JP3698891B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、相変化メディアを駆動する光ディスク装置に係り、特に、その再生時のトラッキング方法を改良した光ディスク装置に関する。
具体的にいえば、光ディスクメディアとしては、DVD−Rや、その書き換え可能型、DVDなどの高密度光ディスクにも適用可能であり、これらの光ディスクメディアに記録/再生する装置のトラッキング制御方法および光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
再生専用光ディスク、例えばCDや、特にDVDなどのメディアでは、DPDトラッキング方式が業界標準になっている。
このDPDトラッキング方式にも、数種類が知られている。
DPDトラッキング方式が採用される再生専用光ディスクでは、メディアのピット深さと対物レンズの変位、すなわち、レンズシフトに対する信号の変動が問題になる。
この問題を説明する前に、まず、CDやDVDなどのメディアが挿入される光ディスク装置の構成と、メディア上の情報記録用トラック(例えばグルーブ)およびガイド用トラック(例えばランド)について説明する。
【0003】
図9は、従来の光ディスク装置について、その光学系の要部の一例を示す構成図である。図において、1は光源、2はカップリングレンズ、3はビームスプリッタ、4は反射板、5は1/4波長板、6は対物レンズ、7はメディア、8はメディア7の記録面、9は集光レンズ、10は4分割受光素子、11はI/V(電流・電圧)アンプを示す。
【0004】
この図9に示す光ディスク装置の光学系では、光源1から出射された光が、カップリングレンズ2、ビームスプリッタ3、反射板4、1/4波長板5を通り、対物レンズ6により集光されて、メディア(光ディスクともいう)7上の記録面8に照射される。
記録面8で反射された光(反射光)は、再び先の光学系に戻り、ビームスプリッタ3で反射されて、集光レンズ9へ入射される。
そして、この集光レンズ9により4分割受光素子10上に集光されて、電気信号に変換される。
電気信号に変換された4分割受光素子10の出力は、通常、I/V(電流・電圧)アンプ11により電流から電圧に変換されて、各種の演算が行なわれるが、電流のまま演算を行なう装置もある。
以上が、CDやDVDなどのメディアが挿入される光ディスク装置の構成の概略である。
次に、メディア7上の記録面8について説明する。ここでは、相変化メディアの場合を示す。
【0005】
図10は、記録面上に形成された情報記録用トラックとガイド用トラックと、4分割受光素子の各受光素子の出力との対応関係を説明する図で、(1) は記録面の拡大斜視図、(2) は各受光素子の出力回路を示す。図における符号は図9と同様であり、21は情報記録用トラック、22はガイド用トラック、23は記録マーク、矢印24は記録マーク23の再生方向(4分割受光素子10の進行方向)、A〜Dは4分割受光素子10の各受光素子、10aは4分割受光素子10のトラックに平行な分割線、10bは4分割受光素子10のトラックに垂直な分割線を示し、S1〜S4は各受光素子A〜Dの出力を示す。
【0006】
この図10では、記録面8に形成された2つのトラック21,22と、4分割受光素子10の各受光素子A〜Dとの対応関係について理解し易いように、トラック21,22の上方に受光素子A〜Dを描いている。しかし、実際には、記録面8は先の図9に示したように、図の下方であり、4分割受光素子10の各受光素子A〜Dは、この記録面8に対向してその下方に配置されている。
メディア7上の記録面8には、この図10(1) に示すように、記録マーク23が並ぶ情報記録用トラック21と、この情報記録用トラック21に光ビームを誘導するためのガイド用トラック22とが、渦巻き状に刻まれている。
また、4分割受光素子10は、その分割線10a,10bが、それぞれ矢印24で示した記録マーク23の再生方向(渦巻き状トラックの接線方向)に光学的にほぼ平行、および垂直となるように配置される。
【0007】
この4分割受光素子10の各受光素子A〜Dは、記録マーク23の再生方向に対して左前方から時計方向回転で、A,B,C,Dの順序であるとする。
なお、図示は省略しているが、光ビームの焦点を記録面8に合わせるためのフォーカスサーボがあり、その焦点検出のために光検出器を別に用意する装置もあるが、先の分割線10a,10bで分けられた検出信号を使用することも可能である。
以上が、メディア上の情報記録用トラック(例えばグルーブ)およびガイド用トラック(例えばランド)の概要である。この情報記録用トラックとガイド用トラックは典型的な一例であり、情報記録用トラックがガイドを兼用する場合や、ガイド用トラックに情報を記録する場合、さらに、高密度化のために、両方のトラックに情報を記録する場合など、種々のタイプが存在している。
【0008】
他方、再生専用メディアの場合には、図10(1) に示したような溝状のガイド用トラック22は存在せず、記録ピットが先の記録マーク23と同様に並んでいるが、4分割受光素子10の各受光素子A〜Dとの対比関係は、基本的に同じである。なお、記録ピット列は、便宜的にトラックと呼ばれることもある。
ところで、先に述べたDPD信号は、通常、再生専用メディアのトラッキングに使用される信号である。
このDPD信号は、先の図10に示した4分割受光素子10で検出する場合、その各受光素子A〜Dの出力S1〜S4について、対角に位置する受光素子A〜Dの出力S1〜S4をそれぞれ加算し、これらの加算信号(S1+S3)と(S2+S4)の位相差を求め、その直流成分のみを取り出すことによって得られる信号である。
【0009】
図11は、DPD信号の検出の原理を説明する図である。図の上方は、再生専用メディア上の記録ピットとスポットとの関係、次は受光素子上の光強度分布、下方の波形はその出力信号を示している。また、S1〜S4は各受光素子A〜Dの出力、25はスポット、26は記録ピット、矢印27は記録ピット26の再生方向(4分割受光素子10の進行方向)を示す。
