JP3707230B2 - 現像ブレードの製法およびそれによって得られた現像ブレード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真システムに用いられる現像ブレードおよびその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真システムに用いられる現像ブレードとしては、SUS板単体や、ウレタンゴムを金具に接着したもの等が用いられている。ウレタンゴムは、優れた耐摩耗性を備え、良へたり性であるが、トナーへのストレスを低減化することができず、またトナー帯電性、トナー離型性に劣るという問題がある。そこで、現在の高画質現像システムにおいては、従来のウレタンゴムに代えて、優れたトナー帯電性およびトナー離型性を備えたシリコーンゴムが用いられるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記シリコーンゴムを用いて形成された現像ブレードは、シリコーン成分が染みだすという問題がある。そのため、上記現像ブレードを電子写真システムに組み込んで長期間放置すると、上記シリコーン成分の染みだしによりトナーやロール表面が汚染され、その結果、トナーの摩擦帯電が妨げられ、その部分にトナーが充分に付着せず、画像上に横すじが発生する等の問題が生じる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、シリコーン成分の染みだしによるトナー等の汚染を防止するとともに、画像上への横すじの発生等を防止することができる現像ブレードおよびその製法の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の特性(A)および(B)を備えた成形架橋体からなる現像ブレードの製法であって、シリコーンゴム組成物を現像ブレード用成形型に充填した後、上記シリコーンゴム組成物を150℃〜180℃の温度において、5分以内一次加硫し、ついで下記の(1)〜(3)いずれかの条件で二次加硫を行う現像ブレードの製法を第1の要旨とし、この製法によって得られたシリコーンゴム組成物の成形架橋体からなる現像ブレードであって、上記成形架橋体が下記の特性(A)および(B)を備えている現像ブレードを第2の要旨とする。
【0006】
(A)成形架橋体の溶剤抽出成分中における分子量220〜520の低分子量成分の含有量が500ppm以下。
(B)成形架橋体の溶剤抽出成分中に分子量10000以上の高分子量成分が存在しない。
(1)一次加硫温度より低温であって、100℃以上の温度で30分〜4時間。
(2)一次加硫温度150℃のとき、60℃で少なくとも8時間。
(3)一次加硫温度170℃のとき、60℃で少なくとも4時間。
【0007】
本発明者らは、現像ブレードからのシリコーン成分の染みだしについて鋭意研究を重ねた結果、画像に悪影響を及ぼす成分として、初期段階で容易に染みだすオリゴマー4員環〜7員環(D4〜D7)成分、すなわち分子量220〜520の低分子量成分と、長期放置後に徐々に染みだす分子量10000以上の高分子量成分とが存在するという知見を得た。そして、この知見に基づきさらに研究開発を続けた結果、上記現像ブレードを形成しているシリコーン組成物の成形架橋体が、以下の特性(A)および特性(B)の双方を備えていれば、上記シリコーン成分の染みだしのない現像ブレードが得られることを見出した。すなわち、上記成形架橋体の溶剤抽出成分中における低分子量成分(オリゴマーD4〜D7成分)の含有量が500ppm以下であると〔特性(A)〕、初期段階でのシリコーン成分の染みだしを抑制でき、優れた初期画質が得られる。しかし、上記成形架橋体が特性(A)を備えるのみでは、長期放置後に徐々にシリコーン成分が染みだし、長期放置後の画質に劣る。そこで、長期放置後の画質の向上についてさらなる研究を重ねた結果、上記成形架橋体の溶剤抽出成分中に分子量10000以上の高分子量成分が存在しなければ〔特性(B)〕、長期放置後におけるシリコーン成分の染みだしを防止でき、長期放置後においても優れた画質が得られ、所期の目的を達成できることを見出し本発明に到達した。
【0008】
