JP3702785B2 - 楽音演奏装置、方法及び媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、楽音演奏装置に関し、より詳しくは、楽音信号のゲートタイムを設定する楽音演奏装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
楽音信号のゲートタイムをコントロールすることにより、楽音に特殊な効果を与えるエフェクトが知られている(以下スライス効果という)。これは、楽音の発音のオン/オフを一定の発音パターンに応じて切り替えるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの発音パターンは、予め記憶されているものを用いるか、または、予め記憶されているものを編集することにより作成される。
【0004】
さらには、発音パターンの作成方法として、スライス効果を与えたい楽音信号を複数のブロックに分割し、その各ブロックに対応する複数のスイッチを用意して、それらのスイッチのオン/オフにより発音パターンを作成するものが知られている。
【0005】
以上のような従来の発音パターンの作成方法では、作成できる発音パターンのバリエーションが限られてしまう。また、楽音のテンポに合わせることができないので、テンポに連動した発音パターンを作成するのは難しかった。
【0006】
本発明の目的は、よりバリエーションに富んだ効果を与えることのできる楽音演奏装置を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、演奏テンポに連動した、変化パターンを簡単に作成できる楽音演奏装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、楽音演奏装置は、複数の発音チャンネルと、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルに共通の第1の変化パターンを生成する第1の変化パターン生成手段と、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルの少なくとも2つの異なるチャンネルにそれぞれに別の第2の変化パターンを生成する第2の変化パターン生成手段と、前記第1の変化パターンと前記第2の変化パターンを合成して、第3の変化パターンを生成する第3の変化パターン生成手段と、前記第2の変化パターンが生成される少なくとも2つの異なるチャンネルの楽音信号に前記第3の変化パターンに基づいて効果を付与する効果付与手段とを有する。
【0009】
また、本発明の他の観点によれば、楽音演奏装置は、複数の発音チャンネルと、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルに共通の第1の変化パターンを生成する第1の変化パターン生成手段と、前記第1の変化パターンの発音に関するパラメータの下限値を、上限値を変化させることなく変更可能な下限値変更手段と、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルの少なくとも2つの異なるチャンネルにそれぞれに別の第2の変化パターンを生成する第2の変化パターン生成手段と、前記変更された変化パターンと前記第2の変化パターンを合成して、第3の変化パターンを生成する第3の変化パターン生成手段と、前記第2の変化パターンが生成される少なくとも2つの異なるチャンネルの楽音信号に前記第3の変化パターンに基づいて効果を付与する効果付与手段とを有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例による楽音演奏装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
楽音演奏装置1はバス2、ROM3、RAM4、CPU5、タイマ6、外部記憶装置7、検出回路8、操作子9、表示回路10、ディスプレイ11、音源回路12、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)13、サウンドシステム14、インプット/アウトプット(I/O)・インターフェイス16、通信インターフェイス18を含んで構成される。
【0014】
バス2には、ROM3、RAM4、CPU5、タイマ6、外部記憶装置7、検出回路8、表示回路10、音源回路12、I/Oインターフェイス16、通信インターフェイス18が接続される。
【0015】
ユーザは、検出回路8に接続される操作子(パネル操作子)9を用いて、 イコライジング、効果付与の設定、音量調節、各種パラメータ、プリセットの入力及び選択等をすることができる。操作子9は、例えば、ジョグシャトル、ロータリーエンコーダ、フェーダー、スライダ、マウス、文字入力用キーボード、演奏用の鍵盤、ジョイスティック、スイッチ等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。また、本実施例では、複数の入力手段が接続されている。
