JP3699594B2 - 画像記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロール状に巻回された長尺の感光材料に対し、画像記録領域に対する画像の記録と画像記録領域の外周部に対する位置決め用のパンチ孔の穿孔とを実行するための画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような画像記録装置としては、複数の搬送ローラにより感光材料を搬送する感光材料の搬送路に沿って、感光材料における画像記録領域の外周部に位置決め用のパンチ孔を穿孔するためのパンチャー等と呼称される穿孔機構と、感光材料の搬送方向と直行する方向にレーザビームを走査することにより、感光材料における画像記録領域に画像を記録するための露光機構とを備えるものが使用されている。
【0003】
なお、上記位置決め用のパンチ孔は、画像記録装置により画像の記録を行い、現像処理装置により現像処理を行った製版後の感光材料(印刷版)を使用して印刷を実行する際の、感光材料の位置決めに使用されるものである。すなわち、この位置決め用のパンチ孔は、印刷装置の版胴に対して製版後の感光材料を装着する際に、印刷装置の版胴に立設された位置決めピンに係合することにより、製版後の感光材料を印刷装置の版胴に対して位置決めするものである。
【0004】
図7および図8は、このような画像記録装置により、画像の記録とパンチ孔3、4の穿孔とが実行され、切断された後の感光材料(印刷版)Mを示す平面図である。
【0005】
これら感光材料Mは、その画像記録領域5に対して所望の画像が記録され、画像記録領域5の外周部6には一対のパンチ孔3、4が穿孔されている。なお、これらの図における白抜きの矢印は、画像記録時における感光材料の搬送方向を示している。
【0006】
画像が記録された後の感光材料Mを印刷装置の版胴に装着する際には、版胴の大きさおよび感光材料の幅に応じて、「縦掛け」と呼称される装着スタイルと「横掛け」と呼称される装着スタイルとが択一的に選択される。
【0007】
ここで「縦掛け」とは、図7における矢印7で示すように、画像記録時における感光材料Mの搬送方向を印刷装置における版胴の円周方向に沿って装着する(すなわち、感光材料Mの幅方向を版胴の幅方向に沿って装着する)装着スタイルである。一方、「横掛け」とは、図8における矢印8で示すように、画像記録時における感光材料Mの搬送方向と直行する方向を印刷装置における版胴の円周方向に沿って装着する(すなわち、切断前の感光材料Mの長手方向を版胴の幅方向に沿って装着する)装着スタイルである。
【0008】
ところで、上述した感光材料Mにおける画像記録領域の外周部に位置決め用のパンチ孔3、4を穿孔するための穿孔機構は、感光材料Mの搬送方向と直行する方向に沿って配設されている。このため、版胴に対する感光材料Mの装着スタイルが図7に示す「縦掛け」である場合には、感光材料Mの搬送方向と直行する方向に沿って配設された穿孔機構により光材料Mの搬送方向と直行する方向に配置された一対のパンチ孔3、4を問題なく穿孔することができる。しかしながら、版胴に対する感光材料Mの装着スタイルが図8に示す「横掛け」である場合には、感光材料Mの搬送方向と直行する方向に沿って配設された穿孔機構によっては、感光材料Mの搬送方向に沿って配置されるべき一対のパンチ孔3、4を穿孔することは不可能である。
【0009】
このため、印刷装置の版胴に対してこのような画像記録装置により画像が記録され、パンチ孔3、4が穿孔された感光材料を「縦掛け」スタイルで装着する際には、一般的に、パンチ孔の位置を90°変換するための変換用の穿孔装置が利用される。
【0010】
図6は、このような変換用の穿孔装置を利用し、画像記録装置の穿孔機構により穿孔されたパンチ孔1、2を基準にして、印刷装置の版胴上で感光材料Mを位置決めするためのパンチ孔3、4を穿孔した後の感光材料Mを示す平面図である。
【0011】
この図に示すように、感光材料Mの画像記録領域5の外周部6における搬送時の先端側には、画像記録装置の穿孔機構により穿設された変換用のパンチ孔1、2が穿孔されている。変換用の穿孔装置は、これらの変換用のパンチ孔1、2と係合する位置決めピンを有し、これらの変換用のパンチ孔1、2と位置決めピンとを利用して、変換用のパンチ孔1、2と直行する方向に延びるパンチ孔3、4を穿孔するものである。そして、この変換用の穿孔装置により穿孔されたパンチ孔3、4は、版胴に立設された位置決めピンと係合されることにより、版胴上で感光材料Mを位置決めするために使用される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、製版後の感光材料(印刷版)Mを印刷装置の版胴に装着する際には、版胴に配設された咥え機構が利用される。この咥え機構は、感光材料Mの両端部を咥えることにより、感光材料を版胴の外周部に位置決め、固定するためのものである。
