JP3707610B2 - 流量検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車用エンジン等の吸入空気量を検出するのに用いられる主に熱式の流量検出装置に関し、特にはエンジン脈動流に対する検出精度を高めるための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用エンジン等は、エンジン本体の燃焼室内で燃料と吸入空気との混合ガスを燃焼し、その燃焼圧からエンジンの回転出力を取り出すので、燃焼時の噴射量を適切に制御する上で吸入空気の流量を精度良く検出することが重要である。そこで、従来より吸入空気の流量を検出するために各種の熱式の流量検出装置が提供されている(例えば、特開昭57−22563号公報等参照)。
【0003】
ところで、自動車用エンジン等への吸入空気の流量は、エンジンの運転条件によって異なるが、例えば、エンジンの回転数を一定にしてスロットルバルブの開度を大きくする程、スロットルバルブの通気抵抗が減少する。これに伴い、インテークマニホールドの圧力が増大して流量が増加するとともに、脈動流の振幅が大きくなる。
【0004】
このような脈動流に対して、熱式流量検出装置は、流量と検出出力との関係が非線形であり、かつ、発熱抵抗体の熱的な応答遅れがあるために、検出出力を逐一流量に変換した場合の流量平均値は、実際の流量よりも小さくなる(以下、これをリーン化誤差と称する)。このリーン化誤差は、エンジン回転数が大きくなるほど、また、脈動振幅が大きくなるほど増大する。
【0005】
図7はスロットルバルブの開度に応じたインテークマニホールドの圧力Pと吸入空気の流量(流量信号平均値)Qavとの関係を示す特性図である。
ここで、エンジン回転数を一定にした条件の下で、スロットル開度を大きくした場合、実際の流量は図7の符号Caで示す曲線となる。これに対して、従来の熱式流量検出装置で得られる平均流量は、同図の符号Cbで示す曲線となり、両曲線Ca,Cb間でリーン化誤差Δlが生じている。曲線Cbのような流量検出特性をもつ場合には、互いに異なる2つの負荷状態において同一の流量が存在することになり、一義的に流量が決まらなくなるという不具合を生じる。
【0006】
このように、検出流量が実際の吸入空気の流量よりも低下してリーン化誤差Δlを生じるという問題に対処するため、従来、例えば、特開昭58−19510号公報に開示されているような分流式の熱式流量検出装置が提案されている(以下、従来技術1という)。
【0007】
この従来技術1では、発熱抵抗体を配する検出流管となる分流通路を主通路よりも長く形成して分流通路の空気流の慣性力を大きくしている。このようにすると、分流通路の平均流量が定常流の時の流量よりも増加し、さらに分流通路の脈動流速振幅も低減する。したがって、分流通路と主通路の慣性長さの比を適当に設定することにより、前述の発熱抵抗体の熱的応答遅れに起因した脈動流の検出誤差を相殺させることができる。
【0008】
一方、特開2000−205915号公報に開示されているように、流量検出装置内に利得補償手段を付加して脈動流に対する検出流量誤差を補償する熱式流量検出装置も提案されている(以下、従来技術2という)。
【0009】
この従来技術2の装置は、被測定流体内に設けられた感温抵抗体の抵抗値によって流量に応じた流量検出信号を演算する流量演算回路と、この流量演算回路による流量検出信号を増幅して感温抵抗体の熱時定数によって低下した利得を補償する利得補償手段とから構成されている。
【0010】
図5は、利得補償手段の利得と周波数特性との関係を示す特性図である。
同図において、縦軸は利得補償回路の利得Gを、横軸は周波数fを、符号Toで示す曲線は従来技術2の装置における利得補償手段の周波数特性を示している。
【0011】
したがって、従来技術2の装置では、流量が第1の所定周波数f1Bより低い周波数で脈動する時は、流量演算手段から出力される流量検出信号は、流量の脈動にほぼ対応した値となる。この場合、利得補償手段は、予め決められた一定の利得G1で流量検出信号を増幅する。
【0012】
また、流量が第1の所定流量f1Bよりも高い周波数で脈動するときは、流量演算回路から出力される流量検出信号は、感温抵抗の熱時定数と流量と流量検出信号の非線形な関係から出力が低下する。このとき、利得補償手段は、周波数に対応した利得G2で流量信号を増幅する。したがって、感温抵抗体の熱時定数による遅れを補償することになり、利得補償手段の出力は真の流量変動に近い波形が得られる。
【0013】
さらに、流量が第2の所定周波数f2Bよりも高い周波数でもって脈動するとき、流量演算回路から出力される流量検出信号は、利得補償手段において一定の利得G3(>G1)で増幅する。したがって、流量検出にほとんど影響を与えない高周波側の流量検出信号を必要以上に増幅することが無くなるため、高周波側の流量検出信号による誤差が無くなり、検出精度を高めることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術1の装置は、発熱抵抗体の熱的応答遅れに起因した脈動流の検出誤差を相殺することが可能になるものの、分流通路の通路長を確保するための構造が複雑になり、また、発熱抵抗体近傍の流れが乱れ易い。さらに、流量を検出する発熱抵抗体近傍の流速は主流の流速よりも低くなるため、流量検出感度が充分に得られないという不具合がある。
【0015】
