JP3704684B2 - メッキ洗浄廃液処理装置及びその処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッキ工場の洗浄廃液処理装置及び処理方法に関するものであり、更に詳しくは、メッキ工場から排出されるメッキ洗浄廃液を、真空乾燥装置を用い該洗浄廃液中に含まれる溶媒(水)と、洗浄廃液である不揮発性成分(廃材)の濃縮液又はスラリーに先ず分割し、留出・捕集される洗浄廃液中の水を清浄水としてメッキ処理工程に循環して還元リサイクルするように構成させた、産業廃水の流出を伴わない閉鎖循環系メッキ洗浄廃液処理装置及び処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
産業洗浄廃液の環境汚染に対する認識が高まる中、金属加工々業、無機・有機化学工業、染色・整理加工業、食品加工業など産業洗浄廃液を排出する各業種の大企業は、各企業が製造販売する製品製造技術の研究・開発・改善と共に、該製造工程で生じる産業洗浄廃液の生成量の減少・圧縮と、該産業洗浄廃液から有価物質を回収・精製・リサイクルする技術の研究・開発・改善並びに、産業廃棄物となる有害物質及び生活環境汚染物質の無害化技術の研究・開発・改善がなされ、その成果は著しく向上し産業洗浄廃液中からの有価物質の回収・リサイクルと、洗浄廃液中の有害物質・生活環境汚染物質の無害化は、処理効率・成果とも相当なハイレベルに達する状態に至っている。
【0003】
金属加工業において、多量に且つ多様な有価物質と有毒物質を含くむ産業洗浄廃液を排出する代表例として掲げられるメッキ工業における産業洗浄廃液処理は、「メッキのよしあしは洗浄のよしあしにより決まる」といわれるほど、多量の洗浄水を必要とし排出液量の多さとともに、洗浄廃液の質の面においてもメッキ処理浴構成組成に基づき酸・アルカリ・油・各種有害金属(イオン)・シアン・分解し難い界面活性剤など多くの廃棄成分を含むため、その産業洗浄廃液処理においては、含有有価物質(各種金属イオン等)の分離・還元・回収・精製と、有害物質(シアン等)の分解・無害化、環境汚染物質(界面活性剤・各種塩類など)の捕集・封じ込め・処分など、その洗浄廃液処理には多岐に渡る高度の技術力と資本力を要するのであり、多大な努力と年月を経て幾多の優れた洗浄廃液処理プロセスが確立され実施されてきている。
【0004】
その洗浄廃液処理・回収技術の概要について触れると、例えば
(1)先ず生成する洗浄廃液量の減少・圧縮が肝要であるため、各工程における浸漬液の液切りを充分に実施した後、多段浸漬回収法を適用して洗浄洗浄廃液生成量の圧縮とともに洗浄廃液の濃厚化を図る。
(2)該洗浄濃厚洗浄廃液と長期使用したメッキ浴槽の老化洗浄廃液を合体し、フィルター、活性炭吸着装置などを通し、低電流電解装置に送り、当該金属イオンを電極上に析出させ生成・分離・回収するか、或いは隔膜電解装置に送り、当該金属イオンを分離しメッキ浴槽に還元・返送する。
【0005】
(3)前記(2)の処理残洗浄廃液中の有害物質シアンを排除するために、該残洗浄廃液にアルカリ塩素法による処理を施し、シアンを窒素ガスと炭酸ガスに分解し無害化するか、該洗浄廃液を酸性にして暴気し、全てのシアンをシアンガスとして気化し、苛性ソーダ溶液に吸収させるか、湿らせた陰イオン交換樹脂で補足する所謂、酸性揮発補集法を適用して無害化する。
(4)洗浄廃液濃縮法として、前記(3)実施前に、逆浸透圧法や加熱乾燥法(減圧乾燥法)を適用する。
