JP3707437B2 - 給湯システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、2台の給湯装置本体を備えた給湯システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、給湯装置本体を複数台相互に連結して行う給湯システムが提案されている(たとえば、特開平6−281250号公報、特公平8−20111号公報、特許番号2586782号公報参照)。これらの給湯システムによれば、複数の給湯装置本体に接続されたシステムコントローラによってそれらの給湯装置本体が制御され、大能力の給湯が実現されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような給湯システムにおいては、たとえば2台の給湯装置本体のみを相互に連結する場合においても、比較的高価であるシステムコントローラが必要であり、コストを増大させる要因となる。また、各給湯装置本体同士あるいは各給湯装置本体とシステムコントローラとの通信線による接続が複雑になるといった問題点があった。また、給湯装置本体内部にこのシステムコントローラを内蔵すると、その収納スペースが必要であり、小型の給湯装置本体では収納できない。そのため、給湯装置本体外部に設置スペースが必要となる。
【0004】
【発明の開示】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、2台の給湯装置本体同士を、システムコントローラを用いることなく容易な構成で接続および制御することのできる給湯システムを提供することを、その課題とする。
【0005】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0006】
本願発明によれば、入水管及び出湯管をそれぞれ分岐した一方の入水管と出湯管との間に設けられる第1の給湯装置本体と、前記入水管及び出湯管をそれぞれ分岐した他方の入水管と出湯管との間に設けられる第2の給湯装置本体と、前記第1の給湯装置本体から前記第2の給湯装置本体に第1の伝達信号を生成して伝送するための第1の信号伝送手段と、前記第2の給湯装置本体から前記第1の給湯装置本体に第2の伝達信号を生成して伝送するための第2の信号伝送手段とを備えた給湯システムであって、前記第1の信号伝送手段は、前記第1の給湯装置本体に設けられた第1のスイッチ手段と、前記第1のスイッチ手段を介して前記第2の給湯装置本体の電源と当該第2の給湯装置本体の給湯動作を制御する第2の制御手段とを接続する第1の通信線と、前記第1のスイッチ手段のオン・オフを制御して前記第1の伝達信号を生成する第1の信号生成手段とからなり、前記第2の信号伝送手段は、前記第2の給湯装置本体に設けられた第2のスイッチ手段と、前記第2のスイッチ手段を介して第1の給湯装置本体の電源と当該第1の給湯装置本体の給湯動作を制御する第1の制御手段とを接続する第2の通信線と、前記第2のスイッチ手段のオン・オフを制御して前記第2の伝達信号を生成する第2の信号生成手段とからなることを特徴とする、給湯システムが提供される。
【0007】
好ましい実施の形態によれば、前記第1,第2の伝達信号は、前記第1,第2の給湯装置本体間で情報を交信するための複数ビットからなるデータであって、前記第1,第2のスイッチ手段を所定の周期で各ビットの内容に基づいてオン・オフさせることによって生成される。
【0008】
また、本発明によれば、入水管及び出湯管を分岐した分岐路にそれぞれ配設され、接続手段によって相互に伝達信号を送受可能に接続された2台の給湯装置本体を備えた給湯システムであって、前記接続手段は、スイッチ手段と、このスイッチ手段のオン・オフ動作を制御して前記伝達信号を生成する信号生成手段と、この信号生成手段で生成された前記伝達信号を相手側の給湯装置本体に送信する通信線とによって構成され、前記伝達信号は、相手側の給湯装置本体に対して燃焼禁止または燃焼禁止解除を指令するための信号であって、前記スイッチ手段をオン状態若しくはオフ状態にすることによって生成されることを特徴とする、給湯システムが提供される。
【0009】
好ましい実施の形態によれば、前記2台の給湯装置本体にはそれぞれ出湯管上に出湯量を調整する流量調整弁が設けられ、各給湯装置本体は、相手側の給湯装置本体から燃焼禁止の信号が入力されると、前記流量調整弁を閉にして燃焼禁止状態とし、相手側の給湯装置本体から燃焼禁止解除の信号が入力されると、前記流量調整弁を開にして燃焼可能状態 とする。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
本願発明によれば、2台の第1,第2の給湯装置本体同士の間に設けられた第1,第2の信号伝送手段によって、当該第1,第2の信号伝送手段に設けられた第1,第2のスイッチ手段のオン・オフ動作を制御して生成された第1,第2の伝達信号が第1,第2の給湯装置本体相互で送受可能となるので、システムコントローラを省略することができ、部品コストや設置スペースを削減することができる。
【0020】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、本願発明に係る給湯システムを示す構成図である。この給湯システムは、第1給湯装置本体1および第2給湯装置本体2と、各給湯装置本体1,2にそれぞれ接続され、各給湯装置本体1,2を遠隔操作するための複数のリモコン装置3とを備えている。
【0023】
第1および第2給湯装置本体1,2は、たとえば住宅の屋外に設置され、その内部構成がほぼ同様とされ、管端が市水等に接続された入水管4が分岐した分岐管4a,4bにそれぞれ接続されている。また、第1および第2給湯装置本体1,2には、出湯管5a,5bがそれぞれ接続され、各出湯管5a,5bは合流されて、図示しないカラン等に接続されている。
