JP3701413B2 - 籠型誘導電動機用ソリッドロータ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高速回転籠型誘導電動機用ソリッドロータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の籠型誘導電動機用ロータのコア部には珪素鋼板リングを積層してなる積層構造体を用いている。しかしながら、リングの積層構造体であるため高速回転用の電動機では内周にかかる回転応力が大きく、高速回転の電動機には適用できなかった。
【0003】
そこで高速回転用の籠型誘導電動機のロータとしてソリッドロータが製造されている。ソリッドロータの構成部材は、図4に示すように、磁性材であるコア部1と軸部2からなるロータ本体3、銅或いはアルミニウム合金等の良電気伝導材料が用いられる導体バー4及びエンドリング5、該エンドリング5を補強する非磁性高強度の材料からなるエンドリング押さえ6でできている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常銅或いはアルミニウム合金製のエンドリング5の強度は充分ではなく、回転応力で変形し易いこと、ソリッドロータでは交流磁束は表面近傍だけを通るため、導体バー4もコア部1の外周近傍に配置され、エンドリング5の外周もコア部1の径に近くなり、エンドリング押さえ6のエンドリング5を片持ち構造で外周から押さえ込む押え込み部6aの肉厚が充分に厚く取れないことの両方の理由で、エンドリング押さえ6で補強しても、エンドリング5の変形を押さえきれず、コア部1の端面近傍、導体バー4の差し込まれたスロット穴部に大きな応力が発生してしまい、充分高速化することができないという問題があった。
【0005】
また、これを解決するために、例えば特開平3−261354号公報に記載されているように、熱間等方加圧により拡散接合して一体化することが試みられている。熱間等方加圧による最適な拡散接合温度は材質により種々異なるが、ロータの構成材料には、銅、アルミニウム等融点の低い材料が含まれるため、熱間等方加圧を行なう温度を高くすることができず、充分な接合強度を得ることができないとう問題があった。
【0006】
より融点の高い純銅でも温度1080℃で融解するため、熱間等方加圧は実際のところ温度1050℃より低い温度で行なわざるを得ない。また、エンドリング押さえ6には、インコネル718等の非磁性の高強度ステンレス、高合金基合金が用いられるが、これらの合金では拡散係数が小さく、温度1050℃程度の温度では、コア部及び軸部との充分な接合強度が得られない。
【0007】
特に、マルテンサイト鋼であるコア部及び軸部の機械的性質の改善のために、焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理が必要となるが、熱膨脹差或いは変態時の格子歪みによる熱応力に耐える充分な強度を得るのは困難であった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記問題点を除去し、より高速化に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、磁性体からなり多数のスロット穴が形成されコア部を有するロータ本体を具備し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータにおいて、導体バーの長さとコア部の長さを略等しくし、エンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサをろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合し、該ロータ本体とエンドリング押さえでエンドリング及び導体バーを完全に閉じ込めたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、磁性体からなり多数のスロット穴が形成されコア部を有するロータ本体を具備し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータにおいて、導体バーの長さとコア部の長さにエンドリングの厚さ分を加えた長さに略等しくし、エンドリングにコア部のスロット穴と同形状及び同数の穴を設け、導体バーを該エンドリング穴及びコア部のスロット穴を通して挿入し、エンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合し、該ロータ本体とエンドリング押さえでエンドリング及び導体バーを完全に閉じ込めたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、多数のスロット穴が形成されたコア部を有するロータ本体を磁性体から削りだして製作し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法において、エンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサを高温でろう付け又は高温で拡散接合し、その後該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に前記ろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度で熱間等方加圧により拡散接合したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法において、薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合した後、熱処理を行ないその機械的性質を改善したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は請求項1に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造を示す断面図である。図示するように、籠型誘導電動機用ソリッドロータは磁性体からなる丸棒を削り出して製作したコア部1と軸部2からなるロータ本体3を具備し、コア部1のスロット穴(図示せず)にアルミニウム合金等の良電気伝導性材料からなる導体バー4を挿入し、該コア部1の両側にエンドリング5を嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえ6を嵌合した構造である。