(5)有価物質を分離回収し無害化した、前記(2)〜(4)の洗浄廃液を乾燥し廃棄処分にする。
以上のような洗浄廃液処理システムによる洗浄廃液処分が一般に行われるのである。
【0006】
なお、この洗浄廃液処理プロセスの他に、希薄洗浄廃液からも金属イオンを回収する陽イオン交換樹脂回収法、陽イオン交換膜回収法の適用や、該洗浄廃液に苛性アルカリや水酸化カルシウムを添加し、金属塩を水酸化物として沈降・分離し、精製・回収する方法などの方法のほか、その他多くの多くの完成度の高い技術が確立され実施されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の洗浄廃液処理システムにおいては、有価物質の回収・精製・リサイクルと、有害物質の捕集・無害化・廃棄処分に主体が置かれ、該洗浄廃液処理工程で分離される洗浄廃液原液を構成している多量の溶媒(水)に関しては、一応有価物質・有害物質を分離・回収した残洗浄廃液として相当なレベルに清浄化し、洗浄廃液管理基準を満たす状態として排出(排水)するように洗浄廃液処理は実施されているものの、清浄化された水の再利用については何らされておらず排水廃棄処分されたままである。
【0008】
そこでかかる問題解消のため、メッキ工場洗浄廃液から排出されるメッキ洗浄廃液を、真空乾燥装置を用い、該洗浄廃液に含まれる溶媒(水)と、廃材である不揮発性成分(廃材)の濃縮液或いはスラリー状物とし先ず分割し、比較的純度の高い留出・捕集水を得て更に清浄化しメッキ処理工程に循環使用し、メッキ工程に還元リサイクルする洗浄廃液処理システムにて構成させれば、産業廃廃棄物の系外流出を伴わない閉鎖系処理システムを構成させることが可能と考え、その開発を試みたのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は課題を解決する手段として、
1.メッキ加工工程で生成するメッキ洗浄廃液を、2基の真空乾燥装置をシリーズに接続した第1基目の真空乾燥装置に送り、水のみを排出する操業条件にて該装置を稼動させ、留出水の電気伝導度或いはPHを継続的に測定しながら、該洗浄廃液を構成する水のみを留出・排出させ該装置の留出水貯留槽に捕集する。
なお、必要なればメッキ洗浄廃液を第1基目の真空乾燥装置の洗浄廃液貯槽に送る前に、該メッキ洗浄廃液中のシアン化合物の分解無毒化処理及び揮発性成分の不揮発化処理を実施してもよく、又該処理は第2基目の真空乾燥装置で脱水・乾燥して得られる洗浄廃液残渣のスラリー或いは泥状の産業廃棄物処理工程で実施してもよい。
【0010】
2.該留出・捕集水の電気伝導度又はPH等により管理、運転される等、該真空乾燥装置内の濃縮された洗浄廃液を第2基目の真空乾燥装置に移送し、第1基目の真空乾燥装置には新たにメッキ洗浄廃液貯槽よりメッキ洗浄廃液を供給し、前記メッキ洗浄廃液からの水の留出・排出と該洗浄廃液の濃縮と濃縮液の第2基目の真空乾燥機への移送の操業を繰り返し実施する。
濃縮洗浄廃液が移送・供給される第2基目の真空乾燥装置においては、該濃縮洗浄廃液の脱水乾燥に最も効果的な操業条件を選定し、濃縮洗浄廃液残渣がスラリー状或いは泥浄化する迄真空脱水・乾燥を行い、この際に留出・排除される水は該装置の留出水貯留槽に集め、送液ポンプを用いて第1基目の真空乾燥装置のメッキ洗浄廃液貯槽に還送する。
【0011】
