JP3706449B2 - 伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法及びその浚渫装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、下水道の人孔(マンホール)、特には幹線下水道が河川を横断する箇所に設けられるいわゆる「伏越し部」における人孔の底部の汚泥・土砂等を浚渫する伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法及びその浚渫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図18は一般的な下水道の伏越し部の構造を示す。
ここに、イは河川、ロは上流側下水道、ハは上流側伏越し人孔、ニは伏越し管渠、ホは下流側伏越し人孔、ヘは下流側下水道である。また、Aは人孔ハ、ホの開口部を閉塞するマンホール蓋、Bは人孔ハ、ホ内の作業用段部(作業者の足場となる。)である。しかして、該下水道の伏越し部においては、汚泥・土砂が永年のうちに人孔及び管渠内の底部に堆積し(ト、チ、リはその堆積した汚泥土砂を示す)、下水道管渠の断面を縮小させ、かつ、粗度を増大させ、この結果下水道の流下を妨げる事態に至る。
この人孔内底部の土砂を浚渫するのに、従来においては、▲1▼伏越し部付近の下水道にバイパスを設け、当該伏越し部の下水道の流れを遮断したうえ(すなわち干上げた状態にしたうえ)、人孔内の土砂を総ざらいする方法、あるいは、▲2▼下水道の流れを止めることなく、潜水夫により人孔内底部の土砂を浚渫する方法、等が採られている。
しかるに、上記▲1▼の方法によっては、伏越し部付近の下水道の流れを遮断し、かつバイパスを設けるための工事が大がかりで手間がかかるとともに工事費が膨大となる。上記▲2▼の方法によっては、潜水夫の手作業によるので効率が悪いうえに危険である、等、▲1▼▲2▼ともに種々の問題点がある。
【0003】
このため、グラブバケット等を使用しての機械力による浚渫方式が考えられるところであるが、伏越し人孔の特殊性によれば汎用の浚渫方式によっては種々の問題点がある。
すなわち、▲1▼伏越し人孔は大きな深度を有すること、▲2▼開口部は小径のマンホール蓋(人力により開閉するので可及的小型化される。)により閉塞され、その下方は拡径されて大断面の底部となる、▲3▼人孔の底部には比重の大きい礫ならびに固結した土砂層が堆積している、等の特殊性がある。
このため、通常の浚渫方式によっては、▲1▼狭い開口部はグラブバケットを出し入れすることが困難であること、また、▲2▼仮に狭い開口部に挿通し得たとしても、深さのある底部にまでグラブバケットを到達させ、かつ、拡径されたマンホール底部のすみずみまで土砂を浚渫することは困難であること(特に人孔内の作業用段部が障害要因となる)、更には、▲3▼固結した土砂層を掘削浚渫することは困難であること、等の技術的問題点が存在する。
【0004】
この観点から、特開昭61−246433号公報(以下「先行技術」という)の発明が提案されている。
この先行技術は以下の技術的手段を採るものである。
1)多段式に伸びる昇降ポストの下端に着脱自在に浚渫用アタッチメントを取り付けて、次の(a) から(f) の工程により下水道の人孔内の汚泥・土砂を浚渫する方法。
(a) 人孔の直上において案内部材により前記昇降ポストを鉛直に支持する工程、
(b) 前記昇降ポストの下端に水平方向に伸縮自在の掻寄せ板を備えた掻寄せ具を取り付け、該掻寄せ具を収縮して該昇降ポストの伸長により人孔内に降下させる工程、
(c) 前記掻寄せ具を伸縮させて周辺の汚泥・土砂を昇降ポストの下方位置にまで掻き寄せる工程、
