JP3699413B2 - 可食容器、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形されてなる可食容器、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、可食容器としてシュガーロールコーン、ワッフルコーン、および、ソフトクリーム容器等に使用される発泡コーンが知られている。
【0003】
上記シュガーロールコーンおよびワッフルコーンは、加熱した鉄板と鉄板との間に原料を挟み焼成し、その後、該焼成した原料を鉄板の間から取り出し、軟らかい間に容器形状に加工することで成形される。このため、焼成する工程とは別に容器の形状に加工する工程が必要となる。また、焼成した後に加工を行うため、複雑な形状への加工が困難である。
【0004】
一方、発泡コーンは、膨張材を含む原料を加熱した金属の金型に投入し、後述する水蒸気発泡成形を行い焼成することで形成される。ここで、上記発泡コーンは金属金型を使用して焼成されるため、焼成と同時に容器形状が成形される。よって、上記シュガーロールコーンおよびワッフルコーンの成形時に行った焼成後の容器形状への加工が不要となる。また、上記発泡コーンは、金型の型を様々な型とすることにより、複雑な形状での成形が可能となり、発泡コーン表面の模様および文字、または、リブの形状等を様々な形とすることができる。さらに、上記発泡コーンは水蒸気発泡成形を行っているので、コーンの組織が軽めに仕上がり食感が豊かであるという特徴を有している。
【0005】
ここで、発泡成形しない可食容器に粒状固形物または粉状物を混入して、食感、香り、または、風味等を向上させる取組がなされている。例えば、特開昭60−83526号公報には、上記シュガーロールコーンおよびワッフルコーンのように焼成する工程と容器形状へ加工する工程とを有する可食容器において、粒状固形物である植物種実の粗粒、つまりゴマまたは粗砕したアーモンド等を含み風味豊かな可食容器の製造方法について開示されている。
【0006】
すなわち、粒状固形物を添加した原料を均一に混合した後、加熱した鉄板と鉄板との間に挟んで薄板状に焼成し、コーン状に巻くことによって粒状固形物が混入されたシュガーロールコーンおよびワッフルコーンを形成することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の公報の可食容器は、粒状固形物を添加した原料を焼成しただけのシュガーロールコーンおよびワッフルコーンであるので、焼成した可食容器全体の組織が固く、粒状固形物の食感は強調できないという問題点を有している。
【0008】
さらに、コーンの原料に粒状固形物を混入して、金型にて形成しても、材料の流動性および均質性が得られず、良好な可食容器が成形できない。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器、およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の可食容器は、上記課題を解決するために、雄型と雌型との各金型の間に投入された粒状固形物および原料に対して加熱による発泡と容器形状への成形とを同時に行なって形成されることにより、該容器自体に粒状固形物が混入されてなり、容器自体に厚肉部と薄肉部とが形成されているとともに、粒状固形物は、上記容器自体の厚肉部にのみ存在することを特徴としている。
【0011】
上記の発明によれば、雄型と雌型との金型を用い、この金型に粒状固形物および原料を投入し、加熱による発泡と容器形状への成形を同時に行なうことにより、可食容器に粒状固形物が混入されている。
【0012】
つまり、加熱による発泡によって容器形状に成形されるとともに、容器自体の組織が軽めに仕上がった可食容器自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が混入される。それゆえ、上記粒状固形物の硬さが該粒状固形物の周囲の部分と比べて強調され、食感の単調さがなくなる。
【0013】
一方、例えば、粒状固形物よりも細かい粉状物を原料に添加して金型にて発泡成形して焼成した場合には、水蒸気発泡成形の際に、香気成分が分解されたり、もしくは後述する水蒸気穴から金型外へ排出されたりするので、香りおよび風味が発泡コーンにあまり残らない。
【0014】
しかし、本発明では、粉状物ではなく粒状固形物を原料に混入しているので、香気成分が分解されたり、もしくは製造装置の水蒸気穴から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなる。
【0015】
また、上記金型の形状を変えることにより、様々な形状を有する可食容器とすることもできる。さらに、金型の表面に精巧なデザインを施すことにより、可食容器の表面に精巧なデザインを設けることも可能である。また、上記金型を用いて容器形状へ成形しているため、内容物を確実に保持することができ、容器内の内容物が漏れることもない。
【0016】
したがって、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器を提供することができる。
【0017】
さらに、上記の発明によれば、可食容器の容器自体に厚肉部と薄肉部とが形成されている。そして、粒状固形物は、容器自体の厚肉部にのみ存在する。したがって、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができる。
【0018】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、原料は、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む成形用原料からなることを特徴としている。なお、この水分は、小麦粉および澱粉に直接的に水を混入する場合の外、例えば、これら小麦粉および澱粉に卵黄等を混入する場合のように、卵黄等に含まれる水分であってもよい。
【0019】
上記の発明によれば、原料は、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む成形用原料からなっている。
【0020】
したがって、上記成型用原料を、加熱により発泡させることによって、容器自体の組織を軽めに仕上げることができる。
【0021】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、成形用原料は、ドウ状になっていることを特徴としている。
【0022】
上記の発明によれば、可食容器の成形用原料は、ドウ状になっているものである。つまり、成形用原料として、非常に粘性の高いドウ状の原料を用いている。
【0023】
それゆえ、金型による成形時に、原料の延びる速さが遅いため、原料の拡散速度と粒状固形物の拡散速度との速度差が少ない。
【0024】
したがって、金型への投入前における、粒状固形物の原料への混入の仕方、例えば均一に混入したり、偏って混入したりすることにより、可食容器内での粒状固形物の分散状態を様々に変化させることが可能となる。
【0025】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、容器形状への成形は、原料を加熱することにより、主として、澱粉の膨張と水分の気化とによる水蒸気発泡によって行われることを特徴としている。
【0026】
上記の発明によれば、原料を加熱して、主として、澱粉の膨張と水分の気化とによる水蒸気発泡により、可食容器が成形されている。
【0027】
したがって、原料を加熱すると、澱粉のα化による膨張と水分の気化とによる水蒸気発泡によって、可食容器自体の中に水蒸気が抜けた気泡が形成され、これによって、発泡倍率が高くなり、容器自体が軽く食感のソフトな可食容器を提供することができる。
【0028】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、原料の発泡倍率が、1.5〜10倍であることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、原料の発泡倍率が1.5〜10倍と高いので、粒状固形物を除く容器自体の組織が軽めに仕上がる。したがって、確実に、食感のソフトな可食容器を提供することができるとともに、混入されている粒状固形物の硬さによる食感が充分に強調される可食容器を提供することができる。
【0030】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、粒状固形物は、植物種実の粗粒であることを特徴としている。
【0031】
上記の発明によれば、粒状固形物は、植物種実の粗粒である。この植物種実の粗粒としては、例えば、アーモンド、ピーナッツ、ココナッツ、くるみ、ゴマ等がある。これらの植物種実の粗粒は、植物種実特有の硬さを有しているので、発泡した可食容器のソフトさに対してこの植物種実の硬さによる異種の食感を味わうことができる。
【0032】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、容器自体が発泡コーンであることを特徴としている。
【0033】
上記の発明によれば、発泡成形により組織が軽めに仕上がった発泡コーン自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が混入される。
【0034】
したがって、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーンを提供することができる。
【0035】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、粒状固形物が均一に分散していることを特徴としている。
【0036】
上記の発明によれば、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が可食容器自体の厚肉部全体にわたり均一に分散している。
【0037】
したがって、可食容器自体の厚肉部全体にわたって、粒状固形物の食感を味わうことができ、その結果、可食容器の厚肉部を全て食べ終えるまで、粒状固形物を味わうことができる。
【0038】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、粒状固形物が層分離して存在していることを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が層分離して存在している。
【0040】
したがって、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができる。
【0041】
ここで、粒状固形物が容器自体で層分離している状態とは、例えば、粒状固形物が容器自体の底部と中間部とに存在する場合、粒状固形物の存在する層と存在しない層とが交互に存在する場合、粒状固形物が容器自体の下部に均一に分散する場合、粒状固形物が容器自体の上部に均一に分散する場合等がある。
