JP3701789B2 - 巻取装置の線叩き防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ等の線状物を連続巻替え可能に巻取ることができる巻取装置における線叩き防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの線引き装置のライン構成は、図9のように構成され、同図を参照して光ファイバの母材31は送り装置32によって抵抗加熱炉33内に送られ、発熱体34によって加熱溶融され、キャプスタン35によって所定の速度で線引きされる。このように、母材31から線引きされた光ファイバ36は、硬化炉37を通過してボビン38によって巻取られる。また、キャプスタン35とボビン38との間には固定のガイドシーブ39とダンサ40とが設けられ、このダンサ40のダンサシーブ41の移動によって、巻取中の光ファイバ15の弛みを吸収している。
【0003】
上記線引き装置においては、光ファイバ15を連続巻替え可能に巻取るために2ボビン式の自動巻替連続巻取機構が採用されており、その典型的な先行技術として特開昭54− 60258号公報に開示されたものがある。これは、回転駆動可能な2個のボビンを、軸心を平行として並設し、該ボビンに線状物を給送案内するトラバースシーブを介して、一方のボビンに線状物を巻取った後、トラバースシーブによって線状物を他方のボビンのキャッチング爪側に移動させて、該キャッチング爪にその線状物を引掛けて切断し、他方のボビンへと巻移し可能とし、このようにして、線状物を一方のボビンから他方のボビンへ、また、他方のボビンから一方のボビンへと連続的かつ交互に巻移すようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記2ボビン式の自動巻替連続巻取機構を採用した従来の巻取装置によって、線状物例えば光ファイバを高速下で連続巻替え可能に巻取らせた場合、図8(B)に示されるように、巻替終了後の満巻ボビン38側における光ファイバ15の自由巻終端部15e が、満巻ボビン38の空転(イナーシャにより十数回転することがある)に伴ってばらけた状態で振り回され、その結果、機械のフレーム42、ブラケット43等に接触して自由巻終端部15e が叩かれる現象が生じ、光ファイバ15の最終端部が図8(A)に示される如く折損する。そして、この折損によるゴミの飛散、光ファイバ15先端のばらけ等が発生すると共に、最終端部のはね返りによりボビンに巻かれている光ファイバ15の表面が叩かれて、これが傷付けられる。
【0005】
上述するゴミの飛散、先端ばらけ及び叩きは、単線ファイバ15A よりもファイバリボン15B の方に顕著に現れるものであり、先端ばらけの部分及びボビン表面における叩かれた部分のファイバが不良個所となるために、高価な光ファイバ15の場合にはロスが大きい問題があり、殊に、ゴミの飛散については、即ち、光ファイバ15のコーキング材が微細なゴミとなって満巻ボビン38の周りに飛散することは、満巻ボビン38に巻取られている光ファイバ15に微細なゴミが分散して付着することになるので、ボビン1本当たりの長尺製品に対する品質低下をもたらして好ましくない。
【0006】
このような線叩き現象の発生は、製品の品質保持を図る見地から極力回避しなければならないが、現状では高速自動巻替運転の状態において線状物の終端を定着する手段が未解決であるために、停止若しくは極低速に制御して巻替えを行なうようにしており、従って、大がかりなアキュムレータ機構を付設することによる装置費の高騰並びに減速による生産性の低下をもたらす問題は避けられなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点の解消を図るために成されたものであり、従って、本発明の目的は、線叩き現象を未然に防止することによって、高速自動巻替巻取り運転の実現を果たし、以て製品の高品質保持並びに生産性の向上を図らせる巻取装置の線叩き防止構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため以下に述べる構成としたものである。即ち、請求項1の発明は、軸方向にトラバースされる2個のボビンを備え、線引きされた線状物を一方のボビンに巻取り、かつ、満巻時点に線状物の切断並びに他方のボビンへの巻替えを連続的かつ交互に行なうことができる巻取装置において、前記各ボビンそれぞれに対して、ボビンを同軸回転させる駆動軸の軸受ハウジングを取囲ませて該軸受ハウジングに固定されるガイド壁を有してボビンと一体に移動し、満巻時点での切断処理に伴い生じる満巻ボビン側線状物の自由巻終端部を前記ガイド壁により受止して、該自由巻終端部が回転中に振り回されないようにする線端部受止部材と、動かないように位置固定されてその内側をボビンがトラバース運動するガイド材を有し切断処理の直前・直後において線状物の前記自由巻終端部に対応する線引き部を満巻位置からさらに前記線端部受止部材側に前記ガイド材により誘導し、前記ガイド壁に囲まれる内方空間部に導入する線端部誘導部材とを備えたことを特徴とする巻取装置の線叩き防止構造である。
