JP3695190B2 - 有機el素子とその製造方法 - Google Patents

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    • H10K59/874Passivation; Containers; Encapsulations including getter material or desiccant

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子と正孔の注入・再結合により発光する有機化合物材料のエレクトロルミネッセンス(以下ELという)を利用して、前記有機EL化合物の薄膜から構成された有機EL素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を陰極と陽極との間に挟んだ積層構造を有し、前記薄膜に正孔および電子を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して表示を行う表示素子である。
【0003】
ところで、上記有機EL素子を表示素子として利用する場合、最大の課題は耐久性の改善であり、その中でもダークスポットと呼ばれる非発光部の生成と成長が最も大きな問題となっている。ダークスポットが生成される原因としては、水分および酸素の影響が最も大きいとされ、特に水分は極めて微量でも大きな影響を及ぼすものとされている。
【0004】
そこで、使用する有機材料の精製、成膜時の真空の質、素子の封止など、水分を極力取り除くように工夫し、ドライプロセスで有機EL素子の製造が行われる。しかしながら、それでも十分な特性が得られていないのが現状である。
【0005】
このように、有機EL素子の最大の課題はダークスポットを根絶して長寿命化を図ることが最大の課題であり、素子を封止することで大幅に改善できる。加えて、別途捕水剤を使用することでより改善が進んでいる。
【0006】
図7は捕水剤を使用した従来の有機EL素子の構成を示す側断面図である。
図7に示す有機EL素子21は、絶縁性および透光性を有するガラス基板22を基部としている。ガラス基板22の上には、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電膜が所定パターン形状に成膜されて陽極23が形成されている。
【0007】
陽極23の上には有機化合物材料の薄膜による有機層24が積層されている。有機層24の上には、例えばAl−Li等の金属薄膜からなる陰極25が所定パターン形状に形成されている。そして、上記陽極23、有機層24および陰極25により所定パターン形状の発光部を形成している。
【0008】
ガラス基板22の外周部分には、水分を極力取り除いた不活性ガス(例えばドライ窒素)やドライエアによるドライ雰囲気において、金属キャップや樹脂キャップ等からなる封止部材26が有機接着剤によるシール膜27で固着されている。この有機接着剤によるシール膜27は、その膜厚が接着強度に影響を与えない範囲で薄く形成され、四方のシール幅がマージンの許す範囲内で大きく取られている。これにより、素子を構成するガラス基板22上の陽極23、有機層24および陰極25が保護される。
【0009】
封止部材26に形成された凹部26aには、粉末状の酸化バリウムや酸化カルシウム等からなる捕水剤28が収容されている。粉末状の捕水剤28を収容した凹部26aは、水分を通すシート状の蓋部材29によって覆われている。凹部26a内の捕水剤28は、水と化学反応して水酸化物を生成し、この生成された水酸化物を保持することにより、内部の残留水分や外部からの水分を吸着している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の有機EL素子21では、有機接着剤によるシール膜27を形成して素子を封止しているので、金属・セラミックス等の接着剤と比較すると、その原子(分子)間距離が大きな構造となっている。
【0011】
このため、特に高温・多湿の環境においては、有機接着剤によるシール膜27自体が膨潤し、空気中の水分、酸素等のガスを簡単に透過させてしまう。
【0012】
したがって、通常はシール膜27と空気中のガス分子の接触面積をできるだけ小さくするため、シール膜27の膜厚を薄くするのが好ましい。
