JP3706685B2 - 半導体を作製する装置のガス供給方法 - Google Patents

半導体を作製する装置のガス供給方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の原料ガスを用いて半導体を製造する装置へ原料ガスを供給するガス供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の原料ガスを用いて半導体を製造する装置、例えば、プラズマCVD装置、プラズマエッチング装置等の真空処理装置反応炉のガス供給装置は、各ライン毎にガス流量制御装置と複数のストップバルブを有しており、各々のガスは前記ガス流量制御装置によって所定の流量に設定され反応炉の直前で混合され反応炉に導入される。
このような半導体製造装置においては、半導体製造終了後には、原料ガスの供給がストップされ、ガス流量制御装置前後のストップバルブで閉ざされた空間は、原料ガスの排除(パージ)を行ない反応性の低いガスに置換される。また、半導体製造直前にも、前記ガス流量制御装置前後のストップバルブで閉ざされた空間は密封されたガスの排除を複数回行い配管内を清浄化した後に原料ガスの導入を行う。
また、このような半導体製造に用いられるガスには人体に有害なものや、大気と反応して引火するものなどがあるため、流量制御装置の修理や点検、ならびにストップバルブの交換といった作業を行なう場合には、これらを全て排除(パージ)し、不活性ガス等の安全なガスに交換する必要がある。
従来、原料ガスラインへの不活性ガス供給ラインは流量制御装置の1次側(ガスボンベと流量制御装置の間)にストップバルブを介して接続されていた。
これは、パージの効率を考えて、原料ガスのパージを行なう領域において最も排気装置から遠い所にパージガスを導入しようとするためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のものにおいてはつぎのような問題があった。
すなわち、図2に従来のガス供給装置における構成の一例を示すが、このような構成では、バルブ216、218、220に出流れ(バルブを閉状態にしても閉まり切らない状態)が生じた場合、パージガスラインを介して原料ガス206、207、208が混合する可能性がある。
このような構成のガス供給装置としては、例えば実開昭59−131149号公報に開示されており、窒素がAsH3やH2Sのパージラインとしても使用可能に構成されている。
しかし該公報中の図1および図2に示された構成では、前述したようにTas、Ts、Tcに出流れが生じた場合、N2ラインを介してAsH3、H2S、HClが混合する可能性がでてくる。
原料ガスの混合は、半導体製造において所望の流量比を得るためには最も避けなければならないことである。
また、ガス種によっては混合により固相物質が生成される場合も考えられ、これにより流量コントローラーの精度の低下やさらなるバルブの出流れ等が引き起こされる。
生産装置の場合これらの問題点は、製品の特性の安定化が図られず、収率(良品率)の低下を招くことになる。
【0004】
そこで、本発明は、上記従来の半導体を作製する装置の原料ガス供給手段における課題を解決するため、流量コントローラーの精度の低下やバルブの出流れ等が発生せず、常にクリーンな原料ガスを供給することの可能な半導体を作製する装置のガス供給方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、半導体を作製する装置のガス供給方法をつぎのように構成したものである。
すなわち、本発明のガス供給方法は、減圧可能な反応炉に、複数の原料ガスをガス流量制御装置を介して原料ガスラインから導入し、半導体を作製する装置へ原料ガスを供給するガス供給方法において、前記反応炉と前記ガス流量制御装置との間に排気手段に接続した排気ラインを有し、前記排気ラインに前記原料ガスラインとバルブを介してつながるパージガス供給ラインを接続し、前記ガス流量制御装置の配管をパージするようにし、前記原料ガスラインから前記反応炉への原料ガス供給中は、前記排気ラインと前記パージガス供給ラインが接続されてなる両者の共用部分を排気し、前記パージガス供給ラインを介して、原料ガス同士が混合することを防止したことを特徴としている。
