JP3702624B2 - 放射線画像読取装置及び放射線画像消去装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容したカセッテから、蓄積性蛍光体プレートを取り出し、蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置及び放射線画像消去装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−122946号公報に、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容したカセッテを、前記蓄積性蛍光体プレートが鉛直になるように、複数セットでき、前記カセッテスタッカにセットされた複数のカセッテを同時に順々に、前記蓄積性蛍光体プレート面に垂直な方向に移動させることができるカセッテスタッカと、前記カセッテスタッカの所定位置にある前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを水平方向に取り出すプレート取出部と、前記プレート取出部により取り出された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部とを有する放射線画像読取装置によって、前記カセッテスタッカに複数のカセッテを同時にセットできることが記載されている。
【0003】
また、特開平9−68765号公報に、屈曲可能な蓄積性蛍光体シートを収容した複数のカセッテをセットできるようにし、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体シートを取り出して、取り出された蓄積性蛍光体シートを曲げて1つの画像読取部に搬送し、画像読取部で蓄積性蛍光体シートに記録された放射線画像を読み取り、次いで、1つの消去部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体シートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる放射線画像読取装置によって、前記カセッテスタッカに複数のカセッテを同時にセットできることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平8−122946号公報に記載の放射線画像読取装置では、通常、重量が一枚約2kgもあるカセッテを複数同時に順々に、前記蓄積性蛍光体プレート面に垂直な方向に移動させる必要があるので、例えば、カセッテが5枚セットされていると、同時に10kgものカセッテを動かさなければならず、装置構造が複雑になり、信頼性が低くなる問題があった。また、一枚約2kgもあるカセッテを移動させるため、危険であり、危険性の防止のために、複数のカセッテをセットした後、蓋をしてから複数のカセッテを移動させるようにする必要があり、途中でカセッテのセットや抜き取りができず、操作性が悪い問題があった。
【0005】
また、特開平9−68765号公報に記載の放射線画像読取装置では、蓄積性蛍光体シートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送するため、摩耗、ひび割れなどの機械的劣化が激しく、蓄積性蛍光体シートの寿命が短くなり、さらに、蓄積性蛍光体シートの搬送路が複雑になり、蓄積性蛍光体シートのジャムが発生しやすくなり、高価な蓄積性蛍光体シートの消耗が多い問題があることが判った。
【0006】
本発明の目的は、これらの問題点を考慮してなされたもので、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを複数セットでき、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、消去部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができるようにすることを、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、行えるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明を特定するための事項の全てにより達成される。以下、各請求項について説明する。但し引用項の説明と重複する事項は省略することがある。
【0008】
〔請求項1〕『X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、並べて複数セットできるカセッテスタッカと、
前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ収容させるプレート保持部と、
前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る画像読取部と、
前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、前記画像読取部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートを、収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部と、
を有し、下記条件(1)〜(4)を満足する放射線画像読取装置。
【0009】
条件(1)
収容されている前記蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で、略平行になるように、複数の前記カセッテを前記カセッテスタッカにセットできる。
【0010】
条件(2)
前記消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへ前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際にも、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去することができる。
【0011】
条件(3)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
【0012】
条件(4)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。』
請求項1に記載の発明により、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを複数セットでき、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、1つの消去部が、放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。
【0013】
〔請求項2〕『前記画像読取部は、固定されていて、前記蓄積性蛍光体プレート面と平行な方向にレーザ光を走査することにより、前記プレート保持部により保持されている前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものであり、
下記条件(5)〜(7)を満足するものである請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【0014】
条件(5)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
【0015】
条件(6)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。
【0016】
条件(7)
前記蓄積性蛍光体シートを保持している前記プレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動して、前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向の所定の位置に位置した状態で、前記画像読取部が、前記プレート保持部に保持されている前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものである。』
請求項2に記載の発明により、複数のプレート保持部を設ける必要がなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、複数セットされたカセッテのいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、1つの消去部が、放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。また、前記蓄積性蛍光体プレート面と平行な方向にレーザ光を走査することにより、前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取ることに要求される所定の相対位置にセットすることが技術的に容易であり、また、画像読取部は固定されているので、長期間安定して、精度の高い画像読取ができるようにすることが容易である。また、画像読取部も1つあればよい。
【0017】
〔請求項3〕『前記カセッテスタッカが、前記カセッテに収容される前記蓄積性蛍光体プレートが、鉛直方向と略平行になるように、前記カセッテをセットできるものであり、
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に取り出し、また、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に移動させて、収容させるものである請求項1又は2に記載の放射線画像読取装置。』
請求項3に記載の発明により、面積の大きな蓄積性蛍光体プレートも読み取り消去できるようにしても、設置面積を小さくできる。
【0018】
〔請求項4〕『前記プレート保持部は、前記蓄積性蛍光体プレートの下端部を保持することにより、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを略鉛直方向下方に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ保持している前記蓄積性蛍光体プレートを略鉛直方向上方に移動させて、収容させるものである請求項3に記載の放射線画像読取装置。』
請求項4に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持する必要が無いので、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持することによる傷などの発生を防止できる。
【0019】
〔請求項5〕『前記消去部は、前記画像読取部が放射線画像を読み取る時に前記プレート保持部が保持している前記蓄積性蛍光体プレートの位置よりも前記カセッテスタッカ側に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。』
請求項5に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされているカセッテに収容させる時に、前記蓄積性蛍光体プレートを無駄な動きをさせずに、蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去させることができ、効率的である。
【0020】
〔請求項6〕『X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、並べて複数セットできるカセッテスタッカと、
前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ収容させるプレート保持部と、
前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部と、
を有し、下記条件(11)〜(14)を満足する放射線画像消去装置。
【0021】
条件(11)
収容されている前記蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で、略平行になるように、複数の前記カセッテを前記カセッテスタッカにセットできる。
【0022】
条件(12)
前記消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへ前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際にも、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去することができる。
【0023】
条件(13)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
【0024】
条件(14)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。』
請求項6に記載の発明により、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げる必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを複数セットでき、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、1つの消去部が、蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。
【0025】
〔請求項7〕『下記条件(15)を満足するものである請求項6に記載の放射線画像消去装置。
【0026】
条件(15)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、取り出した当該蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。』
請求項7に記載の発明により、複数のプレート保持部を設ける必要がなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、複数セットされたカセッテのいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、1つの消去部が、放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。
【0027】
〔請求項8〕『前記カセッテスタッカが、前記カセッテに収容される前記蓄積性蛍光体プレートが、鉛直方向と略平行になるように、前記カセッテをセットできるものであり、
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に取り出し、また、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に移動させて、収容させるものである請求項6又は7に記載の放射線画像消去装置。』
請求項8に記載の発明により、面積の大きな蓄積性蛍光体プレートも読み取り消去できるようにしても、設置面積を小さくできる。
【0028】
〔請求項9〕『前記プレート保持部は、前記蓄積性蛍光体プレートの下端部を保持することにより、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向下方に取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向上方に移動させて、収容させる請求項7又は8に記載の放射線画像消去装置。』
請求項9に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持する必要が無いので、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持することによる傷などの発生を防止できる。
【0029】
〔請求項10〕『前記消去部は、前記画像読取部が放射線画像を読み取る時に前記プレート保持部が保持している前記蓄積性蛍光体プレートの位置よりも前記カセッテスタッカ側に設けられている請求項7〜9のいずれか1項に記載の放射線画像消去装置。』
請求項10に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされているカセッテに収容させる時に、前記蓄積性蛍光体プレートを無駄な動きをさせずに、蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去させることができ、効率的である。
【0030】
〔用語などの説明〕
蓄積性蛍光体プレートは、蓄積性蛍光体の層が設けられたプレートである。そして、蓄積性蛍光体は、放射線発生源からの照射放射線量に対する被写体の放射線透過率分布にしたがったエネルギーを蓄積して潜像を形成するものである。そして、蓄積性蛍光体としては、輝尽性蛍光体であることが好ましい。
【0031】
また、蓄積性蛍光体プレートは、支持体上に、気相堆積或いは塗布によって蓄積性蛍光体の層を設けたものであることが好ましい。そして、蓄積性蛍光体の層は環境による悪影響や損傷を防止するために、保護部材によって遮蔽されていたり、被覆されていたりすることが好ましい。
