JP3705449B2 - 工事用エレベータ - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、主として建設工事用のエレベータに係わり、搬器の荷台両端部が昇降フレームに連結されて二台の駆動機によって昇降駆動される形式のラック式工事用エレベータにおいて、左右両駆動部に併設される安全装置の作動が同調できるようにして、併せて駆動速度をも同調させて昇降安定性が得られる構成の工事用エレベータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所要間隔で立設される一対の昇降支持体(以下タワーという)に支持案内されて搬器が昇降する形式のラック式工事用エレベータは、これら両タワーにそれぞれ昇降フレームを装備され、これら両昇降フレームに荷台の端部をそれぞれ支持させて搬器が架設され、前記各昇降フレームに付設された駆動機の出力軸に取り付く歯車とタワー付設のラックとの噛み合い駆動により昇降される構成となっている。
【0003】
このような構成の工事用エレベータにあっては、左右両タワーに装備される昇降フレームにそれぞれ駆動機が付設され、同時に起動されて搬器を昇降できるようにされている。しかし、両駆動機はブレーキ付きモータにより減速機を駆動する構造で個々に駆動されるため、それぞれに作用する負荷の差等で昇降を繰り返している間に回転差によって搬器が傾斜する現象が生じる。搬器が傾斜することは使用上危険であるので、両駆動機を同調させて運転できるように運転途中で一方の駆動機を一時的に停止させて他方の駆動機のみ進み具合を加減して搬器を水平に修正するような方策が構じられている。また、前記昇降フレームには速度検出型の落下防止のための安全装置がそれぞれに付設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように左右両側に駆動機を備える工事用エレベータにあっては、その両駆動機による同時駆動で昇降されるので搬器の荷台に作用する負荷や駆動機(モータ)の作動特性の差による搬器の昇降中での水平度の修正を余儀なくされることになって取扱が不便である。そのために、搬器の左右での昇降駆動速度を同調させる必要が生じる。そこで、駆動機を1台にして1本の駆動軸の両端部で左右両側にラックと噛み合う歯車を回転させて駆動する方式にすれば、一般に駆動機が大型になり、しかもその駆動機は搬器の荷台中間部に搭載されることが多いので、それらの条件に応じるために荷台の強度を高める必要が生じる。当然、荷台の構成部材が大きくなって自重量が増し、構造上好ましくない構成となる。
【0005】
また、前記速度検出型の落下防止のための安全装置(以下ガバナー式落下防止装置という)はそれぞれ昇降フレームに取付けられた安全性を確保できるようにされているが、それらは独立して作動するようになっているので、緊急時必ずしも同時に作動せず、作動時期にずれが生じる。したがって、搬器を構成する両昇降フレームの緊急停止に際して、当然これらの両昇降フレーム間に架設される荷台が傾いて停止されることになり、不具合である。このようなことを想定してガバナー式落下防止装置を荷台上に1台設置して、両方のタワー付設のラックと噛み合うギヤから昇降速度を前記ガバナー式落下防止装置に伝達するとともに、そのガバナー式落下防止装置が作動したとき逆に伝達してギヤにより落下を停止させる方式も考えられる。しかし、このような方式では伝達軸とその支持構造をより頑丈にしておかないと目的を達成できない恐れがある。当然、それらの重量が大になって荷台の剛性を高めるために自重量が増加して好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点を解決するために、工事用エレベータの構成において義務付けられているガバナー式落下防止装置を各昇降フレームに付設された状態で相互に従動連結軸で繋ぎ、この従動連結軸が両ガバナー式落下防止装置を同時に作動できるようにするとともに、従動機能を利用して、この従動連結軸によって駆動機の駆動を同調させるようにし、駆動系を簡素にして安定駆動できる工事用エレベータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために構成される本発明の工事用エレベータは、所要間隔で立設される一対の昇降支持タワー間に搬器が架設支持されて前記昇降支持タワー付設のラックとの噛み合い駆動で昇降されるラック式の工事用エレベータにおいて、前記昇降支持タワーに装備される搬器の各昇降フレームに速度検出型の安全装置が付設され、これら安全装置の入力軸に歯車列を介して相互に連結される従動連結軸を搬器の荷台構成枠体に支持配設され、この従動連結軸の両端部に前記ラックと噛み合うギヤを取付けられていることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の工事用エレベータによれば、搬器が案内支持される両側の各昇降支持タワーに付設のラックとの噛み合い駆動による昇降に際して常時従動される左右の速度検出型の安全装置の入力部において、前記ラックと噛み合う各ギヤを従動連結軸によって相互に連結させることにより、緊急時両安全装置が同時に作動できるとともに、通常時には左右両側の駆動機の個々の作動による駆動ずれを相対的に打消して搬器が傾斜するのを確実に防止できる。