JP3706082B2 - リードフレーム及びその製造方法並びに該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子を実装するパッケージに用いられるリードフレームに係り、特に、QFN(Quad Flat Non-leaded package)等のリードレス・パッケージ(半導体装置)に使用され、パッケージの樹脂封止工程後のダイシング工程の作業性を高めるのに適応された構造を有するリードフレーム及びその製造方法並びに該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1は従来の一形態に係るQFN等のリードレス・パッケージに使用されるリードフレームの構成を模式的に示したものである。図中、(a)はリードフレームの一部分を平面的に見た構成、(b)は(a)のB−B’線に沿って見たリードフレームの断面構造をそれぞれ示している。
【0003】
図1において、10はリードフレームの一部分を示し、基本的には、外フレーム(図示せず)とその内側でマトリクス状に配列された内フレーム11(「セクションバー」ともいう。)とによって構成されたフレーム構造を有している。かかるリードフレーム10は、銅(Cu)板などの金属板をエッチング加工又はプレス加工して得られる。各フレーム(セクションバー11、外フレーム)によって規定される開口部の中央部には、半導体素子が搭載される矩形状のダイパッド12が配置されている。各ダイパッド12は、その四隅から延在する4本のサポートバー13によって支持され、各サポートバー13は、その周囲のセクションバー11に連結(接続)されて、隣合うダイパッド12間を相互に連結(接続)している。
【0004】
また、各セクションバー11からダイパッド12に向かって複数のリード14が櫛歯状に延在している。つまり、隣合う2つのダイパッド12の対向する側にそれぞれ設けられた櫛歯状に延在する複数のリード14が、セクションバー11を介して電気的に接続されている。また、リードフレーム10の裏面には、パッケージの組み立て工程においてモールディング(樹脂封止)を行う際に封止樹脂のフレーム裏面への漏れ出し(「モールドフラッシュ」ともいう。)を防止するための対策として、接着テープ15が貼り付けられている。また、破線で示すCLは、パッケージの組み立て工程において最終的にリードフレーム10を各パッケージ毎に分割する際の分割線を示す。なお、図1には特に明示していないが、パッケージ毎の分割に際してはセクションバー11全体が除去されるように分割処理が行われる。
【0005】
かかる構成を有するリードフレーム10を用いてパッケージの組み立てを行う場合、その基本的なプロセスとして、リードフレームのダイパッドに半導体素子を搭載する工程(ダイ・ボンディング)、半導体素子の電極とリードフレームのリードとをボンディングワイヤにより電気的に接続する工程(ワイヤ・ボンディング)、半導体素子、ボンディングワイヤ等を封止樹脂により封止する工程(モールディング)、接着テープを剥離した後、封止樹脂により封止されたリードフレームをダイサー等により各パッケージ(半導体装置)単位に分割する工程(ダイシング)などを含む。また、モールディングの形態としては、個々の半導体素子毎に樹脂封止を行う個別モールディング方式や、複数個の半導体素子単位で樹脂封止を行う一括モールディング方式があるが、個別モールディング方式は、一括モールディング方式と比べるとパッケージの組み立ての効率化という点で難点があるため、最近では一括モールディング方式が主流となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
QFN等のパッケージの組み立て工程において封止樹脂による一括モールディングを行った後、各パッケージ単位のダイシングを行う際、上述した従来形(図1)のリードフレーム10の構成によれば、ダイサーにより分割線CLに沿って金属部分(セクションバー11、リード14)と封止樹脂とを同時に切断することになる。
【0007】
しかし、ダイサーは本来、樹脂切断用に適応されたものが多く、このため、比較的軟らかい樹脂と該樹脂に比べて硬い金属とを同時に切断すると、ダイサーの刃の磨耗が早く、またダイシングの加工速度が低下し、ひいては作業性が低下するといった問題があった。
【0008】
また、金属部分と封止樹脂を同時に切断するため、その切断方向の下方側に金属の「バリ」が発生し易く、場合によってはこれらの「バリ」によってリード14間が電気的に短絡するおそれがあり、さらに、金属と樹脂の硬度の違いに起因して、ダイサーの刃のストレスによりリード14が封止樹脂から剥離するといった不都合もあった。その結果、生産性・歩留りの低下をきたすといった問題があった。
【0009】