【0042】
本発明の可食容器の製造方法は、上記課題を解決するために、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む原料を混ぜる原料調整工程と、上記原料を金型に投入する原料投入工程と、上記金型に投入された原料の表面に上記粒状固形物を散布する粒状固形物散布工程と、上記原料と粒状固形物とを上記金型内で加熱して容器形状に発泡成形する焼成工程とからなることを特徴としている。
【0043】
上記の発明によれば、可食容器の少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む原料を混ぜた後に、上記原料を金型に投入する。その後、上記原料の表面に粒状固形物を散布し、上記原料と粒状固形物とを上記金型内で加熱して容器形状に発泡成形する。
【0044】
これによって、原料の発泡と容器形状への成形とが同時にできる。そして、発泡成形により組織が軽めに仕上がった可食容器自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が可食容器自体の中で層分離して存在することになる。
【0045】
したがって、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができるとともに、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器の製造方法を提供することができる。
【0046】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、原料投入工程と粒状固形物散布工程とを少なくとも一度以上繰り返し行った後に焼成工程を行うことを特徴としている。
【0047】
上記の発明によれば、膨張材を含む可食容器の原料を金型に投入する原料投入工程後に、上記原料の表面に粒状固形物を散布する粒状固形物散布工程を行うという一連の工程をさらに少なくとも一度以上繰り返した後に焼成工程を行う。
【0048】
したがって、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができる。
【0049】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、焼成工程は、原料と粒状固形物とを高周波を印加して加熱する高周波焼成工程を含むことを特徴としている。
【0050】
上記の発明によれば、焼成工程で使用する金型内の原料と粒状固形物とに更に高周波を印加して、上記原料と粒状固形物とを加熱することができる。
【0051】
したがって、従来よりも短い時間で焼成工程を完了することが可能となる。
【0052】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、高周波の印加出力を変えて加熱することを特徴としている。
【0053】
上記の発明によれば、高周波の印加出力を変えて加熱することができる。また、原料があまり固まっていない状態においては上記高周波の印加出力の違いによって原料の発泡性が異なる。
【0054】
したがって、可食容器容器自体の中での固形物の分散状態を制御することが可能となる。
【0055】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、可食容器が発泡コーンであることを特徴としている。
【0056】
上記の発明によれば、膨張材により発泡成形された組織が軽めに仕上がった発泡コーン自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が混入される。
【0057】
したがって、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーンの製造方法を提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0059】
本実施の形態の可食容器である発泡コーン1は、図1に示すように、原料に粒状固形物2aを混入して発泡成形、つまり後述する水蒸気発泡成形により製造したコーンであり、上記粒状固形物2aがコーン全体にわたり均一に分散しているコーンである。
【0060】
まず、上記発泡コーン1の形状としては、例えば、図2(a)(b)に示すように、一定の肉厚を有し、中身が空洞の円錐を逆にして、上部に開口部3を設けた形状である。このように逆円錐型の形状とすることにより、例えば、アイスクリームまたはソフトクリーム等が常温中で溶け出しても、溶け出した部分は容器内に溜められることとなる。
【0061】
また、上記発泡コーン1の他の形状としては、図3(a)(b)に示すように、上記逆円錐型の開口部3上に、さらにこの開口部3に平行な断面が円形となる受け部4を有した形状である。この受け部4により、多くのアイスクリームまたはソフトクリーム等を上記発泡コーン1上に載せることができる。
【0062】
さらに、他の形状としては、図4(a)(b)に示すように、上記受け部3の内側部分に複数の第二の受け部5・5を有している形状がある。この第二の受け部5・5により、発泡コーン1上におけるアイスクリームまたはソフトクリーム等の載置状態がより安定化することになる。
【0063】
なお、上記発泡コーン1の形状は、必ずしも上記形状に限定されず、様々な形状とすることができる。例えば、先が尖頭形に限らず、円錐台のように先が平らなものやボール状のものも含む。また、円錐台に限らず角錐台であっても良い。さらに、上記アイスクリーム等が載置または収容できる形状であれば良い。
【0064】
次に、上記粒状固形物2aについて説明する。
【0065】
上記粒状固形物2aの種類としては、植物種実、乾燥果実、糖漬果実、膨化穀物、シリアルフーズ自体もしくは粉砕物、お茶、紅茶、氷砂糖、コンペイ糖、キャンディ類、キャラメル、豆類、あんこ、焼き菓子を砕いたもの、チーズ、蒟蒻、スイートコーン、餅、羊羹、魚介類、海藻類、ナタデココ、および、タピオカ粒が挙げられる。上記の植物種実は、発泡コーン1のソフトさに対して植物種実の硬さによる異種の食感が味わえるので好ましい。
【0066】
ここで、植物種実とは、例えば、ゴマ、アーモンド、ピーナッツ、ココナッツ、くるみ、カシューナッツ、栗、ヘーゼルナッツ、米、および、小麦等をいう。また、糖漬果実とは、例えば、オレンジピール、ドレンドチェリー、レーズン、および、プラム等をいい、膨化穀物とは、例えば、ライスパフおよび小麦パフ等をいう。さらに、豆類には、小豆、うぐいす豆、および、大豆等が含まれ、あんこには、豆類を甘く煮たものも含まれる。また、焼き菓子とは、例えば、コーン、ビスケット、クッキー、クラッカー等をいい、魚介類にはエビ等の乾物類も含まれる。さらに海藻類とは、昆布やひじき等をいう。
【0067】
なお、上記粒状固形物2aが混入される原料は、例えば、小麦粉、澱粉、砂糖、膨化材、甘味料、油脂、乳化材、安定材、および、水等である。また、これらの原料の配合量により、上記発泡コーン1の原料となるコーン原料の粘度、つまり粘性率が決まる。
【0068】
次に、上記粒状固形物2aが混入されている発泡コーン1の製造方法について、図5に基づいて説明する。
【0069】
まず、上記原料と粒状固形物2aとをなるべく均等に混合する。以下、この工程を原料調整工程という。なお、上記原料の配合量並びに粒状固形物2aの大きさおよび形状は、例えば後述する実施例に示すような組み合わせのとおりとする。この後、上記原料調整工程で得られた粒状固形物2aが混入された原料2を、同図に示すように、雄型としての上型6と雌型としての下型7とからなる一定温度に加熱した金型8の下型7に投入する。以下、この工程を原料投入工程という。そして、さらに上記上型6を下型7に嵌め合わせて、上記粒状固形物2aが混入された原料2を加熱して水蒸気発泡成形する。以下、この工程を焼成工程という。その後、上記焼成工程で成形された上記発泡コーン1を金型から取り出し、発泡コーン1の製造が完了する。以下、この工程を製品取り出し工程という。
【0070】
また、上記粒状固形物2aは、上記原料に均等に混合されており、かつ、原料の配合量並びに粒状固形物2aの大きさおよび形状は、例えば、後述する実施例に示すとおり、適宜選択されていることから、上記焼成工程においても上記原料と均等に混ざり合うこととなる。これにより、上記粒状固形物2aが発泡コーン1全体にわたり均一に分散している発泡コーン1が得られることになる。また、この発泡コーン1は、原料に対して発泡倍率が、1.5〜10倍となっている。
【0071】
次に、上記原料投入工程後の焼成工程について詳しく説明する。
【0072】
上記焼成工程では、上述のとおり、上型6と下型7とからなる金型8を用い、上記原料を加熱して水蒸気発泡成形することで上記発泡コーン1を得る。ここで、上記水蒸気発泡成形を行う際に用いる下型7は、例えば、図6(a)(b)に示すように、逆円錐型の窪みを有した外形が直方体の形状をしたものであり、上型6と組み合わせて利用したときに、蒸気の放出穴の役割を果たす水蒸気溝9が数箇所設けられている。なお、上記下型7の形状は、直方体に限定されるものではない。また、上記水蒸気発泡成形を行う際に用いる上型6には、図6(c)(d)に示すように、リング状の凹部10が設けられている。なお、蒸気が放出する理由については後述する。
【0073】
なお、上記の金型8では、下型7に水蒸気溝9が設けられていたが、必ずしもこれに限るものではなく、図7(c)(d)に示すように、上型6に水蒸気溝9が設けられていても構わない。この場合においては下型7には、図7(a)(b)に示すように、水蒸気溝9を設ける必要がない。これは、上記下型7と上型6とを組み合わせて利用したときに、上記上型6の水蒸気溝9が蒸気の放出穴の役割を果たすからである。以後、上型6と下型7とが組み合わされて使用されるときには、上記水蒸気溝9の部分を、便宜上、水蒸気穴と呼ぶこととする。
【0074】
上記焼成工程においては、まず、上記金型8の下型7に、図8(a)に示すように、小麦粉、澱粉、および、水等の原料と粒状固形物2aとをある程度均一に混合した粒状固形物2aが混入された原料2を投入する。なお、この水分の供給は、小麦粉および澱粉に直接的に水を混入する場合の外、例えば、これら小麦粉および澱粉に卵黄等を混入する場合のように、卵黄等に含まれる水分であってもよい。
【0075】
ここで、上記上型6と下型7とは、上記粒状固形物2aが混入された原料2に含まれる澱粉がα化、すなわち粘化する温度範囲である100℃〜250℃に加熱されている。また、上記上型6と下型7とは上記澱粉のα化を確実にするために150℃〜200℃の温度範囲に加熱されるのが好ましい。
【0076】
