JP3249114B2 - Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法 - Google Patents

Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法

Info

Publication number
JP3249114B2
JP3249114B2 JP28201190A JP28201190A JP3249114B2 JP 3249114 B2 JP3249114 B2 JP 3249114B2 JP 28201190 A JP28201190 A JP 28201190A JP 28201190 A JP28201190 A JP 28201190A JP 3249114 B2 JP3249114 B2 JP 3249114B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic field
gradient magnetic
applying
frequency
slice
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28201190A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04156825A (ja
Inventor
博 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP28201190A priority Critical patent/JP3249114B2/ja
Publication of JPH04156825A publication Critical patent/JPH04156825A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3249114B2 publication Critical patent/JP3249114B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、核磁気共鳴(以下、NMRと略す)現象を利
用して、被検査体の断層画像を得るNMRイメージング装
置(以下、MRI装置と略す)に関するものである。
[従来の技術] MRI装置は、X線CT装置によって得られるX線吸収係
数を可視化した画像のように、解剖学的情報のみなら
ず、生化学的情報、化学シフト情報や血流情報を得るこ
とができるので、近年注目を集め、急速に普及しつつあ
る。
その中でも、MRI装置を使って、血流信号を描出する
方法はMRアンジオグラフィとしてX線を使ったアンジオ
グラフィのように造影剤が不要であり、患者に対する副
作用も無いので、特に臨床応用が盛んになってきてい
る。本発明はMRアンジオグラフィに関するものである。
まず、MRI装置について説明する。
MRI装置は、NMR現象を利用して被検体中の所望の検査
部位における原子核スピン(以下、単にスピンと称す)
の密度分布、緩和時間分布(縦緩和時間T1あるいは横緩
和時間T2に関する情報)などを計測して、その計測デー
タから被検体の断面情報を画像として表示するものであ
る。
この装置では、第4図に示すように0.02〜2テスラ程
度の静磁場を発生させる静磁場発生装置10の中に被検体
1が置かれる。このとき、被検体中のスピンは静磁場の
強さH0によって決まる周波数で静磁場の方向を軸として
歳差運動を行なう。この周波数をラーモア周波数と呼
ぶ。ラーモア周波数ν ここに、H0:静磁場強度 γ:核種に固有の磁気回転比 で表わされる原子核の種類ごとに固有の値を持ってい
る。また、ラーモア歳差運動の角速度をωとすると、 ω=2πν の関係にあるので、 ω=γH0 (2) で与えられる。
さて、高周波送信コイル20aによって計測しようとす
る原子核のラーモア周波数νに等しい周波数f0の高周
波磁場を被検体に照射すると、スピンは励起され、エネ
ルギー準位の高い状態へ遷移する。この高周波磁場を打
ち切ると、スピンは元の低いエネルギー準位へ戻ろうと
する。この過程を緩和現象と呼ぶ。この時放出される微
弱な電磁波を受信コイル20bで受信し、増幅器23で増幅
し、フィルタによって波形整形した後、A/D変換器25で
デジタル化して中央処理装置11(以下、CPUと称す)に
送る。CPU11では、この得られた信号を基に再構成演算
をし、この演算されたデータが被検体1の断層像とし
て、ディスプレイ28に表示される。上記の高周波磁場
は、CPU11により制御されるシーケンサ12が送り出す信
号を高周波増幅器19によって増幅したものを高周波送信
コイル20aに送ることで得られる。
ところで、MRI装置では、前記の静磁場と高周波磁場
の他に、空間内の位置情報を識別するために空間的な位
置と磁場強度の関係が線形になるような勾配磁場を発生