3.第1基目の真空乾燥装置留出水捕集槽に捕集された留出水は、吸着剤カラム、逆浸透圧法分離膜装置やイオン交換樹脂(膜)イオン捕集分離装置などよりなる清浄化装置を通して更に清浄(純)水化し、メッキ処理液構成に必要な薬剤を添加しメッキ処理液或いは該補充液としてメッキ処理槽に循環させる。
【0012】
又、第2基目の真空乾燥装置で脱水・乾燥して得られる洗浄廃液残渣のスラリー或いは泥状物は、所定量が該装置内に溜まった時点で洗浄廃液処理実施に最適の濃度の廃材状態とされて装置より取り出され、メッキ廃材処理工程に送られ有価物質の回収と有害物質の不溶・無害化処理を受けてもよい。
なお、該メッキ廃材処理工程で生成する有害物を包含する水溶液も、第1基目の真空乾燥装置の洗浄廃液貯槽に還送され、該洗浄廃液処理サイクルに組み込まれ処理されてもよい。
かくして、メッキ洗浄廃液の一切が産業廃廃棄物処理システムの系外に流出されずに処理される洗浄廃液のクローズド洗浄廃液処理サイクルが完結するのである。
【0013】
本発明の洗浄廃液処理システムの内容をより判り易く解説するために、図1に示すフローシートを用いて解説する。
即ち、メッキ処理装置01より排出されるメッキ洗浄廃液aは、メッキ洗浄廃液貯槽02に貯留される。ついでメッキ洗浄廃液aは、消泡剤、水酸化カルシウムを混合した混和槽03に供給され混和される。混和されたメッキ洗浄廃液aは、2基直列に連結された真空乾燥装置04の第1基目の第1真空乾燥装置041に送られ、該装置では水の留出・排除に重点化し、洗浄廃液構成々分から水のみを留出し不純分を伴わない操業条件を選定し、水の留出・排除を行うと共に洗浄廃液の濃縮化も行う。
留出水bは貯留槽042で捕集され、更に吸着カラム、逆浸透法・イオン交換法水清浄化(純水化)装置等よりなる水浄化装置05を経て清浄化(純水化)され、回収水cはメッキ処理装置01へ循環・リサイクル使用される。
【0014】
一方、第1基目の第1真空乾燥装置041で濃縮されたメッキ洗浄廃液dは、第2基目のシリーズに連結された第2真空乾燥装置043に送られ、該装置では洗浄廃液残渣乾燥に重点を置き、洗浄廃液の残渣乾燥と残余の水分除去に最適の操業条件で運転し、スラリー状或いは泥状メッキ廃材残渣eと、留出排水fとに分離される。
留出排水fは貯留槽042で捕集され、送液ポンプを用いて第1基目の第1真空乾燥装置041のメッキ洗浄廃液供給貯槽02に還送し、再び第1真空乾燥装置041で処理され、メッキ廃材残渣eは公知の洗浄廃液処理装置に送り有価物質の回収・再生と、有害物の不溶化・無害化処理を施し無害化メッキ廃材固形物に処理される。
かくして回収水を一切系外に放出しないメッキ洗浄廃液処理システムによるメッキ洗浄廃液処理サイクルを構成させるのである。
【0015】
本発明においては2基の直列に配置した真空乾燥装置を用いて洗浄廃液の処理を行い、第1基目の第1真空乾燥装置041においては洗浄廃液中の水(他の留出分を含まない)の留出に重点を置き、(廃棄物残渣は予備濃縮に留める)、第2基目の第2真空乾燥装置043においてスラリー状或いは泥状状態の廃棄物残渣の取得と、残余水分の排除に重点を置いた処理を行うべくプロセス構成させたのは、1段のみで洗浄廃液から水と廃棄物残渣の分取を試みると、洗浄廃液から水の留出・排除が進行すると、水の留出速度維持のためには操業条件の強化(温度・減圧度の強化)が要求され、かかる処置を講じると缶内洗浄廃液の濃度が上昇すると、共沸などにより高沸点化合物が水に伴われ留出するようになり、留出捕集水が有害物質を含む純度の悪い水となる可能性が生じ、該留出捕集水のメッキ処理液として循環再利用を行うために、留出捕集水の清浄化処理・設備を強化する必要が生じ好ましくないからである。