【0014】
前記導体バー4の長さとコア部1の長さを略等しくし、エンドリング押さえ6のロータ本体3(コア部1と軸部2)との接触部にロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を後述するようにろう付け又は拡散接合により接合し、薄肉スペーサ8を接合したエンドリング押さえ6をロータ本体3に熱間等方加圧により拡散接合し、ロータ本体3とエンドリング押さえ6でエンドリング5及び導体バー4を完全に閉じ込めている。
【0015】
図2は上記籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法を説明するための図で、エンドリング押さえ6の一部を示す。エンドリング押さえ6はインコネル716材からなり、そのロータ本体3(コア部1と軸部2)との接触部に図2(a)に示すように、ロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を高温Niろう付け又は拡散接合7(ろう付け温度1000℃以上、拡散接合温度1050〜1300℃)により接合する。
【0016】
その後、該薄肉スペーサ8を接合したエンドリング押さえ6を図2(b)に示すように、ロータ本体3に前記ろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度(950℃〜1050℃)で熱間等方加圧により拡散接合することにより、図1に示す断面構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータとなる。その後、焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理を行なう。
【0017】
上記のように本籠型誘導電動機用ソリッドロータは、エンドリング押さえ6とロータ本体3とが、高温ろう付け或いは拡散接合と熱間等方加圧による拡散接合の組み合わせで強固に接合されているため、エンドリング5及び導体バー4の籠型導体は完全にロータの中に閉じ込められる形となり、変形を押さえこんでコア部1にかかる応力を大幅に低減することができ、より高速回転が可能となる。
【0018】
また、エンドリング押さえ6とロータ本体3の接合性を改善するため、エンドリング押さえ6のロータ本体との接触部に、予めロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を、後に行なう熱間等方加圧により拡散接合(950℃〜1050℃)より高い高温でNiろう付け又は拡散接合7により接合しておき、熱間等方加圧時には、ロータ本体3とエンドリング押さえ6はロータ本体3の材料同士或いはそれに近い組成の鋼との組み合わせで拡散接合するようにしている。
【0019】
つまり、エンドリング押さえ6とロータ本体3の接合部の構成は、エンドリング押さえ6を構成するインコネル718材/高温ろう付け又は拡散接合部/ロータ本体3を構成する材料(又はそれに近い組成の材料)からなる薄肉スペーサ8/熱間等方加圧による拡散接合部/ロータ本体3を構成する材料となる。インコネル718材からなるエンドリング押さえ6とロータ本体3と同じ材料の薄肉スペーサ8は、例えば1050℃〜1300℃の高温でNiろう付けや拡散接合、液相拡散接合で接合されるため、充分な強度が得られる。この2段階処理により、エンドリング押さえ6とロータ本体3は強固に接合され、一体化する。
【0020】
この接合によれば、熱処理による熱応力にも充分耐えうるたる、軸部2とコア部1の機械的性質を改善するための焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理も施行でき、高強度の一体ロータが製造できる。また、熱処理後でも、接合強度は70kgf/mm2を越えることが確認された。
【0021】
エンドリング押さえ6とコア部1の端面が接合し、エンドリング5及び導体バー4の籠型導体は完全にロータ本体3の中に閉じ込められた形となり、変形が押さえ込まれて、コア部1にかかる応力は大幅に低減される。これにより、より高速回転に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータが製作できる。
【0022】
図3は請求項2に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造を示す断面図である。図示するように、籠型誘導電動機用ソリッドロータは磁性体からなる丸棒を削り出して製作したコア部1と軸部2からなるロータ本体3を具備する。導体バー4の長さはコア部1の長さにエンドリング5の厚さ分を加えた長さに略等しくし、エンドリング5にコア部1のスロット穴と同形状及び同数の穴を設けている。
【0023】
導体バー4をエンドリング5の穴及びコア部1のスロット穴を通して挿入し、エンドリング押さえ6のロータ本体3(コア部1と軸部2)との接触部にロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を上記と同様ろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサ8を接合したエンドリング押さえ6を上記と同様ロータ本体3に熱間等方加圧により拡散接合し、ロータ本体3とエンドリング押さえ6でエンドリング5及び導体バー4を完全に閉じ込めている。
【0024】
このようにして製作した、図3に示す構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータも図1に示す構造と同様、エンドリング押さえ6とロータ本体3は強固に接合され、熱処理による熱応力にも充分耐え、軸部2とコア部1の機械的性質を改善するための焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理も施行できる。また、熱処理後の接合強度は70kgf/mm2を越えることが確認された。また、エンドリング押さえ6とコア部1の端面が接合し、エンドリング5及び導体バー4の籠型導体は完全にロータ本体3の中に閉じ込められ、コア部1にかかる応力は大幅に低減される。
【0025】
なお、上記実施の形態例では、ロータ本体3は磁性体から削り出し、コア部1と軸部2を一体的構造としているが、コア部1と軸部2を別々に製作し、両者を熱間等方加圧により拡散接合した構造としてもよい。
【0026】
【発明の効果】