【0032】
また、輝尽性蛍光体としては、例えば、以下の一般式〔23〕又は〔24〕に示す輝尽性蛍光体が特に好ましいが、これらに限られない。
【0033】
〔23〕Rb(Brx,I1-x):yTlで表される輝尽性蛍光体
(但し、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは1×10-6≦y≦1×10-2を満たす数である。)
〔24〕BaF(Brx,I1-x):yEuで表される輝尽性蛍光体
(但し、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは1×10-4≦y≦1×10-2を満たす数である。)
カセッテは、平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容する容器のことである。
【0034】
本発明において、カセッテスタッカは、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で略平行になるように、並べて複数セットできるものである。
【0035】
消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動するものである。そして、プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動するものであることが好ましい。そして、本発明において、消去部やプレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動するということは、前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向への移動成分を有する移動であればよく、消去部やプレート保持部が前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態だけでなく、消去部やプレート保持部が前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向への移動成分を有する斜め方向への移動であってもよい。
【0036】
また、消去部及びプレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態としては、プレート保持部に消去部が固定的に設けられていて、消去部及びプレート保持部が一体的に、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態であることが機構が簡単で好ましいが、これに限られず、例えば、消去部及びプレート保持部が、それぞれ別々に、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態や、消去部及びプレート保持部が、連動して、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態などであってもよい。
【0037】
また、条件(4)の「前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。」ということは、「前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた任意の前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができるという形態」に限られず、例えば、「前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテから取り出したものであっても、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、取り出したカセッテへ、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができるという形態」も含む概念である。
【0038】
本発明において、画像読取部は、前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取るものである。そして、画像読取部は、前記蓄積性蛍光体プレートが前記プレート保持部に保持された状態で当該蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る形態のものだけでなく、前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートであれば、前記蓄積性蛍光体プレートが前記プレート保持部に保持されていない状態で当該蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る形態のものであってもよい。
【0039】
また、画像読取部は、固定されていることが好ましいが、画像読取部が移動する形態であってもよい。また、画像読取部は、レーザ走査により前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものであることが好ましいが、他の方法で前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取る形態であってもよい。
【0040】
画像読取部が、前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像をレーザ走査により読み取る形態としては、レーザ光による主走査を鉛直方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを、当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向に相対的に移動させることにより副走査する形態や、レーザ光による主走査を当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを鉛直方向に相対的に移動させることにより副走査する形態などが挙げられるが、これらに限られない。
【0041】
そして、レーザ光による主走査を鉛直方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向に相対的に移動させることにより副走査する形態は、副走査のために重力負荷を伴う移動が不要なので、安定した副走査ができ、読み取った画像を良好なものにしやすいので好ましい。そして、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向(以下、Y方向という)に相対的に移動させることにより副走査する形態としては、図10に示すように、プレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより副走査する形態(実施形態にも示す)や、図11に示すように、画像読取部5を固定させ、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4をY方向に移動させることにより副走査する形態が挙げられるが、これらに限られない。
【0042】
また、レーザ光による主走査をY方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを鉛直方向に相対的に移動させることにより副走査する形態としては、図12に示すように、画像読取部5を固定させ、プレート保持部4により保持されている蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態と、図13に示すように、蓄積性蛍光体プレートを保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態とが挙げられるが、これらに限られない。
【0043】
ここで、図10〜図13に示す形態を説明する。
【0044】
先ず、図10に示す、プレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより副走査する形態(実施形態にも示す)では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので、先ず、第一(S1)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S2)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S3)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S4)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5がY方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S5)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第六に(S6)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0045】
また、図11に示す、画像読取部5を固定させ、プレート保持部4をY方向に移動させることにより副走査する形態では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので固定されており、先ず、第一(S11)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S12)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S13)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S14)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4がX方向の読取位置を維持しつつ、Y方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S15)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4がY方向に移動することにより、元のY方向の位置に戻り、第六(S16)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第七(S17)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0046】
また、図12に示す、画像読取部5を固定させ、プレート保持部4により保持されている蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので固定されており、先ず、第一(S21)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S22)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S23)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S24)に、プレート保持部4が固定された状態で、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S25)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向の元の位置に戻し、第六(S26)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第七(S27)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0047】
図13に示す、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので、先ず、第一(S31)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S32)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S33)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S34)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5が鉛直方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S35)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第六に(S36)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0048】
なお、上述の例では、いずれもカセッテスタッカが、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートの面が鉛直面になるように、並べて複数セットでき、プレート保持部が蓄積性蛍光体プレートの面と垂直な方向(以下、X方向という)に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、鉛直方向に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、鉛直方向に移動させて、収容させることが、可能なものであるが、本発明はこれらに限られず、例えば、以下に示すような形態であってもよいし、前述のように、斜めに移動する形態であってもよいし、その他の形態であってもよい。
【0049】
例えば、図15に示すように、カセッテスタッカが、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートの面が鉛直面になるように、並べて複数セットでき、プレート保持部がX方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に移動させて、収容させることが、可能なものであり、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので、先ず、第一(S51)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S52)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に取り出して保持し、第三(S53)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S54)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5が鉛直方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S55)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第六に(S56)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に移動させてカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する形態であってもよい。
【0050】
また、例えば、図16に示すように、カセッテスタッカが、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートの面が水平面になるように、並べて複数セットでき、プレート保持部が鉛直方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に移動させて、収容させることが、可能なものであり、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので、先ず、第一(S61)に、プレート保持部4が、少なくとも鉛直方向に移動して所定の鉛直方向の取出位置で停止し、第二(S62)に、プレート保持部4が、所定の鉛直方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に取り出して保持し、第三(S63)に、プレート保持部4が、少なくとも鉛直方向に移動して所定の鉛直方向の読取位置で停止し、第四(S64)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5がX方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S65)に、プレート保持部4が、少なくとも鉛直方向に移動して所定の鉛直方向の収容位置で停止し、第六に(S66)に、プレート保持部4が、所定の鉛直方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に移動させてカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する形態であってもよい。
