JP3707802B2 - 無電極放電灯点灯装置のインビーダンス整合回路調整方法 - Google Patents

無電極放電灯点灯装置のインビーダンス整合回路調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、無電極放電灯に高周波電力を供給して発光させる無電極放電灯点灯装置のインピーダンス整合回路調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高輝度、長寿命などの特徴を持つ光源として無電極放電灯が研究されている。図3に無電極放電灯の点灯装置のブロック図を示す。図中、1は発振回路、4は整合回路、6は増幅回路、7は無電極放電灯、8は励磁用の誘導コイル、9はスイッチ、10は電源である。発振回路1は小電力の発振を行う。この発振回路1からの発振出力は増幅回路6により必要な電力まで増幅される。増幅回路6の出力は、整合回路4を介して駆動用のコイル8に印加される。この整合回路4では、増幅回路6とコイル8の間のインピーダンス整合を行うものである。コイル8は無電極放電灯7に近接するように巻かれており、無電極放電灯7内のガスに高周波電力を供給する。電源10は、発振回路1と増幅回路6に駆動電力を供給するものであり、その電力はスイッチ9を介して供給される。つまり、このスイッチ9は電源を入/切するためのスイッチである。
【0003】
図4は従来の無電極点灯装置の具体回路図である。図中、1は、水晶振動子Xを用いた発振回路であり、コイルL6 とコンデンサC15により低Qの同調回路を構成し、無調整の発振器としている。発振回路1の発振出力を増幅するプリアンプ2は、トランジスタQ4 によりC級増幅を行っており、コイルL5 とコンデンサC17により発振周波数に同調するように構成している。抵抗R8 〜R10からなる回路は減哀器を構成しており、抵抗R11はコイルL5 のQを下げるために挿入されている。フィルタ回路3は、チョークコイルL3 、コンデンサC4 等から構成され、高周波が電源10に帰還することを防いでいる。プリアンプ2の出力を更に高周波電力増幅するメインアンプ5は、パワーMOSFET(以下、トランジスタと称す)Q5 による増幅器となっている。コイルL7 は、トランジスタQ5 の入力キャパシタンスを打ち消すために挿入してあり、抵抗R12はトランジスタQ5 の入力インピーダンスをプリアンプ2の出力と整合させるために接続してある。整合回路4はコンデンサC18〜C20等で構成され、メインアンプ5の出力と後段の無電極放電灯7及び駆動用コイル8とのインダクタンス整合を行っている。無電極放電灯7は希ガスと水銀蒸気等を内部に封入したものであり、この無電極放電灯7の外周には、数ターンの空心コイルとした駆動用のコイル8が近接して配置されており、この駆動用のコイル8により整合回路4から入力された高周波電力を無電極放電灯7内の発光ガスに供給している。なお、抵抗R11、コイルL7 、抵抗R12は無くてもよい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来例においては、整合回路4のインダクタンス整合が安定しないという問題があった。すなわち、整合回路4の定数を設定しても、部品のバラツキ、無電極放電灯7のバラツキによって、始動しにくいものがあったり、場合によっては、始動しないものがあった。また、無電極放電灯7が無い状態で、整合回路4の定数を設定しても、同様の問題が生じることがあった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無電極放電灯に近接配置された誘導コイルにインピーダンス整合回路を介して高周波発振器の高周波出力を印加して無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置において、インピーダンス整合回路を最適に調整できる調整方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、上記の課題を解決するために、図に示すように、放電ガス体を封入した無電極放電灯7に近接して誘導コイル8を配置し、この誘導コイル8にインピーダンス整合回路4を介して高周波発振器の高周波出力を印加し、前記誘導コイル8に誘導される高周波電界によって無電極放電灯7内の放電ガス体を放電させて無電極放電灯7を点灯させる無電極放電灯点灯装置に用いられるインピーダンス整合回路4の調整方法であって、周期的にLow/Highに反転する点滅制御信号に応じて、前記高周波発振器の高周波出力の発生/停止を制御することで、無電極放電灯7を周期的に点滅させる点滅回路11を設け、該点滅制御信号が反転した後、前記高周波発振器が高周波出力を発生している状態にある時の、無電極放電灯7の安定点灯開始までに要する時間Tを観測すると共に、観測された安定点灯開始までに要する時間Tが略最小となる方向にインピーダンス整合回路4のインピーダンス値を調整することを特徴とするものである。