また、各パッケージ(半導体装置)はその出荷前に検査を行うのが一般的であるが、このような出荷前検査を行う場合、各パッケージ単位に個片化された製品を一つ一つテスト装置に順次セットして行うよりも、むしろ、ダイシングを行う前の段階にあるリードフレームの状態でテスト装置にセットして行った方が、便宜上好ましい。また、ダイシングを行う前の状態で検査を行った方が、一度に多くの半導体装置の検査が可能であることから、時間的にも有利である。
【0010】
しかしながら、従来形(図1)のリードフレーム10の構成によれば、隣合う2つのダイパッド12の対向する側にそれぞれ設けられた櫛歯状に延在する複数のリード14がセクションバー11を介して電気的に接続された状態(つまり、隣合うパッケージ12が互いに電気的に接続された状態)にあるため、パッケージの組み立て工程においてダイシングを行った後でなければ、個々のパッケージの検査を行うことができないといった不便さがあった。
【0011】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、半導体装置の組み立て工程においてダイシングの際に金属バリの発生やリード間の短絡等の不都合を解消すると共に、ダイシングの作業性を向上させ、生産性・歩留りを向上させる一方で、ダイシングを行う前でも個々の半導体装置の検査を可能にするリードフレーム及びその製造方法並びに該リードフレームを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の課題を解決するため、本発明の一形態によれば、半導体装置の実装面側に露出したリード部が外部接続端子として用いられるリードフレームであって、樹脂層を挟んで両側に金属層が積層された3層構造からなり、一方の金属層が、搭載する各半導体素子に対応して画定される複数のダイパッド及び各ダイパッドを相互に連結するサポートバーが配列されるようにパターニングされていると共に、他方の金属層が、前記各ダイパッドに対応してそれぞれ当該ダイパッドの周囲に複数のリードが配列されるようにパターニングされており、前記各ダイパッドに対応する複数のリードが、最終的に各半導体装置毎に分割する際の分割線によって画定される領域の内側領域において、当該ダイパッドから前記樹脂層を介して絶縁されると共に、外方に櫛歯状に延在していることを特徴とするリードフレームが提供される。
【0013】
この形態に係るリードフレームの構成によれば、各ダイパッドに対応する複数のリードは、最終的に分割線に沿ってリードフレームから切り離される部分によって画定される領域の内側にのみ存在している。つまり、従来形に係るリードフレームでは、分割線上に各リードを繋いでおく金属部分(図1のセクションバー11)が存在しているが、本発明に係るリードフレームの構成では、かかる金属部分は存在していない。
【0014】
従って、パッケージ(半導体装置)の組み立て工程において各パッケージ単位のダイシングを行う際、従来のように金属部分(セクションバー、リード)と封止樹脂を同時に切断しなければならないといった不都合は発生せず、封止樹脂のみを切断することができる。これによって、ダイサーの刃の磨耗を抑えることができ、またダイシングの加工速度が上がり、その作業性を向上させることができる。これは、生産性・歩留りの向上に大いに寄与する。
【0015】
また、封止樹脂のみを切断することができるので、従来技術に見られたような金属バリの発生やリード間の短絡等の不都合を解消することができる。
【0016】
さらに、各ダイパッドに対応する複数のリードは分割線(リードフレームから切り離される部分)によって画定される領域の内側にのみ存在しているので、従来のリードフレーム(図1参照)に見られたような、隣合う2つのダイパッドの対向する側にそれぞれ設けられた各リードが金属部分(セクションバー)を介して電気的に接続された状態を解消することができる。つまり、隣合うパッケージが互いに電気的に絶縁された状態を実現することができる。その結果、一括モールディングを行った後、各パッケージ単位のダイシングを行う前の段階でも、個々のパッケージ(半導体装置)の検査を行うことが可能となる。
【0017】