【0051】
本発明において、消去部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ前記画像読取部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートを収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去するものであり、前記プレート保持部に付設されたものである。消去部が前記プレート保持部に付設されている形態としては、消去部が前記プレート保持部に固定されている形態であっても、前記プレート保持部に移動可能に設けられている形態であってもよい。
【0052】
そして、消去部の光源としては、発光ダイオード、ハロゲンランプ、蛍光灯及びキセノンランプなどの直線状の光源が好ましい例として挙げられるが、これに限られない。そして、消去部の光源としては、これらの光源の中で、発光ダイオード、ハロゲンランプ、蛍光灯及びキセノンランプが好ましく、特に、発光ダイオードであることが、発光制御の容易性、発光光量及び消費電力の観点から好ましい。そして、このような発光ダイオードの材質としては、GaP、GaAsP/GaP及びGaAlAsが好ましい例として挙げられるが、これらに限られない。そして、発光波長が600nm以上770nm以下の発光ダイオードが好ましい。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に関する具体例の一例を実施形態として示すが、本発明はこれらに限定されない。また、実施形態には、用語等に対する断定的な表現があるが、本発明の好ましい例を示すもので、本発明の用語の意義や技術的範囲を限定するものではない。
【0054】
実施形態1
本実施形態の放射線画像読取装置の概略構成正面断面図である図1及び制御ブロック図である図2及び(遠近法を用いた)概略斜視図である図5及び図10に基づいて、本実施形態の放射線画像読取装置について説明する。
【0055】
なお、本実施形態では、放射線画像読取装置の装置本体2の横方向をX方向と呼び、放射線画像読取装置の装置本体2の奥行き方向をY方向と呼ぶ。従って、X方向及びY方向は、水平面内の互いに直交する2つの方向であり、X方向及びY方向の間の角度は直角である。
【0056】
本実施形態の放射線画像読取装置は、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレート12を収容した可搬性のカセッテ9から、蓄積性蛍光体プレート12を取り出し、蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置である。本実施形態の放射線画像読取装置の装置本体2には、カセッテスタッカ3、プレート保持部4、画像読取部5、システム制御部6、操作部7及び電源部8が備えられている。
【0057】
カセッテスタッカ3は、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレート12を収容したカセッテ9を、収容した蓄積性蛍光体プレート12が鉛直方向及びY方向が形成する面と略平行になるように、X方向の位置が互いに異なるように、並べて複数セットできる。また、カセッテスタッカ3は、システム制御部6からの制御信号に基づいて、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を取り出したり、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容させたりできるように駆動する。
【0058】
プレート保持部4は、カセッテスタッカ3にセットされたいずれのカセッテ9からも、蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持することが可能である。また、プレート保持部4は、システム制御部6からの制御信号に基づいて、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を取り出したり、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容させたり、X方向に移動したりする。
【0059】
画像読取部5は、副走査部50及び主走査部51を有する。そして、主走査部51は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので、蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像をレーザ走査により読み取るものである。また、副走査部50は、主走査部51をY方向に移動させて副走査させるものである。
【0060】
システム制御部6は、メインCPU60、読取制御部61、システム用ディスク62、画像用ディスク63及びインターフェイス用ボード(以下、I/Fボードと略す。)65を有する。そして、メインCPU60には、操作部7のCRT70及びタッチパネル71と、システム制御部6の読取制御部61、システム用ディスク62、画像用ディスク63及びI/Fボード65とが接続されている。
【0061】
システム用ディスク62には、メインCPU60が、全体制御、画像処理、画像送信制御及び画像管理を行うためのシステムプログラムが記憶されている。また、画像用ディスク63には、読取制御部61から送られた画像を記憶したり、画像処理された画像を記憶したりする。
【0062】
そして、メインCPU60は、システム用ディスク62に記憶されているシステムプログラムを内部のメモリに展開しながら、読取制御部61から送られた画像や画像処理した画像を画像用ディスク63に記憶させたり、画像用ディスク63に記憶された画像を読み出したりしつつ、全体制御、画像処理、画像送信及び画像管理を行う。
【0063】
また、読取制御部61は、カセッテスタッカ3、プレート保持部4、副走査部50及び主走査部51を制御して、蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像をレーザ走査により読み取らせ、主走査部51から画像信号を受け取り、読み取った画像をメインCPU60に送る。
【0064】
また、メインCPU60は、I/Fボード65を介して、本体装置2の外部にあるホストコンピュータ66、診断装置67及び患者登録ターミナル68と接続されている。そして、メインCPU60は、I/Fボード65を介して、ホストコンピュータ66、診断装置67及び患者登録ターミナル68に画像を送信する。
【0065】
また、操作部7は、CRT70及びタッチパネル71を有し、CRT70は、メインCPU60から送信されてくる表示画像を表示し、タッチパネル71は、操作者によりタッチされることにより入力された指示入力に関する情報をメインCPU60に送る。
【0066】
また、メインCPU60は、操作部7のタッチパネル71から送られた指示入力に関する情報に基づいて、全体制御、画像処理、画像送信及び画像管理を行い、適宜必要な情報をCRT70に表示させるために、表示画像をCRT70に送信する。
【0067】
そして、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9のいずれかを指定する指示内容を含む指示入力が操作部7からされると、システム制御部6は、プレート保持部4が操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持し、画像読取部5が蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像をレーザ走査により読み取るように、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4と画像読取部5とを制御する。
【0068】
すなわち、図10に示すように、画像読取部5は、先ず、第一(S1)に、プレート保持部4が、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出せる所定のX方向の取出位置まで、X方向に移動させる。そして、第二(S2)に、この所定のX方向の取出位置で、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持する。そして、第三(S3)に、プレート保持部4を、少なくともX方向に移動させて、所定のX方向の読取位置に停止させる。そして、第四(S4)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査することにより、画像読取部5がプレート保持部4に保持されている蓄積性蛍光体プレート12に記録されている放射線画像を読み取るものである。
【0069】
これにより、プレート保持部4が、カセッテスタッカ3にセットされたいずれのカセッテ9からも、蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持することが可能で、また、面積の大きな蓄積性蛍光体プレート12も読み取れるようにしても、設置面積が大きなものにならず、また、設置位置の水平方向周辺にカセッテ9をセットしたり、取り外したりするための大きな空間が必要でなく、また、誤ってセットされているカセッテ9にぶつかったり、物をぶつけたりしにくい。
【0070】
さらに、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4と画像読取部5とを、X方向に移動させて、所定のX方向の相対位置にセットすればよいので、レーザ走査に要求される所定の相対位置にセットすることが技術的に容易である。
【0071】
また、画像読取部5は固定されているので、長期間安定して、精度の高い画像読取ができるようにすることが容易である。そして、画像読取時に、画像読取部5は固定されていて、プレート保持部4をY方向に相対的に移動させることにより副走査するので、副走査のために重力負荷を伴う移動が不要なので、安定した副走査ができ、読み取った画像を良好なものにしやすい。
【0072】
また、蓄積性蛍光体プレート12を曲げて搬送する必要がなく、また、画像読取部5も1つあればよい。
【0073】
そして、第五(S5)に、画像読取部5がプレート保持部4に保持されている蓄積性蛍光体プレート12に記録されている放射線画像を読み取り終わると、プレート保持部4が、保持している蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテスタッカ3にセットされているカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に搬送して収容させることができる所定のX方向の収容位置まで、X方向に移動する。そして、第六(S6)に、画像読取部5により放射線画像を読み取られた保持している蓄積性蛍光体プレート12を、この蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテ9に略鉛直方向に搬送して収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0074】
これにより、1つのプレート保持部4により、カセッテスタッカ3にセットされたいずれのカセッテ9にも、取り出された蓄積性蛍光体プレート12を収容させることができ、構造を簡単にできる。
【0075】
そして、プレート保持部4の上端部には、消去部13が固定的に設けられている。そして、プレート保持部4が、画像読取部5により放射線画像を読み取られた保持している蓄積性蛍光体プレート12を、この蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテ9に略鉛直方向に搬送して収容させる際に、消去部13が、蓄積性蛍光体プレート12に消去光を照射することにより、画像読取部5により放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0076】
これにより、蓄積性蛍光体プレート12をカセッテ9に収容させることと、蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去することが同時にできるので、画像読取のためのサイクルタイムを短くすることができる。
【0077】
次に、放射線画像読取装置で使用されるカセッテ9について、カセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容した状態を示す斜視図である図3、及び、カセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を引き出した状態を示す斜視図である図4に基づいて、詳細に説明する。
【0078】
カセッテ9は、ケース半体900,901を合わせて周囲をビス902により締め付けて一体化している。カセッテ9の一辺部に開口903が形成され、この開口903から蓄積性蛍光体プレート12を引き出し可能になっている。
【0079】
蓄積性蛍光体プレート12は、輝尽性蛍光体層を有し、輝尽性蛍光体は、放射線発生源からの照射放射線量に対する被写体の放射線透過率分布にしたがったエネルギーを蓄積して潜像を形成する蓄積性蛍光体の一種である輝尽性蛍光体の層である。蓄積性蛍光体プレート12は気相堆積によって輝尽性蛍光体層を設けてある。輝尽性蛍光体層は環境による悪影響及び損傷を防止するために保護部材によって遮蔽されている。輝尽性蛍光体としては、材質がRbBr:Tlである輝尽性蛍光体が使われる。
【0080】
蓄積性蛍光体プレート12はカセッテ9内部のリジッドなトレイ904に固定され、画像が記録される領域以外の部分に対応して一対の係止ピンがトレイ904に設けられ、この一対の係止ピンによって、開口を覆うキャップ907が取り付けられている。
【0081】
キャップ907にはロック機構908が内蔵され、ロック孔909からロック機構908のロック解除が可能になっている。また、キャップ907には、一対のレバー910が設けられ、この一対のレバー910によりキャップ907を開閉してカセッテ9からトレイ904ごと蓄積性蛍光体プレート12が引き出され、或いは収納される。
【0082】
カセッテ9には、識別シール911が貼り付けられており、識別シール911には白と黒とによる識別情報が記録され、この識別シール911の識別情報の検出によりカセッテ9の種類とサイズの検出と、カセッテスタッカ部3への誤投入の検出を行う。
【0083】
また、カセッテ9の上下グリッド方向の指示は、上下方向の指示マーク912によるが、キャップ907を下側にしてカセッテ9をカセッテスタッカ部3へ投入することで上下方向を指定するようにしてもよい。
【0084】
また、カセッテ9には、ケース半体900に診療録クリップ913が設けられ、この診療録クリップ913の周囲にはケース半体900に凹部900aが形成され、この凹部900aと診療録クリップ913とで診療録等が保持される。
【0085】
そして、カセッテスタッカ3は、図1及び図5に示すように放射線画像読取装置の上部右側に配置され、5個のスロット毎に設けられたセット部300を有しているる。放射線画像読取装置の上部左側には、操作部7が配置され、操作部7による操作を行いながらカセッテスタッカ3にカセッテ9を投入することでセットでき、操作が容易である。
【0086】
セット部300は、ガイド部301及び収納部302から構成されている。ガイド部301は溝状で収納部302に向かって延び、カセッテ9を収納部302に導くように形成されている。収納部302は、カセッテ9を互いに所定の隙間を持って収納保持する。
【0087】
遮光シャッタ303は、操作者がカセッテ9をセットするとき及びカセッテ9を取り出すときを除いて閉じることにより内部を遮光する。
【0088】
カセッテスタッカ3は、操作者がカセッテ9の長辺方向を水平にした鉛直方向に立たせた状態で、手前から挿入してセットするものであり、カセッテ9のセット完了と同時にスロット毎に収納部302の開口に設けられた遮光シャッタ303が閉じ、カセッテ周辺から漏れ光を防ぐ。
【0089】
カセッテ9は、識別シール911が操作者がカセッテ9の投入方向、表裏判別を行えるように、貼り付けられている。
【0090】
読取時以外は、各スロット毎にカセッテ9の抜き取りが可能であり、誤ってカセット9が抜き取られることがないように読取中を示すLEDランプ304を装備する。
【0091】
次ぎに、プレート保持部4について、図1、放射線画像読取装置(内部)の右側面図である図6、プレート保持部の主要部の正面図である図7、カセッテクリンチの右側面図である図8、及び、カセッテクリンチの平面図である図9に基づいて、説明する。
【0092】
即ち、プレード保持部4には、支持フレーム400が上下に配置されたガイドレール401,402に支持されている。このガイドレール401,402は、カセッテスタッカ3に収納されたカセッテ9に対して直交する方向に配置されている。支持フレーム400の下端部は、下方に配置された搬送ベルト403に固定され、この搬送ベルト403は搬送モータ404により駆動され、これにより支持フレーム400がガイドレール401,402に沿って移動する。