【0010】
この図11の上方に示すように、記録ピット26が配列されており、スポット25が矢印27の方向へ移動されて、4分割受光素子10の各受光素子A〜Dにより検出されるとする。
ここで、4分割受光素子10の各受光素子A〜Dは、記録ピット26の再生方向に対して左前方から時計方向回転で、それぞれA,B,C,Dとする。
この図11のように、スポット25が、矢印27で示す再生方向へ移動し、スポット25の中心が、記録ピット26の中心に対して左側から順次右側にずれた場合、その各受光素子A〜Dにおける光強度分布は、記録ピット26とスポット25の下方に示したように変化される。
そのため、この場合には、次のような出力信号が得られる。
【0011】
まず、対角に位置する一方の受光素子AとCの出力の加算信号は、▲1▼のS1+S3で示すような信号が得られる。
また、他方の受光素子BとDの出力の加算信号は、▲2▼のS2+S4に示すような信号で得られる。
これら2つの信号▲1▼と▲2▼をそれぞれ2値化すると、▲1▼の2値化出力と、▲2▼の2値化出力で示したようなパルス信号が得られる。
次に、▲1▼の2値化出力と▲2▼の2値化出力について、その直流成分のみを取り出すと、最下方のΔt(DPD)に示すような信号が得られる。
この図11で、最下方に示したΔtが、DPD信号である。
ここで、最も一般的なDPD信号の検出方法について説明する。
CD(再生専用メディア)において、一般的なDPD信号の検出方法は、位相差検出方法であり、次の図12に示すような構成が使用されている。
【0012】
図12は、従来の対角和信号をデジタル信号に変換し、その差を検出する位相差検出方式の回路構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、31は4分割受光素子、A〜Dは各受光素子、32aと32bは加算器、33aと33bはBPF、34aと34bはリミッタ、35は位相比較回路を示す。
【0013】
この図12でも、4分割受光素子31の各受光素子A〜Dの出力をS1〜S4とする。
加算器32aには、受光素子BとDの出力S2,S4が入力され、加算器32aから、その加算信号(S2+S4)が出力される。
同様に、加算器32bには、受光素子AとCの出力S1,S3が入力されて、加算信号(S1+S3)が出力される。
それぞれの加算信号(S2+S4)と(S1+S3)は、BPF33a,33bと、リミッタ34a,34bを介して、位相比較回路35へ与えられる。
この位相比較回路35により、両信号の位相差が検出されてDPD信号が得られる。
【0014】
ところが、この図12に示した最も一般的な位相差検出回路においては、ピット深さとレンズシフトに対する信号変動が生じる、という問題があった。
この問題を解決するための従来の一つの方法として、トラック進行方向に対して4分割センサの各素子をA〜Dとし、各素子A〜Dの出力を左前方から時計方向回転でS1〜S4としたとき、それぞれの出力S1〜S4を2値化し、そのデジタル信号を用いてトラック方向で左右の信号間で前後に位相比較することによって、トラッキング検出信号のレベル変動を減少させ、ピット深さの依存性を少なくして良好なトラッキング検出信号が得られるようにした情報再生装置のトラッキング信号検出方法が提案されている(特開平7−296395号公報)。
このトラッキング信号検出方法(以下、従来の第2のトラッキング信号検出方法という)、すなわち、ピット深さの依存性を少なくして良好なトラッキング検出信号が得られるようにした方法について、次の図13によって説明する。
【0015】
図13は、従来の第2のトラッキング信号検出方法を適用した情報再生装置について、位相差検出部の機能ブロック図である。図における符号は図12と同様であり、34cと34dはリミッタ、36a〜36dはコンデンサ、37a〜37dはアンプ、38aと38bは位相比較器、39は差動演算回路を示す。
【0016】
この図13に示すように、この位相差検出部では、トラック進行方向に対して4分割センサの各素子をA〜Dとし、その出力信号を左前方から時計方向回転でそれぞれ出力S1〜S4としたとき、トラック方向で左右の信号間で前後に位相比較するため、それぞれの出力S1〜S4を、レベルコンパレータを構成するコンデンサ36a〜36dやアンプ37a〜37d、リミッタ34a〜34d等によって、アナログ信号から2値化信号として出力S1とS4、および出力S2とS3との間で位相を比較し、直流分位相差を中心として、オフトラック量に比例して変化する交流分位相差を検出する。
そして、信号のほぼ一周期内で位相検出がリニアに検出できる位相比較器38a,38bを使用して、左右それぞれの位相検出信号を求め、差動演算回路39において両検出信号を差動演算することにより、トラッキングエラー信号を検出するようにしている。
【0017】
従来の第2のトラッキング信号検出方法では、図13に示した位相差検出部を使用して、4分割センサ(4分割受光素子)の出力S1〜S4を2値化し、トラック方向で左右の信号間で前後に位相比較する、すなわち、出力S1とS4、および出力S2とS3についてそれぞれ位相を比較する。
したがって、DPD信号は、ピット深さに依存性の少ない特性であり、良好なトラッキング検出信号が得られるので、再生専用光ディスクの正確なDPDトラッキングが可能になる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
先の従来技術で説明したように、従来の第2のトラッキング信号検出方法によれば、ピット深さ依存性が少ない特性のDPD信号が得られる。
しかし、従来の第2のトラッキング信号検出方法は、再生専用メディアにしか存在しないピット深さに関する技術であり、相変化メディアについては、何も触れていない。
相変化メディアの場合、記録マークによって情報が記録されるので、従来、再生時には、記録マークの有無に関係なく、プッシュプル方式などの記録溝を用いたトラッキング方法のみが採用されていた。