そして、本発明の上記ガス供給方法においては、前記原料ガスラインは、前記ガス流量制御装置と原料ガスボンベ間の原料ガスライン側が、前記排気ラインとバイパスラインを介して接続されており、前記原料ガスラインの前記ガス流量制御装置と前記反応炉間の該原料ガスライン側に逆流防止バルブを設け、該逆流防止バルブを閉じ前記バイパスライン上のバルブを開くことによってガス配管内にパージガスを導入し、このパージガスの導入を止めた後、該逆流防止バルブおよび該バイパスライン上のバルブを全て開いて該ガス配管内のパージガスを排気する構成を採ることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記のように構成すること、即ち、従来流量コントローラーの一次側に接続されていたパージラインを流量コントローラーの二次側に、しかも排気ラインと共有化する構成を採ることにより、原料ガスの供給時には、原料ガス供給ラインとバルブ一つでつながっているパージラインを排気しておくことで、パージガスラインへの原料ガス混入を防げ、パージガスラインを介して原料ガスが混合することなくクリーンで、しかも正確な流量の原料ガスの供給を可能としたものである。
【0007】
以下、図を用いて本発明の原料ガス供給方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の原料ガス供給方法の構成を説明するための模式的構成図である。図中、101は減圧可能な反応炉で有り、102〜104はガス流量コントローラー、105はパージ用ガスボンベ106〜108は原料ガスボンベ、109〜127はストップバルブ、は圧力計である。
ガス流量コントローラーには一般的にマスフローコントローラが使用されている。流量コントローラーの流量設定ならびに各ストップバルブは手動でも構わないが、作業効率等の面からコンピュータやシーケンサ等で自動制御されているのが一般的で有る。
また、バルブ125、126、127が設置されているバイパスラインは、パージガスの導入および排除の時間を短縮させる効果があり、パージガス導入時にガス流量コントローラーへの逆流を暖和する効果が有る。
【0008】
つぎに、まず半導体製造時のガス供給方法について説明する。
堆積膜形成用の原料ガスを反応炉101に流入させるには、反応炉直前のバルブ(109)を閉じた状態で、排気系1(ポンプ等は不図示)により反応炉の真空排気を行う。
所定の圧力(例えば10−6Torr台)に達した所で、排気系2を用いてガス供給系の供給準備を以下の(1)〜(8)の手順で行なう。
(1)ガス流量コントローラーの一次側のバルブ(118〜120)、反応炉直前のバルブ(109)、パージガスラインのバルブ110が閉じられていることを確認し、ガスボンベのバルブ121〜124を開けておく。
(2)バルブ117を開き、次いで原料ガスラインの排気側バルブの一つ(例えば111)を開いてガス流量コントローラー102前後のガス配管内を排気する。
このとき同時にバイパスラインに設けられたバルブ125も開けておくと短時間で排気が完了する。
圧力計Pが所定の圧力(例えば10−4Torr台)に達したら、バルブ111を閉じ、次いでバルブ113、126を開き、ガス流量コントローラー103前後のガス配管内を排気する。
同様にして、113を閉じた後115、127を開きガス流量コントローラー104前後のガス配管内を排気する。このように、残留ガスが混ざらないように各原材料ガスラインをひとつづつ排気を行なう。
(3)次いで、バルブ117が開いた状態で、バルブ111〜116を開け、反応炉直前のバルブ109までの配管内のガスを排除する。
(4)圧力計Pが所定の圧力(例えば10−4Torr台)に達したら、バルブ117を閉じ、次いでパージラインのバルブ110を開け、ガス流量コントローラ前後のガス配管内(118,119,120から109および117までの範囲)にパージガスを導入する。
(5)110を閉じてパージガスの供給を止め、次いで、バルブ117を開き、手順(4)で導入したガス配管内のパージ用ガスを排気する。
手順(4)、(5)を繰り返し行なった後(例えば5回)、
(6)バルブ112、114、116ならびに各ラインのバイパスバルブ125、126、127を閉じ、バルブ109を開き、ガス流量コントローラ102〜104の設定は0の状態で、バルブ118、119、120を開く。
(7)バルブ111、113、115を閉じ、バルブ112、114、116を開くと原料ガスが反応炉へ供給可能な状態になる。
(8)この状態から、半導体製造の条件に従って設定されているガス流量まで、ゆっくり流量を上げていく。
こうすることで、反応炉へ急激にガスが導入される事がなく反応炉内のダストの舞い上がりを防ぐ事が可能になる。
また、反応炉へガスを供給している最中、つまり半導体の製造中も117を開き、バルブ110、111、113、115、までの配管中を排気しておくことで、万が一バルブ110、111、113、115、のいずれかに出流れが生じても原料ガス同士が混ざり合う事が避けられる。
【0009】
次に半導体製造終了後について説明する。
半導体製造終了と同時にバルブ118〜120を閉じ、反応炉を通して排気系1により残留ガスを排気した後、109を閉じ、バルブ111、113、115を開き、排気系2へ切り替える。
