JP3701412B2 - 籠型誘導電動機用ロータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は籠型誘導電動機用ロータに関し、特に高速回転用籠型誘導電動機に好適な籠型誘導電動機用ロータに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の籠型誘導電動機用ロータは、コア部に珪素鋼板リングを積層してなる積層構造体を用いている。しかしながらリングの積層構造体であるため高速回転用の電動機では内周にかかる回転応力が大きく、高速回転には適用できなかった。
【0003】
一方、高速回転用籠型誘導電動機のロータとして、ソリッドロータも製造されている。しかしながら、このソリッドロータはソリッドのためロータ表面での渦電流損が大きく、効率が通常のものよりかなり低いという問題があった。
【0004】
また、珪素鋼板リングを積層してなるコア部と軸の熱間等方加圧による拡散接合も考えられるが、通常の珪素鋼板では、無機・有機混合系の絶縁膜で被覆されているため、熱間等方加圧時にカプセルの中にガスが発生してしまい、外圧が製品に充分に伝わらず接合不良となるという問題があった。
【0005】
また、珪素鋼に含まれる珪素、アルミニウム等は非常に酸化しやすく、簡単に酸化被膜を表面に形成して、拡散接合を阻み、充分な接合強度が得られないという問題があった。
【0006】
また、珪素鋼板では熱間等加圧時に高温に熱せられるため、結晶粒が粗大化して強度が低下するため、高速回転には強度的に充分でないという問題もあった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記問題点を除去し、ソリッドロータ並の高速回転が可能で、且つロータ表面での渦電流損の小さい籠型誘導電動機用ロータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は籠型誘導電動機用ロータを、無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層し且つ多数のスロット穴が形成されたコア部を具備し、該コア部の中央穴にニッケル鋼又は低合金鋼からなる軸を挿入すると共に、スロット穴にコア部の軸方向の長さと略同じ長さの導体バーを挿入し、更にコア部の両側にエンドリングを嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化した構成とした。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は籠型誘導電動機用ロータを、無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層し且つ多数のスロット穴が形成されたコア部を具備し、該コア部の中央穴にニッケル鋼又は低合金鋼からなる軸を挿入し、該コア部の両側に前記スロット穴と同形状で同数の穴を形成したエンドリングを嵌合し、該スロット穴とエンドリング穴にコア部の軸方向の長さにエンドリングの厚さを加えた長さと略同じ長さの導体バーを挿入し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化した構成とした。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、エンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを密着嵌合したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、エンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は請求項1乃至4のいずれか1つに記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、軸の外周の前記コア部が挿入される部分に軸方向に凹状溝を形成しておき、熱間等方加圧により該コア部が該凹状溝を埋めて一体化したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は請求項1乃至5のいずれか1つに記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、熱間等方加圧により一体化した籠型誘導電動機用ロータを熱処理してその機械的性質を改善したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は請求項1に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの構造を示す図である。本籠型誘導電動機用ロータ10は図示するように、多数のスロット穴が形成されたコア部11と、スロット穴に挿入された導体バー13と、コア部11の中央穴に嵌挿された軸12と、コア部11の両側に嵌合させたエンドリング14,14とからなる。
【0015】
コア部11は無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層した構造であり、軸方向に多数のスロット穴が形成されている。軸12はコア部11を構成するリング材と同質のニッケル鋼又は低合金鋼からなる。また、スロット穴に挿入される導体バー13及びエンドリング14,14は銅材からなり、導体バー13の長さはコア部11の軸方向の長さと略等しい。
【0016】
コア部11の中央穴に軸12を挿入すると共に、スロット穴に導体バー13を挿入し、更にコア部11の両側にエンドリング14,14を嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合してコア部11と軸12とエンドリング14,14とを一体化する。
