JP3696451B2 - スピンドルモータおよびこれを備えたディスク駆動装置 - Google Patents

スピンドルモータおよびこれを備えたディスク駆動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD−ROM,DVD等のディスク記録媒体を回転駆動するディスク駆動用のスピンドルモータおよびこれを用いたディスク駆動装置に関するもので、特に高速化に対応することができるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
CD−ROM,DVD等のディスク記録媒体を回転駆動するディスク駆動用のスピンドルモータおよびこれを用いたディスク駆動装置は、ますます高速化が進んでおり、これに伴って、解決すべき技術課題が新たに生じている。高速化に伴うディスクの浮き上がりの問題もその一つである。そこでまず、高速化に伴うディスクの浮き上がり現象の原理について説明する。
【0003】
図4において、ディスク駆動用のスピンドルモータ61およびこのスピンドルモータ61によって回転駆動されるディスク25は、ディスク駆動装置内の限られた空間に収容されており、一つの筐体60内に収容されているのと実質同一と考えてよい。ディスク載置部はスピンドルモータ61の上端側にあるため、上記筐体60内にスピンドルモータ61およびディスク25を収容したとき、ディスク25の上面およびこれが対向する筐体60の天井面との空間は、ディスク25の下面およびこれが対向する筐体60の底面との空間よりも狭くなっている。
【0004】
スピンドルモータ61によってディスク25を回転駆動すると、ディスク25表面の空気摩擦抵抗によって空気の流れが生じる。この空気の流れは、ディスク25の面と、これと対向する筐体60の面との間隔の大小によって異なる。図4に示す例のように、ディスク25の上面の空間が、ディスク25の下面側の空間よりも狭い場合は、ディスク25上面側の空気の流速が、ディスク25下面側の空気の流速よりも速くなるため、ディスク25上面側の気圧がディスク25下面側の気圧よりも低くなり、ディスク25が筐体60の天井面に向かって吸い寄せられ、ディスク25に浮上力が発生する。この浮上力は、ディスクの回転速度が高くなるほど、また、ディスクドライブ装置の薄型化に伴い上側空間が狭くなればなるほど顕著に表れる。この浮上力によってディスク25が浮上すると、ディスク25の高さ位置が正規の高さ位置より外れるため、CD−ROMあるいはDVDドライブ用モータの場合、フォーカスエラーによってデータの読み取りエラーや書き込みエラーが発生する。
【0005】
上記のように、ディスクに浮上力が発生してもディスク25の高さ位置が正規の高さ位置から外れないようにするための手段として、ディスクを取り付けて保持するためのロータと、このロータを回転付勢するためのステータとの間に、軸方向の吸引力を作用させ、回転軸をスラスト方向の一方向に偏らせることが考えられる。図5(b)はその例を示しており、ロータケース7の周壁内面に取り付けられたロータマグネット8の回転軸方向に関する磁気中心と、これに対向するステータコア3の回転軸方向に関する磁気中心をAだけずらし、磁気吸引力によってロータを下方に引き寄せる力を発生させている。実開平5−23782号公報、実開昭63−97367号公報、実開昭61−202153号公報に記載されているものも同様の構成を有するもので、この技術を利用することにより、回転軸にスラスト方向の一方向に偏ろうとする力であって、上記浮上力に打ち勝つ力を発生させ、この力をスラスト軸受で受けることによって、ディスク25の高さ位置がずれないようにすることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような方法によってディスクの浮き上がりを防止しようとすると、ディスクの回転速度が高くなればなるほど、また、ディスクとこれに対向する筐体面との間隔が狭くなればなるほど浮上力が大きくなるので、この浮上力に対抗するためには、ステータの軸方向磁気中心と、これと対向するロータマグネットの軸方向磁気中心とを大きくずらして、回転軸に発生するスラスト方向一方向の力をより大きくし、あるいは、ロータマグネットをより高性能のものとして、回転軸に発生するスラスト方向一方向の力をより大きくする必要がある。
【0007】
しかしながら、前記問題を解決するために、上記のような方法によって回転軸に発生するスラスト方向一方向の力を大きくすると、次のような問題が生じする。ロータの回転位置に応じたステータコイルへの通電切り替えの際の、ロータとステータ間の吸引力と反発力がともに大きくなり、モータのスイッチングノイズの増大、コギングトルクの増大をもたらす。