【0093】
支持フレーム400の上端部には、消去部13から取り付けられている。消去部13の光源は、発光波長660nmの材質がGaAlAsである発光ダイオードが用いられ、消去時の蓄積性蛍光体プレート12の移動速度は、25mm/secであるが、蓄積性蛍光体プレート12の画像記録に応じて可変可能である。消去部13の光源は、点灯して消去光を蓄積性蛍光体プレート12に照射して、画像読取部5で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。すなわち、レーザビームによる走査後に残留している蓄積性蛍光体プレート12の放射線エネルギーを放出させる。
【0094】
支持フレーム400には、上下方向にガイド軸410が設けられ、このガイド軸410にはカセッテクリンチ411が上下方向へ移動可能に取り付けられている。カセッテクリンチ411は、上下方向に配置された搬送ベルト405に取り付けられ、この搬送ベルト405は支持フレーム400の下方位置に配置した搬送モータ406により駆動され、これによりカセッテクリンチ411がガイド軸410に沿って上下動する。また、支持フレーム400には、蓄積性蛍光体プレート12の倒れ防止を行う保持ローラ407が設けられ、蓄積性蛍光体プレート12の画像記録領域外の端部を保持する。
【0095】
カセッテクリンチ411には、図8に示すように支持体412の内部に一対のアーム413が支持ピン414を支点に回動可能に設けらてれいる。一対のアーム413の先端に設けられた爪部413aは、カセッテ9のキャップ907に設けられた一対のレバー910に係合可能になっており、一対のアーム413はそれぞれスプリング417により基部413bが常にカム415のピン415aに当接するように付勢されている。
【0096】
カム415は駆動モータ416により回転する。このカム415の回転によりピン415aが基部413bを押動し一対のアーム413が開閉する。
【0097】
駆動モータ416の回転軸420には、回転円盤421が設けられ、回転円盤421に形成した切欠き421aがフォトカプラ422横切るタイミングで駆動モータ416の回転数を検出して一対のアーム413の開閉を制御する。
【0098】
また、カセッテクリンチ411の支持体412には、キャップ907のロック機構908のロックを解除する一対のロック解除ロッド430が設けられている。この一対のロック解除ロッド430は、支持体412にプレート431により摺動可能に支持され、一方のロック解除ロッド430にソレノイド432が連結され、このロック解除ロッド430は連結レバー433により他方のロック解除ロッド430と連結されて連動して作動する。
【0099】
一対のロック解除ロッド430は、スプリング434により常に初期位置に付勢されており、カセッテクリンチ411が上方に移動した位置で支持体412をカセッテ9のキャップ907に当てがい、ソレノノイド432を移動させると一対のロックを解除ロッド430が突出してキャップ907のロック孔909に入りロック機構908のロックを解除する。
【0100】
このロック機構908のロック解除により一対のアーム413が閉じて爪部413aがキャップ907の一対のレバー910に係合し、この状態でカセッテクリンチ411を下方へ移動させてカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を引き出し、カセッテクリンチ411に引き出された蓄積性蛍光体プレート12保持したまま支持フレーム400を移動して副走査部50へ搬送する。
【0101】
蓄積性蛍光体プレート12の画像読取が終了すると、反対方向へ支持フレーム400を移動して所定位置に戻り、カセッテクリンチ411を上方へ移動させて蓄積性蛍光体プレート12をカセッテ9に収納させる。このときは、一対のロック解除ロッド430は作動させないで、カセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収納してキャップ907を閉じると自動的にロック機構がキャップ907をロックする。
【0102】
また、画像読取部5は、図1、図10、及び、放射線画像読取装置の左側面図である図17に示すように、放射線画像読取装置の装置本体2に内蔵され、操作部7の下方位置に配置されている。画像読取部5に備えられる副走査部50が、主走査部51を副走査方向へ搬送する。
【0103】
副走査部50は、蓄積性蛍光体プレート12に対面する方向のガイド軸500とボールネジ501が平行に配置されている。ガイド軸500が上方に位置し、ボールネジ501が下方に位置し、このガイド軸500とボールネジ501により主走査部51が縦に保持され、水平に移動可能になっている。
【0104】
ボールネジ501にはダイレクトドライブモータ502が設けられ、ダイレクトドライブモータ502の駆動によりボールネジ501が回転して主走査部51を副走査方向へ移動させる。
【0105】
主走査部51は図1に示すように、レーザビーム発生部510、ポリゴンミラー511、集光体512を構成するfθレンズ、反射鏡513、受光部514等を一体的に構成してある。レーザビーム発生部510は、光源としてガスレーザ固体レーザ、半導体レーザ等を有する。レーザビーム発生部510は励起光として射出強度が強制されたレーザビームを発生する。
【0106】
レーザビームは光学系を経由してポリゴンミラー511に到達して、そこで偏向を受けて、集光体512を構成するfθレンズで集光させて、反射鏡513で光路を偏向させて放射線画像交換プレート12に輝尽励起用の走査光として導かれる。上記レーザビームで走査された畜積性蛍光体プレート12が発する輝尽発光を受光部514で受光して画像の読取を行う。受光部514には、輝尽発光を集光する平板集光板と、平板集光板により集光された輝尽発光を受光して電気信号に光電変換する長尺フォトマルチプライヤとが平行に設けられている。そして、長尺フォトマルチプライヤに入射して光電変換されるので、放射線画像に対応した出力電流が得られる。長尺フォトマルチプライヤからの出力電流は、読取制御部61内部の図示しない電流/電圧変換器で電圧信号に変換され、図示しない増幅器で増幅された後、A/D変換器でデジタル画像信号に変換される。そして、デジタル画像信号は、メインCPU60に順次出力され、ここで階調処理等の各種画像処理を施されたのちに、画像用ディスク63にそのまま記憶されたり、又は、CRT70に表示されたりする。
【0107】
読取制御部61には、ポリゴンミラー511からの各種同期信号、及び副走査の開始位置を検出するフォトセンサ(図示せず)からの原点位置検出信号などが入力されるようになっており、ポリゴンミラー511による主走査に同期させつつ開始位置から主走査部51を副走査方向に所定速度で移動させる。
【0108】
この実施の形態では、畜積性蛍光体プレート12へ照射する入射角は、畜積性蛍光体プレート12のプレート面に対して5度の略垂直入射方式を採用している。
【0109】
なお、本実施形態の放射線画像読取装置を、他の放射線画像読取装置で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する放射線画像消去装置として用いても良い。この場合、先ず、図10のS1に示すように、プレート保持部4が、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出せる所定のX方向の位置まで、X方向に移動して、S2に示すように、この所定のX方向の位置で、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持し、次ぎに、S3〜S5のステップを飛ばして、S6に示すように、保持している蓄積性蛍光体プレート12を、この蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテ9に略鉛直方向に搬送して収容させつつ、消去部6の消去光源からの消去光により蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0110】
実施形態2
本実施形態の放射線画像読取装置は、実施形態1の放射線画像読取装置の一部を変更した装置である。以下、実施形態1の放射線画像読取装置からの変更点の全てを説明する。
【0111】
本実施形態の放射線画像読取装置は、実施形態1の放射線画像読取装置が図10に基づいて説明したように制御されるのに対して、本実施形態2の放射線画像読取装置は、図14に示すように、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので固定されており、先ず、第一(S41)に、プレート保持部4を、プレート保持部4が操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出せる所定のX方向の取出位置まで、X方向に移動させて、第二(S42)に、この取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持すると同時に、画像読取部5が、この位置で取り出された蓄積性蛍光体プレート12に対して良好に画像読取できる所定のX方向の位置まで、X方向に移動して、この所定のX方向の位置に停止させ、第三(S43)に、プレート保持部4が固定された状態で、画像読取部5をY方向に移動させることにより、画像読取部5がプレート保持部4に保持されている蓄積性蛍光体プレート12に記録されている放射線画像を読み取り、第四(S44)に、画像読取部5を元のY方向の位置に移動させると同時に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容し、かつ、蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去し、第五(S45)に、プレート保持部4及び画像読取部5が、X方向に移動して、ホームポジションに戻る。
【0112】
これにより、プレート保持部4が蓄積性蛍光体プレート12を取り出している間に、画像読取部5をX方向に移動させることにより、1つの前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るのに必要なトータルの時間を短くすることができる。
【0113】
【発明の効果】
本発明により、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げる必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の放射線画像読取装置の概略構成正面断面図。
【図2】実施形態の放射線画像読取装置の制御ブロック図。
【図3】実施形態のカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容した状態を示す斜視図。
【図4】実施形態のカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を引き出した状態を示す斜視図。
【図5】実施形態の放射線画像読取装置の斜視図。
【図6】実施形態の放射線画像読取装置の右側面図。
【図7】実施形態の放射線画像読取装置のプレート保持部の正面図。
【図8】実施形態の放射線画像読取装置のカセッテクリンチの右側面図。
【図9】実施形態の放射線画像読取装置のカセッテクリンチの平面図。
【図10】プレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。
【図11】画像読取部5を固定させ、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4をY方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。
【図12】画像読取部5を固定させ、プレート保持部4により保持されている蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。
【図13】蓄積性蛍光体プレートを保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。とが挙げられるが、これらに限られない。
【図14】実施形態2の放射線画像読取装置の動作を説明するための図。
【図15】本発明の別の形態を示す図。
【図16】本発明の別の形態を示す図。
【図17】実施形態の放射線画像読取装置の左側面図。
【符号の説明】
2 装置本体
3 カセッテスタッカ
4 プレート保持部
5 画像読取部
6 システム制御部
7 操作部
9 カセッテ
12 蓄積性蛍光体プレート
13 消去部
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容したカセッテから、蓄積性蛍光体プレートを取り出し、蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置及び放射線画像消去装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−122946号公報に、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容したカセッテを、前記蓄積性蛍光体プレートが鉛直になるように、複数セットでき、前記カセッテスタッカにセットされた複数のカセッテを同時に順々に、前記蓄積性蛍光体プレート面に垂直な方向に移動させることができるカセッテスタッカと、前記カセッテスタッカの所定位置にある前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを水平方向に取り出すプレート取出部と、前記プレート取出部により取り出された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部により放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部とを有する放射線画像読取装置によって、前記カセッテスタッカに複数のカセッテを同時にセットできることが記載されている。
【0003】
また、特開平9−68765号公報に、屈曲可能な蓄積性蛍光体シートを収容した複数のカセッテをセットできるようにし、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体シートを取り出して、取り出された蓄積性蛍光体シートを曲げて1つの画像読取部に搬送し、画像読取部で蓄積性蛍光体シートに記録された放射線画像を読み取り、次いで、1つの消去部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体シートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる放射線画像読取装置によって、前記カセッテスタッカに複数のカセッテを同時にセットできることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平8−122946号公報に記載の放射線画像読取装置では、通常、重量が一枚約2kgもあるカセッテを複数同時に順々に、前記蓄積性蛍光体プレート面に垂直な方向に移動させる必要があるので、例えば、カセッテが5枚セットされていると、同時に10kgものカセッテを動かさなければならず、装置構造が複雑になり、信頼性が低くなる問題があった。また、一枚約2kgもあるカセッテを移動させるため、危険であり、危険性の防止のために、複数のカセッテをセットした後、蓋をしてから複数のカセッテを移動させるようにする必要があり、途中でカセッテのセットや抜き取りができず、操作性が悪い問題があった。
【0005】
また、特開平9−68765号公報に記載の放射線画像読取装置では、蓄積性蛍光体シートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送するため、摩耗、ひび割れなどの機械的劣化が激しく、蓄積性蛍光体シートの寿命が短くなり、さらに、蓄積性蛍光体シートの搬送路が複雑になり、蓄積性蛍光体シートのジャムが発生しやすくなり、高価な蓄積性蛍光体シートの消耗が多い問題があることが判った。
【0006】
本発明の目的は、これらの問題点を考慮してなされたもので、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを複数セットでき、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、消去部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができるようにすることを、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、行えるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明を特定するための事項の全てにより達成される。以下、各請求項について説明する。但し引用項の説明と重複する事項は省略することがある。
