JP3701885B2 - 扉取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁面に取付けられる自動制御盤、配電盤などの筐体の扉取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図15に壁面に取付けられる自動制御盤の従来例を示す。この自動制御盤1は、壁面2に取付けられた前方が開放する縦長矩形の筐体3と、この筐体3の前面に2つの蝶番4によって開閉自在に取付けられた扉5とを備え、筐体3内にベースモジュール、電源モジュール、ブレーカ、リレー、トランス等の各種盤内機器6を収納している。
【0003】
前記筐体3は、通常壁面2に植設した図示しないアンカーボルトの突出端部を筐体3の背面板に設けた挿通孔に挿通して筐体3の内部からナットをアンカーボルトに締め付けることにより壁面2に固定されている。
【0004】
前記扉5は、筐体3内への前記各種盤内機器6の組込み、これら機器6の保守点検、交換、配線等の作業を容易に行えるようにするために、通常筐体3に対して着脱可能に取付けられている。このため、蝶番4としては、分離可能な蝶番が用いられる。すなわち、この蝶番4は、図16に示すように第1、第2の蝶番片7,8と、これらの蝶番片7,8を分離可能に連結するヒンジピン9とからなり、第1の蝶番片7を筐体3の前面の右側縁部の内側に固定し、第2の蝶番片8を扉5の右側縁部の内側に第1の蝶番片7の上方に位置するように固定してこれら両蝶番片7,8のスリーブ10,11をその軸線が一致するように重ね合わせ、上方からヒンジピン9をスリーブ11,10の中心孔に嵌挿することにより第2の蝶番片8を第1の蝶番片7に対して回動自在に連結している。そして、自動制御盤1の輸送中や稼働中に扉5が筐体3から不用意に外れないようにするために、ヒンジピン9の下端部に設けた環状溝12にEリング13を止着し、これによってヒンジピン9がスリーブ10、11の上方へ不用意に抜けるのを防止している。扉5を筐体3から取り外すときは、Eリング13を適宜な工具によって外し、しかる後ヒンジピン9をスリーブ10,11から抜き取ることにより行なう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来の自動制御盤1における扉5の取付構造は、Eリング13によってヒンジピン9がスリーブ10,11から抜けるのを防止しているため、扉5を筐体3から外すときは、Eリング13を適宜な工具によって外す必要があった。このため、Eリング13を外す作業が煩わしく時間がかかり、専用の工具を必要とするばかりか、外したときにEリング13を落して紛失させてしまったり、工具でEリング13を変形させてしまうと再使用できなくなるといった問題があった。また、扉5を筐体3に取付けた後にEリング13をヒンジピン9の環状溝12に嵌着しなければならないため、その作業も煩わしく、またEリング13を取付けるのを忘れるといった問題もあった。
さらに、Eリング13を外すると、扉5は全開までの任意の角度位置で取外しが可能になるため、扉5を適宜角度開いて持ち運ぶ際に、誤って扉5に上方向の力を加えると外れてしまう。特に、配線作業等を行なうときは、扉5を全開状態にして行うため、作業者が作業中に扉5を誤って押し上げたりすると、扉5が筐体3から外れて落下するという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単な構造でEリングなどの固定部材を用いることなく全閉と全開時においては取外しを不能にし、中間の開位置においてのみ取外しを可能にし、扉の着脱作業を容易に行うことができるようにした扉取付構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、筐体の開口部を覆う扉を前記筐体に蝶番によって開閉自在に、かつ高さ方向に着脱可能に取付けた扉取付構