そして、このような現像ブレードは、シリコーンゴム組成物を現像ブレード用成形型に充填した後、上記シリコーンゴム組成物を150℃〜180℃の温度において、5分以内一次加硫し、ついで下記の(1)〜(3)いずれかの条件で二次加硫を行うことにより製造することができる。すなわち、一次加硫の加硫時間が長くなりすぎると、過剰熱量により硬度の低下現象とともに、架橋状態が不安定な高分子量成分が生成する。そこで、高分子量成分の生成を防止できる一次加硫の条件について鋭意研究を重ねた結果、一次加硫の加硫時間を5分以内にすると、硬度の低下現象もなく、架橋状態が不安定な高分子量成分の生成を防止できることを突き止めた。また、二次加硫を行うと、残存した低分子量成分を揮化させて除去することができるが、二次加硫の加硫温度が高すぎると、残存した低分子量成分の反応により逆に高分子量成分が生成する。そこで、低分子量成分を除去しつつ、架橋状態が不安定な高分子量成分の生成を防止できる二次加硫の条件について、さらに研究開発を続けた結果、下記の(1)〜(3)いずれかの条件で二次加硫を行うことにより、上記特性(A)および(B)の双方の特性を備えた成形架橋体が得られることを見出し本発明に到達した。
(1)一次加硫温度より低温であって、100℃以上の温度で30分〜4時間。
(2)一次加硫温度150℃のとき、60℃で少なくとも8時間。
(3)一次加硫温度170℃のとき、60℃で少なくとも4時間。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の現像ブレードは、シリコーンゴム組成物の成形架橋体からなる。そして、このシリコーンゴム組成物としては、シリコーンゴムおよびそれを架橋するための架橋剤はもちろんのこと、触媒,補強剤,反応抑制剤等の他の添加剤を適宜に含有させたものが用いられる。
【0011】
上記シリコーンゴム組成物の主成分となるシリコーンゴムとしては、特に限定されるものではなく、高温加硫型(HTV)シリコーンゴム、室温加硫型(RTV),低温加硫型(LTV)の液状シリコーンゴム等が用いられる。なかでも、短時間で加硫可能で量産性に優れる点で、付加反応型の液状シリコーンゴム(LSR)が好ましい。上記付加反応型の液状シリコーンゴムのマトリックス成分としては、下記の一般式(1)で表される構成単位を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンが好適である。上記シリコーンゴムの分子量は、特に限定はないが、10万〜100万程度のものが好ましい。
【0012】
【化1】
(R1)a (R2)b SiOc …(1)
〔式中、R1 は1価の脂肪族不飽和炭化水素基であり、R2 は脂肪族不飽和炭化水素基以外の1価の炭化水素基である。また、aは1または2であり、bは0、1、2のいずれかである。そして、cは{4−(a+b)}/2である。ただし、a+bは1、2、3のいずれかである。〕
【0013】
上記式(1)におけるR1 の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等があげられる。なかでも、合成のしやすさ、反応効率の点から、ビニル基が好ましい。また、上記R2 の具体例としては、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,tert−ブチル基,ヘキシル基等のアルキル基、フェニル基,トリル基等のアリール基、ベンジル基,フェニルエチル基等のアラルキル基等の有機基、およびこの有機基の水素原子の一部または全部を、フッ素原子,塩素原子,臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基で置換したもの(例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基)等があげられる。なかでも、合成のしやすさの点から、メチル基が好ましい。
【0014】
上記オルガノポリシロキサンとしては、上記式(1)におけるR1 が、分子末端の珪素原子または分子鎖途中の珪素原子に結合されているもの、もしくは両方ともに結合されているものであってもよい。なお、上記オルガノポリシロキサンの骨格としては、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、またこれらの混合物を用いることもできる。そして、上記オルガノポリシロキサンとしては、重合度が100〜15000程度のものが好ましい。
【0015】
そして、前記架橋剤としては、シリコーンゴムを架橋できるものであれば特に限定されるものではないが、下記の一般式(2)で表される構成単位からなり、珪素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも1個有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンが好ましい。そして、上記オルガノポリシロキサンとしては、重合度が3〜300程度のものが好ましい。
