JP3694908B2 - 擬似移動床を用いた3成分分離方法 - Google Patents
擬似移動床を用いた3成分分離方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3694908B2 JP3694908B2 JP27535394A JP27535394A JP3694908B2 JP 3694908 B2 JP3694908 B2 JP 3694908B2 JP 27535394 A JP27535394 A JP 27535394A JP 27535394 A JP27535394 A JP 27535394A JP 3694908 B2 JP3694908 B2 JP 3694908B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bed
- liquid
- component
- simulated moving
- stage
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は擬似移動床を用いるクロマトグラフィーに関するものである。詳しくは擬似移動床を用いて、充填剤との相互作用の強さの異なる3成分を含む原料液をそれぞれの成分に富む画分に分割する方法に関するものである。
特に本発明は、原料中に含まれている充填剤との相互作用の強さが中程度の成分を高純度で回収する方法に関するものである。本発明によれば糖蜜から蔗糖を高純度で回収することができる。
【0002】
【従来の技術】
液体クロマトグラフィーは工業的な分離操作として広く用いられている。クロマトグラフィーの最も簡単なものは、単一のカラムを用い、これに原料液と溶離液とを交互に供給し、カラムから流出する液をその組成に応じて分取する方法である。この方法では原料液中の各成分を分離することができるが、多量の溶離液を必要とし且つ回分式なので充填剤の利用効率が低い。
【0003】
これに対し擬似移動床を用いる方法は連続操作が可能であり、溶離液の必要量も少なく、かつ充填剤の利用効率も高いので、大規模なクロマトグラフィーでは好んで用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
擬似移動床を用いるクロマトグラフィーでは、原則として原料液は充填剤との相互作用の強い成分に富む画分と弱い成分に富む画分との2つの画分に分割される。すなわち擬似移動床では、原料液の供給口、溶離液の供給口、充填剤との相互作用の強い成分に富む画分の抜出し口及び相互作用の弱い成分に富む画分の抜出し口の4個の供給−抜出し口が同時に作動しており、一定時間毎にこれらの供給−抜出し口が、それぞれ下流の供給−抜出し口に切替えられる。従って擬似移動床を用いるクロマトグラフィーでは、原料液が充填剤との相互作用の強い成分、中位の成分及び弱い成分の3成分を含有していても、これらの3成分をそれぞれ別個の画分として得ることはできない。3成分のうちいずれか1成分は他の成分との混合物として擬似移動床から回収される。例えば、甜菜糖蜜は蔗糖と塩類その他の非糖類の他にベタインを含んでおり、糖蜜からのクロマトグラフィーによる蔗糖の回収に常用されているアルカリ金属塩型の強酸性陽イオン交換樹脂に対する各成分の相互作用の強さは、ベタイン>蔗糖>塩類その他の非糖類の順である。擬似移動床を用いて甜菜糖蜜を常法によりクロマトグラフィーにより分画すると、甜菜糖蜜は蔗糖に富む画分と塩類その他の非糖類に富む画分とに分画される。ベタインの一部は塩類その他の非糖類に富む画分に分配されるが、残部は蔗糖に富む画分に分配される。従って擬似移動床を用いる通常のクロマトグラフィーでは、甜菜糖蜜から蔗糖とベタインとを別個に回収することはできない。また、蔗糖に富む画分に分配されたベタインはこの画分の蔗糖の純度を低下させる。
【0005】
本発明は、擬似移動床、特に第1床〜第4床の4個の単位充填床から成る最も簡単な擬似移動床を用いたクロマトグラフィーにより、充填剤との相互作用の強いA成分、中位のB成分及び弱いC成分の少くとも3成分を含有する原料液を、A成分に富む画分、B成分に富む画分及びC成分に富む画分の3画分に分割する方法を提供せんとするものである。また、本発明はB成分に富む画分中へのA成分又はC成分の混入を減らしてB成分に富む画分中のB成分の純度を高くする方法を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、