造において、前記蝶番を前記筐体と前記扉のいずれか一方の取付部に固定される第1の蝶番片と、他方の取付部に固定される第2の蝶番片と、前記第1、第2の蝶番片を回動自在に、かつ分離可能に連結するヒンジピンとで構成し、前記第1の蝶番片に平面視形状がコ字状またはU字状の屈曲部を設け、前記第2の蝶番片が取付けられる取付部に前記屈曲部が側方から係入可能な溝を設け、前記扉の全開状態において、前記第1の蝶番片の屈曲部が前記溝に係入して高さ方向において係合することにより前記扉の取外しを阻止し、前記扉が全閉状態から全開状態に至る途中のある一定の角度範囲内において、前記屈曲部が前記溝から退出して非係合状態にして前記扉を上方へ持ち上げることにより扉の取外しを可能にするものである
第1の発明において、扉の全開状態では、第1の蝶番片の屈曲部は溝に係入することにより扉の取外しを阻止し、溝から退出して非係合状態になると扉の取外しを可能にする。
【0008】
第2の発明は上記第1の発明において、扉の全閉時において互いに係合することにより前記扉の取外しを阻止する係合部を前記扉と筐体にそれぞれ設けたものである。
【0009】
第3の発明は上記第1の発明において、扉の全閉時において互いに係合することにより前記扉の取外しを阻止する係合部を第1、第2の蝶番片にそれぞれ設けたものである。
第2、第3の発明において、係合部は扉の全閉時において互いに係合することで扉の取外しを阻止する。
係合部としては、係合片と係合穴または凹部、ピンと係合穴または凹部等が考えられる。
【0010】
第4の発明は上記第1、第2または第3の発明において、第1、第2の蝶番片のいずれか一方にヒンジピンを固定し、他方にこのヒンジピンが挿抜自在に嵌挿されるスリーブを設けたものである。
第4の発明において、ヒンジピンはスリーブに嵌挿されることにより第1、第2の蝶番片を回動自在に連結する。
【0011】
第5の発明は上記第1、第2、第3または第4の発明において、扉を全開位置に係止する係止手段を設けたものである。
第5の発明において、扉は係止手段によって全開位置に係止されることで、作業中に不用意に閉じたりしない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る扉取付構造を自動制御盤の扉に適用した第1の実施の形態を示す扉を開いた状態の外観斜視図、図2は扉を閉じた状態の一部を破断して示す要部の斜視図、図3は蝶番の分解斜視図、図4は(a)、(b)、(c)は図2IV−IV線における扉の全閉時の断面図、中間開度時の断面図、全開時の断面図、図5は図2のV−V線断面図、図6は扉を取り外し可能な角度開いた状態の要部の斜視図、図7は扉を取り外す様子を示す図、図8は扉の全開時の要部の斜視図である。なお、従来技術の欄で示した構成部材と同一のものについては同一符号をもって示す。
【0013】
図1において、自動制御盤1は、図16に示したベースモジュール、電源モジュール、ブレーカ、リレー、トランス等の各種盤内機器6を収納する筐体3と、この筐体3の前面右端側に上下2つの蝶番4によって開閉自在に、かつ着脱可能に取付けられた扉5を備えている。
【0014】
前記筐体3は、枠状の筐体本体3Aと、筐体本体3Aの背面側開口部を塞ぐ背面板3Bとによって前方が開放する縦長矩形の箱体を構成している。筐体本体3Aは、端部がリベット、溶接等によって互いに接合された天板20、底板21、左側板22および右側板23とで構成されており、背面側開口部に前記背面板3Bの周縁部が溶接によって接合されている。そして、筐体3は図示しないアンカーボルトによって壁面に固定されている。
【0015】
前記天板20は、前縁に下方に略直角に折り曲げられた折曲片24を一体に有している。前記底板21は、前記天板20と上下対称的に形成することにより、その前縁に上方に略直角に折り曲げられた折曲片26を一体に有している。
【0016】
