前で、縦緩和が補償されているの
で、第2パルスを照射することにより脂肪の磁化を正確
に縦磁化が0磁化とすることができる。従って、その後
の撮像シーケンスにおいて、脂肪からの信号を抑制した
エコー信号を計測することができる。そして図示するス
ピンエコー法による計測の場合には、プリパルスの照射
と撮像シーケンスとを1枚の画像を得るために所定回数
繰り返してエコー信号を計測することにより、脂肪抑制
画像を得ることができる。
【0037】既に述べたように撮像シーケンスとして
は、図示するスピンエコー法のほか、高速スピンエコー
法、GE(グラジエントエコー)法、EPI(エコープ
ラナーイメージング)法等任意のシーケンスを採用する
ことができる。この際、EPI法のように1回の励起で
1枚の画像を得るシーケンスでは上述した2項式パルス
を用いた脂肪抑制シーケンスを1回の励起の直前に行え
ばよく、また分割EPIやGE法のようにパルスシーケ
ンスの繰り返しを含むイメージング方法では、繰り返し
毎に上述した2項式パルスを用いた脂肪抑制シーケンス
を追加する。
【0038】次に、本発明の他の実施例として[1・−
2・1]パルスを用いた実施例を説明する。図4及び図
5はそれぞれ本実施例によるパルスシーケンス及び磁化
の挙動を示す図であるが、ここでも説明を簡単にするた
めに撮像シーケンスとしてスピンエコー法が示されてい
るが、この撮像シーケンスを任意のシーケンスとするこ
とができるのは、前述の実施例と同様である。
【0039】このパルスシーケンスでは、水の磁化及び
脂肪の磁化が共にz’軸上にある状態(1)で、第1の
パルスとして(22.5+α)°パルスを照射する。こ
れにより水の磁化及び脂肪の磁化をそれぞれz’軸から
(22.5+α)°傾けられる(状態2)。このαは、
次のτ時間の間に縦磁化が回復する角度に対応するよう
に決定されている。次に第1のパルス照射から時間τ経
過した状態(3)では、水の磁化の位相と脂肪の磁化の
位相が反転するため脂肪の磁化はx’y’平面上、水の
磁化に対して符号が回転する。また時間τのT1緩和に
よる縦磁化の回復により、z’軸から22.5傾くこと
になる。この状態で、第2のパルスとして−(45+
α)°パルスを照射する(状態4)。これにより水の磁
化はz’軸から−(22.5+α)°傾いた状態とな
り、一方脂肪の磁化はz’軸から−(67.5+α)°
傾いた状態となる。
【0040】この第2のパルス照射から更に時間τ経過
した状態(5)では、水の磁化の位相と脂肪の磁化の位
相が反転するため脂肪の磁化はx’y’平面上、水の磁
化に対して符号が回転するとともに、時間τのT1緩和
による縦磁化の回復により、水の磁化はz’軸から−2
2.5°、脂肪の磁化はz’軸から67.5°傾くこと
になる。最後に第3のパルスとして22.5°パルスを
照射すると、水の磁化はz’軸に戻り、脂肪の磁化は
z’軸に対し90°倒れ、x’y’平面上にある、即ち
0磁化となる。
【0041】この場合にも、第1及び第2のパルスにお
いて縦磁化を補償するために設定されるフリップ角
(α)は、磁化が所望の角度A倒れた状態の時刻をtと
して、時刻tより時間τ遡った時刻Tにおける磁化Mz'
Tを求めることにより、得ることができる。
【0042】即ち、図示する実施例において第1のパル
ス照射から角度A(=22.5°)に縦磁化が回復する
時刻をtとすると、その縦緩和は
【0043】
【数11】 で求められ、この式(6)から時刻tを求めることがで
きる。また時刻tからτ遡った時刻における縦磁化Mz'
Tは、式(5)と同様
【0044】
【数12】 で表され、左辺Mz'Tは、式(3)より
【0045】
【数13】 であるから、
【0046】
【数14】 となり、第1のパルスのフリップ角を得ることができ
る。第2のパルスについても、この角度Aを45°で置
換することにより、第2のパルスのフリップ角を求める
ことができるが、近似的にαは同じ値として差し支えな
い。
【0047】以上のように2項式パルスとして、どのよ
うなパルスを用いた場合でも、そのパルス強度(フリッ
プ角)は、τとT1が決まっていれば求めることがで
き、水及び脂肪の磁化についてのT1値は計測された値
が知られており、またτについてはMRI装置の静磁場
