JP3700074B2 - 場所打杭の鉄筋建込み装置と建込み方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、場所打杭を打設する際のフレキシブル鉄筋及び帯鉄筋の建込装置と建込方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地上において、予め組立てられた鉄筋籠を、場所打杭を打設する場所で吊り下げ、鉄筋籠をジョイントしながら削孔内に建込む方法が従来行われている。
しかしこれら従来の方法においては、以下の問題がある。
▲1▼工事現場により、杭頭の上部空間が少なく、鉄筋籠の長さを短くしなければならず、そのためジョイント箇所が多くなり、施工性が低下する。
▲2▼ジョイント箇所が多くなるため、構造上の弱点となる。
▲3▼工事現場により、鉄筋籠を置くスペースが無いため、別の場所から運搬する移動時間、手間がかかる。
これらの問題を解決するため、フレキシブル鉄筋を使用した方法があるが、この方法においても、以下の問題がある。
▲1▼鉄筋籠は、建込みと同時に加工する必要があるため、帯鉄筋の取付けに時間がかかり、施工性が低下する。
▲2▼鉄筋籠は、建込みと同時に加工する必要があるため、帯鉄筋の仮置き場所が施工場所近くに必要である。
▲3▼帯鉄筋を取付けるスペースを、建込み装置内に確保する必要があるため、建込み架台が大型化して不経済である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、簡単な方法により、作業性のよい、高品質の場所打杭を構築できる場所打杭の鉄筋建込み装置と建込み方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
【請求項1】
本発明は、フレキシブル鉄筋と帯鉄筋の建て込み装置であって、施工基盤に設置した建て込み架台と、建て込み架台に取り付けた建て込み装置と、先行して建て込んだ帯鉄筋群の内部空間に建て込むフレキシブル鉄筋群の下端を縮径する下部フレームとより構成したことを特徴とする、場所打杭の鉄筋建て込み装置である。
また本発明は、場所打杭に使用するフレキシブル鉄筋と帯鉄筋の建込方法であって、所定深度まで掘削した削孔内に、帯鉄筋を先行建込みする工程と、帯鉄筋内部空間に、縮径したフレキシブル鉄筋群を建込みする工程と、縮径した状態で建込まれたフレキシブル鉄筋群が、建込み完了後、拡径され、帯鉄筋内周面に配置される工程とにより構成されることを特徴とする、場所打杭の鉄筋建込み方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0006】
<イ>全体構成
図1は、本発明による場所打杭の鉄筋建込み装置全体を示す断面図である。
施工基盤G上に設置した建込み架台1と、建込み架台1に取付けた建込み装置2と、フレキシブル鉄筋3の下端を縮径する下部フレーム4により構成される。
【0007】
<ロ>建込み架台
建込み架台1は、場所打杭の施工基盤G面上に設置され、建込み架台1の中心は、削孔Hの中心と一致するように配置される。
建込み架台1の上部には建込み装置2が配置、固定されている。
【0008】
<ハ>建込み装置
図2は、建込み装置2の斜視図である。
建込み装置2は、フレキシブル鉄筋3を所定間隔に挿通させるガイド孔5を有する上部フレーム6と、フレキシブル鉄筋3を縮径、拡径させるための伸縮リング7と、上部フレーム6と伸縮リング7を連結する連結材8により構成される。
【0009】
▲1▼上部フレーム
図3は、上部フレーム6に設けたガイド孔5の拡大断面図である。
上部フレーム6を貫通したガイド孔5には、その上面、下面に、ラッパ状に拡径したガイド片9が固定されており、ガイド孔5を通過するフレキシブル鉄筋3を傷付けないように構成している。
【0010】
▲2▼伸縮リング
図4は、伸縮リング7の伸縮ジョイント7a部分を示す拡大断面図である。