前記左側板22の前縁には、内側に折り曲げられた平面視L字状の折曲片28が一体に設けられている。同じく、前記右側板23は前記左側板22と左右対称的に形成されることにより、その前縁には内側に折り曲げられた平面視L字状の折曲片29(図4参照)が一体に設けられている。この折曲片29は、扉5と対向し筐体3の前面と同一面を形成する垂直な第1の平板部29aと、この第1の平板部29aと略直交し右側板23と対向する垂直な第2の平板部29bとからなり、この第2の平板部29bが前記蝶番4の第1の蝶番片7の取付部を形成している。なお、前記折曲片28,29の角部で高さ方向中央部には、係止穴30(図1参照)がそれぞれ形成されている。
【0017】
前記扉5は、扉本体5A、天板5B、底板5C、左側板5Dおよび右側板5E(図1、図2、図4参照)とで構成されている。扉本体5Aは、前記筐体3と略同一の大きさからなる縦長矩形の板体からなり、表面の左端部寄りには、把手31が取付けられている。前記天板5B、底板5C、左側板5Dおよび右側板5Eは全て同一幅で、扉本体5Aの上下、左右の各端縁部をそれぞれ後方に略直角に折り曲げることにより扉本体5Aに一体に設けられている。
【0018】
前記左側板5Dと右側板5Eの先端には、それぞれ内側に略直角に折り曲げられた折曲片32,33が全長にわたって一体に設けられている。左側板5Dの内側には、扉5を施錠する適宜な施錠装置34が前記左側板22の折曲片28に設けた係止穴30に対応して取付けられている。施錠装置34は、回動自在な施錠レバー34aを有し、この施錠レバー34aを扉5の前面側より差し込まれるキーによって所定角度回動させて前記係止穴30に係入させると、扉5を筐体3に対して施錠することができる。前記右側板5Eの折曲片33は、前記蝶番4の第2の蝶番片8の取付部を形成している。また、扉5の下端には、前記筐体3の底板21と扉5の底板5Cを連結し扉5を全開位置に係止する係止手段としてのつっかい棒35が着脱可能に取付けられている。
【0019】
前記つっかい棒35は、一端が扉5の裏面側に回動自在に枢着されており、不使用時においては図1に2点鎖線で示すように扉5の裏面側に適宜な係止部材によって先端側が係止され、使用時に先端部が実線で示すように筐体3の折曲片26に設けた図示しない係合凹部に引っ掛けられるように構成されている。
【0020】
図2〜図4において、前記蝶番4は、第1、第2の蝶番片7,8と、これらの蝶番片7,8を分離可能に連結するヒンジピン9とで構成されている。第1の蝶番片7は、金属板の折曲加工によって形成されることにより、垂直な矩形の板体からなる固定部7aと、この固定部7aの前端に連設された平面視コ字状(またはU字状)の屈曲部7bと、前記固定部7aの後端に連設された折曲部7cと、スリーブ10とで構成されている。屈曲部7bは、前記固定部7aの前端に表面側に略直角に折り曲げられた第1の板部7b-1と、この第1の板部7b-1の先端に裏面側に略直角に折り曲げられた第2の板部7b-2と、この第2の板部7b-2の前端に裏面側に略直角に折り曲げられた第3の板部7b-3とで構成されている。第3の板部7b-3は、前記第2の板部7b-2より長く形成されており、先端に前記スリーブ10が一体に設けられている。
【0021】
前記折曲部7cは、前記第1の板部7aの後端を裏面側に略直角に折り曲げることにより形成されており、上端には前方に折り曲げられた水平な挟持片40が一体に設けられている。この挟持片40は、前記固定部7aの裏面から前記筐体3の取付部29bの板厚分だけ離間するように設けられている。
【0022】
このような第1の蝶番片7は、前記右側板23の取付部29bの後端部が前記固定部7aと挟持片40との隙間に差し込まれ、固定部7aが取付部29bの表面に複数個の止めねじ41または溶接等によって固定されることで、筐体3の取付部29bに取付けられており、スリーブ10が前記折曲片29の前方に位置している。前記取付部29bの後端には、図2に示すように前記第1の蝶番片7を位置決めする上下一対の突起42が一体に突設されており、これらの突起42間に前記折曲部7cが後方から挿入され、高さ方向の位置決めがなされる。なお、上下の突起42の間隔は、第1の蝶番片7の高さ方向の微調整を可能にするために、前記折曲部7cの高さ寸法より若干大きく設定されている。
