JP3695910B2 - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可視画像を繰り返し表示、消去することができる熱可逆性感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種プリペイドカード等において、磁気カードやICカードが使用されているが、記録内容が直接目視できないため、支払い金額や残額を簡単にチェックできず、使用者に対する内容の保証がしずらかった。
【0003】
そこで特開昭55−154198号には、記録媒体に目視可能な記録を行い、また当該記録を消去することができる記録材料として、高分子樹脂母材中に有機低分子化合物を混合分散させた熱可逆性感熱記録材料が開示されている。
【0004】
この材料は、特定のある濃度領域T1から常温に冷却されると透明化し、T1よりも高い温度領域T2から常温に冷却されると不透明化(白濁)する性質を有するので、そのコントラストの違いを利用して目視にて読み取れる可視画像を可逆的に印字、消去することができる。
【0005】
現在、上記タイプの熱可逆性感熱記録材料は、記録部全面を温度領域T1に設定された加熱スタンプや加熱ロール等を用いて透明化し、その後サーマルヘッドを用いて部分的に温度領域T2に処理することによって白濁化させ、透明地に白濁印字の可視画像を形成している。すなわち、白濁化させて印字を行い、透明化させて消去を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら装置の小型化、低コスト化、処理速度向上の目的で、上記の透明化(消去)方法において加熱スタンプや加熱ロール等を用いることなく、印字用と兼用してサーマルヘッドで消去を行う方式が望まれている。さらに消去(全面透明化)した後に印字(部分白濁化)を行う2工程ではなく、サーマルヘッドのドット毎にT1,T2に相当する2水準の印加エネルギーを与え、前の印字を消去しながら同時に新規の印字を行うオーバーライト方式も提案されている。
【0007】
ところが上記熱可逆性感熱記録材料は、通常、透明化温度幅が狭い。このため、速い処理速度ではサーマルヘッドによる記録層厚み方向の温度分布が大きいので、完全に消去することが困難である。本発明の目的は、サーマルヘッドによる消去(透明化)性に優れた可逆性感熱記録材料を提供ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、高分子樹脂母材と該高分子樹脂母材に分散された有機低分子化合物を主成分とし、温度により透明状態と不透明状態との可逆変化を生じる可逆性感熱記録材料において、前記有機低分子化合物が、ジドデシルチオエーテル、ジテトラデシルチオエーテル、ジヘキサデシルチオエーテル、ジオクタデシルチオエーテルの中から選択されるチオエーテルと脂肪族二塩基酸とを少なくとも含有する可逆性感熱記録材料である。
【0009】
【発明の実施の形態】
可逆性感熱記録層を備えたカードを50℃から140℃まで1℃間隔で加熱した後、それぞれ室温に冷却して、各処理温度での記録層の反射濃度が0.5以下かつ1.0以上を満たす温度範囲を透明化温度範囲とし、本発明は透明化温度範囲を広げることにより、サーマルヘッド適性を付与する。
【0010】
本発明で使用される脂肪族二塩基酸は温度により透明状態と不透明状態との可逆変化を生じる特性を有するものであれば、特に限定されることはないが、後述するチオエーテルと共晶を形成しやすく融点(mp)が比較的高い、下記化1に示される化合物が好んで使用される。
【0011】
【化1】
HOOC−(CH2 )n−COOH
化1でnは4〜26が好ましい。nが4〜26の範囲であれば、チオエーテルと共晶を形成しやすく、溶剤に対する溶解度も適切であり製膜が容易である。
【0012】
具体的にはスベリン酸(mp:140℃)、セバシン酸(mp:134℃)、ドデカン二酸(mp:128℃)、テトラデカン二酸(mp:125℃)、ヘキサデカン二酸(mp:125℃)、オクタデカン二酸(mp:125℃)、エイコサン二酸(mp:120℃)が挙げられる。
【0013】
また、本発明で使用される特定のチオエーテルは、脂肪族二塩基酸と共晶を形成しやすく融点が比較的低い、下記化2で示される化合物の範囲内のものである。
【0014】
【化2】
R1 −S−R2
化2でR1 とR2は炭素数10〜30のアルキル基である。炭素数が10〜30の範囲では、サーマルヘッドの印字および消去に十分に適した透明化温度範囲の広がりを持ち、記録に要するエネルギーは適切であり記録層の劣化が遅い。
【0015】
化2で示される化合物のうち、本発明で使用されるチオエーテルは、ジドデシルチオエーテル(mp:41℃)、ジテトラデシルチオエーテル(mp:50℃)、ジヘキサデシルチオエーテル(mp:62℃)、ジオクタデシルチオエーテル(mp:70℃)から選択される。
【0016】
脂肪族二塩基酸の添加量は重量比で、脂肪族二塩基酸/高分子樹脂母材=98/2〜30/70が望ましい。本範囲であれば、サーマルヘッドの印字および消去に十分に適した透明化温度範囲の広がりを持ち、白濁状態と透明状態とのコントラストも適性である。
【0017】
チオエーテルおよび脂肪族二塩基酸と高分子樹脂母材とは重量比で、高分子樹脂母材/(チオエーテル+樹脂族二塩基酸)=100/10〜100/80が望ましい。本範囲であれば、白濁状態と透明状態とのコントラストが適性であり、製膜に優れる。
【0018】
本発明で用いられる高分子樹脂母材としてはポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アルコール共重合体、他の酢酸ビニル化合物、塩化ビニル系共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン系共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレートまたはその共重合体等が挙げられる。
【0019】
また、保護膜としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂等の耐熱性の高い樹脂が挙げられる。さらに、反射層としてはアルミニウム、錫等の蒸着層あるいは箔またはアルミ脂等を混ぜた塗料等が挙げられる。
【0020】
本発明に使用する感熱記録材を利用したカードの一例としては、合成樹脂基材シートの表面に反射層、記録層、保護層、可視記録表示窓を形成するための印刷層を順次積層し、また裏面には磁気記録層、保護印刷層を積層したカードが挙げられる。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
あらかじめ裏面に磁気塗料を層厚10μmに塗布した188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの表面にアルミ蒸着し、その上に記録層として
