JP3698505B2 - 地中筒体引き抜き工法および該工法に用いられる分割リング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、セグメントあるいはそれに類似した構造の分割リングを組み立て、それを増設しながら地盤に圧入して、地中に筒体の土留壁を構築し、所定の施工を終えた後に地中から筒体を引き抜いて除去する工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼製セグメントあるいはそれに類似した構造の分割リングをリング周方向に連結して円形のリング体を組み立て、このリング体を重ねて連結・増設して筒体を組み立て、この筒体を地盤に圧入することで、地中にトンネルや立坑などの構造物を構築する技術がある。
【0003】
この技術は、さらに、高速道路、鉄橋、あるいは陸橋等の橋脚の耐震補強を行う際の土留壁の構築にも用いることが提案されている。すなわち、この橋脚の耐震補強は、橋脚の周囲に所定の距離をおいて、分割リングを連結して組み立てた筒体を油圧ジャッキ等で地盤に圧入し土留壁として構築し、この橋脚と土留壁の間を掘削した後、掘削によって形成されるスペースを作業スペースとして、鋼板やコンクリートあるいは炭素繊維シートなどによって橋脚の補強作業を行う。
【0004】
そして、補強作業のための施工を終了した後に、例えばこの土留壁を再利用のために、引き抜く必要がある場合がある。分割リングでは例はないが、鋼矢板などの土留壁においては引き抜きが常用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最上端の分割リングを引っ張って土留壁全体を引き抜くことは、下方の分割リングが地中に強く捕らえられていることから、土留壁全体に大きな引っ張り力を加えることになる。よって各分割リングには、圧入時の大きな圧縮力のみならず、大きな引っ張り力にも耐えられるような強度が必要である。また、引き抜き時のために特別の補強を行う必要などが生じる。特に各リング体間をボルトで連結した場合、引張り強度が問題になる。
【0006】
この発明は、以上の問題点を解決するためになされたもので、大きな引っ張り力に耐える強度を必要とせずに、引き抜きが行える地中筒体引き抜き工法、およびこの工法に用いられる分割リングを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、下記の発明をするに至った。
第1の発明は、分割リングをリング周方向に連結してリング体を組み立て、このリング体を上下に重ねて連結し筒体を組み立て、筒体内部を掘削しながら筒体の上方から圧力を加えることで、最下端のリング体の下端縁に沿って据え付けたリング状の刃口部から筒体を地盤に圧入させ、よって地中に筒体による土留壁を構築し、所定の施工を終えた後に地中から筒体を引き抜いて除去する地中筒体引き抜き工法であって、予め分割リング、リング体、または筒体に引き抜き用の鋼棒または縒鋼線を取り付けあるいは配置しておき、この鋼棒または縒鋼線に張力を加えて引き抜きを行うことを特徴とする地中筒体引き抜き工法である。
【0008】
予め分割リング、リング体、または筒体に引き抜き用の鋼棒または縒鋼線を取り付けあるいは配置されているので、所定の施工を終えた後に容易に筒体をこの鋼棒または縒鋼線に張力を加えて引き抜きを行うことができるので工事は安全かつ迅速に終了する。
【0009】
第2の発明は、請求項1の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングであって、分割リングの下端縁に沿って据え付けた刃口部に該筒体を引き抜くための鋼棒または縒鋼線が取り付けられたことを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングである。
上記分割リングの下端縁の刃口部に該筒体を引き抜くための鋼棒または縒鋼線が取り付けられているので、筒体を最下部から引き抜く作業が容易である。
【0010】
第3の発明は、前記刃口部は、前記分割リングの下端縁に沿ってリング状に湾曲し、半径方向の断面に三角形の空間を有し、この空間は、上方の天板と、天板の内外端から下方へ伸び鋭角に突き合わされ接合される外板および内板とによって囲まれ、前記鋼棒または縒鋼線を取り付ける強度部材は、前記天板であることを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングである。
上記鋼棒または縒鋼線を刃口部の天板に取り付けることにより、筒体を最下部から引き抜け、筒体の中間および上部構成部材に圧縮応力だけをかけ、引張力をかけないで引き抜くことが可能となる。