(1)以上説明したように請求項1又は請求項2に記載の発明によればエンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサをろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合するので、エンドリング押さえとロータ本体は強固に接合され、エンドリング及び導体バーの籠型導体は完全にロータ本体の中に閉じ込められた形となり、コア部にかかる応力は大幅に低減される。その結果、より高速化に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータとなる。
【0027】
(2)また、請求項3又は請求項4に記載の発明によれば、薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体にろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度で熱間等方加圧により拡散接合したので、上記の高速化に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータを製作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造例を示す断面図である。
【図4】従来の籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コア部
2 軸部
3 ロータ本体
4 導体バー
5 エンドリング
6 エンドリング押さえ
7 Niろう付け又は拡散接合
8 薄肉スペーサ
【発明の属する技術分野】
本発明は高速回転籠型誘導電動機用ソリッドロータ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の籠型誘導電動機用ロータのコア部には珪素鋼板リングを積層してなる積層構造体を用いている。しかしながら、リングの積層構造体であるため高速回転用の電動機では内周にかかる回転応力が大きく、高速回転の電動機には適用できなかった。
【0003】
そこで高速回転用の籠型誘導電動機のロータとしてソリッドロータが製造されている。ソリッドロータの構成部材は、図4に示すように、磁性材であるコア部1と軸部2からなるロータ本体3、銅或いはアルミニウム合金等の良電気伝導材料が用いられる導体バー4及びエンドリング5、該エンドリング5を補強する非磁性高強度の材料からなるエンドリング押さえ6でできている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常銅或いはアルミニウム合金製のエンドリング5の強度は充分ではなく、回転応力で変形し易いこと、ソリッドロータでは交流磁束は表面近傍だけを通るため、導体バー4もコア部1の外周近傍に配置され、エンドリング5の外周もコア部1の径に近くなり、エンドリング押さえ6のエンドリング5を片持ち構造で外周から押さえ込む押え込み部6aの肉厚が充分に厚く取れないことの両方の理由で、エンドリング押さえ6で補強しても、エンドリング5の変形を押さえきれず、コア部1の端面近傍、導体バー4の差し込まれたスロット穴部に大きな応力が発生してしまい、充分高速化することができないという問題があった。
【0005】
また、これを解決するために、例えば特開平3−261354号公報に記載されているように、熱間等方加圧により拡散接合して一体化することが試みられている。熱間等方加圧による最適な拡散接合温度は材質により種々異なるが、ロータの構成材料には、銅、アルミニウム等融点の低い材料が含まれるため、熱間等方加圧を行なう温度を高くすることができず、充分な接合強度を得ることができないとう問題があった。
【0006】
より融点の高い純銅でも温度1080℃で融解するため、熱間等方加圧は実際のところ温度1050℃より低い温度で行なわざるを得ない。また、エンドリング押さえ6には、インコネル718等の非磁性の高強度ステンレス、高合金基合金が用いられるが、これらの合金では拡散係数が小さく、温度1050℃程度の温度では、コア部及び軸部との充分な接合強度が得られない。
【0007】
特に、マルテンサイト鋼であるコア部及び軸部の機械的性質の改善のために、焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理が必要となるが、熱膨脹差或いは変態時の格子歪みによる熱応力に耐える充分な強度を得るのは困難であった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記問題点を除去し、より高速化に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、磁性体からなり多数のスロット穴が形成されコア部を有するロータ本体を具備し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータにおいて、導体バーの長さとコア部の長さを略等しくし、エンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサをろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合し、該ロータ本体とエンドリング押さえでエンドリング及び導体バーを完全に閉じ込めたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、磁性体からなり多数のスロット穴が形成されコア部を有するロータ本体を具備し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータにおいて、導体バーの長さとコア部の長さにエンドリングの厚さ分を加えた長さに略等しくし、エンドリングにコア部のスロット穴と同形状及び同数の穴を設け、導体バーを該エンドリング穴及びコア部のスロット穴を通して挿入し、エンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合し、該ロータ本体とエンドリング押さえでエンドリング及び導体バーを完全に閉じ込めたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、多数のスロット穴が形成されたコア部を有するロータ本体を磁性体から削りだして製作し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