JP3704682B2 - H型大断面のロングスパン建物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、最上階の屋根スラブを上フランジとし、最下階の床スラブを下フランジとし、両者間の中央に位置する間仕切り壁がウエブとしての役割をそれぞれ分担するH型大断面をなし、ウエブと同方向に長大に構成されており、前記間仕切り壁の直下に位置する柱で支持され、この柱がウエブの長手方向に長大なスパンで配置されている、新規発想によるH型大断面のロングスパン建物の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物と言えば、多数林立する柱群と、これを水平方向に繋ぐ梁、及び上下の梁間に建てられた壁とで内向きに閉鎖された構造であり、容積を稼ぐためにせいを高くした高層ビル形式が一般的である。したがって、そのピロティ(仏語で、建物を支持する独立した柱が立ち並ぶ吹き抜け空間の意味。建物を支持する杭の意味もある。)は、柱が林立しているため開放的な雰囲気を得られない。また、内向きに閉鎖的な構造であるため、開放的なファサード(やはり仏語で、建物の正面の外観の意味。なお、外観上重要であれば、側面、背面の外観もファサードという。)、或いは自由なファサードデザインを実現することは不可能に近い。
【0003】
次に、従来の特異な建物としては、例えば特開平4−222776号公報に開示された橋上都市が注目される。これは河川や海等の水場を挟む両岸の陸場間に道路、線路などの交通、通行スペースを提供する橋状構造物を架け渡すと共に、前記橋状構造物の途中の複数位置に人の居住空間を提供する塔状構造物を建築した構成であり、いうなれば橋と都市の両方の機能を兼ね備えたものであると説明されている。もっとも、この橋上都市は、前記したような特殊な立地条件を前提として発明されたものであり、実施の普遍性を有するものではない。
【0004】
次に、特開平11−159161号公報に開示された、スーパーストラクチャー方式を採用したメゾネット形式の集合住宅は、メゾネット形式の集合住宅の住戸内空間を有効活用し、メゾネット全体の階高を縮小し、床が遮音性能と構造的性能を有し、複数層分を1単位とするメインフレームの架構を実現することを目的としたものと説明されている。メインフレームで形成される住戸内空間を複数階に積層し、この住戸内空間の中に中間床を設け、この中間床を境にして上階の部屋と下階の部屋の2層にまたがる造りの部屋を形成する。前記の中間床は、吊り下げ部材で上階又は下階から支持するか吊り下げる。メインフレームの梁間にブレース等を設置して構造的安定性を向上している。複数層分のメインフレームを積層して高層化したメゾネット形式の集合住宅を建築できるので、集合住宅の生産の合理化と生産工程の短縮を図れると説明している。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の建物は、通常は高層ビル形式であり、特殊な立地条件によって実現する橋上都市であったり、スーパーストラクチャー方式を採用したメゾネット形式の集合住宅であるという具合に、生産性や機能性或いは効率という類の技術の集成でしかないのが実状である。したがって、例えばロングスパンの建築空間を実現しようとすれば、構造部材の断面は当然大きなものとなり、住宅的スケールからはかけ離れることが多いのである。
【0006】
最近流行の環境に優しい技術、自然の環境と風景に溶け込んで共生する建築物により人々の暮らしに安らぎを与える、等々の技術的思想は現状とうてい認め得ないのである。
【0007】
本発明の目的は、例えば田園地帯における人々の暮らしが自然と一体となって共生する魅力的な風景を毀損することの少ない建物、自然の環境と風景に溶け込んで共生し、人々の暮らしに安らぎを与え得るような新規構想の建物を提供することである。
【0008】
本発明の目的を、もっと具体的に説明すると、
(1)ロングスパンの建築空間を実現し、建物下部に柱の少ない開放的なピロティを実現すること。
(2)開放的なファサード、自由なファサードデザインが可能な建物を実現すること。
(3)自由な間仕切り配置が可能で、しかも構造部材の断面を可及的に小さくして住宅的スケールに適合する建物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るH型大断面のロングスパン建物は、