すなわち、相変化メディアの場合には、再生専用メディアとは異なったトラッキング方法が必要とされている。
【0019】
前者の再生専用メディアについては、先に述べた従来の第2のトラッキング信号検出方法が提案されている。
しかし、この検出方法は、再生専用メディアにしか存在しないピット深さがλ/4以外のある固定された深さのメディアを対象としているので、再生方向に対して左前方から時計方向回転にA〜Dとされる4分割受光素子の各素子A〜Dの出力S1〜S4について、再生方向に対し左右対称の位置にある素子AとBの出力S1とS2との間、同じく素子CとDの出力S3とS4との間には、定常的な位相差が発生している。
【0020】
この位相差を除去するために、従来の第2のトラッキング信号検出方法でも、再生速度(入力周波数)に適応して適切な遅延量に調整する機能をもった移相回路を設けている。
ところが、この定常的な位相差は、単に再生速度だけでなく、再生専用メディアのピット深さや相変化メディアにおける記録マークの光学的位相差によって、その大きさが異なる。
そして、この定常的な位相差により、位相比較器の中心位相が基準軸からずれるため、比較結果の線形が崩れ、トラック上を正確に追従できなくなる一因となる。
【0021】
これに対して、後者の相変化メディアの再生時には、プッシュプル方式などの溝を用いたトラッキング方法のみが行なわれていた。
しかし、すでに述べたように、このDPD信号は、通常、再生専用メディアに使用される信号であり、記録ピット26の再生信号から得られる信号である。
再生専用メディアの場合、先の図10(1) に関連して説明したように、相変化メディアのような溝状のガイド用トラック22は存在せず、記録ピットが情報記録用トラック21上の記録マーク23と同様に並んでいる。
このように、再生専用メディアと相変化メディアとでは、そのメディアの断面形状が異なっており、DPD信号の検出に影響を与える。
ここで、再生専用メディアの一例としてROMメディアの場合と、相変化メディアの場合について、DPD信号の波形を考察する。
【0022】
図2は、メディアの種類と、検出されるDPD信号の関係を説明する図で、メディアの断面図と、メディア上の記録マークと、DPD信号の波形とを示しており、(1) はROMメディアの場合、(2) は相変化メディアの場合を示す。図における符号は図10および図11と同様である。
【0023】
再生専用のROMメディアの場合、この図2(1) に示す断面図は、中央に示したメディア上の線に沿った断面であり、記録ピット26が存在する位置で、ある深さを有している。
このROMメディアから得られるDPD信号は、図2(1) の下方のように、スポットが記録ピット26(先にも述べたように、記録ピット列は、便宜的にトラックと呼ばれる)を横断すると、記録ピット26の中心がDPD信号の零レベルに相当する鋸歯状になる。
なお、この図2(1) に示したDPD信号は、記録ピット26が全てのトラックに形成されている状態のとき、得られる波形である。
【0024】
他方、相変化メディアの場合には、先の図10(1) に示したように、記録面上に、情報記録用トラック(例えばグルーブ)21とガイド用トラック(例えばランド)22とが設けられるのが基本的な構造であるが、すでに触れたように、実際上は、情報の記録は、いずれのトラックでもよく、また、いずれのトラックも、ガイド用として使用されている。
この図2(2) には、情報記録用トラック21をガイド用(案内溝)として兼用する場合について示している。
この相変化メディアの場合、トラック21(案内溝)に記録マーク23が形成されているが、図10(1) の斜視図に示したように、記録マーク23の有無に関係なく、記録面上には1本の渦巻き状の溝(21)が設けられている。
【0025】
しかし、この相変化メディアでも、DPD信号は、記録マーク23が形成されている位置だけで検出される。
したがって、この図2(2) の下方に示したDPD信号も、記録マーク23が全てのトラック21に形成されている状態のとき、検出される信号波形である。
ところが、相変化メディアの場合のDPD信号は、その振幅が小さいので、完全な鋸歯状とはならない。
以上のように、再生専用メディアと相変化メディアとでは、トラックの形状の影響によって、得られるDPD信号の形状が異なっている。
次に、その原因について考察する。
【0026】
図3は、メディアの種類によって異なるトラックの形状がDPD信号に与える影響を説明するために、記録ピット26や記録マーク23とスポット25との位置関係、および、その位置関係で生じる各受光素子A〜D上の回折光の形状を示す図で、(1) はROMメディアの場合、(2) は相変化メディアの場合を示す。図における符号は図10および図11と同様であり、28は記録ピット26や記録マーク23からの回折光、29はトラック21からの回折光を示す。
【0027】
この図3では、4分割受光素子10の受光素子A〜Dについて、記録ピット26や記録マーク23からの回折光28には縦方向、トラック21からの回折光29には左下がりの線を付けて示している。
ROMメディアの場合には、この図3(1) に示すように、記録ピット26に対するスポット25の位置は、矢印27で示す再生方向に対して右寄であり、4分割受光素子10の受光素子A〜Dにおいて、記録ピット26からの回折光28として受光される。
他方、相変化メディアの場合、図3(2) に示したように、4分割受光素子10の受光素子A〜Dにおいては、記録マーク23からの回折光28の他に、トラック21(案内用の溝を兼用)からの回折光29も受光される。
この回折光29は、先の図2(2) に断面図で示したように、プッシュプル信号が出現する深さの案内溝(トラック21)が存在するために発生される。
そして、オフトラックすると、先の図10(1) に示したトラックに平行な分割線10aの左右で光量差が発生し(トラック21からの回折光29)、これがDPD信号に悪影響を及ぼすことになる。
