JP3704262B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通されて体腔内における処置に用いられる内視鏡用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図20は、最も代表的な内視鏡用処置具である内視鏡用生検鉗子の先端部分を示しており、可撓性のシース1内に操作ワイヤ2が軸線方向に進退自在に挿通配置され、シース1の先端に取り付けられた先端支持部材3に、一対の鉗子カップ7が支軸5を中心にして嘴状に開閉自在に支持されている。
【0003】
先端支持部材3の先側部分には、先側に開口する溝3aが形成されていて、操作ワイヤ2によって作動して鉗子カップ7を開閉駆動する駆動機構10が、溝3a内に挟持配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図21は、先端支持部材3を単独で示しており、先端支持部材3の後側部分3Aはシース1の先端部分が差し込まれる筒状に形成され、先側部分3Bには上述のように駆動機構10が挟持配置される溝3aが形成されている。
【0005】
したがって、先端支持部材3を製造するためには棒状の素材に対して、後方からの穴あけ加工と先側の溝形成加工の少なくとも二種類の切削加工が必要であり、しかもフライス盤等の使用を必要とすることから、部品製造にコストがかさむ欠点があった。
【0006】
そこで本発明は、駆動機構挟持溝部とシース連結部とを有する先端支持部材を低コストで製造可能な内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用処置具は、先端処置部材駆動機構を可動に挟持するようにコの字状に形成された駆動機構挟持溝部と、シースの先端に連結されるように環状に形成されたシース連結部とが形成された先端支持部材を有する内視鏡用処置具において、第1の帯状部とそれに平行な第2の帯状部とを含む一枚の金属板材を素材として、第1の帯状部をコの字状に折り曲げることにより駆動機構挟持溝部を形成すると共に、第2の帯状部全体を第1の帯状部とは反対方向に直角に折り曲げてさらに環状に曲げることによりシース連結部を形成したものである。
【0008】
なお、第2の帯状部が、第1の帯状部を挟んでその両側に分かれて形成されていてもよく、第1の帯状部の板厚が、他の部分より厚く形成されていれば、駆動機構挟持溝部の機械強度を十分にすることができる。
【0009】
また、シース連結部が一つながりの環状に連結形成されていてもよく、シース連結部のつなぎ合わせ部に、そのつなぎ合わせ部が周方向に抜けるのを規制する嵌め合わせ部が設けられていてもよい。
【0010】
また、シース連結部のつなぎ合わせ部の端面が、径方向に内外になるように斜め向きに当接しあって、内側と外側とが相互に逆になる関係の複数の斜面を含んでいてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、内視鏡用生検鉗子の先端部分を示しており、図1は平面断面図、図2は側面断面図である。ただし、両図共に、少ない図面で構造を説明できるように、異なる断面を複合して図示してある。
【0012】
図示されていない内視鏡の鉗子チャンネルに挿脱される可撓性のシース1は、例えばステンレス鋼線を一定の径で密着巻きして形成された密着巻コイルパイプからなる。
【0013】
ただし、シース1は密着巻コイルパイプに可撓性チューブを被覆したものや、その他の構成をとってもよく、その長さは例えば1〜2.5m程度、直径は1.5〜3mm程度である。
【0014】
シース1の内部には、軸線方向に進退自在に操作ワイヤ2が全長にわたって挿通配置されており、シース1の基端側に連結された操作部(図示せず)からの操作によって操作ワイヤ2が進退操作される。
【0015】
シース1の先端には先端支持部材3が固定的に連結されている。この先端支持部材3は、図6に単独で示され、図7に展開して示されるように、シース1の先端に連結されるように環状に形成されたシース連結部31と、先端処置部材駆動機構(駆動レバー8、リンク板13等)を可動に挟持するようにコの字状に形成された駆動機構挟持溝部32とが、一枚の平らな金属板材を曲げて形成されている。その詳細については後述する。
【0016】
先端支持部材3のシース連結部31と駆動機構挟持溝部32との境界部の中心軸線位置には、後述するワイヤ連結リンク12が緩く通る通過孔39が形成されている。
【0017】
先端支持部材3の先端近傍(即ち駆動機構挟持溝部32の先端近傍)には、軸線方向と直交する向きに支軸受孔4が貫通して穿設され、そこに支軸5が通されてかしめ固定されている。
【0018】
そして、鉗子カップ7と駆動レバー8とが一体に形成された二組の部材がその支軸5に回動自在に支持されており、一対の鉗子カップ7は、開放面どうしがあい対向した状態で先端支持部材3より前方に突出した位置に配置されている。
【0019】
駆動レバー8は、コの字状の駆動機構挟持溝部32の溝32a内に可動に収容されている。そして、両端が先端支持部材3に保持された支軸5が各駆動レバー8に穿設された軸孔11に通されていて、駆動レバー8が支軸5を中心に回動することにより、駆動レバー8と一体に形成された鉗子カップ7が嘴状に開閉動作をする。図3は、鉗子カップ7が開いた状態を示している。
【0020】
鉗子カップ7と駆動レバー8は、一枚のステンレス鋼板を素材としてプレス加工によって形成されており、図4にその部品単体の斜視図が示され、図1には平面断面の一部が示されている。
【0021】
鉗子カップ7と駆動レバー8は、全体として柄の短いスプーン状に形成されている。鉗子カップ7は背部分に孔7aが形成された半長球状であり、開放面の縁部には刃が形成されている。