【0008】
〔請求項1〕『X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、並べて複数セットできるカセッテスタッカと、
前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ収容させるプレート保持部と、
前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る画像読取部と、
前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、前記画像読取部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートを、収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部と、
を有し、下記条件(1)〜(4)を満足する放射線画像読取装置。
【0009】
条件(1)
収容されている前記蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で、略平行になるように、複数の前記カセッテを前記カセッテスタッカにセットできる。
【0010】
条件(2)
前記消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへ前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際にも、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去することができる。
【0011】
条件(3)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
【0012】
条件(4)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。』
請求項1に記載の発明により、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを複数セットでき、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、1つの消去部が、放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。
【0013】
〔請求項2〕『前記画像読取部は、固定されていて、前記蓄積性蛍光体プレート面と平行な方向にレーザ光を走査することにより、前記プレート保持部により保持されている前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものであり、
下記条件(5)〜(7)を満足するものである請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【0014】
条件(5)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
【0015】
条件(6)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。
【0016】
条件(7)
前記蓄積性蛍光体シートを保持している前記プレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動して、前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向の所定の位置に位置した状態で、前記画像読取部が、前記プレート保持部に保持されている前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものである。』
請求項2に記載の発明により、複数のプレート保持部を設ける必要がなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、複数セットされたカセッテのいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、1つの消去部が、放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。また、前記蓄積性蛍光体プレート面と平行な方向にレーザ光を走査することにより、前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取ることに要求される所定の相対位置にセットすることが技術的に容易であり、また、画像読取部は固定されているので、長期間安定して、精度の高い画像読取ができるようにすることが容易である。また、画像読取部も1つあればよい。
【0017】
〔請求項3〕『前記カセッテスタッカが、前記カセッテに収容される前記蓄積性蛍光体プレートが、鉛直方向と略平行になるように、前記カセッテをセットできるものであり、
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に取り出し、また、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に移動させて、収容させるものである請求項1又は2に記載の放射線画像読取装置。』
請求項3に記載の発明により、面積の大きな蓄積性蛍光体プレートも読み取り消去できるようにしても、設置面積を小さくできる。
【0018】
〔請求項4〕『前記プレート保持部は、前記蓄積性蛍光体プレートの下端部を保持することにより、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを略鉛直方向下方に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ保持している前記蓄積性蛍光体プレートを略鉛直方向上方に移動させて、収容させるものである請求項3に記載の放射線画像読取装置。』
請求項4に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持する必要が無いので、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持することによる傷などの発生を防止できる。
【0019】
〔請求項5〕『前記消去部は、前記画像読取部が放射線画像を読み取る時に前記プレート保持部が保持している前記蓄積性蛍光体プレートの位置よりも前記カセッテスタッカ側に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。』
請求項5に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされているカセッテに収容させる時に、前記蓄積性蛍光体プレートを無駄な動きをさせずに、蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去させることができ、効率的である。
【0020】
〔請求項6〕『X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、並べて複数セットできるカセッテスタッカと、
前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ収容させるプレート保持部と、
前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部と、
を有し、下記条件(11)〜(14)を満足する放射線画像消去装置。
【0021】
条件(11)
収容されている前記蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で、略平行になるように、複数の前記カセッテを前記カセッテスタッカにセットできる。
【0022】
条件(12)
前記消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへ前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際にも、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去することができる。
【0023】
条件(13)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
【0024】
条件(14)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。』
請求項6に記載の発明により、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げる必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを複数セットでき、セットされたいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、1つの消去部が、蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。
【0025】
〔請求項7〕『下記条件(15)を満足するものである請求項6に記載の放射線画像消去装置。
【0026】
条件(15)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、取り出した当該蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。』
請求項7に記載の発明により、複数のプレート保持部を設ける必要がなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げて、蓄積性蛍光体シートの表面をローラなどにより接触して搬送する必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もなく、複数セットされたカセッテのいずれの前記カセッテからも、前記蓄積性蛍光体プレートを取り出して、画像読取部で蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取り、1つの消去部が、放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去して、セットされたいずれの前記カセッテへも、収容することができる。
【0027】
〔請求項8〕『前記カセッテスタッカが、前記カセッテに収容される前記蓄積性蛍光体プレートが、鉛直方向と略平行になるように、前記カセッテをセットできるものであり、
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に取り出し、また、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に移動させて、収容させるものである請求項6又は7に記載の放射線画像消去装置。』
請求項8に記載の発明により、面積の大きな蓄積性蛍光体プレートも読み取り消去できるようにしても、設置面積を小さくできる。
【0028】
〔請求項9〕『前記プレート保持部は、前記蓄積性蛍光体プレートの下端部を保持することにより、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向下方に取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向上方に移動させて、収容させる請求項7又は8に記載の放射線画像消去装置。』
請求項9に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持する必要が無いので、前記蓄積性蛍光体プレートの表面を保持することによる傷などの発生を防止できる。
【0029】
〔請求項10〕『前記消去部は、前記画像読取部が放射線画像を読み取る時に前記プレート保持部が保持している前記蓄積性蛍光体プレートの位置よりも前記カセッテスタッカ側に設けられている請求項7〜9のいずれか1項に記載の放射線画像消去装置。』
請求項10に記載の発明により、前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされているカセッテに収容させる時に、前記蓄積性蛍光体プレートを無駄な動きをさせずに、蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去させることができ、効率的である。
【0030】
〔用語などの説明〕
蓄積性蛍光体プレートは、蓄積性蛍光体の層が設けられたプレートである。そして、蓄積性蛍光体は、放射線発生源からの照射放射線量に対する被写体の放射線透過率分布にしたがったエネルギーを蓄積して潜像を形成するものである。そして、蓄積性蛍光体としては、輝尽性蛍光体であることが好ましい。
【0031】
また、蓄積性蛍光体プレートは、支持体上に、気相堆積或いは塗布によって蓄積性蛍光体の層を設けたものであることが好ましい。そして、蓄積性蛍光体の層は環境による悪影響や損傷を防止するために、保護部材によって遮蔽されていたり、被覆されていたりすることが好ましい。
【0032】
また、輝尽性蛍光体としては、例えば、以下の一般式〔23〕又は〔24〕に示す輝尽性蛍光体が特に好ましいが、これらに限られない。
【0033】
〔23〕Rb(Brx,I1-x):yTlで表される輝尽性蛍光体
(但し、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは1×10-6≦y≦1×10-2を満たす数である。)
〔24〕BaF(Brx,I1-x):yEuで表される輝尽性蛍光体
(但し、xは0≦x≦1を満たす数であり、yは1×10-4≦y≦1×10-2を満たす数である。)
カセッテは、平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容する容器のことである。
【0034】
本発明において、カセッテスタッカは、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で略平行になるように、並べて複数セットできるものである。
【0035】
消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動するものである。そして、プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動するものであることが好ましい。そして、本発明において、消去部やプレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動するということは、前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向への移動成分を有する移動であればよく、消去部やプレート保持部が前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態だけでなく、消去部やプレート保持部が前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向への移動成分を有する斜め方向への移動であってもよい。
【0036】
また、消去部及びプレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態としては、プレート保持部に消去部が固定的に設けられていて、消去部及びプレート保持部が一体的に、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態であることが機構が簡単で好ましいが、これに限られず、例えば、消去部及びプレート保持部が、それぞれ別々に、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態や、消去部及びプレート保持部が、連動して、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動する形態などであってもよい。
【0037】
また、条件(4)の「前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。」ということは、「前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた任意の前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができるという形態」に限られず、例えば、「前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテから取り出したものであっても、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、取り出したカセッテへ、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができるという形態」も含む概念である。
