JP3706713B2 - 画像形成装置におけるバイアス電流設定方法 - Google Patents

画像形成装置におけるバイアス電流設定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関し、特にレーザ光源からの光変調されたレーザ光を感光体や、静電記録媒体等の像担持面上に導光して、その面上に例えば静電潜像から成る画像情報を形成するようにした複写機、レーザビームプリンター、ファクシミリ等に好適な画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の画像形成装置に於いては、レーザ光発生のために一つのレーザとフォトダイオード(PD)センサーから構成されるレーザチップが用いられており、バイアス電流源とパルス電流源の2つの電流源を持つことによって、レーザの発光特性の改善を図っている。そして、レーザの発光を安定化する為に、画像形成時のレーザ発光時にPDセンサーからの出力信号を用いて負帰還をかけ、パルス電流量の自動制御を行っている(以後、この自動制御をAPCと呼ぶ)。
【0003】
したがって、複数のレーザから構成されるマルチレーザを用いた画像形成装置においてマルチレーザの駆動回路は図10のような構成を採用している。図10におけるレーザーチップ44は図8における半導体レーザ31の内部構成を示したものであり、Aレーザ42、Bレーザ43、PDセンサ41から構成されるツインレーザである。47はAレーザ42のバイアス電流源、45はAレーザ42のパルス電流源である。画像データとして画像処理部58のDATA1から出力される信号によりON/OFFするスイッチ57によって、Aレーザ42の発光は制御される。Bレーザ43の発光の制御もAレーザ42の制御と同様である。画像データとして画像処理部58のDATA2から出力される信号によるON/OFFするスイッチ56によって、Bレーザ43の発光は制御される。
【0004】
また、PDセンサ41の出力信号は電流電圧変換器(I/V)49で電圧信号に変換され、S/H回路1(符号51)を経てコンパレータ55に入力され、パルス電流源45が発生する電流量が制御される。また電流電圧変換器49を経たPDセンサ41の出力信号は、S/H回路2(符号50)を経てコンパレーター54にも入力され、パルス電流源46が発生する電流量も制御される。52,53は各々のパルス電流源制御のための目標値を示す基準電圧である。58は上記画像データを生成するための画像処理部、59はこの画像処理部58を制御するシステムコントローラーである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来例に用いた2つのレーザから構成されるマルチレーザの帰還制御引き込み時と画像データ出力時のシーケンスを図11に示す。まず、タイミングT1でレーザ42が発光し、APCによりレーザ42のトータル電流量ITAが制御され、このレーザ42のAPCが完了した後にトータル電流ITAは保持される。次にタイミングT2でレーザ43が発光し、APCによりレーザ43のトータル電流量ITBが制御され、このレーザ52のAPCが完了した後、トータル電流ITBは保持される。次に、ビーム検出器36(図8)においてレーザビームが検出された後、画像データを出力できる状態となり、次のシーケンスを2ライン毎に繰り返す。タイミングT3でレーザ42のAPCを行い、タイミングT4でレーザ43のAPCを行う。そして、タイミングT5でBD発光し、BD受光部36に照射してタイミングをとり、画像データを出力する。
【0006】
従来のレーザ駆動方式では、レーザがONの時にはAPCで定まった電流が流れ、レーザがOFFの時には、APCで定まった電流から一定電流を差し引いた電流が流れていた。この一定電流の値は、レーザをOFFにさせるためにAPCで定まる電流から差し引けばよい値として適宜定められた値であり、このために、レーザがOFFになった時には、電流変化に対する光量変化の感度が鈍っていた。即ち、図3に示すように、従来は、レーザを流れる電流はIbA”からItAまで変化し、バイアス電流IbA”は電流対光量の感度が変化するしきい値電流Ithを大幅に下回っていた。
【0007】
従って、前記マルチレーザの画像形成装置を用いて従来方式で高速駆動を行ったとき、微小パルスのパルス幅に対するレーザの立ち上がり時間の割合が増すため、微小パルスの再現性が悪化し画像形成に支障をきたしていた。
【0008】