【0017】
図2は請求項1に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの構造を示す図である。本籠型誘導電動機用ロータ10が図1に示す籠型誘導電動機用ロータと異なる点はエンドリング14,14にコア部11のスロット穴と同形状で同数の穴を形成し、コア部11の軸方向の長さにエンドリング14,14の厚さを加えた長さに略等しい長さの導体バー13をスロット穴とエンドリング14,14の穴に挿入した点である。
【0018】
図3及び図4は請求項4に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの構造を示す図である。図3に示す籠型誘導電動機用ロータはコア部11のスロット穴にコア部11の軸方向の長さと同じ長さの導体バー13を挿入し、コア部11の両側にエンドリング14,14を嵌合し、該エンドリング14,14の外側にインコンネル718材からなるエンドリング押え15,15を嵌合し、この状態で熱間等方加圧により拡散接合してコア部11と軸12とエンドリング14,14とエンドリング押え15,15とを一体化した構造である。
【0019】
また、図4に示す籠型誘導電動機用ロータ10はエンドリング14,14にコア部11のスロット穴と同形状で同数の穴を形成し、コア部11の軸方向の長さにエンドリング14,14の厚さを加えた長さに略等しい長さの導体バー13をスロット穴とエンドリング14,14の穴に挿入し、該エンドリング14,14の外側にインコンネル718材からなるエンドリング押え15,15を嵌合し、この状態で熱間等方加圧により拡散接合してコア部11と軸12とエンドリング14,14とエンドリング押え15,15とを一体化した構造である。
【0020】
なお、上記例では図3及び図4に示す籠型誘導電動機用ロータ10において、エンドリング押え15,15を嵌合した後、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したが、エンドリング14,14を嵌合させた後、熱間等方加圧により拡散接合して一体化し、その後エンドリング14,14の外側に補強用のエンドリング押え15,15を例えば焼き等により密着嵌合させてもよい(請求項3に記載の発明の実施形態例)。
【0021】
図5は請求項5に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの製造方法を示す図である。図5(a)に示すように、軸12の外周のコア部11が挿入される部分に軸方向に凹状溝12aを形成しておき、この軸12にコア部11、エンドリング14,14及びエンドリング押え15,15を嵌合して、熱間等方加圧することにより、コア部11が該凹状溝12aを埋め(11aの部分)一体化したものである。
【0022】
上記のように熱間等方加圧により拡散接合して一体化した後、籠型誘導電動機用ロータ10を焼き入れ、焼き戻し等の熱処理を行ないその機械的性質を改善する(請求項6に記載の発明の実施形態例)。
【0023】
上記無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板は珪素鋼薄板に比較し、少し磁性特性が悪く、従来のソリッドロータを構成する材料(例えば、マルテンサイト鋼)並である。しかしながら、コア部11を構成する薄板の各々の接触は無機絶縁膜を介しているため、熱間等方加圧後も絶縁性が保たれて、ソリッドロータで問題となる表面渦電流損は小さく抑えられる。
【0024】
また、軸12とコア部11を構成する薄板リング及びエンドリング14,14は熱間等方加圧により拡散接合されるため、ソリッドロータと同じように、回転応力を大きく低減することができ、高速回転にも充分耐えることができる。
【0025】
また、コア部11の材料には拡散接合を阻害するような酸化被膜を形成しやすい合金元素が殆ど含まれていないため、充分な接合強度が得られる。また、熱処理によりマルテンサイト化することができるため、熱間等方加圧で材料が軟化しても、焼き入れ、焼き戻し等の後熱処理により機械的性質を改善し、高強度化でき、より高い応力に耐えうるようになる。例えば、9%Ni鋼同士を1000℃、1500kgf/cm2の熱間等方加圧で拡散接合した後、焼き入れ、焼き戻しした材料で、接合強度約760Mpa、母材強度830Mpaが得られた。
【0026】
また、軸12のコア部11の挿入部に凹状溝11aを形成して熱間等方加圧を施すことにより、コア部11が該凹状溝11aを埋めるように形成して一体化するため、積層体であるコア部11との剪断強度を高めることもできる。
【0027】
エンドリング押え15,15には、強度の低いエンドリング14,14を補強するものであるから、非磁性体で高強度のステンレス、高合金鋼、ニッケル基合金等が用いられる。エンドリング押え15,15は通常リングの焼き嵌め構造となるが、インコネル718材等の0.2%耐力が900MPaを越える高強度材料を用いることにより、高速回転まで応力に耐える構造にできる。
【0028】
また、銅の融点1080℃より高温に加熱できないため、軸12の材料とエンドリング押え15,15の材料との間では充分な拡散接合強度を示さないが、熱間等方加圧で一体化することも可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本願各請求項に記載の発明によれば下記のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、コア部を無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層した構造とするので、熱間等方加圧により拡散接合して高強度に一体化することができ、高速回転が可能で、且つ表面渦電流損を大幅に低減できる籠型誘導電動機用ロータを提供できる。