【0009】
このように形成すると、満巻時点に切断されることにより生じる満巻ボビン側線状物の自由巻終端部は、ガイド壁に囲まれる内方空間部に導入されて、切断後のイナーシャに起因する満巻ボビンの空転によって前記自由巻終端部が振り飛ばされようとしてもガイド壁がその動きを遮るように働くために、この自由巻終端部はガイド壁に囲まれる内方空間部の範囲内で振り回されるだけであり、従って、満巻ボビンの回転が停止するまでの期間に自由巻終端部がフレーム等によって叩かれて先端の切れによるゴミの飛散や、先端部のばらけが発生するのを未然に防止する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の巻取装置の線叩き防止構造において、線端部受止部材が、前記軸受ハウジングの外周部のボビン支持側端部から若干長隔てた個所に駆動軸と直交差する面に沿い取付けられた支持用基材と、この支持用基材に取付けられたボビンの最大径部に比し大径の短円筒体または短割れ円筒体からなり、前記駆動軸に同心させ、かつ、ボビンの支持側端部の周りまで延在させたガイド壁とを備えることを特徴とするものである。なお、ここでいう短円筒体とは、筒長が数cm程度に短い円筒体のことであり、また、短割れ円筒体とは、短円筒体を円周方向に数等分した位置で軸線に沿って縦に切り欠いて形成される筒長が短い切欠筒体のことである。
【0011】
このように形成すると、線端部受止部材は、ボビンを回転駆動する駆動軸の周りにコンパクトに纏めて配設されることから、空巻ホビンの装着、満巻ボビンの装脱の操作を支障を来すことなく円滑に行なわせることが可能である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の巻取装置の線叩き防止構造において、線端部誘導部材のガイド材が、短円筒体または短割れ円筒体からなり、満巻時点での切断処理の直前・直後においてボビンに巻取られる線状物の線引き部に前記ガイド材が軽接触しながら、前記ガイド材と前記ガイド壁とが軸方向に僅かにオーバーラップする位置まで、前記ガイド壁が移動可能であることを特徴とするものである。
【0013】
このように形成することにより、切断に際して線状物の線引きラインの位置には関係なく、線状物の前記自由巻終端部に対応する線引き部を前記ガイド壁に囲まれる内方空間部に確実に導入させることができ、また、切断後の空転中においてもこの自由巻終端部をガイド壁に囲まれる内方空間部に常時導入保持させておくことができるため、線叩き防止機能をより一層確実に発揮させることが可能である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1記載の巻取装置の線叩き防止構造において、線端部誘導部材のガイド材が、短円筒体または短割れ円筒体の大径側ガイド材と、この大径側ガイド材に同心させて設けられた該大径側ガイド材に比し径及び筒長が小さい短円筒体または短割れ円筒体の小径側ガイド材とからなり、満巻時点での切断処理の直前・直後において大径側ガイド材がボビンに巻取られる線状物の線引き部に軽接触しながら、前記大径側ガイド材と線端部受止部材の前記ガイド壁とが軸方向に僅かにオーバーラップする位置まで前記ガイド壁が移動可能であることを特徴とするものである。なお、ここでいう短円筒体及び短割れ円筒体は、前記ガイド壁の場合に説明したものと同義の円筒体のことである。このように形成することにより、対関係を成す大径側ガイド材と小径側ガイド材とが、ガイド壁に囲まれる内方空間部に導入させている自由巻終端部の姿勢を安定保持することができて、切断による反動力等が原因で前記自由巻終端部が線端部誘導部材から外れようとするのを確実に防いで、より信頼性が高い線叩き防止構造を提供し得る。
【0015】