【0007】
【作用】
図5は、本発明の動作を説明するための動作波形図である。図中、(イ)は電源10より流れる入力電流であり、(ロ)は誘導コイル8の両端の出力電圧である。まず、時刻t1 において、スイッチ9がオンして電源10が投入されると、誘導コイル8の両端に高い電圧が印加される。このとき、入力電流として、図5(イ)に示すように、大きい電流が流れる。次に、時刻t2 において、無電極放電灯7が点灯すると、誘導コイル8の両端電圧、入力電流は共に減少する。時刻t1 から時刻t2 までの期間Tは、誘導コイル8に電圧が印加されて、放電灯7が点灯するまでの時間であり、ここでは「点弧始動時間」と称する。図4に示す整合回路4におけるコンデンサCvの容量変化に対して、上記の点弧始動時間T(msec)と、放電灯が無負荷時の出力電圧Vo(V)の変化を図6に示す。この図から明らかなように、点弧始動時間Tが最小となるときには、放電灯の無負荷時における誘導コイル8の両端電圧がほぼ最大となっている。したがって、点弧始動時間Tが最小となったとき、放電灯7が最も点弧しやすくなる。そこで、部品のばらつき、放電灯7のばらつき等には関係なく、個々の無電極点灯装置において、点弧始動時間Tを最小にすることによって、放電灯7が始動しないことがなくなる。
【0008】
【実施例】
図1は本発明の好ましい実施例の回路図である。上述の図4に示した回路では、電源スイッチ9をオンして、入力電流波形を観測して点弧始動時間Tが最小となるように可変コンデンサCvを調整する必要があるが、電源スイッチ9を入れる時にのみ、点弧始動時間Tを観測できるので、可変コンデンサCvを最適値に調整することが極めて難しい。そこで、図1の回路では、図4の回路において、点滅回路11を追加したものであり、他の回路構成は同様である。この点滅回路11は、MOSトランジスタQ3 と、そのゲートに接続された放電抵抗R14からなり、MOSトランジスタQ3 のドレインは、プリアンプ2におけるトランジスタQ4 のベースに接続されており、ソースはグランドに接続されている。そして、MOSトランジスタQ3 のゲートには、点滅制御信号が入力されている。
【0009】
本実施例において、MOSトランジスタQ3 のゲート・ソース間の電圧がゼロ又はオープン状態にあるときには、MOSトランジスタQ3 のドレイン・ソース間はオープン状態となり、トランジスタQ4 のベースには発振回路1からの出力が正常に加わり、無電極放電灯7は点灯する。なお、トランジスタQ4 のベース電圧が負電圧になると、MOSトランジスタQ3 のドレイン・ソース間には電流が流れるため、トランジスタQ4 のベース電圧は0に近づくが、ベース電圧が0でも負でもトランジスタQ4 はオフ状態となるので無関係である。
【0010】
ところが、MOSトランジスタQ3 のゲートに充分に高い電圧(例えば、NEC製の2SK654で6V以上)が加わると、MOSトランジスタQ3 のドレイン・ソース間は短絡状態となり、その結果、トランジスタQ4 のベース電圧は0となり、プリアンプ2での増幅が行われず、無電極放電灯7は消灯する。この時、MOSトランジスタQ3 の短絡により発振回路1の負荷インピーダンスが急激に変化し、発振停止などの現象が起こるのを避けるため、抵抗R9 として10Ω程度の抵抗を挿入している。この抵抗R8 〜R10で構成される減衰器は、無電極放電灯7の点灯中の負荷変動の影響を小さくしている。また、トランジスタQ4 がオープン状態となった場合に、メインアンプ5が自励発振することを避けるために抵抗R11を挿入しているが、この抵抗R11は省いてもよい。
【0011】