【0028】
以上のように、ROMメディアは、記録面上に溝状のトラックが存在しない点で、相変化メディアと異なっている。
また、ROMメディアにおいては、図2(1) に断面図で示した記録ピット26は、プッシュプル信号が出現しない深さに設定されている。
そのため、ピット深さ依存性の少ない特性のDPD信号が得られる。
しかし、相変化メディアの場合には、先の図2(2) に断面図で示した溝状のトラック(21)が存在しており、その回折光29によってDPD信号を正確に検出できない。
この発明では、再生専用メディアと記録可能相変化メディアを同一のトラッキング方法で再生できるようにすることを課題とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、光ディスクからの反射光を、記録マークの再生方向に対して左前方から時計方向回転で、それぞれA,B,C,Dと称する4分割受光素子の各素子で受光する光学系と、4分割受光素子の各素子A〜Dの出力をS1〜S4とするとき、出力(S1+S4)および出力(S2+S3)を演算する加算器と、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化する正規化手段と、正規化された出力をそれぞれデジタル化する2値化器と、デジタル化された出力S1とS4、および出力S2とS3の間で位相を比較する2つの位相比較器と、2つの比較結果の直流成分を抽出するLPFと、LPFの出力を演算して、オフトラック量に比例した電圧特性をもつトラッキングエラー信号を出力する演算器とを設けている。
【0031】
請求項の発明では、光ディスクからの反射光を、記録マークの再生方向に対して左前方から時計方向回転で、それぞれA,B,C,Dと称する4分割受光素子の各素子で受光する光学系と、4分割受光素子の各素子A〜Dの出力をS1〜S4とするとき、出力(S1+S4)および出力(S2+S3)を演算する加算器と、各出力S1〜S4をそれぞれ遅延させる遅延回路と、遅延された出力S1〜S4をそれぞれデジタル化する2値化器と、遅延回路または2値化器の前段に、4分割受光素子の各素子の出力S1〜S4の内、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化する手段と、デジタル化された出力S1とS4、および出力S2とS3の間で位相を比較する2つの位相比較器と、2つの比較結果の直流成分を抽出するLPFと、前記LPFの出力を演算して、オフトラック量に比例した電圧特性をもつトラッキングエラー信号を出力する演算器とを設けると共に、遅延回路は、複数の遅延量に可変できる特性を得る機能を有する構成にしている。
【0032】
請求項の発明では、請求項の光ディスク装置において、出力(S1+S2)と出力(S3+S4)の差分信号に基づいて遅延回路の遅延量の変更を行なう機能を有する構成にしている。
【0037】
【発明の実施の形態】
この発明の光ディスク装置は、再生専用メディアと記録可能相変化メディアとを同一のトラッキング方法で再生することを可能にしている。
先の図13によって説明した従来の第2のトラッキング信号検出方法を採用すれば、ピット深さ依存性の少ない特性のDPD信号が得られる。
しかし、先の図2(2) の下方に示したように、相変化メディアの場合のDPD信号は、その振幅が小さいので、完全な鋸歯状とはならない。
すなわち、再生専用メディアと相変化メディアとでは、トラックの形状の影響によって、得られるDPD信号の形状が異なっている。
【0038】
ところで、相変化メディアは、熱記録を行なうために熱吸収率が高いので、反射率が低いという特性を有している。
他方、再生専用メディアや追記型メディアは、高反射率である。
そのため、再生専用メディア向けのトラッキング回路では、信号の増幅率が小さく、反射率の低い相変化メディアからの信号は、非常にノイジーでS/N比が悪い。
従来、トラッキングエラー信号処理回路の帯域は十分に低いので、低反射メディアでも特別な利得切り換えを行なわなくても問題はなかった。
しかし、DPDトラッキング法は、従来のプッシュプル法と異なり、高帯域の正確な信号処理が要求される。
この発明の発明者は、以上の図2や図3に関連して述べたような多くの観点から考察した結果、従来の第2のトラッキング信号検出方法は、記録メディアに不可欠なトラック溝からの悪影響も少なく、相変化メディアのような記録可能メディアの記録済み領域にDPDトラッキングする場合にも、好適であることを発見した。
【0039】
そこで、この発明では、再生専用メディアや追記型メディアだけでなく、相変化メディアにも使用が可能であるように、より具体的には、図2(2) に示した溝状のトラック21(案内溝を兼用)からのプッシュプル信号に影響されないように、先の図10(1) に示した4分割受光素子10のトラック21(または22)に平行な分割線10aの左右の各素子の出力について、トラック21に垂直な分割線10bの前後でそれぞれ位相を比較する構成にしている。
なお、相変化メディアの場合、DPD信号は、記録マーク23が形成されている位置だけで検出されるため、未使用(認記録)のメディアに対しては、従来のプッシュプル法を使用すればよい。
【0040】
第1の実施の形態
この第1の実施の形態は、請求項1の発明に対応しているが、請求項2から請求項の発明にも関連しており、請求項1の発明が基本発明である。第1の実施の形態では、4分割受光素子の各出力S1〜S4の内、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化する点に特徴を有している。相変化メディアの場合、先の図3(2) に示したように、4分割受光素子10の受光素子A〜Dにおいては、記録マーク23からの回折光28の他に、トラック21(案内用の溝を兼用)からの回折光29も受光されるが、このトラックからの回折光29は、トラックに平行な分割線10aの左右で異なる。
【0041】