【0016】
表示回路10は、ディスプレイ11に接続され、各種情報をディスプレイ11に表示することができる。ユーザは、このディスプレイ11に表示される情報を参照して、各種設定を行う。
【0017】
外部記憶装置7は、外部記憶装置用のインターフェイスを含み、そのインターフェイスを介してバス2に接続される。外部記憶装置7は、例えばフロッピディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)、光磁気ディスク(MO)ドライブ、CD−ROM(コンパクトディスク−リードオンリィメモリ)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ等である。
【0018】
外部記憶装置7には、各種データ、及び本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。
【0019】
RAM4は、フラグ、レジスタ又はバッファ、各種パラメータ等を記憶するCPU5のワーキングエリアを有する。ROM3には、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。この場合、プログラム等を重ねて、外部記憶装置7に記憶する必要は無い。CPU5は、ROM3又は、外部記憶装置7に記憶されている制御プログラム等に従い、演算又は制御を行う。
【0020】
タイマ6は、CPU5及びバス2に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等をCPU5に指示する。
【0021】
I/Oインターフェイス16は、外部音源17、その他の楽器、電子楽器、音響機器、コンピュータ等に接続できるものであり、少なくとも演奏信号を入出力できるものである。さらに、I/Oインターフェイス16として、MIDIインターフェイスを備えるようにしても良い。その場合、専用のMIDIインターフェイスに限らず、RS−232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインターフェイスを用いて構成してもよい。また、これらのインターフェイスを介して、MIDIメッセージ以外のデータをも同時に送受信するようにしてもよい。
【0022】
外部音源17は、I/Oインターフェイス16に接続される音響機器、電子楽器等である。電子楽器の形態は鍵盤楽器に限らず、弦楽器タイプ、管楽器タイプ、打楽器タイプ等の形態でもよい。また、音源装置、自動演奏装置等を1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別体の装置であり、MIDIや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するものであってもよい。また、外部音源17は、各種設定及び情報を入力するための操作子としても用いることが出来る。
【0023】
音源回路12は、供給されるMIDI信号等に応じて楽音信号を生成し、DSP13を介して、サウンドシステム14に供給する。
【0024】
DSP13は、音源回路12から供給される楽音信号に対して、各種処理を施す。
【0025】
サウンドシステム14は、D/A変換器を含み、供給されるデジタル形式の楽音信号をアナログ形式に変換し、左右2チャンネルのスピーカ15Lとスピーカ15Rに楽音信号を送り、発音させる。
【0026】
なお、音源回路12は、波形メモリ方式、FM方式、物理モデル方式、高調波合成方式、フォルマント合成方式、VCO(Voltage Controlled Oscillator)+VCF(Voltage Controlled Filter)+VCA(Voltage Controlled Amplifier)のアナログシンセサイザ方式等、どのような方式であってもよい。
【0027】
また、音源回路12は、専用のハードウェアを用いて構成するものに限らず、DSP(Degital Signal Processor)+マイクロプログラムを用いて構成してもよいし、CPU+ソフトウェアのプログラムで構成するようにしてもよいし、サウンドカードのようなものでもよい。
【0028】
さらに、1つの音源回路を時分割で使用することにより複数の発音チャンネルを形成するようにしてもよいし、複数の音源回路を用い、1つの発音チャンネルにつき1つの音源回路で複数の発音チャンネルを構成するようにしてもよい。
【0029】
制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等を外部記憶装置7内のハードディスク(HDD)に記憶させることもできる。ハードディスクからRAM4に制御プログラム等を読み出すことにより、ROM3に制御プログラム等を記憶させている場合と同様の動作をCPU5にさせることができる。このようにすると、制御プログラム等の追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0030】