【0013】
また、ガス分子がシール膜27に接触してシール膜27中に進入したときに、その拡散時間をかせぐため、シール膜27の幅を広くしてパターン形成することが好ましい。
【0014】
しかしながら、シール膜27の幅を広くするということは、素子の表示面積に対するマージン面積が大きくなるため、シール膜27の幅を広くするにも限界がある。
【0015】
また、シール膜27の幅を薄くする場合においても、その封止処理の安定性・繰り返しの再現性等を維持することはかなり難しく、また工程変動時のシール膜27の膜厚のばらつきにより特性が大きく変動するといった問題を招く。
【0016】
そこで、図7に示す従来の有機EL素子21では、封止部材26の凹部26aに収容された捕水剤28により内部の残留水分や外部からの水分を捕らえる構成を採用している。
【0017】
ところが、上記従来の有機EL素子21では、捕水剤28として粉体のものを使用しているため、封止部材26の凹部26aに捕水剤28を充填した後、凹部26aをシート状の蓋部材29で覆っている。具体的には、図7に示すように、封止部材26に内側凹部26aaと外側凹部26abからなる段付きの凹部26aを形成し、内側凹部26aaに捕水剤28を収容し、外側凹部26abの平坦面に蓋部材の外周部分を接着剤を介して固着している。
【0018】
したがって、上記従来の有機EL素子21では、蓋部材29を封止部材26に接着のためのスペースが必要不可欠であった。しかも、有機EL素子としての薄型化の利点を活かすには、封止部材26の凹部26aの容積が必要以上に大きくならないことが望まれる。その結果、凹部26aの容積が小さくなり、凹部26aに対して十分な捕水剤28を充填することができなかった。
【0019】
また、上記従来の有機EL素子21は、素子と捕水剤28との間に蓋部材29が介在しており、凹部26a内の捕水剤28が素子に対して直接露出した構成となっていない。しかも、封止部材26の凹部26a内に収容された捕水剤28は、蓋部材29を通過して捕水剤28まで到達した水分のみを化学的に吸着する。このため、蓋部材29で反射する水分やガス等を吸着することができず、蓋部材29自身が水分やガス等を吸着する際の妨げとなり、捕水効果を低下させるという問題があった。
【0020】
その結果、ダークスポットの生成および成長を促進させ、素子劣化の原因にもなっていた。しかも、上記従来の有機EL素子21では、捕水剤28を収容するための構成および形成方法が煩雑であり、手間がかかるという問題があった。
【0021】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、捕水剤による捕水効果を向上させてダークスポットの生成および成長を抑制することができ、素子の保存安定性を向上させて点灯寿命の改善が図れ、更には封止プロセス中に工程変動に対してもロバストネスを上げ、安定して再現性のある素子を製造することができる有機EL素子とその製造方法を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、一対の電極間に発光層を含む有機層が挟まれた素子が絶縁性を有する基板の上に形成され、前記素子と所定間隔をおいて前記基板に対向して配置された封止部材と前記基板との外周部分がドライ雰囲気中で接着剤からなるシール膜により固着されて封止された有機EL素子において、
前記封止部材内の前記素子と対面する位置に所定量の捕水剤が充填されており、有機膜からなるオーバーコート層が前記捕水剤の上から薄膜形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項の発明は、請求項の有機EL素子において、
前記オーバーコート層は、0.1〜数百μmの膜厚からなることを特徴とする。
【0025】
請求項の発明は、一対の電極間に発光層を含む有機層が挟まれた素子が絶縁性を有する基板の上に形成され、前記素子と所定間隔をおいて前記基板に対向して配置された封止部材と前記基板との外周部分がドライ雰囲気中で接着剤からなるシール膜により固着されて封止された有機EL素子の製造方法において、
前記封止部材の前記素子と対面する位置に有機膜からなる粘着性樹脂膜を形成する工程と、