する傾斜磁場コイル群21が装備されている。これらの傾
斜磁場コイル群は、シーケンサ12からの信号に基づいて
動作する傾斜磁場コイル用電源22から電流を供給され、
被検体周囲に傾斜磁場を発生するものである。
次に、MRI装置における断層像撮影の原理について簡
単に述べておく。静磁場H0中のスピンは古典力学的に見
ると、1個の棒磁石のように振る舞い、先に述べたラー
モア周波数νで静磁場方向(この方向を通常Z軸にと
る)を軸とする回りに歳差運動を行なっている。この周
波数は、式(2)で与えられ、静磁場強度に比例する。
式(1)、及び式(2)におけるγは磁気回転比と呼ば
れ、核種に固有のものである。被検体内の単位画素内の
スピンの量は膨大であり、個々のスピンは静磁場中でラ
ンダムな位相で回転しているため静磁場方向と直交した
X,Y方向成分は互いに打ち消しあい、Z方向のみの巨視
的磁化が残る。この状態でX方向にラーモア周波数ν
に等しい周波数の高周波磁場H1を照射すると巨視的磁化
はY方向に倒れ始める。この倒れる角度は、照射する高
周波磁場H1の強度と照射時間の積に比例し、高周波磁場
をパルスとして見做したときに、巨視的磁化が90度倒れ
るものを90度パルス、180度倒れるものを180度パルスと
呼ぶ。
商用化されているMRI装置のほとんどは、一般的に2
次元フーリエ変換イメージング法を用いて撮影してい
る。このうち代表的なスピンエコー法に基づいて撮像の
原理を説明する。このパルスシーケンスでは、最初に90
度パルスを照射し、巨視的磁化を90度倒す。倒れた直後
は巨視的磁化としてみなせたものが、スピン同志の相互
作用や周りの磁場的環境が微妙に影響し、各スピンの回
転の周波数がわずかずつ異なるので、時間の経過と共に
各スピン間に位相差が生じる。このような状態で180度
パルスを照射すると、各スピンは回転座標系で反転し、
その後も各スピンの回転速度は同じまま回転し続けるの
で、今まで互いに位相が拡散する方向にあった関係が収
束する方向に変わる。完全に収束したとき、エコー信号
を形成する。この時、90度パルスからエコー形成までの
時間をエコー時間TEとすると、90度パルスから180度パ
ルスまでの時間をTE/2とするのが望ましい。
このように計測された信号は、静磁場内のどこで発生
したものであるかの識別ができない。そこで、その識別
のために空間的な位置の変化が線形である傾斜磁場を用
いる。まず、空間的に均一な静磁場に傾斜磁場を印加す
ると、空間的な距離と磁場強度は線形に変化するので、
照射時に断層像を得たい場所の周波数に応じた高周波磁
場を照射すれば、その周波数に共鳴した部分のみ励起さ
れるので、励起面が断層像として形成される。次に信号
読み出し時に、傾斜磁場を印加しながら計測すれば、こ
れをフーリエ変換することによって断層面の1軸に関し
て位置の弁別が可能となる。この軸に直交した方向に
は、位置に応じた位相をこの方向に傾斜を持った傾斜磁
場によって付加し、同様にフーリエ変換によって、位置
の弁別をしている。これら、空間の直交した3軸を区別
するために3軸に対応した傾斜磁場コイル群を装着して
いる。
以上のMRI装置に関しては、「NMR医学」(基礎と臨
床)(核磁気共鳴医学研究会編・丸善株式会社 昭和59
年1月20日発行)に詳しい。
ところで、MRI装置において、傾斜磁場の印加様式
を、傾斜磁場強度及びその印加時間が同一である正負一
対で構成する傾斜磁場の組はフロー・エンコード・パル
スと呼ばれ、その印加によって静止部の核スピンはその
位相が戻るが、流れのある部分では、或る位相が付加さ
れる。そのために血流のように流れの有る部分の信号は
消失する。これを戻すには、前記の位相に対してちょう
ど負の関係に有る傾斜磁場を印加すれば良い。従って、
2組のフロー・エンコード・パルスを正負対にして印加
することによって流れの有る部分の位相をも戻すことが
できる。このような方法は傾斜磁場モーメント零化法あ
るいは位相戻し(Rephasing)等と呼ばれている。
このような傾斜磁場の印加様式を採ることによって血
流信号を高輝度で描出しようとする方法については、例
えば、“Magnetic Resonance Imaging of the Body",ed
ited by D.D.Stark and W.G.Bradley,Jr.,Raven Press,
New York(1987)、あるいは、C.L.Dumoulin et al;“T
hree−Dimensional Time−of−Flight Magnetic Resona
nce Angiography Using Spin Saturation",Magnetic Re
sonace in Medicine,11,pp.35−46(1989)等に詳し
い。
この傾斜磁場モーメント零化法をグラジェント・エコ
ー法に適用すると、血流信号を高信号で捕らえることが
できる。このような手法を従来の2次元フーリエ変換法