そこでバイアス電流を従来よりもしきい値電流近傍に設定し、レーザの立ち上がり時間短縮をする必要がある。しかし、レーザは温度特性を持つため周囲の温度によりしきい値電流が変動する。よって、従来方式ではバイアス電流をしきい値電流近傍に設定して温度に影響されず安定に動作させることは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、バイアス電流を従来よりもしきい値電流近傍に安定して設定できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による画像形成装置におけるバイアス電流設定方法は、レーザ光源からの光変調されたレーザ光を像担持体面上に導光して該像担持体に画像を形成する画像形成装置におけるバイアス電流設定方法であって、前記レーザ光源に電流を供給する第1の電流源と、
前記第1の電流源からの電流を引き込む第2の電流源と、前記第1の電流源からの電流を引き込む第3の電流源と、前記第2の電流源及び前記第3の電流源をスイッチし、前記第1の電流源と前記第2の電流源の間に配置される第1のスイッチ手段と、前記第3の電流源のみをスイッチし、前記第1のスイッチと前記第3の電流源の間に配置される第2のスイッチ手段と、前記レーザ光を検出するレーザ光検出手段と、前記第1のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第1の電流源を制御する第1の電流制御手段と、前記第1のスイッチ手段をオン、前記第2のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第2の電流源を制御する第2の電流制御手段とを備え、前記第1のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源で前記レーザ光源を第1の光量で発光させて前記第1の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第1の電流源から供給される前記レーザ光源のトータル電流量を求めるステップと、前記第1のスイッチ手段をオンかつ前記第2のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源と第2の電流源で前記レーザ光源を第2の光量で発光させて前記第2の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第2の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、前記トータル電流量、前記第2の電流源が引き込む電流量、前記第1の光量、前記第2の光量及び前記第1のスイッチ手段をオンかつ前記第2のスイッチ手段をオンにして前記レーザ光源を発光させたときの第3の光量とから比例関係に基づいて前記第3の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、前記第3の電流源が引き込む電流量に基づいてしきい値電流の近傍にバイアス電流を設定するステップ、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明による画像形成装置におけるバイアス電流設定方法は、レーザ光源からの光変調されたレーザ光を像担持体面上に導光して該像担持体に画像を形成する画像形成装置におけるバイアス電流設定方法であって、前記レーザ光源に電流を供給する第1の電流源と、前記第1の電流源からの電流を引き込む第2の電流源と、前記第1の電流源からの電流を引き込む第3の電流源と、前記第1の電流源からの電流を引き込む第4の電流源と、前記第2の電流源及び前記第3の電流源をスイッチし、前記第1の電流源と前記第2の電流源の間に配置される第1のスイッチ手段と、前記第3の電流源のみをスイッチし、前記第1のスイッチと前記第3の電流源の間に配置される第2のスイッチ手段と、前記第4の電流源のみをスイッチし、前記第1の電流源と前記第4の電流源の間に配置される第3のスイッチ手段と、前記レーザ光を検出するレーザ光検出手段と、前記第1のスイッチ手段と前記第3のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第1の電流源を制御する第1の電流制御手段と、前記第1のスイッチ手段をオン、前記第2のスイッチ手段と前記第3のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第2の電流源を制御する第2の電流制御手段とを備え、前記第1のスイッチ手段及び前記第3のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源で前記レーザ光源を第1の光量で発光させて前記第1の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第1の電流源から供給される前記レーザ光源のトータル電流量を求めるステップと、前記第1のスイッチ手段をオンかつ前記