【0013】
このため、感光材料Mにおける咥え機構に咥えられる側の両端部には、通常、15mm程度の咥え代aが必要となる。従って、これに対応する感光材料Mの搬送方向に対して左右側の画像記録領域5の外周部6の大きさは、少なくとも上記咥え代a以上となるように設定される。また、感光材料Mを版胴上において位置決めするための一対のパンチ孔3、4は、版胴における版当たり機構等の配置関係から、通常、感光材料Mにおける咥え機構に咥えられる側の端部から、5mm〜7.5mm程度の位置に穿孔される。
【0014】
一方、感光材料Mにおける咥え機構に咥えられる側と直行する側の両端部(版胴の両端に配置される側の両端部)には、このような咥え代は必要とはならない。また、変換用のパンチ孔1、2に関しては、版胴の版当たり機構との関係を考慮する必要はない。このため、感光材料Mにおける画像記録領域5の外周部6を最小にして感光材料Mを有効に使用するため、図6に示す、感光材料Mにおける咥え機構に咥えられる側と直行する側の先端部、すなわち、画像記録装置における画像の記録時に先頭となる側の先端部(以下、この明細書において、単に「先端部」という)から一対のパンチ孔1、2の中心までの距離bは、可能な限り小さくすることが好ましい。
【0015】
しかしながら、この感光材料Mの先端部から一対のパンチ孔1、2の中心までの距離bは、以下に述べるような画像記録装置の構成上の制限から、数十mm程度以下とすることは困難である。
【0016】
すなわち、感光材料Mの先端部から一対のパンチ孔1、2の中心までの距離bを小さくするためには、感光材料Mを先端部で切断するための切断装置による感光材料Mの切断ラインと一対のパンチ孔1、2を穿孔するための穿孔機構とを近接して配置する必要がある。しかしながら、一般に、感光材料Mの無駄を最小とするため、切断装置による感光材料Mの切断ラインと露光機構によるレーザビームの走査ラインとは、近接した位置に配置される。このため、切断ライン付近に穿孔機構を配置した場合においては、穿孔機構によりレーザビームの走査ラインが遮られることになるという不都合が生ずる。
【0017】
また、感光材料Mに対して穿孔機構によりパンチ孔1、2を穿孔する際には、穿孔時の感光材料Mの移動を防止して正確な位置決めを可能とするため、切断手装置と穿孔機構との間に配設されたニップローラ対により感光材料Mを挟持することが好ましい。このため、切断装置と穿孔機構との間には、ニップローラ対を配置するためのスペースが必要となる。
【0018】
このような理由から、感光材料Mの先端部から一対のパンチ孔1、2の中心までの距離bを一定以下とすることは不可能である。このため、一対のパンチ孔1、2は、感光材料Mの先端部から比較的大きい距離bだけ離隔した位置に穿孔されることになる。
【0019】
なお、上述した変換用の穿孔装置により、これらの変換用のパンチ孔1、2を利用して、版胴上で感光材料を位置決めするための位置決め用のパンチ孔3、4を穿孔した後には、変換用のパンチ孔1、2は不要となる。このため、印刷を実行するに先立って、これらの変換用のパンチ孔1、2を含む感光材料Mの先端部側の外周部6は、図6において二点鎖線で示す位置で切断されることになる。従って、最終的には、感光材料Mにおける領域cの部分が、印刷に供されることなく廃棄されることになる。
【0020】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、感光材料の無駄を最小とし、感光材料を有効に利用することができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、長尺の感光材料に対し、画像記録領域に対する画像の記録と画像記録領域の外周部に対する位置決め用のパンチ孔の穿孔とを実行する画像記録装置であって、前記位置決め用のパンチ孔は、印刷装置の版胴上で感光材料を位置決めするためのパンチ孔を穿孔するときの基準となる、変換用のパンチ孔であり、ロール状に巻回された感光材料を収納する収納部と、前記感光材料を搬送するための複