強度によって式(1)より化学シフトδから求められる
ので、図3のMRI装置において操作部8で計測条件を
設定する際に、脂肪抑制シーケンスを設定することによ
り、シーケンサ6を介して送信系3における変調器13
及び高周波増幅器14の設定を決めることができる。
【0048】また[1・−2・1]パルスより高次の2
項式パルスを用いる場合においても、最後のパルスを除
くパルスについて、上述したのと同様に、そのパルス照
射で達成しようとする所望の角度Aについて、縦緩和を
補償するフリップ角度(A+α)を求めることができ、
同様の効果を得ることができる。尚、二項式パルスの項
数が高次なものになるほどT1緩和による誤差が蓄積さ
れるため、本発明の方法を適用する効果は高いものとな
る。
【0049】
【発明の効果】本発明は以上のように撮像シーケンスに
先立つプリパルスの照射方法を工夫することにより、化
学シフト差のある核スピンの一方からの信号を効果的に
抑制することができ、特に組織の画像において診断の妨
げとなる脂肪からの信号を抑制することができる。従っ
てより診断上価値の高い脂肪抑制画像を作成できるMR
I装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMRI方法によるパルスシーケンスの
1実施例を示す模式図
【図2】図1のパルスシーケンスにおける水の磁化と脂
肪の磁化の振る舞いを示す模式図
【図3】本発明が適用されるMRI装置の全体構成を示
すブロック図
【図4】本発明によるパルスシーケンスの他の実施例を
示す模式図
【図5】図4のパルスシーケンスにおける水の磁化と脂
肪の磁化の振る舞いを示す模式図
【図6】従来のMRI方法によるパルスシーケンスを示
す模式図
【図7】脂肪抑制シーケンスの原理を説明する模式図
【図8】従来法による脂肪抑制シーケンスにおける水の
磁化と脂肪の磁化の振る舞いを示す模式図
【符号の説明】
1・・・・・・静磁場発生磁気回路 2・・・・・・傾斜磁場発生系 3・・・・・・送信系(高周波磁場発生手段) 4・・・・・・受信系(検出手段) 5・・・・・・信号処理系 6・・・・・・シーケンサ 7・・・・・・CPU 9・・・・・・被検体 15・・・・・・高周波照射コイル(高周波磁場発生手段) 16・・・・・・高周波受信コイル(検出手段)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極性の反転する複数の高周波パルスから
    成る二項式パルスを用いて、化学シフト差のある原子核
    スピンの一方を選択励起して当該原子核スピンを含む組
    織からの核磁気共鳴信号を抑制するステップを含む磁気
    共鳴イメージング方法において、 前記二項式パルスは前記複数の高周波パルスのパルス間
    における前記原子核スピンの縦緩和を補償するパルス強
    度に設定されていることを特徴とする磁気共鳴イメージ
    ング方法。
  2. 【請求項2】 被検体の配置される空間に静磁場及び傾
    斜磁場を発生する磁場発生手段と、前記被検体の目的部
    位の核スピンを励起する高周波磁場を照射する高周波磁
    場発生手段と、前記目的部位から発生する核磁気共鳴信
    号を検出する検出手段と、前記核磁気共鳴信号を信号処
    理して画像化し表示する手段と、前記磁場発生手段、前
    記高周波磁場発生手段及び前記検出手段を所定のパルス
    シーケンスで駆動するシーケンサとを含む磁気共鳴イメ
    ージング装置において、 前記シーケンサが実行するパルスシーケンスは、極性の
    反転する複数の高周波パルスから成る二項式パルスを用
    いて、化学シフト差のある原子核スピンの一方を選択励
    起して当該原子核スピンを含む組織からの核磁気共鳴信
    号を抑制するステップと、前記ステップの後に実行され
    る撮像のためシーケンスとを含み、前記抑制ステップに
    用いられる二項式パルスは前記複数の高周波パルスのパ
    ルス間における前記原子核スピンの縦緩和を補償するパ
    ルス強度に設定されていることを特徴とする磁気共鳴イ
    メージング装置。
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