【0024】
第1および第2給湯装置本体1,2は、各分岐管4a,4bに接続された熱交換器6、図示しない点火手段としてのイグナイタ、および燃焼空気の給排気を行う図示しない送風ファンを備えている。この熱交換器6は、バーナ7によって加熱され、バーナ7の燃焼力は、ガス流路に設けられた比例弁8によって制御されるようになっている。バーナ7の近傍には、バーナ7の炎を検出するためのフレームロッド9が設けられている。熱交換器6と出湯管5a,5bとの間には、給湯に用いる湯水の流量を制限するための流量調整弁10が設けられている。なお、流量調整弁10は、過流出防止機能付きの流量調整弁とされている。
【0025】
リモコン装置3は、たとえば台所に設置され、いわゆる台所リモコンとして機能する。なお、各リモコン装置3と、各給湯装置本体1,2とは、たとえば電源供給を行うための2芯ケーブル11によってそれぞれ接続されており、データ信号は、電源電圧に重畳されて伝達される。
【0026】
第1および第2給湯装置本体1,2の電気的構成を説明すると、各給湯装置本体1,2は、それぞれコントローラ13を備えている。これらのコントローラ13は、マイクロコンピュータおよびそれに接続された通信部(図示略)を有し、各通信部は、リモコン装置3とそれぞれ接続されている。各給湯装置本体1,2には、これらを相互に接続するためのコネクタ14,15が設けられ、これらコネクタ14,15同士は、たとえば4芯の外部ケーブル16によって接続されている。また、各給湯装置本体1,2には、たとえばフォトカプラからなる第1および第2スイッチ17,18が備えられており、それらの出力端子は、コネクタ14,15を介して外部に出力可能なように内部結線されている。
【0027】
コントローラ13は、各給湯装置本体1,2の制御中枢となるものであり、図示しないROMに記憶されている運転実行プログラム、あるいは各リモコン装置3から送られる操作信号や各種のセンサ(図示略)からの検出信号等に基づいて、比例弁8、電磁開閉弁(図示略)、および流量調整弁10等の制御を行い、燃焼や給湯を行う。
【0028】
各給湯装置本体1,2の内部結線およびこれらの接続構成を説明すると、第1給湯装置本体1の電源電圧線は、コネクタ14の端子14a、コネクタ15の端子15cを介して第2給湯装置本体2における第2スイッチ18の一方の出力端子に接続されている。この第2スイッチ18の他方の出力端子は、コネクタ15の端子15d、コネクタ14の端子14bを介して第1給湯装置本体1のコントローラ13に接続されている。すなわち、第2給湯装置本体2の第2スイッチ18のオン、オフ出力は、第1給湯装置本体1のコントローラ13に入力される。
【0029】
また、同様にして、第2給湯装置本体2の電源電圧線は、コネクタ15の端子15a、コネクタ14の端子14cを介して第1給湯装置本体1における第1スイッチ17の一方の出力端子に接続されている。この第1スイッチ17の他方の出力端子は、コネクタ14の端子14d、コネクタ15の端子15bを介して第2給湯装置本体2のコントローラ13に接続されている。すなわち、第1給湯装置本体1の第1スイッチ17のオン、オフ出力は、第2給湯装置本体2のコントローラ13に入力される。
【0030】
第1給湯装置本体1の内部結線では、電源電圧線がコネクタ14の端子14eに接続され、それに対応する端子14fにコントローラ13が接続されている。この両端子14e,14fを短絡することにより、コントローラ13には、「HIGH」信号が入力され、自己がマスタ給湯装置であることが認識される。ここで、マスタ給湯装置とは、この給湯システム全体の制御を行う装置をいい、以下、第1給湯装置本体1をマスタ給湯装置1と呼称する。
【0031】
第2給湯装置本体2の内部結線では、同様に、電源電圧線がコネクタ15の端子15eに接続され、それに対応する端子15fにコントローラ13が接続されている。給湯装置本体2では、この両端子15e,15f間が短絡されておらず、自己がマスタ給湯装置であることが認識されない。すなわち、第2給湯装置本体2は、マスタ給湯装置1に従動するスレーブ給湯装置とされ、以下、第2給湯装置本体2をスレーブ給湯装置2と呼称する。
【0032】
なお、上記に示した外部ケーブル16は、その両端にコネクタ14,15と嵌合する外部コネクタが設けられ、上記短絡処理は、外部コネクタ内で結線されている。
【0033】
次に、上記給湯システムにおける制御処理を、図2および図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
まず、図2を参照して、マスタ給湯装置1では、リモコン装置3の運転スイッチがオンされると、マスタ給湯装置1のコントローラ13は、自己が故障であるか否かを判別し(S1)、自己が故障であると判別した場合(S1:YES)、流量調整弁10を閉にして(S2)、第1スイッチ17による出力信号をオフにする(S3)。一方、コントローラ13は、自己が故障でないと判別した場合(S1:NO)、流量調整弁10を開にするとともに(S4)、第1スイッチ17をオン動作させ、出力信号をオンさせる(S5)。すなわち、スレーブ給湯装置2に対して燃焼禁止信号が出力されることになり、マスタ給湯装置1は、待機状態となる。
【0035】
次いで、コントローラ13は、MOQがオンされるか否か、すなわち最低作動流量が確認されるか否かを判別し(S6)、MOQがオンされない場合(S6:NO)、ステップS1に戻る。
【0036】