また、搬器の荷台に過度な負荷を掛けないので、搬器を軽量化するのに有効である。
【0009】
【実施例】
次に、本発明の工事用エレベータについて、その一実施例の図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1に本発明に係る工事用エレベータの一具体例の全体正面図が示されている。この図において、昇降支持タワー(以下単にタワーという)10は、左右一対所要の間隔で相対向して構築物にサポートで支持されて立設されている。この具体例の工事用エレベータは、両タワー10,10の間に搬器20が配されて昇降自在に構成されるラック式の工事用エレベータである。そして、この工事用エレベータでは図4で示されるように、近似サイクロイド曲線の歯形によるラック11に対して、このラック11のピッチに合致する円ピッチで複数のローラ28aを配される回転駆動車28が各ローラ28aを前記ラック11の歯部に噛み合わせて転動噛み合い駆動させる方式の昇降駆動手段を備えている。
【0011】
タワー10は、所定長さに統一された複数本のタワーセグメントを所要高さに連結して構成される。このタワー10は両外側部に位置する縦部材の少なくとも2本がガイドレール12とされ、あるいは両外側部にガイドレールが配され、前側面部にラック11が付設されている。
【0012】
搬器20は、前記各タワー10に装備される一対の昇降フレーム21,21と、これら昇降フレーム21,21に両端部を連結支持されて両昇降フレーム21,21間に架設される所要寸法で枠組構造の荷台22と、この荷台22上に支持搭載されるケージ25及び駆動機構とで構成される。前記昇降フレーム21には、駆動機構としてブレーキモータ付きの減速機(以下駆動機という)27が取付けられ、この駆動機27の出力軸27’に前述の回転駆動車28が取付けられ、この回転駆動車28の各ローラ28aがタワー10側のラック11と噛み合って駆動されるようにされている。なお、これら両駆動機27は電気的に同時駆動するようになされている。
【0013】
前記両昇降フレーム21,21には、それぞれ速度検出型の安全装置としてガバナー式落下防止装置30が付設されている。このガバナー式落下防止装置30に対する動力の伝達は、図2で示されるように、入力軸31に取り付く歯車32bに、前記ラック11と噛み合う従動回転車35を端部に備える従動軸33上の歯車32aを噛み合わせて、搬器の昇降駆動に追従するようにされている。そして、前記従動軸33は、左右両従動回転車35,35が同一回転できるように一軸にされ、中間にユニバーサルジョイント36を介在させるとともに、このユニバーサルジョイント36による接続部でスプライン軸嵌め合い構造を組合せて、荷台22の載荷荷重による撓みやガイドレール間の距離の拡縮に対応できるようにされている。また、前記従動軸33は荷台22の枠体内部を貫通させて、当該荷台22に少なくとも1ヵ所で軸受37で支持されている。なお、前記入力軸31と従動軸33とを繋ぐ歯車列32(歯車32a,32b)は昇降フレーム21に取り付くギヤケーシング38内に収容され、外部から異物などの進入による支障がないようにされている。また、前記従動回転車35は、前述の回転駆動車28と同様に複数のローラ35aをラック11のピッチと合致する円ピッチで配された回転車で、搬器20が昇降駆動されるとラック11に噛み合って追従回転される。
【0014】
荷台22は所要寸法に枠組構造で構成され、その長軸方向の両端部に固着された連結フレーム23,23によって前記昇降フレーム21,21の両側面と可動的に連結されて、両昇降フレーム21,21間に架設される。なお、前記連結フレーム23は、図3で示されるように、前記昇降フレーム21の両側から挟むようにして荷台22端部にそれぞれ対称に取付けられる。これら各連結フレーム23,23には 所定の間隔で上下二段に長孔23’,23”が設けられ、これら長孔23’,23”に前記昇降フレーム21の側面から側部に突出す支持軸ピン24,24’を遊動可能に挿入させて可動状態で連結支持されている。この荷台22の上には床板が張り付けられたケージ25が、例えばロードセルのような荷重計(図示せず)を介在させて搭載される。このケージ25の前後面には周知の構造で扉26が設けられている。