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラによって搬送される感光材料に画像を記録するための露光手段と、前記露光手段による感光材料への画像記録位置近傍において前記感光材料を切断する切断手段と、前記切断手段と前記収納部との間に配設され、前記感光材料の搬送方向に対して前記画像記録領域の右側端縁と前記感光材料の右側端縁との間の位置、および、前記画像記録領域の左側端縁と前記感光材料の左側端縁との間の位置に、前記画像領域をはさむようにして、各々、位置決め用のパンチ孔を穿孔する穿孔手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
なお、この明細書で述べる搬送方向に対しての右側端縁および左側端縁とは、搬送方向を向いた場合に右側に位置する端縁と左側に位置する端縁とをさす。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の搬送ローラは、前記切断手段と前記穿孔手段との間に配設され、そこを通過する感光材料を挟持して搬送するローラ対を含んでいる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ローラ対と前記切断手段との間の位置に、前記露光手段による前記感光材料への画像の記録時に前記感光材料における画像の記録面とは逆側の面が配置されるべき基準面を形成する支持部材と、前記感光材料を前記感光材料における画像の記録面側から前記支持部材により形成された基準面に押圧する押圧部材とをさらに配置している。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明に係る画像記録装置10を備えた平版印刷版Mの製版装置の概要図である。
【0026】
この製版装置は、感光材料として銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版Mを使用し、この平版印刷版Mに対して画像の記録と現像処理とを行うものであり、平版印刷版Mに対して画像を記録する画像記録装置10と、画像記録後の平版印刷版Mに対して現像処理を行う現像処理装置11とから構成される。
【0027】
なお、銀錯塩拡散転写法(DTR法)を用いた平版印刷版、特に、ハロゲン化銀乳剤層の上に物理現像核層を有する平版印刷版は、例えば、米国特許第3,728,114号、同4,134,769号、同4,160,670号、同4,336,321号、同4,501,811号、同4,510,228号、同4,621,041号明細書等に記載されている。
【0028】
このような平版印刷版においては、平版印刷版表面の露光された部分におけるハロゲン化銀は化学現像を生起し、黒色の銀となって親水性の非画線部を形成し、一方、未露光のハロゲン化銀結晶は現像液中の銀塩錯化剤により銀錯体となって表面の物理現像核層まで拡散し、核の存在により物理現像を生起してインキ受容性の物理現像銀を主体とする画線部を形成する。
【0029】
上記画像記録装置10は、収納部12にロール状に巻回された状態で収納された長尺の平版印刷版Mを搬送するための複数の搬送ローラ32、37、38、39、40(図2参照)と、これらの搬送ローラ32、37、38、39、40によって搬送される平版印刷版Mに対し、その搬送方向と直行する方向にレーザビームを走査することにより、平版印刷版Mに画像を記録するための露光機構13と、前記平版印刷版Mに後述する位置決め用のパンチ孔1、2を穿孔するための穿孔機構14と、前記露光機構13による平版印刷版Mへのレーザビームの照射位置より微小距離離隔した位置において平版印刷版Mを切断する切断機構15とを備える。
【0030】
一方、上記現像処理装置11は、画像記録装置10により画像が記録された後の平版印刷版Mに現像液(アクチベータ)を塗布して現像処理する現像部22と、現像処理後の平版印刷版Mに安定液を塗布して安定化処理する安定部23と、安定化処理後の平版印刷版Mを乾燥するための乾燥部24と、乾燥後の平版印刷版Mを排出するための排出トレイ25とから構成される。
【0031】
なお、画像記録装置10における平版印刷版Mの搬送速度と現像処理装置11における平版印刷版Mの搬送速度とは一致しないため、平版印刷版Mを単純に画像記録装置10と現像処理装置11とに亘って搬送することはできない。また、切断機構15による平版印刷版Mの切断時や穿孔機構14によるパンチ孔1、2の穿孔時においては、平版印刷版Mの搬送を停止する必要がある。このため、画像記録装置10と現像処理装置11との間には平版印刷版Mのバッファ部26が配設されており、画像記録装置10において露光の終了した平版印刷版Mの搬送時に、このバッファ部26に一定長さの平版印刷版Mを貯留した後、現像処理装置11に搬送するように構成されている。