一方、従来技術2の装置は、利得補償手段を設けることで感温抵抗体の熱時定数による流量検出信号の低下を補償できるものの、脈動波形や、感温抵抗体を配した検出流管や感温抵抗体等の構造によっては、感温抵抗体の熱時定数によって決まる周波数f1Bよりも低い周波数を有する脈動流において、前述したような流量検出信号の低下が生じ、実際の流量とのリーン化誤差が大きくなる場合がある。次に、この点についてさらに詳述する。
【0016】
感温抵抗体の熱時定数によって決まる周波数f1Bよりも低い周波数を有する脈動流においてもリーン化誤差が生じる原因の一つとして、主流流管と検出流管との流量比率が、脈動時と定常時とで異なることが挙げられる。例えば、流れの安定化を図るために、検出流管の形状を入口から出口に向かって縮流するような構成とした場合には、出口通路面積が入り口通路面積よりも小さくなる。このような流管形状を有する流量検出装置は、脈動周波数が高くなると、検出流管の出口近傍に定常時には生じなかった渦が生成され、検出流管に流れ難い傾向を示す。このため、脈動時の方が定常状態よりも検出流管の流体的損失が増大し、脈動時の検出流管の平均流量は、定常時の平均流量に比べて低下するようになる。以下、このように、検出流管において脈動時に定常時と異なる現象が生じることを過渡特性と称する。そして、このような過渡特性が問題となる周波数は、一般に、感温抵抗体の熱時定数によって決まる周波数fB1よりもかなり低い周波数領域である。
【0017】
ところが、図5の特性曲線Toで示したように、従来技術2では、感温抵抗体の時定数によって決まる周波数fB1以下の周波数をもつ脈動流に対して、利得補償手段における利得はG1という一定値であるため、利得補償手段の効果を十分に発揮することができず、このため、リーン化誤差を生じて正確な流量を検出できなくなる。
【0018】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みてなされたもので、被測定流体が脈動した場合であってもリーン化誤差を有効に低減して被測定流体の流量を正確に検出できるようにし、これによって、流量の検出精度を向上した流量検出装置を提供することを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の流量検出装置は、次の構成を採る。
すなわち、請求項1記載に係る発明では、被測定流体内に配置された発熱抵抗体から被測定流体への伝熱現象を利用して被測定流体の流量に応じた流量検出信号を出力する流量検出手段と、この流量検出手段からの流量検出信号を増幅して当該信号の利得を補償する利得補償手段とを備え、前記利得補償手段は、前記被測定流体の脈動最低周波数から感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数までの周波数域において、周波数が零のときの直流利得よりも大きく且つほぼ一定の交流利得でもって前記流量検出信号を増幅するものであることを特徴としている。
【0020】
請求項2記載に係る発明では、被測定流体内に配置された発熱抵抗体の上流側と下流側にそれぞれに設けられた感温抵抗体で得られる各温度の差を検出する温度差検出手段と、この温度差検出手段からの温度差検出信号を流量検出信号として入力し、当該信号を増幅して利得を補償する利得補償手段とを備え、前記利得補償手段は、前記被測定流体の脈動最低周波数から感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数までの周波数域において、周波数が零のときの直流利得よりも大きく且つほぼ一定の交流利得でもって前記流量検出信号を増幅するものであることを特徴としている。
【0021】
請求項3記載に係る発明では、被測定流体内に配置された発熱抵抗体の上流側と下流側にそれぞれ設けられた感温抵抗体の温度を個別に検出する温度検出手段と、この温度検出手段から出力される温度検出信号に基づいて流量検出信号を演算する流量演算手段とを有し、この流量演算手段は、前記発熱抵抗体よりも上流側に設けた感温抵抗体の温度に対応する温度検出信号の位相を進めた信号を増幅して出力する第1の位相補償手段と、前記発熱抵抗体よりも下流側に設けた感温抵抗体の温度に対応する温度検出信号の位相を進めた信号を増幅して出力する第2の位相補償手段と、両位相補償手段の出力信号の差を流量検出信号として出力する差動増幅器とからなり、前記第1、第2位相補償手段は、共に、前記被測定流体の脈動最低周波数から感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数までの周波数域において、周波数が零のときの直流利得よりも大きく且つほぼ一定の交流利得でもって前記温度検出信号を増幅する利得補償手段で構成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項4記載に係る発明では、請求項1、2、3のいずれか1項に記載の構成において、前記利得補償手段は、前記被測定流体の脈動最低周波数よりも高い周波数における交流利得が約1.05倍から1.3倍の範囲内になるように設定されていることを特徴としている。
【0024】
請求項5記載に係る発明では、請求項1、2、3、4のいずれか1項に記載の構成において、前記利得補償手段は、演算増幅器と、この演算増幅器の後段側に接続された周波数特性設定用のコンデンサと、この演算増幅器とコンデンサとの直列回路に並列に接続されたバイパス用の抵抗と、演算増幅器の反転入力端子に接続された交流利得設定用の抵抗とを備えることを特徴としている。