【0022】
鉗子カップ7と駆動レバー8との境界部分9は、V−V断面を示す図5に示されるように略U字状の断面形状に形成されており、駆動レバー8も境界部分9と連続した略U字状の断面形状に形成されている。
【0023】
操作ワイヤ2の先端に固着連結された棒状のワイヤ連結リンク12の先側部分が先端支持部材3の溝32a内に位置しており、ワイヤ連結リンク12の先端部分を挟んで配置された板状の二つのリンク板13が、リベット14によってワイヤ連結リンク12の先端近傍に回動自在に連結されている。
【0024】
リベット14は、ワイヤ連結リンク12に形成された孔15に回転自在に緩く嵌挿されて、二つのリンク板13の各々に形成された孔16に両端が保持されてかしめられている。
【0025】
略U字状に形成された駆動レバー8内の隙間部分8bは、支軸5の軸線方向に対して垂直の方向に形成された平行溝になっており、その平行溝8b内にリンク板13の他端側が各々差し込まれ、両端が駆動レバー8に保持されたリベット18(ピン状部材)によってリンク板13が駆動レバー8に回動自在に連結されている。
【0026】
二つのリベット18は、各リンク板13に形成された孔19に各々回転自在に緩く嵌挿されて、各駆動レバー8に形成された孔20部分に各々の両端が保持されている。8aは、リンク板13を通すために駆動レバー8の底部に形成された溝孔である。
【0027】
このようにして、ワイヤ連結リンク12と二つのリンク板13及び駆動レバー8によってパンタグラフ状のリンク機構が構成されていて、操作ワイヤ2を手元側から進退操作することにより、それと一体にワイヤ連結リンク12が進退し、リンク板13によって駆動レバー8が支軸5を中心に回動して、鉗子カップ7が嘴状に開閉する。
【0028】
その際に、リンク板13が駆動レバー8の平行溝8b内に配置されていて、両端が駆動レバー8に受けられた状態のリベット18にリンク板13が係合しているので、リンク板13と駆動レバー8とが連結部分でかしいだり傾いたりせず円滑に動作し、鉗子カップ7が確実に開閉する。使用時には、生体の粘膜組織を一組の鉗子カップ7の間に強く挟み込んで、食いちぎるようにして鉗子カップ7内に採取する。
【0029】
このように構成された内視鏡用処置具の先端支持部材3は、前述のように、図7に示される平らな金属板材を曲げて、図6に示されるようなシース連結部31と駆動機構挟持溝部32が一体に形成されている。
【0030】
即ち、図7に示されるように、先端支持部材3の素材である金属板材には、長い第1の帯状部32′と、その両側に各々第1の帯状部32′に対して平行に配置された第2の帯状部31′とが形成されていて、それらに対して直角に中央位置に配置されたつなぎ部33によって、全体が一つながりになっている。39は通過孔、4は支軸受孔である。
【0031】
第1の帯状部32′をコの字状に折り曲げることにより駆動機構挟持溝部32が形成され、第2の帯状部31′をつなぎ部33と共に第1の帯状部32′と反対方向に直角に折り曲げ、第2の帯状部31′だけをさらに環状に曲げることによりシース連結部31の形状が形成されている。
【0032】
なお、第1の帯状部32′の板厚は他の部分より厚く(例えば、他の部分の2倍程度)形成されて機械強度が確保されている。そのような板厚に差をつける加工は、例えばプレスによって行うことができる。また、第2の帯状部31′は必ずしも第1の帯状部32′の両側に配置する必要はなく、一方のみに長く配置してもよい。
【0033】
この実施の形態においては、各第2の帯状部31′は環状のシース連結部31のちょうど半周分の長さに形成されており、半円状に曲げられて二つを一つながりの環状に連結することによりシース連結部31が形成されている。
【0034】
そのつなぎ合わせ部には、つなぎ合わせ部が周方向に抜けない形状の嵌め合わせ部が形成されている。嵌め合わせ部は、この実施の形態においては、突端側を長辺にした台形状の凸部34と、その凸部34がピッタリと嵌まり込む形状の凹部35からなっている。
【0035】
したがって、シース連結部31に周方向に大きな力が作用しても、シース連結部31の環状形状が崩されない。そして、凸部34と凹部35とを嵌め合わせてその部分を溶着等により固着し合えば、径方向にも形状が崩れない。
【0036】
このように、先端支持部材3はフライス盤等による切削加工を全く行うことなくほとんどプレス加工のみで製造することができるので、製造コストを大幅に低減することができる。
【0037】
なお、図8及び、そのIX−IX断面とX−X断面を図示する図9と図10に示されるように、シース連結部31のつなぎ合わせ部の端面を各々径方向に内外になるように斜め向きに当接しあう斜面に形成し、内側と外側とが逆になる関係に斜面を複数形成すれば、つなぎ合わせ部においてその両側の部分が互いに外側から相手を押さえ付けるので、溶着等を行わなくても径方向に形状が崩れない。斜面はプレス加工の他、エッチングその他の加工によって形成可能である。
【0038】
また、つなぎ合わせ部に、図11に示されるように互いに嵌め合わされる矩形状の凸部34と凹部35を形成して、図8に示されるのと同様に当接端面を斜面に形成すれば、抜け止めにはならないが径方向の形状の崩れを阻止することができる。
【0039】
また、つなぎ合わせ部に、図12及びそのXIII−XIII断面を図示する図13、或いは、図14及びそのXV−XV断面を図示する図15に示されるように、互いに嵌め合わされる矩形状の凸部と凹部の周方向の対向面を同様の斜面に形成すれば、やはり、抜け止めにはならないが径方向の形状の崩れを阻止することができる。
【0040】