また、本発明の他の形態によれば、樹脂層を挟んで両側に金属層が積層されたラミネート材を用意する工程と、前記ラミネート材の両面の金属層上にレジストを塗布又は積層し、一方のレジストについては、当該金属層の、搭載する各半導体素子に対応して画定される複数のダイパッド及び各ダイパッドを相互に連結するサポートバーに対応する領域が被覆されるようにパターニングを行い、かつ、他方のレジストについては、当該金属層の、最終的に各半導体装置毎に分割する際の分割線によって画定される領域の内側領域において前記各ダイパッドから外方に櫛歯状に延在する複数のリードに対応する領域が被覆されるようにパターニングを行う工程と、前記ラミネート材の、前記パターニングされたレジストで被覆されていない部分の金属層のみを除去する工程と、前記ラミネート材の、前記パターニングされたレジストで被覆されていない部分の樹脂層を、前記パターニングされたレジストと共に除去する工程とを含むことを特徴とするリードフレームの製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明のさらに他の形態によれば、上記のリードフレームを用いた半導体装置の製造方法であって、前記リードフレームの各ダイパッド上に半導体素子を搭載し、該半導体素子の電極と前記リードフレームの対応する複数のリードとをボンディングワイヤにより電気的に接続する工程と、前記半導体素子、前記ボンディングワイヤ及び前記複数のリードを、前記リードフレームの半導体素子を搭載した面側から封止樹脂により封止する工程と、樹脂封止工程の後、前記接着テープを剥離する工程と、前記封止樹脂により封止されたリードフレームを、各ダイパッドに対応する複数のリードを含む領域の外周に沿って各半導体装置に分割する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図2は本発明の一実施形態に係るQFN等のリードレス・パッケージに使用されるリードフレームの構成を模式的に示したものである。図中、(a)はリードフレームの一部分を平面的に見た構成、(b)は(a)のB−B’線に沿って見たリードフレームの断面構造をそれぞれ示している。
【0020】
本実施形態に係るリードフレーム20は、図2(b)に示すように、基本的には、樹脂層21を挟んで両側に金属層が積層された3層構造からなっている。後述するように、一方の金属層(図示の例では上側)を所要の形状にパターニングすることでダイパッド22及びサポートバー23が形成され、他方の金属層(図示の例では下側)を所要の形状にパターニングすることでリード24が形成されている。
【0021】
また、リード24を構成する金属層の、ダイパッド22が形成されている側と反対側の面には、接着テープ25が貼り付けられている。この接着テープ25の貼り付け(テーピング)は、従来形(図1)の場合と同様に、パッケージ(半導体装置)の組み立て工程においてモールディング(樹脂封止)を行う際に封止樹脂のフレーム裏面への漏れ出し(モールドフラッシュ)を防止するための対策として行われる。また、破線で示すCLは、図1の例示と同様に、最終的にリードフレーム20を各パッケージ毎に分割する際の分割線を示す。
【0022】
図2(a)に示すように、各ダイパッド22は、搭載する各半導体素子に対応してマトリクス状に配列され、その四隅から延在する4本のサポートバー23によって支持されており、各サポートバー23は、各ダイパッド22を相互に連結するように接続されている。一方、各ダイパッド22に対応して設けられる複数のリード24は、当該ダイパッド22の周囲に配列され、後述するようにパッケージ(半導体装置)の組み立てを行うときに各半導体装置毎に分割線CLに沿ってリードフレーム20から切り離される部分によって画定される領域(図中、破線で囲まれた領域)の内側において、当該ダイパッド22から樹脂層21を介して絶縁されると共に、外方に櫛歯状に延在している。各リード24は、搭載する半導体素子の電極にボンディングワイヤを介して電気的に接続されるインナーリード部と、実装用基板の配線に電気的に接続されるアウターリード部(最終的に半導体装置として構成されたときに実装面側に露出するリード部、すなわち外部接続端子)とからなっている。
【0023】
従来形(図1)に係るリードフレーム10では、分割線CL上に、隣合う2つのダイパッド12の対向する側にそれぞれ設けられた各リード14を相互に繋いでおく金属部分(セクションバー11)が存在しているが、本実施形態(図2)に係るリードフレーム20は、そのセクションバー11に相当する金属部分を無くしたことを特徴とする。但し、本実施形態では、その分割線CLに沿った部分に、各ダイパッド22を相互に連結するサポートバー23が交差している僅かな金属部分は存在している。
【0024】
すなわち、従来形(図1)では、各ダイパッド12に対応する複数のリード14は分割線CL上に位置するセクションバー11に連結され、そのセクションバー11から当該ダイパッドに向かって櫛歯状に延在しているのに対し、本実施形態(図2)では、各ダイパッド22に対応する複数のリード24は、分割線CLによって画定された領域の内側において、当該ダイパッドから外方に櫛歯状に延在しており、この点で両者の構成は相違している。
【0025】
次に、本実施形態に係るリードフレーム20を製造する方法について、その製造工程の一例を示す図3を参照しながら説明する。
【0026】
先ず最初の工程では(図3(a)参照)、樹脂層31を挟んでその上下に金属層32及び33が積層されたラミネート材30を用意する。