伸縮リング7は複数個のリング71に分割され、伸縮ジョイント7a部分の端部にフランジ72を設け、フランジ72を貫通するボルト73、ナット74が取付けてある。
ボルト73は伸縮ジョイント7a部分を境に、左右で逆ネジ加工されている。
【0011】
▲3▼連結材
図2において、連結材8は上部フレーム6と伸縮リング7を所定間隔あけて連結するものであり、連結手段、材料等は任意のものを選択すればよい。
【0012】
<ニ>下部フレーム
図5は、下部フレーム4の斜視図である。
下部フレーム4は、帯鋼板41と、任意の方法により帯鋼板41に固定された回収ワイヤ42により構成されている。
帯鋼板41には、フレキシブル鉄筋3を切欠き部43の横方向から挿通させる挿通孔44を所定本数設けている。
回収ワイヤ42は、下部フレーム4が削孔H底部に到達後、フレキシブル鉄筋3に沿って吊り上げ回収するためのもので、たとえば細径のワイヤ等でよい。
【0013】
【作用】
以下図面を参照して、場所打杭の鉄筋建込み方法を説明する。
【0014】
<イ>帯鉄筋の建込み
図6は、帯鉄筋10を削孔H底面まで建込んだ状態を示す断面図である。
帯鉄筋10は、一般に使用されているフープ筋またはスパイラルフープ筋のいずれでもよく、本実施例においてはフープ筋を使用した場合について説明する。
帯鉄筋10は、地上において予め所定間隔を保持する連結線11が複数本取り付けてあり、折り畳んだ状態の帯鉄筋10を施工基盤Gから削孔H底面まで建込むものである。
【0015】
<ロ>建込架台の設置
図1において、場所打杭を打設する削孔Hの施工基盤G上に、建込み架台1の中心と削孔Hの中心が一致するように建込架台1を設置する。
建込み架台1の上部には、建込み装置2が配置、固定されており、建込み架台1の中心と、建込み装置2の中心と、削孔Hの中心が一致するように設置されることになる。
この時、建込み装置2の伸縮リング7直径は、帯鉄筋10の直径よりも縮径にした状態としておく。
【0016】
<ハ>フレキシブル鉄筋の取付け
施工現場近くまで運搬されたフレキシブル鉄筋3の先端を、上部フレーム6のガイド孔5に挿通させ、さらに伸縮リング7の内側を通して、施工基盤G近くまで引き下げる。
引き下げられたフレキシブル鉄筋3群は、伸縮リング7が帯鉄筋10の直径よりも縮径にされているため、その状態を保ったまま、施工基盤G近くまで引き下げられることになる。
【0017】
<ニ>下部フレームの配置
前記により、全てのフレキシブル鉄筋3を施工基盤G近くまで引き下げた後、フレキシブル鉄筋3の先端から、下部フレーム4の挿通孔44に挿通させる。
下部フレーム4の下面に突出しているフレキシブル鉄筋3先端は、たとえばワイヤクリップ等を取り付け、フレキシブル鉄筋3の先端から下部フレーム4が抜け出さないようにしておく。
また、回収ワイヤ42を建込架台1上に引き伸ばしておく。
【0018】
<ホ>フレキシブル鉄筋の建込み
図7は、帯鉄筋10内を通って、縮径されたフレキシブル鉄筋3群が建込まれた状態を示す断面図である。
施工基盤G上に仮置きしたフレキシブル鉄筋3を削孔H内に送り込むと共に、任意の方法により吊り下げられてた下部フレーム4を降下させることにより、フレキシブル鉄筋3群は帯鉄筋10内を通って削孔H内に建込まれていく。
フレキシブル鉄筋3群の降下と共に、下部フレーム4の回収ワイヤ42も削孔H内に送り込まれる。
【0019】
<ヘ>下部フレームの回収、伸縮リングの拡径
フレキシブル鉄筋3群が掘削底面に到達後、回収ワイヤ42を引上げ、下部フレーム4を地上に回収する。(図7)
下部フレーム4をフレキシブル鉄筋3から撤去するには、下部フレーム4の切欠き部43からフレキシブル鉄筋3を横方向に引き出すことにより、簡単に撤去出来る。(図5)
図8は、伸縮リング7を拡径し、フレキシブル鉄筋3が帯鉄筋10の内周面に配置された状態を示す断面図である。
下部フレーム4を撤去後、伸縮リング7のナット74をゆるめることにより、伸縮リング7は帯鉄筋10の直径と同じになるまで拡径される。