(d) 前記掻寄せ具を収縮して昇降ポストの収縮により該掻寄せ具を引き上げ、代って該昇降ポストの下端にグラブバケットを取り付け、該グラブバケットを閉じた状態で該昇降ポストの伸長により人孔内に降下させる工程、
(e) 前記掻き寄せられた汚泥・土砂をグラブバケットにより掬い取る工程、
(f) 前記グラブバケットを閉じた状態で昇降ポストの収縮により該グラブバケットを引き上げ、汚泥・土砂を排出する工程。
2)多段式に伸びる昇降ポストの下端に着脱自在に浚渫用アタッチメントを取り付けて、次の(a) から(h) の工程により下水道の人孔内の汚泥・土砂を浚渫する方法。
(a) 人孔の直上において案内部材により前記昇降ポストを鉛直に支持する工程、
(b) 前記昇降ポストの下端に掘削アタッチメントを取り付け、該昇降ポストの伸長により該掘削アタッチメントを人孔内に降下させる工程、
(c) 前記掘削アタッチメントにより固結土砂層を穿掘した後、前記昇降ポストの伸縮により該掘削アタッチメントを引き上げる工程、
(d) 前記昇降ポストの下端に水平方向に伸縮自在の掻寄せ具を取り付け、該掻寄せ具を収縮して該昇降ポストの伸長により人孔内に降下させる工程、
(e) 掻寄せ具を伸縮させて周辺の汚泥・土砂を昇降ポストの下方位置にまで掻き寄せる工程、
(f) 前記掻寄せ具を収縮して昇降ポストの収縮により該掻寄せ具を引き上げ、代って該昇降ポストの下端にグラブバケットを取り付け、該グラブバケットを閉じた状態で該昇降ポストの伸長により人孔内に降下させる工程、
(g) 前記掻き寄せられた汚泥・土砂をグラブバケットにより掬い取る工程、
(h) 前記グラブバケットを閉じた状態で昇降ポストの収縮により該グラブバケットを引き上げ、汚泥・土砂を排出する工程。
3)車輛の車台上に起伏かつ旋回可能に取り付けられたポスト支持フレームと;前記ポスト支持フレームの前面の案内溝に摺動可能に配され、下端に浚渫用アタッチメントが着脱自在に取り付けられ、中空状にしてかつ互いに摺接嵌合する上部ポスト、中間部ポスト及び下部ポストからなり該下部ポストの中空部内域に内装される2つの油圧シリンダーにより3段式に伸びる昇降ポストと;前記ポスト支持フレームと前記昇降ポストの上部ポストとの間に配され、該ポスト支持フレームに反力を取る昇降用油圧シリンダーと;からなる土砂浚渫機であって、前記昇降ポストにおける1段目油圧シリンダーは、上部ポストと中間部ポストとに介装され、そのシリンダー側取付け部は中間部ポストの上端部にピン固定され、ピストンロッド側取付け部は上部ポストの上端部にピン固定され、2段目油圧シリンダーは中間部ポストと下部ポストとに介装され、そのシリンダー側取付け部は中間部ポストの上端部にピン固定され、ピストンロッド側取付け部は下部ポストの下端部にピン固定され、前記昇降用油圧シリンダーは、そのシリンダ側はポスト支持フレームにピン結合され、ピストンロッド側を昇降ポストの上部ポストにピン結合されてなる、ことを特徴とする伏越し人孔用土砂浚渫機。
しかしながら、この先行技術によっては、▲1▼人孔の大深度化に伴い昇降ポストの断面の増大が余儀なくされ、人孔の開口部への挿通が困難となる、更には、▲2▼地上高さが大きく、狭隘な空間での作業が困難である、等の問題点がある。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の実情に鑑みなされたものであり、この先行技術を更に発展させたものであり、伏越し人孔の大深度化によっても十分な浚渫能力が発揮でき、更には、地上部での高さの低減をなしうる伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法及びその浚渫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を採る。