また、制御プログラム又は本実施例を実現するためのプログラム等をCD−ROMに記憶させることもできる。CD−ROMからハードディスクに制御プログラムや本実施例を実現するためのプログラム等をコピーすることができる。制御プログラム等の新規インストールやバージョンアップを容易に行うことができる。
【0031】
通信インターフェイス18は、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク19に接続可能であり、該通信ネットワーク19を介して、サーバと接続し、HDD等外部記憶装置7、又はRAM4等内に、サーバから制御プログラムや本実施例を実現するためのプログラム、及び楽音信号のデータ等をダウンロードすることができる。
【0032】
図2は、本実施例による楽音演奏装置1の機能を表すブロック図である。
【0033】
楽音演奏装置1は、例えば、リズムパターン設定部20、底部レベル設定部21、左チャンネル用(Lch)PANエンベロープ設定部22L、右チャンネル用(Rch)PANエンベロープ設定部22R、左チャンネル用乗算部23L、右チャンネル用乗算部23R、左チャンネル用アンプ24L、右チャンネル用アンプ24R、左チャンネル用の楽音信号ライン25L、右チャンネル用の楽音信号ライン25Rで構成される。
【0034】
リズムパターン設定部20は、楽音のテンポ等によってゲートタイムを変化させることのできる複数のゲートタイムコントロールGT1〜GTnを有しており、後に詳述するように、入力される楽音信号の音量を時系列的に制御するためのカッティング・パターンを設定する。
【0035】
それぞれのゲートタイムコントロールGTは、例えば16分音符、8分音符、4分音符などの音符長に対応させることができる。リズムパターン設定部20では、これらの音符長に対応した複数のゲートタイムコントロールGTを組み合わせることで、さまざまなカッティング・パターンを生成する。
【0036】
ここで作成されるカッティング・パターンは、楽音の発音のオン(1)又はオフ(0)の組合せによるものである。本実施例では発音のオン状態を数値1で表し、オフ状態を数値0で表す。ここで、発音のオン状態とは、入力される楽音の音量を減少させないということであり、発音のオフ状態とは、入力される楽音の音量を最低値(例えば音量0)まで減少させるということである。
【0037】
底部レベル設定部21は、リズムパターン設定部20で作成されたカッティング・パターン中で発音オフに設定された部分の数値を0〜1までの間で連続的に変化させることができる。これにより、発音パターンの底部レベルを自由に設定することができる。すなわち、単に、音量のオンオフを切り替えるのではなく、例えば、通常の音量と25%の音量を切り替えることができる。
【0038】
LchPANエンベロープ設定部22L、及びRchPANエンベロープ設定部22Rは、後述するように設定された定位パターンに基づいて、Lch及びRch用のPANエンベロープをそれぞれ設定する。
【0039】
左チャンネル用乗算部23L、右チャンネル用乗算部23Rのそれぞれは、リズムパターン設定部20で作成され及び底部レベル設定部21で編集されたカッティング・パターンを左右両チャンネル用のPANエンベロープと合成することにより左右両チャンネル用の発音パターンを生成する。
【0040】
左チャンネル用アンプ24L、右チャンネル用アンプ24Rは、それぞれ左チャンネル用の楽音信号ライン25L、右チャンネル用の楽音信号ライン25Rに入力される楽音信号の音量を左右両チャンネル用の発音パターンに応じて制御する。
【0041】
図3は、図2のリズムパターン設定部20で、カッティング・パターンを設定する際に用いられる音符パターンの種類を表す図である。
【0042】
本実施例では、4分音符長の音符パターンQN、8分音符長の音符パターンEN、16分音符長のパターンSNが用意されている。それぞれの音符パターンは、図2のゲートタイムコントロールGTのひとつに対応している。
【0043】
また、4分音符長の音符パターンQN、8分音符長のパターンEN、16分音符長のパターンSNは、それぞれ(+1)の値を持つものと(−1)の値を持つものが用意されており、計6種類の音符パターンが存在する。ユーザはこれらの音符パターンを組み合わせることにより、カッティング・パターンを作成する。
【0044】
2つ以上の音符パターンが組み合わせた場合にそれらが重なる部分では、最大値を1とし、最小値を−1として、重なり合う音符パターンの値を加算する。すなわち、(+1)の値を持つ音符パターンと(−1)の値を持つ音符パターンが重なる部分は、(0)の値になる。また、(+1)の値を持つ音符パターンと(+1)の値を持つ音符パターンが重なる部分は、最大値が+1に設定されているので、(+1)の値になる。同様にして、(−1)の値を持つ音符パターンと(−1)の値を持つ音符パターンが重なる部分は、最小値が−1に設定されているので、(−1)の値になる。