【0032】
次に、この発明に係る画像記録装置10の構成について説明する。なお、以下の説明においては、図5に示すように、その画像記録領域5に画像が記録されると共に、画像記録領域5の外周部6に対する焼きとばしが行われ、さらに、一対のパンチ孔1、2が穿孔されて所定の長さに切断された平版印刷版Mを作成する場合について説明する。
【0033】
なお、図5に示す平版印刷版Mは、印刷装置の版胴に「横掛け」スタイルで装着されるものであり、画像記録装置10により画像が記録され、現像処理装置11により現像処理が行われた後の平版印刷版Mに対しては、変換用の穿孔装置により、一対のパンチ孔1、2を基準として、印刷装置の版胴上で感光材料Mを位置決めするためのパンチ孔3、4が穿孔される。
【0034】
再度図1を参照して、この画像記録装置10は、上述したように、平版印刷版Mを収納する収納部12と、平版印刷版Mに画像を記録する露光機構13と、平版印刷版Mに位置決め用のパンチ孔1、2を穿孔するための穿孔機構14と、平版印刷版Mを切断する切断機構15とを備える。
【0035】
収納部12は、図1およびその要部拡大図である図2に示すように、軸31を中心として回転可能なスプール状の形状を有する。この収納部12に巻回された状態で収納された長尺の平版印刷版Mは、案内ローラ32および一対のガイド部材33、34により案内され、穿孔機構14に向けて搬送される。
【0036】
穿孔機構14は、平版印刷版Mに位置決め用のパンチ孔1、2を穿孔するための穿孔部35と、この穿孔部35によりパンチ孔1、2が穿孔された平版印刷版Mから生ずるパンチ屑を回収するための回収部36から構成される。
【0037】
図4は、上述した穿孔部35を示す概要図である。なお、図4における(a)は図2に示すA方向からの矢視図であり、(b)は図2に示すB方向からの矢視図、さらに、(c)は図2に示すC方向からの矢視図である。
【0038】
この穿孔部35は、平版印刷版Mの厚みよりわずかに大きい距離だけ互いに離隔して配置された上部ブロック51と下部ブロック52とを有する。上部ブロック51には、モータ53により回転する連結軸54と、この連結軸54の両端部に接続された一対のカム機構55と、この一対のカム機構55の駆動を受けて昇降する一対のポンチ56、57とが配設されている。一対のポンチ56、57の昇降状態は、センサ58が連結軸54の回転角度位置を検出することにより、監視されている。
【0039】
一方、下部ブロック52には、前記一対のポンチ56、57の外形と対応する形状を有するダイス穴を各々備えたダイス61、62が配設されている。なお、ポンチ56、57およびダイス61、62におけるダイス穴の形状は、平版印刷版Mに形成されるべきパンチ孔1、2の形状に対応する長孔形状および丸孔形状となっている。
【0040】
このような構成を有する穿孔部35において、上部ブロック51および下部ブロック52の間に平版印刷版Mを配置した状態でモータ53の駆動により連結軸54を回転させた場合には、連結軸54の両端部に配設されたカム機構55の駆動により、一対のポンチ56、57の下端部が、上部ブロック51内から下部ブロック52におけるダイス61、62のダイス穴内に進入する。そして、このポンチ56、57の移動時に、上部ブロック51および下部ブロック52の間に配置された平版印刷版Mに、一対のパンチ孔1、2が穿孔される。
【0041】
なお、この穿孔部35における一対のポンチ56、57間の距離は、後述するように、平版印刷版Mの幅よりも小さく、かつ、平版印刷版Mにおける画像記録領域5の幅よりも大きい値に設定されている。
【0042】
再度図1および図2を参照して、穿孔機構14により位置決め用のパンチ孔1、2が穿孔された平版印刷版Mは、ニップローラ対37、38により挟持された状態で搬送され、画像記録部16において、露光機構13により画像を記録される。
【0043】
露光機構13は、図1に示すように、回転多面鏡63と、Fθレンズ64と、折返しミラー65と、シリンドリカルレンズ66とを備える。図示しないレーザ光源より出射され、画像信号により変調されたレーザビームRは、回転多面鏡63により偏向され、Fθレンズ64、折返しミラー65およびシリンドリカルレンズ66を介して集光され、画像記録部16において平版印刷版Mをその搬送方向と直行する方向に走査する。