しかしながら、操業条件に細心の注意を払い、上記の如く清浄化処理(設備)を強化しさえすれば、本発明のように2基の直列配置した真空乾燥機を用いた処理でなくとも、1段の真空乾燥装置を用いて処理することも可能であり、推奨しないがかかる方法も、本発明の範囲から排除するものではない。
【0016】
本発明において用いる直列配列した2基の真空乾燥装置の代表例と、その作用機能・操業態様を示すと、図2に示すようなものであり、第1真空乾燥装置Aと第2真空乾燥装置Bを直列に配置結合させて構成される。
第1、第2真空乾燥装置A,Bは基本的に同一仕様・構造の物であり、その典型的構造は、図示する通り内部に攪拌移送装置18,18’を備えたジャケット構造を有する横置き型2重缶真空容器2,2’であり、該2重缶真空容器2,2’はジャケット外壁に穿孔して設けた水蒸気(熱媒)供給孔に接続した水蒸気(熱媒)供給管3、3’より所定圧の水蒸気101を供給し、同じくジャケット外壁に穿孔して設けて接続した配管とドレーン排出管4,4’よりドレーンを排出し所定温度に加温される構造である。真空容器2は汚泥1を真空下で攪拌しながら前方に移送し乾燥する。汚泥1は凝縮沈殿後もしくは凝集沈殿前のものである。
【0017】
該真空容器2は、側面部に汚泥槽7から汚泥供給ポンプ8を経て、連続式真空汚泥乾燥装置に汚泥を送入する送泥管5が連結されている。なお、6はスチームトラップであり、スチームドレンが排出される。
【0018】
横置き円筒真空乾燥容器2は、加温と共に該装置内を所定の真空度にするため、排気管12にて補助排気装置(スティームエジェクター)10へと、又発生水蒸気排出管11にて真空ポンプ9と、ジャケットを貫通して配置・接続され、円筒真空乾燥容器2内を所定の真空状態に保てる構造となっている。
【0019】
又、発生水蒸気排出管11は、汚泥の真空下における加温により発生する水蒸気を凝縮させ分離する水冷式コンデンサー13、及び生じた凝縮水を貯めるレシーバータンク16に接続されている。コンデンサー13には入口15から、冷却水102が送り込まれる。従って、コンデンサー13で冷却水102が熱交換され冷却水108は出口9から排出される。20は大気の開放弁である。コンデンサー13は、逆止弁21、サイトグラス22、エゼクター10、バッファタンク16を経由して、真空ポンプ9に連結されている。
【0020】
19は、バッファタンク16からのエア抜きであり、25は排水である。そして、エゼクター10に入る冷却水入口26と、真空ポンプ9から出る冷却水出口27との間には、凝縮水をもう1度冷却する熱交換器28が設けられている。
【0021】
更に、真空容器2には、該容器右端側面部に送泥管5を設け、該真空容器2の中に攪拌羽根を設けた攪拌・移送装置18が、真空容器2の中心線上に回転軸を合致させ設置され、正逆回転可能の攪拌・移送装置駆動用モーター17にて駆動される構造となっている。移送速度が早すぎる際には、逆回転させ攪拌効果を向上できるような制御系を設定している。
更に、該円筒真空乾燥容器該2の左端側面部には、乾燥された乾燥汚泥を排出する汚泥排出管6が配置・接続されている。
【0022】