ロータまたはステータの少なくとも一方の軸方向寸法を大きくする必要があるため、コストの増大をもたらすとともに、スピンドルモータ全体としての軸方向寸法の縮小化に対する障害となる。
【0008】
本発明は以上のような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、ステータの軸方向磁気中心と、これと対向するロータマグネットの軸方向磁気中心とを大きくずらさなくても、ディスク回転時のディスクの浮上を防止することができるようにして、モータのスイッチングノイズの増大、コギングトルクの増大を防止し、また、全体としての軸方向寸法の縮小化が可能なスピンドルモータおよびこれを備えたディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、外方に向けて突出形成された突極部を有するステータコアおよびこのステータコアの突極部に巻き回されたステータコイルを有するステータ部と、回転軸、ディスクを取り付け保持するディスク載置部、上記ステータコアの周方向に対向して設けられたロータマグネットを有するロータ部とを備えたスピンドルモータにおいて、回転軸とディスク載置部とロータマグネットとが取り付けられるロータケースが磁性材で構成され、ロータケースに対向するステータコアに、ディスク載置部を吸引するための吸引用マグネットが取り付けられ、ステータコアが吸引用マグネットのバックヨークとして用いられており、ロータケースには、絞り加工によって吸引用マグネットへの近接部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、回転軸を回転自在に保持するラジアル滑り軸受と、回転軸の端部を支持するスラスト軸受とを有し、吸引用マグネットにより回転軸がスラスト軸受に圧接していることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、ラジアル滑り軸受はステータコア取り付け部を有し、ステータコアには、ラジアル滑り軸受とステータコイルとの間の空間において吸引用マグネットが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、外方に向けて突出形成された突極部を有するステータコアおよびこのステータコアの突極部に巻き回されたステータコイルを有するステータ部と、回転軸、ディスクを取り付け保持するディスク載置部、ステータコアの周方向に対向して設けられたロータマグネットを有するロータ部とを備えてなるディスク駆動用のスピンドルモータを用い、このスピンドルモータによってディスク載置部に取り付けられたディスクを回転駆動するようにしたディスク駆動装置において、回転軸とディスク載置部とロータマグネットとが取り付けられるロータケースが磁性材で構成され、ロータケースに対向するステータコアに、ディスク載置部を吸引するための吸引用マグネットが取り付けられ、ステータコアが吸引用マグネットのバックヨークとして用いられ、ディスク回転時にディスクの回転軸方向への移動が規制されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明にかかるスピンドルモータおよびこれを備えたディスク駆動装置の実施の形態について説明する。
図1、図3において、モータ基板1には軸受取り付け孔が形成されていて、この軸受取り付け孔にはラジアル滑り軸受2が嵌められ固定されている。滑り軸受2は焼結金属からなり、潤滑油が含浸された焼結含油軸受である。滑り軸受2はその下端部が上記取り付け孔に挿入され、かしめ、接着等の適宜の手段によって固定されている。滑り軸受2はまたコアホルダも兼ねていて、中心孔を中心として周囲が円筒形に形成されるとともに、複数の段状に形成され、その段部にステータコア3の内周部が嵌められ、適宜の手段によって固定されている。図3を参照すれば明らかなように、ステータコア3は外方に向けて放射状に突出形成された突極部33を有し、各突極部33は、これに線材が巻き回されることによって形成されたステータコイル4を有している。ステータコア3、ステータコイル4等によってステータ部30を構成している。
【0013】