【0027】
ラミネート材30を構成する材料としては、下層から順に、例えば、銅/ポリイミド樹脂/銅が用いられる。また、ラミネート材30の形態としては、好適には、ポリイミドフィルムやエポキシフィルム(樹脂層31)の両面に銅箔(金属層32,33)を張り付け、加熱及び加圧して積層したものが用いられる。別の形態としては、ビルドアップ多層配線基板において用いられているような銅張積層板を用いることができ、例えば、ガラス基材にポリイミド樹脂を含浸させたシート状の絶縁性部材を必要枚数重ね(樹脂層31)、その両面に銅箔(金属層32,33)を載せ、加熱及び加圧して積層した板材を用いることができる。
【0028】
樹脂層31を構成する材料としては、ポリイミド樹脂以外にも、例えば、耐熱性のエポキシ樹脂、熱硬化性のポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂等が用いられる。また、金属層32,33を構成する材料としては、銅(Cu)以外にも、例えば、Cuをベースにした合金や、鉄−ニッケル(Fe−Ni)もしくはFe−Niをベースにした合金等が用いられる。
【0029】
次の工程では(図3(b)参照)、3層構造のラミネート材30の両面(金属層32,33上)にエッチングレジストを塗布又は積層し、それぞれ所要の形状にパターニングされたマスク(図示せず)を用いて当該エッチングレジストのパターニングを行い、レジストパターン34及び35を形成する。
【0030】
この場合、上側のエッチングレジストについては、金属層32の、搭載する各半導体素子に対応して画定される複数のダイパッド22及び各ダイパッド22を相互に連結するサポートバー23に対応する領域が被覆されるように、当該レジストのパターニングを行う(レジストパターン34)。一方、下側のエッチングレジストについては、金属層33の、最終的に各半導体装置毎に分割する際の分割線CLによって画定される領域の内側において各ダイパッド22から外方に櫛歯状に延在する複数のリード24に対応する領域が被覆されるように、当該レジストのパターニングを行う(レジストパターン35)。
【0031】
エッチングレジストとしては、必要に応じて液状又はフィルム状のレジストが用いられる。液状レジストは、スプレーコータやローラーコータ等(感光性の場合)、もしくはスクリーン印刷(非感光性の場合)で塗布され、フィルム状レジストは、ロールラミネータによって積層される。本実施形態では、エッチングレジストとしてポジ型の感光性レジスト(光照射部分がアルカリ系現像液に可溶なもの)を用いている。
【0032】
次の工程では(図3(c)参照)、ラミネート材30の両面に被覆されたレジストパターン34,35をマスクとして、両面からの同時エッチングにより、金属層32,33の露出している部分のみを除去する。
【0033】
これは、酸溶液(例えば、塩化第二鉄のエッチング液)を用いて行うことができる。これによって、露出している部分の金属(Cu)が溶解され、樹脂層31が露出する。
【0034】
次の工程では(図3(d)参照)、さらに両面からの同時エッチングにより、パターニングされたレジスト(パターン34,35)と共に、樹脂層31の露出している部分を同時に除去する。
【0035】
これは、アルカリ溶液(例えば、水酸化ナトリウムのエッチング液)を用いて行うことができる。これによって、露出している部分の樹脂(ポリイミド)と共にポジ型の感光性レジストも同時に溶解され、各ダイパッド22及びそれに対応する複数のリード24が露出する。
【0036】
この工程では、露出している部分の樹脂層(ポリイミド)31とレジスト(パターン34,35)を同時に除去しているが、使用するアルカリ溶液の種類によっては、必ずしも同じアルカリ溶液で同時に除去できない場合もあり得る。この場合には、当然、露出している部分の樹脂層(ポリイミド)31の除去と、レジスト(パターン34,35)の除去を別々の工程で行うことになる。
【0037】
最後の工程では(図3(e)参照)、リード24を構成する金属層の、ダイパッド22が形成されている側と反対側(図示の例では下側)の面に、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなる接着テープ25を貼り付ける。これによって、本実施形態のリードフレーム20(図2)が作製されたことになる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るリードフレーム20及びその製造方法によれば、搭載する半導体素子に対応してそれぞれ画定された各ダイパッド22に対応する複数のリード24は、分割線CL(最終的にリードフレーム20から切り離される部分)によって画定された領域の内側にのみ存在している。すなわち、従来形に係るリードフレーム10(図1参照)では、分割線CL上に各リード14を繋いでおくセクションバー11(金属部分)が存在しているが、本実施形態では、かかるセクションバーに相当する金属部分は存在していない。