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 200重量部
ジドデシルチオエーテル(R1 ,R2 =C12H25) 70
ドデカン二酸(n=10) 30
をテトラヒドロフランに溶解した液を、加熱乾燥して10μm厚になるように塗布した。有機低分子化合物として、チオエーテルであるジドデシルチオエーテルと脂肪族二塩基酸であるドデカン二酸とを用いている。
【0022】
得られた記録層の上に保護層として2μm厚のPETフィルムを貼付け、さらに、可視記録表示窓を形成するために印刷を行う。裏面の磁気記録層の上に保護層を設け、カード形状に打ち抜いた。
【0023】
(実施例2)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 200重量部
ジテトラデシルチオエーテル(R1 ,R2 =C14H29) 70
ドデカン二酸 30
をテトラヒドロフランに溶解した液を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0024】
(実施例3)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 200重量部
ジヘキサデシルチオエーテル(R1 ,R2 =C16H33) 70
ドデカン二酸 30
をテトラヒドロフランに溶解した液を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0025】
(実施例4)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 200重量部
ジヘキサデシルチオエーテル(R1 ,R2 =C16H33) 70
エイコサン二酸(n=18) 30
をテトラヒドロフランに溶解した液を用いた以外は、実施例1と同様にした。
【0026】
(比較例1)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 200重量部
ドデカン二酸 70
をテトラヒドロフランに溶解した液を用いた以外は、実施例1と同様にした。比較例1は有機低分子化合物として脂肪族二塩基酸であるドデカン二酸を使用し、チオエーテルを使用していない。
【0027】
(比較例2)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 200重量部
ベヘン酸 70
ドデカン二酸 30
をテトラヒドロフランに溶解した液を用いた以外は、実施例1と同様にした。比較例2は有機低分子化合物として、飽和高級脂肪酸であるベヘン酸と脂肪族二塩基酸であるドデカン二酸とを使用し、チオエーテルは使用していない。
【0028】
上述した実施例1〜4および比較例1,2で得られた可逆性感熱記録層を備えたカードを50℃から140℃まで1℃間隔で加熱した後、それぞれ室温に冷却して、各処理温度での記録層の反射濃度をマクベスRD−914にて測定した。反射濃度が0.5以下を白濁状態、1.0以上を透明状態とした場合に、前記条件を満たす温度範囲(透明化温度範囲)を求めた。そして、表1に透明化温度範囲と、その幅(透明化温度幅)と、透明化温度範囲での最大反射濃度(最大透明濃度)および最大反射濃度(最大白濁濃度)を示した。
【0029】
【表1】
表1より明らかなように、実施例1〜4は比較例1,2より透明化温度幅が広がっており、サーマルヘッドによる印字消去適性が増していることがわかる。
【0030】
また、記録層を全面透明化した後、ドット数が8dot/mm、走行速度が40mm/secのサーマルヘッドで印加パルス幅1msecとして0.25mJ/dotのエネルギーを部分的に与えて印字を行った。さらに、印加パルス幅1msecで0.12mJ/dotの条件で消去を行った。実施例1〜4は印字消去を繰返し行っても、記録層に画像を形成でき、さらに、画像を消去することができた。一方、比較例1,2はサーマルヘッドによって印字は可能だったが、消去ができなかった。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の可逆性感熱記録材料はサーマルヘッドによる印字消去が可能であるため装置の小型化、低コスト化、処理速度の向上が可能となる。
Claims (1)
- 高分子樹脂母材と該高分子樹脂母材に分散された有機低分子化合物を主成分とし、温度により透明状態と不透明状態との可逆変化を生じる可逆性感熱記録材料において、前記有機低分子化合物が、ジドデシルチオエーテル、ジテトラデシルチオエーテル、ジヘキサデシルチオエーテル、ジオクタデシルチオエーテルの中から選択されるチオエーテルと脂肪族二塩基酸とを少なくとも含有することを特徴とする可逆性感熱記録材料。
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---|---|---|---|
JP28378497A JP3695910B2 (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | 可逆性感熱記録材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28378497A JP3695910B2 (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | 可逆性感熱記録材料 |
Publications (2)
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JPH11115319A JPH11115319A (ja) | 1999-04-27 |
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ID=17670097
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP28378497A Expired - Fee Related JP3695910B2 (ja) | 1997-10-16 | 1997-10-16 | 可逆性感熱記録材料 |
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-
1997
- 1997-10-16 JP JP28378497A patent/JP3695910B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH11115319A (ja) | 1999-04-27 |
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