【0044】
上記画像記録部16には、図3に示すように、露光機構13による平版印刷版Mへの画像の記録時に、平版印刷版Mにおける画像の記録面とは逆側の面が配置されるべき基準面を形成する一対の支持部材42、43と、平版印刷版Mを支持部材42、43により形成された基準面に対して押圧するための、基部44とこの基部44の先端に配設された可撓性の弾性シート45とから成る押圧部材46とが配設されている。
【0045】
ニップローラ対37、38に挟持された状態で搬送された平版印刷版Mは、押圧部材46における弾性シート45の作用により支持部材42の表面に押しつけられる。一方、支持部材42、43の表面は、露光機構13による平版印刷版Mへの画像の記録時に、平版印刷版Mにおける画像の記録面とは逆側の面が配置されるべき基準面となっている。そして、露光機構13からのレーザビームRは、画像の記録面とは逆側の面が支持部材42の表面に押しつけられた状態の平版印刷版Mの記録面を走査する。このため、平版印刷版Mに対して、常に精度良く画像を記録することが可能となる。
【0046】
また、平版印刷版Mにおける画像の記録位置近傍を、押圧部材46における弾性シート45の作用により支持部材42の表面に押圧することにより位置決めして画像を記録する構成であるため、弾性シート45による平版印刷版Mの押圧位置と切断機構15による平版印刷版Mの切断位置、すなわち、画像の記録位置と切断位置とを近接させることができる。このため、平版印刷版Mを有効に使用することが可能となる。
【0047】
切断機構15は、図2に示すモータ70の駆動によりガイド部材69に沿って往復移動するキャリッジ68と、このキャリッジ68の先端部に付設されたカッター67とを有する。上述した一対の支持部材42、43の間には、わずかな隙間が形成されている。そして、この隙間を、カッター67が通過する構成となっている。
【0048】
なお、図3において二点鎖線で示す切断機構15のカッター67による平版印刷版Mの切断位置は、図3において一点鎖線で示す平版印刷版MへのレーザビームRによる走査位置より、平版印刷版Mの搬送方向に対して、微小距離tだけ下流側に離隔した位置となるように設定されている。
【0049】
次に、上述した画像記録装置10の動作について説明する。
【0050】
この画像記録装置により画像の記録を行う際には、上述したように、平版印刷版Mにおける画像記録領域5に対しては画像信号により変調されたレーザビームRを照射して画像を記録すると共に、画像記録領域5の外周部6に対しては常時レーザビームRを照射することにより、画像領域5に対する画像の記録と、画像記録領域5の外周部6に対する焼きとばしとを同時に実行するようにしている。そして、画像の記録が完了した後には、平版印刷版Mを所定の位置で切断し、さらに、次に画像を記録すべき平版印刷版Mに位置決め用のパンチ孔1、2を穿孔するようにしている。
【0051】
画像の記録を実行するに先立って、画像記録装置に対する平版印刷版Mの装着等を行うための準備工程を実行する。この場合には、収納部12に巻回された状態で収納されたロール状の平版印刷版Mの先端部を、案内ローラ32および一対のガイド部材33、34により案内して、穿孔機構14における上部ブロック51と下部ブロック52の間を通過させた後、ニップローラ対37、38に挟持させる。
【0052】
しかる後に、露光機構14により平版印刷版Mの幅方向全域にレーザビームRを走査することにより、平版印刷版Mにおける画像記録領域5の外周部6に対する焼きとばしを可能とした状態で、ニップローラ対37、38の駆動により平版印刷版Mを搬送する。そして、平版印刷版Mの先端部が押圧部材46の先端に付設された弾性シート45による押圧位置とレーザビームRによる画像記録位置とを順次通過した後、さらに、図3において一点鎖線で示す切断機構14のカッター67による平版印刷版Mの切断位置を通過すれば、平版印刷版Mの搬送を一時的に停止する。
【0053】
この状態において、切断機構15におけるモータ70の駆動により、カッター67を平版印刷版Mの幅方向(図1〜図3における紙面に垂直な方向)に走行させ、平版印刷版Mを切断する。切断された平版印刷版Mの先頭部分は廃棄される。また、切断工程と並行して、穿孔機構14における穿孔部35により、平版印刷版Mに一対のパンチ孔1、2を穿孔する。
【0054】