【0016】
【化2】
(R3)d He SiOf …(2)
〔式中、R3 は、脂肪族不飽和炭化水素基以外の1価の炭化水素基である。また、dは0、1、2、3のいずれかであり、eは0、1、2のいずれかである。そして、fは{4−(d+e)}/2である。ただし、d+eは1、2、3のいずれかである。〕
【0017】
上記式(2)におけるR3 の具体例としては、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,tert−ブチル基,ヘキシル基等のアルキル基、フェニル基,トリル基等のアリール基、ベンジル基,フェニルエチル基等のアラルキル基等があげられる。なかでも、合成のしやすさの点から、メチル基が好ましい。
【0018】
上記架橋剤の含有量は、上記シリコーンゴム100重量部(以下「部」と略す)に対して、0.5〜5部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは1〜3部の範囲である。
【0019】
また、前記触媒としては、特に限定はなく、遷移金属化合物があげられ、特に白金化合物が好適である。
【0020】
そして、前記補強剤としては、特に限定はないが、例えば乾式シリカを表面処理したものが好適に用いられる。上記乾式シリカとしては、特に限定されるものではないが、燃焼加水分解法により得られるものが好ましく、付着水分、結合水が少なく、水分量が全体に対して2重量%以下のものが特に好ましい。上記乾式シリカの平均粒子径は、特に限定はないが、成形品の強度の点から、7〜40nmの範囲に設定されていることが好ましい。すなわち、上記平均粒子径が上記範囲内であることにより、表面処理された乾式シリカがシリコーンゴムマトリックス中に均一に分散された状態で入り込み、シリコーンゴム組成物の成形架橋体からなる現像ブレードを補強するからである。また、上記乾式シリカのBET法比表面積は、特に限定はないが、補強効果の点から、100m2 /g以上に設定されていることが好ましい。そして、上記乾式シリカの表面処理度は、30〜100%の範囲に設定することが好ましい。すなわち、表面処理度が上記範囲外であると、乾式シリカ表面に存在するシラノール基が、マトリックス成分であるシリコーンゴムのシロキサン結合や、残存架橋点等と物理的・化学的に結合してしまい、得られる現像ブレードのへたり性を悪化させるおそれがあるからである。上記乾式シリカの表面処理方法としては、特に限定されるものではなく、乾式シリカを予め表面処理剤で処理する方法や、乾式シリカと表面処理剤とをシリコーンゴム組成物中に含有させて混合時に乾式シリカ表面を処理する方法等があげられる。上記表面処理剤としては、特に限定はないが、例えばジメチルジクロルシラン,トリメチルクロルシラン,オクチルトリクロルシラン,アルコキシシラン,ヒドロキシシラン等のシラン類、アルコキシシロキサン,ヒドロキシシロキサン等のシロキサン類、ヘキサメチルシラザン等のシラザン類、シリコーンレジン類、有機酸エステル類、多価アルコール類等があげられる。なかでも、乾式シリカ表面のシラノール基との反応性が良好である点で、ジメチルジクロルシランが好適である。
【0021】
このような補強剤の含有量は、シリコーンゴム100部に対して、10〜30部の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは15〜25部の範囲である。すなわち、上記含有量が10部未満であると、得られる現像ブレードの強度を向上できないおそれがあり、30部を超えると、現像ブレードの硬度が高くなりすぎ、現像装置に組み込んで用いた場合、現像ロールへの押しつけ力が強く、適当な摩擦帯電が行われないおそれがあるからである。
【0022】
本発明の現像ブレードは、例えばつぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、所定の現像ブレード用成形型〔LIM(Liquid Injection Molding)成形法に用いることが可能な成形型等〕を準備する。一方、シリコーンゴム、架橋剤、補強剤、その他の添加剤等を従来公知の混合機(プラネタリーミキサー、ダイナミックミキシング、スタティックミキサー等)を用いて混合し、シリコーンゴム組成物を調製する。そして、上記シリコーンゴム組成物を上記成形型に充填し、所定時間内で一次加硫する。ついで、得られた架橋体を脱型した後、所定温度で二次加硫を行うことにより、目的とする現像ブレードを製造することができる。
