JP3696516B2 - 検体固定方法およびこの方法を利用した標本スライド作成装置 - Google Patents

検体固定方法およびこの方法を利用した標本スライド作成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は細胞や染色体の標本スライドを作成するときに検体を標本スライドに固定する検体固定方法およびこの方法を利用した標本スライド作成装置に係り、特に、検体のメタフェーズを適正形状とすることのできる検体固定方法およびこの方法を利用した作成装置関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、染色体検査の工程は、通常、細胞培養、細胞収穫と染色体標本スライドの作成、分染法による染色体バンドの染色、顕微鏡写真撮影、核型分析の5段階に分けられる。本発明においては、主として細胞収穫と染色体標本スライドの作成を対象としている。
【0003】
この第2工程である細胞収穫と染色体標本スライドの作成は、第1工程で培養した細胞にコルセミドを作用させた分裂中期にある細胞、つまりメタフェーズを低張処理した後、物理的ショックを与えて細胞膜や核膜を破壊させ、球体である核の中に存在していた染色体をスライドグラス上に展開させる工程であり、前記メタフェーズが標本として適正形状に広がった標本スライドを作成することが必要とされている。標本スライドが美しいものに仕上がらなければ、それ以降の染色体バンドの染色等の作業が全て著しく困難なものとなるからである。
【0004】
これまでの染色体標本スライド作成は、染色体を含む細胞浮遊液を手作業によってスライドグラス上に滴下する各種固定方法が職人芸のごとく実施されているのが現状であった。
【0005】
この手作業による方法としては、例えば図8から図11に示す方法がある。図8に示す火炎固定方法においては、スライドグラスからなる標本スライド1上にピペット2から細胞浮遊液3を滴下4させて拡げ、その後すばやく標本スライド1をバーナ5からの火炎内を通過させてメタノールに引火させ、細胞浮遊液3の液分を蒸発させて標本を作成している。また、図9に示す蒸気固定方法においては、図8と同様にして細胞浮遊液3を滴下した標本スライド1を、過熱器6によって加熱され容器7から蒸発している蒸気8に近づけ液を蒸発させ、細胞浮遊液3の液分を蒸発させて標本を作成している。また、図10に示す高温多湿下の固定方法においては、ホットプレート9によって加熱されている濡れ紙タオル10から発生する高温多湿状態の中にスライドグラスを置き、その上に図8と同様にして細胞浮遊液3を滴下4させて拡げて、細胞浮遊液3の液分を蒸発させて標本を作成している。また、図11に示す高所から滴下する常温の固定方法においては、作業台11上に載置された上に、数ミリメートル高さから、時には約1.5メートルの高さから細胞浮遊液3を滴下4させて拡げて、細胞浮遊液3の液分を蒸発させて標本を作成している。
【0006】
しかしながら、これらの方法においては、細胞浮遊液3の染色体のメタフェーズを適正形状とするためには熟練が必要であり、しかも適正形状のメタフェーズの生成を可能とするためには偶発的な要素を含んでおり、画一的な標本スライドを作成することが難しく、誰にでもできるという操作方法ではなかった。
【0007】
また、これらの方法において適正形状のメタフェーズの生成を可能とするための関係パラメータは判明しておらず、展開要領は操作する研究者等の経験に基づくものであるところが現状であった。
【0008】
このように職人技的に作成する前述のような従来の標本スライドの作成においては、メタフェーズが標本として適正形状に広がった標本スライドを作成することが経験の浅い術者には大変困難であった。更に、これらの方法は手作業による条件の再現性に乏しく、試験者が手作業で行うため標本スライドの品質の安定性に問題があった。
【0009】
本発明はこれらの点に鑑みなされたもので、標本スライドの作成方法に係る関連パラメータを制御することによって、検体のメタフェーズを確実に適正形状とすることができ、誰にでも適正な標本スライドを作成することができ、しかも標本スライドの品質が安定しており、更に大量生産をも可能である検体固定方法およびこの方法を利用した標本スライド作成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究し、所定の乾燥時間をもって液状検体を乾燥させることにより適正形状のメタフェーズの生成が可能であることを発見して本発明を完成させた。
【0011】