前記粘着性樹脂膜上に捕水剤を充填する工程と、
前記充填された前記捕水剤のうち、前記粘着性樹脂膜に対する未固着の捕水剤を除去する工程とを含むことを特徴とする。
【0026】
請求項の発明は、一対の電極間に発光層を含む有機層が挟まれた素子が絶縁性を有する基板の上に形成され、前記素子と所定間隔をおいて前記基板に対向して配置された封止部材と前記基板との外周部分がドライ雰囲気中で接着剤からなるシール膜により固着されて封止された有機EL素子の製造方法において、
前記封止部材の前記素子と対面する位置に捕水剤を所定量充填する工程と、
前記充填された前記捕水剤の上から有機膜からなるオーバーコート層を薄膜形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による有機EL素子の第1実施の形態を示す側断面図である。
【0028】
図1に示すように、第1実施の形態の有機EL素子1Aは、絶縁性および透光性を有するガラス等の基板2を基部としている。基板2の上には第一電極としての陽極3が形成されている。陽極3は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜が真空蒸着法、スパッタ法等のPVD(Physical Vapor Deposition )法により100nm前後(例えば150nm)の膜厚で成膜され、更にフォトレジストパターンによるエッチングで所定パターン形状(例えばストライプ状)にパターンニングされた透明電極である。陽極3の一部は、基板2の端部に引き出されて不図示の駆動回路に接続される。
【0029】
陽極3の上には、例えば分子線蒸着法、抵抗加熱法等のPVD法により、有機化合物材料の薄膜からなる発光層を含む有機層4が積層形成されている。有機層4は、例えば陽極3の上に成膜される正孔注入層としての銅フタロシアニン(CuPc)有機膜と、CuPc有機膜の上に成膜される正孔輸送層としてのα−NPD(Bis(N−(1−naphtyl −N−phneyl)benzidine )有機膜と、α−NPD有機膜の上に成膜される発光層兼電子輸送層としてのトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3 )有機膜の3層構造からなる。
【0030】
なお、有機層4は、上記の他、発光層と電荷輸送層(正孔輸送層、正孔注入・輸送層、電子注入層、電子注入・輸送層等)との組合せで構成することができる。具体的には、発光層1層のみの構造、発光層と正孔輸送層の2層構造、発光層と電子注入層の2層構造、正孔輸送層と発光層と電子注入層の3層構造等が考えられる。
【0031】
上記発光層の発光材料としては、発光層そのものを発光させる場合には、例えばAlq3 やジスチルアリーレン系化合物等が使用される。また、発光層に別の発光材料(ドーパント)を微量ドーピングして発光させる場合には、ドーパントとしてキナクリドン(Qd)やレーザ用の色素等が使用される。
【0032】
また、上記電子注入層としては、電子の注入をし易くするため、例えばLi、Na、Mg、Ca等の仕事関数の小さい金属材料単体、Al:Li、Mg:In、Mg:Ag、LiF等の仕事関数の小さい合金が使用される。
【0033】
有機層4の上には、金属薄膜からなる第二電極としての陰極5が形成されている。陰極5は、例えばAl、Li、Mg、Ag、In等の仕事関数の小さい金属材料単体やAl−Li、Mg−Ag等の仕事関数の小さい合金からなる。陰極5は、例えば分子線蒸着法、抵抗加熱法等のPVD法により例えば数10nm〜数100nm(例えば100nm)の膜厚で所定パターン形状(例えば陽極3と直交するストライプ状)に形成される。陰極5の一部は、基板2の端部に引き出されて不図示の駆動回路に接続される。そして、上記陽極、有機層および陰極により所定パターン形状(例えばドット状)の発光部を有する素子6が形成される。
【0034】
基板2の外周部分には、水分を極力除去した不活性ガス(例えばドライ窒素)やドライエア等のドライ雰囲気において蓋状の封止部材7が有機接着剤からなるシール膜8によって固着されている。これにより、内部が気密保持された外囲器9が構成され、基板2の内面に積層形成された素子6が保護される。
【0035】