図1は、回転軸5の中心軸線を中心にして右側と左側で異なった実施の形態を示しているが、その差異は僅かである。まず、右側の実施の形態について説明すると、上記ステータコア3の内周縁部上面には、ラジアル滑り軸受2よりも外周側で、かつ、ステータコイル4よりも内周側に、換言すれば、滑り軸受2とステータコイル4との間の空間15に、次に説明するディスク載置部を吸引するための吸引用マグネット16が固定されている。吸引用マグネット16は断面が長方形でリング状の部材で、ステータコア3の平坦な上記内周縁部上面に固定されている。
【0014】
上記滑り軸受2の中心孔には回転軸5が挿入されている。滑り軸受2の上端から突出した回転軸5の上端部には、ボス6の中心孔が圧入されることによってボス6が固着されている。ボス6は下端に鍔部61を有し、この鍔部61の外周部下面側に、磁性材で構成されたロータケース7の中心孔周縁部上面が当接させられ、適宜の手段、例えばボス6のかしめ等によってボス6とロータケース7とが一体に結合されている。ロータケース7のボス6との上記結合部は絞り加工され、上記吸引用マグネット16への近接部27となっている。この近接部27は上記吸引用マグネット16とほぼ対向する位置に形成され、この近接部27と吸引用マグネット16との間隔が、例えば0.3mm以下というようにかなり近接している。ロータケース7は上記のように磁性材で構成されているため、近接部27と吸引用マグネット16が近接することによって、ロータケース7がかなり強い吸引力で下側に向かって吸引される。
【0015】
上記ロータケース7は扁平なカップ状をしていて、これがステータ30を取り囲むように伏せた形で配置され、ロータケース7の外周壁内面には、リング状のロータマグネット8が接着等によって固着されている。ロータマグネット8は周方向に所定の間隔で適宜数の磁極が形成されている。ロータマグネット8の内周面は適宜の間隔をおいて前記突極33の先端面に対向している。ロータケース7はディスク載置部を兼ねている。より具体的には、ロータケース7の上面がディスク載置面となっていて、上面に固着された滑り止めラバー9上にディスクが載せられる。
【0016】
ロータケース7の中心部上面には、ディスクの中心孔が嵌まる円盤状の嵌合体10が、前記ボス6の円筒部外周に嵌められることによって固着されている。嵌合体10の外周面からは、適宜の数箇所、例えば3箇所から、クランプ体11の先端部が突出している。クランプ体11は、嵌合体10にその半径方向に移動可能にガイドされて保持されるとともに、先端部が嵌合体10の外周面から突出する向きに、ばねによって付勢され、所定の突出位置で付勢力による移動が規制されている。クランプ体11の先端部は砲弾状に形成されるとともに、最大突出部が、クランプ体11の上下方向中心位置よりも上側に位置するように、かつ、滑り止めラバー9の上面から上記最大突出部までの高さ寸法よりもディスクの厚み寸法が小さくなるように、上記最大突出部の高さ位置が設定されている。
【0017】
従って、ディスクの中心孔を嵌合体10に合わせてディスクを押し下げると、ディスクの中心孔周縁部がクランプ体11の上側傾斜面を押してクランプ体11を付勢力に抗し後退させる。ディスクの中心孔上縁がクランプ体11の最大突出部を乗り越えると、クランプ体11は付勢力で再び突出しようとする向きに移動しつつディスクの中心孔上縁を下方に押し、ディスクをラバー9に押し付けて、ディスクを上下方向にも回転方向にも所定位置に位置決めするようになっている。回転軸5、ディスク載置部を兼ねたロータケース7、ロータマグネット8などからなる回転部分は、ロータ部40を構成している。
【0018】
前記回転軸5の下端部は、滑り軸受2の下端中央に形成された凹部に位置している。回転軸5の下端部には周溝が形成され、この周溝には抜け止めのためのリング22が嵌められ、回転軸5が滑り軸受2から上方に抜けるのを防止している。滑り軸受2の上記凹部にはキャップ状の保持体20が嵌められて固定されている。この保持体20の内底部にはスラスト軸受21が配置されていて、このスラスト軸受21に、回転軸5の部分球面状下端が当接している。上記ロータ部40の荷重によって、また、上記吸引用マグネット16によるロータケース7に作用する吸引力によって、回転軸5の下端がスラスト軸受21に圧接している。
【0019】
ロータマグネット8の回転位置に応じて各ステータコイル4への通電を制御することにより、突極33とロータマグネット8との間に生じる磁気的吸引反発力でロータマグネット8が周方向に回転付勢され、これとともにロータ部40が連続回転駆動され、ディスク載置部に載置されクランプされているディスクも一体に回転駆動される。滑り軸受2は、回転軸5をラジアル方向に回転可能に保持するラジアル軸受を構成している。
【0020】
ディスクの回転駆動に伴い、前述のように空気の流れが生じ、ディスクを浮上させようとする力が働くが、ステータコア3の上面に吸引用マグネット16を固定し、これを磁性材からなるロータケース7と対向させたため、吸引用マグネット16がロータケース7を上記浮上力に抗して吸引し、回転軸5の下端をスラスト軸受21に圧接させる。そのため、ディスクの高さ位置変動がなく、フォーカスエラーもなく、ディスクに対する情報信号の書き込み、読み出しをエラーなく行うことができる。
【0021】
このように、上記実施の形態によれば、吸引用マグネット16を用いてディスクの浮き上がり防止を図っているので、図5(b)について説明したような、ステータの軸方向磁気中心と、これと対向するロータマグネットの軸方向磁気中心とをずらす必要はなく、図5(a)に示すように、ステータの軸方向磁気中心と、これと対向するロータマグネットの軸方向磁気中心とを一致させて、そのずれを0とすることができる。従って、ロータ部40の回転位置に応じたステータコイル4への通電切り替えの際の、ロータ部40とステータ部30間の吸引力と反発力の増大を抑えることができ、モータのスイッチングノイズと、コギングトルクの低減を図ることができる。なお、磁気中心を一致させるとは、寸法的な意味ではなく、磁気的にみたときの中心位置である。
【0022】
図6、図7は、本発明の上記実施の形態にかかるスピンドルモータと、ステータの軸方向磁気中心とこれに対向するロータマグネットの軸方向磁気中心とをずらしてなる従来のスピンドルモータについて、それぞれノイズレベルを測定した結果を示す。図6が本発明にかかるスピンドルモータの測定結果を、図7は従来のスピンドルモータの測定結果を示す。何れも、5000rpmでサーボが効くようにしたもので、サーボが効き始めてからのノイズレベルは大差がない。しかし、サーボが効き始めるまでの騒音レベルは、本発明にかかるモータの方が明らかに低く、静かに立ち上がっていることがわかる。一方、従来のモータでは、サーボがかかるまでの立ち上がりで、サーボが効いているときよりも大きな騒音を発生している。さらに、サーボが効き始めるまでの立ち上がり時間は、本願発明にかかるモータの方が、従来のモータよりも明らかに早くなっている。
【0023】
また、ロータ部40も、ステータ部30も、軸方向寸法を大きくする必要がないため、コストの低減を図ることができるとともに、スピンドルモータ全体の軸方向寸法の縮小化を図ることができる。
さらに、図1に示す実施の形態によれば、ディスク載置部を軸方向に吸引するための吸引用マグネット16は、モータのデットスペースであるところの、ラジアル滑り軸受2とステータコイル4との間の空間15に取り付けられているため、吸引用マグネット16を取り付けたことによってモータの軸方向寸法が増大することもない。
【0024】
磁性材からなるロータケース7には、吸引用マグネット16との対向位置において、絞り加工によって近接部27を設け、この近接部27を吸引用マグネット16に近接させたため、吸引用マグネット16によるロータケース7を吸引する力が大きくなる。従って、このスピンドルモータを備えたディスク駆動装置によれば、ディスクの高速回転駆動に伴ってディスクの浮上力が大きくなっても、これに打ち勝ってロータケース7を吸引し、回転軸5の下端をラジアル軸受21に当接させて回転軸方向への移動を規制することができるため、ディスクの軸方向位置を所定位置に保持することができ、フォーカスエラーを防止して読み取りエラー、書き込みエラーを防止することができる。
【0025】
さらに、吸引用マグネット16をステータコア3の上面に直接取り付けているため、ステータコア3がバックヨークとして用いられることになり、吸引用マグネット16によるロータケース7の吸引力を強くすることができ、これによって上記のような効果を得ることができる。
【0026】
次に、図1の左側に示されている実施の形態について説明する。この実施の形態は、上記実施の形態と比較して、吸引用マグネットとステータコアの形状が異なるものである。すなわち、吸引用マグネット17は上側約半分の外径が下側約半分の外径よりも大きい段付のリング状の部材で、この吸引用マグネット17を取り付けるステータコア3の内径部分にも段部18が形成されて吸引用マグネット17の下側約半分を受け入れるようになっている。
このように、図1の左側に示されている実施の形態は、吸引用マグネットとステータコアの形状が前記実施の形態と異なるのみであって、他の構成は前記実施の形態と同じであり、作用効果も前記実施の形態と同じであるから、説明は省略する。
【0027】
次に、図2に示す実施の形態について説明する。前記実施の形態では、ボス6を介してロータケース7が回転軸5に結合されていたが、回転軸5に直接ロータケース7を結合させてもよい。図2に示す実施の形態はその例である。図2において、ステータ部30、ラジアル滑り軸受2、吸引用マグネット16およびスラスト軸受21を含む回転軸5にかかるスラスト荷重受け部の構成は、図1の右側に示されている実施の形態と同じ構成になっている。ロータケース7は中心位置に絞り加工によって円筒形のバーリング部26が形成されており、このバーリング部26に回転軸5の上端部が嵌められ、回転軸5とロータケース7が結合されている。
【0028】
ロータケース7の中心部上面には、ディスクの中心孔が嵌まる円盤状の嵌合体10が、上記バーリング部26の外周に嵌められることによって固着されている。嵌合体10の外周面からは、前記実施の形態と同様に、適宜の数箇所から、クランプ体11の先端部が突出して、ディスククランプ機構を構成している。図2において符号2はディスクを示している。ディスク25は、ディスク載置部を構成するラバー9の上に載置されるが、図2では、載置の途中を示している。図2の右半分に記載されている実施の形態では、ロータケース7の、吸引用マグネット16の上面と対向する位置が絞り加工され、吸引マグネット16への近接部28が形成されている。この近接部28は、回転軸5を中心とする同心円に沿って形成されている。近接部28の下面と吸引マグネット16の上面との間隔は、前述の例と同様に、例えば0.3mm程度に近接している。
【0029】
図2の右半分に記載されている実施の形態における近接部28は、吸引マグネット16に対向する範囲内において形成されているが、図2の左半分に記載されている実施の形態では、吸引マグネット16に対向する範囲から半径方向外側に及ぶ範囲で絞り加工によって吸引マグネット16への近接部29が形成されている。
【0030】
図2の右半分に記載されている実施の形態によっても、また、図2の左半分に記載されている実施の形態によっても、図1に記載されている前記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。加えて、回転軸5とロータケース7との間にボスを介在させる必要ないため、部品点数を少なくすることができる。
【0031】
以上説明した各実施の形態によれば、スピンドルモータとしても前述の効果を得ることができるし、このスピンドルモータを備えたディスク駆動装置を構成すれば、ディスクを高速回転駆動したときのディスクの浮き上がりを防止することができ、フォーカシングエラーの低減によって、読み取りエラー、書き込みエラーの低減を図ることができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ステータコアおよびステータコイルを有するステータ部と、回転軸、ディスク載置部、ロータマグネットを有するロータ部とを備えてなるスピンドルモータにおいて、回転軸とディスク載置部とロータマグネットとを取り付けるロータケースを磁性材で構成し、ロータケースに対向するステータコアに、ディスク載置部を吸引するための吸引用マグネットを取り付けたため、ステータの軸方向磁気中心と、これに対向するロータマグネットの軸方向磁気中心とを一致させて、そのずれを0としても、回転軸を軸方向一方向に偏らせることができ、従って、ロータ部の回転位置に応じたステータコイルへの通電切り替えの際の、ロータ部とステータ部間の吸引力と反発力の増大を抑えることができ、モータのスイッチングノイズと、コギングトルクの低減を図ることができる。
また、ロータケースに、絞り加工によって吸引用マグネットへの近接部を形成したため、吸引用マグネットによるロータケースの吸引力を高めることができ、ステータコアを吸引用マグネットのバックヨークとして用いたことによっても、吸引用マグネットによるロータケースの吸引力を大きくすることができる。
【0033】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、回転軸を回転自在に保持するラジアル滑り軸受と、回転軸の端部を支持するスラスト軸受とを設け、吸引用マグネットにより回転軸をスラスト軸受に圧接させるようにしたため、ロータ部の軸方向位置を精度よく保つことができる。
【0034】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発明において、ラジアル滑り軸受にステータコア取り付け部を設け、ステータコアには、ラジアル滑り軸受とステータコイルとの間の空間において吸引用マグネットを取り付けたため、吸引用マグネットは、スピンドルモータにおいてデッドスペースとなっている空間に配置されることになり、吸引用マグネットを取り付けたことによるモータ体格の増大を回避することができる。
【0036】
請求項記載の発明によれば、請求項1に記載されているようなスピンドルモータを備えたディスク駆動装置を構成し、吸引用マグネットによるロータケースの吸引力を高めるとともに、ディスク回転時にディスクの回転軸方向への移動を規制するようにしたため、ディスク回転時に、ディスクに浮上力が発生しても、この浮上力に打ち勝ってディスクの回転軸方向への移動を規制することができ、フォーカシングエラーの低減によって、読み取りエラー、書き込みエラーの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるスピンドルモータおよびこれを備えたディスク駆動装置の実施の形態を示す正面断面図である。
【図2】本発明にかかるスピンドルモータおよびこれを備えたディスク駆動装置の、別の実施の形態を示す正面断面図である。
【図3】上記別の実施の形態ステータ部を示す平面図である。
【図4】従来のスピンドルモータの問題点を説明するための正面断面概念図である。
【図5】ステータコアの軸方向磁気中心とロータマグネットの軸方向磁気中心との関係を示すものであって、(a)は磁気中心のずれがゼロの場合を、(b)は磁気中心のずれがある場合の断面図である。
【図6】本発明にかかるモータの例においてノイズ測定結果を示す線図である。
【図7】従来のモータにおいてノイズ測定結果を示す線図である。
【符号の説明】
3 ステータコア
2 ラジアル滑り軸受
4 ステータコイル
5 回転軸
7 ロータケース
8 ロータマグネット
9 ディスク載置部を構成するラバー
15 空間
16 吸引用マグネット
17 吸引用マグネット
21 スラスト軸受
25 ディスク
27 近接部
28 近接部
30 ステータ部
33 突極部
40 ロータ部

Claims (4)

  1. 外方に向けて突出形成された突極部を有するステータコアおよびこのステータコアの突極部に巻き回されたステータコイルを有するステータ部と、
    回転軸、ディスクを取り付け保持するディスク載置部、上記ステータコアの周方向に対向して設けられたロータマグネットを有するロータ部とを備えてなるスピンドルモータにおいて、
    上記回転軸とディスク載置部とロータマグネットとが取り付けられるロータケースが磁性材で構成され、
    上記ロータケースに対向する上記ステータコアに、上記ディスク載置部を吸引するための吸引用マグネットが取り付けられ、
    上記ステータコアが上記吸引用マグネットのバックヨークとして用いられており、
    ロータケースには、絞り加工によって吸引用マグネットへの近接部が形成されていることを特徴とするスピンドルモータ。
  2. 回転軸を回転自在に保持するラジアル滑り軸受と、上記回転軸の端部を支持するスラスト軸受とを有し、吸引用マグネットにより上記回転軸が上記スラスト軸受に圧接している請求項1記載のスピンドルモータ。
  3. ラジアル滑り軸受はステータコア取り付け部を有し、ステータコアには、上記ラジアル滑り軸受とステータコイルとの間の空間において吸引用マグネットが取り付けられている請求項2記載のスピンドルモータ。
  4. 外方に向けて突出形成された突極部を有するステータコアおよびこのステータコアの突極部に巻き回されたステータコイルを有するステータ部と、
    回転軸、ディスクを取り付け保持するディスク載置部、上記ステータコアの周方向に対向して設けられたロータマグネットを有するロータ部とを備えてなるディスク駆動用のスピンドルモータを用い、
    このスピンドルモータによって上記ディスク載置部に取り付けられたディスクを回転駆動するようにしたディスク駆動装置において、
    上記回転軸とディスク載置部とロータマグネットとが取り付けられるロータケースが磁性材で構成され、
    上記ロータケースに対向する上記ステータコアに、上記ディスク載置部を吸引するための吸引用マグネットが取り付けられ、
    ロータケースには、絞り加工によって吸引用マグネットへの近接部が形成され、
    上記ステータコアが上記吸引用マグネットのバックヨークとして用いられ、
    ディスク回転時に上記ディスクの回転軸方向への移動が規制されていることを特徴とするディスク駆動装置。
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