JP3695857B2 - カメラ用シャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムの露光作動に際して、複数のシャッタ羽根が、円形をした露光用開口部を、その往復作動によって開閉するようにしたカメラ用シャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のシャッタは、レンズシャッタと言われているものであって、露光作動に際して、シャッタ羽根が、露光用開口部を、光軸中心から開いて行き、その後、光軸中心に向けて閉じて行くようにしたものである。そして、その作動中は、複数のシャッタ羽根によって、常に円形に近い開口形状を保てるようにするのが理想とされている。そのため、古くは、複数のシャッタ羽根を露光用開口部の周辺位置に等間隔に配置し、それらを、光軸を中心にして往復回転する駆動リングによって作動させていた。しかも、その駆動リングの回転は、ばね力のみによって行われていた。しかしながら、このようなシャッタは、駆動リングが、シャッタ地板面に全周にわたって形成された溝の中に配置されているため、平面摩擦抵抗はともかくとして、極めて大きな周面摩擦抵抗が生じ、高速化には自ずと限界があった。
【0003】
その後、フィルム技術やレンズ技術の進歩と共に、上記した作動中の開口形状については、多少崩れた形状であっても許されるようになり、むしろ低コスト化の方が重視されるようになってきた。そのため、駆動リングを用いたものはプロ用の大型シャッタを除いて姿を消し、それに代わって、相対的に往復作動する2枚羽根のシャッタが主流になってきた。しかしながら、その場合においても、多少の崩れは許されても、作動中の開口形状を大きく崩すわけにはいかないので、2枚羽根のシャッタとして可能な範囲で、理想に少しでも近い形状が得られるように、個々の羽根の形状が設計されていた。しかしながら、最近になると、低コスト化は勿論として、小型化,電動化についての要請が大きくなり、特にIX240カートリッジフィルム(アドバンストフォトシステムフィルム)の出現によって小型化についての要請が極めて大きくなってきた。
【0004】
ところで、レンズシャッタの小型化を図る場合には、露光用開口部を全開にした場合におけるシャッタ羽根の収容スペースを如何に小さくできるかがポイントになる。しかし、上記した2枚羽根構成のシャッタにおいては、これまでに既に可能な範囲で小型化が行われており、これ以上小型化しようとすると、これまでの羽根の形状を変えなくてはならず、上記した作動中における開口形状が維持できないようになってしまう。そこで、更に小型化するためには、どうしてもシャッタ羽根を3枚以上にすることが必要になる。しかしながら、その場合でも、上記した理由によって従来のように構成された駆動リングを用いるわけにはいかない。
【0005】
そこで、従来の駆動リングのように周面摩擦抵抗が生じないようにするために、光軸を横切るようにして往復作動する環状又は円弧状をしたリンク部材と称している部材を設け、それに3枚以上のシャッタ羽根を連結させて、露光用開口部を開閉させるようにしたシャッタが本願出願人から提案され、実開平7−5131号公報,特開平7−13218号公報等で知られている。また、シャッタ羽根を連結するためにリンク部材に形成されている張出部の一部を、地板に形成された最低3箇所の受け部に摺接させるようにした構成が、やはり出願人から特開平9−311361号公報で提案されている。
【0006】
また、最近のレンズシャッタは、撮影ごとにシャッタの駆動機構をセットしなくて済むという観点から、上記した電動化の要請にしたがって、駆動源にモータを使用したものが増えている。そして、初期のモータにはパルスモータが多く使用されていた。しかし、パルスモータは、大きな駆動力が得られるものの、小型化が容易でなく且つ高価になるという問題点がある。そこで、パルスモータより低コストで小型化に対応できるムービングマグネット型モータと称されるモータの使用が注目されてきた。このモータは、コイルへの通電方向によって永久磁石の回転子を所定の角度範囲で往復作動させるのが特徴であって、上記の二つの公報に記載されたシャッタのうち、特開平7−13218号公報に記載されたシャッタには、そのムービングマグネット型モータが使用されている。
【0007】
他方、従来から、撮影を行う場合に、レンズの球面収差による周辺ぼけを少なくするために、絞り羽根によって露光用開口部を絞り込んで撮影する技術が知られている。ところが、最近のコンパクトカメラと称するカメラには、シャッタ羽根のほかに絞り羽根を備えたものが殆どない。そのため、上記した周辺ぼけを防ぐために、その都度、シャッタ羽根の開口口径を、距離調節機構に連動して規制するようにしたものが考えられ、その一例が特開平2−254431号公報に開示されている。