そのため、トラックからの影響は、4分割受光素子10の各受光素子A〜Dにおいては、トラックに平行な分割線10aの左側前後に配置された受光素子A,Dと、右側前後に配置された受光素子B,Cに、同じような影響が出ている。
そこで、この第1の実施の形態では、後述するような、ある基準信号を与えることによって、記録メディアのトラックの影響を除去する。
理解を容易にするために、最初に、ハード構成について説明し、その後で、基準信号について述べる。
【0042】
図1は、この発明の光ディスク装置について、その各受光素子の出力処理系における要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。図における符号は図10と同様であり、51は第1のボックス部、52は第2のボックス部、52a〜52dは遅延回路、53a〜53dはコンデンサ、54a〜54dは2値化器、55aと55bは位相比較器、56a〜56dはLPF、57は演算器、58は受光素子出力S1〜S4の演算回路を示し、TEはトラッキングエラー信号を示す。
【0043】
第1のボックス部51には、先の図10(2) に示した4分割受光素子10の各受光素子A〜Dの出力S1〜S4が、上からS1,S4,S2,S3の順序で入力され、正規化された信号が出力される。
第1のボックス部51からの出力は、先と同じ順序で、第2のボックス部52へ出力される。
第2のボックス部52からの出力は、それぞれ、コンデンサ53a〜53dによって直流成分が取り出され、2値化器54a〜54dによってデジタル化される。
その後、上側の2つの信号(デジタル化された出力S1とS4)は、位相比較器55aによって位相を比較される。下側の2つの信号(デジタル化された出力S2とS3)も、同様に、位相比較器55bによって位相を比較される。
【0044】
なお、この位相比較器55a,55bは、前端と後端とをそれぞれ比較する構成であり、前端と後端の各比較結果が、LPF56a〜56dを介して、演算器57へ与えられる場合であるが、比較出力が1つの位相比較器の使用も可能であることはいうまでもない。
位相比較器55a,55bの出力(この図1はそれぞれ2出力の場合)は、LPF56a〜56dにより直流成分が抽出され、後段の演算器57における演算により、オフトラック量に比例した電圧特性をもつトラッキングエラー信号が出力される。
この第1の実施の形態では、先に述べたように、4分割受光素子の各出力S1〜S4について、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化するために、次の図4に示すような演算回路を使用する。この演算回路は、図1の演算回路58である。
【0045】
図4は、受光素子出力S1〜S4の演算回路について、その実施の形態の一例を示すブロック図である。図における符号は図10と同様であり、61〜64は加算器、65は減算器、66は加算器、T−ppは差分信号、SUMは総和信号を示す。
【0046】
この図4の演算回路において、先の図10(1) に示した4分割受光素子10の各受光素子A〜Dの出力S1〜S4について、トラックに平行な分割線10aの左側の信号である出力S1とS4が、加算器63により加算されて出力(S1+S4)が生成され、同様に、右側の信号である出力S2とS3が、加算器64により加算されて出力(S2+S3)が生成される。
また、2つの加算器61の出力(S1+S2)と加算器62の出力(S3+S4)とを、減算器65により減算すると、差分信号T−ppが得られる。この差分信号T−ppについては、後出の第4の実施の形態で説明する(請求項4の発明)。
【0047】
さらに、総和信号SUMは、同じく2つの加算器61の出力(S1+S2)と加算器62の出力(S3+S4)とを、加算器61により加算することによって生成される。この総和信号SUMについても、後出の第4の実施の形態で説明する(請求項5の発明)。
この第1の実施の形態では、図1に示した第1のボックス部51において、先の加算器63の出力(S1+S4)と加算器64の出力(S2+S3)とを用いて、受光素子A〜Dの出力S1〜S4を正規化する。
そのために、先の図1に示した第1のボックス部51に、次の図5(1) に示す正規化手段71a〜71dを挿入する。
【0048】
図5は、図1に示した第1のボックス部51の構成について、その詳細な実施の形態の一例を示す機能ブロック図で、(1) は正規化手段、(2) は増幅器と波形等化器とで構成する一例を示す図である。図における符号は図1と同様であり、71a〜71dは正規化手段、72a〜72dは増幅器、73a〜73dは波形等化器を示す。
【0049】
この図5(1) に示した正規化手段71a〜71dは、所望の信号振幅にほぼ比例する別の信号(基準信号)を基準に利得を変更する機能を有している。
なお、図5(2) については、次の第2の実施の形態で説明する。
例えば、基準信号を分母にした除算器を用いればよい。
反射率の高いメディアでは、基準信号が大きくなると、割り算の分母が大きくなり、その結果、利得が下がって出力信号は小さくなる。
また、低反射のメディアでは、基準信号が小さく、そのため、利得が大きくなるので、出力信号は大きくなる。
ここで、基準信号について説明すると、トラックずれによるプッシュプルの影響も併せて除去するために、4分割受光素子の出力S1〜S4の内、出力S1とS4には、出力(S1+S4)を、また、出力S2とS3には、出力(S2+S3)を用いることが好ましい。
【0050】
この基準信号の帯域は、再生信号帯域まで高くする必要はなく、LPF56a〜56d通過後のDCレベルでも十分である。
また、基準信号の振幅を表した信号を使用することもできる。
さらに、基準信号としては、出力S1〜S4の全ての和信号(図4の総和信号SUM)を用いても、同様な効果が得られる。
以上のように、第1の実施の形態では、図5(1) に示した正規化手段71a〜71dとして、所望の信号振幅にほぼ比例する別の信号(基準信号)を基準に利得を変更する機能を有する手段で構成する。