【0039】
従って、本実施形態に係るリードフレーム20を用いてパッケージ(半導体装置)の組み立てを行う場合、最終工程でのダイシングを行う際に、金属部分(セクションバー、リード24)を切断する必要はなく、実質上樹脂部分(後述する図5(d)に示す封止樹脂43の部分)のみを切断することができる。これによって、従来技術に見られたような不都合(ダイサーの刃の磨耗が早く、ダイシングの加工速度が低下し、作業性が低下するといった問題や、金属の「バリ」の発生、リード間の短絡等の不都合)を解消することができ、ひいては生産性・歩留りの向上を図ることが可能となる。
【0040】
また、各ダイパッド22に対応する各リード24は分割線CLによって画定された領域の内側にのみ存在しているので、隣合う2つのダイパッド22の対向する側にそれぞれ設けられた各リード24は、分割線CLを挟んで互いに電気的に絶縁された状態にある。つまり、従来形に係るリードフレーム10(図1)に見られたような、隣合う2つのダイパッド12にそれぞれ対応する各リード14がセクションバー11を介して電気的に接続された状態を解消することができる。これによって、ダイシングを行う前の段階(一括モールディングを行った後の段階)でも、個々のパッケージ(半導体装置)の検査を行うことが可能となる。
できる。
【0041】
図4は、上述した実施形態に係るリードフレーム20(図2)を用いて作製されたQFNのパッケージ構造を有する半導体装置の構成を示したものである。
【0042】
図4において、40は半導体装置、41はダイパッド22上に搭載された半導体素子、42は半導体素子41の各電極と各リード24とをそれぞれ電気的に接続するボンディングワイヤ、43は半導体素子41、ボンディングワイヤ42等を保護するための封止樹脂を示す。
【0043】
以下、この半導体装置40を製造する方法について、その製造工程を示す図5を参照しながら説明する。
【0044】
最初の工程では(図5(a)参照)、複数の半導体素子41をリードフレーム20に実装する。
【0045】
先ず、リードフレーム20の接着テープ25が貼り付けられている側の面を下にして保持用の治具(図示せず)で保持し、リードフレーム20の各ダイパッド22上にそれぞれ半導体素子41を搭載する。具体的には、ダイパッド22にエポキシ系樹脂等の接着剤を塗布し、半導体素子41の裏面(電極が形成されている側と反対側の面)を下にして、接着剤によりダイパッド22に半導体素子41を接着する(ダイ・ボンディング)。
【0046】
次に、各半導体素子41の各電極とリードフレーム20の一方の面側(図示の例では上側)の対応する各リード24とをそれぞれボンディングワイヤ42により電気的に接続する(ワイヤ・ボンディング)。これによって、各半導体素子41がリードフレーム20に実装されたことになる。
【0047】
次の工程では(図5(b)参照)、一括モールディング方式により、リードフレーム20の半導体素子41が搭載されている側の全面を封止樹脂43で封止する。これは、特に図示はしないが、モールディング金型(1組の上型及び下型)の下型上にリードフレーム20を載せ、上方から上型で挟み込むようにして、封止樹脂43を充填しながら加熱及び加圧処理することにより行われる。封止の手法としては、例えばトランスファモールドが用いられる。
【0048】
次の工程では(図5(c)参照)、封止樹脂43で封止されたリードフレーム20(図5(b))をモールディング金型から取り出し、接着テープ25をリードフレーム20から剥離して除去する。この接着テープ25の除去により、半導体装置の実装面側が露出し、外部接続端子となるリード24が封止樹脂43と同一面に露出する。
【0049】
最後の工程では(図5(d)参照)、ダイサー等により、破線で示すように分割線CL(図2(a)に示す分割線CLと同じ)に沿って、それぞれ1個の半導体素子41が含まれるように各パッケージ(半導体装置)単位に分割する。これによって、QFNのパッケージ構造を有する半導体装置40(図4)が作製されたことになる。
【0050】
上述した実施形態では、リードフレーム20(図2)を用いて作製される半導体装置40(図4)の形態として、半導体素子41が搭載されたダイパッド22が封止樹脂43中に埋め込まれている場合を例にとって説明したが、半導体装置の形態はこれに限定されないことはもちろんである。例えば、半導体素子を搭載するダイパッドを外部に露出させるようにしてもよい。この場合、その半導体装置の基板として用いるリードフレームの形状に若干の変更を加える必要がある。この場合のリードフレームの製造工程の一例を図6に示す。