【0008】
本発明は、上記した特開平9−311361号公報で提案されているように、3枚以上のシャッタ羽根を連結している環状又は円弧状のリンク部材に形成されている張出部の一部を、地板に形成された最低3箇所の受け部に摺接させるようにし、そのリンク部材を、モータの正逆転に対応して作動し得るようにしたシャッタであって、且つ距離調節機構に連動して開口口径を規制するようにしたカメラ用シャッタに関するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、モータによってシャッタ羽根を作動させるためには、高速化のためにも、消費電力を節減するためにも、負荷を出来るだけ小さくする必要がある。
特に、上記したムービングマグネット型モータを用いる場合には、低コスト化,小型化が容易であるという特徴を有するものの、駆動力が余り強くなく、従って起動性もよくないということがあるため、その必要性は極めて大きい。そして、負荷を小さくするためには、シャッタ羽根の軽量化は勿論のこととして、リンク部材そのものを軽量化しなくてはならなくなる。その場合、材質面を考慮しなければ、リンク部材の全体形状から考えて、シャッタ羽根の厚さ方向に薄い形状としなくてはならなくなる。しかしながら、上記のようにして開口口径を規制される場合には、リンク部材が距離調節機構に連動した部材に衝突して停止することになるため、リンク部材を薄くすると、衝突時に撓みや捩れが生じてしまい、シャッタ羽根に不規則なバウンド現象を生じさせたり、シャッタ羽根との連結部などを破壊してしまう可能性がでてくる。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、3枚以上のシャッタ羽根を連結した環状又は円弧状のリンク部材に形成されている張出部の一部を、地板に形成された最低3箇所の受け部に摺接させるようにし、そのリンク部材を、モータの正逆転に対応して往復作動し得るようにしたシャッタであって、距離調節機構に連動して開口口径を好適に規制できるようにしたカメラ用シャッタを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明におけるカメラ用シャッタは、両者間に羽根室を形成し且つ略中央部に露光用開口部を形成しており該羽根室内の外周部において少なくとも一方に複数の受け部を設けたシャッタ地板及び補助地板と、前記羽根室内に配置されていて各々所定の距離間隔で支点部と動点部とを有しており前記露光用開口部の周りで該支点部において往復回動することにより前記露光用開口部を開閉する3枚以上のシャッタ羽根と、前記受け部に夫々摺動可能に接触する複数の張出部を有し且つ少なくとも前記露光用開口部を半分以上囲むようにして配置されており前記シャッタ羽根の動点部と回転可能に連結されていて光軸を横切る方向へ往復作動して前記シャッタ羽根に開閉作動を行わせるリンク部材と、モータによって所定の角度範囲を往復作動させられその作動に対応して前記リンク部材が往復作動するようにした作動部材と、前記受け部のうちの一つの近傍位置において前記リンク部材の張出部の作動軌跡内に前記地板の外周から内側に進退可能であり前記シャッタ羽根が前記露光用開口部を閉鎖している状態で該内側に進入させていくと該受け部との距離が短くなり該リンク部材が該シャッタ羽根を該露光用開口部を開放する方向に作動したとき該張出部の一部が該受け部に摺接した状態で該張出部の他部に当接され該リンク部材の作動を規制し得る阻止部を有していて距離調節機構に連動して該阻止部の位置決めを行う開口規制部材とを備えているようにする。
【0012】
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、好ましくは、前記張出部に前記シャッタ羽根の動点部が連結されているようにする。
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、好ましくは、前記開口規制部材が、前記羽根室外において前記シャッタ地板又は前記補助地板に取り付けられていて、退避用ばねによって、前記阻止部が前記作動軌跡から退く方向へ付勢されているようにする。
また、本発明のカメラ用シャッタにおいては、好ましくは、前記モータがムービングマグネット型モータであって、前記リンク部材には、前記シャッタ羽根を開かせる方向へ付勢する開き用ばねが掛けられているようにする。