【0025】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における流量検出装置の一部を切断して示す正面図、図2は同装置の側面図である。
【0026】
この実施の形態1の流量検出装置は、吸入空気などの被測定流体が流れる主流流管1内に挿入配置される素子収納部2と、主流流管1の外側に配置される回路収納部3とを有し、回路収納部3には後述の制御ユニット(ECU)40を電気的に接続するためのコネクタ部4が一体に設けられている。主流流管1の下流側は図示しないスロットルボディへの配管に接続されている。
【0027】
素子収納部2は、流入側から流出側に向けて次第に縮径された検出流管6を備え、この検出流管6の内部にホルダ7を介して検出素子8が固定されている。この場合、検出素子8の表面はホルダ7とほぼ面一になるように設けられている。一方、回路収納部3の内部には後述の検出回路部30が収納されている。
【0028】
上記の検出素子8は、図3に示すように、シリコン基板9の表面側の上下に絶縁膜を介して発熱抵抗体12と感温抵抗体13とが共に形成されている。また、両抵抗体12,13の熱容量を下げるために、シリコン基板9各抵抗体12,13を形成した位置の裏面側の一部はエッチングにより除去されて数μmの厚みをもつダイアフラム14,15が形成されている。
【0029】
ここで、上記の発熱抵抗体12および感温抵抗体13は、共に抵抗値が温度によって変化する例えば白金薄膜からなり、各抵抗体12,13はリード12a,13aを介してシリコン基板9の末端部まで引き出されている。これらの各抵抗体12,13は、蒸着、スパッタリング等でシリコン基板9上に絶縁膜を介して例えば0.2μm程度の膜厚で着膜し、その後パターニングして形成されている。また、各抵抗体12,13の上には絶縁膜からなる保護膜がスパッタリング等で形成されている。さらに、各リード12a,13aの端部は、保護膜の一部が除去、開口されて電極部12b,13bが形成されており、これらの電極部12b,13bにより外部との電気的接続を可能にしている。
【0030】
図4はこの実施の形態1の流量検出装置の全体構成を示す回路図である。
同図において、30は回路収納部3の内部に設けられた検出回路部、40はこの検出回路部30の出力信号に基づいて吸入空気などの被測定流体の流量を決定して例えばエンジンの燃焼時の噴射量等を制御する制御ユニット(ECU)であり、両者30,40は前述のコネクタ部4を介して互いに電気的に接続されている。
【0031】
上記の検出回路部30は、流量検出手段50と利得補償手段60とからなる。この実施の形態1において、流量検出手段50は、前述の検出素子8の発熱抵抗体12と感温抵抗体13とを有するとともに、3つの固定抵抗19,20,21を備え、これらの抵抗12,13,19,20,21によってブリッジ回路が構成されている。また、このブリッジ回路の出力を差動増幅する差動増幅器A1、および電流制御用のトランジスタTrによって発熱抵抗体12の温度を一定に保つためのフィードバック系が構成されている。さらに、ブリッジ回路を構成する発熱抵抗体12と固定抵抗20との接続中点には、固定抵抗20により生じる電圧を入力とする演算増幅器A2が接続されている。
【0032】
この流量検出手段50において、発熱抵抗体12は、感温抵抗体13よりも一定温度高くなるように制御されており、吸入空気等の被測定流体の流れによって発熱抵抗体12が冷やされると、これに伴い、差動増幅器A1の出力によりトランジスタTrのベース電流が変化し、これに応じて発熱抵抗体12に供給される加熱電流が増加し、これが流量の関数となる。したがって、この発熱抵抗体12に直列接続されている固定抵抗20により生じる電圧が加わる演算増幅器A2の出力が流量検出信号Sfとして得られる構成となっている。
【0033】
一方、利得補償手段60は、演算増幅器A3と、この演算増幅器A3の非反転入力端子に接続された抵抗R0と、演算増幅器A3の後段側に接続された周波数特性設定用のコンデンサCと、抵抗R0、演算増幅器A3およびコンデンサCからなる直列回路に対して並列に接続されたバイパス用の抵抗R1と、演算増幅器A3の反転入力端子に接続された所定周波数域での交流利得設定用の固定抵抗R2,R3とから構成されている。
【0034】
前述のごとく、感温抵抗体13を配した検出流管6の過渡特性に起因したリーン化誤差は、感温抵抗体13の熱時定数によって決まる周波数f1B(図5参照)よりも低い周波数領域において生じる。
【0035】
そこで、利得補償手段60において、過渡特性に起因したリーン化誤差を確実に補償するための利得G3が得られる周波数f2Aを、エンジン脈動周波数の最低周波数近傍になるように設定する。例えば、4気筒エンジンの場合、アイドリング状態での脈動流の最低周波数は10〜20Hzとなる。この場合、流量検出信号Sfに対する交流利得G3は、検出流管6の過渡特性および感温抵抗体13の時定数等に依存するが、1.05〜1.3の範囲内に設定するのが望ましい。その理由は、交流利得G3を大きくし過ぎると、利得補償手段60の出力信号の変動が大きくなり、また、急加速時に流量信号が実流量よりも大きくなって、制御ユニット40の入力可能範囲の最大値を超えてしまうことがある一方、交流利得G3が小さ過ぎると利得補償手段60による補償効果が現れないからである。なお、検出流管の過渡特性が問題にならない周波数f1A以下の場合にはリーン化誤差は極めて小さいので直流利得G1=1のままでよい。