【0038】
本発明において、画像読取部は、前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取るものである。そして、画像読取部は、前記蓄積性蛍光体プレートが前記プレート保持部に保持された状態で当該蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る形態のものだけでなく、前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートであれば、前記蓄積性蛍光体プレートが前記プレート保持部に保持されていない状態で当該蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る形態のものであってもよい。
【0039】
また、画像読取部は、固定されていることが好ましいが、画像読取部が移動する形態であってもよい。また、画像読取部は、レーザ走査により前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものであることが好ましいが、他の方法で前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取る形態であってもよい。
【0040】
画像読取部が、前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像をレーザ走査により読み取る形態としては、レーザ光による主走査を鉛直方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを、当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向に相対的に移動させることにより副走査する形態や、レーザ光による主走査を当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを鉛直方向に相対的に移動させることにより副走査する形態などが挙げられるが、これらに限られない。
【0041】
そして、レーザ光による主走査を鉛直方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向に相対的に移動させることにより副走査する形態は、副走査のために重力負荷を伴う移動が不要なので、安定した副走査ができ、読み取った画像を良好なものにしやすいので好ましい。そして、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを当該蓄積性蛍光体プレート面と平行な水平方向(以下、Y方向という)に相対的に移動させることにより副走査する形態としては、図10に示すように、プレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより副走査する形態(実施形態にも示す)や、図11に示すように、画像読取部5を固定させ、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4をY方向に移動させることにより副走査する形態が挙げられるが、これらに限られない。
【0042】
また、レーザ光による主走査をY方向に行い、画像読取部と蓄積性蛍光体プレートとを鉛直方向に相対的に移動させることにより副走査する形態としては、図12に示すように、画像読取部5を固定させ、プレート保持部4により保持されている蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態と、図13に示すように、蓄積性蛍光体プレートを保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態とが挙げられるが、これらに限られない。
【0043】
ここで、図10〜図13に示す形態を説明する。
【0044】
先ず、図10に示す、プレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより副走査する形態(実施形態にも示す)では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので、先ず、第一(S1)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S2)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S3)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S4)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5がY方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S5)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第六に(S6)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0045】
また、図11に示す、画像読取部5を固定させ、プレート保持部4をY方向に移動させることにより副走査する形態では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので固定されており、先ず、第一(S11)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S12)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S13)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S14)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4がX方向の読取位置を維持しつつ、Y方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S15)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4がY方向に移動することにより、元のY方向の位置に戻り、第六(S16)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第七(S17)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0046】
また、図12に示す、画像読取部5を固定させ、プレート保持部4により保持されている蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので固定されており、先ず、第一(S21)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S22)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S23)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S24)に、プレート保持部4が固定された状態で、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S25)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向の元の位置に戻し、第六(S26)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第七(S27)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0047】
図13に示す、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態では、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので、先ず、第一(S31)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S32)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持し、第三(S33)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S34)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5が鉛直方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S35)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第六に(S36)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0048】
なお、上述の例では、いずれもカセッテスタッカが、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートの面が鉛直面になるように、並べて複数セットでき、プレート保持部が蓄積性蛍光体プレートの面と垂直な方向(以下、X方向という)に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、鉛直方向に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、鉛直方向に移動させて、収容させることが、可能なものであるが、本発明はこれらに限られず、例えば、以下に示すような形態であってもよいし、前述のように、斜めに移動する形態であってもよいし、その他の形態であってもよい。
【0049】
例えば、図15に示すように、カセッテスタッカが、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートの面が鉛直面になるように、並べて複数セットでき、プレート保持部がX方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に移動させて、収容させることが、可能なものであり、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので、先ず、第一(S51)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の取出位置で停止し、第二に(S52)に、プレート保持部4が、所定のX方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に取り出して保持し、第三(S53)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の読取位置で停止し、第四(S54)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5が鉛直方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S55)に、プレート保持部4が、少なくともX方向に移動して所定のX方向の収容位置で停止し、第六に(S56)に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に移動させてカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する形態であってもよい。
【0050】
また、例えば、図16に示すように、カセッテスタッカが、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、収容されている蓄積性蛍光体プレートの面が水平面になるように、並べて複数セットでき、プレート保持部が鉛直方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、Y方向に移動させて、収容させることが、可能なものであり、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSをY方向に行うもので、先ず、第一(S61)に、プレート保持部4が、少なくとも鉛直方向に移動して所定の鉛直方向の取出位置で停止し、第二(S62)に、プレート保持部4が、所定の鉛直方向の取出位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に取り出して保持し、第三(S63)に、プレート保持部4が、少なくとも鉛直方向に移動して所定の鉛直方向の読取位置で停止し、第四(S64)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4が固定した状態で、画像読取部5がX方向に移動することにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査し、第五(S65)に、プレート保持部4が、少なくとも鉛直方向に移動して所定の鉛直方向の収容位置で停止し、第六に(S66)に、プレート保持部4が、所定の鉛直方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をY方向に移動させてカセッテに収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する形態であってもよい。
【0051】
本発明において、消去部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ前記画像読取部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートを収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去するものであり、前記プレート保持部に付設されたものである。消去部が前記プレート保持部に付設されている形態としては、消去部が前記プレート保持部に固定されている形態であっても、前記プレート保持部に移動可能に設けられている形態であってもよい。
【0052】
そして、消去部の光源としては、発光ダイオード、ハロゲンランプ、蛍光灯及びキセノンランプなどの直線状の光源が好ましい例として挙げられるが、これに限られない。そして、消去部の光源としては、これらの光源の中で、発光ダイオード、ハロゲンランプ、蛍光灯及びキセノンランプが好ましく、特に、発光ダイオードであることが、発光制御の容易性、発光光量及び消費電力の観点から好ましい。そして、このような発光ダイオードの材質としては、GaP、GaAsP/GaP及びGaAlAsが好ましい例として挙げられるが、これらに限られない。そして、発光波長が600nm以上770nm以下の発光ダイオードが好ましい。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に関する具体例の一例を実施形態として示すが、本発明はこれらに限定されない。また、実施形態には、用語等に対する断定的な表現があるが、本発明の好ましい例を示すもので、本発明の用語の意義や技術的範囲を限定するものではない。
【0054】
実施形態1
本実施形態の放射線画像読取装置の概略構成正面断面図である図1及び制御ブロック図である図2及び(遠近法を用いた)概略斜視図である図5及び図10に基づいて、本実施形態の放射線画像読取装置について説明する。
【0055】
なお、本実施形態では、放射線画像読取装置の装置本体2の横方向をX方向と呼び、放射線画像読取装置の装置本体2の奥行き方向をY方向と呼ぶ。従って、X方向及びY方向は、水平面内の互いに直交する2つの方向であり、X方向及びY方向の間の角度は直角である。
【0056】
本実施形態の放射線画像読取装置は、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレート12を収容した可搬性のカセッテ9から、蓄積性蛍光体プレート12を取り出し、蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置である。本実施形態の放射線画像読取装置の装置本体2には、カセッテスタッカ3、プレート保持部4、画像読取部5、システム制御部6、操作部7及び電源部8が備えられている。
【0057】
カセッテスタッカ3は、X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレート12を収容したカセッテ9を、収容した蓄積性蛍光体プレート12が鉛直方向及びY方向が形成する面と略平行になるように、X方向の位置が互いに異なるように、並べて複数セットできる。また、カセッテスタッカ3は、システム制御部6からの制御信号に基づいて、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を取り出したり、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容させたりできるように駆動する。