なお、シース連結部31は、図16に示されるように、シース1の外面に螺合する螺旋溝付きのキャップ状に形成してもよく、或いは図17に示されるように、連続していない環状の一部分によって形成してもよい。また、図18に示されるように、シース連結部31がシース1内に差し込まれるように形成してもよい。
【0041】
また、本発明を生検鉗子以外の各種の内視鏡用処置具に適用してもよく、図19に示されるように、例えば内視鏡の湾曲部を構成する節輪300等のような内視鏡用の環状部品に本発明のつなぎ合わせ構造を適用してもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、第1の帯状部とそれに平行な第2の帯状部とを含む一枚の金属板材を素材として、第1の帯状部をコの字状に折り曲げることにより駆動機構挟持溝部を形成すると共に、第2の帯状部全体を第1の帯状部とは反対方向に直角に折り曲げてさらに環状に曲げることによりシース連結部を形成したことにより、フライス盤等による切削加工を全く行うことなくほとんどをプレス加工等のみで先端支持部材を製造することができるので、製造コストを大幅に低減することができ、内視鏡用処置具の使い捨て化等を容易に実現して患者間の感染防止にも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が閉じた状態の先端部分の平面複合断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が閉じた状態の先端部分の側面複合断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子が開いた状態の先端部分の側面部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子の鉗子カップと駆動レバーが一体に形成された部材の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の内視鏡用生検鉗子の鉗子カップと駆動レバーとの境界部分の断面図(図4におけるV−V断面図)である。
【図6】本発明の実施の形態の先端支持部材を単独で示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の先端支持部材の展開図である。
【図8】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の正面図である。
【図9】図8におけるIX−IX断面図である。
【図10】図8におけるX−X断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の変形例の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の第2の変形例の正面図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII断面図である。
【図14】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の第3の変形例の正面図である。
【図15】図14におけるXV−XV断面図である。
【図16】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の第4の変形例の側面断面図である。
【図17】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の第5の変形例の正面断面図である。
【図18】本発明の実施の形態の先端支持部材のつなぎ合わせ部の第6の変形例の平面図である。
【図19】本発明のつなぎ合わせ構造を内視鏡の湾曲部の節輪に適用した例の斜視図である。
【図20】従来の内視鏡用生検鉗子の先端部分の側面断面図である。
【図21】従来の先端支持部材の斜視図である。
【符号の説明】
1 シース
2 操作ワイヤ
3 先端支持部材
7 鉗子カップ
8 駆動レバー
13 リンク板
31 シース連結部
31′ 第2の帯状部
32 駆動機構挟持溝部
32′ 第1の帯状部
32a 溝
33 つなぎ部
34 凸部
35 凹部
39 通過孔
Claims (6)
- 先端処置部材駆動機構を可動に挟持するようにコの字状に形成された駆動機構挟持溝部と、シースの先端に連結されるように環状に形成されたシース連結部とが形成された先端支持部材を有する内視鏡用処置具において、
第1の帯状部とそれに平行な第2の帯状部とを含む一枚の金属板材を素材として、上記第1の帯状部をコの字状に折り曲げることにより上記駆動機構挟持溝部を形成すると共に、上記第2の帯状部全体を上記第1の帯状部とは反対方向に直角に折り曲げてさらに環状に曲げることにより上記シース連結部を形成したことを特徴とする内視鏡用処置具。 - 上記第2の帯状部が、上記第1の帯状部を挟んでその両側に分かれて形成されている請求項1記載の内視鏡用処置具。
- 上記第1の帯状部の板厚が、他の部分より厚く形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用処置具。
- 上記シース連結部が一つながりの環状に連結形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡用処置具。
- 上記シース連結部のつなぎ合わせ部に、そのつなぎ合わせ部が周方向に抜けるのを規制する嵌め合わせ部が設けられている請求項4記載の内視鏡用処置具。
- 上記シース連結部のつなぎ合わせ部の端面が、径方向に内外になるように斜め向きに当接しあって、内側と外側とが相互に逆になる関係の複数の斜面を含んでいる請求項4又は5記載の内視鏡用処置具。
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