【0036】
以上の観点から、利得補償手段60における各所定周波数、利得、および回路定数の関係は次のようにして設定される。
f1A=1/{2πCR1}
f2A=1/{2πCR1・(1+R3/R2)}
G1=1
G3=1+(R3/R2)
【0037】
図5において、符号Tiで示す曲線は、この実施の形態1における利得補償手段60の周波数特性を示している。なお、符号Toで示す曲線は従来技術2の利得補償手段の周波数特性である。f1A近傍が前述した検出流管6の過渡特性で決まる周波数に相当し、f2Aがエンジン脈動周波数の最低周波数に相当し、f1Bが感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数に相当する。エンジン脈動周波数の最低周波数f2A以上では、利得G3は周波数によらずほぼ一定となっている。このように、この実施の形態1の流量検出装置において、利得補償手段60の周波数特性は、従来よりも低い周波数から利得を増大させた特性を示している。
【0038】
制御ユニット40は、メモリ41を備えており、このメモリ41には、図6に示すように、利得補償手段60から出力される流量検出信号Sfcと流量Qとの関係を定義した特性曲線Uが予め記憶されている。ここで、流量Qに対する流量検出手段Sfcの関係は、非線形な特性となっている。
【0039】
そして、利得補償手段60から出力される流量検出信号Sfcは、制御ユニット40により、その内部のメモリ41に予め記憶されている特性曲線Uを用いて逐次、流量に変換され、さらに、この流量の平均値Qavが算出されるようになっている。
【0040】
次に、上記構成の流量検出装置の流量検出動作について説明する。
吸入空気等の被測定流体の流れによって発熱抵抗体12が冷やされると、差動増幅器A1の出力によってトランジスタTrのベース電流が変化し、これに応じて発熱抵抗体6に供給される加熱電流が増加する。そして、この発熱抵抗体12に直列接続されている固定抵抗20により生じる電圧が演算増幅器A2に入力され、この電圧が演算増幅器A2で増幅されて流量検出信号Sfとして出力される。
【0041】
ここで、図5において、検出流管6内でf2Aからf1B間の周波数で流量が脈動していた場合について着目する。
従来技術2の装置では、f1Bの周波数以下では流量演算回路からの流量検出信号Sfは利得補償手段で何ら増幅されずそのまま出力される。このため、図6に示すように、流量検出信号Sfは、検出流管6の過渡特性が原因となって、脈動振幅が低流量側にドリフトする。その結果、制御ユニット40のメモリ41に予め登録されている特性曲線Uを用いて流量変換した流量信号Q2の平均値Qav2は実際の平均流量Qavよりも小さくなる。
【0042】
一方、この実施の形態1の流量検出装置の場合、上述した脈動流に対して、流量検出手段50から出力される流量検出信号Sfは、利得補償手段60によって予め定められた一定の利得G3で増幅される。このため、利得補償手段60から増幅出力される流量検出信号Sfcを制御ユニット40のメモリ41に予め登録されている特性曲線Uを用いて流量変換した流量信号Q1は、従来技術2の場合に得られる流量信号Q2よりも振幅が拡大される。つまり、特性曲線Uは非線形性を示すために、流量検出信号Sfcを流量変換して得られる流量信号Q1は、大流量側に一層振幅が拡大されて平均流量Qav1が増大する。したがって、利得補償後の流量検出信号Sfcに基づいて得られる平均流量Qav1は、実際の平均流量Qavに近い値となる。
【0043】
このように、従来は感温抵抗体の熱時定数に対応した周波数f1Bよりも低い周波数領域の脈動流に対しては、一定の利得G1で増幅していたために、信号振幅が小さく平均流量が少なくなってリーン化誤差が大きくなっていたの対して、この実施の形態1の装置は、一定の利得G3ではあるが、G3>G1であるため、信号振幅が大きくなって平均流量が実際値に近くなりリーン化誤差が小さくなる。しかも、所定周波数f2Aよりも十分に高い周波数を持った流量検出信号Sfに対しては、ほぼ一定の利得G3で増幅するので、流量の検出には殆ど影響を与えない高周波側の流量検出信号Sfを必要以上に増幅することがなくなる。
【0044】
この実施の形態1における利得補償手段60の作用は、図7を用いれば次のように言い換えることができる。流量検出装置で得られる脈動時の平均流量は、理想的には符号Caで示す実際の流量と同じになることが望ましいが、上述したように、従来装置においては、過渡特性等やその他の要因によって平均流量は符号Cbで示す曲線のようになり、リーン化誤差Δlが生じる。そこで、この実施の形態1では、熱式流量検出装置で得られる平均流量を符号Ccで示すように上方に立ち上がるように利得補償手段60において補償していることになる。これにより、低周波数から高周波数まで広い脈動周波数にわたって流量検出精度を高めることができる。
【0045】
なお、ここでは、脈動時において検出流管6と主流流管1の流速比率が変化するという過渡特性に起因してリーン化誤差が生じる場合について説明したが、検出素子8の形状や発熱抵抗体12の位置やサイズ等に依存して同様なリーン化誤差が生じることが有る。したがって、このような場合にも上述した利得補償手段60を設けることにより、リーン化誤差を低減することが可能である。
【0046】
実施の形態2.