コントローラ13は、MOQがオンされたと判別した場合(S6:YES)、燃焼を開始し(S7)、自己の給湯能力が不足であるか否かを判別する(S8)。コントローラ13は、給湯能力が不足でないと判別した場合(S8:NO)、ステップS1に戻り、燃焼を継続する。また、コントローラ13は、給湯能力が不足であると判別した場合(S8:YES)、第1スイッチ17をオフさせ、出力信号をオフにする(S9)。すなわち、スレーブ給湯装置2に対する燃焼禁止信号が解除されることになり、マスタ給湯装置1は、引き続き給湯運転を行う。
【0037】
一方、図3を参照してスレーブ給湯装置2の制御処理を説明すると、スレーブ給湯装置2のコントローラ13は、自己が故障であるか否かを判別し(S11)、自己が故障であると判別した場合(S11:YES)、流量調整弁10を閉にする(S12)。コントローラ13は、自己が故障でないと判別した場合(S11:NO)、入力信号がオンされたか否かの判別を行う(S13)。ここで、マスタ給湯装置1からの出力信号がオンされると、すなわち燃焼禁止信号が出力されると(図2のS4参照)、スレーブ給湯装置2では、入力信号がオンされたと判別し(S13:YES)、流量調整弁10を閉にする(S12)。
【0038】
また、マスタ給湯装置1からの出力信号がオフされると、すなわち燃焼禁止信号が解除されると(図2のS8参照)、スレーブ給湯装置2のコントローラ13は、流量調整弁10を開にする(S14)。そして、MOQがオンされるか否かを判別し(S15)、MOQがオンされたと判別した場合(S15:YES)、燃焼を開始する(S16)。これにより、スレーブ給湯装置2は、燃焼状態となり、マスタ給湯装置1とともに給湯運転が実行され、マスタ給湯装置1の給湯能力の不足を補うことができる。また、コントローラ13は、MOQがオンされないと判別した場合(S15:NO)、ステップS11に戻る。
【0039】
そして、マスタ給湯装置1のコントローラ13は、流量が減少し、給湯能力の不足が解消すれば(図2のS8:NO)、再び出力信号をオンさせる(S5)。これにより、スレーブ給湯装置2は、再び燃焼を停止し、マスタ給湯装置1のみで給湯運転を行う。
【0040】
なお、マスタ給湯装置1のコントローラ13は、自己が故障であると判別した場合(図2のS1:YES)、出力信号をオフにするが(S3)、スレーブ給湯装置2では、この場合も、マスタ給湯装置1からの出力信号に基づいて、入力信号がオフされたと判別し(図3のS13)、流量調整弁10を開にし(S14)、給湯運転を行う。この場合、スレーブ給湯装置2は、マスタ給湯装置1が故障であるため、単独で給湯運転を行うことになる。
【0041】
また、スレーブ給湯装置2のコントローラ13は、自己が故障であると判別した場合(図3のS11:YES)、流量調整弁10を閉にする(S12)。そのため、この場合は、マスタ給湯装置1が自己の給湯能力が不足して(図2のS8:YES)、スレーブ給湯装置2に対する燃焼禁止信号を解除しても(S9)、マスタ給湯装置1のみで給湯運転を行うことになる。
【0042】
なお、上記制御処理においては、マスタ給湯装置1から最初に給湯運転を開始するようにしたが、スレーブ給湯装置2から給湯運転を開始するようにしてもよい。すなわち、図2に示した制御処理をスレーブ給湯装置2において行うようにし、図3に示した制御処理をマスタ給湯装置1において行うようにしてもよい。
【0043】
このように、上記給湯システムによれば、2台の給湯装置1,2が外部ケーブル16によって接続されることにより、マスタ給湯装置1の給湯能力に基づく燃焼禁止信号をスレーブ給湯装置2に伝達することができる。そのため、マスタ給湯装置1の給湯能力が不足した場合、燃焼禁止信号を解除して、スレーブ給湯装置2を給湯運転させることにより、給湯能力不足を補うといった補完運転を実現することができる。したがって、本実施形態では、システムコントローラを省略することができるので、従来のシステムコントローラを用いた給湯システムの構成に比べ、部品コストの低減を図ることができ、システムコントローラの施工スペースおよび施工作業を削減することができる。また、システムコントローラの複雑な制御を省略することができる。
【0044】
また、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2は、外部ケーブル16の外部コネクタ内における短絡線の有無の違いのみで両者を区別することができ、他の装置部分は、共通に用いることができる。そのため、装置の汎用性を図ることができる。また、上記のように、容易な給湯制御が可能であるため、最大給湯能力が異なる給湯装置に関わることなく、2台の給湯装置を組み合わせて連結することができる。
【0045】
また、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のうち、一方の給湯装置が故障した場合であっても、他方の給湯装置において、可能な限り、正常な給湯運転が継続して行い得るため、使い勝手のよい給湯システムとすることができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、第1および第2スイッチ17,18は、フォトトランジスタとされたが、これに限らず、たとえばリレー接点で構成されていてもよい。
【0047】
図4は、上記給湯システムにおけるマスタ給湯装置1の他の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理では、マスタ給湯装置1の給湯能力が不足しているか否かの判別基準値をより具体的に設け、それらの基準値に基づいて出力信号をオン、オフ出力するようにされている。
【0048】