(1)擬似移動床の第1床〜第3床間を液が流通し得る状態において、第1床に溶離液を、第3床に原料液をそれぞれ供給し、且つ第1床から流出する液の一部をB成分に富む画分として、第3床から流出する液をC成分に富む画分として、それぞれ系外に抜出す供給−抜出し段階、
(2)擬似移動床内を液の循環が可能な状態にして、液の供給−抜出しを行なうことなく、擬似移動床内の液を下流に移動させる循環段階、
(3)擬似移動床の第2床〜第1床内を液が流通し得る状態において、第2床に溶離液を供給し、且つ第1床から流出する液をA成分に富む画分として系外に抜出す抜出し段階、
の3段階からなる工程を行ない、次いで液の供給口及び抜出し口をそれぞれ直ぐ下流の単位充填床のそれに切替えて上記の工程を反復することにより、A,B,Cの3成分を含む原料液からそれぞれの成分に富む画分を分取することができる。
【0007】
本発明について更に詳細に説明するに、本発明でクロマトグラフィーに供する原料は、充填剤との相互作用の強いA成分、中位のB成分及び弱いC成分という充填剤との相互作用の強さの異なる少くとも3種の成分を含んでいる。通常は、充填剤との相互作用が中位のB成分を、A成分及びC成分のいずれよりも多量に含んだ原料液が用いられる。本発明によれば、原料液からこのB成分を高純度で含む画分を取得することができる。
【0008】
このような原料液の代表的なものの一つは、甜菜糖蜜である。製糖法によっても異なるが、甜菜糖蜜は通常は45〜75重量%、特に50〜70重量%の蔗糖、20〜45重量%、特に20〜30重量%の塩類その他非糖類、及び5〜10重量%のベタインを含んでおり、これから蔗糖を高純度で回収することが強く望まれている。糖蜜からの蔗糖の回収に常用されているアルカリ金属塩型の強酸性陽イオン交換樹脂に対する相互作用の強さはベタイン>蔗糖>塩類その他の非糖類なので、本発明によれば、この糖蜜から蔗糖を高純度で回収できる。
【0009】
他の代表的な原料液の一つは、サトウキビから蔗糖を製造する際に製出される糖蜜及び粗糖から精製糖を製造する際に製出される糖蜜である。これらの糖蜜は主成分である蔗糖の他にブドウ糖などの単糖類、及び塩類などの非糖分を含んでおり、アルカリ金属塩型の強酸性陽イオン交換樹脂に対する相互作用の強さは単糖類>蔗糖>非糖分の順なので、本発明によればこれから蔗糖を高純度で回収できる。
【0010】
また、澱粉を加水分解してマルトースを製造する際の糖化液も本発明の原料液として適している。糖化液は主成分であるマルトース以外に、マルトトリオース以上の大きなオリゴ糖及びブドウ糖を含んでおり、アルカリ金属塩型の強酸性陽イオン交換樹脂に対する相互作用の強さはブドウ糖>マルトース>オリゴ糖の順なので、本発明によれば高純度のマルトースを回収できる。
【0011】
本発明で用いる擬似移動床は、同一の大きさの4個の単位充填床を液の循環路を形成するように連結して構成されており、循環路には液を一方向に移動させるためのポンプが設置されている。各単位充填床は、その上部に外部から供給される原料液及び溶離液の分配機構を有しており、下部には床から流出する液の集液機構を有している。原料液と溶離液とが同時に同じ単位充填床に供給されることはないので、1個の液体分配機構を原料液と溶離液とで共用することもできる。なお、4個よりも多くの、例えば8個の単位充填床から成る擬似移動床を用いて本発明を実施することもできるが、装置が高価となるので好ましくない。周知の如く、擬似移動床を構成する単位充填床の最少数は4個であり、原理上、単位充填床の数が多いほど優れた成績を収めることができるが、装置が高価となる。本発明では最も簡単な4個の単位充填床から成る擬似移動床を用いて優れた成績を収めることができる。
【0012】
単位充填床に充填される充填剤は原料液中の成分に応じて選択する。例えば甜菜糖蜜から蔗糖及びベタインを回収せんとする場合には、アルカリ金属塩型、例えばカリウム塩型やナトリウム塩型の強酸性陽イオン交換樹脂が用いられる。なお、甜菜糖蜜には多量のカリウムが含まれているので、ナトリウム型イオン交換樹脂を充填剤として用いても運転中にナトリウム型イオン交換樹脂の一部はカリウム型イオン交換樹脂に転換される。しかしながら、この転換は擬似移動床の分離性能には殆んど影響しない。もちろん所望ならば、ときどき塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを通液して樹脂をナトリウム型に再転換してもよい。
【0013】