【0030】
(2)請求項3又は請求項4に記載の発明によればエンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを密着嵌合するか又は熱間等方加圧により拡散接合して一体化するので、高速回転まで応力に耐えうる構造となる。
【0031】
(3)請求項5に記載の発明によれば、軸の外周のコア部が挿入される部分に軸方向に凹状溝を形成しておき、熱間等方加圧により該コア部が該凹状溝を埋めて一体化するので、コア部との剪断強度が高くなり、より高速回転まで応力に耐えうる構造となる。
【0032】
(4)請求項6に記載の発明によれば、熱間等方加圧により一体化した籠型誘導電動機用ロータを熱処理してその機械的性質を改質するので、熱間等方加圧で材料が軟化しても高強度化され、より高い応力に耐えうるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図2】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図3】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図4】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図5】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの製造工程例を示す図である。
【符号の説明】
10 籠型誘導電動機用ロータ
11 コア部
12 軸
13 導体バー
14 エンドリング
15 エンドリング押え
【発明の属する技術分野】
本発明は籠型誘導電動機用ロータに関し、特に高速回転用籠型誘導電動機に好適な籠型誘導電動機用ロータに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の籠型誘導電動機用ロータは、コア部に珪素鋼板リングを積層してなる積層構造体を用いている。しかしながらリングの積層構造体であるため高速回転用の電動機では内周にかかる回転応力が大きく、高速回転には適用できなかった。
【0003】
一方、高速回転用籠型誘導電動機のロータとして、ソリッドロータも製造されている。しかしながら、このソリッドロータはソリッドのためロータ表面での渦電流損が大きく、効率が通常のものよりかなり低いという問題があった。
【0004】
また、珪素鋼板リングを積層してなるコア部と軸の熱間等方加圧による拡散接合も考えられるが、通常の珪素鋼板では、無機・有機混合系の絶縁膜で被覆されているため、熱間等方加圧時にカプセルの中にガスが発生してしまい、外圧が製品に充分に伝わらず接合不良となるという問題があった。
【0005】
また、珪素鋼に含まれる珪素、アルミニウム等は非常に酸化しやすく、簡単に酸化被膜を表面に形成して、拡散接合を阻み、充分な接合強度が得られないという問題があった。
【0006】
また、珪素鋼板では熱間等加圧時に高温に熱せられるため、結晶粒が粗大化して強度が低下するため、高速回転には強度的に充分でないという問題もあった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記問題点を除去し、ソリッドロータ並の高速回転が可能で、且つロータ表面での渦電流損の小さい籠型誘導電動機用ロータを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は籠型誘導電動機用ロータを、無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層し且つ多数のスロット穴が形成されたコア部を具備し、該コア部の中央穴にニッケル鋼又は低合金鋼からなる軸を挿入すると共に、スロット穴にコア部の軸方向の長さと略同じ長さの導体バーを挿入し、更にコア部の両側にエンドリングを嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化した構成とした。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は籠型誘導電動機用ロータを、無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層し且つ多数のスロット穴が形成されたコア部を具備し、該コア部の中央穴にニッケル鋼又は低合金鋼からなる軸を挿入し、該コア部の両側に前記スロット穴と同形状で同数の穴を形成したエンドリングを嵌合し、該スロット穴とエンドリング穴にコア部の軸方向の長さにエンドリングの厚さを加えた長さと略同じ長さの導体バーを挿入し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化した構成とした。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、エンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを密着嵌合したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、エンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は請求項1乃至4のいずれか1つに記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、軸の外周の前記コア部が挿入される部分に軸方向に凹状溝を形成しておき、熱間等方加圧により該コア部が該凹状溝を埋めて一体化したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は請求項1乃至5のいずれか1つに記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、熱間等方加圧により一体化した籠型誘導電動機用ロータを熱処理してその機械的性質を改善したことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は請求項1に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの構造を示す図である。本籠型誘導電動機用ロータ10は図示するように、多数のスロット穴が形成されたコア部11と、スロット穴に挿入された導体バー13と、コア部11の中央穴に嵌挿された軸12と、コア部11の両側に嵌合させたエンドリング14,14とからなる。