【0045】
なお、音符パターンは、上記の三種類に限らず32分音符長のものや、全音符長若しくは二分音符長のものなど音符長を表すものならどのようなものを用意してもよい。また、用意する音符長は3つに限らず様々な種類のものを用意してもよい。
【0046】
図4は、図2のリズムパターン設定部20で行うカッティング・パターンCPの作成の第1の例を表す概念図である。本実施例では、1小節分のカッティング・パターンを作成する。ここで作成される1小節分のカッティング・パターンは、繰り返し用いることができる。
【0047】
この例では、図4に示すように、まず1小節の頭の拍(1拍目)に4分音符長の音符パターンQN(+)を適用し、その後1拍おいて3拍目にも音符パターンQN(+)を適用して、第1パターンP1を作成する。
【0048】
次に、1小節の2拍目に8分音符長の音符パターンEN(+)を適用し、その後4拍目にも8分音符長の音符パターンEN(+)を適用して、第2パターンP2を作成する。
【0049】
次に、第1パターンP1と、第2パターンP2を合成パターンSPのように加算合成して合成音符長SNを持つカッティング・パターンCP1を作成する。この例では、合成音符長SNは、付点4分音符長の音符パターンとなっている。
【0050】
このように、数種の音符長を組み合わせることにより、新たな音符長の音符パターンを作成することができる。
【0051】
図5は、図2のリズムパターン設定部20で行うカッティング・パターンCPの作成の第2の例を表す概念図である。
【0052】
この例では、図5に示すように、まず1小節の頭の拍に4分音符長の音符パターンQN(+)を適用し、その後2拍目にも4分音符長の音符パターンQN(+)を適用して、第1パターンP1を作成する。
【0053】
次に、1小節の1拍目の裏(1.5拍目)に8分音符長の音符パターンEN(−)を適用し、その後3拍目の裏(3.5拍目)と4拍目に音符パターンEN(+)を適用して、第2パターンP2を作成する。
【0054】
次に、1小節の2.75拍目に16分音符長の音符パターンSN(−)を適用して、第3パターンP3を作成する。
【0055】
次に、第1パターンP1、第2パターンP2及び第3パターンP3を合成パターンSPのように加算合成する。ここで、図中斜線で示した部分は(+)の音符パターンと(−)の音符パターンが重なり合うので、音量はOFF(0)の設定になる。
【0056】
このようにしてカッティング・パターンCP2が作成される。合成音符長SN1は、8分音符長であり、合成音符長SN2は付点8分音符長であり、合成音符長SN3は4分音符長である。
【0057】
以上のようにして、カッティング・パターンCPが作成されるが、音符長パターンの入力は、ユーザが、例えば、図1の操作子(スイッチ)9を用いて行う。本実施例の場合は、それぞれの音符長に対応するスイッチ及び、(+)又は(−)の値であることを選択するスイッチ等が設けられていればよい。
【0058】
また、音符長に対応するスイッチは、すべての音符長分の数用意する必要はなく、ひとつのスイッチを切り替えることにより使用してもよい。
【0059】
なお、本実施例では、第1パターンP1から第3パターンP3までを手動で入力しているが、これらのうちの少なくともひとつを予め記憶するパターンから選択するようにしてもよい。
【0060】
また、通常の楽曲のMIDIデータや電子楽器等から供給されるMIDIデータ等の音符長のみを利用して、これらのパターンとして使用するようにしてもよい。すなわち、本実施例では、音符長によって、カッティング・パターンを作成するようにしているので、音符長に関するデータを有するものならば、どのようなものでも、カッティングデータの作成に用いることができる。
【0061】
このようにすることで、例えば、ドラムの音にあわせてカッティング・パターンを作成したり、特定の楽器等の演奏にあわせてカッティング・パターンを作成したりすることができる。
【0062】
図6は、図2の底部レベル設定部21で、図5のカッティング・パターンCP2を編集する場合の例を表す概念図である。
【0063】
リズムパターン設定部20で作成されたカッティング・パターンCP2の値(0)の部分であるミュートパートMPを、ユーザの設定する底部レベルLBに設定することによりカッティング・パターンCP2’を作成する。
【0064】
この時、底部レベルLBは、0以上1以下の数値で指定される。すなわち、0≦LB≦1の式を満たす値に設定される。
【0065】
底部レベルLBは、例えばデシベルなどの値で指定したり、最高レベルに対する割合で指定することができる。
【0066】
図7は、図2の左右両チャンネル用のPANエンベロープ設定部22L、Rにより作成される左右両チャンネル用のPANエンベロープPPL、PPRを表す概念図である。
【0067】