【0023】
前記第2の蝶番片8は、前記第1の蝶番片7と同様に金属板の折曲加工によって形成されるもので、平面視形状がL字状の固定部8aと、この固定部8aの前端に一体に設けられたスリーブ11とで構成されている。固定部8aは、互いに直交する第1、第2の板部8a-1,8a-2とからなり、第1の板部8a-1の前端に前記スリーブ11が設けられ、後端に前記第2の板部8a-2が設けられている。前記スリーブ11には、前記ヒンジピン9が上方から嵌挿され、ビス44によって固定されている。ヒンジピン9の下端部は、図7に示すようにスリーブ11の下方に突出している。
【0024】
このような第2の蝶番片8は、図2に示すように第1の板部8a-1が扉5の右側板5Eの裏面に密接され、第2の板部8a-2が取付部33の裏面に密接されて複数個の止めねじ45(図6参照)によって固定されるが、第1の板部8a-1を前記右側板5Eの裏面に溶接等によって固定してもよい。
【0025】
また、前記第2の蝶番片8は、扉5を筐体3に対して取付けたとき第1の蝶番片7より上方でスリーブ11の下面がスリーブ10の上面によって支持されるように、かつスリーブ11の軸線がスリーブ10の軸線と一致し、ヒンジピン9の下端部がスリーブ10に嵌挿されるように前記扉5側に取付けられている。したがって、扉5は、第1、第2の蝶番片7,8がヒンジピン9によって相対的に回動自在に連結された状態において、筐体3の前面に開閉自在に取付けられ、第1の蝶番片7のスリーブ10の上面によって支持される。なお、ヒンジピン9は、第2の蝶番片8のスリーブ11に取付けられるものに限らず、図9に示すように第1の蝶番片7のスリーブ10に下方から取付けられ、第2の蝶番片8のスリーブ11に下方から嵌挿されるものであってもよい。また、ヒンジピン9の先端部には、従来のヒンジピンとは異なり、Eリング装着用の環状溝は設けられておらず、スリーブ10,11への挿入を容易にするためのテーパが形成されている。
【0026】
また、前記第2の蝶番片8は、扉5の右側板5Eの内側に取付けられた状態において、スリーブ11が図4に示すように前記右側板5Eの裏面で前方側角部にに近接している。このようにスリーブ11を右側板5Eの裏面前方側に位置させておくと、扉5を開閉させたとき右側板5Eの前端の右方への突出量G1 が少なく、複数の自動制御盤1を横一列に近接して設置した場合、扉5を開く途中で右側の自動制御盤の扉に当たるおそれがなく、自動制御盤の間隔を狭く設定することができる。
【0027】
前記筐体3と前記扉5には、扉5の全閉時において互いに係合することにより、筐体3からの扉5の取外しを阻止する係合部としての係合穴50と係合片51(図1、図2、図5参照)がそれぞれ設けられている。係合穴50は、前記筐体3の天板20と底板21の前縁に一体に設けた折曲片24,26の左右両端部寄りにそれぞれ形成されている。両端部寄りにそれぞれ形成した理由は、扉5を左右のいずれにも取付けて使用できるようにするためである。係合片51は、扉5の前記取付部33の上下端部寄りに後方に向かってそれぞれ突設されている。係合穴50は、扉5の全閉時において前記係合片51が前方から係入することにより、扉5の上方への取外しを阻止しており、扉5が全閉状態から図5に2点鎖線で示すように小角度θ1 (例えば、θ1 =10°)開くと、前記係合片51が前方へ退出し、扉5の上方へ取外することができる。これは先に記載したようにヒンジピン9は単にスリーブ11に嵌挿されているだけで、Eリング等の固定部材によって抜けを防止されていないからである。