第2のスイッチ手段及び前記第3のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源と第2の電流源で前記レーザ光源を第2の光量で発光させて前記第2の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第2の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、前記トータル電流量、前記第2の電流源が引き込む電流量、前記第1の光量、前記第2の光量及び前記第1のスイッチ手段をオン、前記第2のスイッチ手段をオンかつ前記第3のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光源を発光させたときの第3の光量とから比例関係に基づいて前記第3の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、前記第1のスイッチ手段、前記第2のスイッチ手段及び前記第3のスイッチ手段をオンにして前記第4の電流源が固定の電流量を差し引くことでしきい値電流の近傍にバイアス電流を設定するステップ、を含むことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明による画像形成装置は、前記第1の電流源からの電流を引き込む第4の電流源と、前記第4の電流源のみをスイッチする前記第1の電流源と前記第4の電流源の間に配置される第3のスイッチ手段とを更に備えたことを特徴とする。
【0013】
更に、本発明による画像形成装置は、前記第1の電流源、前記第2の電流源、前記第3の電流源、前記第1のスイッチ手段、前記第2のスイッチ手段、前記第1の電流制御手段、前記第2の電流制御手段が複数組あり、前記レーザ光検出手段の個数が該組数より少なく、前記レーザ光検出手段が時分割で利用されることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明による画像形成装置は、前記第1の電流源、前記第2の電流源、前記第3の電流源、前記第4の電流源、前記第1のスイッチ手段、前記第2のスイッチ手段、前記第3のスイッチ手段、前記第1の電流制御手段、前記第2の電流制御手段が複数組あり、前記レーザ光検出手段の個数が該組数より少なく、前記レーザ光検出手段が時分割で利用されることを特徴とする。
【0016】
[作用]
本発明では上記構成により複数のレーザを用いた画像形成装置の高速駆動において、バイアス電流を従来よりもレーザのしきい値電流近傍に設定することが可能となる。そして、温度特性も安定する。こうして、安定してレーザの立ち上がり時間を短縮して発光特性を改善し、微小パルス再現性をより良好にできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図7に本発明を適用した画像形成装置を積載した複写機全体の概念的断面図を示す。基本的な動作について図7を用いて説明する。原稿給紙装置上に積載された原稿は、1枚づつ順次原稿台ガラス面2上に搬送される。原稿が搬送されると、スキャナー3部分のランプが点灯し、かつスキャナーユニット4が移動して原稿を照射する。原稿の反射光はミラー5,6,7を介してレンズ8を通過し、その後イメージセンサー部9に入力される。イメージセンサー部9に入力された画像信号は、直接、あるいは、一旦図示しない画像メモリに記憶され、再び読み出された後、露光制御部10に入力される。照射光によって感光体11上に作られた潜像は、現像器12、あるいは現像器13によって現像される。上記潜像とタイミングを合わせて被転写紙積載部14、あるいは被転写紙積載部15より被転写紙が搬送され、転写部16に於いて、上記現像されたトナー像が被転写紙に転写される。被転写紙に転写されたトナー像は定着部17にて被転写紙に定着された後、被転写紙は排紙部18より装置外部に排出される。
【0018】
図8は図7の露光制御部10のブロック図である。半導体レーザ31より発せられた光ビームはコリメータレンズ35及び絞り32によりほぼ平行光にされて、所定のビーム径で回転多面鏡33に入射する。回転多面鏡33は曲線矢印の様な方向に等角速度の回転を行っており、この回転に伴って、入射した光ビームが連続的に角度を変える偏向ビームとなって反射される。偏向ビームとなった光はf−θレンズ34により集光作用を受ける。一方、f−θレンズ34は同時に走査の時間的な直線性を保証するような歪曲収差の補正を行う為に、光ビームは、像担持体としての感光体11(図7及び図8)上に図の直線矢印の方向に等速で結合走査される。感光体11へのデータの書き込みは半導体レーザ31の光量制御によって行われる。
【0019】