PANエンベロープPPの作成は、カッティング・パターンCPの作成と同様に音符長に対応した音符パターンを合成することによって作成される。本実施例では、ユーザはカッティング・パターンCPの作成と同様のスイッチ等を用いて、音符長を選択し、別に設けられるPAN振り分け用の操作子9を用いてPANを振り分ける。PAN振り分け用の操作子9としては、例えばロータリーエンコーダなどを用いるとよい。
【0068】
PANエンベロープPPは、左右の音量バランスの変異を時系列的に表したものであり、左右それぞれが連動して併せて「1」の出力となる。すなわち、左チャンネルが「0.5」であれば、右チャンネルも「0.5」の出力であり、また、左チャンネルが「0.25」であれば右チャンネルは「0.75」の出力である。
【0069】
図8は、本実施例の楽音演奏装置1により楽音波形を編集する場合の例を表すブロック図である。図2、図4、図5、及び図6と同様の機能を有するものには同様の符号を用いる。
【0070】
まず、最高発音レベルLAのカッティング・パターンCP2が、リズムパターン設定部20で作成される。その後、底部レベル設定部21で、カッティング・パターンCP2の発音レベル0の部分が発音レベルLBに変更されカッティング・パターンCP2’となる。
【0071】
カッティング・パターンCP2’は、2つのラインに分岐して、左チャンネル用乗算部23L及び右チャンネル用乗算部23Rに送られる。
【0072】
LchPANエンベロープ設定部22Lでは、最高発音レベルLCLのPANエンベロープPPLが作成され左チャンネル用乗算部23Lに送られる。
【0073】
RchPANエンベロープ設定部22Rでは、最高発音レベルLCRのPANエンベロープPPRが作成され右チャンネル用乗算部23Rに送られる。
【0074】
左チャンネル用乗算部23Lでは、送られてきたカッティング・パターンCP2’とPANエンベロープPPLを合成して、最高発音レベルLLの発音パターンGPLを生成し、左チャンネル用アンプ24Lに送る。
【0075】
右チャンネル用乗算部23Rでは、送られてきたカッティング・パターンCP2’とPANエンベロープPPRを合成して、最高発音レベルLLの発音パターンGPRを生成し、右チャンネル用アンプ24Rに送る。
【0076】
以上のようにして、カッティング・パターンCP2から、図に示すような左右のそれぞれのチャンネル用の発音パターンGPL,Rが生成される。発音パターンGPは、左右両チャンネルのアンプ24の発音音量を制御するためのエンベロープである。
【0077】
左チャンネル用アンプ24Lでは、入力波形WLの現在のクロック数に対応する部分の発音パターンGPLに基づいて、入力波形WLの発音レベルを変更する。このようにすることで、左チャンネル用アンプ24Lに入力された入力波形WLは、図に示すような発音波形WL’となる。
【0078】
右チャンネル用アンプ24Rでは、入力波形WRの現在のクロック数に対応する部分の発音パターンGPRに基づいて、入力波形WRの発音レベルを変更する。このようにすることで、右チャンネル用アンプ24Rに入力された入力波形WRは、図に示すような発音波形WR’となる。
【0079】
図9は、図1のCPU5で行う本発明の実施例によるメイン処理を表すフローチャートである。
【0080】
ステップSA1では、メイン処理をスタートする。その後次のステップSA2に進む。
【0081】
ステップSA2では、各種フラグを初期化し、初期画面を表示装置に表示し、次のステップSA3に進む。
【0082】
ステップSA3では、パネル設定処理を行う。パネル設定処理については後述する。その後次のステップSA4に進む。
【0083】
ステップSA4では、ユーザが外部音源17又は電子楽器等により演奏を行った場合に発生され、図1のI/Oインターフェイス16に入力される演奏信号を検出する。このステップSA4で、ユーザの行う演奏信号の変わりに、予め記憶されている演奏情報やCD−ROMなどから楽音信号を入力してもよい。その場合には、演奏情報又は楽音信号の入力を検出するようにする。演奏信号を検出したら次のステップSA6に進む。
【0084】
ステップSA5では、検出した演奏信号を元に、例えば図1の音源回路12により楽音信号を生成する。ステップSA4で、楽音信号が入力された場合には、このステップSA5を飛ばしてもよい。その後、次のステップSA6に進む。
【0085】
ステップSA6では、生成された楽音信号に対する楽音信号処理が行われる。楽音信号処理の詳細は後述する。楽音信号処理が終了したらステップSA3に戻る。
【0086】
図10は、図9のステップSA3で行うパネル設定処理を表すフローチャートである。
【0087】
本実施例では、ユーザが各種パラメータ等を入力するための操作子9(図1)が複数設けられており、これらの複数の効果設定用操作子9を以下パネルと呼ぶ。
【0088】
ステップSB1では、パネル設定処理が開始される。その後次のステップSB2に進む。
【0089】
ステップSB2では、ユーザがパネル操作をしたか否かが検出される。ユーザがパネル操作をした場合にはYESの矢印で示す次のステップSB3に進む。パネル操作がない場合には、NOの矢印で示すステップSB10に進む。