【0023】
上記一次加硫の加硫時間は5分以内に設定する必要があり、好ましくは1分以内である。すなわち、一次加硫の加硫時間が5分を超えると、成形架橋体の溶剤抽出成分中に、架橋状態の不安定な分子量10000以上の高分子量成分が生成し、現像ブレードを電子写真システムに組み込んだ後の長期放置状態で高分子量成分が徐々に染みだし、画像上に横すじ等が発生するからである。また、一次架橋の加硫温度は、加硫時間によっても異なるが、適正な架橋によるゴム硬度を得、上記高分子量成分を溶剤抽出成分中に生じさせないように設定する必要があり、より好ましくは150〜180℃の範囲である。
【0024】
そして、上記二次加硫の加硫温度は、一次加硫の加硫温度よりも低温度に設定する必要があり、より好ましくは100〜110℃の範囲である。すなわち、二次加硫の加硫温度が一次加硫の加硫温度を超えると、長期放置状態で高分子量成分が徐々に染みだし、画像上に横すじ等が発生するからである。また、二次加硫の加硫時間は、加硫温度によっても異なるが、溶剤抽出成分中における上記低分子量成分の含有量が500ppm以下になるよう設定する必要がある。具体的には、二次加硫の加硫時間は、30分〜4時間の範囲が好ましく、より好ましくは40分〜1時間の範囲である。
【0025】
本発明においては、上記現像ブレードを形成しているシリコーンゴム組成物の成形架橋体が、下記の特性(A)および(B)を備えていることが最大の特徴である。すなわち、上記成形架橋体は、その溶剤抽出成分中における低分子量成分の含有量が500ppm以下であり〔特性(A)〕、かつ上記溶剤抽出成分中に分子量10000以上の高分子量成分が存在しない〔特性(B)〕という特性を備えている。そのため、上記現像ブレードを電子写真システムに組み込んだ場合、使用初期での低分子量成分の染みだしを抑制することができ、優れた初期画像を得ることができるとともに、長期間放置後の高分子量成分の生成を防止することができ、長期にわたり優れた画像を維持することが可能となる。なお、上記成形架橋体の溶剤抽出成分中における低分子量成分の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより定量化した値であり、また分子量10000以上の高分子量成分の有無は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により検出した。なお、上記成形架橋体を溶解させる溶剤としては、特に限定はなく、トルエン、メチルエチルケトン、メタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられ、特にトルエンが好ましい。
【0026】
また、上記成形架橋体の架橋密度は、8.0×10-5〜3.8×10-4mol/cm3 の範囲に設定されていることが好ましい。すなわち、上記架橋密度が、8.0×10-5mol/cm3 未満であると、成形架橋体の強度が不充分となり、成形架橋体を脱型する際、縁部に欠けや亀裂を生じてるおそれがあり、3.8×10-4mol/cm3 を超えると、成形架橋体の強度に関しては優れているが、へたり性が悪化し、複写画像の画質を低下させるおそれがあるからである。なお、上記架橋密度は、以下のようにして測定される(膨潤圧縮法)。すなわち、まず試料片を準備し、この試料片をn−ヘキサンでソックスレー抽出(24時間)した後、真空乾燥(24時間)する。そして、得られた試料片から2mm(縦)×2mm(横)×1mm(厚み)の直方体試料片を切り出し、この寸法を投影機で精密に測定する。なお、このようにして精密に測定された直方体試料片の厚みをL0 とし、断面積をAとする。ついで、この直方体試料片をトルエン中に浸漬して〔条件:室温(25℃)×24時間〕膨潤させたのち、この直方体試料片を素早くTMA装置(TMA−50、島津製作所社製)に移し、膨潤後の厚み(Ls0)を測定する。そして、この膨潤させた直方体試料片の膨潤の大小に応じて、250〜350gまでの荷重を一定速度で加え、圧縮応力と歪みの関係を求め、かつ圧縮後の直方体試料片の厚み(Ls )を測定する。このようにして得られた測定値と、下記の数式(1)で表されるフローリー−レーナー(Flory-Rhener)の理論式とを用いて、架橋密度を算出する。