図4に示す制御処理は、図3に示す制御処理と類似しているため、以下では、異なる部分のみを主に説明する。マスタ給湯装置1のコントローラ13は、MOQがオンされたと判別し、燃焼を開始した後(S25,S26)、トータル流量Qが最大流量Qmaxの(2/3)を超えたか否かを判別する(S27)。コントローラ13は、トータル流量Qが最大流量Qmaxの(2/3)を超えたと判別した場合(S27:YES)、すなわち給湯能力が不足したことを判別した場合、出力信号をオフする(S28)。つまり、スレーブ給湯装置2に対して、燃焼禁止を解除する旨の信号を送る。
【0049】
また、出力信号をオフした後、または、トータル流量Qが最大流量Qmaxの(2/3)を超えていないと判別した場合(S27:NO)、トータル流量Qが最大流量Qmaxの(1/4)より少ないか否かを判別する(S29)。コントローラ13は、トータル流量Qが最大流量Qmaxの(1/4)より少ないと判別した場合(S29:YES)、すなわち給湯能力が回復したと判別した場合、出力信号をオンする(S30)。つまり、スレーブ給湯装置2に対して、燃焼禁止とする旨の信号を送る。次いで、出力信号をオンした後、または、トータル流量Qが最大流量Qmaxの(1/4)より多い場合(S29:NO)、ステップS21に戻る。
【0050】
このように、マスタ給湯装置1の給湯能力が不足しているか否かの判別基準値をより具体化することにより、実体に応じたより正確な給湯制御を実現することができる。なお、スレーブ給湯装置2が最初に給湯運転を行う場合、スレーブ給湯装置2において、上記判別基準値が用いられてもよい。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、 マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2に接続された各リモコン装置3のうち、いずれかの給湯装置のみにリモコン装置3を接続するようにされる。
【0059】
具体的には、図7に示すように、マスタ給湯装置1にのみリモコン装置3を接続する。そして、マスタ給湯装置1に接続されたリモコン装置3を用いて、スレーブ給湯装置2が制御される。
【0060】
ここでは、第1および第2スイッチ17,18を用いて、以下に示す通信形態によってデータの送受信が行われる。すなわち、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2間は、マスタ給湯装置1からスレーブ給湯装置2へは、図8に示すように、約1秒毎に約130msの長さAの伝文が送信される。一方、スレーブ給湯装置2からマスタ給湯装置1へは、マスタ給湯装置1からのデータを受信後、所定の間隔C(約200ms)以内に、約130msの長さBの伝文が送信される。
【0061】
上記伝文としては、スタートビットの1ビット+データビットの8ビット×8バイトとされ、各ビットの長さは、約2msとされる伝送フォーマットが用いられる。図9に、この伝送フォーマットのデータマップの一例を示す。
【0062】
たとえば、リモコン装置3から運転開始のスイッチ(図示略)が入力された場合、マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2に対して、その旨のデータを送信する。具体的には、伝文中のビット5に含まれる「運転スイッチ」としてのデータを「1」にして(図9参照)、送信する。このデータを受信したスレーブ給湯装置2は、運転スイッチオンかつ待機状態となる。
【0063】
また、マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2に温調を送信する。具体的には、伝文中のビット8〜15において温調のデータを設定して送信する。このデータを受信したスレーブ給湯装置2は、給湯運転の際にその温調により温度調整を行う。
【0064】
このように、マスタ給湯装置1にリモコン装置3を接続するだけでスレーブ給湯装置2において、運転、温調の動作が行うことができるため、リモコン装置3が一つで済み、部品コストの低減化および施工時作業の短縮化が図られる。また、ユーザにとっては、操作するリモコン装置3が一つとなるため、操作性が高まる。また、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2間において、伝文による通信を行うことにより、他の給湯装置におけるたとえば給湯能力を伝達することができる。この場合、上述した第1スイッチ17および第2スイッチ18のオン、オフ動作による伝達やパルス信号による伝達に比べ、より詳細なデータを送ることができ、より緻密な制御が可能となる。
【0065】
なお、リモコン装置3は、スレーブ給湯装置2にのみ接続するようにしてもよく、スレーブ給湯装置2からマスタ給湯装置1に給湯動作を含む伝文を送信するようにしてもよい。
【0066】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のうち、最初に燃焼する給湯装置をメイン給湯器、それを補助する給湯装置を補助給湯器として設定し、メイン給湯器が能力不足の場合、補助給湯器がそれを判断して給湯を行うようにされている。なお、この場合の制御処理は、マスタ給湯装置1またはスレーブ給湯装置2のいずれかにリモコン装置3が接続されておればよい。
【0067】
制御処理を具体的に説明すると、マスタ給湯装置1は、まず、自己およびスレーブ給湯装置1,2のうち、いずれがメイン給湯器として機能するかを決定し、その旨をスレーブ給湯装置2に送信する。
【0068】
マスタ給湯装置1は、この場合、上述した伝文を用い、たとえば、マスタ給湯装置1がメイン給湯器の場合、伝文中のビット6のメイン給湯器指令を「0」にして(図9参照)、スレーブ給湯装置2に送信する。一方、マスタ給湯装置1が補助給湯器の場合、伝文中のビット6のメイン給湯器指令を「1」にして、スレーブ給湯装置2に送信する。
【0069】