このような画像処理装置で用いられるレーザ駆動回路の構成を図1に示す。本実施形態が図10の従来例と違うところはAPCによりバイアス電流を制御するためサンプルホールド回路74、75と、目標値78、79と、コンパレータ82、83と、可変電流源69、70と、スイッチ86、87とが加わり、電流源67、68の電流が可変になった点である。
【0020】
図1におけるレーザーチップ64は、図8における半導体レーザ31の内部構成を示したものであり、Aレーザ62、Bレーザ63、PDセンサ61から構成されるツインレーザである。68はAレーザ62のバイアス電流源、65はAレーザ62のトータル電流源であり、画像データとして画像処理部88のDATA1から出力される信号によりON/OFFするスイッチ85によってAレーザ62の発光は制御され、画像処理部88のBIAS1から出力される信号によりON/OFFするスイッチ87は、Aレーザ62のバイアス電流を設定する時に動作する。Bレーザ63の発光の制御もAレーザ65の制御と同様に行われる。画像データとして画像処理部88のDATA2から出力される信号によるON/OFFするスイッチ84によって、Bレーザ63の発光は制御され、画像処理部88のBIAS2から出力される信号によりON/OFFするスイッチ86は、Bレーザ63のバイアス電流を設定する時に動作する。
【0021】
また、PDセンサ61は、Aレーザ62の発するレーザ光の一部とBレーザ63の発するレーザ光の一部とを受光する。Aレーザ62のみが発光しているときにはAレーザ62の光量センサとして働き、Bレーザ63のみが発光しているときにはBレーザ63の光量センサとして働く。Aレーザ62のPDセンサ61の出力信号は電流電圧変換器(I/V)71で電圧信号に変換され、S/H回路73を経てコンパレーター81に入力され、コンパレータ出力により電流源65の電流量を負帰還制御することにより、Aレーザ62のトータル電流源65が制御される。同様にPDセンサ61の出力信号は電流電圧変換器71で電圧信号に変換され、S/H回路72を経てコンパレーター80に入力され、Bレーザ63のトータル電流源66が制御される。また、電流電圧変換器71を経たPDセンサ61の出力信号は、S/H回路74を経てコンパレーター82にも入力され、コンパレータ出力により電流源68の電流量を負帰還制御することにより、Aレーザ62のバイアス電流源68が制御される。同様に電流電圧変換器71を経たPDセンサ61の出力信号は、S/H回路75を経てコンパレーター83にも入力され、Bレーザ63のバイアス電流源67が制御される。76,77はトータル電流源制御のための目標値を示す基準電圧、78,79はバイアス電流源制御のための目標値を示す基準電圧である。88は上記画像データを生成するための画像処理部、89はこの画像処理部88を制御するシステムコントローラーである。
【0022】
次に実施形態1の原理について説明する。
【0023】
図2にそのシーケンスを示す。まず、タイミングT11で画像処理部88のDATA2の信号電圧レベルをHIGHにすることによりスイッチ84がOFFになり、BIAS2の信号電圧レベルをHIGHにすることによりスイッチ86もOFFになり、この状態でBレーザ63を発光させ、サンプルホルド回路21(符号72)をスルー状態にすることによりフィードバックループが形成され、電流源66から供給されるBレーザ63のトータル電流量ItBが制御される。トータル電流量ItBを図3に示す。この電流量ItBは、サンプルホルド回路21(符号72)がタイミングT11からタイミングT12の間のみでスルー状態であり他の時間ではホルド状態であるので、タイミングT12から後は保持される。なお、通常はサンプルホルド回路の状態はサンプル状態かホルド状態をとるが、本実施形態においては、サンプル期間に、サンプルホルド回路を通る信号の電圧レベルが変動し、この変動を伴うAPCに主眼をおいているので、サンプル状態という言葉の代わりにスルー状態という言葉を利用する。
【0024】
次にタイミングT12でDATA2の信号電圧レベルをLOWにすることによりスイッチ84がONになる。この状態でサンプルホルド回路22(符号75)をスルー状態にすることによりフィードバックループが形成され、バイアス電流量IbB’が制御される。バイアス電流量IbB’はトータル電流量ItBからバイアス電流源67が引き込む電流量を差し引いた値である。バイアス電流量IbB’を図3に示す。このバイアス電流IbB’を決定するバイアス電流源67が引き込む電流量は、サンプルホルド回路22(符号75)がタイミングT12からタイミングT13の間のみでスルー状態であり他の時間ではホルド状態であるので、タイミングT13から後は保持される。
【0025】