【0028】
ここで、本実施の形態においては、筐体3側の係合部として折曲片24に係合穴50を形成し、扉5側の係合部として取付部33に係合片51を後方に向かって突設したが、筐体3側に係合片51を突設し、扉5側に係合穴50を形成してもよい。また、係合片51の代わりにピンを植設してもよい。また、係合穴50は係合凹部であってもよい。
【0029】
さらに、前記扉5側の取付部33においては、その先端に2つの溝55(図4、図6、図7参照)が各蝶番4に対応して形成されている。この溝55は、第1の蝶番片7の高さ寸法より若干長い溝からなり、扉5の開閉操作時に第2の蝶番片8の第2の板部8a-2が第1の蝶番片7の屈曲部7b内に進入することにより、前記第1の蝶番片7の係入を可能にしている。すなわち、前記扉5が図2、図4(a)に示す全閉状態から図4(b)に2点鎖線で示すように開方向へ所定角度θ2 (例えば、θ2 =65°)回動し、これに伴い取付部33が前方に移動すると、第1の蝶番片7が側方から(ヒンジピン9の軸線と直交する方向から)係入する。したがって、扉5は第1の蝶番片7が溝55に係入する中間の開き角度θ2 以下においては、図4(b)に実線で示すように第1の蝶番片7と取付部33が互いに干渉せず、扉5の上方への取外しを可能にし、開き角度が角度θ2 以上になると、第1の蝶番片7が溝55に係入し、溝55の下縁55aが第1の蝶番片7の下面と干渉するため扉5の上方への取外しを阻止する。
【0030】
つまり、蝶番4の第1の蝶番片7と溝55は、扉5の開き角が角度θ1 〜θ2 の角度範囲内において非係合状態を保持することにより扉5の着脱を可能にし、角度θ2 以上に開くと係合状態となって扉5の着脱を不能にするものである。そして、扉5は最大角度(105°程度)開くと図4(c)に示すように第1の蝶番片7の第3の板部7b-3の裏面と溝55の奥壁とが当接することで、それ以上の回動を阻止される。なお、扉5の最大開き角度は、溝55の深さ(水平方向の寸法)によって決定され、深くすると開き角度を大きくすることができ、浅くすると小さくすることができる。
【0031】
このように本発明に係る扉取付構造は、扉5の開き角度が中間の開き角度θ1 〜θ2 (約10〜65°)の角度範囲内において、扉5の取外しを可能とし、開き角度θ1 以下においては係合穴50と係合片51との係合によって取外しを阻止し、角度θ2 以上においては第1の蝶番片7と溝55との係合によって取外しを阻止しているので、扉5を施錠しないで搬送しているときや稼働中において扉5が不用意に外れて脱落することを未然に防止することができる。また、作業をし易いように扉5を大きく開いて筐体3内部の機器の保守、点検、配線作業等を行なっているとき、作業者の身体の一部が扉5を誤って押し上げたとしても、開き角度が角度θ2 以上であれば扉5が外れて脱落するおそれがなく、作業時の安全性を確保することができる。さらに、扉5の全開時につっかい棒35で筐体3と扉5を互いに連結しておくと、扉5が不用意に閉じたりすることがなく、作業時の安全性をさらに向上させることができる。
【0032】
また、Eリング等の固定部材によってヒンジピン9の抜けを防止する必要がないので、扉5の取付け、取外し作業を迅速に行うことができ、しかも筐体3側に係合部としての係合穴50を設け、扉5側に係合部としての係合片51と、溝55を設けるだけでよいので、構造も簡単である。
【0033】
ここで、上記した実施の形態においては、扉5が筐体3の前面の右側縁に取付けられる自動制御盤に適用した例を示したが、設置場所によっては左側縁に取付けることが可能である。その場合は、第1の蝶番片7を筐体3の左側板22の内側に左右反転させて取付け、扉5を上下反転させてその左側縁の内側に第2の蝶番片8を取付けてヒンジピン9によって第1、第2の蝶番片7,8を相対的に回動自在に連結し、扉5の全閉時に係合片51を筐体3の天板20と底板21の折曲片24,26の左端寄りに設けた係合穴50に係入させればよい。このように筐体3と扉5を予め左扉用と右扉用に兼用できるように左右対称に、かつ扉5を上下対称に製作しておくと、筐体3および扉5を2種類製作する必要がなく、部品の製造、筐体3、扉5の保管管理が容易で、製造コストを低減することができる。