すなわち、本発明の伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法は、請求項1に記載のとおりであって、所定の断面を有し、単位長の柱体を継ぎ足して1本のガイド柱を形成しながら人孔中に挿入し、該ガイド柱を人孔中に建て込み、このガイド柱に沿って浚渫用バケットを上下移動可能に装着し、該バケットにより浚渫した土砂をガイド柱の上方へ移動させ、地上に排出する、ことを特徴とする。
また、本発明の伏越し人孔における堆積土砂の浚渫装置は、請求項3に記載のとおりであって、単位長さの柱体をもって継ぎ足されるガイド柱;該ガイド柱に沿って上下動自在に装着される浚渫用グラブバケット;からなり、該ガイド柱の下部は跳ね出し可能とされてなる、ことを特徴とする。
【0005】
(作用)
ガイド柱は一定断面に保持され、浚渫用バケットとともに人孔の開口部を容易に通過する。また、ガイド柱の下部は跳出し可能となっているので、バケットの浚渫範囲が拡大する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法及びその浚渫装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図17は本発明の伏越し人孔における堆積土砂の浚渫を実施する装置いわゆる伏越し人孔用土砂浚渫装置(以下単に「浚渫装置」という)の一実施形態を示す。
すなわち、図1及び図2は本浚渫装置Sの全体の概略を示し、図3〜図17は本浚渫装置Sの各部の構成を示す。
これらの図において、Pは伏越し人孔、Oは該人孔Pの開口部、Qは該人孔Pの底部に堆積した堆積土砂を示す。
【0007】
車輛H(図1〜図4参照)
図1・図2に示すように、本実施形態の浚渫装置Sは、車輛搭載形式を採り、Hはホイール形式の荷台Iを備えた車輌すなわちトラックであって、本浚渫装置Sを該荷台Iに搭載して適宜位置に移動可能とする。Jは荷台Iの後部両側方に設けた後部アウトリガー、Kは荷台Iの前部両側方に設けた前部アウトリガーである。また、Lは油圧ユニットである。
【0008】
浚渫装置S(図1〜図17参照)
本浚渫装置Sは、伏越し人孔P中に挿入される長尺のガイド柱部1、該ガイド柱部1に沿って上下動されるバケット部2、該ガイド柱部1を支持し、かつ、バケット部2を駆動するとともに位置調整機能を有するスライド架台部3、の主要部からなる。
【0009】
以下、本浚渫装置Sの各部の細部構成を説明する。
ガイド柱部1(図1〜図11参照)
ガイド柱部1は、本発明の主要部をなし、単位の長さをもって伏越し人孔P中に挿入され、バケット部2に対して上下移動の案内作用をなすとともに、下部には跳ね出し可能な特殊機能を有する。
(単位柱10)(図8〜図10参照)
ガイド柱部1は、単位長さの柱体すなわち単位柱10を継ぎ足して構成される。
図8〜図10は該単位柱10の一例を示す。本態様においては、コ字形チャンネル材11と平鋼板12とからなり、コ字形チャンネル材11を両側に配し、該チャンネル材11の腹部を1枚の平鋼板12をもって剛接してI形断面に形成され、上下端部には継手14が配される。継手14は単位柱10の上端に固設される突具14aと下端に固設される凹具14bとからなり、接続作業において突具14aを凹具14bの凹部内に嵌入し、これらのピン孔14c、14dを一致させ、止めピン(図示せず)を挿入して接続固定をなす。
単位柱10の平鋼板12に臨む凹部内にはバケット部2に連動するワイヤーが配される。また、チャンネル材11の溝部11aは後記するバケット部2のローラーに対する案内作用をなす。
単位柱10はその長さLを3m程度とされる。これにより人孔Pへの挿入中、地表より4m以内で余裕長をもって作業をなすことができる。
【0010】
(図11参照)