タイミングT13でBIAS2の電圧レベルをHIGHにすることによりスイッチ86がONになり、電流源69が電流を引き込み、Bレーザ63のバイアス電流量はレーザの発光のしきい値電流Ith近傍に設定され、図3に示すIbBとなる。スイッチ86はAPCを行うとき以外は常に閉じられており、これが閉じられた状態で、画像生成が行われる。電流源69が吸い込む電流量を、後述する比例関係を用いて、2番目のAPCで定まった電流源67の電流量と比例した値に設定することにより、バイアス電流はしきい値電流Ithの近傍に設定することができる。
【0026】
Bレーザ63の上記2種類のAPCが完了した後トータル電流、バイアス電流は保持され、同様にAレーザ62のAPCの引き込みに移る。
【0027】
タイミングT14でAレーザ62のAPC完了後、画像データを出力できる状態となり、次のシーケンスを2ライン毎に繰り返す。タイミングT15でAレーザ62のトータルAPC、タイミングT16でAレーザ62のバイアスAPCを行い、タイミングT17でBレーザ63のトータルAPC、タイミングT18でBレーザ63のバイアスAPCを行う。そしてタイミングT19でA,B同時に発光し、ビーム検出器36に照射しタイミングをとり、画像データを出力する。
【0028】
図3に実施形態1のバイアス電流設定値をレーザ発光特性図を用いて示す。Bレーザのバイアス電流は、まずタイミングT11においてAPCによりトータル電流量ItBが設定された後、タイミングT12においてスイッチ84がONになり電流源67によりIa1だけ差し引かれて仮のバイアス電流IbB’が設定される。さらにスイッチ86がONになり、電流源69により更にIa2だけ差し引かれてバイアス電流IbBは従来のバイアス電流IbB”に比べ、よりしきい値電流Ithの近傍に設定される。
【0029】
ここで、しきい値電流以上の領域では電流と光量は比例関係をもっており、レーザは流れる電流に対してリニアに発光するため、
Ia1:Ia2=(PtA−PtB’):(PtB’−PtB)
が成り立つ。この関係を利用して、Ia2を、
Ia2=Ia1×{(PtB’−PtB)/(PtA−PtB’)}
として定める。PtA、PtB、PtB’は設計時に決めた値であり、Ia1は第2のAPCで決まるので、この関係を用いてIa2を定めることができる。
【0030】
PtBとIbBはしきい値近傍のしきい値を僅かに下回った点に設定される。図3において、IbBからIthまでの間隔は説明のために実際よりも広げて作図しているので、しきい値電流以下の部分の特性曲線の傾斜の緩やかな部分は少なく、上記の比例関係は成り立つと考えて問題はない。
【0031】
ーザのバイアス電流IbAも同様にしきい値電流Ith近傍に設定される。
【0032】
従来例では、DATA2によってスイッチ84をON/OFFさせたときに、Bレーザ63を流れる電流は、図3に示すIbB”とItBとの間を往復し、それに対応した光量はPtB”とPtAとの間を往復していたのに対し、本実施形態では、DATA2によってスイッチ84をON/OFFさせたときに、Bレーザ63を流れる電流は、図3に示すIbBとItBとの間を往復し、それに対応した光量はPtBとPtAとの間を往復するので、レーザの立ち上がり時間が短縮できる。すなわち、Bレーザ63を流れる電流がIth以下であるときには、Bレーザ63を流れる電流の変化に対する光量の変化が僅かであり、この領域を使用することにより光量の立ち上がり、立ち下がりが鈍ってしてしまい、これが従来例の問題であったが、本実施例においては、この領域をほとんど使用せずに、Aレーザ62を流れる電流がIth以上である領域、即ち、電流の変化量に対する光量の変化量の感度が高い領域を使用するので、光量の立ち上がり、立ち下がりを鋭くすることができる。Aレーザ62についても同様である。
【0033】
なお、バイアス電流IbBを直接APCで設定しないのは、Bレーザ63を流れる電流がIthを下回ると、検出光量が不足してしまい、APCがかけられないからである。そのために、一度、電流がIthを上回る領域で、IbB’を設定してから、上記の比例関係より定まるIa2を差し引いてIbBを設定しているのである。
【0034】
なお、本実施形態においては、Aレーザ62の系統とBレーザ63の系統との2つの系統により画像形成装置が構成されているが、これが1系統である形態ももちろんある。本実施形態において、レーザ光源とその周辺回路が2系統用意されているのは、同時に2つのレーザ光で画像を形成して、画像形成の高速化を図るためである。
【0035】
[実施形態2]