【0034】
図10は本発明の第2の実施の形態を示す全閉時の要部の一部を破断して示す斜視図である。この実施の形態は、扉5の全閉時に扉5の取外しを阻止する係合部を筐体3と扉5に設ける代わりに蝶番4に設けている。すなわち、第1の蝶番片7の第1の板部7b-1の上端に係合穴61を有する延長部60を上方に向かって一体に延設し、第2の蝶番片8の第2の板部8a-2の先端に、前記係合穴61に係合可能な係合片62を後方に向かって一体に突設している。その他の構造は上記した第1の実施の形態と同一である。
【0035】
このような構造においては、筐体3と扉5に係合部を設ける必要がなく、筐体3と扉5の製作が容易である。
【0036】
図11は本発明の第3の実施の形態を示す全閉時の要部の斜視図、図12は要部の側面図である。この実施の形態は、図1に示したつっかい棒35の代わりに扉5の全開時に扉5を係止する係止手段を蝶番4に対して設けている。すなわち、下端部にV字状の折曲部65aが設けられた弾性を有する係止片65の上端部を扉5の取付部33に固定し、扉5の全開時に前記折曲部65aを第1の蝶番片7の第3の板部7b-3に前方から押圧することにより扉5を全開位置に係止するようにしている。係止片65は、上端部が第2の蝶番片8とともに止めねじ45によって扉5の取付部33に共締め固定される。その他の構造は上記した第1の実施の形態と同一である。
【0037】
このような構造においても、扉5の全開時に扉5が不用意に閉じたりすることがなく、作業時の安全性を確保することができる。
【0038】
図13は本発明の第4の実施の形態を示す全閉時の要部の一部を破断して示す斜視図、図14(a)、(b)はスリーブの非係合状態と、係合状態を示す図である。この実施の形態は、図1に示したつっかい棒35の代わりに扉5の全開時に扉5を係止する係止手段を蝶番4のスリーブ10,11に設けている。すなわち、スリーブ10,11の互いに接触して相対的に摺動する摺動面に凸部と凹部70,71、72,73をそれぞれ設けてこれらを係合部とし、扉5の全開時にこれらの凸部70,72と凹部71,73を互いに噛み合わせることにより、扉5を全開位置に係止するようにしている。その他の構造は上記した第1の実施の形態と同一である。
【0039】
このような構造においても、扉5の全開時に扉5が不用意に閉じたりすることがなく、作業時の安全性を確保することができる。
【0040】
なお、上記した実施の形態においては、いずれも第1の蝶番片7を筐体3側に、第2の蝶番片8を扉5側にそれぞれ取付けた例を示したが、筐体3と扉5は相対的に回動するものであるためこれに何ら限定されるものではなく、設計によっては第2の蝶番片8と溝55を筐体3側に、第1の蝶番片7を扉5側に設け、第2の蝶番片8で第1の蝶番片7を支持させるようにしてもよい。
【0041】
また、上記した実施の形態では、扉5の開き角度θ1 (=10°)〜θ2 (=65°)の角度範囲内において扉5を着脱できるようにしたが、係合穴50と係合片51(または係合穴61と係合片62)が非係合状態となるタイミングと、第1の蝶番片7が溝55に係入するタイミングをずらすことによって開き角度θ1 ,θ2 を自由に変更することが可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る扉取付構造は、扉を全閉時と全開時以外のある一定の角度範囲内において取り外せるように構成したので、搬送中や稼働中に不測に外れたりするおそれがなく、また作業し易いように扉を大きく開いて作業を行っているとき、作業者が誤って扉を押し上げても外れるおそれがなく、作業の安全性を確保することができる。
