JP3705897B2 - 鉄道車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用のブレーキ装置に関し、特に、主電動機を制御する制御装置が台車ごとに若しくは軸ごとに個別の可変電圧可変周波数(VVVF)制御装置である場合に対応したブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、特開平8−67240号公報に記載された従来の鉄道車両用ブレーキ装置を示すブロック図である。図において、応荷重弁122を除く他の部分がブレーキ装置である。ブレーキ装置は、軸ごとに又は台車ごとに個別のVVVF制御装置の各々に対応して設けられ、ブレーキ受量器121、制御弁部123、中継弁124及び圧力センサ125により構成されている。ブレーキ受量器121はさらに、制御部130、出力部131及び132により構成されている。
【0003】
制御部130には、常用ブレーキ指令、滑走検知用の速度信号及び圧力センサ125からのブレーキ指令圧フィードバック信号がそれぞれ入力されている。また、出力部131及び132の出力信号が、異常監視のため、接続線150を介して制御部130に入力されている。制御部130は、出力部131に対してブレーキ指令圧制御信号を出力する。出力部131は、ブレーキ指令圧制御信号を受けてブレーキ指令圧信号を出力し、制御弁部123を駆動する。
【0004】
上記出力部131には、制御部130、出力部131及び132のうちのいずれかが故障したとき開路するリレー接点Ry2を介して非常ブレーキ指令が入力されるようになっている。この非常ブレーキ指令は、電圧の喪失という形で指令が出力される。すなわち、所定の電圧が維持されているときは「指令なし」であり、無電圧になれば「指令あり」である。従って、制御部130等が正常で、非常ブレーキ指令が出力されていないときは、リレー接点Ry2を介して出力部131への通電がなされている。
一方、出力部132は出力部131と並列に設けられ、非常ブレーキ時の滑走制御の際に閉路するリレー接点Ry1を介して別の電源に接続されている。
【0005】
応荷重弁122には、車両の前台車の荷重に相当する空気ばね圧力及び後台車の荷重に相当する空気ばね圧力が入力されるとともに、供給空気溜からの圧縮空気が入力されている。この応荷重弁122は、両空気ばね圧力の平均値に比例する圧力であって且つその荷重のときに非常ブレーキを作用させるために必要な圧力の圧縮空気を出力するように構成されている。
制御弁部123は、3ポートを有する3位置切換電磁弁134で構成され、応荷重弁122の出力する圧縮空気が入力されている。ソレノイド135が非励磁のときは連通位置136となって、圧縮空気を通過させる。ソレノイド135が少し励磁されると遮断位置137となり、中継弁124側の現状の圧力が維持される。また、ソレノイド135が強く励磁されると、中継弁124側の圧力を解放する排気位置138となる。
【0006】
中継弁124は、通常のバランス型のものであり、圧力室139が3位置切換電磁弁134の出力ポートに接続されている。この圧力室139に、ブレーキ指令に対応する指令圧力の空気が供給されることにより、別の供給空気溜からの空気がブレーキ圧とされてブレーキシリンダ(図示せず。)へ供給され、ブレーキシリンダがブレーキ動作をする。
圧力センサ125は圧力室139へ供給される空気圧すなわちブレーキ指令圧を検出して、ブレーキ受量器121の制御部130へこれを電気信号でフィードバックする。
【0007】
上記のように構成された従来の鉄道車両用ブレーキ装置において、ブレーキ受量器121にブレーキ指令が入力されていないときは、制御部130から出力される所定のブレーキ指令圧制御信号によって駆動された出力部131は大きな電流値を出力する。これにより、ソレノイド135が強励磁されるので、3位置切換電磁弁134は排気位置138に保たれる。このため、中継弁124の圧力室139は排気状態であり、ブレーキ力は発生していない。
ブレーキ受量器121に対して、通常7段階あるうちのいずれかの段階の常用ブレーキ指令が入力されたときは、制御部130は、所定のブレーキ指令圧制御信号を出力して、出力部131の出力をオフにする。従って、ソレノイド135が非励磁となって3位置切換電磁弁134は連通位置となる。この結果、圧力室139の圧力が立ち上がり、ブレーキシリンダへ圧縮空気が供給されてブレーキがかかる。このとき圧力室139に供給されているブレーキ指令圧は圧力センサ125により検出され、ブレーキ指令圧フィードバック信号として制御部130に送られる。
【0008】
制御部130は、ブレーキ指令圧フィードバック信号に基づいて、常用ブレーキ指令に対応するブレーキ力を発生させる圧力に達したことを検知すると、ブレーキ指令圧制御信号を、小電流値出力に相応した信号に変化させる。これによって出力部131から出力されるブレーキ指令圧信号は小電流値となる。この結果、3位置切換電磁弁134は遮断位置137に切り換わるので、現在のブレーキ圧が維持される。常用ブレーキ指令の段階が変化した場合は、その段階に対応したブレーキ圧を生じるように3位置切換電磁弁134を適宜切り換えて、ブレーキ圧を増減させる。