実施形態1は比例関係を基にバイアス電流をしきい値電流近傍に設定しているので、周囲の温度変化によってしきい値電流が変動すると、しきい値電流とバイアス電流設定値との差が若干変わる。そうなるとレーザ発光するまでの立ち上り時間が温度により変動する。また、しきい値電流をバイアス電流が上回るとレーザが消灯しているべき時に発光してしまう。そこでこれを改善するために図4の回路構成をとる。実施形態1との構成上の違いは電流源90,91とスイッチ92,93が加わった点である。電流源90、91の電流値は固定であり、しきい値電流近傍に定まったレーザ消灯時の電流を、しきい値電流を僅かに下回らせるために使用される。
【0036】
次に実施形態2の原理について説明する。図5にそのシーケンスを示す。まず、タイミングT21でDATA2の電圧レベルがHIGHになることによりスイッチ84がOFFになり、BIAS2の電圧レベルがLOWになることによりスイッチ86がOFFになり、この状態でBレーザ66を発光させ、実施形態1と同様な制御によりBレーザ63のトータル電流源ItBを制御する。ここで、タイミングT21ではOFF2の電圧レベルがLOWであるのでスイッチ93はOFFである。
【0037】
次にタイミングT22でDATA2の電圧レベルがLOWになることによりスイッチ84がONになり、この状態で実施形態1と同様なAPCによりバイアス電流量IbB’を制御する。ここで、BIAS2の電圧レベルはLOWのままであるのでスイッチ86はOFFのままであり、タイミングT22ではOFF2の電圧レベルがLOWであるのでスイッチ93はOFFのままである。この時に、APCにより電流源67で引き込むべき電流量Ia1(図6)が定まる。
【0038】
タイミングT23で上記2種類のAPCが終了し、BIAS2の電圧レベルがHIGHになることによりスイッチ86がONになり、OFF2の電圧レベルがHIGHになることによりスイッチ93がONになりBレーザ63のバイアス電流量はレーザのしきい値電流IthをIa3(図6)だけ下回ったところのIbBに設定される。
【0039】
電流源69の電流値Ia2(図6)は、上記のAPCで定まった電流値Ia1(図6)と後述する比例関係を持つように定められるので、トータル電流ItA(図6)から電流Ia1(図6)と電流Ia2(図6)を差し引いた値は、Bレーザ63のしきい値電流Ithにほぼ等しくなる。
【0040】
画像を形成する実働時には、スイッチ93とスイッチ86は閉じたままであり、DATA2によりスイッチ84がON/OFFするので、Bレーザを流れる電流は、トータル電流ItBとIbBとの間をスイッチングする(図6参照)。
【0041】
Bレーザ63のAPCが完了した後トータル電流、バイアス電流は保持され、同様にAレーザ62のAPCの引き込みに移る。
【0042】
タイミングT24でAレーザ62のAPC完了後、画像データを出力できる状態となり次のシーケンスを2ライン毎に繰り返す。タイミングT25でAレーザ62のトータルAPC、タイミングT26でバイアスAPCを行い、タイミングT27でBレーザ63のトータルAPC、タイミングT28でバイアスAPCを行う。
【0043】
そしてタイミングT29でA,Bレーザを同時に発光しBD受光部36に照射しタイミングをとり、画像データを出力する。ここでトータル電流とバイアス電流のAPC中にはOFF1とOFF2の電圧レベルがLOWであるので、各々LOWの時に対応してスイッチ92とスイッチ93はOFFになっている。
【0044】
図6に実施形態2のバイアス電流設定値IbBをレーザ発光特性図を用いて示す。まずタイミングT21でAPCによりトータル電流量ItBが設定される。この電流値はレーザ光の光量をPtAにするために必要な電流値である。
【0045】
次にタイミングT22でスイッチ84がONになり、電流源67によりIa1だけ差し引かれて仮のバイアス電流IbB’が設定される。この電流値はレーザ光量をPtB’にするために必要な電流値である。
【0046】
さらにタイミングT23において上記2種類のAPCが終了するとスイッチ86がONになり電流源69によりIa2だけ差し引かれる。更に同時に、スイッチ93がONになり電流源91によりIa3だけ差し引かれてバイアス電流は従来のバイアス電流IbB”に比べてしきい値電流近傍のIbAに設定されることになる。
【0047】
ここで、しきい値電流以上の領域では電流と光量は比例関係をもっており、レーザは流れる電流に対してリニアに発光するため、
Ia1:Ia2=(PtA−PtB’):(PtB’−Pth)
が成り立つ。この関係を利用して、Ia2を、
Ia2=Ia1×{(PtB’−Pth)/(PtA−PtB’)}
として定める。PtA、PtB’、Pthは設計時に決めた値であり、Ia1は第2のAPCで決まるので、この関係を用いてIa2を定めることができる。
【0048】