によって撮像し、多数の断層面の情報を得た上で、この
3次元的な血管像(アンジオ像)を2次元に投影して医
師の診断に供している。この方法では、一枚の2次元像
を得る時間に撮像枚数分を掛けた撮像時間が必要であ
る。
以上のように、従来の技術では、一枚の2次元のMRア
ンジオを得るためにでも、必要以上に長い撮像時間が必
要であった。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術では、一枚の2次元MRアンジオ像を得る
のに、3次元のアンジオ像から投影処理を実施して作成
するために、一度3次元の計測を実施しなければなら
ず、そのため撮像時間は長いものであった。
本発明の目的は、予め3次元の計測を実施してアンジ
オ像を作成するのではなく、直接2次元の撮影アンジオ
像を計測することによって、撮像時間の短縮を図り、得
られた画像が直接観察可能なアンジオ像となっている装
置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的は、通常画像信号計測のための位相エンコー
ド数を1とし、普通得ている2次元画像を位相エンコー
ド方向に1次元に縮退させ、いわゆるラインスキャンを
実施し、これを多数の縮退したラインスキャンの集合に
よって2次元の画像を構成するとともに、撮像のシーケ
ンスとして血流部を高信号で計測するものを採用するこ
とによって2次元のアンジオ像を直接計測することを実
現できる。
より詳しくは、被検査体に静磁場を与える静磁場発生
手段と、前記被検査体に対しスライス方向、位相エンコ
ード方向、周波数エンコード方向の各傾斜磁場を印加す
る傾斜磁場発生手段と、前記被検査体の組織を構成する
原子の原子核を励起して核磁気共鳴を起こさせるために
高周波パルスを印加する高周波発生手段と、前記核磁気
共鳴による信号を検出するための信号検出手段と、該信
号検出手段により検出された核磁気共鳴信号から画像を
再構成する再構成手段と、前記傾斜磁場発生手段及び高
周波発生手段からの核傾斜磁場、高周波パルスを所定の
シーケンスに従って印加させる制御手段を備えたMRI装
置において、前記制御手段は、位相エンコード方向傾斜
磁場を印加しない状態で、高周波パルスの印加と同時に
所定のスライス位置を決定するスライス方向傾斜磁場を
印加し、次に極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印
加すると共に周波数エンコード方向傾斜磁場を印加し、
次に再度極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印加す
ると共に極性を逆にした周波数エンコード方向傾斜磁場
を印加し、再度極性を逆にした周波数エンコード方向傾
斜磁場を印加して核磁気共鳴信号を得る第1のシーケン
スをスライス位置を変えながら実行することで、2次元
のアンジオ像を直接得ることができる。
また、前記制御手段は、前記第1のシーケンスの各ス
ライス位置毎に、高周波パルスの印加と同時に所定のス
ライス位置を決定するスライス方向傾斜磁場を印加し、
次に極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印加し、次
に周波数エンコード方向傾斜磁場を印加し、極性を逆に
した周波数エンコード方向傾斜磁場を印加して核磁気共
鳴信号を得る第2のシーケンスを実行し、第1のシーケ
ンスで得た核磁気共鳴信号と第2のシーケンスで得た核
磁気共鳴信号を差分をするようにしてもよい。
[作用] 一般に、現在商用化されているMRI装置は、対象核種
がプロトンであり、計測により被検査体内のプロトン密
度やその緩和時間情報を得ている。いま、2次元断面に
対して垂直に流れる血流を描画することを考える。流れ
る核スピンは、傾斜磁場が印加させていると、傾斜磁場
が印加されている方向に移動することによって異なった
共鳴周波数を感じるため、或る中心の共鳴周波数から見
ると流れる核スピンは位相の進み遅れ、すなわち位相回
転を感じることになる。従って、一般には静止部の信号
と比較して、動きのある部分では信号消失が生じる。
この信号消失を防ぐには、前記の位相の進み遅れを戻
すことを実施すれば良い。流れる核スピンの位相回転が
傾斜磁場の印加に起因するのであるから、位相戻しも傾
斜磁場の印加によって回復することが可能である。第2
図は正負一対の傾斜磁場印加の組合せが核スピンの位相
にどのような影響を与えるかを示したものである。図の
下段部は正負一対の傾斜磁場の印加の核スピンに与える
位相の影響を示す。静止部の核スピンは移動しないの
で、傾斜磁場強度が正側と負側で同じであり、かつ、そ
の印加時間も同一であれば、正側の傾斜磁場が印加され
ている間に感じた位相回転量と負側の傾斜磁場が印加さ
れている間に感じた位相回転量は大きさが同じで符号が
反対であるので結果として位相回転は零となる。
ところが、例えば、一定速度vで流れる核スピンは、