本発明では、擬似移動床の通常の運転とは異なり、擬似移動床に液を供給し同時にいずれかの成分に富む画分を抜出す段階(供給−抜出し段階及び抜出し段階)と、液の供給及び抜出しを行なうことなく床内の液を下流方向に移動させる段階(循環段階)との組合せで1工程が構成されている。1工程が終了すると、擬似移動床の通常の運転の場合と同じく、擬似移動床への液の供給口及び擬似移動床からの液の抜出し口が、それぞれ直ぐ下流の単位充填床の供給口又は抜出し口に切替えられる。
本発明では4個の単位充填床から成る最も簡単な擬似移動床を用いるので、上記の工程を4回反復すると擬似移動床は元の状態に復帰する。
【0014】
1工程内における各段階はその主たる役割を異にしている。循環段階の役割は、原料液中の各成分を相互に分離して擬似移動床内に各成分につき所望の濃度分布を形成させることにある。すなわち、液の供給−抜出しを行なわずに擬似移動床内の液を下流に移動させる間に、液中の各成分は、充填剤との相互作用の強弱により移動速度が異なるので、相互に漸次分離され、擬似移動床内に所望の濃度分布を形成するに至る。
後述するように抜出し段階は、濃度分布の形成、移動に関しては、循環段階と同様の作用をするので、本発明では1工程内における循環段階と抜出し段階とにおける液の移動により、擬似移動床内の濃度分布が単位充填床1個分だけ下流に移動して再生される。
【0015】
また、1工程を実施するに要する全時間のうち通常は50%以上をこの循環段階と抜出し段階に割当てる。循環段階だけで1工程を実施するに要する全時間の50%以上を占めるのが好ましい。即ち1工程を構成する循環段階、供給−抜出し段階及び抜出し段階を各段階を実施するに要する時間の点よりみれば、循環段階が主体で、他の2つの段階がこれに付属していることになる。これは循環段階における液の移動が濃度分布の形成の主体をなしていることによる。循環段階が終了した時点での擬似移動床内における各成分の分布は、典型的には次の如くなる(但し、循環段階の直前の供給−抜出し段階では、第1床に溶離液を、第3床に原料液をそれぞれ供給したものとする)。すなわち充填剤との相互作用の強いA成分は第1床から第2床にかけて濃縮されて存在している。相互作用の強さが中位のB成分は第2床から第3床にかけて濃縮されて存在している。相互作用の強さが弱いC成分は第3床から第4床にかけて濃縮されて存在している。循環段階での液の移動は、単位充填床間に設けられた循環ポンプにより行なわれる。循環ポンプは各単位充填床間に設けてもよく、また擬似移動床に唯1個、例えば第4単位充填床と第1単位充填床との間に唯1個設けてもよい。
【0016】
循環段階が終了すると、次いで抜出し段階が開始される。抜出し段階では第2床に溶離液を供給して擬似移動床内を流下させ、第1床に濃縮されて存在するA成分をA成分に富む画分として系外に抜出す。この段階での擬似移動床内の液の移動は溶離液の供給圧力によるが、循環ポンプを作動させて溶離液の供給圧力の不足を補ってもよい。すなわち第2床に溶離液を供給すると、この床内の液はこれに押されて下流に移動し第3床に流入する。第3床内の液も同様に押されて下流に移動し第4床に流入する。同様に第4床の液は第1床に流入する。第1床から流出する液はその全量をA成分に富む画分として系外に抜出す。すなわちこの抜出し段階では第1床から第2床への液の流入は無い。
【0017】
この抜出し段階における擬似移動床内における液の移動は、当然のことながら各成分の分離を伴い、濃度分布は下流に移動する。すなわち、この抜出し段階は擬似移動床全体に亘る濃度分布の移動と、A成分に富む画分の抜出しとの2つの機能を果している。しかし、この段階における擬似移動床内の液の移動量は、循環段階における液の移動量よりも著るしく少ないので、濃度分布の移動もそれに比例して循環段階におけるよりも少ない。この抜出し段階における擬似移動床内における液の移動速度は、循環段階における液の移動速度と実質的に等しくするのが好ましい。何故ならば循環段階における液の移動速度は、通常は濃度分布の形成に最も有利なように決定されているからである。
抜出し段階が終了したならば、次いで供給−抜出し段階が開始される。この段階での擬似移動床内の液の移動は、溶離液及び原料液の供給圧力によるが、循環ポンプを作動させてこれらの液の供給圧力の不足を補ってもよい。この供給−抜出し段階では、第2床に溶離液、第4床に原料液をそれぞれ供給する(前回の供給−抜出し段階では、第1床に溶離液、第3床に原料液を供給したので、供給−抜出し口を一つ下流のそれに切替える)。この段階で系外に抜出すのは、第2床に存在する成分Bの濃縮された液と、第4床に存在する成分Cの濃縮された液である。すなわち第2床に溶離液を供給すると、第2床内の液はこれに押されて下流に移動し、第2床から流出する。