また、本発明者等は、前記乾燥時間の制御パラメータとして、検体となる細胞浮遊液を標本スライド上に滴下してメタフェーズを展開する場合には、乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア液酢酸濃度等を制御するとよいことを発見して本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明の検体固定方法は、細胞または染色体からなる検体を標本スライドに固定する検体固定方法において、前記検体のメタフェーズの染色体が顕微鏡観察するのに適した形状に広がった適正形状とさせるように雰囲気を対流させながら乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度を制御パラメータとして制御した乾燥時間をもって液状検体を乾燥させることを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、雰囲気を対流させながら乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度を制御パラメータとして制御して決定した乾燥時間をもって液状検体を乾燥させることによって検体のメタフェーズを適正形状として固定した標本スライドを得ることができる。
【0014】
また、本発明の検体固定方法は、検体のメタフェーズの直径を60から100μmとしたり、乾燥時間を100から300秒としたりすることによって、検体のメタフェーズをより一層適正形状として固定することができる。
【0017】
また、本発明の標本スライド作成装置は、細胞または染色体からなる検体を標本スライドに固定して標本スライドを作成する標本スライド作成装置において、標本スライド上の前記検体のメタフェーズが適正形状となる乾燥時間をもって液状検体を乾燥させる乾燥制御機構であって予め取得した標本スライド上の前記検体のメタフェーズの染色体が顕微鏡観察するのに適した形状に広がった適正形状となる乾燥時間に応じて雰囲気を対流させながら乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度をそれぞれ制御する制御ループを有する乾燥制御機構を備えていることを特徴とする。
【0018】
このように構成することにより、予め取得した標本スライド上の前記検体のメタフェーズが適正形状となる乾燥時間に応じて雰囲気を対流させながら乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度をそれぞれ制御する制御ループを有する乾燥制御機構により決定した乾燥時間をもって液状検体を乾燥させて検体のメタフェーズを適正形状として固定した標本スライドを作成することができる。
【0021】
また、本発明の標本スライド作成装置としては、標本スライド上に滴下される液状の検体を得る液状検体作成機構を更に備えることにより、検体の作成から検体の固定までを良好に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1から図7を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明の標本スライド作成装置の1実施形態の基本構成を示す概略図である。
【0024】
本実施形態の標本スライド作成装置20は検体を乾燥するために適宜なチャンバ等からなる閉空間21を設けている。この閉空間21内下部には、スライドグラスからなる標本スライド1の上面に滴下された検体となる細胞浮遊液3を加熱するためにヒータ22を内蔵した恒温ブロック23が設置されている。ヒータ22の近傍には温度センサ24が配設されていて、閉空間21外の恒温ブロック温度制御ユニット25によって加熱制御されるようになっている。閉空間21の上部には、加湿器26が設置されている。この加湿器26は容器27内の水を加湿用ヒータ28によって加熱して蒸気を発生させるようになっている。発生された蒸気はファン29によって閉空間21内を強制対流させられる。閉空間21の上部にはには湿度センサ30が配設されていて、閉空間21外の加湿用ヒータ制御ユニット31によって湿度制御されるようになっている。細胞浮遊液3は予め培養されその後に低張処理をして作成されており、閉空間21外に設置してあるポンプ制御ユニット32に設けた供給ポンプ33によって所定量が搬送管34を通して送出され、閉空間21内に設置されている滴下ピペット35を通して標本スライド1上面に滴下供給されるようになっている。更に、閉空間21外には恒温ブロック温度制御ユニット25の動作を制御する最適展開温度値演算ユニット36が設けられている。この最適展開温度値演算ユニット36は、入力される湿度センサ30からの湿度値、ポンプ制御ユニット32からの細胞浮遊液3の供給量即ち検体の滴下液量値および検体作成時に付与されたカルノア液酢酸濃度値に基づいて演算した温度設置値を出力して、手動/自動制御切替器37を通し恒温ブロック温度制御ユニット25に付与する。
【0025】
このように形成されている標本スライド作成装置20による検体の固定および標本スライドの作成を説明する。
【0026】
まず、標本スライド1を加熱状態にある恒温ブロック23の上面に載置する。次に、ポンプ制御ユニット32の供給ポンプ33により所定量の細胞浮遊液3を送出して滴下ピペット35を通して標本スライド1上面に滴下させる。この時の閉空間21内の温度は、最適展開温度値演算ユニット36から指令される温度設定値に応じて恒温ブロック温度制御ユニット25が恒温ブロック23のヒータ22に通電して設定値になるように制御される。同時に、閉空間21内の湿度は、加湿度設定値に基づいて加湿用ヒータ制御ユニット31が加湿用ヒータ28を制御して設定値となるように制御される。このようにして形成される閉空間内の乾燥雰囲気により標本スライド1上の検体は乾燥される。本装置20に於いては細胞浮遊液のカルノア液酢酸濃度を一定に保ち、精密な供給ポンプ33を用いて精確な滴下滴量を実現できるため、これら二つのパラメータを一定値に固定することができる。
【0027】
本発明者等が検体としてヒト白血球を用いて鋭意実験研究したところ、標本スライド1上の検体の乾燥後のメタフェーズの適正形状は、その直径が60から100μmなっていた。更に、その場合の検体の乾燥時間を100から300秒とすると、検体の適正形状のメタフェーズが得られた。ここでメタフェーズの適正形状とは、46個の染色体が1つも重複することなく、全部が分離された状態で所定の直径内に収まっている状態を意味する。
【0028】
従って、図1に示す標本スライド作成装置20においては、所定の乾燥速度を実現するために、標本スライド1上の前記検体のメタフェーズが適正形状となる乾燥時間を予め求めるとともに、この乾燥時間を実現した際の閉空間21内の乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア液酢酸濃度等の組合せデータを求めておき、これらのデータを制御ループとして最適展開温度値演算ユニット36内のメモリに記憶させ、次の標本スライド作成時に当該データに基づいて乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア液酢酸濃度等を再現するように動作制御を行わせるようになっている。
【0029】
これにより標本スライド1の作成方法に係る関連パラメータとしての乾燥速度を制御することによって、検体のメタフェーズを確実に適正形状とすることができ、誰にでも適正な標本スライド1を作成することができ、しかも標本スライド1の品質が安定することとなる。
【0030】
この関連パラメータとしての乾燥速度について更に説明する。
【0031】
前記の乾燥時間を実現した際の閉空間21内の乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア液酢酸濃度をもとにして乾燥時間を関数式をもって表すと次の式で与えられる。
【0032】
即ち、乾燥時間(tvap)、温度(T)、湿度(RH)、酢酸濃度(D)、液量(V)とすると、
tvap=F(T.RH.D.V)
と表すことができる。
【0033】
また、パラメータ感度(変化率)は、変化分を求めることによって得られる。
【0034】
即ち、
Kt=∂F/∂T=∂tvap/∂T<O
Krh=∂F/∂RH=∂tvap/∂RH>O
Kd=∂F/∂D=∂tvap/∂D>O
Kv=∂F/∂V=∂tvap/∂V>0
これらの乾燥時間に関するパラメータ感度(変化率)は、温度(−)、湿度(+)、酢酸濃度(+)、液量(+)の傾向を持つ。乾燥時間(tvap)は、温度(T)、湿度(RH)、酢酸濃度(D)、滴量(V)が大きく変化しない近傍範囲で線形関数と見なせる関数を与える。つまり、
tvap=Kt・T+Krh・RH+Kd・D+Kv・V
ここで、酢酸濃度(D)および液量(V)を一定値にした展開条件で、乾燥時間(tvap)を最良値に制御する場合は、湿度または温度を制御すればよいことが分かる。
【0035】
これらの変化定数から制御係数が算出でき、現在値としての温度、湿度、滴下液量、細胞浮遊液のカルノア液酢酸濃度を与えて最適な乾燥時間を提供する標本スライド1の近傍の環境を制御することができる。これらのパラメータは適当範囲を持つが、湿度は精密な蒸気の拡散制御が難しく、液量制御は標本中の展開細胞数に影響し、カルノア液の酢酸濃度制御は制御のダイナミックレンジが狭いこととフイードバック制御が難しいなどの問題がある。このため温度条件が容易に制御可能なパラメータとなる。
【0036】
図2および図3は本発明の標本スライド作成装置の他の実施形態を示しており、図1の検体の固定を行うほかに標本スライド1上に滴下される液状の検体を得る液状検体作成機構を備えているものである。
【0037】
本実施形態の標本スライド作成装置40は、平面矩形状の基体41の右側前方に図1と同様に形成されている検体の固定を行う恒温ブロック23部分が配設されており、左に隣接されているスライドグラス供給カセット部42から標本スライド1が1枚ずつ恒温ブロック23の上面に供給されるようになっている。恒温ブロック23の奥側には、標本スライド1上に滴下される液状の検体を得る液状検体作成機構43が配設されている。この液状検体作成機構43は主として遠心分離機44と液状の検体を標本スライド1上に滴下させるXYZ可動型ピペット機構45とにより形成されている。
【0038】
一方のXYZ可動型ピペット機構45は、恒温ブロック23と遠心分離機44との左右両側に前後方向に平行な2本の高架レール46を設け、両高架レール46の間に架け渡した架橋レール47をその両端部に設けたロール48をもって高架レール46上を走行自在とし、この架橋レール47の上をロール49をもってピペット支持走行体50を走行自在に装着し、このピペット支持走行体50に滴下ピペット35を上下方向移動自在に設けて構成されている。
【0039】
他方の遠心分離機44を図3および図4によって説明する。
【0040】
この遠心分離機44はモータ等の遠心回転機構51の回転軸52の開放端部に回転部材53を固定して形成されており、回転部材53の外周部には、6個の揺動バケット54を前記回転軸52を中心とする円周上に等間隔に配設している。そして、前記揺動バケット54には、スピッツ55がそれぞれ中心軸回りに回動自在に保持されている。また、前記遠心機位置検出機構56により各スピッツ55が所定の停止位置に停止したことを検出するように構成されている。具体的には、前記は回転軸52に固着されたセンサ円盤57aの外周に形成された図示しない停止位置マークをセンサ57によって検出するようになされている。
【0041】
前記遠心分離機44の周囲には、前記揺動バケット54に保持されたスピッツ55内に所定量の液状試薬(低張液やカルノア固定液)を注入する低張液用ピペット58とスピッツ55内から所定量の液状物を排出する廃液用ピペット59とが配設されている。低張液用ピペット58の位置には図4に示すようにカルノア固定液用ピペット60も配設されている。また、低張液用ピペット58の位置の下部には、撹拌上下機構62によって下方から上方に向かって伸延させられる把持部61によって停止している各スピッツ55の下端部を把持して上下動させ、前記揺動バケット54で正逆方向に軸回転させる図示しない駆動手段を有する攪拌機構63が配設されている。低張液用ピペット58には低張液試薬ボトル64内の低張液が輸送ポンプ65によって送給される。カルノア固定液用ピペット60には、酢酸ボトル66内の酢酸とメタノールボトル67内のメタノールとがそれぞれ輸送ポンプ68および69によって所定の比率(本実施の形態においては1:3)で搬送され、途中の2液混合部70において混合させられて送給される。排出用ピペット59からは図示しない輸送用ポンプによってスピッツ管55内の廃液が吸い出されて廃液タンク71内に排出される。また、廃液部分においては、図4に示すように、廃液レベル検出器72によってスピッツ管55内の廃液の量を検出できるように形成されている。
【0042】
そして、前記遠心回転機構51、遠心機位置検出器56、撹拌機構63、および輸送用ポンプ65、68、69は、それぞれ本標本スライド作成装置40の制御を行う制御部73と接続されており、前記制御部73において各部の動作が制御される。
【0043】
次に、本実施形態の作用について、図5から図7により説明する。
【0044】
図5は、本発明の標本スライド作成装置により、標本スライドグラスを作成するための第1ステージにおける処理を示すフロー図であり、図6は、第2ステージにおける処理を示すフロー図、図7は、第3ステージにおける処理を示すフロー図である。
【0045】
まず、事前段階として、培養した細胞の浮遊液を前記遠心分離機44の各揺動バケット54に保持させる6本のスピッツ55に移す。
【0046】
その後、前記遠心分離機44を駆動し、1300回転/分で10分間遠沈させ、前述の遠心機位置検出装置56により、1個のスピッツ55(以下、この1個のスピッツ55に対する操作として説明する)を廃液用ピペット59の位置に停止させる(ステップST1)。
【0047】
そして、停止したスピッツ55に対し、前記廃液用ピペット59を、前記スピッツ55の上方から前記スピッツ55の内壁に当接させないようにして、前記スピッツ55内の上澄み液層中の所定深さまで廃液レベル検出器72を用いて挿入し、続いて、図示しない廃液用ポンプを駆動し、前記上澄み液(約5ml)をスピッツ55内から吸い出して廃液タンク71に回収する(ステップST2)。
【0048】
そして、上澄み液の抽出が完了したら、前記廃液用ピペット59を前記スピッツ55内から抜き出し、続いて前記遠心機回転機構51を駆動して前記スピッツ55を低張液用ピペット58の位置まで移動させて、同位置において低張液用ピペット58から、輸送ポンプ65を駆動させることにより、所定量の5mlの低張処理液を注入し、その後スピッツ55をすりこぎ棒のように偏心撹拌させる(ステップST3)。
【0049】
このようにして、順次、スピッツ55を前記回転部材53の回転方向に1停止位置づつ移動させ、ステップST2とST3の処理を施す。
【0050】
その後、前記回転部材53を約15分間停止させるとともに温度を37℃に維持して低張処理を施す(ステップST4)。
【0051】
その後、低張液用ピペット58の位置における2回目の攪拌を全てのスピッツ55に対して順に行う(ステップST5)。
【0052】
また、2回目の攪拌が終了したスピッツ55に対してステップST4と同様の低調処理を施す(ステップST6)。
【0053】
その後、低張液用ピペット58の位置においてカルノア固定液用ピペット60から、輸送ポンプ66、67を駆動させることにより、第1回目の所定量の0.5mlのカルノア固定液を注入し、その後スピッツ55をすりこぎ棒のように偏心撹拌させる(ステップST7)。
【0054】
このようにして、順次、スピッツ55を前記回転部材53の回転方向に1停止位置づつ移動させ、ステップST7の処理を施す。
【0055】
その後、前記遠心分離機44を1300回転/分で10分間、遠沈させる(ステップST8)。
【0056】
次に、図6に示すように、前記遠心分離機44を停止した時点で、廃液用ピペット59の位置に停止しているスピッツ55に対し、ステップST2の手順と同様にして約5mlの上澄み液をスピッツ55内から吸い出して廃液タンク71に回収する(ステップST9)。
【0057】
そして、第2回目の上澄み液の抽出が完了したら、前記廃液用ピペット59を前記スピッツ55内から抜き出し、続いて前記遠心機回転機構51を駆動して前記スピッツ55を低張液用ピペット58の位置まで移動させて、同位置においてステップST7と同様に、カルノア酢酸液用ピペット60から、輸送ポンプ66、67を駆動させることにより、第2回目の所定量の3mlのカルノア固定液を注入し、その後スピッツ55をすりこぎ棒のように偏心撹拌させる(ステップST10)。
【0058】
このようにして、順次、スピッツ55を前記回転部材53の回転方向に1停止位置づつ移動させ、ステップST9とST10の処理を施す。
【0059】
全てのスピッツ55対し攪拌まで終了したら、前記遠心分離機44を1300回転/分で6分間駆動し、遠沈させる(ステップST11)。
【0060】
そして、前記遠心分離機44を停止した時点で、廃液用ピペット59の位置に停止しているスピッツ55から、順次、ステップST9からステップST11までの処理を3〜4回繰り返す(ステップST12)。
【0061】
最後の遠心分離が終了したら、図7の処理に移る。
【0062】
図7のステップST13およびST14において、廃液用ピペット59の位置に停止しているスピッツ55から、順次、前述のテップST9およびST10における処理と同様の上澄み液の吸い出し処理およびカルノア固定液の注入処理とスピッツ55の偏心撹拌処理を全てのスピッツ55に対して施す。
【0063】
その後、低張液用ピペット58の位置に停止しているスピッツ55に対し、ステップST14の手順と同様にしてカルノア酢酸液用ピペット60から、輸送ポンプ66、67を駆動させることにより、細胞浮遊液濃度調整のための最後のカルノア固定液を注入し、その後スピッツ55をすりこぎ棒のように偏心撹拌させる(ステップST15)。この処理を全てのスピッツ55に対して施す。
【0064】
その後、XYZ可動型ピペット機構45を作動させて滴下ピペット35を停止しているスピッツ55内に挿入し、同スピッツ55内の細胞浮遊液3を滴下ピペット35内に吸い込み排出を繰り返してタッピング処理を施す(ステップST16)。
【0065】