法において、エンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサを高温でろう付け又は高温で拡散接合し、その後該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に前記ろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度で熱間等方加圧により拡散接合したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法において、薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合した後、熱処理を行ないその機械的性質を改善したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は請求項1に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造を示す断面図である。図示するように、籠型誘導電動機用ソリッドロータは磁性体からなる丸棒を削り出して製作したコア部1と軸部2からなるロータ本体3を具備し、コア部1のスロット穴(図示せず)にアルミニウム合金等の良電気伝導性材料からなる導体バー4を挿入し、該コア部1の両側にエンドリング5を嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえ6を嵌合した構造である。
【0014】
前記導体バー4の長さとコア部1の長さを略等しくし、エンドリング押さえ6のロータ本体3(コア部1と軸部2)との接触部にロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を後述するようにろう付け又は拡散接合により接合し、薄肉スペーサ8を接合したエンドリング押さえ6をロータ本体3に熱間等方加圧により拡散接合し、ロータ本体3とエンドリング押さえ6でエンドリング5及び導体バー4を完全に閉じ込めている。
【0015】
図2は上記籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法を説明するための図で、エンドリング押さえ6の一部を示す。エンドリング押さえ6はインコネル716材からなり、そのロータ本体3(コア部1と軸部2)との接触部に図2(a)に示すように、ロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を高温Niろう付け又は拡散接合7(ろう付け温度1000℃以上、拡散接合温度1050〜1300℃)により接合する。
【0016】
その後、該薄肉スペーサ8を接合したエンドリング押さえ6を図2(b)に示すように、ロータ本体3に前記ろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度(950℃〜1050℃)で熱間等方加圧により拡散接合することにより、図1に示す断面構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータとなる。その後、焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理を行なう。
【0017】
上記のように本籠型誘導電動機用ソリッドロータは、エンドリング押さえ6とロータ本体3とが、高温ろう付け或いは拡散接合と熱間等方加圧による拡散接合の組み合わせで強固に接合されているため、エンドリング5及び導体バー4の籠型導体は完全にロータの中に閉じ込められる形となり、変形を押さえこんでコア部1にかかる応力を大幅に低減することができ、より高速回転が可能となる。
【0018】
また、エンドリング押さえ6とロータ本体3の接合性を改善するため、エンドリング押さえ6のロータ本体との接触部に、予めロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を、後に行なう熱間等方加圧により拡散接合(950℃〜1050℃)より高い高温でNiろう付け又は拡散接合7により接合しておき、熱間等方加圧時には、ロータ本体3とエンドリング押さえ6はロータ本体3の材料同士或いはそれに近い組成の鋼との組み合わせで拡散接合するようにしている。
【0019】
つまり、エンドリング押さえ6とロータ本体3の接合部の構成は、エンドリング押さえ6を構成するインコネル718材/高温ろう付け又は拡散接合部/ロータ本体3を構成する材料(又はそれに近い組成の材料)からなる薄肉スペーサ8/熱間等方加圧による拡散接合部/ロータ本体3を構成する材料となる。インコネル718材からなるエンドリング押さえ6とロータ本体3と同じ材料の薄肉スペーサ8は、例えば1050℃〜1300℃の高温でNiろう付けや拡散接合、液相拡散接合で接合されるため、充分な強度が得られる。この2段階処理により、エンドリング押さえ6とロータ本体3は強固に接合され、一体化する。
【0020】
この接合によれば、熱処理による熱応力にも充分耐えうるたる、軸部2とコア部1の機械的性質を改善するための焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理も施行でき、高強度の一体ロータが製造できる。また、熱処理後でも、接合強度は70kgf/mm2を越えることが確認された。
【0021】
エンドリング押さえ6とコア部1の端面が接合し、エンドリング5及び導体バー4の籠型導体は完全にロータ本体3の中に閉じ込められた形となり、変形が押さえ込まれて、コア部1にかかる応力は大幅に低減される。これにより、より高速回転に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータが製作できる。
【0022】
図3は請求項2に記載の発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造を示す断面図である。図示するように、籠型誘導電動機用ソリッドロータは磁性体からなる丸棒を削り出して製作したコア部1と軸部2からなるロータ本体3を具備する。導体バー4の長さはコア部1の長さにエンドリング5の厚さ分を加えた長さに略等しくし、エンドリング5にコア部1のスロット穴と同形状及び同数の穴を設けている。
【0023】