その後、上記上型6を下型7に嵌め合わせる。これにより、図8(b)に示すように、上記粒状固形物2aが混入された原料2が上記上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部の下部、つまり空洞部の下部で一様な形状に形成される。一方、金型8は、上述のとおり、澱粉がα化される温度に加熱されている。それゆえ、上記澱粉が膨張をはじめている。さらに、上記粒状固形物2aが混入された原料2は水分を含んでいるため、該粒状固形物2aが混入された原料2に含まれる水分は気化を開始する。この気化した水分は、上記水蒸気穴9から水蒸気となって、外部へと放出されることになる。なお、上記上型6を下型7に嵌め合わせた後は、圧力の上昇により、金型が開かないようにロックをしておく。
【0077】
また、上記澱粉の膨張が進むと、図8(c)に示すように、上記粒状固形物2aが混入された原料2が上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部全体にわたり満たされることになる。さらにこの後も、上記澱粉の膨張と水分の気化とが続き、図8(d)に示すように、粒状固形物2aが混入された原料2が上記水蒸気穴9を通して上記上型6のリング状凹部10に排出されることになる。
【0078】
なお、この場合においては、上記粒状固形物2aが混入された原料2が上記水蒸気穴9に入り込むため、該水蒸気穴9から発生する水蒸気の量が抑えられる。したがって、上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部の内圧は上昇傾向を示すことになる。しかし、上記水蒸気穴9の大きさおよび個数を、原料の成分に応じて調整することにより、上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部で気化した水分を水蒸気穴9から抜き続けることができる。一方、上記粒状固形物2aが混入された原料2の加熱が進むにつれ、該粒状固形物2aが混入された原料が乾燥するため、該粒状固形物2aが混入された原料に含まれる水分の気化する量が減少し、水蒸気穴9から発生する水蒸気の量も少なくなる。
【0079】
よって、焼成工程が終了して発泡コーン1が成形されるときには、上型6と下型7とに挟まれた金型8におけるキャビティ部の内部の圧力は常圧となる。
【0080】
以上のように、水蒸気発泡成形では、上記粒状固形物2aが混入された原料2を激しく発泡させながら該原料から水分を抜いていく。これにより、軽い組織に仕上がった発泡コーン1を得ることが可能となる。また、金型8の形状を変えることにより、様々な形状および模様を有する発泡コーン1も成形することも可能となる。
【0081】
また、上述したとおり、上記粒状固形物2aは、上記原料に均等に混合されており、かつ、上記原料の配合量並びに上記粒状固形物2aの大きさおよび形状は、例えば、後述する実施例に示すとおり、適宜選択されていることから、上記焼成工程においても上記原料と均等に混ざり合い、上記粒状固形物2aが発泡コーン1全体にわたり均一に分散している。よって、発泡成形により組織が軽めに仕上がった可食容器自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入される。
【0082】
したがって、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになる。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなる。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器を得ることができる。
【0083】
ここで、本実施の形態の固形入りコーンについての特徴について、表1〜表3に基づいて詳述する。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
まず、本実施の形態の固形入り発泡コーン1は、小麦粉、米粉、澱粉、もち等の穀物加工品を主原料として用いる食品である。
【0088】
この種の食品として、表1及び表2に示すように、例えば、鯛焼き、タルトレット、パン類、ケーキ、お好み焼き、ビスケット、クラッカー、せんべい、おかき、ピザがある。なお、この種の食品を、以下、「Cグループ」という。
【0089】
しかしながら、これらは全てその中に他の食品を入れて持ち運び易い形状に成形することは困難であり、容器としては使用されない。
【0090】
すなわち、上記鯛焼き、ケーキ、お好み焼き、ピザは、明らかに容器として使用されない。また、上記タルトレット、パン類、ビスケット、クラッカー、せんべい、おかきは、単純な形状にしか成形できず、さらに、タルトレット以外は精巧なデザインの付与も困難である。
【0091】
また、鯛焼き、タルトレット、パン類、ケーキ、お好み焼き、ピザは、水分活性が高いので長期保存が不可能である。さらに、ビスケット、クラッカー、せんべい、おかきに関しては、組織の硬さから容器内に入れる食品の風味を殺してしまう。
【0092】
以上のことから、上記の食品は、他の食品を中に入れてその食品と共に食する可食容器としては不適切である、
次に、表3に示すように、前記従来の技術で述べた、特開昭60−83526号公報に記載されたシュガーロールコーンおよびワッフルコーン(以下、これを「Bグループ」という。)は、上記Cグループと比べると、中に他の食品を入れて持ち運び易い形状に成形することが可能である。そして、水分活性が低いので長期保存が可能であり、例えば、アイスクリームを中に入れて共に食してもその風味を損なうことは無い。したがって、Bグループは、Cグループに比べると可食容器としての適性は高い。
【0093】
しかしながら、Bグループのものは、浅形または単純な形状にしか成形できず、巻き取り円錐形加工した場合には合わせ目ができてしまうばかりか、先端部や巻き合わせ部に密閉性が無いので内容物が漏れ出してしまう。また、低圧水蒸気発泡成形であるので、組織の硬さから、ソフトクリームのような柔らかい食感を持つ内容物の風味を殺してしまい、可食性容器としては欠点が多い。
【0094】
次に、表3に示す従来の発泡コーン(以下、「Aグループ」という。)は、水分活性が低いので長期保存が可能であり、金型内でキャビティ形状に加圧発泡成形しているため、浅形〜深形のいずれにも対応可能である。また、複雑な形状や精確な形状も可能であり、かつ金型内でキャビティ形状に加圧発泡成形しているので、精巧なデザインの付与が可能である。さらに、内容物をしっかり保持するような、漏れも無く、かつ強度があり、持ち易い性能を付与することが可能である。
【0095】
また、高圧水蒸気発泡成形をしているので、食感が軽いことから、容器内に入る食べ物を殺すことなく、例えばソフトクリームやアイスクリームの風味を主体にしてこれを補助したり、冷たさを緩和したりするといった、補助的役割もこなすことができ、可食容器の理想形といえる。
【0096】
しかし、Aグループのものは、食感がソフトであるため、ソフトクリームのような柔らかいものと共に食する場合、食感が単調になり易い。そこで、この食感の単調さや、風味の単調さを補うために、クリーム部分に多種固形食品を混ぜ込んだり、クリームの上から多種固形食品を降りかけたりすることが行なわれている。いわゆるトッピングである。
【0097】
これに対して、本実施の形態の固形入りコーンでは、Aグループに固形を添加することにより、成形物組織の中に固形を添加する。これにより、食感の単調さを補うことができ、内容物のみの食感、内容物+成形物組織を組み合わせた食感、および内容物+成形物組織+固形物の食感を別々に楽しむことが可能となる。
【0098】
すなわち、風味の単調さを補うことができ、内容物のみの風味、内容物+成形物組織を組み合わせた風味、内容物+成形物組織+固形物の風味を別々に楽しむことが可能となり、それが、成形物に内容物を入れるという行為のみで可能となる。つまり、Aグループのように、後から固形物を添加しなくて良い。
【0099】
これらのことより、本実施の形態の固形入りコーンは、上記Aグループ・Bグループ・Cグループのいずれのグループよりも優れているといえる。
【0100】
次に、本実施の形態における発泡コーン1の製造方法での焼成工程において、上記粒状固形物2aが混入された原料に高周波を印加して加熱、つまり、高周波加熱を行い、発泡コーン1を成形する方法について説明する。
【0101】
ここで、高周波加熱とは、高周波電界内に加熱対象をおき、誘電損失により発生する熱を用いて対象物自体を発熱させて加熱する方法である。通常は数MHz〜数GHzの周波数帯のうち、ISM(Industrial , Scientific and Medical use )バンドとして指定される周波数帯の電界が用いられる。なお、ISM(Industrial , Scientific and Medical use )バンドとは、主として工業、科学、および、医学の分野において使用される周波数帯のことである。
【0102】
すなわち、図9に示すように、高周波電源11の電極を上型6と下型7とに接続し、高周波を印加する。これにより、上記上型6と下型7との間に高周波電界が発生し、上型6と下型7とで挟んだ加熱対象物、つまり粒状固形物2aが混入された原料2自体が発熱する。なお、上記上型6と下型7とは、短絡しないように絶縁体12により絶縁するものとする。
【0103】
上記高周波加熱を行う際には、まず上記上型6と下型7とを澱粉がα化する温度範囲つまり、ある100℃〜250℃に加熱する。なお、澱粉のα化を確実にするために150℃〜200℃の温度範囲に加熱するのがさらに好ましい。次に、この上記下型7に上記粒状固形物2aが混入された原料2を投入し、上記上型6を上記下型7に嵌め合わせる。その後、上記上型6と下型7との間に高周波を印加し、さらに加熱を強めて発泡成形を実施する。
【0104】
このように、高周波を印加することにより、高周波を印加しない場合と比較して、上記粒状固形物2aが混入された原料2の発泡は一段と促進されることになる。これは以下の理由による。まず、高周波加熱を行わずに外部からの熱のみで加熱を行った場合、つまり、外部加熱のみの場合は、上記粒状固形物2aが混入された原料2は、上記上型6と下型7とに接触した箇所から加熱され、その後、熱が内部へ伝導していく。一方、高周波加熱を実施することにより、上記粒状固形物2aが混入された原料2自体が発熱し、上記上型6と下型7とに接触した箇所からのみではなく、上記粒状固形物2aが混入された原料2の内部からも発熱する。よって、上記外部加熱と上記高周波加熱とを行うことにより、上記粒状固形物2aが混入された原料2の発泡は一段と促進されることになる。
【0105】
以上のように、上記粒状固形物2aが混入された原料2の発泡が一段と促進するとにより、上記上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部における上記粒状固形物2aが混入された原料2の流動性が高まる。これにより、上記上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部において上記粒状固形物2aを拡散させることが可能になる。すなわち、後述する実施例に示すとおり、上記粒状固形物2aが混入された原料2の配合等を考慮し、高周波の出力を適宜選択することにより、上記粒状固形物2aを上記上型6と下型7とに挟まれた金型8のキャビティ部において均一に分散させながら、発泡コーン1を形成することが可能となる。