最上階の屋根スラブを上フランジとし、最下階の床スラブを下フランジとし、両者間の中央に位置する間仕切り壁がウエブとしての役割をそれぞれ分担するH型大断面であり、ウエブと同方向に長大に構成されていること、
前記間仕切り壁の直下に位置する柱がウエブの長手方向に長大なスパンで配置されていること、
前記上フランジと下フランジとの中間に中間階の床スラブが設けられ、前記間仕切り壁は、中間階の床スラブの上下において一部分をラップさせて互い違いの配置とされ、逆に開口部も上下において互い違いの配置とされていること、
前記上下のフランジと中間階の床スラブ及び間仕切り壁とで区画された空間が居住域空間として構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載したH型大断面のロングスパン建物において、
上フランジと下フランジの長手方向にプレストレスが導入されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施形態】
以下に、請求項1、2に記載した発明に係るH型大断面のロングスパン建物の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係るH型大断面のロングスパン建物1の開放的なファサードを特徴的に表現したものである。その垂直断面を表した図2を見ると一層明解なように、最上階の屋根スラブ2を上フランジとし、最下階の床スラブ3を下フランジとし、両者間の中央に位置する間仕切り壁4がウエブとしての役割をそれぞれ分担するH型大断面に構成されており、ウエブ(間仕切り壁4)と同方向に長大に構成されている。
【0013】
因みに、上フランジ(屋根スラブ2)から下フランジ(最下階の床スラブ3)までの所謂梁せい(高さ)は、図示例の場合は2階建て構造を前提として約6m位とされ、上下のフランジの幅寸は約9m位の大きさとされている。
【0014】
前記間仕切り壁4の直下の位置に1本ずつ独立した構造の柱7が地盤に構築した基礎5の上に建てられ、当該建物1を支持している。この柱7は、図4A、Bで明らかなように、前記ウエブ(間仕切り壁4)の長手方向に例えば30m乃至40m程度の長大なスパン(図4BのL寸法)で1本ずつ配置されている。従って、この建物1は、地上高さを変化させて上下方向にうねる形態に建築することは容易である。ちなみに柱7の大きさは、外径が80cm程度に構築されている。
【0015】
図2で明解なように、1本の柱7で支持する建物1は地上一定の高さに構築されている。しかも柱7が、前述したように長大なスパンで構築されているが故に、建物1の下には、一見すると1本の柱7がポツンと立っているだけで他に遮るものがない吹き抜け空間を形成している。よって、そのピロティは極めて開放的な雰囲気を与える。図1の場合は、前記開放的な雰囲気のピロティの景観を損なうことのないように、建物1との行き来を可能にする中二階の歩道10を設けるほか、親子の遊び場、リエクレーション施設などのスペースに利用した構成を示している。
【0016】
本発明の次の特徴は、前記上フランジ(屋根スラブ2)と下フランジ(最下階の床スラブ3)との中間に中間階の床スラブ6が設けられ、前記の間仕切り壁4は、中間階の床スラブ6の上下において一部分(図4B中のS寸法)をラップさせて互い違いの配置で設けられていることである。図4A、Bに前記構造を概念的に表現している。
【0017】
前記したように、中間階の床スラブ6の上下の階における間仕切り壁4は一部分がラップしているので、H型大断面が構造的に成立している。ラップ部分の寸法Sは間仕切り壁4の壁厚よりも大きく設計される。間仕切り壁4は通例の耐力壁或いは耐震壁として構築される。
【0018】
逆に、各階において隣接する間仕切り壁4と4の間に形成される開口部8も、当然のことながら上下の階において互い違いの配置とされている。したがって、前記の開口部8は、各階の居住域空間における居住者の行動の動線を多様にして居住性の利便に寄与する。よって、この建物1は住居又は事務所などとして使用することに適している。
【0019】
結局、本発明の建物1は、前記上下のフランジ(最上階の屋根スラブ2と最下階の床スラブ3)及び中間階の床スラブ6並びに間仕切り壁4とによって区画された上下二つの空間が、内装設備によって住居又は事務所などの居住域空間として構成されるのである。
【0020】
その具体例を図3AとBに示した。