(下部ガイド柱1A)(図5〜図7参照)
ガイド柱部1の下部(下部ガイド柱)1Aは、跳ね出し機構付きとされ、上位の単位柱10に接合される上端柱材20、該上端柱材20の背面部にその上部を固定される被反力材21上端柱材20の下端にピン接合され、該上端柱材20に連接される揺動柱材22、該揺動柱材22の後部に配されリンク機構を形成するリンク部材23、揺動柱材22の下端にピン接合され、該揺動柱材22に連接する下端柱材24、及び、リンク機構に連動する油圧シリンダー25、からなり、更には、下端柱材24の下端に配される2連のシーブ26(26a,26b)を含む。
もっと詳しくは、被反力材21はその下端に人孔Pの底部に着座する基端部27を有する。上端柱材20、揺動柱材22及び下端柱材24は互いにピン結合されるとともに、それらの各側面に単位柱10の案内溝11Aに対応する案内溝を有し、バケット部2の案内機能において連接する。リンク部材23は、揺動柱材22と被反力材21との間に配される第1リンク材23aと、該第1リンク材23aと揺動柱材22とを上下でそれぞれピンを介して連設される第2・第3リンク材23b,23cとからなる。油圧シリンダー25は、被反力材21と揺動柱材22との間にピンを介して取り付けられる。
【0011】
(上部ガイド柱1B)
ガイド柱部の上部(上部ガイド柱)1Bはスライド架台3よりワイヤーを介して吊り下げられ、該ワイヤーの巻上げ・巻下げにより上下動作用を受ける。
上部ガイド柱1Bには、単位柱10の主柱の後部に背面柱28が添設され、該背面柱28が人孔Pの開口部Oの壁面に当接する。なお、この上部ガイド柱1Bも単位柱10に準じて継足し可能とされうる。
【0012】
バケット部2(図12・図13参照)
バケット部2は、ブラケットを有し、ガイド柱部1に沿って上下動する昇降サドル30と、該昇降サドル30のブラケット31に取り付けられる油圧シリンダー32を介して開閉自在に装着されるバケット本体33と、からなる。該バケット部2はガイド柱部1に配された駆動ワイヤーを介して駆動力を受けて上下動する。
(昇降サドル30)
昇降サドル30は、ガイド柱部1の前面及び側面部を抱持するコ字形をなすサドル本体35に、該サドル本体35の両側にローラ36が配されてなる。ローラ36はガイド柱部1の両側の溝部11aに嵌合され、溝部11aに沿って転動する。サドル本体35の上下端部には昇降サドル30を上下動する駆動用のワイヤーの端部が固設される(図15参照)。
【0013】
図14に伏越し人孔Pの開口部におけるガイド柱部1及びバケット部2の配設関係を示す。
図に示されるように、ガイド柱部1の背面柱28が人孔Pの開口部に壁面に当該されて、ガイド柱部1は人孔Pの開口部の隅部を占め、バケット部2はその余の空間を余裕をもって通過する。本実施形態においては、ガイド柱部1の占有断面は上下方向に実質的に変わるところがないので、バケット部2の通過空間は十分に確保される。
【0014】
スライド架台部3(図1〜図4、図16参照)
スライド架台部3は、車輛Hの荷台Iに載置されるベース40を基台として、該ベース40上にフレーム構造及び各駆動装置が設置される構成を採る。
(フレーム構造)(図1〜図4参照)
ベース40には支持フレーム41が固定され、該支持フレーム41の先端にはピンを介して案内フレーム42が固定され、更に、該支持フレーム41及び案内フレーム42間には油圧シリンダー43がピンを介して固定される。これにより、油圧シリンダー43のピストン43aの伸縮動作により案内フレーム42は起伏動作をなす。
案内フレーム42上部には、ガイド柱1に連動するシーブ45、及びバケット部2に連動するシーブ46が装備されている。