しきい値電流付近では微小なノイズでもレーザ発光するため、ノイズマージンを取るためにある程度の電流Ia3を引いておく必要がある。バイアス電流はしきい値電流Ithから、絶対電流量Ia3引いたところに設定されるため、実施形態1に比べ、温度によるしきい電流値とバイアス電流設定値との差の変動を考えなくてよい。同様にAレーザのバイアス電流IbAもしきい値電流Ith近傍に設定される。
【0049】
こうして、実施形態2の構成では、実施形態1と同様な理由によりレーザの立ち上がり時間を短縮できる上に、周囲の温度にかかわらず、しきい値電流近傍のバイアス電流を印加することができる。
【0050】
図9に微小パルスの入力に対するレーザ出力の再現性を示す。(a)は従来例における入力微小パルスの時間幅が長い場合の入出力波形を示した図であり、(b)は従来例における入力微小パルスの時間幅が短い場合の入出力波形を示した図であり、(c)は本実施形態における入力微小パルスの時間幅が短い場合における入出力波形を示した図である。従来は図9(b)に示すように高速駆動時には微小パルスのパルス時間に対するレーザの立ち上がり時間の割合が多く、微小パルスの立ち上がり特性が悪い。実施形態1、2においては、従来よりもしきい値電流近傍にバイアス電流を設定できるので、図9(c)に示すようにレーザの立ち上がり時間が短縮して発光特性が改善され、感光体への潜像形成時に微小パルスの再現性が良好になる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、レーザのバイアス電流を発光/非発光のしきい値電流の近傍に設定できるので、電流−光量特性が敏感な領域内のみでレーザを駆動することができる。従って、発光の立ち上がり/立ち下がり時間を短縮できて、微小パルスの再現性が良好になる。また、本発明によって定まったバイアス電流はしきい値電流に対して相対的に固定するので、レーザが消灯しているべき時に発光することがない。従って、安定した高品位な高解像度の画像をこの画像形成装置、及びこの画像形成装置を載置した複写機によって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施形態1のマルチレーザの駆動回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明における実施形態1のマルチレーザの帰還制御引き込み時、及び、画像データ出力時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】本発明における実施形態1のマルチレーザのバイアス設定値を示すレーザ発光特性図である。
【図4】本発明における実施形態2のマルチレーザの駆動回路の構成を示す回路図である。
【図5】本発明における実施形態2のマルチレーザの帰還制御引き込み時、及び、画像データ出力時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明における実施形態2のマルチレーザのバイアス設定値を示すレーザ発光特性図である。
【図7】本発明と従来例における画像形成装置を載置した複写機の構成を示す断面図である。
【図8】図7の露光制御部内の光学系の構成図である。
【図9】本発明と従来例における微小パルスの再現性を比較するすレーザ入出力波形図である。
【図10】従来例におけるマルチレーザの駆動回路の構成を示す回路図である。
【図11】従来例におけるマルチレーザの帰還制御引き込み時、及び、画像データ出力時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
61 フォトファイオード(PD)センサー
62 Aレーザ
63 Bレーザ
64 レーザチップ
65〜70、90、91 電流源
71 電流電圧変換器(I/V)
72〜75 サンプルホルド(S/H)回路
76〜79 基準電圧
80〜83 コンパレータ
84〜87 スイッチ

Claims (2)

  1. レーザ光源からの光変調されたレーザ光を像担持体面上に導光して該像担持体に画像を形成する画像形成装置におけるバイアス電流設定方法であって
    前記レーザ光源に電流を供給する第1の電流源と、
    前記第1の電流源からの電流を引き込む第2の電流源と、
    前記第1の電流源からの電流を引き込む第3の電流源と、
    前記第2の電流源及び前記第3の電流源をスイッチし、前記第1の電流源と前記第2の電流源の間に配置される第1のスイッチ手段と、
    前記第3の電流源のみをスイッチし、前記第1のスイッチと前記第3の電流源の間に配置される第2のスイッチ手段と、
    前記レーザ光を検出するレーザ光検出手段と、
    前記第1のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第1の電流源を制御する第1の電流制御手段と、