真空乾燥装置Aにおける第1段の産業洗浄廃液の脱水・濃縮・乾燥は、2重缶真空容器2の一端の側壁に穿孔された産業洗浄廃液供給孔から、産業洗浄廃液貯槽7に接続された送液ポンプ8及び産業洗浄廃液供給管5を介し真空乾燥容器2内に、産業洗浄廃液又は真空乾燥装置Bからの有害不純物を包含する還流留出水を所定量供給し、供給された内容物は攪拌移送装置18を用いて攪拌されながら、加熱用ジャケットに供給する所定圧の水蒸気により所定温度に加温され、該真空乾燥機の一方の上部他端に設けた排気口に接続した排気管11,12を介して繋がる補助排気装置10及び真空ポンプ9により所定減圧度に減圧(真空)され、真空下で該洗浄廃液中の水分を吸引・蒸発させ、生じる水蒸気を該排気管11を介して排気し、該真空容器2内の産業洗浄廃液の濃縮を行うと共に、留出する水蒸気をコンデンサー13に導き凝縮水として凝縮・分離させ、該凝縮水は配管12を介してレシーバータンク16に送り一時貯蔵する。そして、吸着カラム装置、逆浸透圧法分離膜装置、イオン交換樹脂カラム装置等よりなる留出捕集水浄化(純水化)装置04に送り浄化(純水化)し、所定量のメッキ処理剤を溶解しメッキ処理液を調整し、メッキ処理液として循環再利用する。
【0023】
なお、該真空乾燥装置Aにおいては、コンデンサー13からレシーバータンク16に至るラインにはスティームエジェクター10が配置され、レシーバータンク16後に真空ポンプ9が接続されている。
【0024】
第1真空乾燥装置Aで処理される産業洗浄廃液は、通常75〜150mmHg(10〜25Kpa)の減圧度(水の沸点46〜61℃)で、加温用ジャケットに飽和水蒸気(1Kg/cm2G)を供給して洗浄廃液処理を行う。
【0025】
そしてレシーバータンクに流下する留出水の代表的環境汚染管理基準値、PHや電気伝導度を継続的自動的に計測し、これらの管理基準値に基づき捕集された凝縮水は浄化工程に送りさらに浄化し、メッキ洗浄処理液として再生し、循環再利用し、該測定値が管理限界値に達した際には、該真空乾燥装置Aでのそれ以上の脱水・濃縮を中断し、真空乾燥容器2内の濃縮メッキ洗浄廃液を送液管5’を介して送液ポンプ6を駆動し、第2段の真空乾燥装置Bに移送し、第2真空乾燥装置Bでの脱水・乾燥を実施する。
なお、濃縮されたメッキ洗浄廃液を真空乾燥装置Bに送り出した真空乾燥装置Aでは、新にメッキ洗浄廃液貯槽7からメッキ洗浄廃液を送入し前記操作を繰り返し実施する。
【0026】
第2真空乾燥装置Bにおける脱水・乾燥操作も基本的には第1段の真空乾燥装置Aにおける操作と同一であり、設備仕様も基本的には同一である。
しかしながら、第2真空乾燥装置Bにおけるメッキ洗浄廃液は濃縮され、更に脱水・濃縮・乾燥の進行に従いより質的劣化をきたすため、脱水・濃縮・乾燥のための操業条件を強化しない限り好ましい操業効率で好ましい速度で脱水・濃縮・乾燥を実施することができないので、加温用ジャケットの温度を目的に合致するように上昇させて操業し、脱水・乾燥されスラリー状(泥状)化したメッキ廃材残渣と留出水に分離する。
【0027】
スラリー状(泥状)化したメッキ廃材残渣は、該装置より取り出され、公知のメッキ廃材残渣処理装置に送られ、有価物質の回収・再生・再利用と有害物質の不溶化・無害化が実施される。
当然のことながら、かかる操業条件を取れば留出する留出水成分は最早純度の高い水ではなくなり、水と共沸する有害不純物や比較的沸点の水沸点に近い高沸点有害不純物を伴うことになる。
