JP3702312B2 - デジタル放送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、入力機器および出力機器をネットワーク接続してなるデジタル放送システムに関し、特に、システムの動作状態をモニタリングすることができる放送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6の(イ)は、従来の放送装置の構成を概略的に示している。この放送装置においては、複数の、例えば4つの入力機器11〜14が、マトリクス・コントローラと呼ばれる制御装置30を介して複数の、例えば4つの出力機器21〜24と接続されている。ここで、入力機器は、CDプレーヤ、カセットデッキ、音声ファイル機器等の音源機器やマイクロホン端末を含む任意の音声信号送出機器を言い、出力機器は、出力側にスピーカを接続した増幅器を含む音声出力装置である。ビル等においては、入力機器11〜14及び出力機器21〜24は各フロアや管理室等に設置される。
【0003】
制御装置30は、入力機器11〜14のいずれかから入力された音声が出力機器21〜24のうちのいずれへ送られるべきかを制御する。この制御を実現するため、制御装置30は入力機器11〜14と出力機器21〜24との関係をマトリクス状に表すテーブルを内部に備えており、複数の出力先をグループとして記憶する。このテーブルの一例を図6の(ロ)に示す。テーブル中の黒丸は、入力機器から送出された音声がどの出力機器から発声されるかを示しており、例えば、入力機器11から送出された音声は出力機器21及び22から出力され、入力機器12から送出された音声はいずれの出力機器からも出力されない。この場合、出力機器21及び22はグループ1として登録されており、制御装置30は、例えば入力機器11から音声を受け取ったとき、グループ1を選択し、これによって出力機器21、22から入力機器11からの音声を出力させる。このように、制御装置30は、入力機器とそこからの音声を出力する出力機器のグループとの関係を一対一に記憶しており、入力機器からの要求に応じて、該入力機器に対応したグループ内に含まれるものとして登録された出力機器に当該入力機器からの音声を出力させる。
【0004】
放送内容に優先度が設定されている場合には、或る放送を行っている場合であっても、それよりも高い優先度を持つ放送が開始されると、優先度の高い方の放送へ切り換わる。優先度の低い放送としては例えばBGM(バックグラウンドミュージック)放送があり、例えば呼び出し放送には高い優先度が設定される。このような優先度は入力機器毎に設定することができるが、入力機器に放送内容に応じて優先度を選択する機能を持たせるのでもよい。
【0005】
このように、出力先の指定やグループの指定は制御装置30によって行われるが、入力機器11〜14に、出力先である出力機器を指定するためのコントローラを設けるようにしてもよい。図7は、こうしたコントローラを備えた入力機器の外観を示している。図7において、入力機器40は、筐体41に植立されたマイクロホン42と、筐体41に設けられた放送スイッチ43、グループ選択スイッチ44、表示部45を有する。放送スイッチ43は放送の開始、終了を指示するスイッチであり、グループ選択スイッチ44はグループ毎に設けられ、放送時には、入力音声を送出すべきグループに対応したスイッチが押される。グループ選択スイッチ44のうちの一つが押されると、それに対応した表示部45が点灯し、現在放送中のグループはどれであるかを指示する。図7のコントローラは、所望の放送を指定して放送を開始するよう使用されるのが一般的であり、どのグループに対する放送が行われているかは、表示部45のいずれかが点灯していることで分かる。
【0006】
以上説明したように、図6に示す制御装置30は入力機器と出力機器との間をマトリクス制御するのみであり、図7のコントローラ40も出力先を選択して現在放送中のグループを表示するのみである。換言すると、入力機器11〜14は、入力機器側で又は制御装置30が特定した出力機器に対して音声信号を送出するだけである。これの変形としては、出力機器から入力機器に対してリクエストを出し、それに応答して入力機器から音声信号を送るものも考えられる。しかし、いずれにしても、従来の放送装置においては、ユーザーが放送の優先度、即ち、現在放送中のものと自分がこれから放送しようとするものとのいずれが優先度が高いか、を知ることができないため、放送が可能か否かを知ることが不可能であるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明はこうした従来の放送装置の課題を解決するために提案されたものであり、この発明の目的は、全ての入力機器の動作状態をモニタリングすることができる放送システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、
音声を受け取るための少なくとも一つの入力機器と、前記音声を放送するための少なくとも一つの出力機器と、制御装置とをネットワークを介して相互に接続した放送システムであって、
