JP3700117B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,優れた発色画像の保存安定性を有し,かつ発色感度にも優れた感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に,感熱記録体は通常無色ないし淡色の塩基性無色染料とフェノ−ル性化合物等の有機顕色剤とを,それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後,両者を混合し,バインダ−,充填剤,感度向上剤,滑剤及びその他の助剤を添加して得られた塗料を,紙,合成紙,フィルム,プラスチック等の支持体に塗工したものであり,サ−マルヘッド,ホットスタンプ,熱ペン,レ−ザ−光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し,記録画像が得られる。感熱記録体は,ファクシミリ,コンピュ−タ−の端末プリンタ−,自動券売機,計測用レコ−ダ−等に広範囲に使用されている。近年,記録装置の多様化や高性能化の進展に伴って高速印字及び高速の画像形成も可能となってきており,感熱記録体の記録感度に対してより優れた品質が求められている。
この要求を満たす方法として,染料と顕色剤にさらに増感剤を併用することが提案されている。例えば顕色剤がビスフェノ−ルAに代表されるフェノ−ル系化合物からなる場合,p−ベンジルビフェニル(特開昭60−82382号),p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル(特開昭57−201691号),ベンジルナフチルエ−テル(特開昭58−87094号)等が好適な増感剤として使用されている。増感剤を用いた場合,加熱されるとまず増感剤が溶融し,それが塩基性染料及び顕色剤を溶かし込むことによって両者が分子レベルで混じり合い発色反応が誘発されるので,用いる増感剤と塩基性染料や顕色剤についての検討が重要となる。
とりわけ増感剤等で記録感度を向上させた場合,記録画像の保存安定性が維持できないことが多い。具体的には,皮脂成分が付着したり,塩ビフィルム等のラップフィルムに含まれる可塑剤(DOP,DOA等)と接触すると画像濃度の著しい低下や消色が起こる等の欠点が依然として残されていた。更に近年にいたっては,記録画像に信頼性を必要とされるラベル等の分野への使用が増加するに伴い,包装材等に含まれる可塑剤,油脂類等に対して高い保存安定性を示す記録材料が求められている。これまで,様々な染料,顕色剤,或いは保存安定剤等種々の助剤を使用した感熱記録体の提案がなされているが,充分に満足できるものは見出されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は,可塑剤等に対する高い安定性を有するとともに,記録感度を大幅に向上させた感熱記録体を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記性能を有する感熱記録体を開発するために鋭意検討を重ねた結果、ウレアウレタン化合物を顕色剤として用い、これにアミノスルホニル基(−SO2NH2)を有する芳香族化合物を増感剤として用いることにより、記録感度を大幅に向上させることに成功し本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の塩基性無色染料と有機顕色剤とを主成分として含有する感熱発色層を設けた感熱記録体において、該感熱発色層が有機顕色剤として下記一般式(1)で表されるウレアウレタン化合物を含有し、かつ下記式(2−2)及び式(2−4)で表される化合物を少なくとも1種類含有することにより達成された。
【0005】
【化3】
【0006】
【化4】
一般式(1)で表される顕色剤に対して式(2−2)及び式(2−4)で表される化合物が増感剤として有効であるのは、両者ともにスルホニル基を有しているために相溶性が良く、さらに式(2−2)及び式(2−4)で表される化合物が熱によって融解した際の溶剤として作用することに起因しているものと推察される。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般に感熱記録体は,無色ないし淡色の塩基性染料と顕色剤とをバインダーと共に各々分散し,必要に応じて増感剤や填料,紫外線吸収剤,耐水化剤及び消泡剤等の助剤を添加して塗料を調製し,これを支持体上に塗布,乾燥することによって製造される。
本発明では,一般式(1)によって表される少なくとも1種類のウレアウレタン化合物を有機顕色剤として用いる。一般式(1)で表される化合物としては、具体的に以下に例示することが出来る。
【0008】
【化5】
本発明では、増感剤として式(2−2)式(2−4)によって表される少なくとも1種類の化合物を用いる。
【0014】
また、本発明では式(2−2)式及び(2−4)で表される化合物の2種類以上を分子レベルで混合して用いることも可能である。本発明でいう分子レベルでの混合とは、両者の分散液を単に混合したり、あるいは分散時に両者の粉体を混合分散するような、粒子レベルでの混合とは異なる方法によって得られるものである。すなわち、本発明における分子レベル混合物は、両者を熱溶融し混合物を得る方法、溶剤に溶解させた後混合物を析出させ混合物を得る方法、または式(2−2)式及び(2−4)の化合物の合成後そのまま混合物を析出させる方法などによって調製される。例えば、本発明で使用される(2−2)の融点は約154〜156℃であり、(2−4)の融点は約136〜138℃である。そして両者の分子レベル混合物は共融点効果によって溶融温度が低くなり、優れた増感効果が得られる。溶融温度は両者の混合比によって変化し、特に(2−2)と(2−4)との混合重量比が35:65〜45:55の範囲であると、これらの分子レベル混合物の融解温度はおよそ100℃〜110℃近くまで下がり、極めて高い増感効果が得られる。本発明において、式(2−2)式及び(2−4)で表される増感剤の含有量は、一般式(1)で表される顕色剤1部に対して少なすぎると増感効果が充分ではなく、多すぎても充分な発色濃度が得られない。本発明では、一般式(2)で表される増感剤は、一般式(1)で表される顕色剤1部に対して0.01〜2部の割合で使用することが望ましい。本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0015】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド
〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアニリノフルオラン
【0016】
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−n−ジペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
【0017】
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン
3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン
2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
【0018】