【0051】
図6に示す実施形態に係るリードフレーム20aの製造工程は、基本的には図3に示したリードフレーム20の製造工程と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0052】
但し本実施形態の場合、図6(b)の工程において、3層構造のラミネート材30の両面(金属層32,33上)にエッチングレジストを塗布又は積層し、それぞれ所要の形状にパターニングされたマスク(図示せず)を用いて当該エッチングレジストのパターニングを行う際に、レジストパターン34及び35と共にレジストパターン36を形成している。
【0053】
この場合、上側のエッチングレジストについては、図3(b)の工程で行った処理と同様にしてレジストパターン34を形成し、下側のエッチングレジストについては、金属層33の、最終的に各半導体装置毎に分割する際の分割線CLによって画定される領域の内側において各ダイパッド22から外方に櫛歯状に延在する複数のリード24に対応する領域と、各ダイパッド22に対応する位置において当該ダイパッドの周囲の複数のリード24から分離して画定されるダイパッド支持層26(図6(d)参照)に対応する領域とが被覆されるように、当該レジストのパターニングを行う(レジストパターン35及び36)。
【0054】
図6(c)以降の工程については、図3(c)以降の工程で行った処理と同じであるので、その説明は省略する。
【0055】
図6に示す製造工程によって得られるリードフレーム20aの構成によれば、図6(e)に示すように、半導体素子を搭載するダイパッド22は、樹脂層27を介してダイパッド支持層26に接合されている。図示の接着テープ25については、上述したようにパッケージ(半導体装置)の組み立て工程において最終的にリードフレーム20aから剥離除去されるので、このとき、ダイパッド支持層26は外部に露出することになる。つまり、このダイパッド支持層26を介してダイパッド22が間接的に外部に露出する。この構造により、ダイパッド22上の半導体素子から発生する熱は、ダイパッド支持層26を介してパッケージ外部に効果的に放出される。
【0056】
このように本実施形態に係るリードフレーム20a(図6)によれば、上述した実施形態(図2,図3)に係るリードフレーム20によって得られる効果に加えて、更に、半導体素子を搭載したときに当該素子から発生される熱を外部に放熱する「ヒートスプレッダ(又はヒートシンク)」としての機能をもたせることができる。
【0057】
図7は、上述した実施形態に係るリードフレーム20a(図6)を用いて作製されたQFNのパッケージ構造を有する半導体装置の構成を示したものである。図7に示す半導体装置40aの構成は、基本的には図4に示した半導体装置40の構成と同じであり、それぞれの基板として用いるリードフレーム20a,20の形状においてのみ相違する。また、この半導体装置40aを製造する方法についても、図5に示した半導体装置40の製造工程と同じであるので、その説明は省略する。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、従来の構成では分割線(リードフレームから切り離される部分)上に存在していた各リードを繋いでおく金属部分を無くすことにより、パッケージ(半導体装置)の組み立て工程においてダイシングの際に金属バリの発生やリード間の短絡等の不都合を解消し、ダイシングの作業性を向上させ、生産性・歩留りを向上させる一方で、ダイシングを行う前の段階でも個々のパッケージの検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一形態に係るリードフレームの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るリードフレームの構成を模式的に示す図である。
【図3】図2のリードフレームの製造工程の一例を示す断面図である。
【図4】図2のリードフレームを用いた半導体装置の構成を示す断面図である。
【図5】図4の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るリードフレームの製造工程の一例を示す断面図である。
【図7】図6のリードフレームを用いた半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
20,20a…リードフレーム、
21,27,31…樹脂層、
22…ダイパッド(金属層)、
23…サポートバー(金属層)、
24…リード(金属層)、
25…接着テープ、
26…ダイパッド支持層(金属層)、
30…ラミネート材、
32,33…金属層、
34〜36…レジストパターン、
40,40a…半導体装置、
41…半導体素子、
42…ボンディングワイヤ、