そこで第2真空乾燥装置Bでは、産業廃材の脱水・乾燥に主眼をおき、加熱温度・減圧度など操業条件を強化し効率的脱水・乾燥を行うことに努め、その代わり留出しレシーバータンク16’に溜られた不純分を含む凝縮水は、レシーバータンク16’に接続した配管25’と送液ポンプ8’を介し全て第1段の真空乾燥装置Aのメッキ洗浄廃液貯槽7に還流して、メッキ洗浄廃液原液と合流し第1の真空乾燥装置Aで再び希薄産業洗浄廃液として脱水・留出水の回収、濃縮工程にかけるようにする。
【0028】
このように、メッキ洗浄廃液の脱水・濃縮・乾燥を2段階に分け、直列に接続した第1、第2真空乾燥装置A,Bで行うことにより、第1段の真空乾燥装置Aでは希薄なメッキ洗浄廃液が包含するの多量の水の排出回収を、緩やかな操業条件下で有害不純物の共沸混入を招くことなく実施し、迅速にメッキ洗浄廃液を濃縮するとともに該洗浄廃液を構成する多量の水の大部分を清浄な留出・凝縮リサイクル水として分離・回収し、メッキ洗浄処理液として再利用し、また該装置Aで濃縮されたメッキ洗浄廃液を第2の真空乾燥装置Bに送り、該装置でスラリー(泥状)状メッキ廃材残渣と残余水の分離に主眼を置き、効率的な脱水・乾燥実施が可能な操業条件を選択して操業を行うことにより、より迅速且つ効率的にスラリー(泥状)状メッキ廃材残渣を極小にすることを可能とするのであり、一方、かかる操業条件下では当然の帰結として有害不純物を伴い留出し環境保全基準を満足できないこととなる留出・凝縮水は、系外に流出させることなく第1の真空乾燥装置Aのメッキ洗浄廃液原液貯槽7に還流させ処理する方法を取らしめることにより、メッキ洗浄廃液から有害廃棄物を系外に排出しないシステムが構成でき、メッキ洗浄廃液から迅速且つ効率的に高効率でスラリー状(泥状)メッキ廃材残渣と清浄な水を分離し、洗浄廃液構成水の回収水のリサイクルが実施できる操業プロセスが確立できるのである。
【0029】
【実施例】
以下に本発明のメッキ洗浄廃液処理システムに基づく実施例の実験データーを示し、本発明のメッキ廃材残渣−水分離システムが効果的であることを実証するものである。
但し、本発明は、(1)メッキ洗浄廃液中に包含される多量の水の大部分の回収とメッキ洗浄廃液中の廃材を濃縮・分離する第1段目の真空乾燥装置・工程と、(2)工程(1)で濃縮・分離された水を更に浄化しメッキ処理浴としてリサイクルする水純化装置・工程と、
(3)工程(1)で分離したメッキ濃厚洗浄廃液を更に濃縮しスラリー化し、又残余水を排除する第2段目の真空乾燥装置・工程と、
(4)メッキ処理洗浄装置・工程
とを組み合わせてなるシステム技術であるので、その成否を分ける工程(1),(3)の分離回収水の品位さえ目的に合う安定した品位のものでありさえすれば、他は全て技術的に成果が保証でき完成された技術であり、本発明の有効性が証明できるのであり、従って実施例においては工程(1)の実践データーのみを示し、その品位の安定性と目的合致能を実証することにより本発明の有効性の証明に替える。
【0030】
[実施例]
メッキ洗浄廃液を図1に示した第1段真空乾燥装置041(図2の表示ではA)のメッキ洗浄廃液貯槽02に送り貯液し、送液ポンプ8及びメッキ洗浄廃液供給管5を介し真空乾燥容器2内に所定量供給し、内容物は攪拌移送装置18を用いて攪拌しながら、加熱用ジャケットに供給する1Kg/cm2Gの水蒸気によりに加温され、真空乾燥機2の一方の上部他端に穿孔して設けた排気口に接続した排気管11,12を介して繋がる補助排気装置及び真空ポンプにより150mmHg(20Kpa)に減圧(真空)し、真空下で該洗浄廃液中の水分を吸引・蒸発させ、生じる水蒸気を該排気管11を介して排気し、真空容器2内のメッキ洗浄廃液の濃縮を行うとともに、留出する(留出温度:60℃)。水蒸気をコンデンサー13に導き凝縮水として凝縮・分離させ、経時的・自動的に電気伝導度とCODを測定しチェックしながら、該凝縮水を配管12を介してレシーバータンク16に貯液する。