【0015】
このように構成された本発明に係る工事用エレベータは、運転に際して両昇降フレーム21,21に取り付く各駆動機27,27を同時に駆動させて昇降させれば、これら駆動機27の出力軸27’に取り付く回転駆動車28がタワー10に付設のラック11の歯部と転動噛み合いされて搬器20が昇降される。
【0016】
搬器20の昇降に際して、両昇降フレーム21,21に付設される各ガバナー式落下防止装置30,30は、各入力軸31,31にそれぞれ歯車列32によって繋がる従動軸33の両軸端に取り付く左右の従動回転車35,35がラック11,11と噛み合って等しく従動回転される。したがって、これら従動回転車35,35によって両昇降フレーム21,21の走行が規制されることになる。その結果、両昇降フレーム21,21は、左右の駆動機27,27のモータ特性の差による起動時の始動のずれ、あるいは運転中における載荷荷重のアンバランスなどによる回転駆動のずれで左右の昇降移動差(荷台22の傾き)が発生することなく、同調して水平を保って昇降できるのである。
【0017】
また、運転中に搬器20が所定の速度以上になって、その速度をガバナー式落下防止装置30が検知して作動停止するときも、左右に備わるガバナー式落下防止装置30,30がいずれも同時に作動することになり、片効きするような不具合の発生が予防できることになり、搬器20を傷めることなく安全かつ確実に停止させることができる。
【0018】
上記実施例における従動回転車35は本発明のギヤに、従動軸33は本発明の従動連結軸にそれぞれ対応する。
【0019】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、搬器の左右両昇降フレームごとに緊急時作動できるように配設されるガバナー式落下防止装置が、作動時両方が同時に作動して搬器に変則的な外力が働くのを防止でき、併せてその両ガバナー式落下防止装置を相互に連結する従動軸によって左右両駆動機による駆動部の回転が常時同調できて、運転時に生じる荷台の傾き現象を解消できるく効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る工事用エレベータの一具体例の全体正面図である。
【図2】本発明に係る工事用エレベータにおける要部の一部を断面して表した図3におけるII−II視平面図である。
【図3】本発明に係る工事用エレベータにおける要部の正面図である。
【図4】本発明に係る工事用エレベータの昇降駆動部を示す断面図である。
【符号の説明】
10 タワー
11 ラック
20 搬器
21 昇降フレーム
22 荷台
23 昇降フレームと荷台との連結フレーム
25 ケージ
27 駆動機
28 回転駆動車
30 ガバナー式落下防止装置
31 ガバナー式落下防止装置の入力軸
32 歯車列
33 従動軸
35 従動回転車
Claims (1)
- 所要間隔で立設される一対の昇降支持タワー間に搬器が架設支持されて前記昇降支持タワー付設のラックとの噛み合い駆動で昇降されるラック式の工事用エレベータにおいて、前記昇降支持タワーに装備される搬器の各昇降フレームに速度検出型の安全装置が付設され、これら安全装置の入力軸に歯車列を介して相互に連結される従動連結軸を搬器の荷台構成枠体に支持配設され、この従動連結軸の両端部に前記ラックと噛み合うギヤを取付けられていることを特徴とする工事用エレベータ。
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JP10685195A JP3705449B2 (ja) | 1995-04-06 | 1995-04-06 | 工事用エレベータ |
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JP10685195A JP3705449B2 (ja) | 1995-04-06 | 1995-04-06 | 工事用エレベータ |
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JP10685195A Expired - Lifetime JP3705449B2 (ja) | 1995-04-06 | 1995-04-06 | 工事用エレベータ |
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