案内フレーム42の起立状態において、荷台Iを含めて地表からの最大高さhは可及的低く抑えられる。すなわち、ガイド柱1が約3mの単位柱10の継足しをもって形成されることから、余裕長さを見込んでも4m以内となる。この結果、電力用架線あるいは橋梁下での作業に支障を来さない。
【0015】
(油圧ウインチ48)(図3・図4、図15参照)
油圧ウインチ48は、本浚渫装置Sに係るワイヤー系の駆動操作をなす。本浚渫装置Sのワイヤー系は、ガイド柱1の上下動操作をなすワイヤー系49と、バケット部2の上下動操作をなすワイヤー系50とからなる。
ガイド柱用ワイヤー49はガイド柱1の上端に固定され、シーブ45を介してウインチ48に巻き取られる。バケット部用のワイヤー50は、図18に示すように、バケット部2の上端に連なる引き上げ用50aとバケット部2の下端に連なる引き下げ用50bとからなり、引き上げ用ワイヤー50aはシーブ46aを介してウインチ48に巻き取られ、引き下げ用ワイヤー50bはガイド柱の下端の各シーブ25a,25bを経由し、シーブ46bを介してウインチ48に巻き取られる。
【0016】
(ホースリール52)(図1、図3参照)
ホースリール52は、本浚渫装置Sの油圧配管系の巻き取りをなす。本浚渫装置Sの油圧系は、バケット部2の油圧シリンダー32に連なる油圧系1、下部ガイド柱1Aのリンク機構における油圧シリンダー26に連なる油圧系2、またフレーム構造の油圧シリンダー43に連なる油圧系3、更にはベース40に組み込まれる油圧シリンダーの油圧系4、からなる。該ホースリール52は油圧系1,2の巻取り・巻戻しをなす。
【0017】
(ベース40)(図16参照)
ベース40は水平方向に移動自在とされる。
図16(a)(b)はその機構の一例を示し、ベース40は外枠体40aと内枠体40bとからなり、前後方向用及び幅方向用の油圧シリンダー54,55が配備される。56は内枠体40b用の反力受け、57は荷台I上のすべり面である。
外枠体40aは内枠体40bに対して前後移動自在とされ、内枠体40bは幅方向にのみ移動自在とされ、前後方向用油圧シリンダー54は内枠体40bに反力を取って外枠体40aを前後方向に移動させ、幅方向用油圧シリンダー55は荷台Iに反力を取って外枠体40a及び内枠体40bを幅方向に移動させる。
【0018】
伏越し人孔内の浚渫施工方法
本実施形態の浚渫装置Sを使用してなされる伏越し人孔内の土砂浚渫施工方法を説明する。
以下、施工手順に基づいて説明する。
先ず、本浚渫装置Sにおいて、ガイド柱部1、バケット部2、スライド架台部3は各々分離され、特にはガイド柱部1は単位柱10を始め、下部ガイド柱1A、上部ガイド柱1Bは各々分離されている。車輌Hはスライド架台部3を搭載され、人孔Pの近傍に待機される。
【0019】
(1) ガイド柱部1の組立て・建込み
人孔Pの開口部Oを介してガイド柱部1の組立て並びに建込みが以下のようにしてなされる。
【0020】
(1a)下部ガイド柱1Aの建込み
下部ガイド柱1Aを収縮状態で人孔Pの開口部Oより挿入し、その上端を開口部Oより突出した状態,すなわち地表に露出した状態で仮受けする。この仮受けのため、地表部においては仮受け台(図示せず)が用意されるか、あるいは、本作業車輌Hを利用し、案内フレーム42からのワイヤーの吊り込み機能を利用することもできる。下部ガイド柱1Aには後でバケット部2に接続されるワイヤー50が装着され、また、油圧シリンダー26に連通する油圧ホースは地上に引き出される。
【0021】
(1b)単位柱10の建込み
下部ガイド柱1Aの上方より単位柱10を建て込み、これらの継手14を介して一体に組み立て、順次人孔P内へ降下させてゆく。なお、この降下工程においても仮受け作業がなされるとともに、ワイヤー及び油圧ホースの配設作業がなされる。
【0022】
(1c)上部ガイド柱1Bの建込み