以上の準備工程が完了すれば、画像の記録を行う。画像の記録を行う際には、ニップローラ対37、38の駆動により平版印刷版Mを画像の記録に適した速度で搬送すると共に、露光機構14により平版印刷版Mの画像記録領域5に画像信号により変調されたレーザビームRを照射して画像の記録を行う。この場合においても、画像記録領域5の外周部6に対してはレーザビームRを常に照射し、焼きとばしを画像の記録と並行して実行する。
【0055】
平版印刷版Mにおける画像記録領域5への画像の記録が終了した後、平版印刷版Mが所定の距離だけ搬送されれば、平版印刷版Mの搬送を一時的に停止する。そして、切断機構15のカッター67を平版印刷版Mの幅方向に走行させて平版印刷版Mを切断すると共に、穿孔機構14における穿孔部35により、カッター67による切断位置より収納部12側の平版印刷版Mに一対のパンチ孔1、2を穿孔する。
【0056】
以上の画像記録動作を、必要な画像について繰り返すことにより、図5に示すように、その画像記録領域5に画像が記録されると共に、画像記録領域5の外周部6に対する焼きとばしが行われ、さらに、一対のパンチ孔1、2が穿孔されて所定の長さに切断された平版印刷版Mが作成される。
【0057】
ここで、上述したように、穿孔機構14の穿孔部35における一対のポンチ56、57間の距離は、平版印刷版Mの幅よりも小さく、かつ、平版印刷版Mにおける画像記録領域5の幅よりも大きい値に設定されている。より具体的には、一対のポンチ56、57間の距離は、図5に示すように、図5において白抜きの矢印で示す平版印刷版Mの搬送方向に対して、画像記録領域5の右側端縁と平版印刷版Mの右側端縁との間の位置にパンチ孔2を、また、画像記録領域5の左側端縁と平版印刷版Mの左側端縁との間の位置にパンチ孔1を、各々、穿孔可能な距離に設定されている。
【0058】
従って、これらの一対のポンチ56、57間によって穿孔される一対のパンチ孔1、2は、図5に示すように、平版印刷版Mを印刷装置の版胴に装着する際に使用される咥え代aの領域内に形成されることになる。そして、これらのパンチ孔1、2の平版印刷版Mの先端部からの距離bは、図3において二点鎖線で示す切断機構15のカッター67による平版印刷版Mの切断位置と穿孔機構14における一対のポンチ56、57の中心位置との距離と一致している。
【0059】
なお、これらのパンチ孔1、2は、上述したように、この平版印刷版Mを「横掛け」と呼称される装着スタイルで使用する場合に、変換用の穿孔装置により印刷装置の版胴上で感光材料Mを位置決めするためのパンチ孔3、4を穿孔する際の基準として使用されるものであることから、これらのパンチ孔1、2がこのような咥え代a内の領域に形成されても何ら支障はない。
【0060】
このため、画像記録装置の構成上の制限から平版印刷版Mの先端部からパンチ孔1、2までの距離bが比較的大きくなった場合においても、平版印刷版Mの先端部から画像記録領域5の先端部までの距離dを小さい値に設定することにより、平版印刷版Mにおける無駄な領域の発生を最小限にとどめることができる。従って、図6に示す従来例のように、平版印刷版Mの先端と二点鎖線で示す位置との間における領域cの部分が、印刷に供されることなく廃棄されるという平版印刷版Mの無駄な消費を有効に防止することが可能となる。
【0061】
特に、この実施の形態においては、平版印刷版Mにおける画像の記録位置近傍を、押圧部材46における弾性シート45の作用により支持部材42の表面に押圧することにより位置決めして画像を記録する構成であるため、上述した距離dを極めて小さい値に設定することができ、平版印刷版Mを特に有効に使用することが可能となる。
【0062】
なお、上述した実施の形態においては、平版印刷版Mに対して画像の記録と現像処理とを行う製版装置の画像記録装置にこの発明を適用した場合について説明したが、単に画像の記録のみを行う画像記録装置にこの発明を適用するようにしてもよい。
【0063】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、切断手段と収納部との間に配設され、感光材料の搬送方向に対して画像記録領域の右側端縁と感光材料の右側端縁との間の位置、および、画像記録領域の左側端縁と感光材料の左側端縁との間の位置に、各々、位置決め用のパンチ孔を穿孔する穿孔手段とを備えたことから、画像記録後の感光材料を印刷装置の版胴に「横掛け」の装着スタイルで装着する際に、感光材料の無駄を最小とすることができ、感光材料を有効に利用することが可能となる。