更に、本発明のカメラ用シャッタにおいては、好ましくは、前記作動部材と前記リンク部材とが接触関係にあり、前記リンク部材は、前記シャッタ羽根を開かせる場合には前記開き用ばねのみによって作動され、前記シャッタ羽根を閉じさせる場合には前記作動部材によって作動されるようにする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1〜図7に示した実施例によって説明する。尚、図1は補助地板を取り除いて羽根室内を視た平面図であって、シャッタ閉鎖状態を示している。図2は図1の背面図であるが、露光用開口部から見えている筈のシャッタ羽根の図示を省略してある。図3は図2の一部断面図であるが、断面を展開した状態で示してある。図4は図2における要部の分解斜視図である。また、図5〜図7は図1と同じようにして視た平面図であって、図5は開口径が最大となるシャッタ全開状態を示し、図6は全開状態よりも開口径を一段小さく規制された状態を示し、図7は更に一段小さく規制された状態を示している。
【0014】
先ず、本実施例の構成から説明する。図1において、シャッタ地板1は合成樹脂製であって、光軸を中心にした円形の開口部1aを有している。シャッタ地板1の外周縁には、手前側に張り出した壁1bが形成されており、3箇所に、貫通していないねじ穴1cが形成されている。また、シャッタ地板1の手前側には、図示していない合成樹脂製の補助地板が配置されており、ビスによって該穴1cに取り付けられている。この補助地板にも光軸を中心にした円形の開口部が形成されているが、開口部1aよりも直径が大きいため、シャッタとしての露光用開口部は開口部1aによって規制されている。本実施例においては、このようにしてシャッタ地板1と補助地板の間に羽根室が形成され、壁1bによって外周方向からの光が入らないように遮光されている。
【0015】
羽根室内には、環状をしたリンク部材2と、3枚のシャッタ羽根3,4,5が配置されているが、その配置順序は、紙面から手前側に向けてリンク部材2,シャッタ羽根3,シャッタ羽根4,シャッタ羽根5となっている。そして、組立状態においては、上記した図示していない補助地板の一部がシャッタ羽根5を軽く紙面方向へ押すようにしている。先ず、リンク部材2には、凹部2a,係接部2b,三つの張出部2c,2d,2e、三つのスロット(長孔)2f,2g,2hが形成されている。そして、張出部2c,2d,2eは、夫々、シャッタ地板1に肉厚に形成されれている棚状の受け部1d,1e,1fに載置され、また、スロット2f,2g,2hは、夫々、シャッタ地板1に立設された軸1g,1h,1iに緩く嵌合されている。
【0016】
また、シャッタ羽根3,4,5は、夫々、それらの孔を軸1g,1h,1iに嵌合させ、その嵌合部を支点にして開閉作動をし得るようになっている。更に、各シャッタ羽根3,4,5は、夫々、連結軸6,7,8によってリンク部材2に取り付けられている。各連結軸6,7,8はリベット部品であって、リンク部材2の背面側から挿入され、各シャッタ羽根3,4,5の表面側にかしめられている。そのため、リンク部材2と各連結軸6,7,8との間は可動であり、連結軸6,7,8の位置が各シャッタ羽根3,4,5の動点部となっている。また、シャッタ羽根5には、その先端に突起部5aが形成されている。これは、開き作動の初期段階においてフォトリフレクタの光路を遮断するためのものであるが、そのような検出機構の構成と機能は周知であるため、それらについての詳しい説明は省略する。
【0017】
シャッタ地板1の背面側には、ムービングマグネット型モータが取り付けられている。このムービングマグネット型モータは、周知であるため、本実施例の説明にとって必要と思われる最小限の部材だけを図2に一点鎖線で示してある。この図2から分かるように、モータ枠9が、二つのビス10によってシャッタ地板1に取り付けられており、シャッタ地板1との間にモータ室を形成している。コイル等の固定子部品は図示されていないが、通常2極に着磁されている永久磁石の回転子11はシャッタ地板1とモータ枠9に軸支されていて、それと一体に構成された作動部材12の作動ピン12aは、シャッタ地板1に形成された窓部1jを羽根室まで貫通し、リンク部材2の凹部2aの端面に係接し得るようになっている。
【0018】