移動することで異なった位相回転量を累積的に受けるた
め、結果として時間の2乗関数で表わされるので、正負
一対の傾斜磁場印加後では第1式で表わされる位相φを
感じることになる。
φ=2πGvtatb (1) ここで、Gは傾斜磁場強度、taは片側の傾斜磁場印加
時間、tbは正負一対の傾斜磁場の重心間時間を示す。こ
の位相回転のために血流のように流れる核スピンは信号
消失を来す。
この信号を回復させるには位相回転を補正すれば良い
ことは明らかである。第2図上段は、流れる核スピンが
感じた位相回転量を元に戻すために、前記位相回転量を
ちょうど戻しうる、前記正負一対の傾斜磁場の組合せの
負のものを、前記正負一対の傾斜磁場の前、あるいは後
いずれかに印加し、第1式で示す位相の負のものを付加
することで、流れる核スピンの位相をも零にしている。
もちろん、静止部の核スピンの位相は、このような正負
2対の傾斜磁場印加後においても零であることは言うま
でもない。このような方法を傾斜磁場モーメント零化
法、あるいは位相戻し(Rephasing)と呼んでいる。
このようにして、信号消失した血流の位相回転を補正
すれば、血流の信号を画像上で高信号に描出することが
できる。第3図は、位相戻しの効果をスライス選択励起
軸、及び信号読み出し軸に付加したグラジェント・エコ
ー法を示す。
MRアンジオグラフィとして利用するためには、血流部
と静止部との分離能を上げる必要がある。組織の縦緩和
時間は通常長いものであるので、それよりも短い繰返し
時間TRを採れば、静止部は充分低い信号となるので、血
流部と静止部の分離能を大きくすることが出来、血流を
高信号で描出することが可能である。
[実施例] 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説
明する。
第4図は本発明に係る核磁気共鳴イメージング装置の
全体構成例を示すブロック図である。この核磁気共鳴イ
メージング装置は、核磁気共鳴(NMR)現象を利用して
被検査体1の断層画像を得るもので、静磁場発生磁石10
と、中央処理装置(以下、CPUという)11と、シーケン
サ12と、送信系13と、磁場勾配発生系14と、受信系15と
信号処理系16とからなる。上記静磁場発生磁石10は、被
検査体1の周りにその体軸方向または体軸と直交する方
向に強く均一な静磁場を発生させるもので、上記被検査
体1の周りのある広がりを持った空間に永久磁石方式又
は常電導方式あるいは超電導方式の磁場発生手段が配置
されている。上記シーケンサ12は、CPU11の制御で動作
し、被検査体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の
命令を送信系13及び磁場勾配発生系14並びに受信系15に
送るものである。上記送信系13は、高周波発振器17と変
調器18と高周波増幅器19と送信側の高周波コイル20aと
からなり、上記高周波発振器17から出力された高周波パ
ルスをシーケンサ12の命令に従って、変調器18で振幅変
調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器
19で増幅した後に被検査体1に近接して配置された高周
波コイル20aに供給することにより、電磁波が上記被検
査体1に照射されるようになっている。上記磁場勾配発
生系14は、X,Y,Zの三軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル2
1と、それぞれのコイルを駆動する傾斜磁場電源22とか
らなり、上記シーケンサ12からの命令に従ってそれぞれ
のコイルの傾斜磁場電源22を駆動することにより、X,Y,
Zの三軸方向の傾斜磁場Gx,Gy,Gzを被検査体1に印加す
るようになっている。この傾斜磁場の加え方により、被
検査体1に対するスライス面を設定することができる。
上記受信系15は、受信側高周波コイル20bと増幅器23と
直交位相検波器24とA/D変換器25とからなり、上記送信
側の高周波コイル20aから照射された電磁波による被検
査体1の応答の電磁波(NMR信号)は被検査体1に近接
して配置された高周波コイル20bで検出され、増幅器23
及び直交位相検波器24を介してA/D変換器25に入力して
デジタル量に変換され、さらにシーケンサ12からの命令
によるタイミングで直交位相検波器24によりサンプリン
グされた二系列の収集データとされ、その信号が信号処
理系16に送られるようになっている。この信号処理系16
は、CPU11と、磁気ディスク26及び磁気テープ27等の記
憶装置と、CPT等のディスプレイ28とからなり、上記CPU
11でフーリエ変換、補正係数計算、被検査体の動きによ
るアーチファクトの除去処理、像再生等の処理を行い、
任意断面の信号強度分布あるいは複数の信号に適当な演
算を行って得られた分布を画像化してディスプレイ28に
表示するようになっている。なお、第4図において、送