【0106】
よって、外部加熱のみでは上記粒状固形物2aが均一に分散しないような粒状固形物2aが混入された原料2の配合であっても、高周波加熱を行うことにより発泡が一段と促進されることから、該粒状固形物2aが上記発泡コーン1の下部に該粒状固形物2aが溜まることなく、該粒状固形物2aが均一に分散している発泡コーン1を成形することが可能となる。また、外部加熱に加えて、高周波加熱を実施するため、後述する実施例に示すとおり、発泡コーン1の成形にかかる時間が大幅に短縮されることになる。
【0107】
なお、本実施の形態においては、可食容器は上記発泡コーン1であるが、必ずしもこれに限定されず、例えば、インスタント麺の容器、もなかの容器とすることも可能である。したがって、可食容器の形状は、物を載置または収容できる形状であれば良い。なお、後述する実施の形態2ないし5においても、同様とする。
【0108】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
本実施の形態においては、まず、上記粒状固形物2aを混入せずに、上記原料調整工程を実施する。すなわち、小麦粉、澱粉、砂糖、膨化材、甘味料、油脂、乳化材、安定材、および、水等を攪拌して原料を調整する。次に、上記原料を下型7に投入する上記原料投入工程を実施し、その後、図10(a)に示すように、上記粒状固形物2aを上記原料の表面に散布する粒状固形物散布工程を実施する。
【0110】
さらに、上記上型6を下型7に嵌め合わせて、上記外部加熱により、上記粒状固形物2aと上記原料とを加熱して水蒸気発泡成形する焼成工程を実施する。その後、上記焼成工程で成形された上記発泡コーン1を金型から取り出し、発泡コーン1の製造が完了する。なお、その他の焼成条件は実施の形態1と同様である。
【0111】
この結果、図10(b)に示すように、上記粒状固形物2aが上記発泡コーン1自体の底部と中間部とに、つまり発泡コーン1自体に層分離して存在する発泡コーン1が得られる。
【0112】
上記粒状固形物2aが上記発泡コーン1自体の底部と中間部とに存在するのは、以下の理由による。
【0113】
まず、上記粒状固形物2aと上記原料とを攪拌していないからである。また、上記上型6を下型7に噛み合わせる段階において、上型6の底部により、上記原料における上側表面の中心付近の上記粒状固形物2aが、上記原料の下部の方向に押し込まれるためである。さらに、上記原料における上側表面の中心付近の上記粒状固形物2a以外の粒状固形物2a、つまり、はじめから金型8のキャビティ部に対応する場所にある粒状固形物2aは、上記原料の下部の方向に押し込まれないためである。
【0114】
以上より、本実施例においても、発泡成形により組織が軽めに仕上がる発泡コーン1の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入されているため、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになる。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなる。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーン1が得られる。また、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができる。
【0115】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1および実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0116】
本実施の形態においては、上記実施の形態2と同様に、上記粒状固形物2aを混入せずに上記原料調整工程を実施した後に、上記原料を下型7に投入する上記原料投入工程を実施し、次いで、上記粒状固形物2aを上記原料の表面に散布する上記粒状固形物散布工程を実施する。この後、再度、図11(a)に示すように、上記原料投入工程と上記粒状固形物散布工程とを、この順に繰り返して実施する。なお、繰り返し回数に関しては、発泡コーン1が成形できる範囲内であれば、特に制限されるものではない。
【0117】
さらに、上記上型6を下型7に嵌め合わせて、上記外部加熱により、上記粒状固形物2aと上記原料とを加熱して水蒸気発泡成形する焼成工程を実施する。その後、上記焼成工程で成形された上記発泡コーン1を金型から取り出し、発泡コーン1の製造が完了する。なお、その他の焼成条件は実施の形態1と同様である。
【0118】
この結果、図11(b)に示すように、上記粒状固形物2aが存在する層と存在しない層とが交互に存在する発泡コーン1が得られる。
【0119】
ここで、上記粒状固形物2aが存在する層と存在しない層とが交互に存在するのは、以下の理由による。
【0120】
まず、上記粒状固形物2aと上記原料とを攪拌していないからである。また、上記上型6を下型7に噛み合わせる段階において、上型6の底部により、上記積層された各原料における上側表面の中心付近の上記粒状固形物2aが、上記原料の下部の方向に押し込まれるためである。さらに、上記積層された各原料における上側表面の中心付近の上記粒状固形物2a以外の粒状固形物2a、つまり、はじめから金型8のキャビティ部に対応する場所にある粒状固形物2aは、上記原料の下部の方向に押し込まれないためである。
【0121】
以上より、本実施の形態においても、発泡成形により組織が軽めに仕上がる発泡コーン1の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入されているため、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになる。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなる。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーン1が得られる。また、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことが可能となる。
【0122】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1ないし実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
本実施の形態においては、上記実施の形態1と同様に、上記原料調整工程、原料投入工程、焼成工程、および、製品取り出し工程を実施する。すなわち、上記粒状固形物2aを上記原料となるべく均等に混合した後に、上記原料投入工程を実施する。
【0124】
ここで、本実施の形態においては、上記発泡コーン1を成形に際し、図12(a)(b)に示すように、上記金型8のキャビティ部を形成する上記下型7の内側の側面に、上記下型7の開口部3側から底部方向に均等間隔で溝13を掘った形状、つまり、開口部3に平行な断面が円に沿うように一定間隔の凹凸形状となる下型7’を用いる。この下型7’を用いることにより、上記金型8のキャビティ部の厚み、つまり、発泡コーン1の肉厚となる厚みは、上記下型7’の内側の側面に凹凸形状に沿って対応した凹凸状となる。すなわち、上記下型7’の内側の側面に凹部が発泡コーン1の肉厚の厚い部分に、上記凸部が発泡コーン1の肉厚の薄い部分に対応する。
【0125】
一方、上記原料調整工程で混入する上記粒状固形物2aの大きさを、上記金型8のキャビティ部における肉厚の薄い部分の厚み以上、肉厚の厚い部分の厚み以下とする。すなわち、上記肉厚の薄い部分の厚みをD2、上記肉厚の厚い部分の厚みをD3とすると、上記粒状固形物2aの大きさを、D2四方のメッシュは通過しないが、D3四方のメッシュは通過する大きさとする。
【0126】
その結果、上記金型8のキャビティ部における肉厚の薄い部分には、上記粒状固形物2aが入り込めない。したがって、図12(c)(d)に示すように、上記粒状固形物2aが肉厚の厚い部分にのみ均一に分散する発泡コーン1を得ることが可能となる。また、成形される発泡コーン1の凸部の厚みが一定でない場合、つまり、厚みがD2からD3の間で変化している場合には、上記粒状固形物2aは上記凸部全体には分散せず、上記粒状固形物2aの大きさに比例した一定以上の厚みの部分においてのみ分散することになる。
【0127】
以上より、本実施例においても、発泡成形により組織が軽めに仕上がる発泡コーン1の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入されているため、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになる。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなる。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーン1が得られる。また、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とを味わうことが可能となる。
【0128】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、上記開口部3に平行な断面が円に沿うように一定間隔の凹凸形状となる発泡コーン1であるが、特にこれに限定するものではなく、上記金型8を様々な形状とすることで種々の形状、例えば、上記凹凸部の配置位置が一定間隔でない発泡コーン1、上記断面における凹部および凸部の幅が一様でない発泡コーン1とすることも可能である。
【0129】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1ないし実施の形態4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
本実施の形態においては、上記実施の形態1と同様に、上記原料調整工程、原料投入工程、焼成工程、および、製品取り出し工程を実施する。すなわち、上記粒状固形物2aを上記原料となるべく均等に混合した後に、上記原料投入工程を実施する。
【0131】
ここで、本実施の形態においては、上記発泡コーン1の成形に際し、図13(a)に示すように、上記金型8のキャビティ部の厚みが下方で厚くなるように、実施の形態1で示した下型7の内側の側面下部をさらに掘ったような形状となる下型7”を用いる。この下型7”を用いて発泡コーン1を成形すると、上部の肉厚が薄く、かつ、下部の肉厚が厚い発泡コーン1が得られることになる。