組立て中のガイド柱1の下端が人孔Pの底部近傍に達すると、背面柱28付きの上部ガイド柱1Bを継ぎ足して組み立てる。
【0023】
(2) 次いで、作業車輛Hを人孔Pの開口部Oに臨んで配し、そのフレーム構造の油圧シリンダー43を作動し、案内フレーム42を鉛直に建てる。
【0024】
(3) ガイド柱1を案内フレーム42から吊設されたワイヤー49を介して吊り下げる。同時にまた、バケット部2を上部ガイド柱1Bへ取り付ける。
しかる後、本浚渫装置Sのバケット部2のワイヤー50並びに油圧配管系の接続をなし、ウインチ48、ホースリール52への装着をなす。
【0025】
(4) 本浚渫装置Sのスライド架台部3の摺動機能によりガイド柱部1を鉛直を保持しつつ上部ガイド柱1Bの背面柱28を開口部Oの壁面に当設させ、更には、ワイヤー49のウインチ操作をもってガイド柱部1を人孔Pの底部に着底させる。
【0026】
(5) 浚渫の開始
バケット部2をガイド柱部1に沿わせて人孔Pの底部に下降し、その油圧シリンダー32を作動させて人孔底部の土砂Qを掬い取り、再び、バケット部2を上昇させ、地上にまで搬出する。図5はこの状態を示す。このとき、ワイヤー50の引下げ用50bを作動させ、バケット本体33を堆積土砂Qに対して押し付ける。
【0027】
(5a)ワイヤー50の引上げ用50aを巻き取り、バケット33を地上に導く。バケット部2はそのローラ36の案内作用により安定して上昇する。
バケット33の開放により浚渫土砂をシュートを介してダンプトラックに放出する。
(5b)以上を繰り返して浚渫を行う。
【0028】
(6) 浚渫範囲の拡大
下部ガイド柱1Aの油圧シリンダー26を作動させ、リンク機構により揺動柱材22を前方に跳ね出し、浚渫範囲を広げる。図7はこの状態を示す。このとき、バケット部2は下端柱材24に沿って案内され、該下端柱材24の下端まで降下することができ、堆積土砂Qに着底する。
バケット部2の引上げは、油圧シリンダー26を収縮して揺動柱材22を元の状態に戻し、しかる後、引上げ用ワイヤー50aを巻き上げる。また、バケット部2の放出操作は(5a)の工程に準じる。
【0029】
(7) ガイド柱部1の移動
次いで、ガイド柱部1を吊り上げ、スライド架台部3の移動によりガイド柱部1を新たな位置に移動させ、前記(4) の工程をなし、(5)(6)の工程を実施する。
【0030】
(8) 以上の工程をもって人孔Pの底部の堆積土砂Qの浚渫が終了すれば、バケット部2を取り外し、次いで、ガイド柱部1を順次引き上げながら単位柱10を取り外してゆく。
以上をもって本浚渫施工は終了する。
【0031】
以上において、ガイド柱部1の建込みを作業車輌Hのスライド架台部3を介してなす場合には、工程(2) は工程(1) に先立ってなされ、工程(3) におけるワイヤー49の吊下げ作業は省略される。
【0032】
本実施形態の人孔内の浚渫施工によれば、ガイド柱部1はその長さに制約されず、単位柱10の継足しにより形成されるものであるので、断面の増大を来さず、該ガイド柱部1に装着されるバケット部2とともに人孔Pの開口Oを容易に通過し、深い人孔Pの底部の堆積土砂Qの浚渫を実施できる。
また、ガイド柱部1は比較的短い単位柱10の継足しにより形成されるので、地上部での作業は単位柱10の長さに規定され、地上部での作業を可及的低くでき、このため、電力用架線・橋梁下での作業も可能となる。
更に、バケット部2はガイド柱部1にローラ36をもって案内され、安定して上下動をなし、かつ、下部ガイド柱1Aのリンク機構による跳出し機能をもって浚渫範囲を拡大できる。かつ、バケット部2は駆動ワイヤー50の引下げワイヤー50bによりバケット部2に対して堆積土砂Qに対する押圧力を付与することができ、浚渫性能が増大する。