請求項5の発明は、2個のボビンを備え、線引きされた線状物を一方のボビンに巻取り、かつ、満巻時点に線状物の切断並びに他方のボビンへの巻替えを連続的かつ交互に行なうことができる巻取装置において、前記各ボビンを同軸回転させる各駆動軸の軸受ハウジングを取囲ませて該ハウジングにそれぞれ固定されるガイド壁を有し満巻時点での切断処理に伴い生じる満巻ボビン側線状物の自由巻終端部を前記ガイド壁により受止して、該自由巻終端部が回転中に振り回されないようにする線端部受止部材と、ボビン軸と同じ方向に、前記ボビンに対して相対的な往復動可能に、前記ボビンの周りに設けられるガイド材を有し切断処理の直前・直後において線状物の前記自由巻終端部に対応する線引き部を満巻位置からさらに前記線端部受止部材側に前記ガイド材により誘導し、前記ガイド壁に囲まれる内方空間部に導入する線端部誘導部材とを備え、前記線端部誘導部材の前記ガイド材が、前記ボビンに同心させて該同心方向に前記ボビンに対して相対的な往復動可能に設けられた短円筒体または短割れ円筒体の大径側ガイド材と、この大径側ガイド材に同心させて設けられた該大径側ガイド材に比し径及び筒長が小さい短円筒体または短割れ円筒体の小径側ガイド材とからなり、満巻時点での切断処理の直前・直後において大径側ガイド材がボビンに巻取られる線状物の線引き部に軽接触しながら、前記大径側ガイド材と線端部受止部材の前記ガイド壁とが軸方向に僅かにオーバーラップする位置まで前記大径側ガイド材と前記ガイド壁との少なくとも一方が移動可能に構成されていることを特徴とする巻取装置の線叩き防止構造である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施の形態の一例に係る巻取装置の要部の構成が示される。図1において、1は光ファイバ線引き機構のダンサで、2は巻取装置であり、3,4は第1、第2のガイドシーブ、5はムービングシーブである。
【0017】
ダンサ1は、スイングダンサシーブ6とアキュームシーブ7とを備え、アキュームシーブ7はギャードモータによって中立位置Aから上下に移動自在とされている。スイングダンサシーブ6は、アーム8の先端側に回転自在に支持され、該アーム8のの基部は支軸9に該支軸9回りに上下動自在に支持されており、これによって、スイングダンサシーブ6は中立位置Bから支軸9回りに上下揺動自在になっている。アーム8の上下には、スイングダンサシーブ6の揺動範囲の上限・下限を検出する上限近接スイッチ10と下限近接スイッチ11が配設され、両スイッチ10、11に対しそれぞれ手前側には、アキュームシーブ7の移動用ギャードモータ起動用の近接スイッチ12,13が配設されている。
【0018】
巻取装置2は、自軸方向に往復動可能に設けられてなる駆動軸18に同軸連結されて自軸心回りに回転可能、かつ、自軸方向にトラバース移動可能な2個のボビン14A,14B を、軸心を平行にして並設させていて、各ボビン14A,14B は、線状物としての光ファイバ15を巻取らせる胴部16と、該胴部16の軸方向両端部に設けられるフランジ部17A,17B (図2参照)と、駆動軸18連結側フランジ部17B の外側に隣接して設けられたチャッキングホイル20とから形成され、このチャッキングホイル20には、チャッキング爪19が取付けられている。
【0019】
第1、第2のガイドシーブ3、4は、ダンサ1を挟んで光フアイバ15移送方向の前後に位置して固定位置で回転自在に設けられており、ムービングシーブ5は、光フアイバ15移送方向の前後に進退移動可能に設けられている。このように各シーブ3、4、5を設けて成ることによって、図示しないキャプスタンにより母材から線引きされた光フアイバ15は、第1のガイドシーブ3を経、アキュームシーブ7に掛架された後、スイングダンサシーブ6に掛架され、その後再びアキュームシーブ7に掛架された後、第2のガイドシーブ4からムービングシーブ5に順次掛架されて、ボビン14A,14B に案内される。
【0020】
このような構成の巻取装置において、本発明を特徴づける線叩き防止構造が設けられる。図2乃至図6には、巻替えの際のボビン14A(14B)の動作態様が順序的な各段階毎に示される。これら各図を参照して、上記線叩き防止構造は、ボビン14A,14B を回転駆動する前記各駆動軸18側に設けられた線端部受止部材21と、巻取装置のフレーム側に線端部受止部材21に対応して設けられた線端部誘導部材22とを備える。
【0021】