【0027】
【数1】
〔式中、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、Vtは架橋密度であり、αは膨潤後のサンプル圧縮比(Ls /Ls0)であり、V1 は直方体試料片のシリコーンゴムの容積〔V1 =V0 (1−φ)、ただしV0 は直方体試料片の全容積、φは充填剤の体積分率〕である。〕
【0028】
本発明の現像ブレードは、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真システムに組み込んで用いられ、例えば図1に示すような、一成分現像方式の現像装置1に用いられる。すなわち、現像ブレード7は、トナーボックス5の開口端部上端に固定された支持ホルダーの一端に接着され、現像ブレード7の先端部(支持ホルダー8との接着部から延びた先の部分)もしくは腹部が、現像ロール3の外周面に圧接された状態で用いられる。図において、2は一成分現像剤(トナー)、4は感光ドラム、6は弾性ロールである。なお、上記現像ブレードの寸法は、特に限定されるものではないが、通常の現像装置に用いる場合、厚みが0.1〜10mm程度で、幅が1〜20mm程度のものが好ましい。
【0029】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0030】
【実施例1】
まず、下記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これをスタテイックミキサーを用いて混合し、付加反応型の液状シリコーンゴム組成物を調製した。そして、このシリコーンゴム組成物を現像ブレード用成形型に充填し、170℃×5分の加硫条件で一次加硫を行った。ついで、これを脱型した後、下記の表2に示す加硫温度×加硫時間で二次加硫を行い、下記の構造式(A)で表される成形架橋体に架橋し、目的とする現像ブレード(幅10mm×厚み1.5mm)を製造した。なお、上記成形型内には、シリコーンゴムとの接着部が接着処理された金具(支持ホルダー)が予めセットされており、シリコーンゴム組成物の架橋とともに、金具が接着されるようになっている。このようにして得られた各現像ブレードから、1mm角の成形架橋体1gを切り出し、これをトルエン20ml中に24時間浸漬して、トルエン抽出成分を得た。そして、このトルエン抽出成分中における、分子量220〜520の低分子量成分の含有量をガスクロマトグラフィーにより定量化した。また、トルエン抽出成分中における、分子量10000以上の高分子量成分の有無をGPCにより検出した。これらの結果を、下記の表2に併せて示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【化3】
【0033】
また、上記金具(支持ホルダー)を取り付けた現像ブレードをレーザービームプリンターレーザーショット4(ヒューレットパッカード社製)に組み込み、初期の画像出しを行った。さらに、その状態で30日放置(条件:45℃×90%RH)し、再度、画像出しを行った。そして、黒べた画像において、白すじが発生しなかったものを○、白すじが発生した場合は白すじが消失するまで画像出しを行い、3枚以内で白すじが消失したものを△、白すじが消失するのに10枚以上要したものを×として表示した。これらの結果を、下記の表2に併せて示した。
【0034】
【表2】
【0035】
【比較例1】
一次加硫の加硫条件を170℃×10分に変えた。そして、下記の表3に示す加硫温度×加硫時間で二次加硫を行い、実施例1と同様にして現像ブレードを作製した。このようして得られた現像ブレードを用いて、実施例1と同様にして、低分子量成分、高分子量成分を定量するとともに、初期および長期の画像出しを行った。その結果を、下記の表3に併せて示した。
【0036】
【表3】
【0037】
上記表2および表3の結果から、一次加硫の加硫時間が5分の場合は、高分子量成分の生成を抑制でき、長期放置後に優れた画質を得ることができる。これに対して、一次加硫の加硫時間が10分の場合は、高分子量成分が生成し、長期放置後の画質が低下している。また、低分子量成分の含有量が500ppm以下の場合は、優れた初期画質を得ることができるのに対して、低分子量成分の含有量が500ppmを超える場合は、初期画質が低下している。したがって、優れた初期画質を得るためには、低分子量成分の含有量を500ppm以下にすることが必要である。
【0038】
【実施例2】
一次加硫の加硫条件を150℃×5分に変えた。そして、下記の表4に示す加硫温度×加硫時間で二次加硫を行い、実施例1と同様にして現像ブレードを作製した。このようして得られた現像ブレードを用いて、実施例1と同様にして、低分子量成分、高分子量成分を定量するとともに、初期および長期の画像出しを行った。その結果を、下記の表4に併せて示した。
【0039】
【表4】
【0040】
【比較例2】
一次加硫の加硫条件を140℃×10分に変えた。そして、下記の表5に示す加硫温度×加硫時間で二次加硫を行い、実施例1と同様にして現像ブレードを作製した。このようして得られた現像ブレードを用いて、実施例1と同様にして、低分子量成分、高分子量成分を定量するとともに、初期および長期の画像出しを行った。その結果を、下記の表5に併せて示した。
【0041】
【表5】
【0042】
上記表4および表5の結果から、一次加硫の加硫時間が5分の場合は、高分子量成分の生成を抑制でき、長期放置後に優れた画質を得ることができる。これに対して、一次加硫の加硫時間が10分の場合は、高分子量成分が生成し、長期放置後の画質が低下している。したがって、高分子量成分の生成を抑制し、長期放置後に優れた画質を得るためには、一次加硫の加硫時間を5分以内にすることが必要である。また、低分子量成分の含有量が500ppm以下の場合は、優れた初期画質を得ることができるのに対して、低分子量成分の含有量が500ppmを超える場合は、初期画質が低下している。したがって、優れた初期画質を得るためには、低分子量成分の含有量を500ppm以下にすることが必要である。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の現像ブレードは、シリコーンゴム組成物を150℃〜180℃の温度において、5分以内一次加硫した後、下記の(1)〜(3)いずれかの条件で二次加硫を行うことにより製造するものである。
(1)二次加硫温度より低温であって、100℃以上の温度で30分〜4時間。
(2)一次加硫温度150℃のとき、60℃で少なくとも8時間。
(3)一次加硫温度170℃のとき、60℃で少なくとも4時間。
すなわち、上記一次加硫により、架橋状態の不安定な高分子量成分の生成を防止することができる。さらに、上記二次加硫により、高分子量成分の生成を防止しつつ、低分子量成分を揮化させて除去することができる。
そして、本発明の製法によって得られた現像ブレードは、前記特性(A)および(B)の双方を備えた成形架橋体からなる。そのため、上記現像ブレードを電子写真システムに組み込んだ場合、使用初期での低分子量成分の染みだしを抑制することができ、優れた初期画像を得ることができるとともに、長期間放置後の高分子量成分の生成を防止することができ、長期にわたり優れた画像を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像ブレードを組み込んだ現像装置の一例を示す構成図である。
Claims (3)
- 下記の特性(A)および(B)を備えた成形架橋体からなる現像ブレードの製法であって、シリコーンゴム組成物を現像ブレード用成形型に充填した後、上記シリコーンゴム組成物を150℃〜180℃の温度において、5分以内一次加硫し、ついで下記の(1)〜(3)いずれかの条件で二次加硫を行うことを特徴とする現像ブレードの製法。
(A)成形架橋体の溶剤抽出成分中における分子量220〜520の低分子量成分の含有量が500ppm以下。
(B)成形架橋体の溶剤抽出成分中に分子量10000以上の高分子量成分が存在しない。
(1)一次加硫温度より低温であって、100℃以上の温度で30分〜4時間。
(2)一次加硫温度150℃のとき、60℃で少なくとも8時間。
(3)一次加硫温度170℃のとき、60℃で少なくとも4時間。 - 請求項1記載の現像ブレードの製法によって得られた現像ブレードであって、上記成形架橋体が下記の特性(A)および(B)を備えていることを特徴とするシリコーンゴム組成物の成形架橋体からなる現像ブレード。
(A)成形架橋体の溶剤抽出成分中における分子量220〜520の低分子量成分の含有量が500ppm以下。
(B)成形架橋体の溶剤抽出成分中に分子量10000以上の高分子量成分が存在しない。 - 上記シリコーンゴムが付加反応型液状シリコーンゴムである請求項2記載の現像ブレード。
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