また、図2及び図3から分かるように、シャッタ地板1の背面側には、開き用ばね13を巻回する軸1kが立設されている。この軸1kには、ばね13が外れるのを防止するために突起1k1が形成されており、また、成形加工によってその突起1k1を形成するために、シャッタ地板1に孔1mが形成されている。更に、シャッタ地板1の背面側には、シャッタ地板1に形成された窓部1nを覆うようにして遮光部1pが形成されており、また、軸状のばね掛け1qが形成されている。そして、上記の開き用ばね13は、一端が該ばね掛け1qに掛けられ、他端が窓部1nから羽根室に貫通し、リンク部材2の係接部2bに掛けられている。従って、図1において、リンク部材2は、開き用ばね13によって上方へ作動するように付勢されている。尚、図1において、壁1bには、リンク部材2の下方への作動を阻止するためにストッパ1rが形成されている。
【0019】
シャッタ地板1の背面側には、更に軸1sが立設されている。図4から分かるように、合成樹脂製の開口規制部材14は、この軸1sに回転可能に嵌合され、細く形成された軸1sの先端に押さえリング15を圧入することによって抜け止めされている。この開口規制部材14には、筒部14a,阻止部14b,被押動部14c,ばね掛け14dが形成されており、更にその筒部14aには二つの突起14a1 ,14a2 が形成されている。そして、阻止部14bは、シャッタ地板1に形成された切欠き1tから羽根室内に臨んでおり、リンク部材2の張出部2eの作動軌跡内に出入りできるようになっている。
【0020】
また、開口規制部材14の筒部14aには、退避用ばね16が嵌装されていて、突起14a1 ,14a2 によって筒部14aから外れるのを防止されている。
この退避用ばね16は、その一端が上記のばね掛け14dに掛けられ、他端がシャッタ地板1に設けられたばね掛け1uに掛けられていて、開口規制部材14を、阻止部14bが張出部2eの作動軌跡から退避する方向、即ち、図2において時計方向へ回転させるように付勢している。更に、シャッタ地板1の近接位置には、距離調節機構に連動して、光軸と平行に作動する連動部材17が配置されている。そして、この連動部材17に斜めに形成されたカム面17aは、上記の被押動部14cを押すことによって、開口規制部材14を、退避用ばね16の付勢力に抗して回転させ、阻止部14bを、張出部2eの作動軌跡内の所定の位置に進入させ得るようになっている。
【0021】
次に、本実施例の作動を説明する。図1はシャッタ閉鎖状態であって、リンク部材2は、作動ピン12aによって凹部2aの端面を押され、ばね13に抗して下方へ作動させられており、その作動をストッパ1rによって停止されている。そこで、先ず、最大の開口径、即ち、何ら開口径を規制されることなくシャッタ羽根3,4,5が開口部1aを全開させる場合の作動について説明する。シャッタがレリーズされると、その初期段階において、先ず電源スイッチが閉じ、それによって、一方では測光装置が働くと共に補助地板に取り付けられている図示していないフォトリフレクタが通電状態となり、他方では測距装置が働くことになる。それによってフォトリフレクタの発光部から羽根室内に出射された光は、シャッタ地板1に取り付けられた図示していない反射シートで反射され、受光部に入射する。他方、測距結果によってレンズが繰り出されると、それに連動して連動部材17が作動されるが、この場合には、カム面17aは、被押動部14cを、阻止部14bが張出部2eの作動軌跡内に進入する程には押していない。
【0022】
このような準備状態を経た後、ムービングマグネット型モータのコイルに、順方向への通電が行われる。それにより、回転子11は始動し、作動部材12を伴って、図2において時計方向へ所定の角度だけ回転する。また、この回転によって、作動ピン12aは、図1において上方へ作動していく。パルスモータに比較して、ムービングマグネット型モータの場合には、当初、この作動は緩慢且つ不安定なものであるが、本実施例の場合には、開きばね13がリンク部材2を付勢しているので、リンク部材2は、単に作動ピン12aの作動に追従するだけではなく、むしろ積極的に押すことになる。そのため、作動ピン12aは、モータのみによって作動される場合よりも起動性がよく且つ安定して作動する。そして、このリンク部材2の上方への作動は、シャッタ羽根3,4,5の支点部(軸1g,1h,1iの位置)と動点部(連結軸6,7,8の位置)との距離が不変であることから、円弧を描くようにして行われることになる。
【0023】