図8はこの実施の形態2における検出素子の構成を示す平面図、図9はこの実施の形態2の流量検出装置の全体構成を示す回路図であり、図1ないし図4に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0047】
この実施の形態2において、検出素子8は、シリコン基板9上の表面側に絶縁膜を介して上下に発熱抵抗体12と感温抵抗体13とが共に形成され、さらに、発熱抵抗体12を前後に挟んで第1、第2の感温抵抗体17,18が隣接して形成されている。この場合、図中矢印で示すように、被測定流体の流れる方向に対して、第1の感温抵抗体17は発熱抵抗体12の上流側に、また、第2感温抵抗体18は発熱抵抗体12の下流側にそれぞれ位置するように配置されている。そして、各抵抗体12,13,17,18の熱容量を下げるために、シリコン基板9には、各抵抗体12,13,17,18を形成した位置の裏面側にダイアフラム14,15が形成されている。
【0048】
これらの各抵抗体12,13,17,18はいずれも抵抗値が温度によって変化する例えば白金薄膜からなるもので、各抵抗体12,13,17,18は、リード12a,13a,17a,18aを介してシリコン基板9の末端部まで引き出され、各リード12a,13a,17a,18aの端部分は保護膜の一部が除去されて外部端子接続用の電極部12b,13b,17b,18bが形成されている。
この検出素子8のその他の構成は実施の形態1の場合と同じであるから、詳しい説明は省略する。
【0049】
また、この実施の形態2において、回路収納部3の内部に収納された検出回路部30は、図9に示すように、流量検出手段50と利得補償手段60とからなる。そして、流量検出手段50は、温度差検出手段70Aと定温度制御手段80とを備えている。
【0050】
温度差検出手段70は、前述の検出素子8に設けられた第1、第2の感温抵抗体17,18を有するとともに、2つの固定抵抗22,23を備え、これらの抵抗17,18,22,23によってブリッジ回路が構成されている。また、このブリッジ回路の出力を差動増幅する差動増幅器A4が設けられている。
【0051】
そして、被測定流体の流れによって図8に示した発熱抵抗体12を挟む上流側と下流側の第1、第2の感温抵抗体17,18間に生じる温度差を各固定抵抗22,23で電圧に変換した後、差動増幅器A4で両電圧の差を増幅することにより流量検出信号Sfを得る構成となっている。
【0052】
また、定温度制御手段80は、実施の形態1の流量検出手段50の構成から演算増幅器A2が省かれている点を除けば類似した構成になっている。すなわち、この定温度制御手段80は、前述の検出素子8の発熱抵抗体12と感温抵抗体13、および3つの固定抵抗19,20,21によってブリッジ回路が構成されている。また、このブリッジ回路の出力を差動増幅する差動増幅器A1、および電流制御用のトランジスタTrによって発熱抵抗体12の温度を一定に保つためのフィードバック系が構成されている。
【0053】
したがって、定温度制御手段80において、吸入空気等の被測定流体の流れによって発熱抵抗体12が冷やされると、これに伴い、差動増幅器A1の出力によりトランジスタTrのベース電流が変化し、これに応じて発熱抵抗体12に供給される加熱電流が増加して、発熱抵抗体12の温度が一定に保たれるように制御される。
【0054】
なお、利得補償手段60、制御ユニット40、およびメモリ41の構成は、実施の形態1の場合と基本的に同じであり、また、利得補償手段60の回路定数の設定条件等も実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0055】
次に、この実施の形態2における流量検出装置の流量検出動作について説明する。
温度差検出手段70において、図8の矢印で示す方向から被測定流体の流れがあったときには、発熱抵抗体12の上流側に位置する第1の温度検出抵抗17が冷却されて温度が下がるのに対して、発熱抵抗体12の下流側に位置する第2の感温抵抗体18は、発熱抵抗体12からの熱を受けるためにさほど温度が下がらず、このため、2つの感温抵抗体17,18の間に温度差が生じる。この温度差は流量が大きくなるほど増大する。
【0056】
発熱抵抗体12を挟む上流側と下流側の第1、第2の感温抵抗体17,18間に生じる温度差による電流変化は、各固定抵抗22,23によって電圧に変換される。そして、両電圧の差が差動増幅器A4で増幅されて流量検出信号Sfとして取り出される。
【0057】
なお、温度差検出手段70から出力された後の流量検出信号Sfに対する利得補償手段60の動作や、制御ユニット40における信号処理の動作は、実施の形態1と同じであるので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0058】
したがって、この実施の形態2の流量検出装置においても、前記の実施の形態1の場合と同様に、第1、第2感温抵抗体17,18の熱時定数によって決まる周波数f1Bよりも低い周波数を有する脈動流が生じた場合にも流量を正確に検出することができ、リーン化誤差を低減することができる。
【0059】
しかも、この実施の形態2では、温度差検出手段70において、発熱抵抗体12の前後に第1、第2の感温抵抗体17,18を配置し、その電圧差を差動増幅器A4で検出して流量検出信号Sfを得ているので、逆流を伴う脈動流に対しても精度良く流量を検出することができる。
【0060】
実施の形態3.