続いて上記した(4)、(5)の操作を繰り返し行ない、(4)の操作の次にバルブ110、111、113、115を閉じる。
このとき流量コントローラの前後はパージガスが充填され、109〜120のバルブは全て閉じられている。
この後しばらく製造が行なわれない場合はバルブ121〜124も閉じておく。
図1では、原料ガスが3種類、パージガスが1種類の場合で説明したが、これに限られる物ではなく、さらに多くのガスを用いる場合は106〜108と並列に配管すれば良い事は言うまでもない。
しかし、SiH4等の可燃性ガスと酸素等の支燃性ガスは106〜108と同様には配管せずに、反応炉の直前、バルブ109の2次側で合流するように配管するか、または、別々に反応炉へ導入するのが普通で有る。
【0010】
また、別の実施形体として、図3が考えられる。
図3に示した構成はガス流量コントローラーへの逆流を完全に防ぐためのストップバルブ326、328、330が設けられている。
これらのバルブ(326、328、330)は通常は開いているが、上記手順(4)のパージガス導入時のみに閉じられるが、このときバイパスライン上のバルブ325、327、329が開かれていることは言うまでもない。
次いで上記手順(5)においては開かれることになる。
【0011】
【実施例】
図1と同様の原料ガス供給装置を用い、反応炉には図に示される装置を用いて、図に示される層構成のa−Si:H感光体の製造を行なった。
は電源としてRF帯の周波数を用いた高周波プラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記する)による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。
【0012】
図4に示す製造装置の構成は以下の通りである。
この装置は大別すると、堆積装置(401)、原料ガスの供給装置(図示せず)、反応容器(405)内を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置(401)中の反応容器(405)内には円筒状支持体(402)、支持体加熱用ヒーター(403)、原料ガス導入管(404)が設置され、更に高周波マッチングボックス(406)が接続されている。
その他は、真空計(408)、反応容器のリークバルブ(409)、真空排気のメインバルブ(410)である。
【0013】
原料ガス供給装置(図1)は、SiH4、GeH4、H2、CH4、B2H6、PH3等の原料ガスのボンベとバルブおよびマスフローコントローラーから構成され、各原料ガスのボンベはバルブ(409)を介して反応容器(405)内のガス導入管(404)に接続されている。
この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行なうことができる。 まず、反応容器(405)内に円筒状支持体(402)を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器(405)内を排気する。
続いて、支持体加熱用ヒーター(403)により円筒状支持体(402)の温度を200℃及至350℃の所定の温度に制御する。。
【0014】
以上のようにして成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒状支持体(402)が所定の温度になったところで、堆積膜形成用の原料ガスを前記した方法で反応容器(405)に流入させる。
その際、反応容器(405)内の圧力が1Torr以下の所定の圧力になるように真空計(408)を見ながらメインバルブ(410)の開口を調整する。内圧が安定したところで、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス(406)を通じて反応容器(405)内にRF電力を導入し、グロー放電を生起させる。
この放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料ガスが分解され、円筒状支持体(402)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されるところとなる。
所望の膜厚の形成が行なわれた後、RF電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
また、膜形成の均一化を図るために、層形成を行っている間は、支持体(402)を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。
さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0015】