本発明では、この流出液の一部を成分Bに富む画分として系外に抜出し、残部は第3床に流入させる。第3床内の液はこの第2床から流入した液に押されて下流に移動し、第4床に流入する。第4床には原料液が供給されているので、第4床内の液は第3床から流入した液と原料液とに押されて下流に移動し、第4床から流出する。本発明では、この流出液を成分Cに富む画分として全量系外に抜出す。この供給−抜出し段階においても液の移動に伴い各成分の分離が進行し、濃度分布は下流に移動する。従ってこの段階において液の移動速度が最も大きい単位充填床(すなわち第2床又は第4床)の液の移動速度は、前述の循環段階における液の移動速度と実質的に等しくするのが好ましい。
供給−抜出し段階で擬似移動床に供給された溶離液と原料液との合計は、当然のことながら、この段階で第2床から抜出されるB成分に富む画分と、第4床から抜出されるC成分に富む画分との合計に等しい。そして第2床からの流出液のうちいくらをB成分に富む画分として系外に抜出すべきかは、B成分に所望される回収率とB成分に富む画分中のB成分に所望される純度に応じて、適宜決定する。すなわちB成分の回収率を高くしたい場合にはB成分に富む画分の抜出し量を多くすればよい。また高純度のB成分を回収したい場合には、逆にB成分に富む画分の抜出し量を少なくする。
【0018】
本発明における擬似移動床の運転の各段階について、充填剤としてナトリウム型の強酸性陽イオン交換樹脂を用い、溶離剤として水を用いて甜菜糖蜜から蔗糖とベタインを回収する場合を例にとって更に具体的に説明するに、第1図(1)は第2床に水を供給して第1床からベタインに富む画分を抜出す抜出し段階の終了時における擬似移動床内のベタイン、蔗糖及び塩類その他非糖類の各成分の濃度分布を模式的に示すものである。この状態において第2床に水を供給して第2床の蔗糖を溶離させる。第2床からの流出液は1部を蔗糖に富む画分として系外に抜出し、残部は第3床に流入させる。これに伴い第3床の波は下流方向に移動するので各成分の分離が進み、且つ濃度分布も下流方向に移動する。第4床には原料液である甜菜糖蜜を供給する。第4床からの流出液は、充填剤との相互作用の最も弱い(すなわち移動速度の最も早い)塩類その他の非糖類に富む画分として全量を系外に抜出す。第1図(2)はこの供給−抜出し段階が終了した時点における擬似移動床内の各成分の濃度分布を示す。
【0019】
上記の供給−抜出し段階が終了すると、液の供給及び抜出しを行なわずに、循環ポンプで擬似移動床内の液を下流方向に移動させる循環段階を行なう。これにより各成分の分離が進み、且つ濃度分布が工程の開始時に比してほぼ単位充填床1個分だけ下流に移動する。循環段階が終了した時点における擬似移動床内の各成分の濃度分布を第1図(3)に示す。
【0020】
循環段階が終了すると水の供給口を第2床から第3床に切替えて、第3床に水を供給し、第2床から流出する液をベタインに富む画分として全量を系外に抜出す抜出し段階を行なう。この段階は濃度分の移動という観点からは循環段階の延長であり、液の移動の原動力として循環ポンプを用いる代りに系外から供給される水を用いたものに相当する。
以上の3段階の操作により、擬似移動床内の各成分の濃度分布は、単位充填床1個分だけ下流方向に移動して復元される。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
【実施例1】
図2に示す装置を用いて甜菜糖蜜から蔗糖に富む画分、ベタインに富む画分及び塩類その他の非糖類に富む画分を回収した。各単位充填床は内径2.73cm、高さ55cmで、ナトリウム型の強酸性陽イオン交換樹脂が1288m1充填されている。各単位充填床は75℃に保温されている。
【0022】
装置の運転条件は第1表に示す通りである。また原料の甜菜糖蜜の組成及び抜出された各画分の定常状態における組成は第2表に示す通りである。また、抜出し段階を行なわずに循環段階を抜出し段階に相当する時間だけ延長した場合の、蔗糖に富む画分及び塩類その他の非糖類に富む画分の組成は第3表に示す通りである(抜出し段階が無いので、ベタインに富む画分の抜出しは無い)。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【実施例2】
実施例1で用いたのと同じ装置(但し、各単位充填床のイオン交換樹脂の充填量は1240mlとした。)を用いて、粗糖から精製糖を製造する過程で製出された糖蜜(甘蔗糖蜜)から、還元糖などに富む画分、蔗糖に富む画分、及び塩類などの非糖類に富む画分を取得した。吸着剤に対する吸着力の強さは還元糖>蔗糖>塩類などの非糖類の順である。各単位充填床は75℃に保温されている。