図10はこの実施の形態3における流量検出装置の全体構成を示す回路図であり、図9に示した実施の形態2と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0061】
この実施の形態3において、検出流管6の内部に固定される検出素子8の構成は、図8に示した実施の形態2のものと同じである。一方、この実施の形態3において、検出回路部30は、定温度制御手段80、温度検出手段90、および流量演算手段100により構成されている。
【0062】
定温度制御手段80は、発熱抵抗体12の温度を一定に保持するためのもので、その構成および動作は図9に示した実施の形態2の場合と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0063】
温度検出手段90は、被測定流体内に配置された発熱抵抗体12の上流側と下流側にそれぞれ設けられた第1、第2感温抵抗体17,18の温度を個別に検出するもので、第1、第2の定電流回路CC1,CC2、第1、第2の各感温抵抗体17,18、および第1、第2の演算増幅器A5,A6を備える。
【0064】
そして、第1、第2の定電流回路CC1,CC2に対して個別に第1、第2の感温抵抗体17,18が接続され、また、第1定電流回路CC1と第1感温抵抗体17との接続中点に第1演算増幅器A5の非反転入力端子が接続され、第1演算増幅器A5の出力端子と反転入力端子との間が帰還抵抗24で接続されている。同様に、第2定電流回路CC2と第2感温抵抗体18との接続中点に第2演算増幅器A6の非反転入力端子が接続され、第2演算増幅器A6の出力端子と反転入力端子との間が帰還抵抗25で接続されている。
【0065】
これにより、第1演算増幅器A5は、第1感温抵抗体17の抵抗変化に応じた電圧を増幅して第1の温度検出信号S11として出力し、また、第2演算増幅器A6は第2感温抵抗体18の抵抗変化に応じた電圧を増幅して第2の温度検出信号S21として出力するように構成されている。
【0066】
ここで、第1、第2の感温抵抗体17,18は、流量が零の場合にはほぼ同じ温度になるが、図11に示すように、予め第2演算増幅器A6のオフセット電圧を調整することにより、流量が零の場合でも第2温度検出信号S21の出力が第1温度検出信号S11よりも一定電圧ΔEだけ高くなるように設定している。これにより、後述の流量演算手段100から出力される流量検出信号Sfcが逆流領域も含めて流量に対して単調増加の特性を示すようになる。このため、脈動波の正流方向だけでなく逆流方向の検出も可能となる。
【0067】
流量演算手段100は、温度検出手段90の第1感温抵抗体17に対応した第1演算増幅器A5から出力される第1温度検出信号S11の位相を進めて増幅する第1の位相補償手段61と、第2感温抵抗体18に対応した第2演算増幅器A6から出力される第2温度検出信号S21の位相を進めて増幅する第2の位相補償手段62と、両位相補償手段61,62の出力信号S12,S22の差を流量検出信号Sfcとして出力する差動増幅器A7とからなる。
【0068】
ここで、第1、第2の位相補償手段61,62の構成は、実施の形態1,2において説明した利得補償手段60と同じである。そして、第1、第2の位相補償手段61,62の回路定数の設定条件等も実施の形態1,2の利得補償手段60の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。また、制御ユニット40、およびメモリ41の構成は、実施の形態1,2の場合と基本的に同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0069】
次に、この実施の形態3の流量検出装置における流量検出動作について説明する。
温度検出手段90において、図8の矢印で示す方向から被測定流体の流れがあったときには、発熱抵抗体12の上流側に位置する第1の温度検出抵抗17が冷却されて温度が下がるのに対して、発熱抵抗体12の下流側に位置する第2の感温抵抗体18は、発熱抵抗体12からの熱を受けるためにさほど温度が下がらず、このため、2つの感温抵抗体17,18の間に温度差が生じ、これに伴って抵抗値も変化する。この変化量は流量が大きくなるほど増大する。
【0070】
発熱抵抗体12を挟む上流側と下流側の第1、第2の感温抵抗体17,18の抵抗値変化に伴って生じる各電圧は、第1、第2の演算増幅器A5,A6に個別に加わるため、第1、第2の演算増幅器A5,A6は、この抵抗値変化に比例した電圧を増幅し、これが温度検出信号S11,S21として取り出される。
【0071】
第1、第2の位相補償手段61,62は、各温度検出信号S11,S12の位相を進めて増幅し、振幅の拡大した信号S12,S22を出力する。ここで、温度検出手段90から出力された後の各温度検出信号S11,S21に対する第1、第2の位相補償手段61,62の具体的な動作は、実施の形態1で説明した利得補償手段60の場合と同じであるので、詳しい説明は省略する。
【0072】