【0132】
一方、上記原料調整工程で混入する上記粒状固形物2aの大きさは、上記金型8のキャビティ部における肉厚の薄い部分の厚み以上、肉厚の厚い部分の厚み以下とする。すなわち、上記肉厚の薄い部分の厚みをD4、上記肉厚の厚い部分の厚みをD5とすると、上記粒状固形物2aの大きさを、D4四方のメッシュは通過しないが、D5四方のメッシュは通過する大きさとする。
【0133】
これにより、上記上型6を噛み合わせて焼成した場合には、上記金型8のキャビティ部における上方の肉厚の薄い部分には上記粒状固形物2aが入り込めない。したがって、図13(b)に示すように、上記粒状固形物2aが下方の肉厚の厚い部分にのみ均一に分散する発泡コーン1を得ることが可能となる。また、成形される発泡コーン1の下部の厚みが一定でない場合、例えば、最下部の厚みがD5であり、上部に向かうにつれ徐々にD4となる場合には、上記粒状固形物2aは上記下部全体には分散せず、上記粒状固形物2aの大きさに比例した一定以上の厚みの部分においてのみ分散することになる。
【0134】
以上より、本実施の形態においても、発泡成形により組織が軽めに仕上がる発泡コーン1の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入されているため、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになる。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなる。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーン1が得られる。また、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とを味わうことが可能となる。
【0135】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、発泡コーン1の下部の肉厚が上部の肉厚に比べて厚い形状となる発泡コーン1であるが、特にこれに限定するものではなく、上記金型8を様々な形状とすることで種々の形状、例えば、上記肉厚の厚い下部の形状を、実施の形態4に示した凹凸部の形状となる発泡コーン1とすることも可能である。
【0136】
【実施例】
〔実施例1〕
上記実施の形態1における発泡コーン1の実施例について説明する。
【0137】
まず、原料として、小麦粉、澱粉、砂糖、膨化剤、甘味料、油脂、乳化剤、安定剤、および、水を用いた。また、上記原料からなる配合は、表1に示すとおり、(1)から(10)までの10通りの配合とした。なお、表4の粘度を除く各数値の単位は重量部とする。
【0138】
【表4】
【0139】
ここで、(1)の配合を基準とすると、(2)の配合は、(1)の配合中の膨化剤の量を2倍にしたものである。(3)の配合は、(1)の配合中の小麦粉と澱粉との量を減らし、その減らした量だけ砂糖の量を増やしたものである。(4)の配合は、(1)の配合中の小麦粉の量を零とし、その分だけ澱粉の量を増加させたものである。(5)の配合は、(1)の配合中の澱粉の量を零とし、その分だけ小麦粉の量を増加させ、かつ、膨化剤の量を2倍にしたものである。(6)の配合は、(1)の配合中の水の量を増加させたものである。(7)の配合は、(1)の配合中の水の量を減少させたものである。(8)の配合は、(1)の配合中の水の量を減少させ、かつ、膨化剤の量を2倍にしたものである。(9)の配合は、(1)の配合中の水の量を減少させ、かつ、小麦粉と澱粉との量を減らし、その小麦粉と澱粉との減らした量だけ砂糖の量を増やしたものである。最後に、(10)の配合は、(1)の配合中にさらに安定剤を加えたものである。
【0140】
上記の(1)から(10)の各配合による、配合した原料の粘度、つまり粘性率は、以下の通りとなった。まず、(2)から(5)までの配合の粘度は、(1)の配合の場合と同様に20となった。これは、水の量が同じであり、かつ、水を除く原料の量が(1)の場合とほぼ同じであるからである。また、(6)の配合では、(1)の配合に比べ、水の量を増加させたことにより、粘度が3となっている。さらに、(7)から(9)までの配合では、(1)の配合に比べ、水の量が少ないために、粘度が非常に高くなり、ドウと呼ばれる状態となった。なお、ドウとは、原料そのものの性状のことをいう。最後に、(10)の配合では、上述のとおり、(1)の配合に安定剤を加えているため粘度が非常に高くなり、この場合も(7)から(9)までの配合と同様にドウとなった。
【0141】
次に、上記原料に混入させる粒状固形物2aについて説明する。
【0142】
ここで、上記原料に混入する上記粒状固形物2aは、表5に示すとおり、AからPまでの合計16種類を使用した。
【0143】
【表5】
【0144】
粒状固形物Aは、アーモンドを粉砕した物、つまりアーモンド粉砕物であり、6mm四方のメッシュ、つまり、網目を通らないものである。粒状固形物Bは、6.0mm四方のメッシュは通るが、5.5mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Cは5.5mm四方のメッシュは通るが、5.0mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Dは5.0mm四方のメッシュは通るが、4.5mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Eは4.5mm四方のメッシュは通るが、4.0mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Fは4.0mm四方のメッシュは通るが、3.5mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Gは3.5mm四方のメッシュは通るが、3.0mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Hは3.0mm四方のメッシュは通るが、2.5mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Iは2.5mm四方のメッシュは通るが、2.0mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Jは2.0mm四方のメッシュは通るが、1.5mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Kは1.5mm四方のメッシュは通るが、1.0mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。粒状固形物Lは1.0mm四方のメッシュは通るが、0.5mm四方のメッシュは通らないアーモンド粉砕物である。
【0145】
また、粒状固形物Mは、アーモンドをスライス状に切りわけたアーモンドスライスであり、スライスした厚みが1mm以上、2mm未満である。スライスした断面の長い方の部分、仮に長軸とすると、この長さが10mm以上、20mm以下であり、短い方の部分、仮に短軸とすると、この長さが8mm以上、13mm以下である。粒状固形物Nは、アーモンドをスライス状に切りわけたアーモンドスライスであり、スライスした厚みが2mm以上、3mm未満である。スライスした断面の長い方の部分の長さ、つまり長軸長と、短い方の部分の長さ、つまり短軸長とは、粒状固形物Mと同じである。粒状固形物Oは、アーモンドをスライス状に切りわけたアーモンドスライスであり、スライスした厚みが3mm以上、4mm未満である。スライスした断面の長い方の部分、つまり長軸長と、短い方の部分、つまり短軸長とは、粒状固形物Mと同じである。粒状固形物Pには、ゴマを用いた。
【0146】
次に、上記(1)から(10)の配合からなる原料に対して、上記AからPの各粒状固形物2aを選択して混入した。なお、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入する直前に、上記粒状固形物2aが上記原料中で均一に分散するように、十分に該粒状固形物2aが混入された原料2を攪拌した。ここで、粒状固形物2aの混入量は、各配合(1)から(10)の各固形分に対して、約10パーセントとした。すなわち、小麦粉、澱粉、砂糖、膨化剤、甘味料、油脂、乳化剤、および、安定剤の各原料の総量が全体の約90パーセントの量とになるように、上記粒状固形物2aを混入した。例えば、(1)の配合においては、小麦粉、澱粉、砂糖、膨化剤、甘味料、油脂、および、乳化剤の各原料の総量が562.5となるため、上記粒状固形物2aの量を約62とした。
【0147】
さらに、金型8のキャビティ部の厚みがそれぞれ異なる数種類の上記上型6と下型7とを用い、上記粒状固形物2aが混入された原料2を加熱して発泡成形した。その後、発泡コーン1を金型8から取り出し、上記粒状固形物2aが発泡コーン1において均一に分散しているかを調べた。なお、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入する前に、すでに外部加熱によって、上記上型6と下型7とは180℃の温度に熱せられている。
【0148】
その結果、表6に示すとおり、上記(1)から(10)の配合からなる原料と、上記AからPの粒状固形物2aと、上記金型8のキャビティ部の厚みとの組み合わせによっては、上記粒状固形物2aが均一に分散している発泡コーン1を得ることができた。
【0149】
【表6】
【0150】
以下に、上記粒状固形物2aの分散結果について検討する。
【0151】
まず、上記キャビティ部の厚みが5mmとなる金型8を用いて、肉厚5mmの発泡コーン1を形成する際に、上記(1)の配合からなる原料に上記粒状固形物AまたはBを混入した場合は、上記粒状固形物AおよびBが上記上型6と下型7とで挟まれ分散しなかった。また、上記粒状固形物Cを混入した場合は、上記上型6と下型7とで挟まれるが、この挟み込まれる圧が上記粒状固形物AおよびBより小さくなる。よって、発泡成形時に多少は分散するが、上記粒状固形物Cが分散していない部分が存在した。さらに、上記粒状固形物Dを混入した場合は、上記上型6と下型7とで挟まれることなくほぼ均一に分散することとなった。しかし、上記粒状固形物Dの大きさゆえ、分散時の上記上型6と下型7との抵抗が大きく、多少の分散ムラが生じた。一方、上記粒状固形物Eを混入した場合は、上記上型6と下型7とで挟まれることなく均一に分散した。
【0152】
次に、上記(6)の配合からなる原料では、他の配合からなる原料と比較して、明らかに上記粒状固形物2aの分散性が悪くなっている。これは、下型7への投入直前には、十分に攪拌していたにも関わらず、配合した原料の粘度が低いために、粒状固形物2aが金型8のキャビティ部の下部にすぐ沈降してしまうためである。
【0153】