本実施形態の浚渫装置Sによれば、スライド架台部3は水平に移動自在となっており、ガイド柱部1の位置移動並びに位置調整が容易に実施でき、施工効率が向上する。
【0033】
本実施形態においては、ガイド柱部1は案内フレーム42のシーブ45より吊設されるものであるが、ガイド柱部1の上下動を案内フレーム42に沿ってなす態様を採りうる。
図18はその一態様を示す。図において、先の実施形態と同等の部材については同一の符号が付されている。
案内フレーム42の前面に複数の案内爪70が取り付けられ、ガイド柱部1の上部ガイド柱1Bの背面柱28を摺動可能に抱持する。
【0034】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含される。
▲1▼ガイド柱部1に付き、先の実施形態で示した単位柱10の継手14の構成に限定されず、他の適宜の構成を採りうる。
▲2▼ガイド柱部1に付き、単位柱10の断面構成は先の実施形態に限定されず、他の形状を採りうる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ガイド柱の長大化によってもその断面は一定断面に保持されるので、浚渫バケットの人孔開口部の進入を妨げず、大深度の伏越し人孔の堆積土砂の浚渫が可能となる。
また、ガイド柱は単位長の柱部材を継ぎ足して形成されるものであるので、地上部での高さは可及的に低くされ、狭隘な空間での作業が可能である。
浚渫バケットはガイド柱によって安定して案内され、かつ、下部ガイド柱の跳出し機能により容易に浚渫範囲を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の伏越し人孔における堆積土砂の浚渫装置の一実施形態の全体を示す側面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】本浚渫装置の上部の拡大図。
【図4】図3のIV方向矢視図。
【図5】本浚渫装置のガイド柱部1の下方部の詳細構造図(図6のV方向矢視図)。
【図6】図5のVI方向矢視図。
【図7】下部ガイド柱の作動図。
【図8】単位柱の側面図。
【図9】単位柱の拡大断面図。
【図10】単位柱の継手構造の一態様図。
【図11】上部ガイド柱の構造を示す一態様図。
【図12】浚渫バケットの拡大側面図。
【図13】浚渫バケットの正面図。
【図14】人孔の開口部における配置図。
【図15】バケット部2のワイヤー系の構成例図。
【図16】スライド架台部のベースの構成を示す一態様図。
【図17】本浚渫装置の上部の他の態様図。
【図18】伏越し部の断面図。
【符号の説明】
P…伏越し人孔、O…開口部、Q…堆積土砂、1…ガイド柱部、2…バケット部、3…スライド架台部、10…単位柱
Claims (4)
- 所定の断面を有し、単位長の柱体を継ぎ足して1本のガイド柱を形成しながら人孔中に挿入し、該ガイド柱を人孔中に建て込み、このガイド柱に沿って浚渫用バケットを上下移動可能に装着し、該バケットにより浚渫した土砂をガイド柱の上方へ移動させ、地上に排出する、
ことを特徴とする伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法。 - 請求項1において、ガイド柱の下部は跳ね出し可能とされてなる伏越し人孔における堆積土砂の浚渫方法。
- 単位長さの柱体をもって継ぎ足されるガイド柱;該ガイド柱に沿って上下動自在に装着される浚渫用グラブバケット;からなり、
該ガイド柱の下部は跳ね出し可能とされてなる、
ことを特徴とする伏越し人孔における堆積土砂の浚渫装置。 - 請求項3において、ガイド柱は吊り下げ可能とされる伏越し人孔における堆積土砂の浚渫装置。
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