線端部受止部材21は、往復動する各ボビンの駆動軸18の軸受ハウジング23を取囲ませて該ハウジング23に固定されるガイド壁24と、このガイド壁24を軸受ハウジング23に固定するための部材である支持用基材25とにより形成される。線端部受止部材21の具体的な構成としては、前記支持用基材25は、軸受ハウジング23の外周部のボビン14A(14B)支持側端部から若干長隔てた個所において、駆動軸18と直交差する面に沿い取付けられた例えばドーナッツ形の円板により形成される。一方、ガイド壁24は、支持用基材25にボビン14A(14B)支持側の面に取付けられた短円筒体または短割れ円筒体により形成される。このガイド壁24は、ボビン14A(14B)の最大径部(この例の場合はチャッキングホイル20が相当する)に比し大径の短円筒体または短割れ円筒体であって、駆動軸18に同心させて、ボビン14A(14B)の支持側端部の周りまで延在させて設けられる。
【0022】
線端部誘導部材22は、ボビン14A(14B)の周りの固定部に該ボビン軸と同心方向の相対的な往復動可能に設けられるガイド材26を要素部材に備えていて、満巻時点に行わせる前記切断処理の直前・直後においてガイド材26を光フアイバ15の満巻位置からさらに線端部受止部材21のガイド壁24に近づく位置まで各ボビンを往動させることにより、光ファイバ15の自由巻終端部15e に対応する線引き部をガイド壁24に囲まれる内方空間部に導入し得るようになっている。
【0023】
本実施形態では、前記線端部誘導部材22の具体的な構成としては、巻取装置2のフレームに基部が固定され、かつ、駆動軸18に同軸連結してなるボビン14A(14B)の軸心方向に延ばされた支持用ブラケット28と、この動かないように位置固定された支持用ブラケット28に固着され、ボビン14 A( 14 B) に同心させてボビン周りに配置されてその内側をボビン14 A( 14 B) がトラバース運動するガイド材26とにより形成される。このガイド材26は、短円筒体または短割れ円筒体からなる単体の構成であっても良いが、図示例では、それぞれが短円筒体または短割れ円筒体からなる一対の大径側ガイド材27A 及び小径側ガイド材27B により形成されていて、両ガイド材27A,27B をボビン14A(14B)に対して同心させ、かつ、相互に適宜の間隔を取らせて外・内に配置し支持用ブラケット28に取り付けることによって、ガイド材26を形成している。
【0024】
この場合において、大径側ガイド材27A を小径側ガイド材27B に比して僅かに筒長に形成して、大径側ガイド材27A の方が小径側ガイド材27B よりも前記ガイド壁24側に僅少長突出するような配置で支持用ブラケット28にそれぞれ取り付け、一方、短円筒体または短割れ円筒体を成す小径側ガイド材27B の径を、ボビン14A(14B)の大径部(この例の場合はフランジ部17A,B が相当する)に比し大径と成している。
【0025】
このような構成の線端部受止部材21及び線端部誘導部材22から成る線叩き防止構造を備える巻取装置の巻取運転の態様を巻取運転中の一方のボビン、例えばボビン14A について、図2乃至図6並びに連続巻取動作を表すフローチャートが示される図7を参照しながら以下に説明する。
【0026】
光ファイバ15をボビン14A に巻取らせる場合には、この実施形態ではボビン14 A のトラバース運動を行なわせるものであって、これにより光ファイバ15がボビン14A の胴部16に隙間無く横に整列し、かつ、多層を成して巻取られる。反転位置巻取状態イ(図2参照)→中間位置巻取状態ロ(図3参照)→反転位置巻取状態ハ(図4参照)の往トラバース運動は、図7においてStepS1 〜StepS4に示される運転に基づいて行なわれ、一方、反転位置巻取状態ハ→中間位置巻取状態ロ→反転位置巻取状態イの復トラバース運動は、図7においてStepS5 〜StepS8に示される運転に基づいて行なわれる。
【0027】
このように、ボビン14A の軸心方向に沿って該ボビンがトラバース運動しながら線引きされてボビン14A に巻取り中の光ファイバ15に対して、前記線端部誘導部材22の大径側ガイド材27A はその端縁部が常に接するか接しないかの至近状態を保っている。
【0028】
こうして満巻が近くなって、例えば反転位置巻取状態ハにおいて切断処理のための切替指令が出される(StepS1 )と、図7に示されるStepS9 〜StepS13の巻替・切断運転に移行させてボビンの復トラバース運動を高速に切替え、光ファイバ15の巻取位置を、満巻位置(ボビン胴部16のフランジ部17B 側端位置、図2参照)を過ぎて更に僅少長進んだ切替位置(図5に図示する位置)まで素早く誘導させボビンのトラバース運動を停止させる(StepS12)。
【0029】