43…封止樹脂、
CL…分割線。
Claims (9)
- 半導体装置の実装面側に露出したリード部が外部接続端子として用いられるリードフレームであって、
樹脂層を挟んで両側に金属層が積層された3層構造からなり、
一方の金属層が、搭載する各半導体素子に対応して画定される複数のダイパッド及び各ダイパッドを相互に連結するサポートバーが配列されるようにパターニングされていると共に、
他方の金属層が、前記各ダイパッドに対応してそれぞれ当該ダイパッドの周囲に複数のリードが配列されるようにパターニングされており、
前記各ダイパッドに対応する複数のリードが、最終的に各半導体装置毎に分割する際の分割線によって画定される領域の内側領域において、当該ダイパッドから前記樹脂層を介して絶縁されると共に、外方に櫛歯状に延在していることを特徴とするリードフレーム。 - 前記他方の金属層が、さらに、前記各ダイパッドに対応する位置において当該ダイパッドの周囲の複数のリードから分離して画定されるダイパッド支持層が配列されるようにパターニングされており、
該ダイパッド支持層が、前記樹脂層を介して当該ダイパッドに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。 - 前記複数のリードを構成する金属層の、前記各ダイパッドが形成されている側と反対側の面に、接着テープが貼り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリードフレーム。
- 樹脂層を挟んで両側に金属層が積層されたラミネート材を用意する工程と、
前記ラミネート材の両面の金属層上にレジストを塗布又は積層し、一方のレジストについては、当該金属層の、搭載する各半導体素子に対応して画定される複数のダイパッド及び各ダイパッドを相互に連結するサポートバーに対応する領域が被覆されるようにパターニングを行い、かつ、他方のレジストについては、当該金属層の、最終的に各半導体装置毎に分割する際の分割線によって画定される領域の内側領域において前記各ダイパッドから外方に櫛歯状に延在する複数のリードに対応する領域が被覆されるようにパターニングを行う工程と、
前記ラミネート材の、前記パターニングされたレジストで被覆されていない部分の金属層のみを除去する工程と、
前記ラミネート材の、前記パターニングされたレジストで被覆されていない部分の樹脂層を、前記パターニングされたレジストと共に除去する工程とを含むことを特徴とするリードフレームの製造方法。 - 前記レジストのパターニングを行う工程において、前記他方のレジストについて、さらに、当該金属層の、前記各ダイパッドに対応する位置において当該ダイパッドの周囲の複数のリードから分離して画定されるダイパッド支持層に対応する領域が被覆されるようにパターニングを行うことを特徴とする請求項4に記載のリードフレームの製造方法。
- 前記ラミネート材の、前記パターニングされたレジストで被覆されていない部分の樹脂層を、前記パターニングされたレジストと共に除去する工程に代えて、
前記ラミネート材の、前記パターニングされたレジストで被覆されていない部分の樹脂層を除去する工程と、
前記パターニングされたレジストを除去する工程とを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のリードフレームの製造方法。 - 前記複数のリードを構成する金属層の、前記各ダイパッドが形成されている側と反対側の面に、接着テープを貼り付ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のリードフレームの製造方法。
- 請求項3に記載のリードフレームを用いた半導体装置の製造方法であって、
前記リードフレームの各ダイパッド上に半導体素子を搭載し、該半導体素子の電極と前記リードフレームの対応する複数のリードとをボンディングワイヤにより電気的に接続する工程と、
前記半導体素子、前記ボンディングワイヤ及び前記複数のリードを、前記リードフレームの半導体素子を搭載した面側から封止樹脂により封止する工程と、
樹脂封止工程の後、前記接着テープを剥離する工程と、
前記封止樹脂により封止されたリードフレームを、各ダイパッドに対応する複数のリードを含む領域の外周に沿って各半導体装置に分割する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記封止樹脂による封止は、前記リードフレームの半導体素子が搭載されている側の全面に対し樹脂封止を行う一括モールディング方式により行うことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
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