【0031】
配管12を流れる留出水の電気伝導度が12μs/cmに達した時点で一時乾燥・脱水操業を中断し、缶内の濃縮メッキ排水を送液管5’を介して送液ポンプ6を駆動し、第2段の真空乾燥装置Bに移送し、第2真空乾燥装置043(第2図の表示ではB)で第2段の脱水・乾燥を実施し、スラリー状メッキ廃材と残余水との分離を行う。
なお、第2段目の真空乾燥装置Bにて分離・捕集される留出水も(廃材処理時に生成する水も)、第1段真空乾燥装置Aのメッキ洗浄廃液貯槽に還送しメッキ洗浄廃液と合流し処理を行う。
又、濃縮されたメッキ洗浄廃液を真空乾燥装置Bに送り出した真空乾燥装置Aには、再びメッキ洗浄廃液貯槽7よりメッキ洗浄廃液を供給し同一操業が繰り返される。
かかる操業により、第1段真空乾燥装置で分離・回収され該装置の留出水レシーバータンク16に貯液された、メッキ処理液調整用リサイクル水の品位(経時的品位)の分析結果を表1に、又該操業時の代表的水質の経時変化状態を表2に示した。(符号の説明は図1と図2を併用、細部説明符号は図2の符号で示す)
【0032】
【表1】
[註]分析方法:JIS K 0102 1998 「工業排水試験法」による。
留出捕集水1:第1段真空乾燥装置留出水 運転直後
留出捕集水1:第1段真空乾燥装置留出水 運転1.5Hr後
【0033】
【表2】
本廃液は表1のメッキ廃液とは別のメッキ廃液
[註1]留出水留出速度:start〜90min.迄ほぼ10L./10 min.とconst.
[註2]運転一時中断し濃縮メッキ廃液を第2段目真空乾燥機へ移送後、メッキ廃液60L.注入しそれまでの操作を繰り返し実施。
【0034】
表1、表2に示す実験結果は操業条件下において、該回収留出水がそれに続く水浄化装置を通して純水化する際にも浄化装置性能を悪化させる有害物質の包含量が極めて少なく、良質の回収水品位を維持することを示し、又経時的にも安定した水質の留出水を留出することを示している。
即ち、操業条件下において該洗浄廃液処理プロセスは、メッキ液調合用水として好適な水質の水を再生・リサイクルできることが実証され、本発明の洗浄廃液処理システムが廃棄物を系外に出すことのない優れた洗浄廃液処理クローズドシステムであることを証明した。
【0035】
【発明の効果】
メッキ洗浄廃液処理装置に本発明の洗浄廃液処理方法を用いれば、
(1)メッキ洗浄廃液処理工程にて該廃水より分離・生成する回収水は、該処理装置内で循環回収・リサイクルできるように処理システムが閉鎖系システムとして作動するようにシステム構成されており、回収水を有効利用することができる。(2)本発明の洗浄廃液処理方法においては、固形廃棄物残渣は濃縮されたスラリーとして極小で分取されるため、該廃棄物残渣から有価物質の分離・回収・再生が高効率で行うことができ、又有害物質の無害化・不溶化処置も高効率で実施できる。
【0036】