この状態では、大径側ガイド材27A 及び小径側ガイド材27B は、図5に示される如く大径側ガイド材27A の端縁部が線端部受止部材21のガイド壁24に対して駆動軸18方向に僅かにオーバーラップする位置までボビンが移動させられている。この移動に伴って、光ファイバ15の前記自由巻終端部15e に対応する線引き部は、これに軽接触する大径側ガイド材27A の端縁部によりガイド壁24方向に誘導される。その結果、前記線引き部をガイド壁24に囲まれる内方空間部に導入させることができる。
【0030】
この状態で、StepS13の「切替シリンダ出」の指令が出されることにより、ムービングシーブ5の移動並びにチャッキング爪19の作動に基づいて、前記線引き部の切断及び空巻側のボビン14B への巻替えが行われるが、切断直後における満巻ボビン14A 側でのイナーシャによる空転が停止するまでの間の短時間中は、前述するオーバーラップする位置までの移動状態が続けられる。これによって、切断により生じた光ファイバ15の前記自由巻終端部15e は、図6に示されるように、大径側ガイド材27A 及びこれに対して補助的に作用する小径側ガイド材27B によってガイド壁24に囲まれる内方空間部に確実に導入された状態が保持され、従って、空転中を通じて自由巻終端部15e は外に飛び出したりすることがなく、ガイド壁24内の制限された領域で回されるだけであり、従って、満巻ボビン14A の回転が停止するまでの時間中に、従来のように自由巻終端部15e が周囲のフレーム等に接触して叩かれる如き不都合がなくなり、先端の切れによるゴミの飛散や、先端部のばらけが発生すると共に、最終端部のはね返りによりボビンに巻かれている光ファイバ15の表面が叩かれて、これが傷付けられることを未然に防止することが可能である。
【0031】
以上説明した本発明の実施の形態の一例は、ボビントラバース方式の巻取装置に適用したものであるが、本発明はこのような例に限らず、ボビンは定位置で回転させ線引きラインをトラバースさせる方式のものに対しても、同様な要領に基づいて線叩き構造を適用し得ることは言うまでもなく、従って本発明は前述の実施形態に限定されなく、特許請求の範囲に記載された構成の範囲内において種々の変形が可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0033】
本発明によれば、切替え(巻替え)終了後における満巻ボビン側の線状物の切断処理に伴い生じる先端部である自由巻終端部を、ボビン軸と同心方向の相対的な往復動可能に設けられる線端部誘導部材のガイド材によって、ボビンを回転させる軸の軸受ハウジングに固定された線端部受止部材のガイド壁が囲む内方空間部に導入するようにしたものであるから、前記自由巻終端部を、満巻ボビンが回転停止するまでの期間を通じ前記内方空間部内での移動に止めて外部に飛び出さないようにすることが可能であり、従って、線状物の自由巻終端部が空転中に周辺の装置フレーム等で叩かれて先端切れによるゴミの飛散、先端のばらけ等が発生すると共に、最終端部のはね返りによりボビンに巻かれている光ファイバの表面が叩かれて、これが傷付けられることを確実に防止でき、かくして、巻製品としての線状物の品質を高く維持し得るとともに、高速下での切替えの実現による生産性の向上化を図る等の種々優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例に係る巻取装置の要部の構成図である。
【図2】図1図示のボビン14A,B の巻取り第1段階(イ)の平面図である。
【図3】図1図示のボビン14A,B の巻取り第2段階(ロ)の平面図である。
【図4】図1図示のボビン14A,B の巻取り第3段階(ハ)の平面図である。
【図5】図1図示のボビン14A,B の巻取り第4段階(ニ)の平面図である。
【図6】(A)は、図1図示のボビン14A,B の巻取り第5段階(ホ)の平面図、(B)は、同じく正面図である。
【図7】図1図示の巻取装置の連続巻取り動作を表すフローチャートである。
【図8】(A)は、叩かれた光ファイバ先端部の状態図、(B)は、線叩き状態が示される巻取装置の立面図である。
【図9】光ファイバ線引装置を示すライン構成図である。
【符号の説明】
1…ダンサ、 2…巻取装置、
3…第1ガイドシーブ、 4…第2ガイドシーブ、
5…ムービングシーブ、 6…スイングダンサシーブ、
7…アキュームシーブ、 8…アーム、
9…支軸、 10…上限近接スイッチ、
11…下限近接スイッチ、 12…近接スイッチ、