また、上記配合からなる原料(1)、(2)、および、(3)に対して、各配合毎に上記粒状固形物H、J、および、Oを混入した場合と、上記配合からなる原料(7)、(8)、および、(9)に対して、各配合毎に上記粒状固形物H、J、および、Oを混入した場合とにおいて上記粒状固形物2aの分散状況を比較する。
【0154】
結果は、表3に示すとおり、上記配合からなる原料(7)、(8)、および、(9)に対して、上記粒状固形物H、J、および、Oを混入した場合の方が、上記粒状固形物が均一に分散していた。これは、各配合(7)、(8)、および、(9)の粘度が非常に高く、ドウ状態になっているため、常に原料中で均一に上記粒状固形物2aが分散しているからである。
【0155】
より詳しくは、上記粒状固形物2aが混入している原料2が投入されている下型7に上記上型6を嵌め合わせる工程においては、ドウでは伸びる速さが遅いために、同時に上記粒状固形物2aも上記ドウと同様な速さで分散するからである。また、上記配合からなる原料(1)、(2)、および、(3)のような、スラリー状、つまり液状のものでは、上記粒状固形物2aを除いた原料の伸びる速さが、上記粒状固形物2aが分散する速さよりも速いため、上記粒状固形物2aの種類によっては、ドウ状のものと同様な分散性が得られないためである。
【0156】
以上のように、若干分散しにくい粒状固形物2aに対しては、ドウ状の原料を用いて、上記発泡コーン1を成形するのが好ましい。
【0157】
また、上記発泡コーン1の肉厚と上記粒状固形物2aの大きさとの関係については、上記粒状固形物2aが上記発泡コーン1の肉厚よりも大きい場合、つまり、上記粒状固形物2aが上記金型8のキャビティ部の厚みよりも大きい場合には、上記粒状固形物2aは、上記上型6と下型7との間に挟まれて、ほとんど分散しなかった。一方、上記粒状固形物2aの大きさが上記発泡コーン1の肉厚よりも小さい場合、つまり、上記粒状固形物2aが上記金型8のキャビティ部の厚みよりも小さい場合には、どの組み合わせでも上記粒状固形物2aが上記発泡コーン1において均一に分散した。
【0158】
ここで、上記粒状固形物2aが上記金型8のキャビティ部の厚みよりも大きい場合とは、上記キャビティ部の厚みをD1とすると、上記粒状固形物2aがD1四方のメッシュを通過しない大きさであることを示すものである。また、上記粒状固形物2aが上記金型8のキャビティ部の厚みよりも小さい場合とは、上記粒状固形物2aがD1四方のメッシュを通過する大きさであることを示すものである。
【0159】
さらに、上記アーモンドスライスの場合では、上記発泡コーン1の肉厚よりも上記スライスした断面の長い方の部分、つまり長軸が長くても、上記アーモンドスライスの厚みが、上記発泡コーン1の肉厚よりも薄ければ、上記粒状固形物2aは均一に分散した。なお、上記粒状固形物2aが上記発泡コーン1の肉厚よりも大きい場合は、上記上型6と下型7とにより応力を受けて変形するため、上記粒状固形物2aが上記発泡コーン1の肉厚よりも大きくても発泡コーン1の成形は可能である。しかし、上述のとおり、上記上型6と下型7との間に挟まれ、ほとんど分散しない。
【0160】
以上のように、上記粒状固形物2aが上記金型8のキャビティ部の厚みよりも大きい部分を有していても、上記粒状固形物2aの厚みが上記金型8のキャビティ部の厚みよりも薄ければ、上記粒状固形物2aが均一に分散した発泡コーン1を成形することが可能である。よって、上記粒状固形物2aが上記上型6と下型7とに挟まれずに均一に分散するか否かは、上記粒状固形物2aの形状及び最小部分の厚みに依存することになる。
【0161】
さらに、上記配合からなる原料(1)、(2)、(3)、(4)、および、(5)に対して、ほぼ同じ大きさの粒状固形物JおよびPを混入させた場合について比較すると、上記粒状固形物Pの方が、つまり、ゴマの方が上記粒状固形物Jよりもより均一に分散した。この結果、上記粒状固形物2aの形状としては、全体的に形状が揃っており、流線型をした抵抗の少ない形状の方が、均一に分散しやすいことがわかる。
【0162】
なお、上記粒状固形物2aの大きさに対して、上記水蒸気穴9の大きさは適切に選択することが必要である。例えば、上記粒状固形物IおよびPのようなものを混入する場合には、上記水蒸気穴9の開口径を約1.5mmとすると、上記粒状固形物2aが上記水蒸気穴9に詰まり、蒸気の抜けが悪くなり、上記粒状固形物2aの分散状態はもとより、発泡コーン1の成形状態も悪くなる。一方、上記水蒸気穴9の開口径を約5.5mmとすると、上記金型8のキャビティ部の内圧が上がりきらず、発泡コーン1の形成に困難を生じる。そこで、例えば、上記水蒸気穴9の開口径を約3.0mmとしたところ、蒸気の抜けが適度な状態になり、上記粒状固形物2aが均一に分散した成形状態の良い発泡コーン1を得ることができた。このように、上記水蒸気穴9の開口径は、上記粒状固形物2aの大きさに基づいて、上記金型8のキャビティ部の内圧が上がる範囲内とする必要があり、現実に使用される上記粒状固形物2aの大きさ等を考慮し、0.5mm以上、10.0mm以下に形成されるのが好ましい。
【0163】
以上より、本実施例においては、発泡成形により組織が軽めに仕上がる発泡コーン1の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入されているため、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになった。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなった。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーン1が得られた。
【0164】
〔実施例2〕
上記実施の形態1における、他の発泡コーン1の実施例について説明する。
【0165】
まず、上記実施例1で用いた(7)、(8)、および、(9)の配合からなる原料に対して、上記実施例1で用いた粒状固形物Iを混入した。ここで、上記粒状固形物Iの混入量は、各配合(7)から(9)の各固形分に対して、約30パーセントとした。すなわち、重量部で約240とした。
【0166】
また、上記実施例1と同様に、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入する直前に、上記粒状固形物2aが上記原料中で均一に分散するように、十分に該粒状固形物2aが混入された原料2を攪拌した。
【0167】
ここで、上記水蒸気穴9の開口径は、上記粒状固形物Iの大きさに基づいて、上記金型8のキャビティ部の内圧が上がり、上記上記粒状固形物Iが上記水蒸気穴9に詰まらない範囲内で設定した。なお、上記水蒸気穴9の開口径が上記粒状固形物Iよりも若干小さくても、つまり、通常であれば上記粒状固形物Iが詰まる大きさであっても、上記キャビティ部の発泡状態が激しく急激に内圧が上昇する場合には、その内圧により詰まることなく外部へ放出させることができる。
【0168】
さらに、上記外部加熱だけではなく、さらに高周波加熱も加えて、上記粒状固形物2aが混入された原料2を加熱して発泡成形した。その後、発泡コーン1を金型8から取り出し、上記粒状固形物2aが発泡コーン1において均一に分散しているかを調べた。なお、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入する前に、外部加熱によって、上型6と下型7とは180度の温度まで加熱をしている。
【0169】
ここで、上記高周波の印加条件は、表7に示すとおり、条件(a)から(c)の3つの条件とした。なお、各条件(a)から(c)では、それぞれ加熱時間の経過に従い、3段階に高周波の印加出力を変化させて焼成した。ここで、高周波の印加出力は、発振器の陽極電流値に比例するため、発振器陽極電流値で示す。
【0170】
【表7】
【0171】
まず、初めに上記条件(a)については、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入して、上型6を嵌め合わせた後に、6秒間、上記粒状固形物2aが混入された原料2に陽極電流値0.50Aの出力の高周波を印加した。その後、8秒間、0.35Aの電流を、次いで、8秒間、0.25Aの電流を流した。この結果、上記粒状固形物2aは、発泡コーン1の上方部分に偏って分散した。
【0172】
また、上記条件(b)については、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入して、上型6を嵌め合わせた後に、8秒間、上記粒状固形物2aが混入された原料2に0.35Aの電流が流れる出力の高周波を印加した。その後、7秒間、0.40Aの電流を、次いで、8秒間、0.25Aの電流を流した。この結果、上記粒状固形物2aは、発泡コーン1の全体に均一に分散した。
【0173】
さらに、上記条件(c)については、上記粒状固形物2aが混入された原料2を下型7に投入して、上型6を嵌め合わせた後に、9秒間、上記粒状固形物2aが混入された原料2に0.25Aの電流が流れる出力の高周波を印加した。その後、7秒間、0.40Aの電流を、次いで、8秒間、0.30Aの電流を流した。この結果、上記粒状固形物2aは、発泡コーン1の下方部分に偏って分散した。
【0174】
ここで、比較のために、高周波加熱を実施せずに外部加熱のみで上記粒状固形物2aが混入された原料2の焼成も行い、上記粒状固形物2aの分散状態も調べた。なお、上記焼成は、上記上型6と下型7との温度を180度とし、90秒間、行った。その結果、高周波を印加したときの条件(C)と同様に、上記粒状固形物2aは発泡コーン1の下方部分に偏って分散した。
【0175】
一方、高周波加熱を用いて焼成する際には、焼成初期の段階、つまり、例えば上記条件(a)の場合には6秒間にわたり0.50Aの電流を流している段階で原料の硬化が促進する。このため、この間における上記粒状固形物2aの分散位置により、上記発泡コーン1における上記粒状固形物2aの分散位置が決定される。
【0176】
したがって、上記条件(a)のように高周波の初期の印加出力を高くすると、上記金型8のキャビティ部での上記粒状固形物2aが混入された原料2の発泡性が増し、上記粒状固形物2aを該金型8のキャビティ部の上方で分散させることができる。また、上記条件(c)のように高周波の初期の印加出力を低くすると、上記金型8のキャビティ部での上記粒状固形物2aが混入された原料2の発泡性を抑えることができ、上記粒状固形物2aを該金型8のキャビティ部の下方で分散させることもできる。さらに、上記条件(a)と条件(c)との間の印加出力、つまり、条件(b)の印加出力とすることにより、上述のとおり、上記粒状固形物2aを該金型8のキャビティ部の全体で均一に分散させることもできる。
【0177】