信側及び受信側の高周波コイル20a,20bと傾斜磁場コイ
ル21は、被検査体1の周りの空間に配置された静磁場発
生磁石10の磁場空間内に配置されている。
第3図は、本発明で使用するグラジェント・エコー計
測におけるタイム・シーケンスを模式的に表わしたもの
である。第3図において、RFは無線周波の信号照射のタ
イミング及び選択励起のためのエンベーロープを示して
いる。Gzはスライス方向の傾斜磁場印加のタイミングを
示す。Gyは位相エンコード方向傾斜磁場を示す。Gxは周
波数エンコード傾斜磁場印加のタイミングを示し、Sign
alは計測されるNMR信号を示す。最下段はタイム・シー
ケンスを1〜5に区間分けしたものである。なお、X,Y,
Z三軸はそれぞれ直交したデカルト座標軸である。第3
図中区間1においては、90度あるいはそれ以下の角度の
選択励起パルスを照射するとともに、スライス方向傾斜
磁場を印加する。区間2において負のスライス選択方向
の傾斜磁場を印加し、スライスの両端での位相回転を戻
すとともに、次の区間3でのスライス方向の位相戻し効
果の準備をする。さらに、区間2において、周波数エン
コード方向の傾斜磁場を印加し、エコー信号計測時に位
相戻し効果が入るようにしておく。区間3においては、
負の周波数エンコード傾斜磁場を印加する。これは、区
間5においてNMR信号を計測する際に、時間原点が区間
5の中央に来るように、核スピンをあらかじめディフェ
イズ(dephase,位相を反転させること)させておくため
のものである。区間4では、負の周波数エンコード傾斜
磁場のみを印加する。区間5では、正の周波数エンコー
ド傾斜磁場を印加するとともに、NMR信号の計測を行
う。
NMRイメージングを行うには、前述のごとく静磁場に
傾斜磁場を印加した状態でRFパルスを照射し、被検査体
1の検査領域から出るNMR信号を空間情報としてエンコ
ード(符号化)するために傾斜磁場を印加し、NMR信号
を計測した後、画像再構成する。
空間を符号化するために、傾斜磁場を用いるが、これ
は核磁気共鳴周波数ωが磁場強度と線形関係にあること
を利用している。すなわち、傾斜磁場が空間的に直線性
が保たれていると、対象領域における空間位置と周波数
の関係は線形となり、時間情報であるNMR信号をフーリ
エ変換し、周波数軸に置き換えるだけで被検査体1の位
置情報が得られることを利用して画像を再構成してい
る。
通常は、2次元フーリエ変換法によって画像を再構成
しているが、本発明では位相エンコード方向に縮退し
た、すなわち、積分された情報を得るようにしている。
このような計測の仕方は、ラインスキャンとも呼ばれて
いる。画像として構成するには、このラインスキャンを
等間隔に多数収集することによって実現できる。以下
に、選択励起によってスライス方向にある厚みをもった
領域の核スピンが励起された後に空間を符号化する方法
について説明する。
ある厚みをもった2次元面領域の核スピンを空間座標
に応じた量だけ回転を付加するために、通常、X,Yの2
方向に分けて符号化する。第3図に従えば、X方向を周
波数エンコード方向、Y方向を位相エンコード方向と区
分けしている。
周波数エンコード方向には、スピン・エコー信号を読
み取る際、視野の両端で位相がNπだけずれている必要
があり、周波数エンコード時間をTxとすれば、 γGx・D・Tx=Nπ …(7) なる関係を満たさなければならない。ここで、 γ :対象核であるプロトンの磁気回転比(2.6751×10
4rad/sec/Gauss) Gx:周波数エンコード方向傾斜磁場の強度 D :視野直径 N :計測サンプル数 である。
周波数エンコード方向の傾斜磁場の印加は、x方向の
空間座標を周波数軸に符号化する方法を意味する。
このようにして、x方向にはNサンプルの1次元計測
データが収集される。通常、NMR信号計測にはQPR(Quad
rature Phase Detection)手法を用いて実部、虚部を同
時に収集するので、N×1サンプルの複素データが得ら
れる。これを1次元フーリエ変換すれば画像の1ライン
の情報が得られる。このようなデータを多数の断面に対
して収集すれば、1枚の画像として形成できる。
第3図で、血流など流れのある成分が高信号で結像さ
せる方法については、既に第2図について説明したよう
に、正負2対の傾斜磁場の組合せに基づく位相戻しをス
ライス選択軸と周波数エンコード軸に適用し、血流等を
高信号で描出している。
さて、第3図で示すような血流を高信号で描出するパ
ルス・シーケンスを、位相エンコード方向には積分され
たラインスキャンとして実行し、計測する共鳴周波数
を、位置が1mmずつ変化するように撮像すれば、それら
の集合体として1枚の血管像を形成できる。従来は第5
図に示す如く、2次元の血管像を多数枚計測し、得られ
た3次元の血管像から2次元へ投影して医師の診断に供
していた。しかし、この方法では、3次元の血管像を撮