このようなリンク部材2の上方への作動によって、シャッタ羽根3,4,5は、夫々軸1g,1h,1iを中心にして反時計方向へ回転する。そして、ピンホール状態となる前にシャッタ羽根5の突起部5aがフォトリフレクタの光路を遮断すると、その出力信号によって露光時間制御回路による時間のカウントが開始される。その後、シャッタ羽根3,4,5は、開口部1aをピンホール状態とし、光軸を中心にして該開口部1aを開いていくが、開口規制部材14の阻止部14bが張出部2eの作動軌跡内に進入していないので、開口部1aを全開にした後、壁1bに当接することによって停止され、図5に示した全開状態となる。尚、本実施例においては、この開き作動中において、リンク部材2がシャッタ地板1に対して面接触して摺動するのは、受け部1d,1e,1fに対してだけであるため、リンク部材2は、極めて摩擦抵抗力が小さく、スムーズに作動させられるが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて最小限の支承面をシャッタ地板1や補助地板に設けることを妨げるものではない。
【0024】
その後、図5の全開状態において、露光時間制御回路が所定のカウントを終了すると、その出力信号に応じて、ムービングマグネット型モータのコイルには、上記とは逆向きの通電が行われることによる電磁力に、後述するように永久磁石の磁気作用が加わり、回転子11は図2において反時計方向へ回転される。そのため、図5において、作動ピン12aが、凹部2aの端面を押し、開きばね13の付勢力に抗してリンク部材2を下方へ作動させる。このリンク部材2の作動は、上記の場合と同じに、張出部2c,2d,2eと受け部1d,1e,1fとの摺接関係によってスムーズに行われ、シャッタ羽根3,4,5を、夫々軸1g,1h,1iにおいて時計方向へ回転させる。そして、リンク部材2は、シャッタ羽根3,4,5に開口部1aを閉鎖させた後、ストッパ1rに当接して停止し、図1の状態となる。
【0025】
このようにして、各部材が図1の状態に復帰した後、ムービングマグネット型モータのコイルへの通電が断たれ、次の撮影に備えてフィルムの巻き上げが行われるが、回転子11は永久磁石から成っているので、コイルへの通電が断たれても、その回転位置を保ち、開口部1aの閉鎖状態を維持している。その閉鎖状態を維持する方法は周知であるが、簡単に説明すると、非通電状態における回転子11の平衡位置が、図2に示す回転位置よりも更に反時計方向へ回転した位置に設定されているからである。従って、図1においては、非通電状態であっても、リンク部材2は、回転子11の永久磁石の磁気作用によって下方へ押されていることになる。但し、このような磁気作用に対しては、開きばね13の付勢力が働いているので、両者の力のバランスの点で閉鎖状態の維持に不安があるような場合には、閉鎖状態においては別部材によって作動部材12の作動を抑止するようにしておき、その抑止を、次の撮影に際し、そのレリーズの初期段階で解くようにしても差し支えない。
【0026】
次に、開口径が規制される場合についての作動を説明するが、その殆どは上記の作動説明と重複するので、その重複する部分については簡略的に説明する。シャッタレリーズの初期段階において、電源スイッチが閉じ、測光装置などと共に測距装置が働くと、その測距結果によってレンズが繰り出され、その繰り出し量に連動して連動部材17が作動する。その連動部材17の作動は、図2において、光軸と平行に且つ紙面の手前側に向けて行われる。そして、その作動量に対応した量だけ、カム面17aが開口規制部材14の被押動部14cを押し、阻止部14bの位置決めを行うことになる。
【0027】
開口規制部材14は、このようにして被押動部14cを押されると、退避用ばね16の付勢力に抗して回転し、阻止部14bを、張出部2eの作動軌跡内に進入させる。ところで、図1には、開口規制部材14を取り付けた軸1sの位置を、点1s′で示している。この位置関係からも分かるように、阻止部14bは、該作動軌跡内に円弧を描くようにして進入してくるが、図の上下位置関係だけで見た場合には、進入するにしたがって下方へ移動していくことになる。言い換えれば、進入するにしたがって阻止部14bと、その阻止部14bに対向している張出部2eの端面との距離が短くなるようになっている。
【0028】
このような準備状態を経て阻止部14bの位置決めが行われたた後、ムービングマグネット型モータのコイルに、順方向への通電が行われる。それにより、回転子11は始動し、作動部材12を伴って、図2において時計方向へ所定の角度だけ回転する。この回転によって、リンク部材2は、開きばね13の付勢力によって作動ピン12aに追従し上方へ作動するが、その張出部2eの端面が阻止部14bに衝突して停止する。そのため、シャッタ羽根3,4,5も図5に示した全開状態となる前に停止するが、作動部材12は回転子11と共に全開状態まで回転して停止する。このようにして、全開状態よりも開口径を一段小さく規制されたときの状態が図6に示され、更に一段小さく規制されたときの状態が図7に示されている。