任意の前記入力機器からの放送要求に応答して、前記制御装置が、全部の前記入力機器に対して、前記放送要求を発した入力機器と該入力機器からの音声を放送すべき前記出力機器との組み合わせを表すルーティング・データを送出することを特徴とする放送システム、
を提供する。
【0009】
請求項2の発明は、前記制御装置に、放送源の入力機器と放送先の出力機器との組み合わせを表す複数の放送パターンを記録した放送パターン・テーブルを設け、前記入力機器の初期設定時に、前記制御装置が、前記入力機器に前記複数の放送パターンを登録させることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、それぞれの前記入力機器が、前記複数の放送パターンを登録するための記憶手段を備えることを特徴とする。
請求項4の発明は、前記入力機器に、前記複数の放送パターンのうちの一つを選択するための放送パターン選択スイッチと、該放送パターン選択スイッチに一対一に対応する表示部とを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、前記ルーティング・データが自己の優先度を示す優先度データを含み、それぞれの前記入力機器の前記表示部が、前記制御装置から前記ルーティング・データを受信したとき、そのルーティング・データに含まれる前記優先度データに基づく表示を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、前記入力機器に、前記ルーティング・データを受信したとき、そのルーティング・データと前記複数の放送パターンとを比較する比較手段を設け、前記表示部に前記比較手段の比較結果を表示することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を用いて、この発明に係る放送システムの一つの実施の形態を説明する。図1は、この発明に係る放送システムの一つの実施の形態の全体構成を概略的に示す図で、複数の入力機器11、12、・・・・、1Mが通信ネットワーク2を介して複数の出力機器31、32、・・・・、3Nに接続され、制御装置4が通信ネットワーク2に接続されている。
【0014】
それぞれの入力機器11、12、・・・・又は1Mの操作部には、全部の入力機器が行い得る放送パターンから、即ち、放送源である入力機器と放送先の出力機器との全組み合わせから、所望の組み合わせを選択するための複数の放送パターン選択スイッチ(図示せず)と、どの放送パターンが動作中であるかを優先度とともに表示するための表示部(図示せず)とを備えている。それぞれの放送パターン選択スイッチには、図7のグループ選択スイッチと同様に、パターン番号が割り当てられる。放送パターン選択スイッチ及び表示部については、図4との関連で再度説明する。なお、出力機器31〜3Nは、図6における出力機器21〜24と同じものであってよい。
【0015】
通信ネットワーク2は例えば一般のコンピュータ・ネットワークで用いられるイーサネット(登録商標)である。入力機器11〜1Mのいずれかに入力された音声信号は、当該入力機器においてディジタル・データに変換されてからパケットに分割されて通信ネットワーク2を介して、当該入力機器からの音声を受信すべき所定の出力機器31、32、・・・・又は3Nから放送される。入力機器11〜1Mのいずれかからパケットを送る際、ヘッダ情報として、送り先の出力機器31、32、・・・・又は3Nを特定する情報、例えばIPアドレスが付加される。出力機器側では、送られて来るパケットを順番に組み立てて元のディジタル・データを復元し、これをアナログ変換して音声信号を再生する。このような入力機器11〜1Mと出力機器31〜3Nとの間で行われるリアルタイム音声通信処理は、ストリーミングとして知られている。
【0016】
既に説明したように、従来においては、入力機器から出力機器を特定して音声を伝送し、又は、出力機器から入力機器にリクエストを送出し、それに応答して入力機器から音声を送るものであり、単に入力機器から音声を送出するだけでは、現在どのような放送がおこなわれているかをユーザーは知ることができなかった。この欠点を解決するため、図1の放送システムにおいては、制御装置4がルーティング制御を行う。
【0017】
これを実現するため、制御装置4は、入力機器と該入力機器からの音声を放送すべき出力機器との組み合わせと、該組み合わせが有する優先度とを表す放送パターンを記録した放送パターン・テーブルを内蔵している。そこで、いずれかの入力機器11、12、・・・・又は1Mからの放送要求があると、制御装置4は、放送パターン・テーブルを参照して、放送要求のあった入力機器からの音声を放送すべき所定の1つ又は複数の出力機器31、32、・・・・又は3Nを割り付けて動作状態にするルーティング制御を行う。同時に、制御装置4は、全部の入力機器11〜1Mに対して、ルーティング・データ、即ち、そのとき制御装置4が割り付けた、放送源と放送先との組み合わせを表すデータを発行する。放送要求を発した入力機器は、受け取ったルーティング・データに基づいて放送を実行する。これを模式的に表したものが図2で、点線の両方向矢印は入力機器と制御装置との間で信号の送受が行われることを、点線の一方向矢印は制御装置から出力機器の制御が行われることを示し、実線の矢印は入力機器からの音声が出力機器の増幅器で増幅されてスピーカから放送されることを示している。
