JP3697053B2 - 管内走行台車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地中に埋設されたガス管、水道管および地上のプラント配管等の配管内面の欠陥を検査および補修するために管内を走行する管内走行台車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、地中に埋設されたガス管、水道管等の配管の内面を検査・補修する際は、図2に示すごとき一連の台車群、すなわち前進および後退用の自走式の走行台車1,2、溶接装置等の作業用の装置を搭載した作業台車3および制御装置を搭載した制御台車4等からなる列車型の検査・修理装置を配管6の内部に導入し、地上に設けたモニタを有する主制御車30からモニタ30aを見ながら前記各台車1,2,3および4を制御して台車の運転および配管の検査・修理作業を実施している。
【0003】
地中に埋設されている前記配管6にはドレッサ形管継手が施工されており、このような配管の接続部などのカップリング部分は窪みがあって段差を有し、この配管6内を走行する走行台車1が、その走行中にその駆動用の駆動ローラが前記ドレッサ形管継手に落ち込み段差部分に阻止され、この駆動ローラが段差を乗り越えられず、停止することがあった。そのため、人手によりこの窪み部分にゴム板等を埋め込むか、人手により駆動ローラ等を持ち上げて段差を乗り越えて走行可能にしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記走行台車1の駆動用の駆動ローラがドレッサ形管継手の窪みに落ち込んだときに、走行台車1の駆動ローラをこの窪みから脱出させるのに長時間かかっていた。
この発明の課題は、配管の接続部分であるドレッサ形管継手の窪みに駆動ローラが落ち込んでも容易に脱出可能な管内走行台車を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を達成するため、この発明の管内走行台車は、配管の内部を走行する走行台車の台車本体の後部から進行方向側に向かって延び、かつ、その先端側が上下方向に拡開する一対の支脚を後部で軸支して備えるとともに先端側が左右方向に拡開する一対の支脚を前部に軸支して備え、前記上下方向に拡開する一対の支脚の少なくとも下側支脚に駆動源を連結してある駆動ローラを軸支して備える管内走行台車において、前記駆動ローラの進行方向側に位置し、台車本体の前記上下方向に拡開する一対の支脚の上側の支脚と配管内壁との間で上下に摺動昇降するように配置した作動部材と、この作動部材を、前記上下方向に拡開する支脚の閉脚動作に関連して動作させる押圧部材と、を備え、台車本体の走行中に前記駆動ローラが段差を有する窪み部に落ち込んで、この窪みの段差に衝突して走行できなくなったとき、支脚を閉脚することにより、台車本体に設けた前記押圧部材を動作して作動部材を下降させ、配管内壁に前記作動部材を当接させて前記台車本体を持ち上げ前記駆動ローラを窪み内から脱出させて台車本体を走行可能な構成である。この管内走行台車の前記作動部材の配管内壁に接触する部分が回動自在に軸支した車輪である構成にすることによっても達成できる。
【0006】
また、この発明の課題を達成するのに前記駆動ローラを備えた一対の支脚の一方をシリンダロッドの伸縮動作によって開閉脚させ、この閉脚動作に関連して前記押圧部材が動作し、前記作動部材を下降動作させる構成とする。更に、前記駆動ローラを備えた一対の支脚の軸支部分において相互に噛合するようになっており、他方の開閉脚動作に連動して支脚先端に設けた駆動ローラを上下させることにより前記課題は達成できる。
【0007】
この発明の管内走行台車は、走行台車の走行方向の駆動ローラの前方に、先導する作動部材を台車本体に摺動自在に配置し、支脚を閉脚することにより、この作動部材を下降させて配管内壁に当接させて台車本体を持ち上げ、前記駆動ローラを所定量持ち上げるからこの駆動ローラがドレッサ形管継手の窪みの段部を乗り上げ、回転することになるから簡易に走行の継続が可能となる。
この発明の管内走行台車の駆動ローラを先端に備えた一対の支脚の後端において相互に噛み合う構成にしてあるから他方の支脚のシリンダロッドを収縮させることにより、両方の支脚が閉脚作動し、この支脚の先端に配置した押圧部材による作動部材の押圧によって作動部材を内蔵する弾性力に抗して下降させ、作動部材の先端を配管内壁に当接させ、走行台車本体を上昇させるとともに駆動ローラを上昇させてドレッサ形管継手の窪みの段差を乗り越えることができ、その後、駆動ローラの走行が可能となる。
【0008】
この発明の管内走行台車は、台車本体の先端に監視カメラや照明装置を配設し、駆動源を搭載してあるから主制御室のモニタを見ながら作業ができる。配管内の検査等のための走行中にドレッサ形管継手の窪みに落ち込んで、進行が停止したときに、シリンダロッドを動作し、一対の支脚を閉じ方向に作動させることによって作動部材を下降させることができるので、確実に円滑に走行台車を走行させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の管内走行台車の斜視図である。図2はこの発明の管内走行台車を含む台車群の一般的な配置を示す側面図である。図3はこの発明の管内走行台車の一部省略した側面図である。図4は図1に示す管内走行台車の配管内の走行状態を示す正面図である。図5は図1の管内走行台車が配管のドレッサ形管継手の窪みを通過するときの概略側面図である。図6はこの発明の管内走行台車の作動部材の作動説明図で、(a)はこの発明の管内走行台車が配管内を走行中の状態を示し、(b)は管内走行台車の駆動ローラが窪みに落ち込み、段差に衝接して停止したとき、(c)は台車本体の作動部材が下降し、走行台車が走行可能となったときの説明図である。
【0010】
図2に示す走行台車1および後部走行台車2はいずれも自走式で、前進時は走行台車1が後続の連結した他の台車群を牽引し、後退時は後部走行台車2が他の台車群を牽引して配管6の内部を走行する。この場合、走行台車1または後部走行台車2の駆動モータを同時に駆動させて前進または後退させてもよく、前進時には走行台車1または後退時には後部走行台車2のみを駆動して走行させてもよい。なお、図2中の30は地上に設けた主制御車、31は照明装置、32は主制御車30のモニタ30aへモニタ像を送信する監視カメラ、3は溶接装置33等を搭載した作業台車である。4は制御装置を搭載した制御台車である。34は主制御車30から走行台車1などへの指令を送信する電線や走行台車1の駆動源へ電力を供給する電線などのケーブル束34である。
【0011】
次にこの発明に係わる管内走行台車を図3,図5を参照して説明する。
図3に示すように走行台車1の中心部には、前後方向に延びるパイプ状の台車本体7が設けてあって、この台車本体7には、次に述べるように各種の装置が装備されている。
すなわち、この台車本体7には、上下・左右の1対の支脚8a,8b;9a,9bが取り付けてあって、この2対の支脚8a,8b;9a,9bは相互に円周方向に90度だけ位置をずらして交差状に配置されている。
【0012】
前記の一方の支脚8a,8bは台車本体7の前側で拡開し、また、他方の支脚9a,9bは後側で拡開するように、それぞれの支脚8a,8b,9a,9bは台車本体7の主軸10,11を支点として、回動自在に軸支されている。
そして、上部の支脚8aには舵取部材35が組み込まれ、他の支脚8b,9a,9bの駆動ローラ18を誘導し、走行台車1は走行する。下部の支脚8bおよび左右の支脚9a,9bには駆動機構が組み込まれており、下部の支脚8b、支脚9a,9bにスプロケット12を取り付けた従動軸13が回動自在に支承されていて、このスプロケット12と駆動源であるモータ14のスプロケット15との間にチェーン16が掛け回されている。
【0013】
更に詳述すると、各支脚8a,8b,9a,9bは図3および図5に示すように、いずれも2枚の板材を適宜間隔をおいて並列させたもので、この板材にモータ14が据え付けられており、このモータ14の傘歯車14′を介してスプロケット15の軸を回転させるようになっている。
そして、前記モータ14の傘歯車14′からスプロケット15,12および従動軸13に至る動力伝達機構は走行台車1の基材に取り付けられている。
【0014】
更に従動軸13には、4個の太鼓形ローラ17からなる駆動ローラ18が前記スプロケット12の両側に、かつスプロケット12に近接した状態で固定されており、この2列の駆動ローラ18は下部と左右の各支脚8b,9a,9bに組み込まれている。
各駆動ローラ18は、従動軸13と共に回動しながら配管6内を走行する一方、太鼓形ローラ17が従動軸13に直交する心棒の周りに自由回転するので、走行台車1が曲管部を走行する際、走行抵抗を減少させることができる(詳細は特公昭52−10269号公報を参照)。
【0015】
各支脚8a,8b,9a,9bの先端と台車本体7との間にはエアーシリンダ19が裝着されている。すなわちエアーシリンダ19のピストンロッドを支脚8a,8b,9a,9bの先端に枢着すると共に、前記エアーシリンダ19が支脚8a,8b,9a,9bの拡開動作に伴い回動するように各エアーシリンダ19を台車本体7に軸支させている。
【0016】
前記支脚8aの前下端に当接する位置に上端が位置する作動部材20が、常時上方に規制された弾性部材であるバネ23を内装して走行台車1の基体の先端に昇降自在に嵌装され、この作動部材20の下端にはドレッサ形管継手の窪み(DC)の段差を乗り上げる乗り上げ用の車輪21が軸支してある。他方この作動部材20の上端には押圧部22を備えている。走行台車1の進行方向側で開脚する上部の支脚8aの前下端には押圧部材である当打部27が配設され、前記作動部材20の上端の押圧部22を前記バネ23に抗して押圧するように配置してある。
【0017】
走行台車1の前後部には基体に支持された支持杆24の先端に回動自在の従動車輪25が配設してある。この支持杆24には従動車輪25の走行を助ける枠体26が張り出してある。
次に、走行台車1の動作について説明する。
地面を掘削して地中に埋設した配管6の一部を切除し、この開口から図2に示すように走行台車1、作業台車3、制御台車4および後部走行台車2を配管6の内部に順次挿入する。この際、走行台車1の後部に自在継手5を介して作業台車3を連結し、更に自在継手5を介して制御台車4を連結するという手順で行われる。
【0018】
なお、走行台車1を配管6の内部に挿入したとき、図3に示す各エアーシリンダ19は閉じた状態になっており、支脚8aの舵取部材35は接触せず、各支脚8b,9a,9bの各駆動ローラ18のいずれかが接触している。ただし、走行中は図3、図4に示すように支脚8b,9a,9bの駆動ローラ18および舵取部材35は配管6の内壁面に当接し、従動車輪25は内方に引っ込んでおり、従動車輪25が非接触状態であるが、走行中に従動車輪25のうちのいずれかが配管6の内面に当接して走行台車1を支持している。
【0019】
次に、図2に示す地上の主制御車30からの指令によりエアーシリンダ19を伸長させると支脚8a,8bが台車本体7の主軸10を支点として回動し、上下に拡開する(図5,図6参照)。
【0020】
同様にして各エアーシリンダ19を伸長させると、左右の支脚9a,9bが主軸11を支点として回動し左右に拡開する。この拡開で各支脚8b,9a,9bの先端に取り付けた駆動ローラ18が従動車輪25より更に高く突出して配管6の内面に圧接する。つまり走行台車1は、これら2組の支脚8a,8b,9a,9bの拡開により、管軸に対して自動調心的に持ち上がり配管6の内面に突っ張った状態となる。
ここで、主制御車30からの指令によって各モータ14を起動すると、スプロケット15,12およびチェーン16を介して各駆動ローラ18が回転し、走行台車1が自走する。
【0021】
図6(a)のような状態で、走行台車1の支脚8a,8bが開いた状態で走行して、ドレッサ形管継手の窪み(DC)に達し、図6(b)のように支脚8bの駆動用の駆動ローラ18が落ち、この窪み(DC)の段部に衝突して進行出来なくなったとき、エアーシリンダ19を動作し、このエアーシリンダ19の作用によって支脚8a,8bが閉じ、この支脚8aの当打部27が作動部材20の上端の押圧部22を押圧し、バネ23の弾力に抗して作動部材20を下降させる(図6(c)参照)。この図6(c)によれば、この作動部材20の車輪21が配管6内壁面に接触して台車本体7の先端部がやや上昇するとともに支脚8bの先端の駆動ローラ18も上昇し、この駆動ローラ18は回転しているから窪み(DC)の段部を容易に乗り越えることができる。
【0022】
この発明の管内走行台車においては、支脚8aの先端に押圧部材を形成したが、この支脚に限定されることなく、他の可動部材を台車本体7の基体に軸支してもよい。この場合の可動部材は作動部材20を下降させるものであればよい。
また、図面に示す実施の形態において、作動部材20の下端に車輪21を軸支してあるが、配管6の内壁面に接して円滑に摺動するものであればこれに限定されるものではない。例えば、軸支した滑降板であってもよい。
【0023】
また、支脚8aの閉脚作用はエアーシリンダ19の収縮によって強制的に行っているが、エアーシリンダでなく、モータ等を利用して支脚8aを閉脚することもできる。更に、監視カメラ32による検査または他の手段によって段差や窪みを検知し、駆動ローラ18が停止したとき、自動的にエアーシリンダ19を操作して支脚8aの閉脚を行い、この当打部27によって作動部材20を下降させて先端の乗り上げ用の車輪21を配管6内壁面に当接させて駆動ローラ18を走行させることができる。
【0024】
また、走行台車1が曲管部分を走行すると、各支脚8a,8b,9a,9bの拡開量が変化するが、このとき、各エアーシリンダ19が適宜伸縮動作して各駆動ローラ18を配管6の内面に圧接させ、台車本体7の中心が配管6の軸心に一致するように走行台車1の位置を調節する。
【0025】
この発明の管内走行台車は前述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えばこの走行台車および台車群を地上に設けたプラント配管の検査および修理作業に適用してもよいこと等、その他この発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上に述べたようにこの発明の管内走行台車は作動部材を備えているから、配管の接続部分であるドレッサ形管継手の窪みの段差部に車輪が落ち込んで走行不良になっても、支脚を閉脚することにより、作動部材を動作して駆動ローラが円滑に乗り越えることができるから、支障なく走行台車を継続して走行させることができる。しかも、開閉脚の一方の支脚によって作動部材を動作させるとともに駆動ローラを上昇させることができ、簡易な機構によって円滑な走行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の管内走行台車の斜視図である。
【図2】この発明の管内走行台車を含む台車群の一般的な配置を示す側面図である。
【図3】この発明の管内走行台車の一部省略した側面図である。
【図4】図1に示す管内走行台車の配管内の走行状態を示す正面図である。
【図5】図1の管内走行台車が配管のドレッサ形管継手の窪み部を通過するときの概略側面図である。
【図6】この発明の管内走行台車の作動部材の作動説明図で、
(a)は管内走行台車が配管内を走行中の状態を示す図である。
(b)は管内走行台車の駆動ローラが窪みに落ち込み、段差に衝接して停止したときの説明図である。
(c)は台車本体の作動部材が下降し、走行台車が走行可能となったときの説明図である。
【符号の説明】
1 走行台車
2 後部走行台車
3 作業台車
4 制御台車
5 自在継手
6 配管
7 台車本体
8a,8b,9a,9b 支脚
10 主軸
11 主軸
12 スプロケット
13 従動軸
14 モータ
15 スプロケット
16 チエーン
17 太鼓形ローラ
18 駆動ローラ
19 エアーシリンダ
20 作動部材
21 車輪
22 押圧部
23 バネ
24 支持杆
25 従動車輪
26 枠体
27 当打部
30 主制御車
31 照明装置
32 監視カメラ
33 溶接装置
34 ケーブル束
35 舵取部材

Claims (5)

  1. 配管の内部を走行する走行台車の台車本体の後部から進行方向側に向かって延び、かつ、その先端側が上下方向に拡開する一対の支脚を後部で軸支して備えるとともに先端側が左右方向に拡開する一対の支脚を前部に軸支して備え、前記上下方向に拡開する一対の支脚の少なくとも下側支脚に駆動源を連結してある駆動ローラを軸支して備える管内走行台車において、
    前記駆動ローラの進行方向側に位置し、台車本体の前記上下方向に拡開する一対の支脚の上側の支脚と配管内壁との間で上下に摺動昇降するように配置した作動部材と、この作動部材を、前記上下方向に拡開する支脚の閉脚動作に関連して動作させる押圧部材と、
    を備え、台車本体の走行中に前記駆動ローラが段差を有する窪み部に落ち込んで、この窪みの段差に衝突して走行できなくなったとき、支脚を閉脚することにより、台車本体に設けた前記押圧部材を動作して作動部材を下降させ、配管内壁に前記作動部材を当接させて前記台車本体を持ち上げ前記駆動ローラを窪み内から脱出させて台車本体を走行可能にしたことを特徴とする管内走行台車。
  2. 前記作動部材の配管内壁に接触する部分が回動自在に軸支した車輪であることを特徴とする請求項1に記載の管内走行台車。
  3. 前記駆動ローラを備えた一対の支脚の一方をシリンダロッドの伸縮動作によって開閉脚させ、この閉脚動作に関連して前記押圧部材が動作し、前記作動部材を下降動作させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管内走行台車。
  4. 前記駆動ローラを備えた一対の支脚の軸支部分において相互に噛合するようになっており、他方の開閉脚動作に連動して支脚先端に設けた駆動ローラを上下させることを特徴とする請求項1,2または3に記載の管内走行台車。
  5. 台車本体の進行方向側の前部の先端部分に監視カメラ、舵取部材を配置し、後部に連結具を備え、駆動源を搭載したことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の管内走行台車。
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