以上の結果から、外部加熱のみでは上記粒状固形物2aが均一に分散しないような粒状固形物2aが混入された原料2の配合であっても、高周波加熱を行うことにより発泡が一段と促進され、さらに、印加する高周波の出力を制御することにより、該粒状固形物2aが均一に分散している発泡コーン1を成形することが可能となった。また、外部加熱に加えて、高周波加熱を実施するため、発泡コーン1の成形にかかる時間が大幅に短縮された。
【0178】
次に、高周波加熱による上記粒状固形物2aの焦げ状態について調べた。なお、上記焦げ状態の調査では、上記実施例1で用いた(1)から(3)、および、(7)から(9)の配合からなる原料に対して、上記実施例1で用いた粒状固形物JおよびPを混入して調査した。ここで、上記粒状固形物JおよびPの混入量は、上記各配合の各固形分に対して、約10パーセントとした。すなわち、上記粒状固形物JおよびPの混入量を重量部で約62とした。また、高周波の印加条件は、上記条件(a)、(b)、および、(c)の3条件で調べた。
【0179】
その結果、表8に示すとおり、(1)から(3)の配合のようにスラリー状となる原料では、粒状固形物Pのゴマは焦げなかったが、粒状固形物Jのアーモンド粉砕物は、高周波の条件(C)を除き、焦げが生じた。このように、上記粒状固形物2aの種類により焦げやすさが異なることがわかった。一方、焦げやすい粒状固形物Jのアーモンド粉砕物を、(7)から(9)の配合のようにドウ状となる原料に投入して焼成すると焦げが発生しなかった。したがって、上記粒状固形物2aの種類に応じて原料を選択することにより、焦げが生じない発泡コーン1を得ることができる。
【0180】
【表8】
【0181】
以上より、本実施例においても、発泡成形により組織が軽めに仕上がる発泡コーン1の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物2a自体が混入されているため、上記粒状固形物2a自体の硬さが該粒状固形物2aの周囲の部分と比べて強調されることになった。また、粒状固形物2a自体を混入して発泡成形しているため、香気成分が分解されたり、もしくは上記水蒸気穴9から外部へ排出されたりすることが非常に少なくなった。それゆえ、粒状固形物2a自体の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーン1が得られた。
【0182】
〔実施例3〕
上記実施の形態2における発泡コーン1の実施例について説明する。
【0183】
本実施例においては、上記実施の形態1で使用した(1)から(5)の配合からなる原料をそれぞれ別に調整し、上記下型7に投入した後、上記実施の形態1で用いた粒状固形物IまたはPを上記原料の表面に散布した。ここで、各配合(1)から(5)の配合からなる原料を18.5gとし、上記粒状固形物IまたはPの散布量を1gとした。
【0184】
さらに、上記上型6を下型7に噛み合わせたせた後、上記外部加熱により、上記粒状固形物IまたはPが混入された原料2を加熱して発泡成形した。なお、上記原料2を下型7に投入する前に、すでに外部加熱によって、上記上型6と下型7とは180℃の温度に熱せられている。
【0185】
この結果、全ての組み合わせ、すなわち、(1)から(5)の配合からなる原料と粒状固形物IまたはPとの組み合わせにおいて、上記粒状固形物IまたはPが上記発泡コーン1自体の底部と中間部とに、つまり発泡コーン1自体に層分離して存在する発泡コーン1が得られた。
【0186】
〔実施例4〕
上記実施の形態3における発泡コーン1の実施例について説明する。
【0187】
本実施例においては、上記実施の形態1で使用した(1)から(5)の配合からなる原料をそれぞれ別々に調整し、上記下型7に上記原料をまず5g投入した。次に、上記実施の形態1で用いた粒状固形物IまたはPを上記原料の表面に0.3g散布した。この後、再度、上記粒状固形物IまたはPの上に上記原料を6g投入し、その表面に上記粒状固形物IまたはPを0.3g散布した。さらに再度、上記粒状固形物IまたはPの上に上記原料を7.5g投入し、その表面に上記粒状固形物IまたはPを0.4g散布した。その後、上記上型6を下型7に噛み合わせ、上記外部加熱により、上記粒状固形物IまたはPが混入された原料2を加熱して発泡成形した。なお、上記原料2を下型7に投入する前に、すでに外部加熱によって、上記上型6と下型7とは180℃の温度に熱せられている。
【0188】
この結果、全ての組み合わせ、すなわち、(1)から(5)の配合からなる原料と粒状固形物IまたはPとの組み合わせにおいて、上記粒状固形物IまたはPが存在する層と存在しない層とが交互に存在する発泡コーン1が得られた。
【0189】
〔実施例5〕
上記実施の形態4における発泡コーン1の実施例について説明する。
【0190】
本実施例においては、上記実施の形態1で使用した(1)および(7)の配合からなる原料に上記粒状固形物Eを混入して原料を調整した。次に、上記粒状固形物Eが混入している原料2を上記下型7’に投入し、この後、上記上型6を上記の型の内側に凹凸形状を有する下型7’に噛み合わせ、上記外部加熱により、上記粒状固形物Eが混入された原料2を加熱して発泡成形した。なお、上記原料2を下型7’に投入する前に、すでに外部加熱によって、上記上型6と下型7とは180℃の温度に熱せられている。
【0191】
ここで、上記粒状固形物Eの混入量は、各配合(1)および(7)の各固形分に対して、約10パーセントとした。すなわち、重量部で約62とした。また、上記金型8のキャビティ部の肉厚の薄い部分の厚みが2.5mm、肉厚の厚い部分の厚みが5mmとなる上型6と下型7とを用いた。
【0192】
この結果、上記粒状固形物Eは4mm四方のメッシュを通らない大きさを有する粉砕物であるため、上記金型8のキャビティ部の肉厚の薄い部分には上記粒状固形物Eは入り込まず、肉厚の厚い部分にのみ存在することになった。
【0193】
したがって、(1)または(7)の配合からなる原料と粒状固形物Eとの組み合わせにおいて、上記粒状固形物Eが肉厚の厚い部分にのみ均一に分散する発泡コーン1が得られた。
【0194】
〔実施例6〕
上記実施の形態5における発泡コーン1の実施例について説明する。
【0195】
本実施例においては、上記実施の形態1で使用した(1)および(7)の配合からなる原料に、それぞれ上記粒状固形物Eを混入して原料を調整した。次に、上記粒状固形物Eが混入している原料2を上記下型7”に投入し、この後、上記上型6を上記下型7”に噛み合わせ、上記外部加熱により、上記粒状固形物Eが混入された原料2を加熱して発泡成形した。なお、上記原料2を下型7”に投入する前に、すでに外部加熱によって、上記上型6と下型7とは180℃の温度に熱せられている。
【0196】
ここで、上記粒状固形物Eの混入量は、各配合(1)および(7)の各固形分に対して、約10パーセントとした。すなわち、重量部で約62とした。また、上記金型8のキャビティ部における肉厚の薄い部分の厚みが2.5mm、肉厚の厚い部分の厚みが5mmとなる上型6と下型7”とを用いた。
【0197】
この結果、上記粒状固形物Eは4mm四方のメッシュを通らない大きさを有する粉砕物であるため、上記金型8のキャビティ部における肉厚の薄い部分には上記粒状固形物Eは入り込まず、肉厚の厚い部分にのみ存在することになった。
【0198】
したがって、(1)または(7)の配合からなる原料と粒状固形物Eとの組み合わせにおいて、上記粒状固形物Eが肉厚の厚い下部の部分にのみ均一に分散する発泡コーン1が得られた。
【0199】
以上のように、本発明の可食容器の製造方法は、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む原料に粒状固形物を混ぜる原料調整工程と、上記粒状固形物を混ぜた原料を金型内で加熱して容器形状に発泡成形する焼成工程とからなる方法でもある。
【0200】
この発明によれば、可食容器の少なくとも小麦粉、澱粉、および水分を含む原料に粒状固形物を混ぜた後、上記粒状固形物を混ぜた原料を金型内で加熱して容器形状に発泡成形する。
【0201】
それゆえ、原料の発泡と容器形状への成形が同時にできる。そして、発泡成形により組織が軽めに仕上がった可食容器自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が均一に分散して存在することになる。したがって、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器の製造できる。
【0202】
以上のように、本発明の可食容器製造装置は、原料を金型にて容器形状に発泡成形して可食容器を焼成する可食容器製造装置において、上記金型は、金型内で発生した水蒸気を金型外部へ逃がす水蒸気穴を備え、上記水蒸気穴の開口径は、粒状固形物の大きさに基づいて、0.5mm以上、10.0mm以下に形成されているものでもある。
【0203】
この構成によれば、上記可食容器製造装置で製造される可食容器は発泡成形されているため、組織が軽めに仕上がっている。また、上記金型内の水蒸気を外部に逃がす水蒸気穴の開口径が0.5mm以上、10.0mm以下である。
【0204】
したがって、粒状固形物の大きさ、成形する可食容器の形状および肉厚、原料の物性、および、水蒸気穴の個数等を考慮して、水蒸気穴の開口径を上記範囲内で選択することにより、粒状固形物を上記水蒸気穴に詰まらせることがなく、上記金型内の内圧を上げ、上記粒状固形物を金型内で分散させることができる。これにより、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器を製造できる。
【0205】
また、本発明の可食容器製造装置は、可食容器が発泡コーンである。この構成によれば、可食容器製造装置によって発泡コーンを製造できる。したがって、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーンを製造可能となる。
【0206】
【発明の効果】
本発明の可食容器は、以上のように、雄型と雌型との各金型の間に投入された粒状固形物および原料に対して加熱による発泡と容器形状への成形とを同時に行なって形成されることにより、該容器自体に粒状固形物が混入されてなり、容器自体に厚肉部と薄肉部とが形成されているとともに、粒状固形物は、上記容器自体の厚肉部にのみ存在するものである。
【0207】
それゆえ、焼成による発泡によって容器形状に成形されるとともに、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器を提供することができるという効果を奏する。
【0208】
さらに、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができるという効果を奏する。
【0209】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、原料は、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む成形用原料からなるものである。
【0210】