封止部材7は、例えば金属、ガラス、セラミックス、樹脂、ほうろう等で構成される。具体的には、厚さ0.3mmのステンレス基板(SUS304)を封止部材7として用いることができる。
【0036】
封止部材7は、基板2の外周部分と固着される外周部分が垂直に折曲されており、この外周部分の内側には基板2の上の素子6の表示面積と対面して捕水剤収容部7aが一体形成されている。捕水剤収容部7aの底面には有機膜からなる粘着性樹脂膜10が成膜されている。粘着性樹脂膜10は、0.1〜数百μm(好ましくは0.1〜10μm)の硬化膜厚で形成される。
【0037】
粘着性樹脂膜10の成膜には、例えばディスペンス法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、転写法、スピンコート法等の方法が採用される。粘着性樹脂膜10は、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂を溶剤(例えばトルエン、石油系溶剤等の非水系溶剤)に溶解したもの、無溶剤タイプの紫外線硬化性接着剤等からなる。
【0038】
粘着性樹脂膜10には、素子6に対して直接露出した状態で所定量の捕水剤11が固着されている。捕水剤11は、水分と化学結合するものが好ましく、例えばCaO(50Mesh≒数100μm)、MgO(300Mesh≒数10μm)、BaO(300Mesh≒数10μm)等がある。
【0039】
本実施の形態における捕水剤11としては、上記平均粒径を有するCaO(50Mesh≒数100μm)、MgO(300Mesh≒数10μm)、BaO(300Mesh≒数10μm)を強制的に粉砕処理し、その平均粒径を数μmと小さくして使用している。捕水剤11を粉砕処理する方法としては、例えば窒素ガス雰囲気中における乳鉢での粉砕、ホモジナイザーによる回転粉砕等がある。
【0040】
捕水剤収容部7a内に収容されて粘着性樹脂膜10に固着された捕水剤11は、外囲器9内の残留水分や外部からの水分等を化学的に吸着して保持している。
【0041】
更に説明すると、捕水剤11が酸化カルシウムで構成される場合には、CaOと水(H2 O)が化学反応して水酸化物であるCa(OH)2 を生成し、この生成されたCa(OH)2 を保持して水分を化学結合により吸着している。
【0042】
上記のように構成される有機EL素子1Aでは、陽極3と陰極5との間に不図示の駆動回路から駆動電圧を印加して定電流を流すと、有機層4に対して陽極3から正孔が注入され、陰極5から電子が注入される。そして、注入された正孔と電子が有機層4で再結合して励起子を生成し、この励起子が失活する際の光の放出により所望の表示がなされる。その際の発光は、透明電極である陽極3を介して基板2の外側から観察される。
【0043】
次に、上記構成による有機EL素子1Aの製造方法を図2(a)〜(e)に基づいて説明する。
【0044】
まず、図2(a)に示すように、捕水剤11を収容するための捕水剤収容部7aを有する封止部材7を作製する。具体的には、厚さ0.3mmのSUS304からなるステンレス板をプレス成型して蓋形状を形成する。次に、図2(b)に示すように、封止部材7の捕水剤収容部7aの底面に粘着性樹脂膜10を形成する。この粘着性樹脂膜10の成膜には、ディスペンス法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、転写法、スピンコート法等が採用される。具体的には、無溶剤タイプのエポキシ系紫外線硬化性接着剤を用い、ディスペンサー塗布により硬化膜厚が1μmになるように粘着性樹脂膜10を形成する。
【0045】
続いて、図2(c)に示すように、粘着性樹脂膜10が形成された捕水剤収容部7aに捕水剤11を一定量充填する。具体的には、CaOパウダーをパーツフィーダーにより、一定重量を捕水剤収容部7aに充填する。
【0046】
捕水剤収容部7aに捕水剤11が充填されると、粘着性樹脂膜10に接触・固着されない捕水剤11をエアーブロー等の方法により捕水剤収容部7a内から取り除く。これにより、図2(d)に示すように、捕水剤収容部7a内には、粘着性樹脂膜10に固着された捕水剤11のみが残る。
【0047】