このようにして、メイン給湯器および補助給湯器が決定すれば、メイン給湯器として決定された給湯装置は、図10に示すように、自己の流量調整弁10を開にし(S41)、現状の給湯能力を、つまり給湯能力が最大給湯能力の何%であるかをデータとして、補助給湯器に対して約1秒毎に送信する(S42)。
【0070】
補助給湯器のコントローラ13では、メイン給湯器からの給湯能力データを受信すれば(S43:YES)、メイン給湯器の給湯能力がX%以上であるか否かを判別する(S44)。メイン給湯器の給湯能力がX%以上であると判別した場合(S44:YES)、自己の流量調整弁10を開にし(S45)、給湯運転を開始する。そのため、この場合は、メイン給湯器および補助給湯器の両方で給湯が行われる。
【0071】
一方、補助給湯器のコントローラ13は、メイン給湯器の給湯能力がX%以上でないと判別した場合(S44:NO)、メイン給湯器の給湯能力がY%以下であるか否かを判別する(S46)。メイン給湯器の給湯能力がY%以下であると判別した場合(S46:YES)、自己の流量調整弁10を閉にする(S47)。そのため、この場合は、メイン給湯器のみで給湯が行われる。また、ステップS46において、メイン給湯器の給湯能力がY%以下でないと判別した場合(S46:NO)、ステップS43の受信処理に戻る。
【0072】
このように、この制御処理では、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のうち、最初に燃焼する給湯装置をメイン給湯器として、それを補助する給湯装置を補助給湯器として設定することができる。そして、メイン給湯器の給湯能力が不足した場合、補助給湯器によって補完制御を行うので、従来のシステムコントローラを省略することができる。
【0073】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、上記のように、マスタ給湯装置1にのみリモコン装置3を接続する場合、そのリモコン装置3において、マスタ給湯装置1またはスレーブ給湯装置2におけるメンテナンス時のデータを表示する。すなわち、リモコン装置3において、入力操作によってメンテナンス用データを表示するモードに設定され、かつスレーブ給湯装置2におけるメンテナンス用データを表示させるモードに設定された場合、マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2に対して、上記した伝送フォーマットによる伝文を送信し、メンテナンス用データを返信するよう要求する。
【0074】
具体的には、マスタ給湯装置1のコントローラ13は、図11に示すように、リモコン装置3からの操作入力信号に基づいて、マスタ給湯装置1のメンテナンス用データを表示するか否かの判別を行う(S51)。コントローラ13は、マスタ給湯装置1のメンテナンス用データを表示するモードに設定された場合(S51:YES)、メンテナンス用データが記憶されているメモリ内のアドレスを読み出す(S52)。そして、その読み出したメンテナンス用データを表示する(S53)。
【0075】
一方、コントローラ13は、ステップS51において、マスタ給湯装置1のメンテナンス用データを表示しない場合(S51:NO)、すなわち、スレーブ給湯装置2のメンテナンス用データを表示するモードに設定された場合、伝文中のビット0〜2のデータ種類を「1:メンテモニタ要求」に変更するとともに(図9参照)、伝文中のビット8〜15の「メンテモニタ要求ナンバー」に、表示すべきアドレスを設定して、スレーブ給湯装置2に伝文を送信する(S54)。
【0076】
これに対し、スレーブ給湯装置2では、マスタ給湯装置1からの上記伝文を受信すると、伝文中のビット8〜15の「メンテモニタ要求ナンバー」に、対応するデータをセットするとともに、データ種類を「2:メンテモニタデータ(ACK)」に変更して、マスタ給湯装置1にこの伝文を送信する。
【0077】
マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2からの伝文を受信すると(S55)、スレーブ給湯装置2から送信された伝文中に含まれるデータの種類、および実際のデータを表示させる(S53)。
【0078】
【0079】
また、スレーブ給湯装置2にリモコン装置3が接続されている場合、上記したマスタ給湯装置1における制御をスレーブ給湯装置2において行うようにしてもよい。
【0080】
上記のように、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2間で送受信される伝文中にメンテナンス用データを含ませることができるので、一つのリモコン装置3によって各給湯装置1,2のメンテナンス用データをモニタすることができ、保守作業の効率化を図ることができる。
【0081】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、上記給湯システムにおいて、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のそれぞれにおいて、誤って両方にリモコン装置3が接続された場合、それを容易に検出するようにされる。
【0082】
具体的には、マスタ給湯装置1のコントローラ13は、図12に示すように、自己にリモコン装置3が接続されているか否かを認識し(S61)、その旨をスレーブ給湯装置2に送信する(S62)。たとえば、マスタ給湯装置1にリモコン装置3が接続されている場合、伝文中のビット4の「RC接続」を「1:接続有り」に設定する(図9参照)。一方、リモコン装置3が接続されていない場合、伝文中のビット4の「RC接続」を「0:接続無し」に設定し、スレーブ給湯装置2にその伝文を送信する。また、図示しないが、スレーブ給湯装置2のコントローラ13は、自己にリモコン装置3が接続されているか否かを認識し、その旨をマスタ給湯装置1に送信する。