【0018】
制御装置4がルーティング・データを全入力機器11〜1Mに送ることにより、図1の放送システムは放送に優先度を設定して優先度制御を行うことが可能となり、入力機器11〜1Mそれぞれにおいてシステムの動作状態と優先度を表示することができる。これにより、それぞれの入力機器は優先度に応じた放送を行うことができることになる。
【0019】
図3は、任意の入力機器11、12、・・・・又は1Mの動作を説明するためのフロー図である。同図において、ステップS101において、入力機器は放送パターンの登録を行う。即ち、入力機器は、電源投入時等の初期設定時に制御装置4から、ルーティング・データを含む放送パターン・データを受信し、受信した放送パターン・データをバッファに保存する。このバッファは放送パターン・データ・バッファ(バッファA)とルーティング・データ・バッファ(バッファB)からなる。
【0020】
ステップS101において、制御装置4は、初期設定される入力機器11、12、・・・・又は1Mに対して、予め設定された全部の放送パターンにそれぞれ対応する放送パターン・データを送る。図4は、任意の一つの入力機器のバッファA及びバッファBに保存されたデータの一例を示している。この例においては、各放送パターン・データは、SW番号、パターン番号、パターン優先度、ルーティング数、ルーティング・データ・アドレス、放送源及び放送先を含み、SW番号、パターン番号、パターン優先度、ルーティング数及びルーティング・データ・アドレスはバッファAに保存され、放送源及び放送先を表すルーティング・データはバッファBに保存される。
【0021】
各放送パターン・データに含まれる項目について説明すると、パターン番号は、それぞれの放送パターン・データに固有の数字であり、放送パターンの識別のために使用される。SW番号はパターン番号に対応しており、それぞれの入力機器11〜1Mに設けられた放送パターン選択スイッチに割り当てられた番号を表す。パターン優先度は、一つの放送パターンが持つ優先度を表しており、これによって、全ての放送パターンの間の優先度が設定されることになる。ルーティング数は、一つの放送パターンに含まれる、放送源と放送先との組み合わせの数を表す。ルーティング・データ・アドレスは、その放送パターン・データに対応するルーティング・データを保存するバッファBの記憶エリアの先頭アドレスを表す。したがって、バッファBには、放送源と放送先との組み合わせがルーティング数だけ保存されることになる。
【0022】
図3に戻って、ステップS101において放送パターンの登録が終わると、入力機器は放送可能な状態になり、ステップS102において放送要求前の状態で待機する。そこで、入力機器から放送を開始するときには、放送パターン選択スイッチのいずれかを押して放送パターンの一つを選択し(ステップS103)、選択した放送パターンを表すパターン信号を含む放送要求信号を制御装置4に送る(ステップS104)。
【0023】
放送要求信号に応答して、制御装置4はパターン信号に基づくルーティング処理を行い、放送要求した入力機器を含む全部の入力機器及び放送要求した入力機器の音声を放送すべき出力機器に対してルーティング・データを送出する。このルーティング・データには、図5に示すように、放送源、放送先及びルーティング優先度からなるデータが、入力機器により選択された放送パターンのルーティング数だけ含まれる。放送要求を発した入力機器は、ステップS105においてルーティング・データを受信すると、ステップS106において放送を開始し、受信したルーティング・データによって特定された出力機器に対して音声をパケット化して送出する。
【0024】
入力機器が放送を終了するときには、入力機器はステップS107において放送終了要求信号を制御装置4に送出する。これに応答して、ステップS108で制御装置4は再びルーティング・データを送出し、このルーティング・データを受信したときに入力機器は放送を終了し、次の放送を待機する(ステップS109)。
【0025】
上記のように、制御装置4は、一つの入力機器からの放送要求に応答して、全部の入力機器11〜1M及び放送要求を発した入力機器からの音声を放送すべき出力機器にルーティング・データを送出する。つまり、図3のステップS105におけるルーティング・データの受信は、全部の入力機器11〜1Mにおいて行われる。そこで、それぞれの入力機器11、12、・・・・又は1Mは、制御装置4からルーティング・データを受信すると、自分のバッファBに保存されたルーティング・データと制御装置4から受信されたルーティング・データ全部との比較を行い、一致する放送先があるか否かを判定する。即ち、それぞれの放送パターン選択スイッチに登録された放送先全てに一致するか、一部に一致するか、一致しないかを判断する。その比較結果に応じて表示部を動作させる。例えば、パターン番号2のルーティング・データを受信したとき、そのパターン番号2に対応した放送パターンに対応する放送パターン選択スイッチの表示部を動作させる。これにより、自入力機器を含む全部の入力機器によって行われている放送状態を実時間で表示することができるばかりでなく、そのとき行われている放送の優先度が自入力機器の放送に比べて高いか低いかを知ることができる。