【0058】
プレート保持部4は、カセッテスタッカ3にセットされたいずれのカセッテ9からも、蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持することが可能である。また、プレート保持部4は、システム制御部6からの制御信号に基づいて、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を取り出したり、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容させたり、X方向に移動したりする。
【0059】
画像読取部5は、副走査部50及び主走査部51を有する。そして、主走査部51は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので、蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像をレーザ走査により読み取るものである。また、副走査部50は、主走査部51をY方向に移動させて副走査させるものである。
【0060】
システム制御部6は、メインCPU60、読取制御部61、システム用ディスク62、画像用ディスク63及びインターフェイス用ボード(以下、I/Fボードと略す。)65を有する。そして、メインCPU60には、操作部7のCRT70及びタッチパネル71と、システム制御部6の読取制御部61、システム用ディスク62、画像用ディスク63及びI/Fボード65とが接続されている。
【0061】
システム用ディスク62には、メインCPU60が、全体制御、画像処理、画像送信制御及び画像管理を行うためのシステムプログラムが記憶されている。また、画像用ディスク63には、読取制御部61から送られた画像を記憶したり、画像処理された画像を記憶したりする。
【0062】
そして、メインCPU60は、システム用ディスク62に記憶されているシステムプログラムを内部のメモリに展開しながら、読取制御部61から送られた画像や画像処理した画像を画像用ディスク63に記憶させたり、画像用ディスク63に記憶された画像を読み出したりしつつ、全体制御、画像処理、画像送信及び画像管理を行う。
【0063】
また、読取制御部61は、カセッテスタッカ3、プレート保持部4、副走査部50及び主走査部51を制御して、蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像をレーザ走査により読み取らせ、主走査部51から画像信号を受け取り、読み取った画像をメインCPU60に送る。
【0064】
また、メインCPU60は、I/Fボード65を介して、本体装置2の外部にあるホストコンピュータ66、診断装置67及び患者登録ターミナル68と接続されている。そして、メインCPU60は、I/Fボード65を介して、ホストコンピュータ66、診断装置67及び患者登録ターミナル68に画像を送信する。
【0065】
また、操作部7は、CRT70及びタッチパネル71を有し、CRT70は、メインCPU60から送信されてくる表示画像を表示し、タッチパネル71は、操作者によりタッチされることにより入力された指示入力に関する情報をメインCPU60に送る。
【0066】
また、メインCPU60は、操作部7のタッチパネル71から送られた指示入力に関する情報に基づいて、全体制御、画像処理、画像送信及び画像管理を行い、適宜必要な情報をCRT70に表示させるために、表示画像をCRT70に送信する。
【0067】
そして、カセッテスタッカ3にセットされたカセッテ9のいずれかを指定する指示内容を含む指示入力が操作部7からされると、システム制御部6は、プレート保持部4が操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持し、画像読取部5が蓄積性蛍光体プレート12に記録された放射線画像をレーザ走査により読み取るように、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4と画像読取部5とを制御する。
【0068】
すなわち、図10に示すように、画像読取部5は、先ず、第一(S1)に、プレート保持部4が、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出せる所定のX方向の取出位置まで、X方向に移動させる。そして、第二(S2)に、この所定のX方向の取出位置で、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持する。そして、第三(S3)に、プレート保持部4を、少なくともX方向に移動させて、所定のX方向の読取位置に停止させる。そして、第四(S4)に、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより、蓄積性蛍光体プレート12を副走査することにより、画像読取部5がプレート保持部4に保持されている蓄積性蛍光体プレート12に記録されている放射線画像を読み取るものである。
【0069】
これにより、プレート保持部4が、カセッテスタッカ3にセットされたいずれのカセッテ9からも、蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持することが可能で、また、面積の大きな蓄積性蛍光体プレート12も読み取れるようにしても、設置面積が大きなものにならず、また、設置位置の水平方向周辺にカセッテ9をセットしたり、取り外したりするための大きな空間が必要でなく、また、誤ってセットされているカセッテ9にぶつかったり、物をぶつけたりしにくい。
【0070】
さらに、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4と画像読取部5とを、X方向に移動させて、所定のX方向の相対位置にセットすればよいので、レーザ走査に要求される所定の相対位置にセットすることが技術的に容易である。
【0071】
また、画像読取部5は固定されているので、長期間安定して、精度の高い画像読取ができるようにすることが容易である。そして、画像読取時に、画像読取部5は固定されていて、プレート保持部4をY方向に相対的に移動させることにより副走査するので、副走査のために重力負荷を伴う移動が不要なので、安定した副走査ができ、読み取った画像を良好なものにしやすい。
【0072】
また、蓄積性蛍光体プレート12を曲げて搬送する必要がなく、また、画像読取部5も1つあればよい。
【0073】
そして、第五(S5)に、画像読取部5がプレート保持部4に保持されている蓄積性蛍光体プレート12に記録されている放射線画像を読み取り終わると、プレート保持部4が、保持している蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテスタッカ3にセットされているカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に搬送して収容させることができる所定のX方向の収容位置まで、X方向に移動する。そして、第六(S6)に、画像読取部5により放射線画像を読み取られた保持している蓄積性蛍光体プレート12を、この蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテ9に略鉛直方向に搬送して収容させつつ、消去部13により、この蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0074】
これにより、1つのプレート保持部4により、カセッテスタッカ3にセットされたいずれのカセッテ9にも、取り出された蓄積性蛍光体プレート12を収容させることができ、構造を簡単にできる。
【0075】
そして、プレート保持部4の上端部には、消去部13が固定的に設けられている。そして、プレート保持部4が、画像読取部5により放射線画像を読み取られた保持している蓄積性蛍光体プレート12を、この蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテ9に略鉛直方向に搬送して収容させる際に、消去部13が、蓄積性蛍光体プレート12に消去光を照射することにより、画像読取部5により放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0076】
これにより、蓄積性蛍光体プレート12をカセッテ9に収容させることと、蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去することが同時にできるので、画像読取のためのサイクルタイムを短くすることができる。
【0077】
次に、放射線画像読取装置で使用されるカセッテ9について、カセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容した状態を示す斜視図である図3、及び、カセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を引き出した状態を示す斜視図である図4に基づいて、詳細に説明する。
【0078】
カセッテ9は、ケース半体900,901を合わせて周囲をビス902により締め付けて一体化している。カセッテ9の一辺部に開口903が形成され、この開口903から蓄積性蛍光体プレート12を引き出し可能になっている。
【0079】
蓄積性蛍光体プレート12は、輝尽性蛍光体層を有し、輝尽性蛍光体は、放射線発生源からの照射放射線量に対する被写体の放射線透過率分布にしたがったエネルギーを蓄積して潜像を形成する蓄積性蛍光体の一種である輝尽性蛍光体の層である。蓄積性蛍光体プレート12は気相堆積によって輝尽性蛍光体層を設けてある。輝尽性蛍光体層は環境による悪影響及び損傷を防止するために保護部材によって遮蔽されている。輝尽性蛍光体としては、材質がRbBr:Tlである輝尽性蛍光体が使われる。
【0080】
蓄積性蛍光体プレート12はカセッテ9内部のリジッドなトレイ904に固定され、画像が記録される領域以外の部分に対応して一対の係止ピンがトレイ904に設けられ、この一対の係止ピンによって、開口を覆うキャップ907が取り付けられている。
【0081】
キャップ907にはロック機構908が内蔵され、ロック孔909からロック機構908のロック解除が可能になっている。また、キャップ907には、一対のレバー910が設けられ、この一対のレバー910によりキャップ907を開閉してカセッテ9からトレイ904ごと蓄積性蛍光体プレート12が引き出され、或いは収納される。
【0082】
カセッテ9には、識別シール911が貼り付けられており、識別シール911には白と黒とによる識別情報が記録され、この識別シール911の識別情報の検出によりカセッテ9の種類とサイズの検出と、カセッテスタッカ部3への誤投入の検出を行う。
【0083】
また、カセッテ9の上下グリッド方向の指示は、上下方向の指示マーク912によるが、キャップ907を下側にしてカセッテ9をカセッテスタッカ部3へ投入することで上下方向を指定するようにしてもよい。
【0084】
また、カセッテ9には、ケース半体900に診療録クリップ913が設けられ、この診療録クリップ913の周囲にはケース半体900に凹部900aが形成され、この凹部900aと診療録クリップ913とで診療録等が保持される。
【0085】
そして、カセッテスタッカ3は、図1及び図5に示すように放射線画像読取装置の上部右側に配置され、5個のスロット毎に設けられたセット部300を有しているる。放射線画像読取装置の上部左側には、操作部7が配置され、操作部7による操作を行いながらカセッテスタッカ3にカセッテ9を投入することでセットでき、操作が容易である。
【0086】
セット部300は、ガイド部301及び収納部302から構成されている。ガイド部301は溝状で収納部302に向かって延び、カセッテ9を収納部302に導くように形成されている。収納部302は、カセッテ9を互いに所定の隙間を持って収納保持する。
【0087】
遮光シャッタ303は、操作者がカセッテ9をセットするとき及びカセッテ9を取り出すときを除いて閉じることにより内部を遮光する。
【0088】
カセッテスタッカ3は、操作者がカセッテ9の長辺方向を水平にした鉛直方向に立たせた状態で、手前から挿入してセットするものであり、カセッテ9のセット完了と同時にスロット毎に収納部302の開口に設けられた遮光シャッタ303が閉じ、カセッテ周辺から漏れ光を防ぐ。
【0089】
カセッテ9は、識別シール911が操作者がカセッテ9の投入方向、表裏判別を行えるように、貼り付けられている。
【0090】
読取時以外は、各スロット毎にカセッテ9の抜き取りが可能であり、誤ってカセット9が抜き取られることがないように読取中を示すLEDランプ304を装備する。
【0091】
次ぎに、プレート保持部4について、図1、放射線画像読取装置(内部)の右側面図である図6、プレート保持部の主要部の正面図である図7、カセッテクリンチの右側面図である図8、及び、カセッテクリンチの平面図である図9に基づいて、説明する。
【0092】
即ち、プレード保持部4には、支持フレーム400が上下に配置されたガイドレール401,402に支持されている。このガイドレール401,402は、カセッテスタッカ3に収納されたカセッテ9に対して直交する方向に配置されている。支持フレーム400の下端部は、下方に配置された搬送ベルト403に固定され、この搬送ベルト403は搬送モータ404により駆動され、これにより支持フレーム400がガイドレール401,402に沿って移動する。
【0093】
支持フレーム400の上端部には、消去部13から取り付けられている。消去部13の光源は、発光波長660nmの材質がGaAlAsである発光ダイオードが用いられ、消去時の蓄積性蛍光体プレート12の移動速度は、25mm/secであるが、蓄積性蛍光体プレート12の画像記録に応じて可変可能である。消去部13の光源は、点灯して消去光を蓄積性蛍光体プレート12に照射して、画像読取部5で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。すなわち、レーザビームによる走査後に残留している蓄積性蛍光体プレート12の放射線エネルギーを放出させる。
【0094】
支持フレーム400には、上下方向にガイド軸410が設けられ、このガイド軸410にはカセッテクリンチ411が上下方向へ移動可能に取り付けられている。カセッテクリンチ411は、上下方向に配置された搬送ベルト405に取り付けられ、この搬送ベルト405は支持フレーム400の下方位置に配置した搬送モータ406により駆動され、これによりカセッテクリンチ411がガイド軸410に沿って上下動する。また、支持フレーム400には、蓄積性蛍光体プレート12の倒れ防止を行う保持ローラ407が設けられ、蓄積性蛍光体プレート12の画像記録領域外の端部を保持する。
【0095】
カセッテクリンチ411には、図8に示すように支持体412の内部に一対のアーム413が支持ピン414を支点に回動可能に設けらてれいる。一対のアーム413の先端に設けられた爪部413aは、カセッテ9のキャップ907に設けられた一対のレバー910に係合可能になっており、一対のアーム413はそれぞれスプリング417により基部413bが常にカム415のピン415aに当接するように付勢されている。
【0096】
カム415は駆動モータ416により回転する。このカム415の回転によりピン415aが基部413bを押動し一対のアーム413が開閉する。
【0097】
駆動モータ416の回転軸420には、回転円盤421が設けられ、回転円盤421に形成した切欠き421aがフォトカプラ422横切るタイミングで駆動モータ416の回転数を検出して一対のアーム413の開閉を制御する。
【0098】
また、カセッテクリンチ411の支持体412には、キャップ907のロック機構908のロックを解除する一対のロック解除ロッド430が設けられている。この一対のロック解除ロッド430は、支持体412にプレート431により摺動可能に支持され、一方のロック解除ロッド430にソレノイド432が連結され、このロック解除ロッド430は連結レバー433により他方のロック解除ロッド430と連結されて連動して作動する。
【0099】
一対のロック解除ロッド430は、スプリング434により常に初期位置に付勢されており、カセッテクリンチ411が上方に移動した位置で支持体412をカセッテ9のキャップ907に当てがい、ソレノノイド432を移動させると一対のロックを解除ロッド430が突出してキャップ907のロック孔909に入りロック機構908のロックを解除する。
【0100】
このロック機構908のロック解除により一対のアーム413が閉じて爪部413aがキャップ907の一対のレバー910に係合し、この状態でカセッテクリンチ411を下方へ移動させてカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を引き出し、カセッテクリンチ411に引き出された蓄積性蛍光体プレート12保持したまま支持フレーム400を移動して副走査部50へ搬送する。
【0101】