【0029】
ところで、本実施例によれば、張出部2eの端面が阻止部14bに衝突したとき、特に問題が起きないようにされている。即ち、本実施例は出願人において現に開発中であるが、それによればシャッタ地板1の外径は約23mmという極めて小型の製品である。そして、既に述べたようにリンク部材は非常に薄く且つ軽量に作られている。このように小さく薄い部品が阻止部14bに衝突するのであるから、リンク部材2のどの部分を衝突させてもよいわけがない。仮に、二つの張出部2c,2eの略中間位置で衝突させたとすると、リンク部材2は変形して、シャッタ羽根による開口形状が大きく崩れてしまう。また、そのような作動を繰り返しているうちに、破壊につながるおそれがでてくる。本実施例によれば、受け部1fに摺接している張出部2eを該受け部1fの近傍位置で衝突させているので、上記のような変形は殆ど心配がない。
【0030】
このようにして、所定の口径位置に達した後、露光時間制御回路が所定のカウントを終了すると、回転子11は図2において反時計方向へ回転され、作動ピン12aが、凹部2aの端面を押し、開きばね13の付勢力に抗してリンク部材2を下方へ作動させ、シャッタ羽根3,4,5に開口部1aを閉鎖させる。リンク部材2が図1の状態に復帰した後、ムービングマグネット型モータのコイルに対する通電が断たれ、次の撮影に備えてフィルムの巻き上げが行われるが、それと並行して撮影レンズも初期位置へ復帰するので、連動部材17もそれに連動して初期位置へ復帰する。そのため、開口規制部材14は、退避用ばね16の付勢力によって図2において時計方向へ回転し、阻止部14bを張出部2eの作動軌跡外へ退避させ、一連の作動が終了する。そして、この状態が次の撮影まで維持される。
【0031】
尚、上記の実施例においては、阻止部14bを切欠き1t内で移動させるようにしているが、この切欠き1tを窓部1jのように形成しても構わない。また、カメラの設計次第によっては、本実施例のような開口規制部材14を設けることなく、連動部材17を直接切欠き1t内で光軸と平行する方向へ作動させるようにしても構わない。その場合には、連動部材17が本発明の開口規制部材となり、カム面17aが本発明の阻止部になる。また、上記の実施例においては、開口規制部材14をシャッタ地板1に取り付けているが、補助地板に取り付けても構わない。
【0032】
更に、上記の実施例においては、作動部材12の作動ピン12aをリンク部材2の凹部2aの端面に係接させているが、その構成に代えて、リンク部材2にスロット(長孔)を形成し、そこに作動ピン12aを嵌合させた所謂ピン・スロット結合による連結構成にしても構わない。また、その場合には、逆に作動部材12にスロットを形成し、リンク部材2にピンを設けてもよい。そして、そのようなピン・スロット結合の構成にした場合には、本発明の場合、開きばね13の存在は必須ではなくなる。また、作動部材12を回転子11と一体的に構成しているが、本発明は、作動部材12をシャッタ地板1に取り付け、それを回転子11の回転に連動させて往復作動させるようにしても構わないし、モータはムービングマグネット型モータに限定されるものではない。
【0033】
また、上記の実施例においては、リンク部材2が環状をしているが、本発明はこのような形状に限定されるものではない。例えば、実施例においてシャッタ羽根3との連結部とシャッタ羽根4との連結部とを残し、それらの間を欠落させた円弧状としても構わない。その場合には、開口部1aを約240度にわたって囲むようにした形状となる。更に、上記の実施例においては、シャッタ羽根を3枚にしているが、必要に応じて4枚以上にしても差し支えない。仮に、4枚にした場合には、リンク部材2は、開口部1aを約270度にわたって囲む形状にしてもよいことになる。但し、このことは、シャッタ羽根を開口部1aの周りに等間隔に配置した場合のことであって、シャッタ羽根を3枚構成にした場合であっても、小型化することを多少犠牲にすれば、240度以下の形状にすることも可能になる。
【0034】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、3枚以上のシャッタ羽根を連結した環状又は円弧状のリンク部材を備え、そのリンク部材に形成された張出部の一部を、地板に形成された受け部に摺接させるようにし、モータの正逆転に対応して光軸を横切る方向に往復作動させ、シャッタ羽根に開閉作動を行わせるようにしたシャッタにおいて、上記受け部の近傍位置で、該張出部を開口規制部材に当接させるようにしたものであるから、小型であっても、距離調節機構に連動して開口口径を好適に規制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の平面図であって、シャッタ閉鎖状態を示している。