【0083】
マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2からの伝文を受信し(S63)、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2がともにリモコン装置3を接続しているか否かを判別し(S64)、ともにリモコン装置3を接続している場合(S64:YES)、施工不良であると判断し、リモコン装置3に対して、施工不良エラーとして表示させる(S65)。また、図示しないが、この処理は、スレーブ給湯装置2においても行われ、ともにリモコン装置3を接続している場合、リモコン装置3に対して、施工不良エラーとして表示させる。
【0084】
次いで、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2では、それぞれにおいて、メイン給湯器および補助給湯器の設定に関係なく、流量調整弁10を開にして燃焼可能な状態で待機する(S66)。そして、自己に接続されたリモコン装置3からの操作信号に基づいて(S67:YES)、運転スイッチがオンとなり、先栓が開けられて燃焼に必要な所定の流量以上となると給湯運転を開始する(S68)。この場合、伝文上の「運転SW」の設定は無視する。
【0085】
そして、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のコントローラ13は、自己に接続されたリモコン装置3における設定温調と、他の給湯装置から送られる伝文上の温調(他の給湯装置に接続されたリモコン装置3における設定温調)とを比較し、低い方の温調を選択して出湯させる(S69)。
【0086】
このように、リモコン装置3には、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のそれぞれにリモコン装置3が接続されている場合、それが施工不良エラーとして表示されるので、施工不良を即座に認識することができる。また、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2は、自己に接続されたリモコン装置3によって、独立的に燃焼可能な状態とすることができる。さらに、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2のそれぞれにリモコン装置3が接続されている状態のまま、リモコン装置3によって設定温調されても、低い方の温調を選択するので、少なくともリモコン装置3を用いて設定したのと異なる高い温度で出湯することがなく、危険な状態になるおそれを回避することができる。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、マスタ給湯装置1またはスレーブ給湯装置2において、故障が発生したかどうかを互いに送信し合い、以後の給湯を互いに補完するようにされる。
【0093】
たとえば、マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2に対して、故障データを送信する。この場合、故障データとしては、伝文中のビット20,21(図9参照)に示すように、「0」のとき「エラーなし」、「1」のとき「エラーあり&動作継続可能」、「2」のとき「エラーあり&動作継続不可」、「3」のとき「エラーあり&システム停止」といった内容のデータを送信する。
【0094】
ここで、「エラーなし」とは、正常状態であることを示し、リモコンの表示部(図示略)に異常表示を行わない場合をいう。
【0095】
また、「エラーあり&動作継続可能」とは、燃焼動作状態を継続することができる故障時に送信される場合をいう。この場合、リモコン装置3には、異常表示を行いつつ、給湯運転の補完動作可能状態となる。詳細には、リモコン装置3が接続されている給湯装置(たとえばマスタ給湯装置1)が異常の場合には、リモコン装置3に、マスタ給湯装置1が故障である旨の故障コードを表示する。一方、スレーブ給湯装置2が異常の場合には、リモコン装置3に、スレーブ給湯装置2が故障である旨の故障コード(たとえば「7x」)を表示する。
【0096】
また、「エラーあり&動作継続不可」とは、燃焼動作状態を継続できない故障時に送信される場合をいう。この場合、リモコン装置3には、異常表示を行いつつ、いずれか1台の給湯装置において給湯運転を行う。詳細には、たとえばマスタ給湯装置1が異常の場合には、スレーブ給湯装置2で燃焼動作を行い、一方、スレーブ給湯装置2が異常の場合には、マスタ給湯装置1で燃焼動作を行う。
【0097】
また、「エラーあり&システム停止」とは、システムとして燃焼動作状態を継続できないときに(たとえばCOセンサ異常等)、送信される場合をいう。このとき、リモコン装置3には、安全動作表示を行い、各給湯装置1,2の燃焼を停止させる。
【0098】
このように、各給湯装置1,2において、異常の場合にそれらの詳細な情報を伝達し合うことにより、その情報に応じた、より細かな制御を行うことができ、使い勝手が向上する。
【0099】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、一方の給湯装置が風呂沸かし機能付き給湯装置であって、他方の給湯装置が一般給湯専用の給湯装置である場合の処理とされる。
【0100】
具体的には、たとえばマスタ給湯装置1が風呂沸かし機能付き給湯装置であり、スレーブ給湯装置2が一般給湯専用の給湯装置である場合、マスタ給湯装置1に、リモコン装置3として風呂リモコンおよび台所リモコンをともに接続する。
【0101】
