JP3697641B2 - 中掘用中空杭 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は杭の中掘工法に使用する中掘用中空杭に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中掘用の中空杭には、杭穴壁と中空杭外壁との摩擦を少なくし、杭穴内に杭を容易に挿入するために、杭の先端部外壁に筒状のフリクションカッターを固着していた。また、通常フリクションカッターは、鋼板を筒状に屈曲して構成していた。
【0003】
また、中掘工法では、中空杭を杭穴内に強固に埋設する為に、杭穴壁と中空杭の外壁との間に杭周固定液などセメントミルクを注入して、杭穴壁と中空杭の外壁との定着を高める場合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術では、中空杭を所定位置まで降下させた後に、中空杭からフリクションカッターを取り外すことは不可能であり、フリクションカッターを省略すれば、杭の降下工程に不都合が生じる問題点があった。また、フリクションカッターを設けた場合には、セメントミルク注入時に、中空杭の下端部外周をフリクションカッターが覆っていたため、杭穴内のセメントミルクが杭の外壁と杭穴の内壁との間に入らず、杭穴壁と中空杭の外壁との定着力の増加が図れない問題点があった。
【0005】
また、従来のフリクションカッターでは、地盤条件や杭径杭長さ等により、必要なフリクションカッターの外径寸法が決まるが、フリクションカッターの外径が杭の外径に比して大径となる場合には、鋼材量が増え材料の無駄があると共に、加工に時間を要する場合もある問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明は、中空杭に、下端部外壁より大きな内径を有する筒状のフリクションカッターを使用して、中空杭の端板に固定して、中掘用中空杭を構成したので前記問題点を解決した。
【0007】
即ちこの発明は、中掘工法に使用する中空杭の下端部外壁に固定するフリクションカッターであって、前記中空杭の下端部外壁より大きな内径を有する鋼管の内壁に、軸方向に沿った鉄板又は鉄筋からなる固定部材を、周方向に所定間隔をあけて固着してフリクションカッターを構成し、前記フリクションカッターを、前記固定部材を介して、前記中空杭 の下端部外壁に固着し、前記フリクションカッターの内壁と前記中空杭の外壁との間に、セメントミルクを上下に流通させる挿通孔を形成したことを特徴とする中掘用中空杭である。また、前記において、中空杭の下端部外壁で挿通孔に対応した位置に、前記中空杭の軸方向にセメントミルクを通す溝を形成したことを特徴とする中掘用中空杭である。
【0008】
前記におけるセメントミルクとは、杭周固定液、根固め液などで使用するセメントミルク、及びセメントミルクと同等の注入液を指す。
【0009】
【作用】
杭を降下させる際には、中空杭の下端部外壁に、該下端部外壁より大きな内径を有する筒状のフリクションカッターを設置したので、筒状のフリクションカッターの外周壁の径に応じて杭穴を広げるので、杭穴内に容易に杭を下降できる。また、フリクションカッターの内壁と中空杭の外壁との間に、セメントミルクを上下に流通させる透孔を構成できる。中空杭の上下方向に溝を構成すれば、セメントミルクを流通させる透孔の開口断面積を更に増加させることができる。
【0010】
【実施例1】
図1に基づき、この発明の実施例を説明する。
【0011】
中空部2を有する杭本体1の外径D1より2Dだけ大きい内径D2を有する鋼管4の上部内壁5aに、軸方向の内壁5に沿った所定厚さ(Dより若干薄い)の鉄板(固定部材)6、6を周方向に所定間隔L1を空けて、固着してフリクションカッター7を構成する。杭本体1の下端部3に、前記フリクションカッター7を、杭本体1の下縁3aより所定長さ下方に突出するように嵌装固着して、中掘用中空杭9を構成する(図1(a)(b))。図中8は中空杭の端板である。
【0012】
前記において、フリクションカッター7の外径D3が、杭本体1の外径D1に比して大径の場合(例えば9mm以上)でも、鋼管4の外径D3を大きくし、所用強度を満たす厚さ(通常6mm程度)の鋼管4で形成すればよい。また、前記における鉄板6、6の周方向の間隔L1は、該部に形成される上下方向のセメントミルクの挿通孔10の断面積を規定するので、地盤の土質などにより適宜選択して、設定する。
【0013】
図2に基づきこの発明の中空杭の使用について説明する。
【0014】
スパイラル付き掘削ヘッド23を回転して杭穴を掘削しながら中空杭9を降下させ、中空杭9を所定位置まで沈設させる(図2(a)。一次掘削)。この際、中空杭9はフリクションカッター7により、杭穴壁12との間の摩擦を削減して、ほぼ自重で降下できる。
【0015】
続いて、所定深さに達したならば中空杭9を一旦固定し、掘削ヘッド23の先端部より水を噴射しながら杭穴を先行掘削する(二次掘削)。この際、掘削泥水を撹拌すると共に杭穴壁に練り付けを行う(図2(b))。
【0016】
続いて、掘削ヘッド23が支持地盤22に達したならば、掘削ヘッド23を拡大して所定深さまで拡底掘削する(図2(c))。支持地盤の根固め部21が充分に拡大するまで掘削ヘッド23を反復昇降して、杭穴の底部に根固め部21を構築する(図2(d))。
【0017】
続いて、掘削ヘッド23の先端部より根固め部内に底から根固め液(セメントミルク)を注入する(図2(e))。根固め液の注入が終了するまで掘削ヘッド23を反復昇降させて、根固め部21内の掘削泥水を根固め液で置換し、根固め部21内に根固め液を満たす(図2(f))。
【0018】
続いて、杭周固定液(セメントミルク)を注入しながら掘削ヘッド23を上昇させ、根固め部21に連続して二次掘削区間20内に杭周固定液を注入し、杭周固定液の注入が終了するまで掘削ヘッドを反復昇降させて、二次掘削区間内の掘削泥水を杭周固定液で置換し、二次掘削区間20内を杭周固定液で満たす(図2(g))。
【0019】
続いて、掘削ヘッド23を畳みながら上昇させ、掘削ヘッド23を中空杭9の中空部2内に収容する。また、中空杭9の固定を解除し、油圧又はモノケンなどで中空杭9に加圧しながら中空杭9を降下させる(図2(h))。この際、中空杭9の外周壁9aとフリクションカッター(鋼管4)7の内壁5との間隙19に、挿通孔10、10を形成できるので、杭周固定液が中空杭9の挿通孔10、10を通過して、中空杭9の外周壁9a側にも回る(図1)。
【0020】
続いて、所定深さまで杭を沈設して、中空杭の下端部を根固め部内に位置させ(図2(i))、注水しながら掘削ヘッドを引上げて、杭の構築を完了する(図2(j))。
【0021】
前記において、中空杭9を従来の他の中掘工法にも同様に使用することもできる(図示していない)。
【0022】
前記実施例において、固定部材として鉄板6を使用したが、所定口径の鉄筋の1本又は複数本を組み合わせて使用することもできる(図示していない)。また、前記固定部材は、鋼管4の中央部に杭本体1が位置できるように介装し、かつ中空杭1の外壁と鋼管4の内壁5との間にセメントミルクなどが通過できる間隙を形成した状態で、杭本体1と鋼管4とを固定できれば、例えば、断面V字状やU字状に屈曲した鉄板でも可能であり、その断面形状及び設置数は問わない。また杭本体に外接固定した鉄筋の両端部を鋼管4の内壁に固定することもできる(図示していない)。
【0023】
また、前記実施例において、中空杭本体の下端部外壁で、前記挿通孔10に対応した位置に、杭の強度を損なわない範囲で上下に亘る溝11を構成することもできる(図1で鎖線図示)。この場合には、該部の挿通孔の開口断面積が増え、セメントミルクの流量を増加させることができる。
【0024】
【発明の効果】
中空杭の下端部外壁に、該下端部外壁より大きな内径を有する筒状のフリクションカッターを設置して、中掘用中空杭を構成したので、従来のフリクションカッターと同様に中空杭を効率良く降下できと共に、フリクションカッターにセメントミルクを上下に流通させる挿通孔又は挿通溝を構成できるので、該挿通孔又は挿通溝を介して杭周固定液などセメントミルクを上下に流通でき、中空杭の外周壁と杭穴壁とを強固に定着できる効果がある。よって、この中空杭を使用すれば中掘工法において、効率良くかつ強固な杭基礎を構築できる効果がある。
【0025】
また、杭本体にセメントミルク挿通用の溝を形成れば、更にセメントミルクの流通量を増加させることができ、地盤条件により、固定部材の形状、数、フリクションカッターの数あるいは溝の数を調節することにより、杭外周壁へのセメントミルクの流量を調節できる効果がある。
【0026】
また、中掘用中空杭は、種々のフリクションカッター外径に対応した中掘用中空杭を構成できる効果がある。とりわけ、中空杭の外径に比して大径の外径を有するフリクションカッターの場合でも、材料の無駄をなくし、フリクションカッターを効率良く製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明の実施例の一部を省略した正面図で、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
【図2】(a)乃至(j)はこの発明の中空杭を使用した工法を説明する概略した縦断面図である。
【符号の説明】
1 杭本体
2 中空部
3 下端部
4 鋼管
7 フリクションカッター
8 杭の端板
9 中掘用中空杭
10 挿通孔
11 溝
13 鉄板
16 中掘用中空杭
23 掘削ヘッド
Claims (2)
- 中掘工法に使用する中空杭の下端部外壁に固定するフリクションカッターであって、前記中空杭の下端部外壁より大きな内径を有する鋼管の内壁に、軸方向に沿った鉄板又は鉄筋からなる固定部材を、周方向に所定間隔をあけて固着してフリクションカッターを構成し、
前記フリクションカッターを、前記固定部材を介して、前記中空杭の下端部外壁に固着し、前記フリクションカッターの内壁と前記中空杭の外壁との間に、セメントミルクを上下に流通させる挿通孔を形成したことを特徴とする中掘用中空杭。 - 中空杭の下端部外壁で挿通孔に対応した位置に、前記中空杭の軸方向にセメントミルクを通す溝を形成したことを特徴とする請求項1記載の中掘用中空杭。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28376395A JP3697641B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 中掘用中空杭 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28376395A JP3697641B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 中掘用中空杭 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09125382A JPH09125382A (ja) | 1997-05-13 |
JP3697641B2 true JP3697641B2 (ja) | 2005-09-21 |
Family
ID=17669809
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28376395A Expired - Lifetime JP3697641B2 (ja) | 1995-10-31 | 1995-10-31 | 中掘用中空杭 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3697641B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4599508B2 (ja) * | 2000-08-23 | 2010-12-15 | 三谷セキサン株式会社 | 中堀工法における突起付き既製杭の埋設方法及び基礎杭構造 |
-
1995
- 1995-10-31 JP JP28376395A patent/JP3697641B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH09125382A (ja) | 1997-05-13 |
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