【0027】
装置の運転条件を第4表に示す。また、原料の甘蔗糖蜜の組成及び抜出された各画分の定常状態における組成を第5表に示す。なお、実験の都合上、還元糖などに富む画分と、塩類などの非糖類に富む画分とは一個の受器に一緒に受入れたので、その組成はコンピュータシュミレーションによる推定値である。
また、抜出し段階を行なわずに、循環段階を抜出し段階に相当する時間だけ延長した場合の、蔗糖に富む画分と塩類その他の非糖類に富む画分の組成は第6表に示す通りである。
【0028】
【実施例3】
実施例1で用いたのと同じ装置(但し、各単位充填床のイオン交換樹脂の充填量は1240mlとした)を用いて、澱粉加水分解物から単糖類に富む画分、2糖類に富む画分及び3糖類以上の多糖類に富む画分を65℃で取得した場合の、各画分の組成をコンピュータシュミレーションにより求めた。
吸着剤に対する吸着力の強さは単糖類>2糖類>3糖類以上の多糖類である。
装置の運転条件を第7表に、原料の組成及び各画分の組成(推定値)を第8表に示す。また、抜出し段階を行なわずに、循環段階を抜出し段階に相当する時間だけ延長した場合の、シュミレーションの結果を第9表に示す。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば4個の単位充填床から成るという最も簡単な擬似移動床を用いて、充填剤に対する相互作用の強さの異なる少くとも3つの成分を含む原料液を、それぞれの成分に富む画分に分画することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により甜菜糖蜜のクロマトグラフィーを行なった場合の、擬似移動床内に形成される各成分の濃度分布を模式的に示す図である。
【図2】本発明方法で甜菜糖蜜のクロマトグラフィーを行なう場合の擬似移動床の液の流れを主体とした模式図である。
【符号の説明】
1W〜4W 水供給管の開閉弁
1F〜4F 原料供給管の開閉弁
1R〜4R 液循環路の開閉弁
1A〜4A 吸着力の強い成分に富む画分の抜出し管の開閉弁
1B〜4B 吸着力が中間の成分に富む画分の抜出し管の開閉弁
1C〜4C 吸着力が弱い成分に富む画分の抜出し管の開閉弁
Claims (9)
- 第1床〜第4床の4個の単位充填床から成り、内部を液が一方向に流通し得るようになっている擬似移動床を用いたクロマトグラフィーにより、充填剤との相互作用の強いA成分、中位のB成分及び弱いC成分の少くとも3成分を含有する原料液を、A成分に富む画分、B成分に富む画分及びC成分に富む画分の少くとも3画分に分割する方法であって、
(1)第1床〜第3床間を液が流通し得る状態において、第1床に溶離液を、第3床に原料液をそれぞれ供給し、且つ第1床から流出する液の一部をB成分に富む画分として、第3床から流出する液をC成分に富む画分として、それぞれ系外に抜出す供給−抜出し段階、
(2)擬似移動床内を液の循環が可能な状態にして、擬似移動床への液の供給及び擬似移動床からの液の抜出しを行なうことなく、擬似移動床内の液を下流に移動させる循環段階、
(3)第2床〜第1床間を液が流通し得る状態において、第2床に溶離液を供給し、且つ第1床から流出する液をA成分に富む画分として系外に抜出す抜出し段階、
の3段階からなる工程を行ない、次いで液の供給口及び抜出し口を直ぐ下流の単位充填床のそれに切替えて上記の工程を反復することを特徴とする方法。 - 1工程を実施するに要する全時間のうち循環段階と抜出し段階との合計時間の占める比率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 1工程を実施するに要する全時間のうち循環段階の占める比率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 供給・抜出し段階において供給される溶離液が、抜出し段階で供給される溶離液よりも多いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 循環段階における液の流速が、供給・抜出し段階及び抜出し段階における液の流速に等しいか又はこれよりも大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- 原料液中のB成分の含有量が、A成分及びC成分のいずれよりも多いことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