(3)廃棄物処理装置、方法は前記のようにクローズドシステムの処理方法ではあるが、固形廃棄物残渣はスラリー状又は必要なれば乾燥物として取り出すことも可能なプロセスであるため、もしメッキ事業所(業者)がかかる固形廃棄物残渣より有価物質の分離・回収・再生処理及び、有害物質の無害化・不溶化処置を行う設備の設置が出来ない場合や、該技術を持ち合わせない場合においても、該処理を実施する専門業者にスラリー状固形廃棄物残渣を効率よく搬送し依託処理を行うことができ、本発明の洗浄廃液処理システムの実施機能・効果を何ら損なうことなく洗浄廃液処理を行える自由度を有する特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗浄廃液真空脱水乾燥装置の概要を示すフローシートである。
【図2】本発明の代表的2基直列配置した真空乾燥装置の概要図である。
【符号の説明】
01 :メッキ処理装置
02 :メッキ洗浄廃液貯槽
03 :混和槽
04 :真空乾燥装置
041 :第1真空乾燥装置
043 :第2真空乾燥装置
05 :水浄化装置
a :メッキ洗浄廃液
b :第1真空乾燥装置からの留出水
c :回収水
d :第1真空乾燥装置で濃縮されたメッキ洗浄廃液
e :第2段目の真空乾燥装置で濃縮されたスラリー状メッキ廃材残渣
f :第2段目真空乾燥装置からの留出水
A :第1真空乾燥装置
B :第2真空乾燥装置
1,1’ :メッキ洗浄廃液
2,2’ :横置き型ジャケット方式2重円筒缶真空乾燥容器
3,3’ :加熱用水蒸気供給管
4,4’ :加熱用水蒸気ドレーン排出弁&ドレーン配管
5 :産業洗浄廃液送液配管
5’ :濃縮産業洗浄廃液送液管
6 :濃縮産業洗浄廃液送液ポンプ
7 :産業洗浄廃液貯層
8 :産業洗浄廃液送液ポンプ
9,9’ :真空ポンプ
10,10’:補助減圧機(スティームエジェクター)
11,11’:生成水蒸気吸引・排気配管
12,12’:同上
13,13’:水冷式コンデンサー
16,16’:留出・凝縮水レシバータンク
17,17’:産業洗浄廃液・廃材攪拌移送装置駆動機構(正逆回転可)
18,18’:産業洗浄廃液・廃材攪拌移送装置
Claims (4)
- メッキ処理装置と、該メッキ処理装置から排出されるメッキ洗浄廃液を貯留する排水貯槽と該排水貯槽からのメッキ洗浄廃液を混和する混和槽と該混和槽からのメッキ洗浄廃液を再生する第1真空乾燥装置と、該第1真空乾燥装置で濃縮されたメッキ洗浄廃液を残渣乾燥する第2真空乾燥装置と、前記第1真空乾燥装置からの留出水を純水化する水浄化装置と、該水浄化装置からの純水を前記メッキ処理装置へ還流する手段と、前記第2真空乾燥装置からの水分を排水貯槽へ還流する手段とからなることを特徴とするメッキ洗浄廃液処理装置。
- 前記第2真空乾燥装置はメッキ洗浄廃液の残渣の含水率を数%として廃棄物の減量化をなす手段を備えた請求項1記載のメッキ洗浄廃液処理装置。
- メッキ処理装置から排出されるメッキ洗浄廃液を第1真空乾燥装置に供給し、該メッキ洗浄廃液の包含する水のみが留出・排除を行うと共に該洗浄廃液の濃縮を行う工程と、該工程で濃縮されたメッキ洗浄廃液を直列に連結された第2真空乾燥装置に送り残余水分を蒸発・除去・乾燥し、スラリー状メッキ残渣と留出排水とに分離する工程と、前記第1真空乾燥装置からの排除・捕集される留出水を清浄化(純水化)装置を通し清浄化する工程と、前記第2真空乾燥装置における留出捕集水をメッキ洗浄廃液貯槽に還送し再び前記第1真空乾燥装置で処理する工程とからなることを特徴とするメッキ洗浄廃液処理方法。
- 前記第2真空乾燥装置におけるスラリー状のメッキ残渣をメッキ洗浄廃液の残渣の含水率を数%として廃棄物の減量化をなす工程からなる請求項3記載のメッキ洗浄廃液処理方法。
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