その後、供給ポンプ33を駆動し、前記細胞浮遊液3を滴下ピペット35内に回収する(ステップST17)。そして、XYZ可動型ピペット機構45を駆動して滴下ピペット35をスピッツ55内から抜き出し、続いてXYZ可動型ピペット機構45を駆動して滴下ピペット35を標本スライド1のスポット位置の上部にまで移動させ、その後、XYZ可動型ピペット機構45を再び駆動させて、滴下ピペット35の先端を標本スライド1の上面直上まで移動させる。そして、供給ポンプ33の駆動により、スライドグラス19上に必要数滴の細胞浮遊液3を滴下ピペット35から滴下する(ステップST18)。
【0066】
その後、恒温ブロック23により図1に示す実施形態において説明した方法によって標本スライド1上の液状の細胞浮遊液3が良好に乾燥されて、適正形状を有するメタフェーズが形成される。
【0067】
このように本実施形態によれば、標本スライド1上に滴下される液状の検体である細胞浮遊液3を得ることができるとともに、液状の検体を良好に固定することができる。
【0068】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の検体固定方法およびこの方法を利用した標本スライド作成装置は構成され作用するものであるから、標本スライドの作成方法に係る関連パラメータを制御することによって、検体のメタフェーズを確実に適正形状とすることができ、誰にでも適正な標本スライドを作成することができ、しかも標本スライドの品質が安定しており、更に大量生産をも可能とする等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る標本スライド作成装置の一実施形態を示す全体の概念図
【図2】 本発明に係る標本スライド作成装置の他の実施形態を示す正面図
【図3】 図2の平面図
【図4】 本発明の遠心分離機の構成を示す概略図
【図5】 本発明に係る標本スライド作成装置を用いて標本スライドグラスを作成するための処理を示すフロー図
【図6】 図5の後の処理を示すフロー図
【図7】 図6の後の処理を示すフロー図
【図8】 従来の細胞浮遊液を固定する方法を示す概略図
【図9】 従来の細胞浮遊液を固定する他の方法を示す概略図
【図10】 従来の細胞浮遊液を固定する更に他の方法を示す概略図
【図11】 従来の細胞浮遊液を固定する更に他の方法を示す概略図
【符号の説明】
20、40 標本スライド作成装置
21 閉空間
23 恒温ブロック
25 恒温ブロック温度制御ユニット
26 加湿器
31 加湿用ヒータ制御ユニット
32 ポンプ制御ユニット
36 最適展開温度値演算ユニット
43 液状検体作成機構
44 遠心分離機
45 XYZ可動型ピペット機構
58 低張液用ピペット
60 カルノア固定液用ピペット

Claims (6)

  1. 細胞または染色体からなる検体を標本スライドに固定する検体固定方法において、前記検体のメタフェーズの染色体が顕微鏡観察するのに適した形状に広がった適正形状とさせるように雰囲気を対流させながら乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度を制御パラメータとして制御した乾燥時間をもって液状検体を乾燥させることを特徴とする検体固定方法。
  2. 前記検体のメタフェーズの適正形状は、その直径を60から100μmとすることを特徴とする請求項1に記載の検体固定方法。
  3. 前記乾燥時間は100から300秒であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検体固定方法。
  4. 細胞または染色体からなる検体を標本スライドに固定して標本スライドを作成する標本スライド作成装置において、標本スライド上の前記検体のメタフェーズが適正形状となる乾燥時間をもって液状検体を乾燥させる乾燥制御機構であって予め取得した標本スライド上の前記検体のメタフェーズの染色体が顕微鏡観察するのに適した形状に広がった適正形状となる乾燥時間に応じて雰囲気を対流させながら乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度をそれぞれ制御する制御ループを有する乾燥制御機構を備えていることを特徴とする標本スライド作成装置。
  5. 前記乾燥制御機構は、乾燥雰囲気の温度ならびに湿度、液状の検体の滴下液量、細胞浮遊液のカルノア滴酢酸濃度をそれぞれ制御自在に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の標本スライド作成装置。
  6. 標本スライド上に滴下される液状の検体を得る液状検体作成機構を備えていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の標本スライド作成装置。
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