像するのに約20分程度必要であった。たとえば、繰り返
し時間TR:40ms,位相エンコード数:256,スライス数:64,
加算回数:2回の撮像条件で21.85分の撮像時間が必要で
ある。この計測で64枚の2次元の血管像を得ており、ス
ライス厚が1mmであるとすると、スライス方向に64mmの
画像を得ていることになる。従来はこれを投影して2次
元の血管像、すなわちMRアンジオ像を得ていた。
本発明では、直接投影された2次元の血管像を得るの
で、1枚の血管像の撮像時間は約20秒程度であり、大幅
な時間短縮が可能である。しかも、従来のように3次元
の血管像から2次元面への投影処理の時間も不必要とな
るので、この面からも全体の処理時間の短縮が可能であ
る。
第1図は、本発明における第3図のパルス・シーケン
スを使って、1本のラインスキャンを実施したときの血
管像の形成される様子を示す。繰り返し時間TRの短いグ
ラジェント・エコー法を使用すると、組織の縦緩和時間
よりも短いTRにより、静止部32の信号は小さく、血管31
の信号のみ大きく捕捉できる。このラインスキャンを1m
mずつ実施し、全体で256mm計測すれば2次元の投影血管
像を直接撮影できる。この場合、繰り返し時間TR:40ms,
ライン数:256,加算回数:2回とすると、撮像時間20.48秒
であり、患者拘束時間も極めて短く、腹部等の息止め撮
像にも適用でき、本発明の有用性が高いと言える。
第6図は、第1図の手法によっても静止部の信号と血
流部の信号との分離能が十分高くないときに使用が望ま
しい方法である。一度に位相戻し効果の入ったシーケン
スと、それのないシーケンスとで計測し、両者の差分か
ら血管の信号のみを取り出す方法である。第6図(a)
は人体の横断面を示す。位相戻し効果が十分働いている
と静止部と血流部の信号強度は同程度のものとなるの
で、ラインスキャンを実施し、その信号のプロファイル
をみると、第6図(b)に示すように血管の位置が不明
な断面プロファイルSg1が得られる。次に、位相戻し効
果の入っていないシーケンスでラインスキャンを実施す
ると、そのプロファイルは第6図(c)のようになり、
血管部の信号は低下するのでプロファイルSg1に血管部
を示す凹みSg2ができる。静止部の信号強度を示す高さD
R1は両者で等しいと考えられるので、(b)から(c)
を引くことによって第6図(d)に示すような血管のプ
ロファイルを得ることができる。このようにして、ライ
ンスキャンを1mmずつずらしながら計測すれば2次元の
投影血管像を直接撮影できる。
第7図は、前述の差分による血管像撮像のパルスシー
ケンスを示す。前半部が位相戻し効果の入った位相不感
型シーケンス部,後半部が位相戻し効果のない位相感応
型シーケンス部である。第7図において呼称は第3図と
同一である。第7図前半部は第3図と同じである。後半
部は、区間6においてRF選択励起パルスを照射しなが
ら、スライス選択のための傾斜磁場Gxを印加する。区間
7においては、負のスライス方向傾斜磁場を印加するこ
とによってスライス方向の両端部での位相回転を戻して
おく。さらに、区間8において、負の周波数エンコード
方向傾斜磁場を印加し、エコー信号結像の中心を信号計
測時間の中央にくるようにする。区間9においては、NM
R信号を計測する。このようにして得られた前半部と後
半部の信号を引算すれば血管像のみ得られる。
第8図は、このようにラインスキャンで得られた多数
の線情報を収集し、画像として構成する方法を示す。第
1図で示す、ある厚みを持ったラインスキャンによる線
情報を、例えば1mm間隔で計測し、これらを位置の対応
を正しくとった状態で並べれば、第8図上段の鳥瞰図に
示すように多数のライン情報から2次元の画像として形
成される。第8図下段はこれを正面から見た画像の状態
を示す。このようにして多数のラインスキャンの情報か
ら2次元の血管像が得られる。
第9図は、ラインスキャンで得られた多数の線情報を
収集し、画像として構成した後、血管像を得るプロセス
を示す。位相戻し効果を持つシーケンスで撮像したライ
ンスキャンの集合による画像I2から、位相戻し効果の入
らないシーケンスで撮像したラインスキャンの集合によ
る画像I1を引算すると、投影された2次元の血管像I3
得られる。
[発明の効果] 本発明によれば、計測の際に位相エンコード方向を0
エンコードのみ計測することによって、従来3次元的に
計測していた血管像を、直接2次元で計測するので、計
測時間の短縮のみならず、3次元の血管像を2次元に投
影変換する処理も省略できるので、大幅な患者拘束時間
の短縮することに効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の計測方法の特徴を示す図、第2図は傾
斜磁場印加の方法による核スピンの位相回転の様子を示
す図、第3図は血管の高信号で描出する位相戻し効果の
入ったグラジェト・エコー法のパルス・シーケンス図、