【0011】
第4の発明は、前記鋼棒はPC鋼棒であり、前記縒鋼線は縒PC鋼線、又はこれらと同等以上の強度を有する硬鋼線または縒硬鋼線であり、前記天板はアンカープレートとして機能するように、補強されており、鋼棒または縒鋼線の天板への取り付けは、カップラーを介して行われることを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングである。
PC鋼棒、縒PC鋼線、又はこれらと同等以上の強度を有する硬鋼線または縒硬鋼線はいずれも強度が100kg/mm2 程度であるので、筒体を引き上げる際に断線することがない。
【0012】
第5の発明は、前記鋼棒または縒鋼線の取り付けは、刃口部が有する三角形の空間を囲む天板のみならず、この天板の上方に所定の間隔をおいて存在する主桁に対しても行われることを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングである。
前記鋼棒または縒鋼線の取り付けを、刃口部の天板のみならず、この天板の上方に所定の間隔をおいて存在する主桁に対しても行うことにより、十分な引き上げ強度を確保することができる。ただし、刃口部の天板のみに取り付け、主桁部は鋼棒または縒鋼線のガイド程度にしておくことが、最下部からの引き抜きになり好ましい。
【0013】
第6の発明は、前記カップラーは、天板に埋め込んであるPCナットを用いたことを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングである。
PCナットを用いることにより、鋼棒または縒鋼線の取り付けが容易となる。
【0014】
第7の発明は、前記天板の補強は、天板の板厚を厚くすること、天板に補強材を設けること、あるいはこれらの両方を行うことによってなされることを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リングである。
天板の板厚を厚くすること、天板に補強材を設けることにより天板を容易に補強することができる。
【0015】
第8の発明は、前記刃口部が耐摩耗性鋼板で製作されていることを特徴とする請求項2から7記載の分割リングである。
刃口部を耐摩耗性鋼板で製作されていることにより、繰り返し使用し得る土留め壁を提供するという本発明の趣旨にかなう刃口部寿命の延長を実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図1乃至図14において説明する。
この実施形態においては分割リングは、図14に示すように鋼製セグメントピース1と呼ばれるものである。すなわち、鋼製セグメントピース1は、一対の平行な湾曲した主桁3の両端部に、一対の平行な直線的な継手板5が溶接されて枠体が構成される。
【0017】
さらに、この枠体には前記一対の主桁3および中主桁8に垂直な方向に、複数の平行な縦リブ7がわたされ、さらに前記一対の継手板5に複数の平行な中主桁8と呼ばれる補強板がわたされ、これら主桁3、継手板5、縦リブ7、中主桁8の外側にスキンプレート9が張りわたされて鋼製セグメントピース1が構成される。なお、縦リブ7の内側には、当て板11が鋼製セグメントピース1の中央に部分的に張りわたされ、後述する掘削用の重機が縦リブに接触して反跳などにより掘削位置の設定が乱されるのを防止する。なお、中主桁は通常0または1枚用いられるが、複数枚使用することもできる。
【0018】
このような分割リングとしての鋼製セグメントピース1が、リング周方向に連結され、リング体13状の鋼製セグメントとして組み立てられる(図13)。このリング体13を軸方向に重ねて連結し筒体15(図6参照)として組み立てる。そのため、各桁2、5には連結のためのボルト穴17(図14)が形成されている。
【0019】
重ねられる複数のリング体のうち最下端のリング体(鋼製セグメント)13には、このリング体13の下端縁に沿ってリング状の刃口部19が据え付けられる(図13、図14)。この刃口部19の縦断面図を図1及び図2に示す。すなわち、最下端のリング体を構成する鋼製セグメントピース1の下端縁に沿って配置される天板20の内周端および外周端から、外板21および内板23が下方へ伸びて配置される。
【0020】
外板21および内板23はリング状に湾曲し、各々の先端縁(図1(A)の下端)が鋭角に突き合わされ溶接等によって接合される。これら溶接された外板21と内板23は内部に断面三角形の空間25を形成する。刃口部は地中に圧入され、転石など異物と接触することもあるので摩耗または損耗し易い。そこで、刃口部が耐摩耗性鋼板で製作することが望ましい。耐摩耗性鋼板としては市販の耐摩耗性鋼板、例えばNK−EH300R,400A,500A(商品名)等が使用できる。
【0021】
この空間25はなんらかの方法で密閉される。たとえば、十分な溶接か、あるいはパッキングなどを介しての十分なボルト締めなどによって密閉を行う。
【0022】
パイプ29は、各鋼製セグメントピース1の内側を通る図示しない大きな配管に接続される。この配管は、各鋼製セグメントピース1ごとに上下方向で分割されており、分割部分ではジョイントを用いて接続される。配管の最上方は地上においてポンプに接続され、止水用あるいは周面摩擦低減用の地盤注入剤が圧送され、密閉され内圧を高めることにより注入剤吐出機能をもったノズル33から注入剤が地盤中に注入される。
【0023】
空間25の断面の三角形はその斜辺を内板23が構成し、他の長辺を外板21が構成する。この内板23の先端内面に、外板21の先端内面が位置し溶接が行われる。この外板21の先端内面に切り欠き31が形成され、この切り欠き31の部分は溶接されず、注入口としてのノズル33が形成される。
【0024】
また、刃口部19の空間25を取り囲む強度部材である天板20、およびこの天板20の上方に所定の間隔をおいて存在する主桁3および中主桁8に対し、縦方向に貫くようにして、引き抜き用の鋼棒22が取り付けられる。これらの取り付けは、カップラー24によって行われる。カップラー24は天板8、20に埋め込んであるPCナット26を用いたものである(図2)。なお、このように必ずしも固定して取り付ける必要はなく、固定しないで単に配置した状態としておき、後に固定することも可能である。
【0025】
これらの鋼棒は、筒体15の円周方向において、等間隔で複数箇所に取り付けられる。例えば、3箇所、4箇所である。もっとも5箇所以上に取り付けてもかまわない。例えば、100トンの引き抜き力が必要な場合に、4箇所の取り付けが行われれば、鋼棒22一本あたりの引っ張り力は25トンになる。そこで、この鋼棒は、PC鋼棒であり、前記縒鋼線は縒PC鋼線、又はこれらと同等以上の強度を有する硬鋼線または縒硬鋼線が望ましい。硬鋼線等の材料としてはJISG3506,3521で規定する硬鋼線又は硬鋼線材がある。
【0026】
また、空間25はリング体13の下端縁に沿ってリング状に形成されることになるが、このリング状の途中においては天板20および外板21さらに内板23に対し、三角形の補強リブ35(図13(B))が溶接され、刃口部19の強度を維持すると同時に天板20を補強する。
【0027】
また、この実施形態において分割リングである鋼製セグメントピース1が連結し組み立てる筒体15(図6参照)は、橋脚37の周囲に土留壁を構築するためのものである。この土留壁は、橋脚37の周囲に耐震補強の処置をするために必要な作業スペースを確保するものである。
【0028】
以下、図3乃至図10および図11において、耐震補強工事の施工手順を説明する。
まず、図11に工事現場の平面図をしめす。既存の橋脚37の近くには、分割リングである鋼製セグメントピース1が多数用意されている。鋼製セグメントピース1が仮置きされた反対側には、後述する圧入設備の仮置き場38が用意される。また、橋脚37の両サイドには、掘削を行う重機として油圧クラムシェル39およびラフタークラムシェル41が配置される。さらに掘削された土砂を搬送するための搬送トラック43が準備される。
【0029】
次に、図3乃至図10を基に、図12の施工フローのステップに従って説明する。まず図3に示すように、橋脚37に図示しないアンカボルトを打ち込む反力工を行う(図12S1)。このアンカボルトを用いて、橋脚37にスライド支柱45を取り付け、このスライド支柱45に沿ってスライドするジャッキシステム47を組み付ける。スライド支柱45およびジャッキシステム47によって、鋼製セグメントピース1を地盤49に圧入するための圧入設備が設置されることとなる(図12S2)。
【0030】
次に図4に示すように、リング状の刃口部19を有する刃口部金物51を、図13および図14に示すように、最下端の鋼製セグメントピース1の下端縁に対応するように据え付ける(図12S3)。この据え付けはまず刃口部金物51を地盤49の上の所定の位置に水平に配置し、この上に最下端の鋼製セグメントピース1を図6のように乗せて連結し組み立てることで行われる。そして、前記ジャッキシステム47により最下端の鋼製セグメントを圧入する。
【0031】
圧入が終わった鋼製セグメント(リング体13のこと)の上に、図6に示すように次の鋼製セグメントを連結し組み立てる(図12S4)。このようにして圧入と連結を繰り返し、地中には徐々に鋼製セグメントによる円筒体15が構築されていく。圧入が容易に行われるように、円筒体15すなわち鋼製セグメントの内部は、図7に示すように油圧クラムシェル39等の重機によって掘削が行われる(図12S5)。
【0032】
また、この時、円筒体15の周面の摩擦を減じるため、地上からベントナイト懸濁液などの液体をパイプ29によって送入し、刃口部19の注入口であるノズル33から周囲の地盤に注入し、地盤を柔らかくする。このようにして鋼製セグメントの圧入と組み立てが繰り返され円筒体15の上下の全長が十分に長くなり、所定の深度、この実施形態においては刃口部19が橋脚37の基礎であるフーチング53に到達する(図8)(図12S6)。
【0033】
この到達の後に、止水用の注入剤をパイプ29によって送入し、刃口部19の注入口であるノズル33から地盤に注入する防護工を行う(図9、図12S7)。この注入によって、地盤の一部が改良された改良層55が形成され、円筒体15からなる土留壁の下端からの出水を防止することができる。
【0034】
なお、ジャッキシステム47によって鋼製セグメントを圧入をしている動作の最中には、刃口部19の断面三角形の空間25(図1参照)、すなわち注入口の内部に内圧をかけておく。この内圧により、圧入動作によって土砂が注入口に詰るのを防止できる。その後、円筒体15の内側の泥水を排出する坑内水替を行う(図12S8)。そして人力によって最終掘削を行い(図12S9)、橋脚と土留壁である円筒体15との間に作業のためのスペース57を作る。
【0035】
その後、この作業スペース57に作業員が降りて、橋脚37の補強工事を行う。この実施形態においては、補強は、橋脚37の周囲に鋼板ではなく炭素繊維シート(商品名;トウシート)を貼り付ける炭素繊維シート工法を行う(図12S10)。すなわち、橋脚37の表面に下地処理を施し、プライマーを塗布し、その後にエポキシ樹脂を塗布し、トウシートを貼り付ける。その上から樹脂を含浸させ、十分乾いた後に表面仕上げをする。
【0036】
このようにして補強が行われた後、作業用のスペース57は不要となるので、図10に示すように、残土59などによって埋め戻される(図12S11)。その後に鋼製セグメントである円筒体15は引き抜かれて除去される(図12S12)。
【0037】
この引き抜き工法は、ジャッキシステム47によって、鋼棒22に引っ張り力を加えることで行われる。ジャッキシステム47は筒体15の中央に存在し、鋼棒22は筒体15の周囲に存在する。よって、筒体15の周囲部分に渡された梁材28を介して、鉛直方向に引っ張りが行われる。複数本取り付けられる各鋼棒22に対し、引っ張り力を交互に加える方法も可能であるし、同時に加える方法も可能である。地中の状況に応じて、より摩擦力の小さな方法が選択される。
【0038】
なお、ジャッキシステム47ではなく引っ張り専門の重機が用いられる場合には、梁材28を介する必要はない。また、引っ張り専門の重機を用いる場合には、振動を加えながら引き抜き作業を行うこともができる。振動により、引っ張りに伴う摩擦力を軽減し、比較的小さな引き抜き力で済むことになる。
【0039】
また、引っ張りを専門の重機で行い、ジャッキシステム47は最上端の分割リングの引っ張りを行うものとすることもできる。その場合には、これら二つの引っ張りに挟まれた部分あるいは分割リングは、専門の重機により引っ張りを圧縮力として受け、この圧縮力は、ジャッキシステム47による引っ張り力と相殺され、受ける力は小さくなる。
【0040】
鋼棒22が取り付けられた部分には局部的に大きな力が加わるが、この部分は天板20であり、圧入時にもっとも大きな強度が必要となる刃口部19の強度部材であるために、取り付けのために改めて補強を行う必要が少ない。
【0041】
さらに、この取り付けは、複数の主桁3あるいは中主桁8に対して行うこともできるので(図2(A))、特定の部材に対して大きな力が加わることを防止でき、特別の補強、例えば板厚を厚くする必要がより少ないことになる。もっとも、板厚を厚くするなどの補強を行えば、十分に大きな引っ張り力をかけて引き抜きを行えることになり、作業が安全かつ迅速になる。
【0042】
撤去された後に残る隙間には、隙間を充填するためにグラウト61が注入される(図12S12)。この注入は、前記刃口部19の注入口であるノズル33から行われる。もっとも、この鋼製セグメントは撤去せずにそのまま残すことも可能である。最後に、橋脚37に取り付けられた圧入設備が撤去される(図12S13)。
【0043】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、鋼棒22の取り付けはカップラー24によって行われるものであったが、他の実施形態では天板20あるいは主桁3に埋め込まれた単体のPCナット30(図2(C))によって行うものとしてもよい。中主桁8に対しても行えるが、作業量が増えるため好ましくない。
【0044】
また、以上の実施形態では、引き抜き力を伝えるために鋼棒22を取り付けたが、他の実施形態では、縒鋼線(ワイヤー)を取り付けてもよい。
【0045】
また、以上の実施形態では刃口部19を構成する天板20のみならず、その他の複数の主桁3あるいは中主桁8に対して鋼棒22が取り付けられていたが、他の実施形態では刃口部19を構成する天板20に対してのみ取付がなされていてもよい。天板20の補強を十分に行えば、可能である。また、天板20のみに取り付けると、最下部からの引き抜きが可能となり、好ましい。
【0046】
また、以上の実施形態では、鋼製セグメントピース1によって組み立てられる円筒体15は既存の橋脚37の回りに構築されるものとして説明したが、他の実施形態では他の構造物の周囲に構築されるものとしても良い。
【0047】
また、以上の実施形態では、鋼製セグメントピース1によって組み立てられる円筒体15は完全な円形断面を有するものであったが、他の実施形態では必ずしも円形断面でなくても良く、小判形や概略四角形あるいは楕円形であっても良い。
【0048】
また、以上の実施形態では圧入動作においては注入口に内圧をかけて土砂が詰まらないようにするものとして説明したが、他の実施例では注入剤を高圧で注入するものとすれば、土砂が注入口に詰まっていても注入時にこの土砂が自然に取り除かれることが期待でき、内圧をかけなくても済む場合が考えられる。
【0049】
また、以上の実施形態では筒体15は地盤に対し下方に向かって圧入されるものであったが、他の実施形態では地盤に対し他の方向例えば水平方向へ圧入されるものであっても良い。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、上記第1から第7の発明によれば、予め分割リング、リング体、または筒体に引き抜き用の鋼棒または縒鋼線を取り付けあるいは配置しておき、この鋼棒または縒鋼線に張力を加えて引き抜きを行うために、この取り付けがなされた部分よりも上方の部分あるいは上方の分割リングは地中に捕らえられた状態であり、従って圧縮力を受けることになる。
【0051】
そして、もともと分割リングには、主桁、中主桁および縦リブにより圧入時の大きな圧縮力に耐えられるだけの強度は備えられているので、引き抜き時のために特別の補強を行う必要がないことになる。
【0052】
また、第2、または3の発明によれば、さらに、圧入時にもっとも大きな強度が必要となる刃口部の強度部材、例えば天板に鋼棒または縒鋼線を取り付けることで、取り付けのために改めて補強を行う必要が少ない。
【0053】
また、第5の発明によれば、さらに、主桁あるいは中主桁に対して鋼棒または縒鋼線を取り付けることで、特定の部材に対して大きな力が加わることを防止でき、特別の補強を行う必要がより少ないことになる。
【0054】
また、第4、または7の発明によれば、さらに天板が補強されることで、十分に大きな引っ張り力をかけて引き抜きを行えることになり、作業が迅速かつ安全になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る分割リングの刃口部を示すもので
(A)は刃口部の縦断面図、
(B)は(A)の刃口部を構成する外板を示す斜視図、
(C)は(A)の刃口部を刃口部方向からみた図、
【図2】この発明の一実施例に係る分割リングの刃口部を示すもので
(A)は分割リング全体の縦断面図、
(B)は(A)の要部を示す拡大図、
(C)は(B)の変形例を示す図である。
【図3】この発明の一実施例に係る橋脚耐震補強工事を示すもので、鋼製セグメントを圧入する圧入設備を設置した状態を示す図である。
【図4】図3において、更に刃口部金物を据え付けた状態を示す図である。
【図5】図4において、刃口部金物の上に鋼製セグメントを組み立てた状態を示す図である。
【図6】鋼製セグメントの上に次々と他の鋼製セグメントを組み立て圧入を行っている状態を示す図である。
【図7】図6において、鋼製セグメントの内部を掘削している状態を示す図である。
【図8】図6において、鋼製セグメントが所定の深度に達した状態を示す図である。
【図9】図8において、止水用の注入剤を注入した状態を示す図である。
【図10】(A)は、図9において、セグメントの内部を埋め戻しセグメントを撤去しつつある状態を示す図、
(B)は(A)の要部を示す拡大図である。
【図11】耐震補強工事現場を示す平面図である。
【図12】図3から図10の工事施工手順を説明するための施工フロー図である。
【図13】リング状の刃口部が据え付けられた最下端のリング体(鋼製セグメント)を示すもので、