【0015】
コア部11は無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層した構造であり、軸方向に多数のスロット穴が形成されている。軸12はコア部11を構成するリング材と同質のニッケル鋼又は低合金鋼からなる。また、スロット穴に挿入される導体バー13及びエンドリング14,14は銅材からなり、導体バー13の長さはコア部11の軸方向の長さと略等しい。
【0016】
コア部11の中央穴に軸12を挿入すると共に、スロット穴に導体バー13を挿入し、更にコア部11の両側にエンドリング14,14を嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合してコア部11と軸12とエンドリング14,14とを一体化する。
【0017】
図2は請求項1に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの構造を示す図である。本籠型誘導電動機用ロータ10が図1に示す籠型誘導電動機用ロータと異なる点はエンドリング14,14にコア部11のスロット穴と同形状で同数の穴を形成し、コア部11の軸方向の長さにエンドリング14,14の厚さを加えた長さに略等しい長さの導体バー13をスロット穴とエンドリング14,14の穴に挿入した点である。
【0018】
図3及び図4は請求項4に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの構造を示す図である。図3に示す籠型誘導電動機用ロータはコア部11のスロット穴にコア部11の軸方向の長さと同じ長さの導体バー13を挿入し、コア部11の両側にエンドリング14,14を嵌合し、該エンドリング14,14の外側にインコンネル718材からなるエンドリング押え15,15を嵌合し、この状態で熱間等方加圧により拡散接合してコア部11と軸12とエンドリング14,14とエンドリング押え15,15とを一体化した構造である。
【0019】
また、図4に示す籠型誘導電動機用ロータ10はエンドリング14,14にコア部11のスロット穴と同形状で同数の穴を形成し、コア部11の軸方向の長さにエンドリング14,14の厚さを加えた長さに略等しい長さの導体バー13をスロット穴とエンドリング14,14の穴に挿入し、該エンドリング14,14の外側にインコンネル718材からなるエンドリング押え15,15を嵌合し、この状態で熱間等方加圧により拡散接合してコア部11と軸12とエンドリング14,14とエンドリング押え15,15とを一体化した構造である。
【0020】
なお、上記例では図3及び図4に示す籠型誘導電動機用ロータ10において、エンドリング押え15,15を嵌合した後、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したが、エンドリング14,14を嵌合させた後、熱間等方加圧により拡散接合して一体化し、その後エンドリング14,14の外側に補強用のエンドリング押え15,15を例えば焼き等により密着嵌合させてもよい(請求項3に記載の発明の実施形態例)。
【0021】
図5は請求項5に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ロータの製造方法を示す図である。図5(a)に示すように、軸12の外周のコア部11が挿入される部分に軸方向に凹状溝12aを形成しておき、この軸12にコア部11、エンドリング14,14及びエンドリング押え15,15を嵌合して、熱間等方加圧することにより、コア部11が該凹状溝12aを埋め(11aの部分)一体化したものである。
【0022】
上記のように熱間等方加圧により拡散接合して一体化した後、籠型誘導電動機用ロータ10を焼き入れ、焼き戻し等の熱処理を行ないその機械的性質を改善する(請求項6に記載の発明の実施形態例)。
【0023】
上記無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板は珪素鋼薄板に比較し、少し磁性特性が悪く、従来のソリッドロータを構成する材料(例えば、マルテンサイト鋼)並である。しかしながら、コア部11を構成する薄板の各々の接触は無機絶縁膜を介しているため、熱間等方加圧後も絶縁性が保たれて、ソリッドロータで問題となる表面渦電流損は小さく抑えられる。
【0024】
また、軸12とコア部11を構成する薄板リング及びエンドリング14,14は熱間等方加圧により拡散接合されるため、ソリッドロータと同じように、回転応力を大きく低減することができ、高速回転にも充分耐えることができる。
【0025】
また、コア部11の材料には拡散接合を阻害するような酸化被膜を形成しやすい合金元素が殆ど含まれていないため、充分な接合強度が得られる。また、熱処理によりマルテンサイト化することができるため、熱間等方加圧で材料が軟化しても、焼き入れ、焼き戻し等の後熱処理により機械的性質を改善し、高強度化でき、より高い応力に耐えうるようになる。例えば、9%Ni鋼同士を1000℃、1500kgf/cm2の熱間等方加圧で拡散接合した後、焼き入れ、焼き戻しした材料で、接合強度約760Mpa、母材強度830Mpaが得られた。