マスタ給湯装置1は、スレーブ給湯装置2に対して伝文中のビット8〜15に給湯設定温度を設定して(図9参照)、伝文を送信する。これにより、マスタ給湯装置1およびスレーブ給湯装置2は、この給湯設定温度において、給湯運転を行う。この場合、図10に示した制御処理のように、マスタ給湯装置1において給湯能力が不足した場合、スレーブ給湯装置2によって補完給湯を行う。
【0102】
次いで、マスタ給湯装置1において、たとえば風呂リモコンからの風呂注湯動作を行う旨の操作信号が受信された場合、スレーブ給湯装置2に対して伝文中のビット8〜15に風呂沸かしの設定温度を給湯設定温度として、伝文を送信する。これにより、マスタ給湯装置1が、浴槽への注湯運転を行いながら一般給湯を行う場合、マスタ給湯装置1において給湯能力が不足すると、スレーブ給湯装置2は、この給湯設定温度として設定された風呂設定温度において一般給湯における補完給湯を行う。
【0103】
なお、マスタ給湯装置1は、一般給湯専用の給湯装置として、スレーブ給湯装置2は、風呂沸かし機能付き給湯装置としてそれぞれ用いられるようにしてもよい。また、マスタ給湯装置1において、一般給湯運転が可能なようにされてもよい。
【0104】
このように、たとえばマスタ給湯装置1を風呂沸かし機能付き給湯装置とした場合、スレーブ給湯装置2に対して、風呂設定温度を給湯設定温度として設定しておき、まず、マスタ給湯装置1で浴槽への注湯運転を行いながら一般給湯を行い、マスタ給湯装置1の給湯能力が不足したとき、その給湯設定温度として設定された風呂設定温度でスレーブ給湯装置2が一般給湯の補完給湯を行うので、マスタ給湯装置1とスレーブ給湯装置2との連動運転における一般給湯温度が相違するということが無い。したがって、この給湯システムの使い勝手を向上させることができる。
【0105】
次に、上記給湯システムにおける他の制御処理を説明する。この制御処理では、各給湯装置1,2の給湯能力の値を積算し、給湯運転を行う際に最初に燃焼状態とする給湯装置を切り替えるようにされる。
【0106】
具体的には、マスタ給湯装置1のコントローラ13は、図13に示すように、自己がメイン給湯器であるか否かを判別し(S71)、それがメイン給湯器である場合(S71:YES)、自己の給湯能力の値を一定時間毎に図示しないメモリに積算し記憶する(S72)。また、スレーブ給湯装置2から、スレーブ給湯装置2において積算された給湯能力の値を受信し、一定時間毎に図示しないメモリに積算し記憶する(S73)。ここで、積算される給湯能力の値は、各給湯装置1,2において最大給湯能力の何%で燃焼していたかを示す値である。
【0107】
次いで、コントローラ13は、給湯能力積算値Nmが所定の基準値Xより大であり、かつマスタ給湯装置1側の給湯能力積算値Nmがスレーブ給湯装置2側の給湯能力積算値Nsより大であるか否かを判別する(S74)。コントローラ13は、給湯能力積算値Nmが所定の基準値Xより大であり、かつマスタ給湯装置1側の給湯能力積算値Nmがスレーブ給湯装置2側の給湯能力積算値Nsより大である場合(S74:YES)、メイン給湯器をマスタ給湯装置1からスレーブ給湯装置2に変更する(S75)。この場合、メイン給湯器であったマスタ給湯装置1の給湯能力積算値Nmはクリアする一方(S76)、補助給湯器であったスレーブ給湯装置2の給湯能力積算値Nsはクリアせず、次回の燃焼時における給湯能力を継続して積算する。また、ステップS74において、給湯能力積算値Nmが所定の基準値Xより大であり、かつマスタ給湯装置1側の給湯能力積算値Nmがスレーブ給湯装置2側の給湯能力積算値Nsより大でない場合(S74:NO)、ステップS71に戻る。
【0108】
また、コントローラ13は、マスタ給湯装置1が補助給湯器であると判別した場合(S71:NO)、自己の給湯能力の値を一定時間毎に図示しないメモリに積算し記憶する(S77)。また、スレーブ給湯装置2から、スレーブ給湯装置2の給湯能力の値を一定時間毎に受信し、図示しないメモリに積算し記憶する(S78)。
【0109】
次いで、コントローラ13は、スレーブ給湯装置2の給湯能力積算値Nsが所定の基準値Xより大であり、かつスレーブ給湯装置2側の給湯能力積算値Nsがマスタ給湯装置1側の給湯能力積算値Nmより大であるか否かを判別し(S79)、スレーブ給湯装置2の給湯能力積算値Nsが所定の基準値Xより大であり、かつスレーブ給湯装置2側の給湯能力積算値Nsがマスタ給湯装置1側の給湯能力積算値Nmより大である場合(S79:YES)、メイン給湯器をスレーブ給湯装置2からマスタ給湯装置1に変更する(S80)。この場合、メイン給湯器であったスレーブ給湯装置2の給湯能力積算値Nsはクリアする一方(S81)、補助給湯器であったマスタ給湯装置1の給湯能力積算値Nmはクリアせず、次回の燃焼時における給湯能力を継続して積算する。また、ステップS79において、スレーブ給湯装置2の給湯能力積算値Nsが所定の基準値Xより大であり、かつスレーブ給湯装置2側の給湯能力積算値Nsがマスタ給湯装置1側の給湯能力積算値Nmより大でない場合(S79:NO)、ステップS71に戻る。
【0110】
より具体的には、たとえばマスタ給湯装置1が50号の給湯器であり、スレーブ給湯装置2が16号の給湯器であって、ともに10号燃焼を1時間行ったとすると、スレーブ給湯装置2の方がマスタ給湯装置1より約3倍の給湯能力を使用したと仮定する。そのため、マスタ給湯装置1を3時間燃焼させた後に、メイン給湯器としてマスタ給湯装置1からスレーブ給湯装置2に切り替える。その後、スレーブ給湯装置2で1時間燃焼させた後に、メイン給湯器としてスレーブ給湯装置2からマスタ給湯装置1に切り替える。
【0111】