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6´−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3´−フタリド〕
3,6,6´−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3´−フタリド〕
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0019】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3´−ニトロ)アニリノラクタム
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4´−ニトロ)アニリノラクタム
1,1−ビス−〔2´,2´,2",2"−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2",2"−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン
1,1−ビス−〔2´,2´,2",2"−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン
ビス−〔2,2,2´,2´−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0020】
本発明においては,上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で,無色ないし淡色の塩基性染料を発色させる従来公知の顕色剤を併用することができる。ただし,極めて少量の添加が望ましく,一般式(1)で表される化合物に対し従来公知の顕色剤は0.01〜0.9部程度である。かかる顕色剤としては,例えば,特開平3−207688号,特開平5−24366号公報等に記載のビスフェノールA類,4−ヒドロキシ安息香酸エステル類,4−ヒドロキシフタル酸ジエステル類,フタル酸モノエステル類,ビス−(ヒドロキシフェニル)スルフィド類,4−ヒドロキシフェニルアリールスルホン類,4−ヒドロキシフェニルアリールスルホナート類,1,3−ジ[2−(ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]−ベンゼン類,4−ヒドロキシベンゾイルオキシ安息香酸エステル,ビスフェノールスルホン類が例示される。
本発明においては,上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で,従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては,ステアリン酸アミド,パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド,エチレンビスアミド,モンタン酸ワックス,ポリエチレンワックス,1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン,p−ベンジルビフェニル,β−ベンジルオキシナフタレン,4−ビフェニル−p−トリルエーテル,m−ターフェニル,1,2−ジフェノキシエタン,4,4′−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル,ジベンゾイルオキシメタン,1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン,1,2−ジフェノキシエチレン,ビス〔2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル〕エーテル,p−ニトロ安息香酸メチル,シュウ酸ジベンジル,シュウ酸ジ(p−クロロベンジル),シュウ酸ジ(p−メチルベンジル),テレフタル酸ジベンジル,p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル,ジ−p−トリルカーボネート,フェニル−α−ナフチルカーボネート,1,4−ジエトキシナフタレン,1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル,o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル),4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニルを例示することができるが,特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は,単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0021】
本発明で使用するバインダーとしては,重合度が200〜1900の完全ケン化ポリビニルアルコール,部分ケン化ポリビニルアルコール,カルボキシ変性ポリビニルアルコール,アマイド変性ポリビニルアルコール,スルホン酸変性ポリビニルアルコール,ブチラール変性ポリビニルアルコール,その他の変性ポリビニルアルコール,ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,スチレン−無水マレイン酸共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロール,アセチルセルロースのようなセルロース誘導体,ポリ塩化ビニル,ポリ酢酸ビニル,ポリアクリルアミド,ポリアクリル酸エステル,ポリビニルブチルラールポリスチロースおよびそれらの共重合体,ポリアミド樹脂,シリコン樹脂,石油樹脂,テルペン樹脂,ケトン樹脂,クマロ樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は水,アルコール,ケトン,エステル,炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか,水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し,要求品質に応じて併用することも出来る。また,本発明においては,上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で,記録画像の耐油性効果等を示す画像安定剤として,
4,4′−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)
2,2′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチル−4,4′−スルホニルジフェノール
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
等を添加することもできる。
【0022】
本発明で使用する填料としては,シリカ,炭酸カルシウム,カオリン,焼成カオリン,ケイソウ土,タルク,酸化チタン,水酸化アルミニウムなどの無機または有機充填剤などが挙げられる。このほかに脂肪酸金属塩などの離型剤,ワックス類などの滑剤,ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤,グリオキザールなどの耐水化剤,分散剤,消泡剤,酸化防止剤,蛍光染料等を使用することができる。