図1に示す回路の動作波形を図2に示した。図中、(a)は点滅制御信号、(b)は入力電流、(c)はコイル8の両端に生じる出力電圧である。図2(a)の期間Taに点滅制御信号が印加されると、MOSトランジスタQ3 がオンし、メインアンプ5の発振が停止する。次に、期間Tbにおいて点滅制御信号が零になると、MOSトランジスタQ3 がオフとなり、メインアンプ5の発振が開始し、点弧始動時間Tの経過後に、放電灯7が安定点灯する。従って、点滅制御信号を間欠的にMOSトランジスタQ3 に印加することによって、点弧始動時間Tが各サイクル毎に観測され、可変コンデンサCvの容量を変化させることにより、点弧始動時間Tが最小となるように調整することが容易となる。
【0012】
なお、本実施例では、図1において、点弧始動時間Tが最小となるように、コンデンサCvの容量を設定しているが、必ずしも最小点のみに限定されるものではなく、放電灯7が始動するために必要な出力電圧以上であれば、最小点の近傍に設定してもよい。
【0013】
【発明の効果】
本発明の無電極放電灯点灯装置のインピーダンス整合回路調整方法にあっては、上述のように、放電ガス体を封入した無電極放電灯に近接して誘導コイルを配置し、この誘導コイルにインピーダンス整合回路を介して高周波発振器の高周波出力を印加し、前記誘導コイルに誘導される高周波電界によって無電極放電灯内の放電ガス体を放電させて無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置に用いられるインピーダンス整合回路の調整方法であって、周期的にLow/Highに反転する点滅制御信号に応じて、前記高周波発振器の高周波出力の発生/停止を制御することで、無電極放電灯を周期的に点滅させる点滅回路を設け、該点滅制御信号が反転した後、前記高周波発振器が高周波出力を発生している状態にある時の、無電極放電灯の安定点灯開始までに要する時間を観測すると共に、観測された安定点灯開始までに要する時間が略最小となる方向にインピーダンス整合回路のインピーダンス値を調整するものであるから、最も始動しやすく、安定に点灯するように調整することが可能となる。
【0014】
また、本発明にあっては、周期的にLow/Highに反転する点滅制御信号に応じて 、前記高周波発振器の高周波出力の発生/停止を制御することで、無電極放電灯を周期的に点滅させる点滅回路を設けたので、無電極放電灯に高周波出力を印加してから放電灯が点弧するまでの時間を点滅制御信号の各サイクルごとに測定することができ、回路定数の調整作業が容易に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施例の回路図である。
【図2】 本発明の好ましい実施例の動作波形図である。
【図3】 従来例の概略構成を示すブロック図である。
【図4】 従来例の具体的な構成を示す回路図である。
【図5】 本発明の動作説明のための波形図である。
【図6】 本発明の動作説明のための特性図である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 プリアンプ
3 フィルタ回路
4 整合回路
5 メインアンプ
6 増幅回路
7 無電極放電灯
8 励磁用の誘導コイル
11 点滅回路

Claims (1)

  1. 放電ガス体を封入した無電極放電灯に近接して誘導コイルを配置し、この誘導コイルにインピーダンス整合回路を介して高周波発振器の高周波出力を印加し、前記誘導コイルに誘導される高周波電界によって無電極放電灯内の放電ガス体を放電させて無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置に用いられるインピーダンス整合回路の調整方法であって、
    周期的にLow/Highに反転する点滅制御信号に応じて、前記高周波発振器の高周波出力の発生/停止を制御することで、無電極放電灯を周期的に点滅させる点滅回路を設け、
    該点滅制御信号が反転した後、前記高周波発振器が高周波出力を発生している状態にある時の、無電極放電灯の安定点灯開始までに要する時間を観測すると共に、
    観測された安定点灯開始までに要する時間が略最小となる方向にインピーダンス整合回路のインピーダンス値を調整する
    無電極放電灯点灯装置のインピーダンス整合回路調整方法
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