そして、上記作業とは別に、不図示のチャンバー内に基板2をセットし、基板2の表面に透明導電膜を例えば150nmの膜厚で成膜する。続いて、透明導電膜にフォトレジストパターンによるエッチングを施して陽極3を例えばストライプ状に形成する。
【0048】
透明導電膜による陽極3が形成された後、分子線蒸着法や抵抗加熱法等のPVD法により有機層4を陽極3の上に成膜する。具体的には、PVD法により陽極3の上に40nmの膜厚でCuPc有機膜を成膜し、CuPc有機膜の上に20nmの膜厚でα−NPD有機膜を成膜し、更にα−NPD有機膜の上に50nmの膜厚でAlq3 有機膜を成膜する。続いて、PVD法によりAl−Liの金属薄膜による陰極を例えば100nmの膜厚で有機層4の上に陽極3と直交する例えばストライプ状に成膜する。これにより、基板2の上には、マトリクス状の一対の電極3,5間に有機層4が挟まれて積層された素子6が形成される。
【0049】
基板2の上に素子6が形成されると、封止部材7の捕水剤11が収容された側の外周部分に有機接着剤を塗布してシール膜8を形成し、シール膜8が形成された封止部材7の面に素子6の面を向けて基板2を封止部材7の上に載せる。その後、予め準備したバネクリップ等の荷重手段を用い、基板2と封止部材7に所定の荷重を掛ける。この状態で、紫外線照射処理を行うと、粘着性樹脂膜10とともにシール膜8が硬化される。これにより、捕水剤11が粘着性樹脂10に固着されるとともに、基板2と封止部材7とが外周部分で固着されて封止され、有機EL素子1Aが完成する(図2(e))。
【0050】
次に、図3は本発明による有機EL素子の第2実施の形態を示す側断面図である。なお、第1実施の形態と同一の構成要素には同一番号を付し、その説明を省略する。
【0051】
第2実施の形態の有機EL素子1Bは、第1実施の形態の有機EL素子1Aと比較して、封止部材7の捕水剤収容部7aに捕水剤11を固着する構成および方法が異なる他は同一である。
【0052】
すなわち、第2実施の形態の有機EL素子1Bでは、封止部材7の捕水剤収容部7aに所定量の捕水剤11が充填されており、この捕水剤11の上から有機膜からなる薄膜のオーバーコート層15が形成されている。オーバーコート層15は、0.1〜数百μm(好ましくは0.1〜10μm)の膜厚で形成される。オーバーコート層15は、完全硬化させるよりも若干硬化不足にし、水分・ガス等が容易に透過できる薄膜で形成されるのが好ましい。
【0053】
図4は紫外線照射光源としてメタルハライドランプを使用し、エポキシ系紫外線硬化樹脂を用いてオーバーコート層15を膜厚0.1μm、1.0μm、10μmで形成したときの紫外線照射量に対する硬化密度の関係を示す図である。
【0054】
本実施の形態の構成によれば、図4に示す0.1μm、1.0μm、10μmのいずれの膜厚で完全硬化させても水分・ガス等を透過させることができるが、その紫外線照射量を低くすることによってオーバーコート層15の硬化密度を調整し、より水分・ガス等を透過させ易くすることができる。
【0055】
上記オーバーコート層15の形成には、例えばディスペンス法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、転写法等が採用される。また、上記樹脂溶液としては、例えば熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂を溶剤(例えばトルエン、石油系溶剤等の非水系溶剤)に溶解したもの、無溶剤タイプの紫外線硬化性接着剤等が使用される。
【0056】
次に、上記構成による有機EL素子の製造方法を図5(a)〜(d)に基づいて説明する。
【0057】
まず、図5(a)に示すように、捕水剤11を収容するための捕水剤収容部7aを有する封止部材7を作製する。次に、図5(b)に示すように、封止部材7の捕水剤収容部7aに捕水剤11を一定量充填する。具体的には、CaOパウダーをパーツフィーダーにより、一定重量を捕水剤収容部7aに充填する。
【0058】