【0026】
また、軸12のコア部11の挿入部に凹状溝11aを形成して熱間等方加圧を施すことにより、コア部11が該凹状溝11aを埋めるように形成して一体化するため、積層体であるコア部11との剪断強度を高めることもできる。
【0027】
エンドリング押え15,15には、強度の低いエンドリング14,14を補強するものであるから、非磁性体で高強度のステンレス、高合金鋼、ニッケル基合金等が用いられる。エンドリング押え15,15は通常リングの焼き嵌め構造となるが、インコネル718材等の0.2%耐力が900MPaを越える高強度材料を用いることにより、高速回転まで応力に耐える構造にできる。
【0028】
また、銅の融点1080℃より高温に加熱できないため、軸12の材料とエンドリング押え15,15の材料との間では充分な拡散接合強度を示さないが、熱間等方加圧で一体化することも可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本願各請求項に記載の発明によれば下記のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、コア部を無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層した構造とするので、熱間等方加圧により拡散接合して高強度に一体化することができ、高速回転が可能で、且つ表面渦電流損を大幅に低減できる籠型誘導電動機用ロータを提供できる。
【0030】
(2)請求項3又は請求項4に記載の発明によればエンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを密着嵌合するか又は熱間等方加圧により拡散接合して一体化するので、高速回転まで応力に耐えうる構造となる。
【0031】
(3)請求項5に記載の発明によれば、軸の外周のコア部が挿入される部分に軸方向に凹状溝を形成しておき、熱間等方加圧により該コア部が該凹状溝を埋めて一体化するので、コア部との剪断強度が高くなり、より高速回転まで応力に耐えうる構造となる。
【0032】
(4)請求項6に記載の発明によれば、熱間等方加圧により一体化した籠型誘導電動機用ロータを熱処理してその機械的性質を改質するので、熱間等方加圧で材料が軟化しても高強度化され、より高い応力に耐えうるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図2】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図3】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図4】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの構造例を示す図である。
【図5】本願発明の籠型誘導電動機用ロータの製造工程例を示す図である。
【符号の説明】
10 籠型誘導電動機用ロータ
11 コア部
12 軸
13 導体バー
14 エンドリング
15 エンドリング押え
Claims (6)
- 無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層し且つ多数のスロット穴が形成されたコア部を具備し、該コア部の中央穴にニッケル鋼又は低合金鋼からなる軸を挿入すると共に、スロット穴にコア部の軸方向の長さと略同じ長さの導体バーを挿入し、更にコア部の両側にエンドリングを嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したことを特徴とする籠型誘導電動機用ロータ。
- 無機系絶縁被覆を施したニッケル鋼又は低合金鋼薄板リングを積層し且つ多数のスロット穴が形成されたコア部を具備し、該コア部の中央穴にニッケル鋼又は低合金鋼からなる軸を挿入し、該コア部の両側に前記スロット穴と同形状で同数の穴を形成したエンドリングを嵌合し、該スロット穴とエンドリング穴にコア部の軸方向の長さにエンドリングの厚さを加えた長さと略同じ長さの導体バーを挿入し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したことを特徴とする籠型誘導電動機用ロータ。
- 前記請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、
前記エンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを密着嵌合したことを特徴とする請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータ。 - 前記請求項1又は2に記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、
前記エンドリングの軸方向両外側に補強用のエンドリング押えを嵌合し、熱間等方加圧により拡散接合して一体化したことを特徴とする籠型誘導電動機用ロータ。 - 前記請求項1乃至4のいずれか1つに記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、
前記軸の外周の前記コア部が挿入される部分に軸方向に凹状溝を形成しておき、前記熱間等方加圧により該コア部が該凹状溝を埋めて一体化したことを特徴とする籠型誘導電動機用ロータ。 - 前記請求項1乃至5のいずれか1つに記載の籠型誘導電動機用ロータにおいて、
前記熱間等方加圧により一体化した籠型誘導電動機用ロータを熱処理してその機械的性質を改善したことを特徴とする籠型誘導電動機用ロータ。
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