したがって、トラック溝の悪影響を抑制することが可能になると共に、低反射の相変化メディアについても、再生専用メディアと共通のトラッキングを行なうことができる。
【0051】
参考例
先の第1の実施の形態では、図1に示した第1のボックス部51に正規化手段71a〜71dを設け、ある基準信号を与えることによって、記録メディアのトラックの影響を除去する場合について説明した。この参考例では、先の図1に示した第1のボックス部51に、各受光素子A〜D出力S1〜S4に可変利得機能をもたせる増幅器と、信号の整形を行なう波形等化器とを挿入する点に特徴を有している。増幅器と波形等化器については、先の図5(2) に示した増幅器72a〜72dと波形等化器73a〜73dを使用する。なお、先の図1の演算回路58(詳細は図4)は不要である。
【0052】
この図5(2) の場合にも、受光素子A〜Dの出力S1〜S4を、上からS1,S4,S2,S3の順序で入力させる。
この増幅器72a〜72dは、メディアの反射率や変調度により利得を変更することができる機能を有する構成とする。図示は省略するが、利得の変更には、例えば複数の抵抗器と接続切換え器とを設ければよい。
波形等化器73a〜73dは、一例として、次の図6に示す構成とする。
【0053】
図6は、図5に示した波形等化器について、その構成と出力波形とを説明する図で、(1) は波形等化器の構成、(2) はその出力波形を示す。図において、81と82は遅延回路、83と84はアンプ、85は加算器、▲1▼〜▲3▼は加算器85の入力信号、▲4▼は波形等化器へ入力される信号、▲5▼は波形等化器から出力される信号を示す。
【0054】
この図6には、3タップ余弦等化器を示している。
すなわち、2つの遅延回路81,82と、2つのアンプ83,84、および加算器85を備えている。
遅延回路81へ入力される信号▲4▼と、遅延回路82から出力される信号は、それぞれアンプ83,84によって反転・減衰され、加工された信号▲1▼,▲3▼となって、遅延回路81の出力側の信号▲2▼と共に、加算器85に入力される。
このような波形等化器によって、入力された信号▲4▼では、符号間干渉が除去され、S/N比のよい出力信号▲5▼が得られる。
なお、3タップに限らず、多タップの余弦等化器や、トランスバーサルフィルタ等を使用することも可能であるが、回路が大型化し、コストも高くなる。
以上のように、この第2の実施の形態では、4分割受光素子の各出力S1〜S4に可変利得機能をもった増幅器と、信号の整形を行なう波形等化器とを設けている。
したがって、低反射の相変化メディアについても、再生専用メディアと共通のトラッキングを行なうことができる。
【0055】
の実施の形態
来から知られているように、オントラック状態でも、先の図10(1) に示した4分割受光素子10のトラックに垂直な分割線10bによって分けられた受光素子A〜Dの出力S1とS4、およびS2とS3に位相差が存在する場合、位相比較器55a,55bの動作中心を合わせるために、遅延回路を必要とする。
【0056】
そこで、この第の実施の形態では、先の図1に示した第2のボックス部52に、遅延回路52a〜52dを挿入する。この遅延回路52a〜52dは直列に接続する。なお、この遅延回路52a〜52dは、2値化器54a〜54dの後段に挿入してもよく、必ずしも第2のボックス部52の位置に限定されない。ところで、受光素子A〜D上のスポット形状は、記録ピットの深さdと波長λとの関係で変化する。
【0057】
図7は、記録ピットの深さdと4分割受光素子の出力S1〜S4との関係の一例を示す図で、(1) はd>λ/4の場合、(2) はd=λ/4の場合、(3) はd<λ/4の場合である。図における符号は図3と同様であり、Psは位相ずれを示す。
【0058】
この図7から明らかなように、記録ピットの深さdと波長λとの関係により、受光素子上のスポット形状が異なる。
例えば、図7(2) に示したd=λ/4の場合、出力S1〜S4をデジタル化した信号には位相のずれは存在しない。
しかし、図7(1) のd>λ/4の場合と、図7(3) のd<λ/4の場合には、出力S1とS2、出力S3とS4とがペアで、位相ずれPsが生じる。
先に述べた従来の第2のトラッキング信号検出方法でも、このような位相ずれPsが存在することは記載されている(前記の特開平7−296395号公報)が、この位相ずれPsが存在していても、動作的には格別の問題はない。
【0059】
その理由は、図7(1) 〜(3) の下方に示したように、出力S1からS4のずれと、出力S2からS3への位相ずれは同じ大きさであるため、LPF56a〜56dで低域通過した後のトラッキングエラー信号生成の演算器57において、その差をとって相殺するからである。
ところが、限られた位相比較器55a,55bの線形動作範囲を、この位相ずれPsは無駄に使用していることになるので、好ましいことではない。
そこで、この位相ずれPsを除去するために、位相ずれに等しい遅延量をもった遅延回路52a〜52dを設ける。
この位相ずれPsは、図7(1) 〜(3) から判るように、メディアの記録ピットの深さdによって、大きく異なる。
【0060】
相変化メディアの場合には、記録マークによって情報が記録されるが、この記録マークは深さを有していないにもかかわらず、光学的な位相差が存在し、あたかも深さがあるかのような作用を行なう。
このような記録マークの特性によって、この光学的位相差が変化するので、再生専用メディアの深さ相当の光学的位相に調整することは、困難である。
そこで、先の図1に示した第2のボックス部52内の遅延回路52a〜52dに、複数の設定をもたせておき、再生専用メディアと相変化メディアとにそれぞれ適する遅延量を設定する。
【0061】
以上のように、この第の実施の形態では、受光素子の各素子出力の遅延量を可変できる特性をもたせている。したがって、ピットの深さあるいは相変化マークの光学的位相差によって異なる各受光素子間の位相ずれを適切に補正し、位相比較器の動作範囲を広げ、各種メディアに正確なトラッキングを行なうことが可能になる。
【0062】
の実施の形態
の第の実施の形態では、図1に示した第2のボックス部52に遅延回路52a〜52dを挿入すると共に、複数の設定をもたせておき、再生専用メディアと相変化メディアとにそれぞれ適する遅延量を設定する場合を述べた。この第4の実施の形態では、記録マークの進行方向に対し前後の差分を表す信号(差分信号T−pp)に基づいて遅延回路の遅延量の変更を行なう機能を付加している。具体的にいえば、記録ピットの深さd、記録マークの光学的位相差を表す差分信号T−ppを基に、増幅率や遅延量を設定する点に特徴を有している。
【0063】
この差分信号T−ppは、先の図10(1) に示した4分割受光素子10のトラックに垂直な分割線10bによって分けられた受光素子A〜Dの前後の差をとった信号であり、図4に示した演算回路によって生成される。
そこで、先の図5(2) に示した増幅器72a〜72dの利得や、先の第2のボックス部52内の遅延回路52a〜52dの遅延量を、メディアの種別によってその設定を切り換える。
この場合に、メディアの種別には、従来から提案されている一般的なメディア判別方法を使用することができる。
例えば、再生専用メディアとしてトラッキングを行ない、失敗したときは、記録メディアと判断するなどの方法は、非常に簡単で正確な方法である。
【0064】
しかし、再生専用メディアの設定によって、不安定な状況ながらも相変化メディアにトラッキングすることができる場合などが想定されるので、この判別方法では、誤判定が行なわれるかも知れない、という懸念が残る。また、相変化メディアでは、記録膜の特性によって光学位相差はかなり異なるので、再生専用メディアとしてトラッキングが失敗しても、一概に相変化メディアと判断することも困難である。そこで、この第4の実施の形態では、記録ピットの深さ、記録マークの光学的位相差を表す差分信号T−ppを基に、増幅率や遅延量を設定する(請求項の発明)。この差分信号T−ppは、先の図4に示したように、トラックに垂直な分割線10bで分けられた受光素子出力S1〜S4の前後の差をとった信号である。ここで、ピット深さdと差分信号T−ppとの関係を説明する。
【0065】
図8は、ピット深さと差分信号T−ppの関係の一例を示す特性図で、(1) はd>λ/4の場合、(2) はd=λ/4の場合、(3) はd<λ/4の場合である。図における符号は図3および図7と同様であり、Vsum は総和信号SUMの基準電圧、Vtppは差分信号T−ppの基準電圧、Gate はゲート信号を示す。
【0066】
この図8(1) 〜(3) から判るように、記録ピット26で反射率が下がるとすると、総和信号SUMは、記録ピット上で信号レベルが小さくなる。
図8(2) に示したピット深さd=λ/4のとき、受光素子上のスポットは、トラックに垂直な分割線10bの前後で形状が等しいので、差分信号T−ppは発生されない。
これに対して、図8(1) に示したピット深さd>λ/4のときには、この差分信号T−ppは、記録ピット26の前エッジで正(+)に変化し、後ろエッジで負(−)に変化する。
また、図8(3) に示したピット深さd<λ/4のときは、その逆に、記録ピット26の前エッジで負(−)に、後ろエッジで正(+)に変化する。
【0067】
そこで、この差分信号T−pp信号をある基準電圧Vtppで2値化すると、ゲート信号Gate が生成され、このゲート信号Gate の後ろエッジのタイミングで総和信号SUM(基準電圧sum で総和信号SUMを2値化したデータを用いると判り易い)の値を調べる。
すなわち、差分信号T−ppが基準電圧Vtppを超えないときは、d≒λ/4と判別する。
また、ゲート信号Gate の後ろエッジで、総和信号SUMがLレベルのときには、d>λ/4と判別し、逆に、Hレベルのときは、d<λ/4と判別することができる。
なお、差分信号T−ppは、ピット深さdに比例して振幅が大きくなるので、この差分信号T−ppの振幅に応じて遅延量を変更することも有効である。
【0068】
この第の実施の形態では、その変形として、図4の演算回路に示した加算器61,62と加算器66とからなる加算器、出力(S1+S4)および出力(S2+S3)を演算する加算器を設け、遅延回路(図1R>1の第2のボックス部52内の52a〜52d)または2値化器(図1の54a〜54d)の前段に、4分割受光素子の各素子の出力S1〜S4の内、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化する手段を設ける。第2に、光ディスク装置に、4分割受光素子の各素子の各出力S1〜S4に可変利得機能をもたせた増幅器(図5の増幅器72a〜72d)と、信号の整形を行なう波形等化器(図5の73a〜73d)とを設け、波形等化器の出力を後段の遅延回路(図1R>1の第2のボックス部52内の52a〜52d)または2値化器(図1の54a〜54d)に接続する。第3に、増幅器の利得として、少なくとも高反射の再生専用メディアと、低反射の記録可能メディアに適する2種類の設定値を予め用意しておき、切換え可能にする。第4に、現在、再生専用メディアは、プッシュプルの影響を受けないように、ピット深さd=λ/4に設定されている。したがって、再生専用メディアに対しては、遅延回路52a〜52dの遅延量はほぼ零でよい。以上に述べた第の実施の形態によれば、先の第1から第3の実施の形態による効果による効果に加えて、ピット深さまたは相変化マークの光学的位相差によって異なる各受光素子間の位相ずれを適切に補正して、位相比較器の動作範囲を広げ、各種メディアに再生専用メディアと共通のトラッキングを行なうことができる。さらに、DVD−ROMおよび相変化メディアに対し、素早く、しかも最も適正な利得設定を行なうことができる。
【0069】
【発明の効果】