また、Eリング等の固定部材をヒンジピンに取付けておく必要がないので、扉の着脱作業を迅速に行うことができ、作業性を向上させることができる。
さらに、本発明は、扉を全開位置に係止する係止手段を備えているので、作業時に扉が不用意に閉じて外れたりすることがなく、作業時の安全性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る扉取付構造を自動制御盤の扉に適用した第1の実施の形態を示す扉を開いた状態の外観斜視図である。
【図2】 扉を閉じた状態の一部を破断して示す要部の斜視図である。
【図3】 蝶番の分解斜視図である。
【図4】 (a)、(b)、(c)は図2IV−IV線における扉の全閉時の断面図、中間開度時の断面図、全開時の断面図である。
【図5】 図2のV−V線断面図である。
【図6】 扉を取り外し可能な角度開いた状態の要部の斜視図である。
【図7】 扉を取り外す様子を示す図である。
【図8】 扉の全開時の要部の斜視図である。
【図9】 蝶番の他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態を示す全閉時の要部の一部を破断して示す斜視図である。
【図11】 本発明の第3の実施の形態を示す全閉時の要部の斜視図である。
【図12】 側面図である。
【図13】 発明の第4の実施の形態を示す全閉時の要部の一部を破断して示す斜視図である。
【図14】 (a)、(b)はスリーブの非係合状態と、係合状態を示す図である。
【図15】 自動制御盤の従来例を示す斜視図である。
【図16】 蝶番の従来例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…自動制御盤、3…筐体、4…蝶番、5…扉、7…第1の蝶番片、7a…固定部、7b…屈曲部、8…第2の蝶番片、9…ヒンジピン、10,11…スリーブ、29b…取付部、33…取付部、50…係合穴、51…係合片、55…溝、61…係合穴、62…係合片、70,72…凸部、71,73…凹部。
Claims (5)
- 筐体の開口部を覆う扉を前記筐体に蝶番によって開閉自在に、かつ高さ方向に着脱可能に取付けた扉取付構造において、
前記蝶番を前記筐体と前記扉のいずれか一方の取付部に固定される第1の蝶番片と、他方の取付部に固定される第2の蝶番片と、前記第1、第2の蝶番片を回動自在に、かつ分離可能に連結するヒンジピンとで構成し、
前記第1の蝶番片に平面視形状がコ字状またはU字状の屈曲部を設け、前記第2の蝶番片が取付けられる取付部に前記屈曲部が側方から係入可能な溝を設け、前記扉の全開状態において、前記第1の蝶番片の屈曲部が前記溝に係入して高さ方向において係合することにより前記扉の取外しを阻止し、前記扉が全閉状態から全開状態に至る途中のある一定の角度範囲内において、前記屈曲部が前記溝から退出して非係合状態にして前記扉を上方へ持ち上げることにより扉の取外しを可能にすることを特徴とする扉取付構造。 - 請求項1記載の扉取付構造において、
扉の全閉時において互いに係合することにより前記扉の取外しを阻止する係合部を前記扉と筐体にそれぞれ設けたことを特徴とする扉取付構造。 - 請求項1記載の扉取付構造において、
扉の全閉時において互いに係合することにより前記扉の取外しを阻止する係合部を第1、第2の蝶番片にそれぞれ設けたことを特徴とする扉取付構造。 - 請求項1,2または3記載の扉取付構造において、
第1、第2の蝶番片のいずれか一方にヒンジピンを固定し、他方にこのヒンジピンが挿抜自在に嵌挿されるスリーブを設けたことを特徴とする扉取付構造。 - 請求項1,2,3または4記載の扉取付構造において、
扉を全開位置に係止する係止手段を設けたことを特徴とする扉取付構造。
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