- 原料液が、甜菜から蔗糖を製造する際に製出される糖蜜、粗糖から精製糖を製造する際に製出される糖蜜又は澱粉糖化液であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
- アルカリ金属塩型の強酸性陽イオン交換樹脂が充填されている第1〜第4の4個の単位充填床から成り、内部を液が一方向に流通し得るようになっている擬似移動床を用いて、ベタイン、蔗糖及び塩類などの非糖類を含む甜菜糖蜜からベタインに富む画分、蔗糖に富む画分及び塩類などの非糖類に富む画分の3画分を取得する方法であって、
(1)第1床に水を、第3床に甜菜糖蜜を供給し、且つ第1床から流出する液はその一部を蔗糖に富む画分として擬似移動床外に抜出し残部は第2床に流入させ、第2床から流出する液は全量を第3床に流入させ、第3床から流出する液はその全量を塩類などの非糖類に富む画分として擬似移動床外に抜出す供給−抜出し段階、
(2)擬似移動床への液の供給及び擬似移動床からの液の抜出しを行なうことなく、擬似移動床内の液を下流方向に循環的に移動させる循環段階、
(3)第2床に水を供給し、第2床の流出液は全量を第3床に流入させ、第3床の流出液は全量を第4床に流入させ、第4床の流出液は全量を第1床に流入させ、第1床の流出液は全量をベタインに富む画分として擬似移動床外に抜出す抜出し段階、
の3段階から成る工程を行ない、次いで液の供給口及び抜出口を直ぐ下流の単位充填床の供給口及び抜出口に切替えて上記の工程を反復することを特徴とする方法。 - 甜菜糖蜜の乾燥残分に占める蔗糖の比率が45〜75(重量%)であり、1工程を実施するに要する全時間のうち循環段階の占める比率が50%以上てあり、且つ供給・抜出し段階で擬似移動床に供給される甜菜糖蜜の容積に対する、供給・抜出し段階と抜出し段階で擬似移動床に供給される水の合計容積の比が4〜8倍であることを特徴とする請求項8記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27535394A JP3694908B2 (ja) | 1993-12-27 | 1994-11-09 | 擬似移動床を用いた3成分分離方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33324293 | 1993-12-27 | ||
JP5-333242 | 1993-12-27 | ||
JP27535394A JP3694908B2 (ja) | 1993-12-27 | 1994-11-09 | 擬似移動床を用いた3成分分離方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07232003A JPH07232003A (ja) | 1995-09-05 |
JP3694908B2 true JP3694908B2 (ja) | 2005-09-14 |
Family
ID=26551431
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27535394A Expired - Fee Related JP3694908B2 (ja) | 1993-12-27 | 1994-11-09 | 擬似移動床を用いた3成分分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3694908B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6331250B1 (en) | 1997-09-22 | 2001-12-18 | Organo Corporation | Method and equipment for chromatographic separation |
JP2000079301A (ja) * | 1998-07-09 | 2000-03-21 | Nippon Rensui Co Ltd | 擬似移動床の運転方法 |
EP1716900A1 (en) * | 2005-04-29 | 2006-11-02 | Eidgenössische Technische Hochschule Zürich | Method and device for chromatographic purification |
WO2011121181A1 (en) * | 2010-03-30 | 2011-10-06 | Danisco A/S | Separation process |