【0090】
ステップSB3では、ステップSB2で操作された操作子9がスライスの設定に関するものか否かが判断される。スライスの設定に関するものと判断された場合は、YESの矢印で示すステップSB5に進む。スライスの設定に関するものではないと判断された場合は、NOの矢印で示すステップSB4に進む。
【0091】
ステップSB4では、スライス効果付与以外のその他設定を行う。その他の設定としては例えば、スライス効果のオン/オフ、スライス効果の設定の保存、読み出し、自動演奏情報の読み出し、楽音情報の再生、音源の設定等を含む。その他設定が終了したらステップSB10に進む。
【0092】
ステップSB5では、ユーザの操作子9の操作に基づき、スライス効果の設定のうち何を設定するのかが判断される。カッティング・パターンCPの設定を行うと判断したらAの矢印で示すステップSB6に進む。底部レベルLBの設定を行うと判断したらBの矢印で示すステップSB7に進む。PANエンベロープの設定を行うと判断したらCの矢印で示すステップSB8に進む。
【0093】
ステップSB6では、カッティング・パターンの設定を行う。カッティング・パターンCPの設定は、図4及び図5を参照して説明したように、ユーザが、音符長に対応した操作子を操作することにより、操作された操作子に対応する音符長のパターンを作成し、それらのパターンを複数組み合わせることにより作成する。その後、ユーザの作成したカッティング・パターンCPを図1のRAM4又は外部記憶装置7等に記録して、ステップSB9に進む。
【0094】
ステップSB7では、底部レベルLBの設定を行う。底部レベルLBの設定は、図6を参照して説明したように、カッティング・パターンCPの音量0の部分のレベルを、ユーザが指定する値に変更することにより行われる。その後、ユーザの入力した値を図1のRAM4又は外部記憶装置7等に記録して、ステップSB9に進む。
【0095】
ステップSB8では、PANエンベロープPPの設定を行う。PANエンベロープPPの設定は、図7を参照して説明したように、左右のチャンネルの発音量比をユーザが設定する。その後、ユーザの入力した値を図1のRAM4又は外部記憶装置7等に記録して、ステップSB9に進む。
【0096】
ステップSB9では、スライス効果の設定を終了するか否かをユーザに問い合わせる。スライス効果の設定を終了する場合は、YESの矢印で示すステップSB10に進む。スライス効果の設定を終了しない場合には、NOの矢印で示すステップSB5に戻る。
【0097】
ステップSB10では、パネル設定処理を終了するか否かをユーザに問い合わせる。パネル設定処理を終了する場合には、YESの矢印で示すステップSB11に進む。パネル設定処理を終了しない場合には、NOの矢印で示すステップSB2に戻る。
【0098】
ステップSB11では、パネル設定処理を終了する。
【0099】
図11は、図9のステップSA5で行うパネル楽音信号処理を表すフローチャートである。
【0100】
ステップSC1では、楽音信号処理を開始する。その後次のステップSC2に進む。
【0101】
ステップSC2では、処理すべき楽音信号の有無が判断される。楽音信号があれば、YESの矢印で示すステップSC3に進む。楽音信号がなければ、NOの矢印で示すステップSC11に進む。
【0102】
ステップSC3では、スライス効果を付与するか否かが判断される。スライス効果を付与する場合は、YESの矢印で示すステップSC4に進む。スライス効果を付与しない場合は、NOの矢印で示すステップSC9に進む。
【0103】
ステップSC4では、現在の演奏位置を図2のタイマ6から供給されるクロックに基づき検出する。その後次のステップSC5に進む。
【0104】
ステップSC5では、ステップSC4で検出した演奏位置に対応するカッティング・パターンCPのレベルLA(オン又はオフ)をRAM4等に記録したカッティング・パターンCPから読み出す。その後次のステップSC6に進む。
【0105】
ステップSC6では、ステップSC4で検出した演奏位置に対応する底部レベルLBをRAM4等に記録した底部レベルLBの設定から読み出す。その後次のステップSC7に進む。
【0106】
ステップSC7では、ステップSC4で検出した演奏位置に対応するPANエンベロープPPの左右のレベルLCL及びLCRをRAM4等に記録したPANエンベロープPPから読み出す。その後次のステップSC8に進む。
【0107】
ステップSC8では、ステップSC5〜SC7で読み出したレベルLA、底部レベルLB、PANレベルLCL及びLCRを図8を参照して説明したように、演算して、左右2チャンネル分の出力調整値(発音パターンGPL又はGPRのレベルLL又はLR)を生成する。
【0108】
ステップSC9は、ステップSC2でスライス効果を付与しない場合の処理である。ステップSC9では、その他の処理を行い、次のステップSC10に進む。ここでのその他の処理とは、演奏信号処理に関する処理であり、例えば、コーラス、ディレイ、リバーブ等のスライス以外の効果付与に関する処理等が含まれる。