導体バー4をエンドリング5の穴及びコア部1のスロット穴を通して挿入し、エンドリング押さえ6のロータ本体3(コア部1と軸部2)との接触部にロータ本体3と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサ8を上記と同様ろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサ8を接合したエンドリング押さえ6を上記と同様ロータ本体3に熱間等方加圧により拡散接合し、ロータ本体3とエンドリング押さえ6でエンドリング5及び導体バー4を完全に閉じ込めている。
【0024】
このようにして製作した、図3に示す構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータも図1に示す構造と同様、エンドリング押さえ6とロータ本体3は強固に接合され、熱処理による熱応力にも充分耐え、軸部2とコア部1の機械的性質を改善するための焼きならし或いは焼き入れ、焼き戻し等の熱処理も施行できる。また、熱処理後の接合強度は70kgf/mm2を越えることが確認された。また、エンドリング押さえ6とコア部1の端面が接合し、エンドリング5及び導体バー4の籠型導体は完全にロータ本体3の中に閉じ込められ、コア部1にかかる応力は大幅に低減される。
【0025】
なお、上記実施の形態例では、ロータ本体3は磁性体から削り出し、コア部1と軸部2を一体的構造としているが、コア部1と軸部2を別々に製作し、両者を熱間等方加圧により拡散接合した構造としてもよい。
【0026】
【発明の効果】
(1)以上説明したように請求項1又は請求項2に記載の発明によればエンドリング押さえのロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサをろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合するので、エンドリング押さえとロータ本体は強固に接合され、エンドリング及び導体バーの籠型導体は完全にロータ本体の中に閉じ込められた形となり、コア部にかかる応力は大幅に低減される。その結果、より高速化に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータとなる。
【0027】
(2)また、請求項3又は請求項4に記載の発明によれば、薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体にろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度で熱間等方加圧により拡散接合したので、上記の高速化に適した籠型誘導電動機用ソリッドロータを製作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明に係る籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造例を示す断面図である。
【図4】従来の籠型誘導電動機用ソリッドロータの構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 コア部
2 軸部
3 ロータ本体
4 導体バー
5 エンドリング
6 エンドリング押さえ
7 Niろう付け又は拡散接合
8 薄肉スペーサ
Claims (4)
- 磁性体からなり多数のスロット穴が形成されコア部を有するロータ本体を具備し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータにおいて、
前記導体バーの長さと前記コア部の長さを略等しくし、前記エンドリング押さえの前記ロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサをろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえを前記ロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合し、該ロータ本体とエンドリング押さえでエンドリング及び導体バーを完全に閉じ込めたことを特徴とする籠型誘導電動機用ソリッドロータ。 - 磁性体からなり多数のスロット穴が形成されコア部を有するロータ本体を具備し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した構造の籠型誘導電動機用ソリッドロータにおいて、
前記導体バーの長さは前記コア部の長さにエンドリングの厚さ分を加えた長さに略等しくし、前記エンドリングに前記コア部のスロット穴と同形状及び同数の穴を設け、前記導体バーを該エンドリング穴及びコア部のスロット穴を通して挿入し、前記エンドリング押さえの前記ロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサをろう付け又は拡散接合により接合し、該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合し、該ロータ本体とエンドリング押さえでエンドリング及び導体バーを完全に閉じ込めたことを特徴とする籠型誘導電動機用ソリッドロータ。 - 多数のスロット穴が形成されたコア部を有するロータ本体を磁性体から削りだして製作し、該コア部のスロット穴に導体バーを挿入し、該コア部の両側にエンドリングを嵌合し、更にその軸方向両外側にエンドリング押さえを嵌合した籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法において、
前記エンドリング押さえの前記ロータ本体との接触部に該ロータ本体と同じ材料又はそれに近い組成の材料からなる薄肉スペーサを高温でろう付け又は高温で拡散接合し、その後該薄肉スペーサを接合したエンドリング押さえをロータ本体に前記ろう付け温度又は拡散接合温度より低い温度で熱間等方加圧により拡散接合したことを特徴とする籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法。 - 請求項3に記載の籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法において、
前記薄肉スペーサを接合した前記エンドリング押さえを前記ロータ本体に熱間等方加圧により拡散接合した後、熱処理を行ないその機械的性質を改善したことを特徴とする籠型誘導電動機用ソリッドロータの製造方法。
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