このように、各給湯装置1,2が最大給湯能力のうちどのくらいの給湯能力で燃焼しているかといった値を積算し、適当な積算値においてメイン給湯器を切り替えることができる。そのため、各給湯装置1,2に給湯能力の違いがあっても適切な時期にメイン給湯器および補助給湯器を切り替えることができ、給湯能力の異なる給湯装置1,2においても、それらの経年変化をほぼ一致させることができる。これにより、これらの給湯装置1,2の寿命が平均化される結果、各給湯装置1,2の耐久年数を延ばすことができる。
【0112】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。
たとえば、第1および第2給湯装置本体1,2は、温水暖房熱源機としての機能を併せ持つ給湯装置であってもよく、その場合、温水床暖房装置、温水エアコン、浴室暖房乾燥装置等、暖房用の熱交換器によって加温された湯水が供給される機器が接続される。
【0113】
【発明の効果】
本願発明によれば、2台の第1,第2の給湯装置本体同士の間に設けられた第1,第2の信号伝送手段によって当該第1,第2の信号伝送手段に設けられた第1,第2のスイッチ手段のオン・オフ動作を制御して生成された第1,第2の伝達信号が第1,第2の給湯装置本体相互で送受可能となるので、システムコントローラを省略することができ、部品コストや設置スペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係る給湯システムを示す構成図である。
【図2】 マスタ給湯装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図3】 スレーブ給湯装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図4】 マスタ給湯装置の他の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】 信号形態の種類を説明するための図である。
【図6】 マスタ給湯装置の他の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】 他の給湯システムを示す構成図である。
【図8】 マスタ給湯装置およびスレーブ給湯装置のデータ通信のタイミングを示す図である。
【図9】 データマップの一例を示す図である。
【図10】 マスタ給湯装置およびスレーブ給湯装置の他の制御動作を示すフローチャートである。
【図11】 マスタ給湯装置の他の制御動作を示すフローチャートである。
【図12】 マスタ給湯装置の他の制御動作を示すフローチャートである。
【図13】 マスタ給湯装置の他の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 第1給湯装置本体(マスタ給湯装置)
2 第2給湯装置本体(スレーブ給湯装置)
3 リモコン装置
10 流量調整弁
13 コントローラ
16 外部ケーブル
17 第1スイッチ
18 第2スイッチ
Claims (4)
- 入水管及び出湯管をそれぞれ分岐した一方の入水管と出湯管との間に設けられる第1の給湯装置本体と、前記入水管及び出湯管をそれぞれ分岐した他方の入水管と出湯管との間に設けられる第2の給湯装置本体と、前記第1の給湯装置本体から前記第2の給湯装置本体に第1の伝達信号を生成して伝送するための第1の信号伝送手段と、
前記第2の給湯装置本体から前記第1の給湯装置本体に第2の伝達信号を生成して伝送するための第2の信号伝送手段とを備えた給湯システムであって、
前記第1の信号伝送手段は、前記第1の給湯装置本体に設けられた第1のスイッチ手段と、前記第1のスイッチ手段を介して前記第2の給湯装置本体の電源と当該第2の給湯装置本体の給湯動作を制御する第2の制御手段とを接続する第1の通信線と、前記第1のスイッチ手段のオン・オフを制御して前記第1の伝達信号を生成する第1の信号生成手段とからなり、
前記第2の信号伝送手段は、前記第2の給湯装置本体に設けられた第2のスイッチ手段と、前記第2のスイッチ手段を介して第1の給湯装置本体の電源と当該第1の給湯装置本体の給湯動作を制御する第1の制御手段とを接続する第2の通信線と、前記第2のスイッチ手段のオン・オフを制御して前記第2の伝達信号を生成する第2の信号生成手段とからなることを特徴とする、給湯システム。 - 前記第1,第2の伝達信号は、前記第1,第2の給湯装置本体間で情報を交信するための複数ビットからなるデータであって、前記第1,第2のスイッチ手段を所定の周期で各ビットの内容に基づいてオン・オフさせることによって生成されることを特徴とする、請求項1に記載の給湯システム。
- 入水管及び出湯管を分岐した分岐路にそれぞれ配設され、接続手段によって相互に伝達信号を送受可能に接続された2台の給湯装置本体を備えた給湯システムであって、
前記接続手段は、スイッチ手段と、このスイッチ手段のオン・オフ動作を制御して前記伝達信号を生成する信号生成手段と、この信号生成手段で生成された前記伝達信号を相手側の給湯装置本体に送信する通信線とによって構成され、
前記伝達信号は、相手側の給湯装置本体に対して燃焼禁止または燃焼禁止解除を指令するための信号であって、前記スイッチ手段をオン状態若しくはオフ状態にすることによって生成されることを特徴とする、給湯システム。 - 前記2台の給湯装置本体にはそれぞれ出湯管上に出湯量を調整する流量調整弁が設けられ、
各給湯装置本体は、相手側の給湯装置本体から燃焼禁止の信号が入力されると、前記流量調整弁を閉にして燃焼禁止状態とし、相手側の給湯装置本体から燃焼禁止解除の信号が入力されると、前記流量調整弁を開にして燃焼可能状態とすることを特徴とする、請求項3に記載の給湯システム。
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