本発明の感熱記録体に使用する顕色剤及び染料の量,その他の各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され,特に限定されるものではないが,通常,一般式(1)で表される顕色剤1部に対して,塩基性無色染料0.1〜2部,一般式(2)で表される化合物0.01〜2部,填料0.5〜4部を使用し,バインダーは全固形分中5〜25%が適当である。
上記組成から成る塗液を紙,合成紙,フィルム,プラスチック等任意の支持体に塗布することによって目的とする感熱記録シートが得られる。さらに,保存性を高める目的で高分子物質等のオーバーコート層を感熱発色層上に設けることもできる。前述の有機顕色剤,塩基性無色染料並びに必要に応じて添加する材料はボールミル,アトライター,サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し,バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。さらに,発色感度を高める目的で填料を含有した高分子物質等のアンダーコート層を感熱層下に設けることもできる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の感熱記録体を実施例によって説明する。尚、説明中、部及び%は、特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を表す。
【0024】
実施例1、2
実施例1、2は、本発明の感熱記録体に、顕色剤として化合物(1−1)または(1−2)、塩基性無色染料として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2)、増感剤として化合物(2−2)を使用した例である。
下記配合の顕色剤の分散液(A液)と塩基性無色染料分散液(B液)及び増感剤分散液(C液)をそれぞれ別にサンドグラインダーで平均粒子径1ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
上記各塗布液を50g/m2の基紙の片面に塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理し、塗布量6.0g/m2の感熱記録体を得た。
【0025】
実施例3、4
実施例3、4は、顕色剤として化合物(1−1)、塩基性無色染料として下記に示す塩基性無色染料、増感剤として化合物(2−2)を使用した例である。
(塩基性無色染料)
ODB:3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(実施例3)
S−205:3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(実施例4)
実施例1と同様にして化合物(1−1)の顕色剤分散液及び化合物(2−2)の増感剤分散液を処理した。塩基性無色染料分散液(D液)は、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒径1ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
D液(塩基性無色染料分散液)
前記の塩基性無色染料 2.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 4.6部
水 2.6部
次いで下記の割合で分散液を混合、攪拌し、塗布液を調製した。
A液(化合物(1−1)の顕色剤分散液) 36.0部
D液(塩基性無色染料分散液) 9.2部
C液(増感剤[化合物(2−2)]分散液) 34.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
上記各塗布液を50g/m2の基紙の片面に塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理し、塗布量6.0g/m2の感熱記録体を得た。
【0026】
実施例5
実施例5は、顕色剤として化合物(1−1)、塩基性無色染料としてODB−2、増感剤として化合物(2−4)を使用した例である。
実施例1と同様にして化合物(1−1)の顕色剤分散液及びODB−2分散液を処理し、化合物(2−4)は化合物(2−2)と同様にして分散液(E液)を得た。
次いで下記の割合で分散液を混合、攪拌し、塗布液を調製した。
A液(化合物(1−1)の顕色剤分散液) 36.0部
B液(塩基性無色染料[ODB−2]分散液) 9.2部
E液(増感剤分散液) 34.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
上記各塗布液を50g/m2の基紙の片面に塗布した後、乾燥を行い、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜600秒になるように処理し、塗布量6.0g/m2の感熱記録体を得た。
【0027】
比較例1
実施例1と同様の操作を行った。但し、発色層の形成において、実施例1〜4で用いた分散液Cを混合しなかった。
【0028】
比較例2
実施例1と同様の操作を行った。但し、分散液Cの調製に当たり、化合物(2−2)の代わりにp−ベンジルビフェニル(PBB)を用いた。
【0029】
比較例3
比較例3は、実施例1で用いた顕色剤としての化合物(1−1)を4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン(別名:D−8)に置き換えた例である。
以上の実施例及び比較例の組成を表1にまとめて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
<感熱記録体の評価>
作製した感熱記録体について、大倉電気社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.30及び0.38mj/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した(表1及び表2参照)。
<耐可塑剤性の評価>
紙管に塩ビラップ(三井東圧製ハイラップKMA)を1重に巻き付け、この上に前記プリンター(0.38mj/dot)により記録した感熱記録体を貼り付け、更にこの上に塩ビラップを3重に巻き付けたものを40℃24時間放置した後、画像部のマクベス濃度を測定した。これらの評価結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
前記の表1及び表2から明らかなように、一般式(1)で表される化合物を顕色剤とする場合、一般式(2)で表される化合物を併用すると高い記録感度が示される。一方、他の増感剤を用いた比較例2では、充分な発色能力が得られておらず、一般式(2)で表される化合物が顕著な増感効果を有することがわかる。また、他の顕色剤を用いた比較例3で見られる、塩ビラップに含有される可塑剤に接触による記録画像の劣化は、一般式(1)で表される化合物を顕色剤とした場合、殆どみられない。
【0033】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は、耐可塑剤性などの画像安定性に優れるとともに、発色感度が高く記録画像が良好なものとなっている。従って、微小なエネルギーでも高感度で鮮明な画像が得られるので高速印刷や印加エネルギーの小さい機器にも適し実用性が高い。
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