請求項1の光ディスク装置では、4分割受光素子の各出力S1〜S4の内、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化している。
したがって、トラック溝の悪影響を抑制することが可能になると共に、低反射の相変化メディアについても、再生専用メディアと共通のトラッキングを行なうことができる。
【0071】
請求項の光ディスク装置では、受光素子の各素子出力の遅延量を可変できる特性をもたせている。したがって、ピットの深さあるいは相変化マークの光学的位相差によって異なる各受光素子間の位相ずれを適切に補正し、位相比較器の動作範囲を広げ、各種メディアに正確なトラッキングを行なうことが可能になる。
また、トラック溝の悪影響を抑制し、ピット深さまたは相変化マークの光学的位相差によって異なる各受光素子間の位相ずれを適切に補正して、位相比較器の動作範囲を広げ、各種メディアに再生専用メディアと共通のトラッキングを行なうことができる。
【0072】
請求項の光ディスク装置では、請求項の光ディスク装置において、出力(S1+S2)と出力(S3+S4)の差分に基づいて増幅器あるいは遅延回路の特性を変更を行なうようにしている。したがって、請求項の光ディスク装置による効果に加えて、簡単かつ安価な回路で、各種メディアに対応した各種特性の変更が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光ディスク装置について、その各受光素子の出力処理系における要部構成の実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】メディアの種類と、検出されるDPD信号の関係を説明する図である。
【図3】メディアの種類によって異なるトラックの形状がDPD信号に与える影響を説明するために、記録ピット26や記録マーク23とスポット25との位置関係、および、その位置関係で生じる各受光素子A〜D上の回折光の形状を示す図である。
【図4】受光素子出力S1〜S4の演算回路について、その実施の形態の一例を示すブロック図である。
【図5】図1に示した第1のボックス部51の構成について、その詳細な実施の形態の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】図5に示した波形等化器について、構成と出力波形とを説明する図である。
【図7】記録ピットの深さdと4分割受光素子の出力S1〜S4との関係の一例を示す図である。
【図8】ピット深さと差分信号T−ppの関係の一例を示す特性図である。
【図9】従来の光ディスク装置について、光学系の要部の一例を示す構成図である。
【図10】記録面上に形成された情報記録用トラックとガイド用トラックと、4分割受光素子の各受光素子の出力との対応関係を説明する図である。
【図11】DPD信号の検出の原理を説明する図である。
【図12】従来の対角和信号をデジタル信号に変換し、その差を検出する位相差検出方式の回路構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図13】従来の第2のトラッキング信号検出方法を適用した情報再生装置について、位相差検出部の機能ブロック図である。
【符号の説明】
51……第1のボックス部、52……第2のボックス部、52a〜52d……遅延回路、53a〜53d……コンデンサ、54a〜54d……2値化器、55aと55b……位相比較器、56a〜56d……LPF、57……演算器、58……受光素子出力S1〜S4の演算回路

Claims (3)

  1. 光ディスクからの反射光を、記録マークの再生方向に対して左前方から時計方向回転で、それぞれA,B,C,Dと称する4分割受光素子の各素子で受光する光学系と、
    前記4分割受光素子の各素子A〜Dの出力をS1〜S4とするとき、出力(S1+S4)および出力(S2+S3)を演算する加算器と、
    出力S1とS4をそれぞれ前記出力(S1+S4)で、また、出力S2とS3をそれぞれ前記出力(S2+S3)で正規化する正規化手段と、
    前記正規化された出力をそれぞれデジタル化する2値化器と、
    前記デジタル化された出力S1とS4、および出力S2とS3の間で位相を比較する2つの位相比較器と、
    前記2つの比較結果の直流成分を抽出するLPFと、
    前記LPFの出力を演算して、オフトラック量に比例した電圧特性をもつトラッキングエラー信号を出力する演算器とを備えたことを特徴とする光ディスク装置。
  2. 光ディスクからの反射光を、記録マークの再生方向に対して左前方から時計方向回転で、それぞれA,B,C,Dと称する4分割受光素子の各素子で受光する光学系と、
    前記4分割受光素子の各素子A〜Dの出力をS1〜S4とするとき、出力(S1+S4)および出力(S2+S3)を演算する加算器と、
    各出力S1〜S4をそれぞれ遅延させる遅延回路と、
    前記遅延された出力S1〜S4をそれぞれデジタル化する2値化器と、
    前記遅延回路または前記2値化器の前段に、4分割受光素子の各素子の出力S1〜S4の内、出力S1とS4をそれぞれ出力(S1+S4)で、出力S2とS3をそれぞれ出力(S2+S3)で正規化する手段と、
    前記デジタル化された出力S1とS4、および出力S2とS3の間で位相を比較する2つの位相比較器と、
    前記2つの比較結果の直流成分を抽出するLPFと、
    前記LPFの出力を演算して、オフトラック量に比例した電圧特性をもつトラッキングエラー信号を出力する演算器とを備え、
    かつ、前記遅延回路は、複数の遅延量に可変できる特性を得る機能を有していることを特徴とする光ディスク装置。
  3. 請求項の光ディスク装置において、
    出力(S1+S2)と出力(S3+S4)の差分信号に基づいて遅延回路の遅延量の変更を行なう機能を有していることを特徴とする光ディスク装置。
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