【0026】
具体的には、各入力機器11、12、・・・・又は1Mの操作部に設けられた表示部は、それぞれの放送パターン選択スイッチに対応して、放送源による放送が全部の放送先で行われていることを示す「放送中」、放送源による放送が一部の放送先で行われていることを示す「一部放送中」、放送源からの放送が行われていないことを示す「放送なし」の各表示灯と、優先度が自分よりも「高い」、自分と「同じ」、自分よりも「低い」ことを示す各表示灯とからなり、これらの表示灯の(点灯、消灯、点滅等の)状態や表示灯の表示色の変化を用いて放送状態を表示することができる。
【0027】
以上、この発明に係る放送システムの一つの実施の形態を説明したが、この発明はこの実施の形態に限定されるものではない。例えば、放送パターン・データのうちルーティング・データを、図4に示すように、別のバッファに保存するものとして説明したが、ルーティング・データ・アドレスの代わりに、そのエリアにルーティング・データを記録するようにして、1つのバッファを用いるようにしてもよい。また、各入力機器の表示部として、LCDパネルやディスプレイ等によりグラフィカルな表示を行うことも可能である。
【0028】
【発明の効果】
この発明に係る放送システムの実施の形態について詳述したところから理解されるように、この発明は、放送要求を発した入力機器に制御装置から送られるルーティング・データを他の全ての入力機器に対しても送出して各入力機器に保持させるようにしたので、入力機器の動作状態を表示させるための信号を別途用いることなく、個々の入力機器においてシステム全体の放送状態をモニタリングすることができるという格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る放送システムの一つの実施の形態の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1における制御装置が行う制御の概要を説明する図である。
【図3】図1の入力機器が行う動作を示すフロー図である。
【図4】図3のステップS101において制御装置から送出される放送パターン・データの一例を示す図である。
【図5】図3のステップS105において入力機器が受信するルーティング・データの一例を示す図である。
【図6】(イ)は、従来の放送装置の構成を概略的に示す図であり、(ロ)は、入力機器と出力機器との組み合わせの例を示すテーブルである。
【図7】従来の入力機器の具体的な構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
11〜1M:入力機器、 2:ネットワーク、 31〜3N:出力機器、 4:制御装置
Claims (6)
- 音声を受け取るための少なくとも一つの入力機器と、前記音声を放送するための少なくとも一つの出力機器と、制御装置とをネットワークを介して相互に接続した放送システムであって、
任意の前記入力機器からの放送要求に応答して、前記制御装置が、全部の前記入力機器に対して、前記放送要求を発した入力機器と該入力機器からの音声を放送すべき前記出力機器との組み合わせを表すルーティング・データを送出することを特徴とする放送システム。 - 請求項1記載の放送システムであって、
前記制御装置が、放送源の入力機器と放送先の出力機器との組み合わせを表す複数の放送パターンを記録した放送パターン・テーブルを備え、
前記入力機器の初期設定時に、前記制御装置が、前記入力機器に前記複数の放送パターンを登録させる
ことを特徴とする放送システム。 - 請求項2記載の放送システムであって、
それぞれの前記入力機器が、前記複数の放送パターンを登録するための記憶手段を備える
ことを特徴とする放送システム。 - 請求項3記載の放送システムであって、
前記入力機器が、前記複数の放送パターンのうちの一つを選択するための放送パターン選択スイッチと、該放送パターン選択スイッチに一対一に対応する表示部とを備える
ことを特徴とする放送システム。 - 請求項4記載の放送システムであって、
前記ルーティング・データが自己の優先度を示す優先度データを含み、
それぞれの前記入力機器の前記表示部が、前記制御装置から前記ルーティング・データを受信したとき、そのルーティング・データに含まれる前記優先度データに基づく表示を行う
ことを特徴とする放送システム。 - 請求項4記載の放送システムであって、
前記入力機器が、前記ルーティング・データを受信したとき、そのルーティング・データと前記複数の放送パターンとを比較する比較手段を備え、
前記表示部に、前記比較手段の比較結果を表示する
ことを特徴とする放送システム。
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