【0109】
ステップSC10では、スライス処理用の出力調整値(発音パターンGPL又はGPRのレベルLL又はLR)及びステップSC9で処理されるその他の効果付与の設定に基づき楽音信号に効果を付与して出力する。その後次のステップSC11に進んで処理を終了する。
【0110】
スライス効果の付与は、ステップSC9で出力される出力調整値に基づき、楽音信号の音量をコントロールすることにより実現される。このように音量をコントロールことによって、楽音信号の形式を問わず、それが波形データであってもMIDIデータのような自動演奏情報であってもスライス効果を付与することができる。
【0111】
以上のように、本実施例によれば、音符長に基づいて、発音パターンを作成できるので、簡単に小節単位で発音パターンを設定することができる。
【0112】
また、音符長に基づいた発音パターンなので、楽音のテンポと簡単に同期を取ることができる。
【0113】
さらに、テンポに同期したPANエンベロープを簡単に作成することができる。
【0114】
なお、本実施例では、カッティング・パターンとPANエンベロープを組み合わせたが、上記二つの組合せはこれに限られない。例えば、カッティング・パターンや、PANエンベロープの代わりにピッチベンド、モジュレーション、ベロシティなど、楽音の発音状態を変化させることができる楽音の発音に関するパラメータであればどのようなものを組み合わせて発音パターンを作成してもよい。また、種々の残響効果の付与や変調等の処理の変化パターンを作成して変化させてもよい。
【0115】
例えばピッチベンドの変化パターンを作成する場合には、発音量(発音レベル)の代わりに、ピッチのシフト量を指定するようにする。
【0116】
さらに、パターンの組合せは、2つに限らず3つ以上の複数のパターンを組み合わせて発音パターンを作成するようにしてもよい。
【0117】
なお、本実施例では、左右2チャンネルの入力を用いて説明したが、上下左右4チャンネルの入力を用いることもできるし、それ以上のチャンネルの入力にも、作成するPANエンベロープ等を増やすことにより容易に対応できる。
【0118】
また、本実施例では、左右同一のカッティング・パターンに左右チャンネルで異なるPANエンベロープを合成したが、左右チャンネルにそれぞれ異なるカッティング・パターン作成するようにしてもよい。
【0119】
また、本実施例では、楽音情報を波形データとして説明したが、これに限らず、例えば、MIDIデータ等の自動演奏情報を、波形データに変換せずに、編集することもできる。この場合には、MIDIデータ中のゲートタイムやPANエンベロープを作成する発音パターンにしたがって編集する。
【0120】
さらに、本実施例では、発音パターンは1小節分を作成し、これを繰り返し使用するようにしたが、これに限らず、2小節以上の発音パターンを作成して、繰り返し使用するようにしてもよいし、一曲分の発音パターンを作成するようにしてもよい。
【0121】
なお、本実施例は、本実施例に対応するコンピュータプログラム等をインストールした市販のコンピュータ等によって、実施させるようにしてもよい。
【0122】
その場合には、本実施例に対応するコンピュータプログラム等を、CD−ROMやフロッピーディスク等の、コンピュータが読み込むことが出来る記憶媒体に記憶させた状態で、ユーザに提供してもよい。
【0123】
そのコンピュータ等が、LAN、インターネット、電話回線等の通信ネットワークに接続されている場合には、通信ネットワークを介して、コンピュータプログラムや各種データ等をコンピュータ等に提供してもよい。
【0124】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組合せ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、バリエーションに富んだ効果を与えることのできる楽音演奏装置を提供することができる。
【0126】
また、本発明によれば、演奏テンポに連動した、発音パターンを簡単に作成できる楽音演奏装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による楽音演奏装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施例による楽音演奏装置1の機能を表すブロック図である。
【図3】 図2のリズムパターン設定部20で、カッティング・パターンを設定する際に用いられる音符パターンの種類を表す図である。
【図4】 図2のリズムパターン設定部20で行うカッティング・パターンCPの作成の第1の例を表す概念図である。
【図5】 図2のリズムパターン設定部20で行うカッティング・パターンCPの作成の第2の例を表す概念図である。
【図6】 図2の底部レベル設定部21で、図5のカッティング・パターンCP2を編集する場合の例を表す概念図である。