蓄積性蛍光体プレート12の画像読取が終了すると、反対方向へ支持フレーム400を移動して所定位置に戻り、カセッテクリンチ411を上方へ移動させて蓄積性蛍光体プレート12をカセッテ9に収納させる。このときは、一対のロック解除ロッド430は作動させないで、カセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収納してキャップ907を閉じると自動的にロック機構がキャップ907をロックする。
【0102】
また、画像読取部5は、図1、図10、及び、放射線画像読取装置の左側面図である図17に示すように、放射線画像読取装置の装置本体2に内蔵され、操作部7の下方位置に配置されている。画像読取部5に備えられる副走査部50が、主走査部51を副走査方向へ搬送する。
【0103】
副走査部50は、蓄積性蛍光体プレート12に対面する方向のガイド軸500とボールネジ501が平行に配置されている。ガイド軸500が上方に位置し、ボールネジ501が下方に位置し、このガイド軸500とボールネジ501により主走査部51が縦に保持され、水平に移動可能になっている。
【0104】
ボールネジ501にはダイレクトドライブモータ502が設けられ、ダイレクトドライブモータ502の駆動によりボールネジ501が回転して主走査部51を副走査方向へ移動させる。
【0105】
主走査部51は図1に示すように、レーザビーム発生部510、ポリゴンミラー511、集光体512を構成するfθレンズ、反射鏡513、受光部514等を一体的に構成してある。レーザビーム発生部510は、光源としてガスレーザ固体レーザ、半導体レーザ等を有する。レーザビーム発生部510は励起光として射出強度が強制されたレーザビームを発生する。
【0106】
レーザビームは光学系を経由してポリゴンミラー511に到達して、そこで偏向を受けて、集光体512を構成するfθレンズで集光させて、反射鏡513で光路を偏向させて放射線画像交換プレート12に輝尽励起用の走査光として導かれる。上記レーザビームで走査された畜積性蛍光体プレート12が発する輝尽発光を受光部514で受光して画像の読取を行う。受光部514には、輝尽発光を集光する平板集光板と、平板集光板により集光された輝尽発光を受光して電気信号に光電変換する長尺フォトマルチプライヤとが平行に設けられている。そして、長尺フォトマルチプライヤに入射して光電変換されるので、放射線画像に対応した出力電流が得られる。長尺フォトマルチプライヤからの出力電流は、読取制御部61内部の図示しない電流/電圧変換器で電圧信号に変換され、図示しない増幅器で増幅された後、A/D変換器でデジタル画像信号に変換される。そして、デジタル画像信号は、メインCPU60に順次出力され、ここで階調処理等の各種画像処理を施されたのちに、画像用ディスク63にそのまま記憶されたり、又は、CRT70に表示されたりする。
【0107】
読取制御部61には、ポリゴンミラー511からの各種同期信号、及び副走査の開始位置を検出するフォトセンサ(図示せず)からの原点位置検出信号などが入力されるようになっており、ポリゴンミラー511による主走査に同期させつつ開始位置から主走査部51を副走査方向に所定速度で移動させる。
【0108】
この実施の形態では、畜積性蛍光体プレート12へ照射する入射角は、畜積性蛍光体プレート12のプレート面に対して5度の略垂直入射方式を採用している。
【0109】
なお、本実施形態の放射線画像読取装置を、他の放射線画像読取装置で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する放射線画像消去装置として用いても良い。この場合、先ず、図10のS1に示すように、プレート保持部4が、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出せる所定のX方向の位置まで、X方向に移動して、S2に示すように、この所定のX方向の位置で、操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出して保持し、次ぎに、S3〜S5のステップを飛ばして、S6に示すように、保持している蓄積性蛍光体プレート12を、この蓄積性蛍光体プレート12が収容されていたカセッテ9に略鉛直方向に搬送して収容させつつ、消去部6の消去光源からの消去光により蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去する。
【0110】
実施形態2
本実施形態の放射線画像読取装置は、実施形態1の放射線画像読取装置の一部を変更した装置である。以下、実施形態1の放射線画像読取装置からの変更点の全てを説明する。
【0111】
本実施形態の放射線画像読取装置は、実施形態1の放射線画像読取装置が図10に基づいて説明したように制御されるのに対して、本実施形態2の放射線画像読取装置は、図14に示すように、画像読取部5は、レーザ光による主走査MSを鉛直方向に行うもので固定されており、先ず、第一(S41)に、プレート保持部4を、プレート保持部4が操作部7からの指示入力で指定されたカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を略鉛直方向に取り出せる所定のX方向の取出位置まで、X方向に移動させて、第二(S42)に、この取出位置で蓄積性蛍光体プレート12を取り出して保持すると同時に、画像読取部5が、この位置で取り出された蓄積性蛍光体プレート12に対して良好に画像読取できる所定のX方向の位置まで、X方向に移動して、この所定のX方向の位置に停止させ、第三(S43)に、プレート保持部4が固定された状態で、画像読取部5をY方向に移動させることにより、画像読取部5がプレート保持部4に保持されている蓄積性蛍光体プレート12に記録されている放射線画像を読み取り、第四(S44)に、画像読取部5を元のY方向の位置に移動させると同時に、プレート保持部4が、所定のX方向の収容位置で蓄積性蛍光体プレート12をカセッテに収容し、かつ、蓄積性蛍光体プレート12に残っている残像を消去し、第五(S45)に、プレート保持部4及び画像読取部5が、X方向に移動して、ホームポジションに戻る。
【0112】
これにより、プレート保持部4が蓄積性蛍光体プレート12を取り出している間に、画像読取部5をX方向に移動させることにより、1つの前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るのに必要なトータルの時間を短くすることができる。
【0113】
【発明の効果】
本発明により、複数の消去部を設ける必要もなく、蓄積性蛍光体プレートを曲げる必要なく、同時に複数枚のカセッテを移動させる必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の放射線画像読取装置の概略構成正面断面図。
【図2】実施形態の放射線画像読取装置の制御ブロック図。
【図3】実施形態のカセッテ9に蓄積性蛍光体プレート12を収容した状態を示す斜視図。
【図4】実施形態のカセッテ9から蓄積性蛍光体プレート12を引き出した状態を示す斜視図。
【図5】実施形態の放射線画像読取装置の斜視図。
【図6】実施形態の放射線画像読取装置の右側面図。
【図7】実施形態の放射線画像読取装置のプレート保持部の正面図。
【図8】実施形態の放射線画像読取装置のカセッテクリンチの右側面図。
【図9】実施形態の放射線画像読取装置のカセッテクリンチの平面図。
【図10】プレート保持部4を固定させ、画像読取部5をY方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。
【図11】画像読取部5を固定させ、蓄積性蛍光体プレート12を保持しているプレート保持部4をY方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。
【図12】画像読取部5を固定させ、プレート保持部4により保持されている蓄積性蛍光体プレート12を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。
【図13】蓄積性蛍光体プレートを保持しているプレート保持部4を固定させ、画像読取部5を鉛直方向に移動させることにより副走査する形態を示す図。とが挙げられるが、これらに限られない。
【図14】実施形態2の放射線画像読取装置の動作を説明するための図。
【図15】本発明の別の形態を示す図。
【図16】本発明の別の形態を示す図。
【図17】実施形態の放射線画像読取装置の左側面図。
【符号の説明】
2 装置本体
3 カセッテスタッカ
4 プレート保持部
5 画像読取部
6 システム制御部
7 操作部
9 カセッテ
12 蓄積性蛍光体プレート
13 消去部
Claims (10)
- X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、並べて複数セットできるカセッテスタッカと、
前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ収容させるプレート保持部と、
前記プレート保持部に保持された前記蓄積性蛍光体プレートに記録された放射線画像を読み取る画像読取部と、
前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、前記画像読取部で放射線画像を読み取られた蓄積性蛍光体プレートを、収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部と、
を有し、下記条件(1)〜(4)を満足する放射線画像読取装置。
条件(1)
収容されている前記蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で、略平行になるように、複数の前記カセッテを前記カセッテスタッカにセットできる。
条件(2)
前記消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへ前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際にも、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去することができる。
条件(3)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
条件(4)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。 - 前記画像読取部は、固定されていて、前記蓄積性蛍光体プレート面と平行な方向にレーザ光を走査することにより、前記プレート保持部により保持されている前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものであり、
下記条件(5)〜(7)を満足するものである請求項1に記載の放射線画像読取装置。
条件(5)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
条件(6)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。
条件(7)
前記蓄積性蛍光体シートを保持している前記プレート保持部が、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動して、前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向の所定の位置に位置した状態で、前記画像読取部が、前記プレート保持部に保持されている前記蓄積性蛍光体プレートに記録されている放射線画像を読み取るものである。 - 前記カセッテスタッカが、前記カセッテに収容される前記蓄積性蛍光体プレートが、鉛直方向と略平行になるように、前記カセッテをセットできるものであり、
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に取り出し、また、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に移動させて、収容させるものである請求項1又は2に記載の放射線画像読取装置。 - 前記プレート保持部は、前記蓄積性蛍光体プレートの下端部を保持することにより、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを略鉛直方向下方に取り出して、保持すること、及び、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ保持している前記蓄積性蛍光体プレートを略鉛直方向上方に移動させて、収容させるものである請求項3に記載の放射線画像読取装置。
- 前記消去部は、前記画像読取部が放射線画像を読み取る時に前記プレート保持部が保持している前記蓄積性蛍光体プレートの位置よりも前記カセッテスタッカ側に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
- X線撮影された平板状の蓄積性蛍光体プレートを収容した可搬性のカセッテを、並べて複数セットできるカセッテスタッカと、
前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから前記蓄積性蛍光体プレートを取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ収容させるプレート保持部と、
前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際に、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去する消去部と、
を有し、下記条件(11)〜(14)を満足する放射線画像消去装置。
条件(11)
収容されている前記蓄積性蛍光体プレートが、互いに前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に異なる位置で、略平行になるように、複数の前記カセッテを前記カセッテスタッカにセットできる。
条件(12)
前記消去部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記プレート保持部が、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへ前記蓄積性蛍光体プレートを収容させる際にも、当該蓄積性蛍光体プレートに残っている残像を消去することができる。
条件(13)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、保持することができる。
条件(14)
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。 - 下記条件(15)を満足するものである請求項6に記載の放射線画像消去装置。
条件(15)
前記プレート保持部は、少なくとも前記蓄積性蛍光体プレート面と垂直な方向に移動することにより、前記カセッテスタッカにセットされたいずれのカセッテからも、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に取り出して、取り出した当該蓄積性蛍光体プレートを保持し、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、当該蓄積性蛍光体プレート面と略平行な方向に移動させて、収容させることができる。 - 前記カセッテスタッカが、前記カセッテに収容される前記蓄積性蛍光体プレートが、鉛直方向と略平行になるように、前記カセッテをセットできるものであり、
前記プレート保持部は、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に取り出し、また、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテへ、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向に移動させて、収容させるものである請求項6又は7に記載の放射線画像消去装置。 - 前記プレート保持部は、前記蓄積性蛍光体プレートの下端部を保持することにより、前記カセッテスタッカにセットされた前記カセッテから、当該カセッテに収容されている前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向下方に取り出し、取り出した前記蓄積性蛍光体プレートを保持し、前記カセッテスタッカにセットされたいずれの前記カセッテへも、保持している前記蓄積性蛍光体プレートを、略鉛直方向上方に移動させて、収容させる請求項7又は8に記載の放射線画像消去装置。
- 前記消去部は、前記画像読取部が放射線画像を読み取る時に前記プレート保持部が保持している前記蓄積性蛍光体プレートの位置よりも前記カセッテスタッカ側に設けられている請求項7〜9のいずれか1項に記載の放射線画像消去装置。
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