JP2014029294A (ja) * | 2012-07-31 | 2014-02-13 | Nippon Rensui Co Ltd | クロマト分離法 |
JP7181278B2 (ja) | 2018-03-01 | 2022-11-30 | 三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社 | クロマト分離方法およびクロマト分離装置 |
-
1994
- 1994-11-09 JP JP27535394A patent/JP3694908B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07232003A (ja) | 1995-09-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0663224B1 (en) | Method of separation using a simulated moving bed | |
US4471114A (en) | Separation of mannose by selective adsorption on zeolitic molecular sieves | |
US4970002A (en) | Method of chromatographic separation | |
JP3903266B2 (ja) | 溶液の分別方法 | |
JP3604935B2 (ja) | 糖類の精製方法 | |
KR20110126719A (ko) | 분리 방법 | |
US4516566A (en) | Separation of arabinose by selective adsorption on zeolitic molecular sieves | |
WO2011121179A1 (en) | Separation process | |
WO2013177058A1 (en) | Tagatose production using simulated moving bed separation | |
JP3694908B2 (ja) | 擬似移動床を用いた3成分分離方法 | |
EP0966425A1 (en) | Process for recovering betaine | |
JP2002143605A (ja) | クロマト分離方法 | |
JP3453516B2 (ja) | クロマト分離方法 | |
JP2014029294A (ja) | クロマト分離法 | |
JP3478325B2 (ja) | クロマト分離方法 | |
US6331250B1 (en) | Method and equipment for chromatographic separation | |
USRE33105E (en) | Separation of mannose by selective adsorption on zeolitic molecular sieves | |
US4591388A (en) | Separation of arabinose by selective adsorption on zeolitic molecular sieves | |
US4483980A (en) | Process for separating glucose from polysaccharides by selective adsorption | |
JPH02286695A (ja) | オリゴ糖の分離方法 | |
JPH059080B2 (ja) | ||
JP3089146B2 (ja) | 澱粉糖の製造方法 | |
JPH05204A (ja) | 多成分系の分離方法および装置 | |
JP3991434B2 (ja) | クロマト分離方法 | |
JPH0768101A (ja) | 擬似移動層による分離方法及び装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050607 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050620 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080708 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130708 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |