JP3696404B2 - 現像装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、電子写真方式の画像形成を行う画像形成装置に備えられ、感光体の表面に形成された静電潜像に対してトナーを供給してトナー像に顕像化する現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ装置及びレーザプリンタ等の画像形成装置において実行される電子写真方式の画像形成プロセスには、光導電作用によって感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を顕像化する現像工程が含まれる。このため、電子写真方式の画像形成を行う画像形成装置には、内部にトナーを収納した現像装置が感光体に近接して配置されている。
【0003】
この現像装置は、回転自在に支持された金属製薄肉円筒状のスリーブの内部に、円周上の位置を固定して配置された複数の磁石を収納したトナー担持体を備えている。現像装置においてトナー担持体のスリーブは、感光体の表面に対向した状態で回転軸を感光体の回転軸に平行にして回転し、複数の磁石によって円周方向に複数形成される帯状の磁界から作用する磁力、及び、トナーとの摺動によって生じる摩擦力によって表面に吸着したトナーを感光体の表面に搬送する。
【0004】
このような現像装置では、トナー担持体を構成するスリーブの周面の一部が軸方向の全長にわたって露出しているため、特に、スリーブの軸方向の両端部において現像装置の外部にトナーが飛散及び落下し、画像形成装置の内部や記録媒体を汚損する問題がある。
【0005】
そこで、従来の現像装置として、特開昭60−10276号公報には、現像装置の筐体に感光体に向かって突部を形成する状態に湾曲してスリーブの軸方向の両端部を覆うシート体を設け、スリーブの軸方向の両端部から飛散したトナーをシート体に衝突させ、スリーブ内の磁石の磁力の及ぶ空間内を落下する間にスリーブの表面に再度吸着させて現像装置の筐体内に戻すようにした構成が開示されている。
【0006】
また、特開平9−73232号公報には、現像装置内に複数のスリーブを備えた場合に、各スリーブの軸方向の両端部を被覆するシール体の軸方向の幅を、磁石の磁力やスリーブの回転速度に基づいて決定するようにした構成が開示されている。
【0007】
さらに、実開平6−69962号公報には、スリーブ内に収納される磁石の軸方向における両端部に着磁パターンの異なる端部磁石を非着磁部を選択的に介在させて配置し、スリーブ内に収納される磁石の両端部における表面磁束密度を急激に変化させることによってスリーブの軸方向の両端部からのトナーの漏出を防止するようにした構成が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭60−10276号公報や特開平9−69962号公報に開示されているように、スリーブの軸方向の両端部を被覆するシート体を配置する構成では、トナー担持体に対向する感光体が一般に円筒形状を呈することから、感光体の円周方向の広い範囲にシート体を介在させることができず、また、シート体における皺の発生によりシート体を感光体に十分に密着させることができず、トナーの飛散を確実に防止することができない問題があった。さらに、スリーブの表面において磁石に対向する位置ではトナーが穂立ち状態となり、トナー担持体の表面におけるトナーの層厚が感光体の表面とトナー担持体の表面との間隔を越え、余剰のトナーが軸方向の両端部に向かって移動した後にシート体によってトナー担持体の表面から掻き落とされ、シート体を配置することによって却ってトナーの漏出を助長する結果となる問題があった。
【0009】
また、実開平6−69962号公報に開示されているように、スリーブ内に収納される磁石の軸方向の両端部に端部磁石を配置する構成では、部品点数の増加によるコストの上昇、及び、組立工程数の増加によるデメリットに比較してトナーの漏出を防止する十分な効果を得ることができない問題がある。また、磁石の軸方向の両端部に非着磁部を設けた場合には、スリーブの軸方向について装置の大型化を招く問題がある。
【0010】
この発明の目的は、部品点数の増加や装置の大型化によるコストの上昇をともなうことなく、トナーの漏出を確実に防止することができる現像装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を解決するための本発明の現像装置は、周面に現像剤が磁気吸着する現像ローラと、現像ローラの周面における現像剤の層厚を規制するドクタブレードと、を備え、現像ローラの周面を介して感光体に現像剤を供給する現像装置において、
前記ドクタブレードは、非磁性体の弾性変形可能なAl、Cu又はSUS304のいずれかの金属材料からなり、略コの字型の断面形状に形成され、現像ローラの周面において軸方向の着磁範囲の内側で、かつ、着磁範囲よりも短い範囲に対向し、上記現像ローラと対向し現像剤を規制する先端部を粗面化処理にてRz=19μm程度の表面粗度とした後、Ni−Cu又はNi−Crのメッキを施し、ビッカーズ硬度が450以上で、Rz=15μmの表面粗度に設定したことを特徴とする。
【0012】
以上のような構成の現像装置によれば、現像ローラの周面に着磁範囲の内側でドクタブレードによる現像剤の層厚の規制が行われ、前記現像剤の層厚を規制する前記ドクタブレードの前記現像ローラの軸方向の有効範囲の両端が、前記現像ローラの端部近傍において磁力の接線方向成分が中央部よりもやや弱い位置に設定されている。したがって、現像ローラの周面に磁気吸着された現像剤のうち、ドクタブレードとの当接によって、現像ローラの周面から掻き落とされた現像剤は、現像ローラの周面の着磁範囲に対向する空間に位置し、現像ローラの周面に再度磁気吸着される。特に、前記ドクタブレード先端部での現像剤の流動に対して十分な整流効果により、現像剤の層厚を円滑に規制できることと合わせ現像ローラの端部方向の磁力により現像剤が現像ローラの端部方向に移動しにくい位置に前記ドクタブレードの前記有効範囲の両端が配置されるため、ドクタブレードによって層厚の規制がされた現像剤の飛散が確実に防止される。
【0018】
上述した構成によれば、略コの字型の断面形状に形成されているため、現像剤から作用する圧力が突発的に上昇した場合にも、現像剤の整流効果を高めることを含め、変形や破損を生じることがないドクタブレードが得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施形態に係る現像装置が適用される画像形成装置として複写機を例にあげて説明する。
【0022】
図1は、この発明の実施形態に係る現像装置が適用される画像形成装置である複写機の構成を示す正面断面の略図である。複写機本体25の上面には、硬質透明ガラス体の原稿台24が設置されている。この原稿台24は、上面を図外の原稿カバーによって被覆される。複写機本体25の内部において、原稿台24の下面には、コピーランプ1a及びミラー1bを搭載した第1ミラーベース1、ミラー2a,2bを搭載した第2ミラーベース2、レンズ3及びミラー4a及び4bを搭載した第3ミラーベース4が配置されている。
【0023】
複写機本体25内の略中央部には、感光体ドラム7が回転自在に配置されている。この感光体ドラム7の周囲には、帯電器8、現像装置6、転写器17、クリーナ10及び除電ランプ9が設けられており、感光体ドラム7とともに画像形成プロセス部を構成している。この画像形成プロセス部の左側には、加圧ローラ14及びヒートローラ15を備えた定着装置11か配置されている。また、複写機本体25内の下部には、給紙カセット22が装着されている。
【0024】
複写機本体25の内部には、給紙カセット22から画像形成プロセス部の感光体ドラム7と転写器17との間、及び、定着装置11の加圧ローラ14とヒートローラ15との間を経由して複写機本体25の一方の側面の外部に至る用紙搬送路が構成されている。この用紙搬送路中には、給紙ローラ19、搬送ローラ20、レジストローラ18、搬送ベルト16及び排紙ローラ13が順に配置されている。
【0025】
以上のように構成された複写機本体25において、原稿台24上に載置された原稿の画像を複写する際には、第1ミラーベース1及び第2ミラーベース2が原稿台24の下面を原稿台24に平行に移動し、第1ミラーベース1に搭載されているコピーランプ1aにより原稿の画像面の全面を順次露光する。コピーランプ1aの光の原稿の画像面における反射光は、ミラー1b,2a,2b、レンズ3、ミラー4a,4b,5を順に経由して感光体ドラム7の表面に照射される。なお、第2ミラーベース2の移動速度は、第2ミラーベース1の移動速度の1/2にされており、コピーランプ1aが原稿の画像面の全面を露光する間において原稿の画像面から感光体ドラム7の表面までの光路長が一定に維持される。
【0026】
感光体ドラム7の表面は、原稿の画像面における反射光の照射に先立って、帯電器8によって単一極性の電荷が均一に付与されている。また、感光体ドラム7の表面には光導電層が形成されている。したがって、原稿の画像面における反射光の照射を受けた感光体ドラム7の表面には、光導電作用によって静電潜像が形成される。この静電潜像が形成された感光体ドラム7の表面に対して現像装置6からトナーが供給され、静電潜像がトナー像に顕像化される。
【0027】
感光体ドラム7の回転に先立って給紙ローラ19の回転により、給紙カセット22から用紙が1枚ずつ給紙されている。給紙カセット22から給紙された用紙は、搬送ローラ20の回転により、先端がレジストローラ18に当接する位置まで搬送される。この後、感光体ドラム7の回転に同期してレジストローラ18が駆動され、感光体ドラム7と転写器17との間に用紙が導かれる。この時、転写器のコロナ放電によって感光体ドラム7の表面に担持されたトナー像が用紙の表面に転写される。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト16を介して定着装置11内に搬送される。
【0028】
定着装置11において、加圧ローラ14は所定のニップ圧によってヒートローラ15に圧接しており、ヒートローラ15は内部に収納したヒータランプによってトナーを溶融可能な所定の温度に昇温されている。したがって、トナー像を転写した用紙は、定着装置11内において加圧ローラ14とヒートローラ15との間を通過する際に加熱及び加圧され、トナー像が溶融して用紙の表面に定着する。トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ13を介して複写機本体25の一方の側面から外部に排出される。
【0029】
図2は、上記複写機に備えられる現像装置の構成を示す正面断面図である。現像装置6は、感光体ドラム7に対向する本体ケーシング32と、本体ケーシング32にトナー供給口を介して本体ケーシング32の背面に連結するトナーケーシング44とによって構成されている。トナーケーシング44は、内部にトナーを収納している。トナーケーシング44の内部には、矢印方向に回転してトナーを攪拌する攪拌羽根43が軸支されている。また、本体ケーシング32とトナーケーシング44との間にはトナー供給ローラ41が軸支されており、トナーケーシング44内において攪拌されたトナーがトナー供給ローラ41の回転により供給口42を経由して本体ケーシング32内に供給される。
【0030】
本体ケーシング32は、トナー供給ローラ41を介してトナーケーシング44から供給されたトナーをキャリアとともに収納する。本体ケーシング32の内部には、現像ローラ33、現像剤供給ローラ34、ドクタブレード38、回収部材39及びトナー濃度センサ40が設けられている。
【0031】
図3に示す平面断面図に明らかなように、現像剤供給ローラ34は回転軸34bに軸方向に複数の攪拌羽根34aを取り付けて構成されており、矢印方向に回転してトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を攪拌しつつ現像ローラ33に供給する。トナー濃度センサ40は、本体ケーシング32内に収納されている2成分現像剤におけるトナー濃度を検出する。このトナー濃度センサ40によるトナー濃度の検出信号に基づいてトナー供給ローラ41が駆動され、本体ケーシング32内における2成分現像剤のトナー濃度が設定範囲内に維持される。
【0032】
現像ローラ33は、金属製薄肉円筒形状のスリーブ37、及び、スリーブ37内に収納されたマグネットロール36によって構成されている。スリーブ37は、回転軸33aを中心としてマグネットロール36の外周面において矢印方向に回転する。マグネットロール36には、スリーブ37の軸方向の略全域に対向する複数の磁極35が、円周方向に沿って固定されている。スリーブ37は、本体ケーシング32の開口部30において感光体ドラム7に対向しており、回転軸33aは感光体ドラム7の回転軸に平行に配置されている。
【0033】
マグネットロール36に固定された複数の磁極35の磁力、及び、スリーブ37の回転による摩擦力によってスリーブ37の表面に2成分現像剤が吸着する。特に、スリーブ37の表面において複数の磁極35のそれぞれに対向する部分には穂立ちが形成される。スリーブ37の表面に吸着した2成分現像剤の穂先は、スリーブ37の回転によって感光体ドラム7に対向する位置に搬送される。2成分現像剤の穂先が感光体ドラム7の表面を摺動する際に、2成分現像剤を構成するトナーが感光体ドラム7の表面に形成された静電潜像に吸着することにより、静電潜像をトナー像に顕像化する現像工程が実行される。
【0034】
なお、ドクタブレード38は、スリーブ37の表面における2成分現像剤の穂立ちの高さを規定する。また、回収部材39は、スリーブ37の表面に吸着した2成分現像剤のうち、感光体ドラム7の表面に吸着しなかったトナー及びキャリアをスリーブ37の表面から本体ケーシング32内に回収する。
【0035】
図4は、上記現像装置の要部の構成を詳細に示す要部の正面断面図である。現像装置6の本体ケーシング32において、現像ローラ33が感光体ドラム7に対向する開口部30の下縁部には、ドクタブレード38が取り付けられている。上述のように、ドクタブレード38は、先端の穂切部38aにおいて現像ローラ33のスリーブ37の表面に所定の間隔を設けて対向し、スリーブ37の表面に吸着するトナーの層厚を規制する。
【0036】
このドクタブレード38の素材として磁性体を用いると、その表面に現像ローラ33によって磁化された現像剤が表面に付着し、本体ケーシング32内における現像剤の流動性が低下して現像剤の固着化することにより、現像ローラ33及び現像剤供給ローラ34の駆動トルクの増加や現像装置6の温度上昇を生じる。また、何らかの原因で本体ケーシング32内の現像剤の流動状態が変化し、ドクタブレード38の表面に現像剤から作用する圧力が上昇した場合に、ドクタブレード38が適度に変形するようにしてドクタブレード38自体及びその取付部分の破損を防止する必要がある。さらに、ドクタブレード38の先端の穂切部38aの表面は、長期間の使用によっても現像剤中の硬質成分との当接による磨耗を生じないようにする必要もある。
【0037】
これらのことを考慮して、ドクタブレード38は、非磁性体の弾性変形可能な材料であって、特に、穂切部38aにおいて十分な表面硬度を備えた素材により形成する必要がある。そこで、ドクタブレード38は、Al、Cu又はSUS304等の金属材料を素材として略コの字型の断面形状に成形し、さらに、先端の穂切部38aについては、ビーズ加工等による粗面化処理によってRz=19μm程度の表面粗度とした後に、層厚約5μmのNi−Cu又はNi−Crのメッキを施し、ビッカーズ硬度が450以上で、Rz=15μmの表面粗度に設定した。これによって、本体ケーシング32内における現像剤の流動に対する十分な整流効果を奏することができるとともに、スリーブ37の表面における現像剤の層厚を円滑に規制することができ、さらに、現像剤から作用する圧力が突発的に上昇した場合にも、変形や破損を生じることのないドクタブレード38を得ることができる。
【0038】
図4において、トナー供給ローラ41の回転により、図外のトナーケーシング44から本体ケーシング32内に供給されたトナーは、現像剤供給ローラ34の回転によって本体ケーシング32内に既に収納されているトナー及びキャリアとともに攪拌されながら現像ローラ33と本体ケーシング32の底面との間に導かれる。トナー及びキャリアからなる現像剤は、主として現像ローラ33の磁力によってスリーブ37の周面に吸着し、スリーブ37の回転にともなって開口部30側に搬送される。このとき、スリーブ37の表面に吸着した現像剤は、ドクタブレード38の穂切部38aによって所定の穂立ち高さに規定される。
【0039】
図5は、上記現像装置の本体ケーシングの形状を示す外観図である。また、図6は、上記本体ケーシングの要部の詳細を示す拡大図である。現像装置6の一部を構成する本体ケーシング32は、内部に現像ローラ33の収納部32a、及び、現像剤供給ローラ34の収納部32bが形成されている。この収納部32a,32bに対応する本体ケーシングの前面32g及び背面32hには、現像ローラ33及び現像剤供給ローラ34の両端から突出した軸部を支持する軸受32d及び32eが形成されている。また、本体ケーシング32の底面の開口部30側には、ドクタブレード38の取付位置32cが形成されている。ドクタブレード38は、取付孔32fに螺合する取付ネジを介して取付位置32cに取り付けられる。
【0040】
この本体ケーシング32の前面32g及び背面32hの開口部30側には、ブロック51及び52が装着される。このブロック51及び52は、取付位置32cの軸方向の両端部の上方に位置し、取付位置32cに取り付けられたドクタブレード38の穂切部38aと、収納部32a内に収納された現像ローラ33の周面との間に位置する。したがって、ブロック51及び52は、ドクタブレード38の穂切部38aが現像ローラ33の周面に対向する範囲を規定するものであり、穂立ち高さを規制するドクタブレード38の機能についての現像ローラ33の軸方向の有効範囲である有効穂切範囲を決定する。
【0041】
図7は、上記現像装置における現像ローラ及びドクタブレードと感光体ドラムとの関係を示す図である。現像装置6においてドクタブレード38が現像ローラ33に対向する範囲である有効穂切範囲は、軸方向においてマグネットロール36の磁極35による現像ローラ33の着磁幅Lmの範囲に包含される。即ち、現像ローラ33の軸方向において、ブロック51及び52は現像ローラ33の両端部から着磁幅Lmの両端位置を越えて現像ローラ33の周面に対向し、現像ローラ33の周面において十分に着磁していない部分にドクタブレード38が対向することがない。
【0042】
現像ローラ33の周面において十分に着磁していない部分においては、現像剤を吸着するための磁力が不十分であり、この部分において現像剤の穂立ちを安定して形成することはできない。そこで、現像ローラ33の周面における着磁状態が不十分な範囲において、現像ローラ33の周面とドクタブレード38との間にブロック51及び52を配置することにより、現像ローラ33の周面において現像剤が安定して吸着する範囲でのみドクタブレード38による穂切りが行われるようにする。これによって、ドクタブレード38の穂切部38aとの当接によって現像ローラ33の周面から掻き落とされた現像剤は、現像ローラ33の周面に再び磁気吸着し、現像ローラ33の周面から現像装置6の外部に飛散することがなく、複写機25の内部及び用紙の汚損を確実に防止することができる。
【0043】
この有効穂切範囲の両端位置の設定は、現像ローラ33の周面における着磁力に基づいて設定することが好ましい。即ち、図8に示すように、現像ローラ33の周面における磁力の半径方向成分は現像ローラ33の着磁範囲の全域にわたって略一定であるが、磁力の接線方向成分は着磁範囲の両端部近傍の所定範囲において中央部よりも弱くなる。このように、現像ローラ33の周面において磁力の接線方向成分の弱い範囲では、穂切りによって現像ローラ33から掻き落とされた現像剤を現像ローラ33の周面に確実に再吸着させることが困難であり、この部分でドクタブレード38による現像剤の穂切りを行うと、現像剤の飛散量の増加を招く。
【0044】
一方、現像ローラ33の周面の端部近傍において磁力の接線方向成分が中央部と同程度の強さを有する範囲においてドクタブレード38による現像剤の穂切りを行うと、現像ローラ33の端部近傍の周面から掻き落とされた現像剤がブロック51及び52と感光体ドラム7との間に入り込み、画像形成状態の劣化を生じる問題がある。これは、現像ローラ33の端部近傍では磁力線が現像ローラ33の端部方向に偏向しており、磁力の接線方向成分の強い範囲では現像ローラ33の端部方向の磁力も強くなり、現像ローラ33の周面から掻き落とされた現像剤が現像ローラ33の端部方向に移動し、ブロック51及び52の存在によって現像ローラ33の周面に再吸着することができなくなるためである。
【0045】
したがって、ドクタブレード38の有効穂切範囲の両端は、現像ローラ33の端部近傍において磁力の接線方向成分が中央部よりもやや弱い位置に設定する必要があり、図8に示すように、磁力の接線方向成分が中央部に対して80%程度の値となる位置に設定することにより、現像剤の飛散を確実に防止することができた。
【0046】
また、この実施形態に係る現像装置では、ドクタブレード38の有効穂切範囲の軸方向の両端が、感光体ドラム7の周面における画像形成領域Lgの外側に位置するように構成している。この構成により、ドクタブレード38による現像剤の穂切りによって現像ローラ33の両端部近傍の周面から掻き落とされた現像剤が現像ローラ33に際吸着することなく現像装置6の外部に飛散した場合でも、感光体ドラム7における画像形成領域に付着することがなく、画像形成状態の劣化や用紙の汚損を確実に防止することができる。
【0047】
なお、ドクタブレード38の有効穂切範囲は、現像ローラ33の回転速度をも考慮して設定するこが望ましい。これは、現像ローラ33の回転速度が速くなると現像剤が現像ローラ33の軸方向の中央位置に集中し易くなり、逆に、現像ローラ33の回転速度が遅くなると現像剤が現像ローラ33の軸方向の両端側に拡がり易くなるためである。このことから、現像ローラ33の回転速度が速くなるにしたがって有効穂切範囲の両端位置を中央に寄せるようにし、現像ローラ33の回転速度が遅くなるにしたがって有効穂切範囲の両端位置を両側に離すようにする。例えば、現像ローラ33の回転速度が200rpmの時に有効穂切範囲が227mmである場合に、現像ローラ33の回転速度が180rpmに変化した場合は有効穂切範囲を237mmとする。
【0048】
この場合において、現像装置6においてブロック51及び52の固定位置を現像ローラ33の軸方向について所定範囲にわたって変位できるように構成することにより、現像ローラ33の回転速度が変化した場合にも、現像装置6におけるブロック51及び52の固定位置を変位させるだけで、現像装置6を交換することなく対応することができる。
【0049】