(A)は平面図、
(B)は側面図である。
【図14】図13のリング体を構成する鋼製セグメントピースを示すもので、
(A)は正面図、
(B)は側面図、
(C)は平面図、
(D)は底面図である。
【符号の説明】
1 鋼製セグメントピース(分割リング)
8 中主桁
13 リング体(鋼製セグメント)
15 筒体
19 刃口部
20 天板
21 外板
22 鋼棒
23 内板
24 カップラー
25 空間
26、30 PCナット
29 パイプ
33 ノズル

Claims (12)

  1. 分割リングをリング周方向に連結してリング体を組み立て、リング体を上下に重ねて連結し筒体を組み立て、筒体内部を掘削しながら筒体の上方から圧力を加えることで、最下端の前記リング体の下端縁に沿って据え付けたリング状の刃口部から前記筒体を地盤に圧入させ、地中に該筒体による土留壁を構築し、所定の施工を終えた後に地中から筒体を引き抜いて除去する地中筒体引き抜き工法であって、予め前記分割リング、前記リング体、または前記筒体に引き抜き用の鋼棒または縒鋼線を取り付けあるいは配置しておき、鋼棒または縒鋼線に張力を加えて引き抜きを行うことを特徴とする地中筒体引き抜き工法。
  2. 前記引き抜き用の鋼棒または縒鋼線が前記刃口部の天板に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の地中筒体引き抜き工法。
  3. 前記引き抜き用の鋼棒または縒鋼線が主桁に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の地中筒体引き抜き工法。
  4. リング体を上下に重ねて連結し筒体を組み立て、該筒体内部を掘削しながら該筒体の上方から圧力を加えることで、最下端の前記リング体の下端縁に沿って据え付けたリング状の刃口部から前記筒体を地盤に圧入させ、地中に前記筒体による土留壁を構築し、所定の施工を終えた後に地中から該筒体を引き抜いて除去する地中筒体引き抜き工法に用いられる、周方向に連結して前記リング体を組み立てる分割リングであって、予め前記筒体を引き抜くための鋼棒または縒鋼線が取り付けあるいは配置されたことを特徴とする地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  5. 前記引き抜き用の鋼棒または縒鋼線が前記刃口部の天板に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  6. 前記引き抜き用の鋼棒または縒鋼線が主桁に取り付けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  7. 前記刃口部は、前記分割リングの前記下端縁に沿ってリング状に湾曲し、半径方向の断面が三角形の空間を有し、この空間は、上方の前記天板と、天板の内外端から下方へ伸び鋭角に突き合わされ接合される外板および内板とによって囲まれ、前記鋼棒または縒鋼線を取り付ける強度部材は、前記天板であることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  8. 前記鋼棒はPC鋼棒であり、前記縒鋼線は縒PC鋼線、又はこれらと同等以上の強度を有する硬鋼線または縒硬鋼線であり、前記天板はアンカープレートとして機能するように補強されており、鋼棒または縒鋼線の天板への取り付けは、カップラーを介して行われることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  9. 前記鋼棒または縒鋼線の取り付けは、前記天板の上方に所定の間隔をおいて存在する前記主桁に対して行われることを特徴とする請求項4から8のいずれか1項に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  10. 前記カップラーは、前記天板に埋め込んであるPCナットを用いたことを特徴とする請求項4から9のいずれか1項に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  11. 前記天板の補強は、天板の板厚を厚くすること、天板に補強材を設けること、あるいはこれらの両方を行うことによって成されることを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
  12. 前記刃口部が耐摩耗性鋼板で製作されていることを特徴とする請求項4から11のいずれか1項に記載の地中筒体引き抜き工法に用いられる分割リング。
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