それゆえ、上記成型用原料を、加熱により発泡させることによって、容器自体の組織を軽めに仕上げることができる。
【0211】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、成形用原料は、ドウ状になっているものである。
【0212】
それゆえ、金型への投入前における、粒状固形物の原料への混入の仕方、例えば均一に混入したり、偏って混入したりすることにより、可食容器内での粒状固形物の分散状態を様々に変化させることが可能となるという効果を奏する。
【0213】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、容器形状への成形は、原料を加熱することにより、主として、澱粉の膨張と水分の気化とによる水蒸気発泡によって行われるものである。
【0214】
それゆえ、原料を加熱すると、澱粉のα化による膨張と水分の気化とによる水蒸気発泡によって、可食容器自体の中に水蒸気が抜けた気泡が形成され、これによって、発泡倍率が高くなり、容器自体が軽く食感のソフトな可食容器を提供することができるという効果を奏する。
【0215】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、原料の発泡倍率が、1.5〜10倍であるものである。
【0216】
それゆえ、確実に、食感のソフトな可食容器を提供することができるとともに、混入されている粒状固形物の硬さによる食感が充分に強調される可食容器を提供することができるという効果を奏する。
【0217】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、粒状固形物は、植物種実の粗粒であるものである。
【0218】
それゆえ、発泡した可食容器のソフトさに対してこの植物種実の硬さによる異種の食感を味わうことができるという効果を奏する。
【0219】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、容器自体が発泡コーンであるものである。
【0220】
それゆえ、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーンを提供することができるという効果を奏する。
【0221】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、粒状固形物が均一に分散しているものである。
【0222】
それゆえ、可食容器自体の厚肉部全体にわたって、粒状固形物の食感を味わうことができ、その結果、可食容器の厚肉部を全て食べ終えるまで、粒状固形物を味わうことができるという効果を奏する。
【0223】
また、本発明の可食容器は、上記の可食容器において、粒状固形物が層分離して存在しているものである。
【0224】
それゆえ、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができるという効果を奏する。
【0225】
また、本発明の可食容器の製造方法は、以上のように、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む原料を混ぜる原料調整工程と、上記原料を金型に投入する原料投入工程と、上記金型に投入された原料の表面に上記粒状固形物を散布する粒状固形物散布工程と、上記原料と粒状固形物とを上記金型内で加熱して容器形状に発泡成形する焼成工程とからなる方法である。
【0226】
それゆえ、原料の発泡と容器形状への成形とが同時にできる。そして、発泡成形により組織が軽めに仕上がった可食容器自体の中に、香りおよび風味のもととなる粒状固形物が可食容器自体の中で層分離して存在することになる。
【0227】
したがって、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができるとともに、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る可食容器の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【0228】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、原料投入工程と粒状固形物散布工程とを少なくとも一度以上繰り返し行った後に焼成工程を行う方法である。
【0229】
それゆえ、外観の特異さに加えて、粒状固形物の入っていない層と粒状固形物の入った層とをそれぞれ交互に味わうことができるという効果を奏する。
【0230】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、焼成工程は、原料と粒状固形物とを高周波を印加して加熱する高周波加熱工程を含む方法である。
【0231】
それゆえ、従来よりも短い時間で焼成工程を完了することが可能となるという効果を奏する。
【0232】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、高周波の印加出力を変えて加熱する方法である。
【0233】
それゆえ、可食容器容器自体の中での固形物の分散状態を制御することが可能となるという効果を奏する。
【0234】
また、本発明の可食容器の製造方法は、上記の可食容器の製造方法において、可食容器が発泡コーンである方法である。
【0235】
それゆえ、粒状固形物の食感が強調され、かつ、香りおよび風味が豊かとなり得る発泡コーンの製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における可食容器の実施の一形態を示すものであり、発泡コーンの正面図である。
【図2】 (a)は上記可食容器である発泡コーンの他の形状を示す平面図であり、(b)は発泡コーンの形状を示す(a)のL−L線断面図である。
【図3】 (a)は上記可食容器である発泡コーンのさらに他の形状を示す平面図であり、(b)は上記発泡コーンの形状を示す(a)のJ−J線断面図である。
【図4】 (a)は上記可食容器である発泡コーンのさらに他の形状を示す平面図であり、(b)は上記発泡コーンの形状を示す(a)のK−K線断面図である。
【図5】 上記可食容器である発泡コーンの製造工程図である。
【図6】 (a)は上記可食容器である発泡コーンを成形する際に用いる金型の下型を示す平面図であり、(b)は上記金型の下型を示す断面図であり、(c)は上記金型の上型を示す平面図であり、(d)は上記金型の上型を示す正面図である。
【図7】 (a)は上記可食容器である発泡コーンを成形する際に用いる他の金型の下型を示す平面図であり、(b)は上記金型の下型を示す断面図であり、(c)は上記金型の上型を示す平面図であり、(d)は上記金型の上型を示す正面図である。
【図8】 (a)〜(d)は、上記可食容器である発泡コーンを発泡成形する際の原料の発泡状態を示す断面図である。
【図9】 上記可食容器である発泡コーンを高周波加熱により成形する際の断面図である。
【図10】 (a)は本発明における可食容器の他の実施の形態を示すものであり、製造工程の一工程を示す断面図であり、(b)は上記他の発泡コーンの正面図である。
【図11】 (a)は本発明における可食容器のさらに他の実施の形態を示すものであり、製造工程の一工程を示す断面図であり、(b)は上記さらに他の発泡コーンの正面図である。
【図12】 (a)は本発明における可食容器のさらに他の実施の形態を示すものであり、発泡コーンを成形する際に用いる他の金型の下型を示す平面図であり、(b)は上記金型の下型を示す断面図であり、(c)は上記さらに他の発泡コーンの正面図であり、(d)は上記さらに他の発泡コーンの平面図である。
【図13】 (a)は本発明における可食容器のさらに他の実施の形態を示すものであり、発泡コーンを成形する際に用いる他の金型を示す断面図であり、(b)は上記さらに他の発泡コーンの断面図である。
【符号の説明】
1 発泡コーン(可食容器)
2 粒状固形物が混入された原料
2a 粒状固形物
3 開口部
6 上型(雄型)
7・7’・7” 下型(雌型)
8 金型
9 水蒸気溝(水蒸気穴)
11 高周波電源
12 絶縁体
Claims (14)
- 雄型と雌型との各金型の間に投入された粒状固形物および原料に対して加熱による発泡と容器形状への成形とを同時に行なって形成されることにより、該容器自体に粒状固形物が混入されてなり、
容器自体に厚肉部と薄肉部とが形成されているとともに、
粒状固形物は、上記容器自体の厚肉部にのみ存在することを特徴とする可食容器。 - 原料は、少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む成形用原料からなることを特徴とする請求項1記載の可食容器。
- 成形用原料は、ドウ状になっていることを特徴とする請求項2記載の可食容器。
- 容器形状への成形は、原料を加熱することにより、主として、澱粉の膨張と水分の気化とによる水蒸気発泡によって行われることを特徴とする請求項2又は3記載の可食容器。
- 原料の発泡倍率が、1.5〜10倍であることを特徴とする請求項項1〜4のいずれか1項に記載の可食容器。
- 粒状固形物は、植物種実の粗粒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の可食容器。
- 容器自体が発泡コーンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の可食容器。
- 粒状固形物が、均一に分散していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の可食容器。
- 粒状固形物が、層分離して存在していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の可食容器。
- 少なくとも小麦粉、澱粉および水分を含む原料を混ぜる原料調整工程と、
上記原料を金型に投入する原料投入工程と、
上記金型に投入された原料の表面に上記粒状固形物を散布する粒状固形物散布工程と、
上記原料と粒状固形物とを上記金型内で加熱して容器形状に発泡成形する焼成工程とからなることを特徴とする可食容器の製造方法。 - 原料投入工程と粒状固形物散布工程とを少なくとも一度以上繰り返し行った後に焼成工程を行うことを特徴とする請求項10記載の可食容器の製造方法。
- 焼成工程は、原料と粒状固形物とを高周波を印加して加熱する高周波焼成工程を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の可食容器の製造方法。
- 高周波の印加出力を変えて加熱することを特徴とする請求項12記載の可食容器の製造方法。
- 可食容器が発泡コーンであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の可食容器の製造方法。
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