図3Aは上階の平面配置図、図3Bが下階の平面配置を示している。図示例の場合、1枚の間仕切り壁4の幅寸は、およそ半間(通例の出入り口開口の幅)の程度に構築して人の動線に便利な構成とされている。また、図示例は、階段9を使用して上階と下階を供用するメゾネットタイプに構成しているが、この限りではない。
【0021】
いずれにしても、本発明の建物1は、図2に示したように大断面のH型に構築され、ウエブに相当する間仕切り壁4の両側の空間には、構造壁も柱もない自由空間であり、間仕切りを自由に配置できる構成であるから、住居であれ又は事務所であっても、その平面計画の自由度は極めて高い。つまり、開放的なファサード、或いは自由なファサードデザインを実現出来るのである。逆に言えば、ファサードが構造部材から開放されているので、自由にデザインでき、居住性を向上させることができるのである。しかも大断面のH型に構築されているから、各構造部材の厚さを薄くでき、住宅的なスケールの建物にも対応出来るのである。
【0022】
なお、上記の建物1においては、上フランジである最上階の屋根スラブ2及び下フランジである最下階の床スラブ3の長手方向には例えばPC鋼線等を配置し、プレストレスを導入して変形が抑制又は制御される(請求項2記載の発明)。同様に、各間仕切り壁4についても、上下階の方向にPC鋼線等を配置し、プレストレスを導入して変形を抑制し又は制御することができる。
【0023】
図5A〜Dは、本発明の建物1が地面レベルG.Lに対して高さを変化させるバリエーションを示す。図6は、図5に示したバリエーションの応用例として、本発明の建物1が、農村の段々畑の景観と一致させて共生する景観を概念的に示している。
【0024】
図1と図2には、中間階の床スラブ6が単一の実施形態を示しているが、この限りではない。上フランジと下フランジの間に複数(任意数)の中間階床スラブ6を設けた構成で実施することも同様にできる。かくすると、階層数が増えた分だけ、H型断面のせいの高さが大きくなるので、力学的には有利となる。
【0025】
【本発明が奏する効果】
請求項1、2に記載した発明に係るH型大断面のロングスパン建物によれば、例えば田園地帯において人々の暮らしが自然と一体となった魅力的な風景を毀損することの少ない建物、自然の環境と風景に溶け込んで共生し、人々の暮らしに安らぎを与えるような建物を提供することが可能となる。
【0026】
即ち、本発明のH型大断面のロングスパン建物は、ロングスパンの建築空間を実現し、建物下部に柱の少ない開放的なピロティを実現できる。また、開放的なファサード、自由なファサードデザインが可能な建物を実現できる。更に、自由な間仕切り配置が可能であるし、構造部材の断面を可及的に小さくして住宅的スケールに適合する建物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るH型大断面のロングスパン建物の一部の正面図である。
【図2】図1のII−II線矢視の拡大した断面図である。
【図3】AとBは室内の平面的配置の例を示す平面図である。
【図4】AとBはH型大断面のロングスパン建物の構造概要を概念的に示した斜視図と正面図である。
【図5】本発明の建物が地面レベルに対して高さを変化させるバリエーションを示した概念図である。
【図6】本発明の建物を農村の段々畑の景観と一致させて共生する景観を概念的に示した斜視図である。
【符号の説明】
1 建物
2 屋根スラブ(上フランジ)
3 最下階の床スラブ(下フランジ)
4 間仕切り壁(ウエブ)
8 開口部
6 中間階の床スラブ

Claims (2)

  1. 最上階の屋根スラブを上フランジとし、最下階の床スラブを下フランジとし、両者間の中央に位置する間仕切り壁がウエブとしての役割をそれぞれ分担するH型大断面であり、ウエブと同方向に長大に構成されていること、
    前記間仕切り壁の直下に位置する柱がウエブの長手方向に長大なスパンで配置されていること、
    前記上フランジと下フランジとの中間に中間階の床スラブが設けられ、前記間仕切り壁は、中間階の床スラブの上下において一部分をラップさせて互い違いの配置とされ、逆に開口部も上下において互い違いの配置とされていること、
    前記上下のフランジと中間階の床スラブ及び間仕切り壁とで区画された空間が居住域空間として構成されていることを特徴とする、H型大断面のロングスパン建物。
  2. 上フランジと下フランジの長手方向にプレストレスが導入されていることを特徴とする、請求項1に記載したH型大断面のロングスパン建物。
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