第4図は本発明に係るNMRイメージング装置の全体構成
例を示すブロック図、第5図は従来の3次元計測による
血管像を2次元に投影する方法を示す図、第6図は差分
によって血管像を描出する方法を示す図、第7図は血管
を描出するのに位相戻し効果の有無で差分をとる際のグ
ラジェント・エコー法のパルス・シーケンス図、第8図
はラインスキャンの情報から2次元の血管像を作成する
方法を示す図、第9図は本発明の方法を差分による計測
で実現する事を示す図。 1……被検体、10……静磁場発生磁石、11……中央処理
装置、12……シーケンサ、13……送信系、14……磁場勾
配発生系、15……受信系、16……信号処理系、17……高
周波発振器、18……変調器、19……高周波増幅器、20a
……送信側高周波コイル、20b……受信側高周波コイ
ル、21……傾斜磁場コイル、22……傾斜磁場電源、23…
…増幅器、24……直交位相検波器、25……A/D変換器、2
6……磁気ディスク、27……磁気テープ、28……ディス
プレイ,31……血管部、32……静止部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検査体に静磁場を与える静磁場発生手段
    と、前記被検査体に対しスライス方向、位相エンコード
    方向、周波数エンコード方向の各傾斜磁場を印加する傾
    斜磁場発生手段と、前記被検査体の組織を構成する原子
    の原子核を励起して核磁気共鳴を起こさせるために高周
    波パルスを印加する高周波発生手段と、前記核磁気共鳴
    による信号を検出するための信号検出手段と、該信号検
    出手段により検出された核磁気共鳴信号から画像を再構
    成する再構成手段と、前記傾斜磁場発生手段及び高周波
    発生手段からの各傾斜磁場、高周波パルスを所定のシー
    ケンスに従って印加させる制御手段を備えたMRI装置に
    おいて、 前記制御手段は、位相エンコード方向傾斜磁場を印加し
    ない状態で、高周波パルスの印加と同時に所定のスライ
    ス位置を決定するスライス方向傾斜磁場を印加し、次に
    極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印加すると共に
    周波数エンコード方向傾斜磁場を印加し、次に再度極性
    を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印加すると共に極性
    を逆にした周波数エンコード方向傾斜磁場を印加し、再
    度極性を逆にした周波数エンコード方向傾斜磁場を印加
    して核磁気共鳴信号を得る第1のシーケンスをスライス
    位置を変えながら実行することを特徴とするMRI装置。
  2. 【請求項2】前記制御手段は、前記第1のシーケンスの
    各スライス位置毎に、高周波パルスの印加と同時に所定
    のスライス位置を決定するスライス方向傾斜磁場を印加
    し、次に極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印加
    し、次に周波数エンコード方向傾斜磁場を印加し、極性
    を逆にした周波数エンコード方向傾斜磁場を印加して核
    磁気共鳴信号を得る第2のシーケンスを実行し、第1の
    シーケンスで得た核磁気共鳴信号と第2のシーケンスで
    得た核磁気共鳴信号の差分をすることを特徴とする請求
    項1記載のMRI装置。
  3. 【請求項3】グラジェント・エコー法を用いたパルスシ
    ーケンスに従って傾斜磁場を印加する制御手段を備えた
    MRI装置における傾斜磁場印加方法において、 前記制御手段による傾斜磁場の印加を以下のステップで
    実行することを特徴とするMRI装置における傾斜磁場印
    加方法。 位相エンコード方向傾斜磁場を印加しない状態で、 (1)所定のスライス位置を決定するスライス方向傾斜
    磁場を印加するステップ、 (2)次に極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を印加
    すると共に周波数エンコード方向傾斜磁場を印加するス
    テップ、 (3)次に再度極性を逆にしたスライス方向傾斜磁場を
    印加すると共に極性を逆にした周波数エンコード方向傾
    斜磁場を印加するステップ、 (4)再度極性を逆にした周波数エンコード方向傾斜磁
    場を印加するステップ、 (5)(1)〜(4)のステップをスライス位置を変え
    ながら実行するステップ。