第1、第2の位相補償手段61,62から出力された信号S12,S22は、共に差動増幅器A7に加わるため、差動増幅器A7は、両位相補償手段61,62の出力信号S12,S22の差をとって流量検出信号Sfcとして出力する。この流量検出信号Sfcは、図11に示したように単純増加性を示すので、脈動波の正流方向だけでなく逆流方向の検出も可能である。
【0073】
なお、流量演算手段100の差動増幅器A7から出力された後の温度検出信号Sfcに対する制御ユニット40の信号処理の動作は、実施の形態1,2と同じであるので、ここでは詳しい説明は省略する。
【0074】
図12は、この実施の形態3の流量検出装置において、脈動流が生じている場合に各部で得られる信号波形を示す特性図である。
制御ユニット40のメモリ41に記憶されている特性曲線U(図6参照)に基づいて変換した流量信号Qが、例えば同図(b)に示すような脈動流を伴う波形であるとしたとき、温度検出手段90から出力される第1、第2の温度検出信号S11,S21、および流量演算手段100から出力される流量検出信号Sfcの各波形は、同図(a)に示すようになっている。
【0075】
すなわち、第1位相補償手段61の出力信号S12は、第1温度検出信号S11の位相遅れを補償した信号であり、また、第2位相補償手段62の出力信号S22は、第2温度検出信号S21の位相遅れを補償した信号である。第1、第2のいずれの位相補償手段61,62の出力信号S12,S22も温度検出信号S11,S21の位相を進め、かつ、振幅を拡大した信号となるため、第1、第2感温抵抗体17,18の時定数を小さくしたのと同様な信号が得られている。
【0076】
つまり、この実施の形態3では、流量が所定周波数f2Aよりも高い周波数で脈動する時は、脈動周波数に応じて、温度検出信号S12,S22の位相が進むと同時に出力振幅が大きくなるので、見掛け上、第1、第2感温抵抗体17,18の時定数が小さくなり、逆流を伴う脈動流に対して温度検出信号Sfcの応答性が高くなる。したがって、制御ユニット40において、この温度検出信号Sfcをメモリ41の特性曲線Uを用いて流量信号に変換したときには、実際の流量変化に追従した流量信号Qが得られる。このため、検出精度が大幅に改善される。
【0077】
なお、図12(a)において、Sfoは第1、第2の位相補償手段61,62を使用しない場合に得られる流量検出信号であり、また、図10(b)のQoは制御ユニット40において、この温度検出信号Sfoをメモリ41の特性曲線Uを用いて変換したときの流量信号である。このように、位相補償手段61,62を使用しないときには、実際の流量変動Qに対して平均流量は低くなり、また、遅れにより逆流検出もできていないことが分かる。
【0078】
【発明の効果】
請求項1記載の発明に係る流量検出装置は、検出流管や流量検出素子等の周囲の流れ特性に起因して流量検出信号の平均値が低下するような所定の周波数領域においては、流量検出信号を脈動がない定常流の場合の利得より高い一定の利得で増幅するので、位相が進むと同時に利得補償手段の出力振幅が大きくなる。その結果、流量特性の非線形性により平均検出流量が増大し、実際の平均流量に近い流量信号が得られる。このため、被測定流体が脈動した場合であっても平均流量信号のリーン化誤差が低減され、被測定流体の流量を正確に検出できるようになる。
【0079】
請求項2記載の発明に係る流量検出装置は、温度差検出手段によって発熱抵抗体の上下流にそれぞれ配置した感温抵抗体で得られる温度の差を検出するので脈動波の逆流時の検出も可能となる。また、利得補償手段は、温度差検出手段からの温度差検出信号を流量検出信号として入力し、当該信号の位相を進めるので、見掛け上、応答性が速くなり、しかも、流量検出信号を脈動がない定常流の場合の利得より高い一定の利得で増幅するので、平均検出流量が増大し、実際の平均流量に近い流量信号が得られる。このため、請求項1の場合と同様に、被測定流体が脈動した場合であっても平均流量信号のリーン化誤差が低減され、被測定流体の流量を正確に検出できるようになる。
【0080】
また、請求項3記載の発明に係る流量検出装置は、発熱抵抗体の上下流にそれぞれ配置した感温抵抗体の温度検出信号の位相をそれぞれ進めることで、見掛け上、応答性が速くなり、しかも、脈動波の逆流時の検出も可能となる。このため、感温抵抗体の温度差から演算した流量信号は実際の脈動波形により一層近づくために、検出精度がさらに向上する。しかも、流量検出装置は、位相補償手段が請求項1、2の発明と同じ利得補償手段で構成されているので、請求項1,2記載した発明の効果を同時に奏することができる。
【0082】
請求項4記載の発明に係る流量検出装置は、請求項1、2、3の効果に加えて、利得補償手段の利得範囲を適切に設定することで、流量検出信号に対して確実な利得補償が行われるとともに、流量検出信号を必要以上に増幅することがない。このため、低周波域から高周波域までの広い範囲の脈動周波数にわたって流量の検出精度を確保することができる。
【0083】
請求項5記載の発明に係る流量検出装置は、利得補償手段を比較的簡単な構成で、かつ安価に実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る流量検出装置の一部を切断して示す正面図である。