【0064】
請求項2に記載の発明によれば、感光材料を搬送する搬送ローラが、切断手段と穿孔手段との間に配設され、そこを通過する感光材料を挟持して搬送するローラ対を含むことから、感光材料をこれらのローラ対で挟持した状態で穿孔機構によりパンチ孔を穿孔することにより、穿孔時の感光材料の移動を防止して、パンチ孔を正確な位置に穿孔することができる。このとき、これらの搬送ローラ対を設置することにより切断手段と穿孔手段との距離が大きくなった場合においても、この距離の増加に起因して感光材料の無駄が発生することを防止することが可能となる。
【0065】
請求項3に記載の発明によれば、前記ローラ対と前記切断手段との間の位置に、前記露光手段による前記感光材料への画像の記録時に前記感光材料における画像の記録面とは逆側の面が配置されるべき基準面を形成する支持部材と、前記感光材料を前記感光材料における画像の記録面側から前記支持部材により形成された基準面に押圧する押圧部材とをさらに配置したことから、画像の記録位置と切断位置とを近接させることができ、感光材料を有効に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る画像記録装置10を備えた平版印刷版Mの製版装置の概要図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】画像記録部16付近の拡大図である。
【図4】穿孔機構14の穿孔部35を示す概要図である。
【図5】この発明に係る画像記録装置10により画像の記録とパンチ孔1、2の穿孔とが実行され、切断された後の平版印刷版Mを示す平面図である。
【図6】従来の画像記録装置により画像の記録とパンチ孔1、2の穿孔とが実行され、切断された後の平版印刷版Mを示す平面図である。
【図7】画像の記録とパンチ孔3、4の穿孔とが実行され、切断された後の、印刷装置の版胴に「縦掛け」スタイルで装着される感光材料Mを示す平面図である。
【図8】画像の記録とパンチ孔3、4の穿孔とが実行され、切断された後の、印刷装置の版胴に「横掛け」スタイルで装着される感光材料Mを示す平面図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 パンチ孔
5 画像記録領域
6 外周部
10 画像記録装置
11 現像処理装置
12 収納部
13 露光機構
14 穿孔機構
15 切断機構
16 画像記録部
35 穿孔部
37、38 ニップローラ
42、43 支持部材
45 弾性シート
46 押圧部材
56、57 ポンチ
61、62 ダイス
67 カッター
M 平版印刷版

Claims (3)

  1. 長尺の感光材料に対し、画像記録領域に対する画像の記録と画像記録領域の外周部に対する位置決め用のパンチ孔の穿孔とを実行する画像記録装置であって、
    前記位置決め用のパンチ孔は、印刷装置の版胴上で感光材料を位置決めするためのパンチ孔を穿孔するときの基準となる、変換用のパンチ孔であり、
    ロール状に巻回された感光材料を収納する収納部と、
    前記感光材料を搬送するための複数の搬送ローラと、
    前記複数の搬送ローラによって搬送される感光材料に画像を記録するための露光手段と、
    前記露光手段による感光材料への画像記録位置近傍において前記感光材料を切断する切断手段と、
    前記切断手段と前記収納部との間に配設され、前記感光材料の搬送方向に対して前記画像記録領域の右側端縁と前記感光材料の右側端縁との間の位置、および、前記画像記録領域の左側端縁と前記感光材料の左側端縁との間の位置に、各々、位置決め用のパンチ孔を穿孔する穿孔手段と、
    を備えたことを特徴とする画像記録装置。
  2. 請求項1に記載の画像記録装置において、
    前記複数の搬送ローラは、前記切断手段と前記穿孔手段との間に配設され、そこを通過する感光材料を挟持して搬送するローラ対を含む画像記録装置。
  3. 請求項2に記載の画像記録装置において、
    前記ローラ対と前記切断手段との間の位置に、
    前記露光手段による前記感光材料への画像の記録時に前記感光材料における画像の記録面とは逆側の面が配置されるべき基準面を形成する支持部材と、
    前記感光材料を前記感光材料における画像の記録面側から前記支持部材により形成された基準面に押圧する押圧部材と、
    をさらに配置した画像記録装置。
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