JP28201190A 1990-10-22 1990-10-22 Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法 Expired - Fee Related JP3249114B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28201190A JP3249114B2 (ja) 1990-10-22 1990-10-22 Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28201190A JP3249114B2 (ja) 1990-10-22 1990-10-22 Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04156825A JPH04156825A (ja) 1992-05-29
JP3249114B2 true JP3249114B2 (ja) 2002-01-21

Family

ID=17646987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28201190A Expired - Fee Related JP3249114B2 (ja) 1990-10-22 1990-10-22 Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3249114B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102009005903B4 (de) * 2009-01-23 2012-03-08 Siemens Aktiengesellschaft Verfahren zum Verfolgen eines Kontrastmittels bei einer Magnetresonanztomographieuntersuchung

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04156825A (ja) 1992-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4444413B2 (ja) 4重フィールドエコーシーケンスを用いて水と脂肪を定量的にmr撮影する装置
US7372269B2 (en) Magnetic resonance imaging method and apparatus
JPH09168524A (ja) 被検体内の温度変化を示す画像を作成する方法及び装置
JP3144840B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2805405B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3501182B2 (ja) 流速画像を算出できる磁気共鳴イメージング装置
JP3514547B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3249114B2 (ja) Mri装置及びmri装置における傾斜磁場印加方法
JPH05176911A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2000316830A (ja) 磁気共鳴イメージング方法及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置
JPS6266846A (ja) 化学シフト値を用いたnmr検査装置
JP3163125B2 (ja) Mri装置
JP3105239B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3708135B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3440134B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3263816B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH05123314A (ja) 磁気共鳴イメージング装置におけるマルチスライス撮像方法
JP3194606B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH0497741A (ja) 核磁気共鳴イメージング装置
JPH03106339A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3317552B2 (ja) Mri装置
JPH0430830A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH0470013B2 (ja)
JPH07163541A (ja) 磁気共鳴イメージング装置における血流描出方法
JP3274879B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees