JP3707180B2 - 反応性樹脂水分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線或いは紫外線等の活性エネルギー線の照射により、又は常温或いは加熱によって硬化可能な反応性樹脂水分散体の製造方法に関するものであり、本発明により製造される反応性樹脂水分散体は、塗料、印刷インキ、接着剤、充填剤、成形材料及びレジスト等として、各種産業分野において有用なものである。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
又、酸価の単位はmgKOH/gで、固形分換算で示す。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種産業等で使用する有機溶剤、洗浄剤等が大気中に放出されることによる地球規模での大気汚染が進み、生物への影響が懸念されている。このため、各種塗料、インキ及び接着剤等の用途に使用する樹脂組成物において、水性化による無溶剤化の試みがなされている。
反応性樹脂の水性化の方法の一つとして、カルボキシル基を有する重合体にエポキシ基及び不飽和基を有する化合物を付加反応させ、重合体に反応性基である不飽和基を導入して、カルボキシル基及び不飽和基を有する反応性樹脂を製造し、当該樹脂をアルカリにより中和し、又場合によっては乳化剤を使用して、水中又はアルコール等の有機溶剤含有水溶液中に懸濁又は乳化させる方法がある(以下A法という、特開昭51−17922号、同51−23531号)。
又、この他の方法として、界面活性剤の存在下、水中でカルボキシル基を有する重合体を製造し、得られた重合体にエポキシ基及び不飽和基を有する化合物を付加反応させる方法もある(以下B法という、特開平6−211950号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記A法の場合、カルボキシル基を有する重合体にエポキシ基及び不飽和基を有する化合物を付加させる反応は、親水性を有するアルコールやケトン等の溶剤中で有機アミン等の触媒を使用して行われているが、当該反応は反応性が十分でなく、反応に長時間を要すものであった。反応性を高めるためには、有機アミン等の触媒の量を増加させる方法もあるが、この場合は触媒の量が多くなるために、触媒がカルボキシル基を有する重合体と多量に塩を形成してしまい、得られる付加物が溶剤に溶解し難くなるという問題を有するものであった。
又得られる反応性樹脂を水性化する際には、そこに含まれる溶剤を蒸発等により除去する操作が必要であるだけでなく、反応性樹脂から溶剤を完全に留去することが困難であり、このため製品が臭気を有するものとなったり、又溶剤をできるだけ留去しようとすればそのために長時間を要することになり、その結果反応性樹脂はその硬化反応を助長する嫌気的雰囲気に長時間さらされるため最終製品の保存安定性が悪化したり、又着色したりすることがあった。
又、B法の場合、得られる反応性樹脂水分散液は、その液中に界面活性剤を含むため、反応性樹脂の硬化膜が耐水性に劣るものであった。
本発明者らは、製品の保存安定性に優れ、着色もなく、又硬化性、作業性に優れ、その硬化膜が耐水性に優れた反応性樹脂水分散体の工業的に有利な製造方法について鋭意検討を行ったのである。
【0004】
【問題点を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のカルボキシル基を有する重合体を使用し、特定の方法により反応性樹脂を製造することが有効であることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
○(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する重合体
本願発明の製造方法においては、反応性樹脂の骨格となる重合体として、1個以上のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート〔以下カルボキシル基含有(メタ)アクリレートという〕の1種以上、又は該(メタ)アクリレートとこれ以外の1個のエチレン性不飽和基を有する単量体(以下エチレン性不飽和単量体という)の1種類以上とを、特定の条件下で重合して得られる(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する重合体(以下単にカルボキシル基含有重合体という)を使用する。
【0006】
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、種々のものが使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸又は(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸のマイケル付加反応生成物である2量体以上のオリゴマー、ω- カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びコハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0007】
カルボキシル基含有重合体は、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートの単独重合体或いは共重合体であっても、又このカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体との共重合体であっても良い。
エチレン性不飽和単量体は、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリレート以外のものであれば種々のものが使用でき、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル及び(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリレートの具体的としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の置換アリール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコシキ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0008】
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体との共重合割合は、得られるカルボキシル基含有重合体の酸価が、以下に示す酸価を満たす値となることを条件として、任意である。
【0009】
本発明で使用するカルボキシル基含有重合体は、その酸価が50〜500である必要があり、好ましくは100〜300である。酸価が50より小さいと、後記する1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート〔以下エポキシ基含有(メタ)アクリレートという〕との付加反応に際し、アルカリ性の水性媒体に対するカルボキシル基含有重合体の溶解性又は分散性が不充分なため、付加反応性が低下したり、又は溶解或いは分散に時間を要するという問題がある。カルボキシル基含有重合体の溶解性又は分散性を改善する手段として、水溶液又は分散液中のカルボキシル基含有重合体の固形分濃度を下げる方法もあるが、この時は得られる反応性樹脂水分散体が水媒体を多量に含有するため、乾燥性に劣るものとなってしまう。一方、酸価が500より高いと、得られる反応性樹脂水分散体の粘度が高くなってしまう。
【0010】
カルボキシル基含有重合体の数平均分子量は、1,000〜15,000である必要があり、好ましくは2,000〜10,000である。この値が1,000より小さいと、得られる反応性樹脂は基材との接着力、密着性が劣るものとなってしまい、又その塗膜の強度が十分なものではない。他方、この値が15,000を超える場合は、酸価が50より小さい場合と同様に、アルカリ性の水性媒体に対する溶解性又は分散性が乏しくなってしまう。カルボキシル基含有重合体の固形分濃度を下げれば、溶解性又は分散性を改善することも可能であるが、得られる反応性樹脂水分散体が乾燥性に劣るものとなってしまう。さらにこのような数平均分子量が高いカルボキシル基含有重合体は、エポキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応性に劣るため、反応性樹脂への(メタ)アクリロイル基の導入割合が不充分となり、得られる反応性樹脂が硬化性に劣り、又その塗膜の硬度及び強度が低下してしまう。
又、本発明においては、該共重合体の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の割合である多分散度(Mw/Mn)が、3以下のものを使用することが好ましく、より好ましくは2.5以下である。多分散度がこの範囲にあるカルボキシル基含有重合体は、アルカリ性の水性媒体中への溶解性に優れ、又低粘度の反応性樹脂水分散体を製造するのに特に適している。
尚、本発明において、数平均分子量及び重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(以下GPCと略す)により測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
【0011】
本発明では、カルボキシル基含有重合体として、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、又は当該(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体とを、150〜310℃の高温で重合したものを使用し、好ましくは高温連続重合したものを使用する。
この高温連続重合法によれば、従来の溶液重合により得られるものより多分散度の低い重合体を得ることができる他、熱重合開始剤を用いる必要がないか、又は熱重合開始剤を用いる場合でも少量の使用で目的の分子量のカルボキシル基含有重合体が得られるため、熱や光によりラジカル種を発生するような不純物をほとんど含有しない純度の高いカルボキシル基含有重合体が得られるので、後で述べるカルボキシル基含有重合体とエポキシ基含有(メタ)アクリレートとの付加反応を安定に行うことができ、最終的に得られる反応性樹脂水分散体が保存安定性に優れ、さらにその塗膜が耐候性に優れたものとなる。
【0012】
高温連続重合法については既にいくつかの提案がなされており、例えば特開昭57−502171号、同59−6207号及び同60−215007号等に開示された公知の方法に従えばよい。
例えば、加圧可能な反応器を溶媒で満たし、加圧下で所定温度に設定した後、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、当該(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和単量体、又はこれらと必要に応じて重合溶媒とからなる単量体混合物を一定の供給速度で反応器へ供給し、単量体混合物の供給量に見合う量の反応液を抜き出す方法が挙げられる。
重合溶媒を使用する場合において、反応開始時に反応器に仕込む溶媒と単量体混合物に混合する重合溶媒は同一であっても異なっていてもよい。溶媒又は重合溶媒としては、脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン、クメン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ブチルセロソルブ等のセロソルブ及びカルビトール等のグリコールエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグライム及びジエチレングリコールジメチルエーテル等のジグライム等のエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、メチルプロピレングリコールアセテート、カルビトールアセテート及びエチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、ヘキサノール、デカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール等の脂肪族アルコール、ベンジルアルコール及びトルエンアルコール等の芳香族アルコール、並びにジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを使用することができる。重合溶媒の使用割合としては、単量体混合物100重量部に対して200重量部以下であることが好ましい。
又、単量体混合物には、必要に応じて、熱重合開始剤を混合することもでき、この場合に使用できる熱重合開始剤は、特に限定されないが、アゾニトリル系の開始剤及び過酸化物系の開示剤等が挙げられる。アゾニトリル系の開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び2,2'−アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系の開示剤としては、過酸化水素、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。熱重合開始剤を単量体混合物に配合する場合の配合量としては、単量体混合物100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましい。
反応温度は、150〜310℃でなければならない。150℃に満たない場合には、得られる重合体の分子量が大きくなりすぎたり、反応速度が遅くなってしまう等の問題があり、他方310℃を超える場合には、分解反応が発生して反応液に着色が見られたり、後で述べる付加反応が不安定になったり、得られる反応性樹脂が不安定になる。圧力は反応に影響を及ぼさず、反応温度と使用する単量体混合物及び溶媒の沸点に依存するもので、前記反応温度を維持できる圧力であればよい。単量体混合物の滞留時間は、2〜60分であることが好ましい。滞留時間が2分に満たない場合は、未反応単量体が多くなってしまい、カルボキシル基含有重合体の収率が低下することがあり、他方滞留時間が60分を超えると、生産性の低下を招く。
【0013】
○反応性樹脂水分散体の製造方法
本発明の製造方法は、前記重合体をアルカリ性の水媒体中に溶解又は分散させ、エポキシ基含有(メタ)アクリレートのエポキシ基を、前記重合体のカルボキシル基に付加反応させるものである。本発明においては、当該付加反応を有機溶剤中ではなく、アルカリ性の水媒体中で行う。水中では付加反応の触媒として働くアルカリ成分を高濃度で存在させることができるため、水媒体中の付加反応は有機溶剤中での反応と比較して格段に速く、又付加反応で得られる反応性樹脂は分散体として得られるから、粘度が低く、塗工性に優れるものである。さらに、有機溶剤中でエポキシ基含有(メタ)アクリレートを付加反応させ、その後溶剤を除去した後水に分散させて反応性樹脂水分散体を製造する方法に比較して、本発明では反応性樹脂が一段で水分散体として得られるため、得られる反応性樹脂水分散体が臭気及び着色等の問題がないものである。
【0014】
当該製造方法は、種々の方法が採用でき、例えば、アルカリ性の水性媒体に、カルボキシル基含有重合体を溶解又は分散させ、当該水溶液又は分散液に、エポキシ基含有(メタ)アクリレートを添加して、加熱撹拌する方法が挙げられる。
この場合の反応温度としては、60℃〜100℃が好ましい。当該付加反応により、カルボキシル基含有重合体がアルカリ性の水性媒体に溶解している場合は、反応性樹脂となって水中に分散するようになり、アルカリ性の水性媒体に分散している場合は、反応性樹脂となってそのまま水中で分散状態を維持する。
【0015】
本願発明の製造方法において、カルボキシル基含有重合体のカルボキシル基に付加反応させるエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレートが、得られる反応性樹脂が、分子中に存在する(メタ)アクリロイル基の割合が高いものとなり、反応性に優れるため好ましい。
【0016】
カルボキシル基含有重合体中のカルボキシル基に対する、エポキシ基含有(メタ)アクリレートの反応割合は、付加反応後の反応性樹脂の酸価が、20〜200となる割合が好ましい。
付加反応後の反応性樹脂の酸価が20に満たない場合は、得られる反応性樹脂水分散体の分散性が十分でなく、樹脂分が凝集したり、沈殿する場合がある。又酸価が200を越える場合は、生成した反応性樹脂が、水中に分散せずに溶解してしまい、従って粘度が高く扱いづらいものになってしまう。水分散体の粘度が高くなった場合には、反応性樹脂の固形分を低下させることにより粘度を下げることもできるが、当該水分散体は乾燥性が十分でなくなる。
【0017】
反応媒体として使用するアルカリ性の水性媒体において、アルカリの種類としては種々のものが使用でき、例えばアンモニア、有機アミン及び水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられるが、乾燥時に塗膜中から蒸発飛散して、得られる塗膜の耐水性を維持することができることから、アンモニア及び低分子量有機アミンが好ましい。
低分子量有機アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のヒドロキシアルキルアミン類が使用できる。
【0018】
アルカリ性の水性媒体中のアルカリ成分の濃度としては、カルボキシル基含有重合体中のカルボキシル基の全量に対して、アルカリ成分が30〜70モル%となる割合が好ましい。この割合が30モル%に満たない場合は、カルボキシル基含有重合体が水性媒体中に溶解又は分散し難くなる場合があり、他方70モル%を越える場合は、得られる反応性樹脂水分散体にアルカリ成分として使用したアンモニア又はアミンの臭気が残る場合がある。
付加反応におけるアルカリ性の水性媒体の使用量は、得られる反応性樹脂水分散体の固形分濃度が10〜60重量%となる量が好ましい。
【0019】
アルカリ性の水性媒体中のアルカリ成分が触媒として働き、付加反応が進行するが、必要に応じてさらに触媒を添加することができる。当該触媒の例としては、N,N−ジメチルベンジルアミン及びN,N−ジメチルアニリン等の高分子量3級アミン類;テトラジエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩類;ジエチルアンモニウムクロリド等の2級アミンの塩酸塩類;並びにトリフェニルホスフィン等のリン化合物類等が挙げられる。
これら触媒の好ましい添加量は、反応液中の固形分に対して、0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0020】
当該付加反応では、反応を安定に行うために、ハイドロキノン及びハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を添加したり、分子状酸素を吹き込むことが好ましい。重合禁止剤を使用する場合は、反応液に対して10wtppm〜2重量%が好ましい。
【0021】
○反応性樹脂水分散体の使用方法
本発明の製造方法により得られる反応性樹脂水分散体は、電子線或いは紫外線等の活性エネルギー線の照射により、又は常温或いは加熱によって硬化可能なものであり、そのままで又は下記する種々の成分と配合して、塗料、印刷インキ、接着剤、充填剤、成形材料及びレジスト等の種々の用途に使用できる。
【0022】
反応性樹脂水分散体には、必要に応じて、反応性希釈剤である活性エネルギー線硬化型単量体を配合することができる。活性エネルギー線硬化型単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;並びにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオール又はそのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型単量体は、反応性樹脂水分散体の固形分100重量部当たり1〜150重量部の割合で配合することが好ましい。
【0023】
又反応性樹脂水分散体には、必要に応じて硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー及び炭酸カルシウム等の充填剤、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、酸化チタン及びカーボンブラック等の着色用顔料、密着性付与剤及びレベリング剤等の各種添加剤、並びにハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジンン及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等の重合禁止剤を配合することもできる。
これらを配合する場合の配合割合としては、反応性樹脂水分散体の固形分100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。重合禁止剤を配合する場合の配合割合としては、反応性樹脂水分散体の固形分に対して0.00001〜2重量%であることが好ましい。
【0024】
反応性樹脂を硬化させる場合の活性エネルギー線の照射方法及び加熱方法は、ラジカル重合性化合物の硬化方法として知られている、一般的な方法を採用すればよい。
【0025】
常温ないし加熱により硬化させる場合には、反応性樹脂水分散体に、アゾニトリル系の開始剤及び過酸化物系の開始剤等の重合開始剤を配合する。アゾニトリル系の開始剤及び過酸化物系の開始剤等の具体例としては、前記した高温連続重合で使用したものと同様のものが使用できる。重合開始剤の好ましい割合は、反応性樹脂水分散体の固形分に対して100重量部に対して0.001〜5重量部である。
【0026】
又、活性エネルギー線として、紫外線照射による硬化を行う場合には、反応性樹脂水分散体に光重合開始剤を配合する。電子線による硬化を行う場合には、光重合開始剤を配合する必要はない。
光重合開始剤の好ましい例としては、水溶性又は親水性の光重合開始剤であるダロキュア2959、同1173、同1116、イルガキュア184〔チバガイギー(株)製〕、カンタキュアABQ、同BTC、同QTX〔シェル化学(株)製〕が挙げられ、通常溶剤系又は無溶剤系で用いられている、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール及び2,4−ジメチルチオキサントン等も使用できる。又、必要に応じて光重合開始剤の2種類以上を併用することもできる。
光重合開始剤は、反応性樹脂水分散体の固形分に対して0.1〜10重量%配合することが好ましい。
光重合開始剤の添加方法としては、水への溶解度が低い光重合開始剤を使用する場合は、反応性希釈剤である活性エネルギー線硬化型単量体にあらかじめ溶解させた後、単量体とともに添加するのが好ましい。又、水溶性又は親水性の光重合開始剤を使用する場合は、そのまま加熱混合することにより、添加することができる。
【0027】
本発明で得られる反応性樹脂を活性エネルギー線の照射により硬化させる場合には、通常反応性樹脂水分散体を基材に塗布した後、分散媒である水を、又アルカリ成分としてアンモニア又は低分子量有機アミンを使用した場合には、水とアンモニア又は低分子量有機アミンを、加熱により蒸発飛散させるのが好ましい。
硬化塗膜中に水分が残留すると、膜強度が不足したり、膜の透明性が損なわれることがある。
【0028】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。尚、以下において、部及び%は重量基準である。
○実施例1
●カルボキシル基含有重合体の製造
電熱式ヒータを備えた容量300mlの加圧式撹拌槽型反応器を、ジエチレングリコールモノエチルエーテルで満たし、温度を250℃にして、圧力調節器により圧力をゲージ圧で25〜27kg/cm2 に保った。
次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしてアクリル酸30部、エチレン性不飽和単量体としてスチレン70部及び熱ラジカル開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド0.1部とからなる単量体混合物A−1を、一定の供給速度(23g/分、滞留時間:14分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物A−1供給量に相当する反応物を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、ヒータを制御することにより、反応温度を270〜271℃を保持した。
温度が安定した単量体混合物A−1供給開始から1時間後を、次のエステル化反応の原料としての反応液の抜き出し開始点とした。これから3時間反応を継続した結果、4140gの単量体混合液A−1を供給し、4130gの反応生成物を回収した。
反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離し、3800gの生成物(共重合体B−1)を得た。ガスクロマトグラフより、濃縮液中には未反応モノマーは存在していなかった。溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、GPCより求めた分子量をポリスチレン換算した共重合体B−1の数平均分子量(以下Mnと略する)は4,100、重量平均分子量(以下Mwと略する)は8,250であり、多分散度は2.0であった。又、生成物の酸価は220であった。
【0029】
●反応性樹脂水分散体の製造
撹拌器、冷却管を備えたフラスコに、共重合体B−1を50g(0.196eq)、25%アンモニア水を6.0g及び水を186g入れ、70℃に加熱し、攪拌して共重合体B−1を溶解させた。共重合体を完全に溶解させた後、グリシジルメタクリレート13.9g(0.098モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル32mgを仕込み、75℃で2時間攪拌し、粘度10cps/25℃、固形分25%、固形分換算酸価87の反応性樹脂水分散体C−1を256g得た。
【0030】
○実施例2〜同4
実施例1において、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和単量体の種類及び仕込み重量部を表1に従い変更した以外は、実施例1と全く同様の方法で反応を行い、カルボキシル基含有重合体を製造した。得られたカルボキシル基含有重合体の分子量及び酸価を表1に示す。
得られた各重合体を使用し、表2に示す条件で反応を行った以外は実施例1と全く同様の方法でグリシジルメタクリレートの付加反応を行い、反応性樹脂水分散体を製造した。
得られた反応性樹脂水分散体の酸価及び粘度を表2に示す。
【0031】
○比較例1
還流冷却器、温度計、滴下ロート、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた4つ口フラスコに、実施例1と同様の単量体混合物A−1を300g、メチルエチルケトン(以下MEKと略する)を700g及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリルを9g仕込み、窒素を吹き込みながら80℃において4時間重合反応を行い、反応生成物F−1を得た。
反応生成物F−1のうち350gを薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー及び溶媒等の揮発成分を分離し、80gの生成物(共重合体D−1)を得た。ガスクロマトグラフより、濃縮液中には未反応モノマーは存在していなかった。溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、GPCより求めた共重合体D−1のMnは10,500、Mwは34,250であり、多分散度は3.3であった。又、生成物の酸価は240であった。
撹拌器、冷却管を備えたフラスコに、共重合体D−1を50g(0.214eq)、25%アンモニア水を6.5g、水を189gを入れ、75℃に加熱し、攪拌して溶解した。完全に溶解した後、グリシジルメタクリレート15.2g(0.107モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル33mgを仕込み、70℃で2時間攪拌し、粘度124cps/25℃、固形分25%、固形分換算酸価94の反応性樹脂E−1を294g得た。
【0032】
○比較例2
撹拌器、冷却管を備えたフラスコに、比較例1の反応生成物F−1の166g〔共重合体D−1(0.214eq)の50gとMEK116gからなる〕、グリシジルメタクリレート15.2g(0.107モル)、トリエチルアミン0.65g、ハイドロキノンモノメチルエーテル33mgを仕込み、90℃で6時間攪拌した。
得られた反応液に、トリエチルアミン11gを入れ、50℃で10分間撹拌した後、水を225gを入れて分散液とし、これを減圧にして分散液中の溶剤を留去した。
粘度225cps/25℃、固形分29%、固形分換算酸価99の反応性樹脂E−2を280g得た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
○評価
各例で得られた反応性樹脂水分散体を、以下の方法で評価した。それらの結果を表3に示す。
【0036】
・作業性評価
○:作業上問題なし。
△:多少粘度が高いが、取り扱うことができる。。
×:粘度が高いために取り扱いづらい。
【0037】
・加熱安定性試験
各例で得られた反応性樹脂水分散体を、40℃にて200時間放置した後、目視による外観で評価した。
◎:全く変化なし。
○:ほとんど粘度上昇なし。
△:粘度上昇あり。
×:凝集物、沈殿物が発生。
【0038】
・硬化性試験
得られた反応性樹脂水分散体の固形分100部に対して、イルガキュア2959〔チバガイギー(株)社製〕2部を配合して組成物を製造した。この組成物を、ボンデライト鋼板PB−144〔日本テストパネル(株)製〕に膜厚20ミクロンで塗布したのち、80℃のオーブンで5分間乾燥させたのち、これを80W/cm、集光型高圧水銀灯1灯を用いて、ランプ高10cmで紫外線を照射し、硬化に要した照射量を測定した。
尚、表における◎、○、△及び×は以下の意味を示す。
◎:500mJ/cm2未満で完全に硬化
○:500以上1000mJ/cm2未満で硬化
△:1000mJ/cm2以上で硬化
×:1000mJ/cm2以上でも硬化しない
【0039】
・硬度
硬化性試験により得られた硬化膜について、JISの「手かき法K5400」に従い評価した。
【0040】
・着色評価
硬化性試験により得られた硬化膜の着色を、目視により評価した。
尚、表における○、△及び×は以下の意味を示す。
○:着色は全くみられない
△:わずかに着色がみられる
×:着色がみられる
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、カルボキシル基含有重合体に対するエポキシ基含有(メタ)アクリレートの付加反応性を工業的に有利に行うものであり、又得られる反応性樹脂水分散体は、粘度が低く作業性に優れるもので、着色がなく、保存安定性に優れ、又は該樹脂からなる組成物は、硬化性、加熱安定性及び透明性に優れているため、塗料、印刷インキ、接着剤、充填剤、成形材料及びレジスト等の種々の用途に使用でき、その工業的価値はきわめて大きい。
Claims (2)
- 1個以上のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの1種以上又は該(メタ)アクリレートとこれ以外の1個のエチレン性不飽和基を有する単量体の1種類以上とを150〜310℃の重合温度において重合して得られる、酸価が50〜500で、数平均分子量が1,000〜15,000である(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する重合体を、アルカリ性の水性媒体中に溶解又は分散させ、当該重合体に1個のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを付加反応させることを特徴とする反応性樹脂水分散体の製造方法。
- (メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する重合体が、酸価が100〜300で、数平均分子量が2,000〜10,000である請求項1記載の反応性樹脂水分散体の製造方法。
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