【図2】シャッタ羽根の図示を省略した図1の背面図である。
【図3】図2の一部断面図である。
【図4】図2における要部の分解斜視図である。
【図5】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、開口径が最大となるシャッタ全開状態を示している。
【図6】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、全開状態よりも開口径を一段小さく規制された状態を示している。
【図7】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、図6に示す場合よりも開口径を更に一段小さく規制された状態を示している。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a 開口部
1b 壁
1c ねじ穴
1d,1e,1f 受け部
1g,1h,1i,1k,1s 軸
1j,1n 窓部
1m 孔
1p 遮光部
1q,1u,14d ばね掛け
1r ストッパ
1t 切欠き
2 リンク部材
2a 凹部
2b 係接部
2c,2d,2e 張出部
2f,2g,2h スロット
3,4,5 シャッタ羽根
5a 突起部
6,7,8 連結軸
9 モータ枠
10 ビス
11 回転子
12 作動部材
12a 作動ピン
13 開き用ばね
14 開口規制部材
14a 筒部
14b 阻止部
14c 被押動部
15 押さえリング
16 退避用ばね
17 連動部材
17a カム面
Claims (5)
- 両者間に羽根室を形成し且つ略中央部に露光用開口部を形成しており該羽根室内の外周部において少なくとも一方に複数の受け部を設けたシャッタ地板及び補助地板と、前記羽根室内に配置されていて各々所定の距離間隔で支点部と動点部とを有しており前記露光用開口部の周りで該支点部において往復回動することにより前記露光用開口部を開閉する3枚以上のシャッタ羽根と、前記受け部に夫々摺動可能に接触する複数の張出部を有し且つ少なくとも前記露光用開口部を半分以上囲むようにして配置されており前記シャッタ羽根の動点部と回転可能に連結されていて光軸を横切る方向へ往復作動して前記シャッタ羽根に開閉作動を行わせるリンク部材と、モータによって所定の角度範囲を往復作動させられその作動に対応して前記リンク部材が往復作動するようにした作動部材と、前記受け部のうちの一つの近傍位置において前記リンク部材の張出部の作動軌跡内に前記地板の外周から内側に進退可能であり前記シャッタ羽根が前記露光用開口部を閉鎖している状態で該内側に進入させていくと該受け部との距離が短くなり該リンク部材が該シャッタ羽根を該露光用開口部を開放する方向に作動したとき該張出部の一部が該受け部に摺接した状態で該張出部の他部に当接され該リンク部材の作動を規制し得る阻止部を有していて距離調節機構に連動して該阻止部の位置決めを行う開口規制部材とを備えていることを特徴とするカメラ用シャッタ。
- 前記張出部に前記シャッタ羽根の動点部が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用シャッタ。
- 前記開口規制部材が、前記羽根室外において前記シャッタ地板又は前記補助地板に取り付けられていて、退避用ばねによって、前記阻止部が前記作動軌跡から退く方向へ付勢されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用シャッタ。
- 前記モータがムービングマグネット型モータであって、前記リンク部材には、前記シャッタ羽根を開かせる方向へ付勢する開き用ばねが掛けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のカメラ用シャッタ。
- 前記作動部材と前記リンク部材とが接触関係にあり、前記リンク部材は、前記シャッタ羽根を開かせる場合には前記開き用ばねのみによって作動され、前記シャッタ羽根を閉じさせる場合には前記作動部材によって作動されるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のカメラ用シャッタ。
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