続いて、図5(c)に示すように、捕水剤収容部7aに充填された捕水剤11の上から薄膜のオーバーコート層15を形成する。このオーバーコート層15の成膜には、ディスペンス法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法、転写法、スピンコート法等が採用される。具体的には、樹脂溶液として無溶剤タイプのエポキシ系紫外線硬化性接着剤を用い、ディスペンサー塗布により硬化膜厚が1μmになるようにオーバーコート層15を形成する。このオーバーコート層15を硬化させるための紫外線照射条件としては、完全硬化させるよりも若干硬化不足とし、水分・ガス等が容易に透過する薄膜にするのが好ましい。
【0059】
そして、上記作業とは別に、不図示のチャンバー内に基板2をセットし、基板2の表面に透明導電膜を例えば150nmの膜厚で成膜する。続いて、透明導電膜にフォトレジストパターンによるエッチングを施して陽極3を例えばストライプ状に形成する。
【0060】
透明導電膜による陽極3が形成された後、分子線蒸着法や抵抗加熱法等のPVD法により有機層4を陽極3の上に成膜する。続いて、PVD法によりAl−Liの金属薄膜による陰極を例えば100nmの膜厚で有機層4の上に陽極3と直交する例えばストライプ状に成膜する。これにより、基板2の上には、マトリクス状の一対の電極3,5間に有機層4が挟まれて積層された素子6が形成される。
【0061】
基板2の上に素子6が形成されると、封止部材7の捕水剤11が収容された側の外周部分に有機接着剤を塗布してシール膜8を形成し、シール膜8が形成された封止部材7の面に素子6の面を向けて基板2を封止部材7の上に載せる。その後、予め準備したバネクリップ等の荷重手段を用い、基板2と封止部材7に所定の荷重を掛ける。この状態で、基板2の外側から紫外線照射処理を行うと、シール膜8が硬化され、基板2と封止部材7とが外周部分で固着されて封止され、有機EL素子1Bが完成する(図5(d))。
【0062】
このように、第1実施の形態の有機EL素子1Aでは、捕水剤11が素子6に対して直接露出して封止部材7の捕水剤収容部7a内に粘着性樹脂膜10を介して固着されている。また、第2実施の形態の有機EL素子1Bでは、封止部材7の捕水剤収容部7a内に収容された捕水剤11が水分・ガス等を透過させる硬化密度の薄膜からなるオーバーコート層15で覆われて固着されている。
【0063】
したがって、各実施の形態の有機EL素子1A,1Bによれば、図7に示す従来の有機EL素子21と比較して、封止後の素子内に存在する水分・ガス分子等を捕水剤11で効率的に捕らえ、ダークスポットの生成および成長を抑制することができる。
【0064】
加えて、有機EL素子の保存安定性を従来品よりも数倍上げることができ、通常の点灯寿命等も改善することができる。また、封止プロセス中に工程変動に対してもロバストネスをあげることができ、安定して再現性のある有機EL素子を製造することができる。
【0065】
ここで、各実施の形態の有機EL素子1A,1Bと従来の有機EL素子21における保存安定性を比較するため、室温保存時間と全発光面積との関係を図6に示す。
【0066】
この図6からも明らかなように、各実施の形態の有機EL素子1A,1Bによれば、図7に示す従来の有機EL素子21と比較して、室温保存時間の経過とともに変化する全発光面積に対するダークスポット面積の割合を低く抑えることができる。例えば室温保存時間が5000時間を経過したとき、従来の有機EL素子21では全発光面積に対するダークスポット面積が50%にまで及ぶのに対し、第2実施の形態の有機EL素子1Bではその割合が約30%に抑えられる。更に第1実施の形態の有機EL素子1Aでは約20%程度まで抑えることができる。
【0067】
また、各実施の形態の有機EL素子1A,1Bにおける封止部材7には、基板2との封着部分を除いてすべてが捕水剤11を収容するための捕水剤収容部7aが形成されている。このため、図7に示す従来の有機EL素子21のような蓋部材29が不要となる。その結果、同一寸法の有機EL素子を構成した場合、従来の有機EL素子21よりも捕水剤11の収容容積が大きくなり、より多くの捕水剤11を収容でき、捕水剤11による捕水効果を向上させることができる。
【0068】
ところで、上記各実施の形態において、透明導電膜からなる陽極3と金属薄膜からなる陰極5を逆転させた構成としてもよい。その際、使用される基板2は必ずしも透光性を有する必要はなく、絶縁性を有する有色の基板を用いることができる。
【0069】