    前記第1のスイッチ手段をオン、前記第2のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第2の電流源を制御する第2の電流制御手段とを備え、
    前記第1のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源で前記レーザ光源を第1の光量で発光させて前記第1の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第1の電流源から供給される前記レーザ光源のトータル電流量を求めるステップと、
    前記第1のスイッチ手段をオンかつ前記第2のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源と第2の電流源で前記レーザ光源を第2の光量で発光させて前記第2の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第2の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、
    前記トータル電流量、前記第2の電流源が引き込む電流量、前記第1の光量、前記第2の光量及び前記第1のスイッチ手段をオンかつ前記第2のスイッチ手段をオンにして前記レーザ光源を発光させたときの第3の光量とから比例関係に基づいて前記第3の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、
    前記第3の電流源が引き込む電流量に基づいてしきい値電流の近傍にバイアス電流を設定するステップ、
    を含むことを特徴とする画像形成装置におけるバイアス電流設定方法
  2. レーザ光源からの光変調されたレーザ光を像担持体面上に導光して該像担持体に画像を形成する画像形成装置におけるバイアス電流設定方法であって
    前記レーザ光源に電流を供給する第1の電流源と、
    前記第1の電流源からの電流を引き込む第2の電流源と、
    前記第1の電流源からの電流を引き込む第3の電流源と、
    前記第1の電流源からの電流を引き込む第4の電流源と、
    前記第2の電流源及び前記第3の電流源をスイッチし、前記第1の電流源と前記第2の電流源の間に配置される第1のスイッチ手段と、
    前記第3の電流源のみをスイッチし、前記第1のスイッチと前記第3の電流源の間に配置される第2のスイッチ手段と、
    前記第4の電流源のみをスイッチし、前記第1の電流源と前記第4の電流源の間に配置される第3のスイッチ手段と、
    前記レーザ光を検出するレーザ光検出手段と、
    前記第1のスイッチ手段と前記第3のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第1の電流源を制御する第1の電流制御手段と、
    前記第1のスイッチ手段をオン、前記第2のスイッチ手段と前記第3のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光検出手段の出力信号に基づいて前記第2の電流源を制御する第2の電流制御手段とを備え、
    前記第1のスイッチ手段及び前記第3のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源で前記レーザ光源を第1の光量で発光させて前記第1の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第1の電流源から供給される前記レーザ光源のトータル電流量を求めるステップと、
    前記第1のスイッチ手段をオンかつ前記第2のスイッチ手段及び前記第3のスイッチ手段をオフにして前記第1の電流源と第2の電流源で前記レーザ光源を第2の光量で発光させて前記第2の電流制御手段をスルー状態にすることで前記第2の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、
    前記トータル電流量、前記第2の電流源が引き込む電流量、前記第1の光量、前記第2の光量及び前記第1のスイッチ手段をオン、前記第2のスイッチ手段をオンかつ前記第3のスイッチ手段をオフにして前記レーザ光源を発光させたときの第3の光量とから比例関係に基づいて前記第3の電流源が引き込む電流量を求めるステップと、
    前記第1のスイッチ手段、前記第2のスイッチ手段及び前記第3のスイッチ手段をオンにして前記第4の電流源が固定の電流量を差し引くことでしきい値電流の近傍にバイアス電流を設定するステップ、
    を含むことを特徴とする画像形成装置におけるバイアス電流設定方法
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