13…近接スイッチ、 14A …ボビン、
14B …ボビン、 15…光ファイバ、
15e …自由巻終端部、 16…胴部、
17A …フランジ部、 17B …フランジ部、
18…駆動軸、 19…チャッキング爪、
20…チャッキングホイル、 21…線端部受止部材、
22…線端部誘導部材、 23…軸受ハウジング、
24…ガイド壁、 25…支持用基材、
26…ガイド材、 27A …大径側ガイド材、
27B …小径側ガイド材、 28…支持用ブラケット、
Claims (5)
- 軸方向にトラバースされる2個のボビンを備え、線引きされた線状物を一方のボビンに巻取り、かつ、満巻時点に線状物の切断並びに他方のボビンへの巻替えを連続的かつ交互に行なうことができる巻取装置において、前記各ボビンそれぞれに対して、ボビンを同軸回転させる駆動軸の軸受ハウジングを取囲ませて該軸受ハウジングに固定されるガイド壁を有してボビンと一体に移動し、満巻時点での切断処理に伴い生じる満巻ボビン側線状物の自由巻終端部を前記ガイド壁により受止して、該自由巻終端部が回転中に振り回されないようにする線端部受止部材と、動かないように位置固定されてその内側をボビンがトラバース運動するガイド材を有し切断処理の直前・直後において線状物の前記自由巻終端部に対応する線引き部を満巻位置からさらに前記線端部受止部材側に前記ガイド材により誘導し、前記ガイド壁に囲まれる内方空間部に導入する線端部誘導部材とを備えたことを特徴とする巻取装置の線叩き防止構造。
- 線端部受止部材が、前記軸受ハウジングの外周部のボビン支持側端部から若干長隔てた個所に駆動軸と直交差する面に沿い取付けられた支持用基材と、この支持用基材に取付けられたボビンの最大径部に比し大径の短円筒体または短割れ円筒体からなり、前記駆動軸に同心させ、かつ、ボビンの支持側端部の周りまで延在させたガイド壁とを備える請求項1記載の巻取装置の線叩き防止構造。
- 線端部誘導部材のガイド材が、短円筒体または短割れ円筒体からなり、満巻時点での切断処理の直前・直後においてボビンに巻取られる線状物の線引き部に前記ガイド材が軽接触しながら、前記ガイド材と前記ガイド壁とが軸方向に僅かにオーバーラップする位置まで、前記ガイド壁が移動可能である請求項1または2に記載の巻取装置の線叩き防止構造。
- 線端部誘導部材のガイド材が、短円筒体または短割れ円筒体の大径側ガイド材と、この大径側ガイド材に同心させて設けられた該大径側ガイド材に比し径及び筒長が小さい短円筒体または短割れ円筒体の小径側ガイド材とからなり、満巻時点での切断処理の直前・直後において大径側ガイド材がボビンに巻取られる線状物の線引き部に軽接触しながら、前記大径側ガイド材と線端部受止部材の前記ガイド壁とが軸方向に僅かにオーバーラップする位置まで前記ガイド壁が移動可能である請求項1記載の巻取装置の線叩き防止構造。
- 2個のボビンを備え、線引きされた線状物を一方のボビンに巻取り、かつ、満巻時点に線状物の切断並びに他方のボビンへの巻替えを連続的かつ交互に行なうことができる巻取装置において、前記各ボビンを同軸回転させる各駆動軸の軸受ハウジングを取囲ませて該ハウジングにそれぞれ固定されるガイド壁を有し満巻時点での切断処理に伴い生じる満巻ボビン側線状物の自由巻終端部を前記ガイド壁により受止して、該自由巻終端部が回転中に振り回されないようにする線端部受止部材と、ボビン軸と同じ方向に、前記ボビンに対して相対的な往復動可能に、前記ボビンの周りに設けられるガイド材を有し切断処理の直前・直後において線状物の前記自由巻終端部に対応する線引き部を満巻位置からさらに前記線端部受止部材側に前記ガイド材により誘導し、前記ガイド壁に囲まれる内方空間部に導入する線端部誘導部材とを備え、前記線端部誘導部材の前記ガイド材が、前記ボビンに同心させて該同心方向に前記ボビンに対して相対的な往復動可能に設けられた短円筒体または短割れ円筒体の大径側ガイド材と、この大径側ガイド材に同心させて設けられた該大径側ガイド材に比し径及び筒長が小さい短円筒体または短割れ円筒体の小径側ガイド材とからなり、満巻時点での切断処理の直前・直後において大径側ガイド材がボビンに巻取られる線状物の線引き部に軽接触しながら、前記大径側ガイド材と線端部受止部材の前記ガイド壁とが軸方向に僅かにオーバーラップする位置まで前記大径側ガイド材と前記ガイド壁との少なくとも一方が移動可能に構成されていることを特徴とする巻取装置の線叩き防止構造。
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