また、一対の電極(陽極3、陰極5)は、少なくとも一方が透光性を有する導電材料で形成されていればよい。その際、両方の電極が透光性を有する導電材料の場合には、一方の電極(陽極)に仕事関数の大きい透光性を有する導電材料(例えばITO)を用い、他方の電極(陰極)に仕事関数の小さい透光性を有する導電材料を用いる。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、従来の有機EL素子と比較して、封止後の素子内に存在する水分・ガス分子等を捕水剤で効率的に捕らえ、ダークスポットの生成および成長を抑制することができる。
【0071】
加えて、有機EL素子の保存安定性を従来品よりも数倍上げることができ、通常の点灯寿命等も改善することができる。また、封止プロセス中に工程変動に対してもロバストネスをあげることができ、安定して再現性のある有機EL素子を製造することができる。
【0072】
特に、封止部材の底面に有機膜からなる粘着性樹脂膜を形成し、この粘着性樹脂膜に所定量の捕水剤を固着した構成によれば、捕水剤が素子に対して直接露出するので、より効率的に水分・ガス分子等を捕らえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機EL素子の第1実施の形態を示す側断面図
【図2】(a)〜(e)図1の有機EL素子の製造工程を示す側断面図
【図3】本発明による有機EL素子の第2実施の形態を示す側断面図
【図4】図3の有機EL素子におけるオーバーコート層の膜厚が0.1μm、1.0μm、10μmのそれぞれの紫外線照射量に対する硬化密度の関係を示す図
【図5】(a)〜(d)図3の有機EL素子の製造工程を示す側断面図
【図6】本実施の形態の有機EL素子と従来の有機EL素子における室温保存時間と全発光面積との関係を示す図
【図7】従来の有機EL素子の一構成例を示す側断面図
【符号の説明】
1A,1B…有機EL素子、2…基板、3…陽極(第一電極)、4…有機層、5…陰極(第二電極)、6…素子、7…封止部材、7a…凹部、8…シール膜、10…粘着性樹脂膜、11…捕水剤、15…オーバーコート層。

Claims (4)

  1. 一対の電極間に発光層を含む有機層が挟まれた素子が絶縁性を有する基板の上に形成され、前記素子と所定間隔をおいて前記基板に対向して配置された封止部材と前記基板との外周部分がドライ雰囲気中で接着剤からなるシール膜により固着されて封止された有機EL素子において、
    前記封止部材内の前記素子と対面する位置に所定量の捕水剤が充填されており、有機膜からなるオーバーコート層が前記捕水剤の上から薄膜形成されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記オーバーコート層は、0.1〜数百μmの膜厚からなる請求項記載の有機EL素子。
  3. 一対の電極間に発光層を含む有機層が挟まれた素子が絶縁性を有する基板の上に形成され、前記素子と所定間隔をおいて前記基板に対向して配置された封止部材と前記基板との外周部分がドライ雰囲気中で接着剤からなるシール膜により固着されて封止された有機EL素子の製造方法において、
    前記封止部材の前記素子と対面する位置に有機膜からなる粘着性樹脂膜を形成する工程と、
    前記粘着性樹脂膜上に捕水剤を充填する工程と、
    前記充填された前記捕水剤のうち、前記粘着性樹脂膜に対する未固着の捕水剤を除去する工程とを含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  4. 一対の電極間に発光層を含む有機層が挟まれた素子が絶縁性を有する基板の上に形成され、前記素子と所定間隔をおいて前記基板に対向して配置された封止部材と前記基板との外周部分がドライ雰囲気中で接着剤からなるシール膜により固着されて封止された有機EL素子の製造方法において、
    前記封止部材の前記素子と対面する位置に捕水剤を所定量充填する工程と、
    前記充填された前記捕水剤の上から有機膜からなるオーバーコート層を薄膜形成する工程とを含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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