図5は光受容部材である代表的なa−Si:H感光体500の層構成である。502は光受容層、503は光導電層、504は表面層、505は電荷注入阻止層、501は導電性基体である。
図1と同様の原料ガス供給装置を用いて、図5のa−Si:H感光体の製作を500回連続で行なったが、帯電能、感度等の電気的特性の再現性も非常に良く、長期的に安定していた。
【0016】
(比較例)
図2に示されるのと同様の従来のガス供給装置を用いてa−Si:H感光体の製作を行なったところ、100回目を過ぎた頃に電気的特性がそれまでのものより大きく低下した物が発生した。
初期の特性の安定している物と低下したものをSIMSにより組成分析を行なったところ光導電層における組成にずれが生じていることが判明した。
この時、ガス供給装置の流量コントローラを調べたところ、設定値と実流量に差が生じている事が判明し、これを交換する事で特性は通常のものに戻った。
以上の結果より、ガス供給方法を本発明の構成にする事で、バルブの出流れによる原料ガスの混合によって固層生成物などが生じることがなく、ガス流量コントローラの精度を低下させることも無くなることがわかる。
本発明のガス供給方法を生産装置に応用することで、製品の特性の安定化が図れ、収率(良品率)の向上が期待できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、以上の構成により、流量コントローラーの精度の低下やバルブの出流れ等が発生せず、常にクリーンな原料ガスを供給することでき、耐久性に優れ、収率の向上を図ることが可能な半導体を作製する装置のガス供給方法を実現することができる。
特に、従来流量コントローラーの一次側に接続されていたパージラインを流量コントローラーの二次側に、しかも排気ラインと共有化する構成を採ることにより、原料ガスの供給時には、原料ガス供給ラインとバルブ一つでつながっているパージラインを排気しておくことで、パージガスラインへの原料ガス混入を防げ、パージガスラインを介して原料ガスが混合することなくクリーンで、しかも正確な流量の原料ガスの供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガス供給方法の好適な実施態様例の構成を説明するための模式的構成図である。
【図2】 従来のガス供給装置の装置構成を説明するための模式的構成図である。
【図3】 本発明のガス供給方法の好適な実施態様例の構成を説明するための模式的構成図である。
【図4】 高周波プラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。
【図5】 アモルファスシリコン電子写真用光受容部材の層構成を示す模式的な構成図である。
【符号の説明】
101:反応炉
102〜104:ガス流量コントローラー
105:ガスボンベ(パージガス)
106〜108:ガスボンベ(原料ガス)
109〜127:ストップバルブ
:真空計
326、328、330:逆流を防ぐためのストップパルブ
401:堆積装置
402:円筒状支持体
403:支持体加熱用ヒーター
404:原料ガス導入管
405:反応容器
406:マッチングボックス
407:原料ガス配管
408:真空計
409:反応容器リークバルブ
410:メイン排気バルブ
500:光受容部材
501:導電性支持体
502:光受容層
503:光導電層
504:表面層
505:電荷注入阻止層
506:自由表面

Claims (2)

  1. 減圧可能な反応炉に、複数の原料ガスをガス流量制御装置を介して原料ガスラインから導入し、半導体を作製する装置へ原料ガスを供給するガス供給方法において、前記反応炉と前記ガス流量制御装置との間に排気手段に接続した排気ラインを有し、前記排気ラインに前記原料ガスラインとバルブを介してつながるパージガス供給ラインを接続し、前記ガス流量制御装置の配管をパージするようにし、前記原料ガスラインから前記反応炉への原料ガス供給中は、前記排気ラインと前記パージガス供給ラインが接続されてなる両者の共用部分を排気し、前記パージガス供給ラインを介して、原料ガス同士が混合することを防止したことを特徴とするガス供給方法。
  2. 前記原料ガスラインは、前記ガス流量制御装置と原料ガスボンベ間の原料ガスライン側が、前記排気ラインとバイパスラインを介して接続されており、前記原料ガスラインの前記ガス流量制御装置と前記反応炉間の該原料ガスライン側に逆流防止バルブを設け、該逆流防止バルブを閉じ前記バイパスライン上のバルブを開くことによってガス配管内にパージガスを導入し、このパージガスの導入を止めた後、該逆流防止バルブおよび該バイパスライン上のバルブを全て開いて該ガス配管内のパージガスを排気することを特徴とする請求項1に記載のガス供給方法。
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