【図7】 図2の左右両チャンネル用のPANエンベロープ設定部22L、Rにより作成される左右両チャンネル用のPANエンベロープPPL、PPRを表す概念図である。
【図8】 本実施例の楽音演奏装置1により楽音波形を編集する場合の例を表すブロック図である。
【図9】 図1のCPU5で行う本発明の実施例によるメイン処理を表すフローチャートである
【図10】 図9のステップSA3で行うパネル設定処理を表すフローチャートである。
【図11】 図9のステップSA5で行うパネル楽音信号処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1…楽音演奏装置、2…バス、3…ROM、4…RAM、5…CPU、6…タイマ、7…外部記憶装置、8…検出回路、9…操作子、10…表示回路、11…ディスプレイ、12…音源回路、13…DSP、14…サウンドシステム、15…スピーカ、16…I/Oインターフェイス、17…外部音源、18…通信インターフェイス、19…通信ネットワーク、20…リズムパターン設定部、21…底部レベル設定部、22…PANエンベロープ設定部、23…乗算部、24…アンプ

Claims (5)

  1. 複数の発音チャンネルと、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルに共通の第1の変化パターンを生成する第1の変化パターン生成手段と、
    複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルの少なくとも2つの異なるチャンネルにそれぞれに別の第2の変化パターンを生成する第2の変化パターン生成手段と、
    前記第1の変化パターンと前記第2の変化パターンを合成して、第3の変化パターンを生成する第3の変化パターン生成手段と、
    前記第2の変化パターンが生成される少なくとも2つの異なるチャンネルの楽音信号に前記第3の変化パターンに基づいて効果を付与する効果付与手段と
    を有する楽音演奏装置。
  2. 複数の発音チャンネルと、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルに共通の第1の変化パターンを生成する第1の変化パターン生成手段と、
    前記第1の変化パターンの発音に関するパラメータの下限値を、上限値を変化させることなく変更可能な下限値変更手段と、
    複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルの少なくとも2つの異なるチャンネルにそれぞれに別の第2の変化パターンを生成する第2の変化パターン生成手段と、
    前記変更された変化パターンと前記第2の変化パターンを合成して、第3の変化パターンを生成する第3の変化パターン生成手段と、
    前記第2の変化パターンが生成される少なくとも2つの異なるチャンネルの楽音信号に前記第3の変化パターンに基づいて効果を付与する効果付与手段と
    を有する楽音演奏装置。
  3. 前記変化パターンは、発音パターンである請求項1又は2記載の楽音演奏装置。
  4. 複数の発音チャンネルと、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルに共通の第1の変化パターンを生成する第1の変化パターン生成工程と、
    複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルの少なくとも2つの異なるチャンネルにそれぞれに別の第2の変化パターンを生成する第2の変化パターン生成工程と、
    前記第1の変化パターンと前記第2の変化パターンを合成して、第3の変化パターンを生成する第3の変化パターン生成工程と、
    前記第2の変化パターンが生成される少なくとも2つの異なるチャンネルの楽音信号に前記第3の変化パターンに基づいて効果を付与する効果付与工程と
    を有する楽音演奏方法。
  5. 複数の発音チャンネルと、複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルに共通の第1の変化パターンを生成する第1の変化パターン生成手順と、
    複数の音符長を組み合わせることで、前記複数の発音チャンネルの少なくとも2つの異なるチャンネルにそれぞれに別の第2の変化パターンを生成する第2の変化パターン生成手順と、
    前記第1の変化パターンと前記第2の変化パターンを合成して、第3の変化パターンを生成する第3の変化パターン生成手順と、
    前記第2の変化パターンが生成される少なくとも2つの異なるチャンネルの楽音信号に前記第3の変化パターンに基づいて効果を付与する効果付与手順と
    を有する楽音演奏手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した媒体。
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