【図2】 同装置の側面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係る検出素子の平面図である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係る流量検出装置の全体構成を示す回路図である。
【図5】 本発明に係る利得補償手段の周波数特性を示す図である。
【図6】 脈動流に対する流量と検出信号との関係を示す特性図である。
【図7】 スロットルバルブ開度に応じたインテークマニホールドの圧力と検出流量の平均値との関係を示す特性図である。
【図8】 本発明の実施の形態2,3に係る検出素子の平面図である。
【図9】 本発明の実施の形態2に係る流量検出装置の全体構成を示す回路図である。
【図10】 本発明の実施の形態3に係る流量検出装置の全体構成を示す回路図である。
【図11】 本発明の実施の形態3における流量検出装置における流量特性を示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態3の流量検出装置において、脈動流が生じている場合の各部で得られる信号波形を示す特性図である。
【符号の説明】
1 主流流管、6 検出流管、8 検出素子、12 発熱抵抗体、13 感温抵抗体、17 第1の感温抵抗体、18 第2の感温抵抗体、30 検出回路部、40 制御ユニット、41 メモリ、50 流量検出手段、60 利得補償手段、61 第1の位相補償手段、62 第2の位相補償手段、70 温度差検出手段、80 定温度制御手段、90 温度検出手段、100 流量演算手段、A3 演算増幅器、C コンデンサ、R1 バイパス用の抵抗、R2,R3 交流利得設定用の抵抗、A7 差動増幅器、Sf 流量検出信号、Sfc 利得補償後の流量検出信号、S11,S21 温度検出信号、S21,S22 位相補償後の温度検出信号。
Claims (5)
- 被測定流体内に配置された発熱抵抗体から被測定流体への伝熱現象を利用して被測定流体の流量に応じた流量検出信号を出力する流量検出手段と、この流量検出手段からの流量検出信号を増幅して利得を補償する利得補償手段とを備え、前記利得補償手段は、前記被測定流体の脈動最低周波数から感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数までの周波数域において、周波数が零のときの直流利得よりも大きく且つほぼ一定の交流利得でもって前記流量検出信号を増幅するものであることを特徴とする流量検出装置。
- 被測定流体内に配置された発熱抵抗体の上流側と下流側にそれぞれに設けられた感温抵抗体で得られる各温度の差を検出する温度差検出手段と、この温度差検出手段からの温度差検出信号を流量検出信号として入力し、当該信号を増幅して利得を補償する利得補償手段とを備え、前記利得補償手段は、前記被測定流体の脈動最低周波数から感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数までの周波数域において、周波数が零のときの直流利得よりも大きく且つほぼ一定の交流利得でもって前記流量検出信号を増幅するものであることを特徴とする流量検出装置。
- 被測定流体内に配置された発熱抵抗体の上流側と下流側にそれぞれ設けられた感温抵抗体の温度を個別に検出する温度検出手段と、この温度検出手段から出力される温度検出信号に基づいて流量検出信号を演算する流量演算手段とを有し、この流量演算手段は、前記発熱抵抗体よりも上流側に設けた感温抵抗体の温度に対応する温度検出信号の位相を進めた信号を増幅して出力する第1の位相補償手段と、前記発熱抵抗体よりも下流側に設けた感温抵抗体の温度に対応する温度検出信号の位相を進めた信号を増幅して出力する第2の位相補償手段と、両位相補償手段の出力信号の差を流量検出信号として出力する差動増幅器とからなり、前記第1、第2位相補償手段は、共に、前記被測定流体の脈動最低周波数から感温抵抗体の熱時定数に相当する周波数までの周波数域において、周波数が零のときの直流利得よりも大きく且つほぼ一定の交流利得でもって前記温度検出信号を増幅する利得補償手段で構成されていることを特徴とする流量検出装置。
- 前記利得補償手段は、前記被測定流体の脈動最低周波数よりも高い周波数における交流利得が約1.05倍から1.3倍の範囲になるように設定されていることを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1項に記載の流量検出装置。
- 前記利得補償手段は、演算増幅器と、この演算増幅器の後段側に接続された周波数特性設定用のコンデンサと、この演算増幅器とコンデンサとの直列回路に並列に接続されたバイパス用の抵抗と、前記演算増幅器の反転入力端子に接続された交流利得設定用の抵抗とを備えることを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか1項に記載の流量検出装置。
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