また、上記の実施形態では、感光体ドラムに対向する間に周面が下方から上方に移動する方向に現像ローラが回転する現像装置を例にあげて説明したが、感光体ドラムに対向する間に周面が上方から下方に移動する方向に現像ローラが回転する現像装置では、ドクタブレード38を開口部30の上縁部に配置するとともに、穂切部38aを現像ローラの周面の回転方向において最上部位置の上流側に当接させることにより、現像ローラの周面の回転力によって現像剤が感光体ドラム7方向に十分に付勢されていない時点で穂立ちの高さを規制するようにし、現像ローラの周面から掻き落とされた現像剤に現像ローラの周面から離れる方向の大きな力が作用することを防止して現像剤の漏出を確実に防止することができる。
【0050】
なお、上記の例では、この発明の実施形態に係る現像装置を複写機に適用した場合について説明したが、電子写真方式の画像形成を行うレーザプリンタ等のたの画像形成装置においても、この発明を同様に実施することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の現像装置によれば、現像ローラの周面に磁気吸着された現像剤のうち、ドクタブレードとの当接によって現像ローラの周面から掻き落とされた現像剤は、現像ローラの周面の着磁範囲に対向する空間に位置させ、現像ローラの周面に再度磁気吸着させる。特に、前記ドクタブレード先端部での現像剤の流動に対して十分な整流効果により、現像剤の層厚を円滑に規制できることと合わせ、現像ローラの端部方向の磁力により現像剤が現像ローラの端部方向に移動しにくい位置に前記ドクタブレードの前記有効範囲の両端を配置するため、ドクタブレードによって層厚の規制がされた現像剤の飛散が確実に防止される。
【0054】
また、略コの字型の断面形状に形成されているため、現像剤から作用する圧力が突発的に上昇した場合にも、現像剤の十分な整流効果を含め、変形や破損を生じることがないドクタブレードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る現像装置が適用される複写機の構成を示す正面断面の略図である。
【図2】同現像装置の構成を示す正面断面図である。
【図3】同現像装置の本体ケーシングの内部の構成を示す平面断面図である。
【図4】同現像装置の要部の構成を示す正面の拡大断面図である。
【図5】同現像装置の本体ケーシングの外観図である。
【図6】同現像装置の本体ケーシングにおける要部の構成を示す拡大図である。
【図7】同現像装置における現像ローラ及びドクタブレードと感光体ドラムとの配置状態を示す平面図である。
【図8】同現像装置に備えられる現像ローラの周面における半径方向成分及び接線方向成分の磁力を示す図である。
【符号の説明】
6−現像装置
7−感光体ドラム
8−補助トレイ
30−開口部
32−本体ケーシング
33−現像ローラ
34−現像剤供給ローラ
35−磁極
36−マグネットロール
37−スリーブ
38−ドクタブレード
38a−穂切部
51,52−ブロック
Claims (1)
- 周面に現像剤が磁気吸着する現像ローラと、現像ローラの周面における現像剤の層厚を規制するドクタブレードと、を備え、現像ローラの周面を介して感光体に現像剤を供給する現像装置において、
前記ドクタブレードは、非磁性体の弾性変形可能なAl、Cu又はSUS304のいずれかの金属材料からなり、略コの字型の断面形状に形成され、現像ローラの周面において軸方向の着磁範囲の内側で、かつ、着磁範囲よりも短い範囲に対向し、上記現像ローラと対向し現像剤を規制する先端部を粗面化処理にてRz=19μm程度の表面粗度とした後、Ni−Cu又はNi−Crのメッキを施し、ビッカーズ硬度が450以上で、Rz=15μmの表面粗度に設定したことを特徴とする現像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14582198A JP3696404B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 現像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP14582198A JP3696404B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 現像装置 |
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CN102129185A (zh) * | 2010-01-13 | 2011-07-20 | 株式会社理光 | 双组分显影方法和所用的显影剂 |
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