この常用ブレーキ作動中に車輪の滑走が生じると、制御部130は速度信号に基づいて滑走を検出する。これにより、滑走制御が行われる。すなわち、出力部131を介して3位置切換電磁弁134のソレノイド135が駆動され、ブレーキを緩めることで車輪のロックを防ぎつつ、ブレーキを作用させる。こうして、適切な滑走制御が行われ、安定した制動力が得られる。
【0009】
ブレーキ受量器121に非常ブレーキ指令が入力されたとき、すなわち非常ブレーキ接続線133を通じての通電が停止されたときは、出力部131の出力がオフの状態となる。これにより、3位置切換電磁弁134は連通位置136となり、圧力室139の圧力が非常ブレーキ指令圧まで立ち上がる。従って、ブレーキシリンダに圧縮空気が供給されて非常ブレーキがかかる。
この非常ブレーキ作動中に車輪の滑走を生じると、リレー接点Ry1が閉路され、出力部132を介して前述と同様の滑走制御が行われる。
【0010】
一方、電車の力行中や惰行中のブレーキ緩め状態において、制御部130等に故障が発生した場合は、制御部130からのバックアップ指令によってリレー接点Ry2が開くように構成されている。リレー接点Ry2が開くことにより、非常ブレーキ接続線133を通じての通電が強制停止させられるため、出力部131の出力はオフとなる。これは非常ブレーキ指令圧信号が出力された状態と同じであり、3位置切換電磁弁134は連通位置136となる。この結果、非常ブレーキがかかる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の鉄道車両用ブレーキ装置においては、制御部130等に故障が発生した場合、無条件に非常ブレーキが作用する。ところが、電車の力行中や惰行中に制御部130等の故障が発生した場合には、運転士の意に反して不必要に非常ブレーキが作用することとなり、電車の運行を阻害するという問題点があった。
【0012】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、制御部に故障が発生しても電車の運行を阻害せず、しかも安全性を損なわない鉄道車両用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の鉄道車両用ブレーキ装置は、非常ブレーキ指令圧を受けるとともに、連通、遮断及び排出の各切換位置に切換制御され、この非常ブレーキ指令圧を所望のブレーキ指令圧として出力する電磁制御弁と、常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令を受けるとともに、前記電磁制御弁を切換駆動するためのブレーキ指令圧信号を出力するブレーキ受量部とを有し、前記ブレーキ受量部は、前記ブレーキ指令圧信号を電磁制御弁に出力する出力部と、常用ブレーキ指令に基づいて前記出力部を制御するブレーキ指令圧制御信号を出力する制御部と、この制御部又は前記出力部の故障を検出して、前記出力部を遮断する故障検出接点とを有するものであり、前記電磁制御弁は、消磁状態で非常ブレーキ圧力をそのまま出力する連通位置となるものである鉄道車両用ブレーキ装置において、
前記ブレーキ受量部に、前記出力部とは独立して作動可能に設けられ、前記電磁制御弁を排出位置に付勢する補償出力部と、常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態であることを判断する検知手段と、この検知手段の作動を受けて、前記補償出力部を前記電磁制御弁に接続する切換手段とを備え、前記ブレーキ受量器は、前記故障検出接点が動作した場合、前記常用ブレーキ指令の有・無に基づいて、それぞれ非常ブレーキ指令を発令・解除の状態とするものである(請求項1)。
【0014】
上記のように構成された鉄道車両用ブレーキ装置においては、電車の力行中や惰行中に制御部又は出力部の故障が検出された場合、故障検出接点によって出力部は遮断される。しかし、このような場合でも、常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態である限り、補償出力部が電磁制御弁を排出位置に保つ。従って、ブレーキ緩めの状態が維持され、電車の運行を維持することができる。そして、この状態において常用ブレーキ指令が検知されたとき、切換手段の切換動作により補償出力部も作動しない状態になり、電磁制御弁は連通位置になる。これにより非常ブレーキが作用する。なお、このようにして一旦非常ブレーキが作用しても、その後常用ブレーキ指令が解除されれば、補償出力部が作動してブレーキは再び緩め状態となる。
【0015】
また、本発明の鉄道車両用ブレーキ装置は、上記ブレーキ装置の切換手段に代えて、検知手段が作動し、かつ、前記故障検出接点が作動すると、前記補償出力部を前記電磁制御弁に接続する切換手段を備えたものであってもよい(請求項2)。
【0016】
上記のように構成された鉄道車両用ブレーキ装置(請求項2)においては、電車の力行中や惰行中に制御部又は出力部の故障が検出された場合、故障検出接点によって出力部は遮断される。しかし、このような場合でも、常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態である限り、補償出力部が電磁制御弁を排出位置に保つ。従って、ブレーキ緩めの状態が維持され、電車の運行を維持することができる。そして、この状態において常用ブレーキ指令が検知されたとき、切換手段により補償出力部も作動しない状態になり、電磁制御弁は連通位置になる。これにより非常ブレーキが作用する。なお、このようにして一旦非常ブレーキが作用しても、その後常用ブレーキ指令が解除されれば、補償出力部が作動してブレーキは再び緩め状態となる。なお、切換手段はブレーキ緩め状態で且つ故障が発生した場合に動作するので、故障が発生していない正常な状態ではブレーキ緩め状態であっても動作しない。従って、切換手段の動作回数が少なく、耐久性が向上する。また、切換手段の動作による電力消費も抑止できる。
【0017】
また、上記鉄道車両用ブレーキ装置(請求項1又は2)において、検知手段は、制御部とは別個の装置として独立して設けられているものであってもよい(請求項3)。
一般に、制御部が故障した場合は、その電源が切れて制御停止状態となるが、上記のように構成されたブレーキ装置においては、かかる場合にも、検知手段によって常用ブレーキ指令を確実に受けとり、これに基づいてブレーキ制御を行うことができる。
【0018】
また、上記鉄道車両用ブレーキ装置(請求項1又は2)において、出力部及び補償出力部は共に、非常ブレーキ指令が出力されると通電状態を断つ非常ブレーキ指令線を電源とするものであってもよい(請求項4)。
このように構成されたブレーキ装置においては、補償出力部によって電磁制御弁を排出位置に維持してブレーキ緩め状態を保っている場合であっても、非常ブレーキ指令があればその出力が失われる。従って、常に非常ブレーキを優先して安全に電車の運行を行うことができる。
【0019】
また、上記鉄道車両用ブレーキ装置(請求項1又は2)において、切換手段は、出力部及び補償出力部のいずれか一方のみの作動を有効にするものであってもよい(請求項5)。
このように構成されたブレーキ装置においては、例えば接点の故障等により出力部及び補償出力部の双方の作動が有効となることを確実に防止できる。従って、誤ってブレーキ緩め指令が出力されることによる危険性を排除して、より安全な鉄道車両用ブレーキ装置を提供できる。
【0020】
また、上記鉄道車両用ブレーキ装置(請求項1又は2)において、電磁制御弁は3位置切換電磁弁であってもよい(請求項6)。
3位置切換電磁弁は強弱2レベルの入力と、入力なしとによって3位置の切換が可能である。従って、回路構成が簡単である。
【0021】
【発明の実施の形態】
《実施形態1》
図1は、本発明の第1の実施形態による鉄道車両用ブレーキ装置及びその周辺装置を示すブロック図である。図において、ブレーキ装置100は、ブレーキ受量器1、圧力センサ2及び電空変換中継弁3によって構成されている。また、ブレーキ装置100の周辺装置として、供給空気溜4、応荷重弁5及びブレーキシリンダ6が設けられている。ブレーキ装置100は、軸ごとに又は台車ごとに個別のVVVF制御装置の各々に対応して設けられている。
上記ブレーキ受量器1は、常用ブレーキ指令検知部11、制御部12、第1出力部13、第2出力部14、定電流出力部(補償出力部)15及び切換手段としてのリレー16を主たる構成要素として構成されている。また、電空変換中継弁3は、3位置切換電磁弁(電磁制御弁)31及び中継弁32によって構成されている。
【0022】
上記ブレーキ受量器1において、常用ブレーキ指令検知部11は、電路L1から常用ブレーキ指令を入力されると、接点11b(b接点)を開路する。なお、この常用ブレーキ指令検知部11は接点11bとともに、常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態であることを判断する検知手段として用いられている。
制御部12には電路L1から常用ブレーキ指令が入力される。また、制御部12には電路L2から滑走検知用の速度信号が入力される。また、さらに、制御部12には電路L3から圧力センサ2のブレーキ指令圧フィードバック信号が入力される。一方、制御部12は、第1出力部13及び第2出力部14をそれぞれ駆動するブレーキ指令圧制御信号S1及びS2を提供する。また、制御部12は接点12a1及び12a2を駆動する。接点12a1(a接点)は、従来技術と同様に、制御部12、第1出力部13及び第2出力部14のうちのいずれかの故障を検知すると開路される接点である。また、接点12a2(a接点)は、非常ブレーキ時の滑走制御の際に閉路される接点である。
リレー16のコイル16cは、上記の接点11bを介して、非常ブレーキ指令線としての電路L4と接続されている。このリレー16は、接点16a(a接点)及び16b(b接点)を有している。なお、非常ブレーキ指令は、指令ありのとき電路L4に印加される電圧が失われ、指令なし(通常)のとき電路L4に所定の電圧が印加される。
【0023】
第1出力部13は、電源側(上)が上記接点12a1を介して電路L4と接続されている。また、その負荷側(下)は、逆流防止用の整流器17及び上記接点16bを介して電空変換中継弁3内の3位置切換電磁弁31に接続されている。第2出力部14は、電源側が上記接点12a2を介して、独立した電源が供給される電路L5に接続されている。また、その負荷側は、逆流防止用の整流器18を介して第1出力部13の負荷側電路と合流し、さらに、接点16bを介して3位置切換電磁弁31と接続されている。
定電流出力部15は電源側が電路L4に接続されている。また、その負荷側が接点16a及び逆流防止用の整流器19を介して3位置切換電磁弁31と接続されている。また、定電流出力部15は、電路L5に供給される独立した電源から一定の制御信号S3を受けて駆動されている。
【0024】
一方、応荷重弁5は、車両の前台車の荷重に相当する空気ばね圧力及び後台車の荷重に相当する空気ばね圧力が入力されるとともに、供給空気溜4から圧縮空気が入力されている。そして、両空気ばね圧力の平均値に比例し且つその荷重のときに非常ブレーキを作用させるために必要な圧力の圧縮空気を出力するように構成されている。
3ポートを有する3位置切換電磁弁31には、応荷重弁5の出力する圧縮空気が入力されている。ソレノイド31aが非励磁のときは連通位置P1となって、圧縮空気を通過させる。ソレノイド31aが少し励磁(弱励磁)されると遮断位置P2となり、2次側(中継弁32側)の現状圧力が維持される。また、ソレノイド31aが強く励磁されると、中継弁32側の圧力を解放する排気位置P3となる。
【0025】
中継弁32は、通常のバランス型のものである。この中継弁32の入力側は、3位置切換電磁弁31の出力ポート及び圧縮空気溜4と接続されている。また、中継弁32の出力側は、ブレーキシリンダ6と接続されている。中継弁32の圧力室32aに、ブレーキ指令に対応する指令圧力の空気が3位置切換電磁弁31から供給されることにより、供給空気溜4からの空気がブレーキ圧とされてブレーキシリンダ6へ供給される。これにより、ブレーキが作用する。3位置切換電磁弁31の出力ポートに接続された圧力センサ2は、圧力室32aへ供給される空気圧すなわちブレーキ指令圧を検出するとともに、これを電気信号に変換したブレーキ指令圧フィードバック信号をブレーキ受量器1の制御部12へ入力する。
【0026】
次に、上記のように構成されたブレーキ装置100及びその周辺装置の動作について説明する。図2は、電路L4及びL5に所定の電圧が印加された状態において、常用ブレーキ指令が出力されていないブレーキ緩め時(電車の力行時又は惰行時)であって、かつ、制御部12等が正常に動作しているときの動的な状態を示している。以下、この図2の状態に基づいて各部の動作を説明する。
常用ブレーキ指令が出力されていないので、常用ブレーキ指令検知部11は常用ブレーキ指令を検知しない。従って、接点11bは閉路している。この結果、リレー16は励磁されるので、その接点16aは閉路し、接点16bは開路している。これにより、第1出力部13を含む電路は断路され、定電流出力部15を含む電路が閉成される。定電流出力部15は電路L5から供給される独立した電源から一定のブレーキ指令圧制御信号S3を受けて駆動され、これによって3位置切換電磁弁31のソレノイド31aを強励磁するのに必要な定電流を出力する。この結果、電路L4から定電流出力部15、接点16a及び整流器19を経て、ソレノイド31aに定電流が流れる。従って、3位置切換電磁弁31は排気位置P3に保たれる。すなわち、ブレーキは作用しない。
一方、制御部12の接点12a1は閉路している。
【0027】
次に、図2に示す状態から、ブレーキ受量器1に対して、通常7段階あるうちのいずれかの段階の常用ブレーキ指令が入力されたときは、常用ブレーキ指令検知部11がこれを検出して接点11bを開路する。これによってリレー16は非励磁となるので、その接点16bは閉路し、接点16aは開路する。従って、定電流出力部15を含む電路は断路される。一方、第1出力部13を含む電路は閉成される。
常用ブレーキ指令が入力されることにより制御部12から所定のブレーキ指令圧制御信号S1が出力され、第1出力部13を介して、ソレノイド31aが非励磁状態となる。これにより3位置切換電磁弁31は連通位置P1となる。この結果、圧力室32aの圧力が立ち上がり、ブレーキシリンダ6へ圧縮空気が供給されてブレーキがかかる。このとき圧力室32aに供給されているブレーキ指令圧は圧力センサ2により検出され、ブレーキ指令圧フィードバック信号として制御部12に送られる。
【0028】
制御部12は、ブレーキ指令圧フィードバック信号に基づいて、常用ブレーキ指令に対応するブレーキ力を発生させる圧力に達したことを検知すると、ブレーキ指令圧制御信号S1を、小電流値出力に相応する信号に変化させる。これによって第1出力部13から出力されるブレーキ指令圧信号は小電流値となり、3位置切換電磁弁31は遮断位置P2に切り換わる。これにより、現在のブレーキ圧が維持される。常用ブレーキ指令の段階が変化した場合は、その段階に対応したブレーキ圧を生じるように3位置切換電磁弁31を適宜切り換えて、ブレーキ圧を増減させる。
【0029】
常用ブレーキ作動中に車輪の滑走が生じると、制御部12は速度信号に基づいて滑走を検出する。滑走を検出した制御部12は、常用ブレーキ指令に基づく制御を滑走制御に切り換えて、滑走制御信号としてのブレーキ指令圧制御信号S1を出力する。第1出力部13は、このブレーキ指令圧制御信号S1に応じたブレーキ指令圧信号を3位置切換電磁弁31のソレノイド31aに供給する。これにより、ブレーキ圧を下げるか又は解放してブレーキを緩める。以後、ブレーキ指令圧制御信号S1を変化させて車輪のロックを防止しつつ、ブレーキを作用させる。こうして、適切な滑走制御が行われ、安定した制動力が得られる。
【0030】
一方、ブレーキ受量器1に非常ブレーキ指令が入力されると、電路L4の電圧が失われる。従って、第1出力部13及び定電流出力部15のいずれが作動状態にあるかに関わらず、これらの出力はオフとなる。これにより、3位置切換電磁弁31は連通位置P1となり、圧力室32aの圧力が所定の圧力まで立ち上がる。これにより、ブレーキシリンダ6に圧縮空気が供給されて非常ブレーキがかかる。なお、電路L4の電圧喪失により、常用ブレーキ指令がない接点11bの閉路状態でもリレー16は非励磁となるので、接点16bが閉路する。従って、別の電源に接続されている第2出力部14は作動可能な状態となる。この状態において、非常ブレーキ作動中に車輪の滑走が生じた場合には、接点12a2が閉路して第2出力部14を含む電路が閉成されるとともに、滑走制御信号としてのブレーキ指令圧制御信号S2が第2出力部14に供給される。これによって、前述の常用ブレーキ作動時と同様に、第2出力部14を介して滑走制御が行われる。
【0031】
次に、ブレーキ緩め時において制御部12(又は第1出力部13若しくは第2出力部14)に故障が発生した場合の動作について、図2に基づいて説明する。常用ブレーキ指令が出力されていないときは、前述のように、接点11bは閉路している。従ってリレー16が励磁され、定電流出力部15を通じて一定のブレーキ指令圧信号がソレノイド31aに供給されている。ここで、制御部12等に故障が発生すると、接点12a1が開路する。しかしながら、接点16bが既に開いているので状態の変化は起こらず、一定のブレーキ指令圧信号がソレノイド31aに供給されている状態が維持される。すなわち、ブレーキ緩めの状態が維持され、電車は運行を維持できる。
【0032】
次に、上記のように制御部12等に故障が発生した後に、常用ブレーキ指令が出力された場合の動作について説明する。常用ブレーキ指令が出力されると、常用ブレーキ指令検知部11はこれを検知し、接点11bを開路する。これにより、リレー16の励磁が停止するので、その接点16aは開路し、16bは閉路する。この結果、接点12a1及び接点16aが共に開路することになり、ソレノイド31aに通電するための電路がすべて遮断される。従って、ソレノイド31aは非励磁状態となって、3位置切換電磁弁31は連通位置P1となる。すなわち、非常ブレーキが作用する。
【0033】
その後、常用ブレーキ指令が解除されると、接点11bが閉路してリレー16が励磁され、定電流出力部15を含む電路が再び閉成される。従って、3位置切換電磁弁31のソレノイド31aが励磁され、排気位置P3となる。これにより、ブレーキ圧は解放される。すなわち、常用ブレーキ指令を出力したことによって一旦非常ブレーキが作動しても、必要に応じてその後これを解除することができる。従って、故障車両を牽引する等の措置を行うことが可能となる。
【0034】
以上のように、本実施形態のブレーキ装置によれば、制御部12等が故障してもすぐには非常ブレーキを作用させず、常用ブレーキ指令が出力された時点で初めて非常ブレーキを作用させる。また、このような故障に基づいての非常ブレーキ作用後も、ブレーキ力を解除することができる。従って、電車の力行中や惰行中に制御部12等が故障した場合に、運転士の意に反して不必要に非常ブレーキが作用する事態が排除されるので、電車の運行が阻害されることがない。また、常用ブレーキ指令に応じてバックアップブレーキとしての非常ブレーキが作用するので、安全性も損なわれない。さらに、このようにして一旦非常ブレーキが作動しても、必要に応じてその後これを解除することができるので、故障車両を牽引する等の措置を行うことが可能である。
【0035】
《実施形態2》
図3は本発明の第2の実施形態による鉄道車両用ブレーキ装置及びその周辺装置を示すブロック図である。第1の実施形態との違いは制御部12等に故障が発生したときに動作する接点12b(b接点)が、接点11bとリレー16のコイル16cとの間に新たに設けられている点である。その他の構成は第1の実施形態と同一であるので構成の説明は省略する。この接点12bを設けたことにより、ブレーキ装置100の動作は第1の実施形態とは異なったものとなる。
【0036】
次に、上記のように構成されたブレーキ装置100及びその周辺装置の動作について説明する。図4は、電路L4及びL5に所定の電圧が印加された状態において、常用ブレーキ指令が出力されていないブレーキ緩め時であって、かつ、制御部12等が正常に動作しているときの動的な状態を示している。以下、この図4の状態に基づいて各部の動作を説明する。
常用ブレーキ指令が出力されていないので、常用ブレーキ指令検知部11は常用ブレーキ指令を検知しない。従って、接点11bは閉路している。一方、制御部12の接点12a1及び12bは、制御部12等が正常であることにより、接点12a1が閉路し、接点12bは開路している。この結果、リレー16は励磁されず、その接点16aは開路している。従って、定電流出力部15を含む電路は断路されている。制御部12から出力されるブレーキ指令圧制御信号S1に基づき、第1出力部13から、大きな電流値としてのブレーキ指令圧信号が出力される。これにより、3位置切換電磁弁31のソレノイド31aは強励磁されている。従って、3位置切換電磁弁31は排気位置P3に保たれ、中継弁32の圧力室32aは排気状態である。すなわち、ブレーキ力は発生しない。
【0037】
次に、上記の状態から、ブレーキ受量器1に対して、通常7段階あるうちのいずれかの段階の常用ブレーキ指令が入力されたときは、常用ブレーキ指令検知部11がこれを検出して接点11bを開路する。また、常用ブレーキ指令が入力されることにより、制御部12からのブレーキ指令圧制御信号S1に基づき、ソレノイド31aは非励磁状態となって3位置切換電磁弁31を連通位置P1とする。この結果、圧力室32aの圧力が立ち上がり、ブレーキシリンダ6へ圧縮空気が供給されてブレーキがかかる。このとき圧力室32aに供給されているブレーキ指令圧は圧力センサ2により検出され、ブレーキ指令圧フィードバック信号として制御部12に送られる。
【0038】
制御部12は、ブレーキ指令圧フィードバック信号に基づいて、常用ブレーキ指令に対応するブレーキ力を発生させる圧力に達したことを検知すると、ブレーキ指令圧制御信号S1を介して第1出力部13のブレーキ指令圧信号を小電流値出力に変化させる。これによって3位置切換電磁弁31は遮断位置P2に切り換わる。従って、現在のブレーキ圧が維持される。常用ブレーキ指令の段階が変化した場合は、その段階に対応したブレーキ圧を生じるように3位置切換電磁弁31を適宜切り換えて、ブレーキ圧を増減させる。
【0039】
常用ブレーキ作動中に車輪の滑走が生じると、制御部12は速度信号に基づいて滑走を検出する。制御部12はこれにより、出力を滑走制御のための信号に切り換える。そして、滑走制御のための信号に切り換えられたブレーキ指令圧制御信号S1に応じたブレーキ指令圧信号が、第1出力部13を介して3位置切換電磁弁31のソレノイド31aに供給される。すなわち、ブレーキ圧を下げるか又は解放してブレーキを緩める。以後、ブレーキ指令圧信号を変化させて車輪のロックを防止しつつ、ブレーキを作用させる。こうして、適切な滑走制御が行われ、安定した制動力が得られる。
【0040】
ブレーキ受量器1に非常ブレーキ指令が入力されたとき、すなわち電路L4の電圧が失われたときは、第1出力部13の出力も当然オフの状態となる。これにより、3位置切換電磁弁31は連通位置P1となり、圧力室32aの圧力が所定の圧力まで立ち上がる。従って、ブレーキシリンダ6に圧縮空気が供給されて非常ブレーキがかかる。
この非常ブレーキ作動中に車輪の滑走が生じた場合には、接点12a2が閉路され、滑走制御のためのブレーキ指令圧制御信号S2に応じたブレーキ指令圧信号が第2出力部14から出力される。このようにして、前述の常用ブレーキ作動時と同様に、滑走制御が行われる。
【0041】
次に、ブレーキ緩め時において制御部12等に故障が発生した場合の動作について、図4に基づいて説明する。
常用ブレーキ指令が出力されていないときは、前述のように、接点11bは閉路している。ここで、制御部12に故障が発生すると、接点12bが閉路し、接点12a1が開路する。接点11b及び12bが共に閉路したことによってリレー16のコイル16cが励磁されるので、その接点16aは閉路し、16bは開路する。この結果、第1出力部13を含む電路は断路された状態となり、代わりに定電流出力部15を含む電路が閉成される。
定電流出力部15は電路L5から供給される独立した電源から一定のブレーキ指令圧制御信号S3を受けて駆動され、3位置切換電磁弁31のソレノイド31aを強励磁するのに必要な定電流を出力する。これにより、電路L4から定電流出力部15、接点16a及び整流器19を経て、ソレノイド31aに定電流が流れる。すなわち、接点12a1から第1出力部13及び整流器17に至る電路が定電流出力部15、接点16a及び整流器19によって構成される電路によってバイパスされ、ソレノイド31aへの通電が維持される。従って、3位置切換電磁弁31は排気位置P3に保たれ、ブレーキは作用しない。
【0042】
次に、上記のように制御部12等に故障が発生した後に、常用ブレーキ指令が出力された場合の動作について説明する。常用ブレーキ指令が出力されると、常用ブレーキ指令検知部11はこれを検知し、接点11bを開路する。これにより、リレー16の励磁が停止するので、接点16aは開路し、16bは閉路する。この結果、接点12a1及び接点16aが共に開路してソレノイド31aに通電するための電路がすべて遮断される。従って、ソレノイド31aが非励磁状態となり、3位置切換電磁弁31は連通位置P1となる。この結果、非常ブレーキが作用する。
【0043】
その後、常用ブレーキ指令が解除されると、接点11bが閉路してリレー16が励磁され、定電流出力部15を含む電路が再び閉成される。従って、3位置切換電磁弁31のソレノイド31aが励磁され、排気位置P3となる。これにより、ブレーキ圧は解放される。すなわち、常用ブレーキ指令を出力したことによって一旦非常ブレーキが作用しても、必要に応じてその後これを解除することができる。従って、故障車両を牽引する等の措置を行うことが可能となる。
【0044】
以上のように、本実施形態のブレーキ装置によれば、第1の実施形態の場合と同様に、制御部12等が故障してもすぐには非常ブレーキを作用させず、常用ブレーキ指令が出力された時点で初めて非常ブレーキを作用させることができる。また、このようにして非常ブレーキが作用した後もブレーキ解除を行うことができる。従って、電車の力行中や惰行中に制御部12が故障した場合に、運転士の意に反して不必要に非常ブレーキが作用する事態が排除されるので、電車の運行が阻害されることがない。また、常用ブレーキ指令に応じてバックアップブレーキとしての非常ブレーキが作用するので、安全性も損なわれない。さらに、このようにして一旦非常ブレーキが作動しても、必要に応じてその後これを解除することができるので、故障車両を牽引する等の措置を行うことが可能である。
また、第1の実施形態の場合と異なって、制御部12等が正常に動作している限り、接点12bが開路していることによって、リレー16は励磁されない。従って、リレー16の接点の消耗が少なく、その分耐用年数が延びる。また、通常はリレー16での電力消費が無い点で、第1の実施形態の構成よりも節電できる。
【0045】
なお、上記各実施形態において、常用ブレーキ指令検知部11と制御部12とは、物理的には一体装置であっても別々の装置であっても構わないが、電気回路上は、別個の装置として互いに独立して設けられていることが好ましい。その理由は、仮に電気回路上一体の装置であるとすると、制御部12が故障した場合は、その電源が切れて制御停止状態となり、これにより常用ブレーキ指令検知部11も動作停止状態となってしまうからである。従って、制御部12が故障した場合にも常用ブレーキ指令検知部11の正常な動作を担保するため、互いに独立した別個の回路構成とすることが好ましい。
【0046】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の鉄道車両用ブレーキ装置によれば、電車の力行中や惰行中に制御部又は出力部の故障が検出された場合でも、常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態である限り、補償出力部が電磁制御弁を排出位置に保つ。従って、ブレーキ緩めの状態が維持され、電車の運行を維持することができる。そして、この状態において常用ブレーキ指令が検知されたとき、非常ブレーキが作用するので、安全性も維持できる。さらに、このようにして一旦非常ブレーキが作用しても、その後常用ブレーキ指令が解除されればブレーキを緩めることができるので、故障車両の牽引等の措置を行うことも可能になる。
【0047】
請求項2の鉄道車両用ブレーキ装置においても請求項1の装置と同様の効果がある。また、さらに、故障が発生していない正常な状態ではブレーキ緩め状態であっても切換手段は動作しないため、切換手段の動作回数が少ない。従って、耐久性が向上し、切換手段の動作による電力消費も抑止できる。
【0048】
請求項3の鉄道車両用ブレーキ装置によれば、制御部が故障した場合に、その電源が切れて制御停止状態となっても、検知手段によって常用ブレーキ指令を確実に受けとり、これに基づいてブレーキ制御を行うことができる。従って、より安全性及び信頼性を高めることができる。
【0049】
請求項4の鉄道車両用ブレーキ装置によれば、補償出力部によってブレーキ緩め状態を保っている場合であっても、非常ブレーキ指令があれば非常ブレーキが作用する。従って、常に非常ブレーキを優先して、安全に電車の運行を行うことができる。
【0050】
請求項5の鉄道車両用ブレーキ装置によれば、例えば接点の故障等により出力部及び補償出力部の双方の作動が有効となることを確実に防止できる。従って、誤ってブレーキ緩め指令が出力されることによる危険性を排除して、より安全な鉄道車両用ブレーキ装置を提供できる。
【0051】
請求項6の鉄道車両用ブレーキ装置によれば、3位置切換電磁弁は強弱2レベルの入力と、入力なしとによって3位置の切換が可能である。従って、回路構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による鉄道車両用ブレーキ装置及びその周辺装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置において、所定の電圧が印加された動的状態のブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による鉄道車両用ブレーキ装置及びその周辺装置を示すブロック図である。
【図4】図3に示す装置において、所定の電圧が印加された動的状態のブロック図である。
【図5】従来の鉄道車両用ブレーキ装置及びその周辺装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 圧力センサ
3 電空変換中継弁
5 応荷重弁
6 ブレーキシリンダ
11 常用ブレーキ指令検知部
12 制御部
12a1、12a2、12b 接点
13 第1出力部
14 第2出力部
15 定電流出力部
16 リレー
16a、16b 接点
16c コイル
31 3位置切換電磁弁

Claims (6)

  1. 非常ブレーキ指令圧を受けるとともに、連通、遮断及び排出の各切換位置に切換制御され、この非常ブレーキ指令圧を所望のブレーキ指令圧として出力する電磁制御弁と、
    常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令を受けるとともに、前記電磁制御弁を切換駆動するためのブレーキ指令圧信号を出力するブレーキ受量部とを有し、
    前記ブレーキ受量部は、前記ブレーキ指令圧信号を電磁制御弁に出力する出力部と、常用ブレーキ指令に基づいて前記出力部を制御するブレーキ指令圧制御信号を出力する制御部と、この制御部又は前記出力部の故障を検出して、前記出力部を遮断する故障検出接点とを有するものであり、前記電磁制御弁は、消磁状態で非常ブレーキ圧力をそのまま出力する連通位置となるものである鉄道車両用ブレーキ装置において、
    前記ブレーキ受量部に、前記出力部とは独立して作動可能に設けられ、前記電磁制御弁を排出位置に付勢する補償出力部と、
    常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態であることを判断する検知手段と、
    前記検知手段の作動を受けて、前記補償出力部を前記電磁制御弁に接続する切換手段とを備え
    前記ブレーキ受量器は、前記故障検出接点が動作した場合、前記常用ブレーキ指令の有・無に基づいて、それぞれ非常ブレーキ指令を発令・解除の状態とすることを特徴とする鉄道車両用ブレーキ装置。
  2. 非常ブレーキ指令圧を受けるとともに、連通、遮断及び排出の各切換位置に切換制御され、この非常ブレーキ指令圧を所望のブレーキ指令圧として出力する電磁制御弁と、
    常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令を受けるとともに、前記電磁制御弁を切換駆動するためのブレーキ指令圧信号を出力するブレーキ受量部とを有し、
    前記ブレーキ受量部は、前記ブレーキ指令圧信号を電磁制御弁に出力する出力部と、常用ブレーキ指令に基づいて前記出力部を制御するブレーキ指令圧制御信号を出力する制御部と、この制御部又は前記出力部の故障を検出して、前記出力部を遮断する故障検出接点とを有するものであり、前記電磁制御弁は、消磁状態で非常ブレーキ圧力をそのまま出力する連通位置となるものである鉄道車両用ブレーキ装置において、
    前記ブレーキ受量部に、前記出力部とは独立して作動可能に設けられ、前記電磁制御弁を排出位置に付勢する補償出力部と、
    常用ブレーキ指令が付与されていないブレーキ緩め状態であることを判断する検知手段と、
    前記検知手段が作動し、かつ、前記故障検出接点が作動すると、前記補償出力部を前記電磁制御弁に接続する切換手段とを備え
    前記ブレーキ受量器は、前記故障検出接点が動作した場合、前記常用ブレーキ指令の有・無に基づいて、それぞれ非常ブレーキ指令を発令・解除の状態とすることを特徴とする鉄道車両用ブレーキ装置。
  3. 前記検知手段は、前記制御部とは別個の装置として独立して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
  4. 前記出力部及び前記補償出力部は共に、非常ブレーキ指令が出力されると通電状態を断つ非常ブレーキ指令線を電源とすることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
  5. 前記切換手段は、前記出力部及び前記補償出力部のいずれか一方のみの作動を有効にすることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
  6. 前記電磁制御弁は、3位置切換電磁弁であることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用ブレーキ装置。
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