伸縮リング7の拡径により、フレキシブル鉄筋3は帯鉄筋10の内周面に接近し、その自重により所定間隔に配置される。
【0020】
<ト>建込架台の撤去、フレキシブル鉄筋、連結線の切断
図9は、鉄筋籠状に形成されたフレキシブル鉄筋3及び帯鉄筋10の建込み完成断面図である。
建込み完了後、帯鉄筋10を所定間隔に保持していた連結線11をフレキシブル鉄筋3等に固定してから切断する。
フレキシブル鉄筋3も施工基盤G上に仮置きした懸架材12等に固定してから切断し、場所打杭の鉄筋建込みが完了する。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上説明したようになるから、次のような効果を得ることができる。
<イ>帯鉄筋とフレキシブル鉄筋とを、ほぼ同時に建込みできるので、施工性が向上する。
<ロ>帯鉄筋の加工は別の場所で行い、現場に運搬し設置するだけでよいので、仮置き場所が不要である。
<ハ>伸縮リングを縮径、拡径する構造としたので、フレキシブル鉄筋の建込み、帯鉄筋内周面への配置が容易である。
<ニ>建込み装置がコンパクトであるため、移動、設置が簡単である。
<ホ>建込み装置がコンパクトであるため、施工場所の上部空間が低い場合においても容易に施工できる。
<ヘ>ジョイントなしで、連続して鉄筋の建込み作業が行えるので、効率的な施工ができる。
<ト>ジョイント部のない場所打杭となるので、構造的に安定した場所打杭とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による場所打杭の鉄筋建込み装置全体を示す断面図。
【図2】建込み装置の斜視図。
【図3】上部フレームに設けたガイド孔の拡大断面図。
【図4】伸縮リングの伸縮ジョイント部分を示す拡大断面図。
【図5】下部フレームの斜視図。
【図6】帯鉄筋を削孔底面まで建込んだ状態を示す断面図。
【図7】縮径されたフレキシブル鉄筋群が建込まれた状態を示す断面図。
【図8】フレキシブル鉄筋が帯鉄筋の内周面に配置された状態を示す断面図。
【図9】鉄筋籠状に形成されたフレキシブル鉄筋及び帯鉄筋の建込み完成断面図。
Claims (5)
- フレキシブル鉄筋と帯鉄筋の建て込み装置であって、
施工基盤に設置した建て込み架台と、
建て込み架台に取り付けた建て込み装置と、
先行して建て込んだ帯鉄筋群の内部空間に建て込むフレキシブル鉄筋群の下端を縮径する下部フレームとより構成したことを特徴とする、
場所打杭の鉄筋建て込み装置。 - 請求項1に記載した場所打杭の鉄筋建込み装置において、
建込み装置は、フレキシブル鉄筋を所定間隔に挿通させるガイド孔を有する上部フレームと、
フレキシブル鉄筋群を縮径、拡径させるための伸縮リングと、
上部フレームと伸縮リングを連結する連結材により構成されたことを特徴とする、
場所打杭の鉄筋建込み装置。 - 請求項1または請求項2のいずれかに記載した場所打杭の鉄筋建込み装置において、
ガイド孔には、上部フレームの上面、下面に、ラッパ状の拡径形ガイド片を取付けたことを特徴とする、
場所打杭の鉄筋建込み装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した場所打杭の鉄筋建込み装置において、
下部フレームは、フレキシブル鉄筋を切欠き部から挿通させる挿通孔を有する帯鋼板と、回収ワイヤで構成されることを特徴とする、
場所打杭の鉄筋建込み装置。 - 場所打杭に使用するフレキシブル鉄筋と帯鉄筋の建込方法であって、
所定深度まで掘削した削孔内に、帯鉄筋を先行建込みする工程と、
帯鉄筋内部空間に、縮径したフレキシブル鉄筋群を建込みする工程と、
縮径した状態で建込まれたフレキシブル鉄筋群が、建込み完了後、拡径され、帯鉄筋内周面に配置される工程とにより構成されることを特徴とする、
場所打杭の鉄筋建込み方法。
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