JP3694898B2 - 農作業機のデータ収集装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、トラクタ、コンバイン等の農業機械の作業状況を把握するために農業機械のセンサ情報を収集するデータ収集装置に関する。
【0002】
【従来技術】
農業経営の合理化や農業機械の高性能化に伴い、各種作業データ、例えば1圃場当たりまたは1日当たりの走行距離、作業面積、燃料消費量等のデータを取り、これを比較検討して以後の作業計画に役立てることがますます重要となってきている。これらデータを取るために従来活用されてきた方法は、作業開始時と終了時に農業機械に付属している燃料計や距離計の数値を読みその差を算出することであるが、この方法は得られるデータの精度が低く、しかもデータ収集作業や収集後のデータ整理が面倒であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
また、従来のようなデータ収集方法では、作業日誌や作業データ記録票を常に携帯していなければならず、この作業日誌等を忘れるとデータの記録が出来なくなる不都合や、過去のデータを参照しようとしてもその取り出しが容易でないこと、及びその保管状況が悪いと紛失の恐れがある等の問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は前記の課題に鑑みて提案するものであり、紛失の恐れがなく、しかも作業中は常にデータ収集状況を把握でき、操作も簡単な装置を得ることを目的とし、次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の発明は、電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、農作業機の適所に設置された通信インターフェースユニット(44)にデータ収集装置本体(20a)を取り付け、取り 外し自在に構成し、この取付部(43)に、同装置本体(20a)の前記ユニット(44)に対する取り付け固定操作と共に、前記ユニット(44)側の通信インターフェース(40)と通信接続が可能となる通信インターフェース(41)を備えたことを特徴とする農作業機のデータ収集装置とした。
また請求項2の発明では、電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、前記データ収集装置(20)は、圃場単位で検索できるデータファイルを作成し、作業再開時に既存の圃場データファイルがある場合は、前記作業データを累積情報として記憶する制御手段(21)を備えたことを特徴とする請求項 1 に記載の農作業機のデータ収集装置とした。
また更に請求項3の発明では、電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、前記データ収集装置(20)は、圃場単位で検索できるデータファイルを作成し、作業再開時に既存の圃場データファイルがある場合は、前記作業データを累積情報として記憶する制御手段(21)を備えたことを特徴とする請求項 1 に記載の農作業機のデータ収集装置とした。
【0005】
【実施例】
以下、図面基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1はデータ収集装置のブロック図である。同図において、1は農業機械(例えばトラクタ)の制御装置であり、走行部および各作動部分の制御全般を司る。
各種センサ2…、操作スイッチ類3…、及び設定器類4…からの信号が入力インターフェース6を介してCPU7に入力され、その入力信号に基づいてCPU7から出力インターフェース9を介してモータ、ソレノイド、バルブ等のアクチュエータ10に出力信号が出される。必要な入力情報や出力情報はメータやランプ等の表示機器類11に表示される。前記CPU7にはメモリインターフエースを介して電気的に書換可能な不揮発性メモリ(E2PROM)12が接続されている。この不揮発性メモリ12には後述するように農業機械の機種識別コードを記録する。
【0006】
各センサのうちの車速センサ2A及び燃料流量センサ2Bは、車速もしくは燃料流量の瞬時値に応じてセンサパルスを発生するものであり、一定周期T内におけるセンサパルスのカウント数n1、n2…を通信パルスでCPU7に送信するように構成されている(図2参照)。
他のセンサとしては、トラクタの場合はロアリンクセンサ、リフトアーム角センサ、水平センサ等があり、また、コンバインの場合は刈り幅センサ等がある。これらセンサは検出信号が直流電流であるので、検出信号をA/D変換器13で変換した後CPU7に入力するように構成されている。
【0007】
図1における20はデータ収集装置(管理端末器)で、前記制御装置1と通信可能に接続して使用する。データ収集装置20は、CPU21、操作部22、表示部23、RAM25、漢字ROM26等を備えた本体20aと、該本体に選択的に装着する記憶媒体としてのROMカード28及びRAMカード29とからなる。ROMカード28には農業機械の各機種、型式ごとの制御用プログラムが夫々個別に格納されている。また、RAMカード29は所定の項目ごとにデータを記憶できるようになっている。図11にデータ項目の一例を示す。データ収集装置20は例えば図3乃至図5に示すような外観をしている。箱型状をした本体20aの正面に操作部22としての電源ON、OFFスイッチ31、32、各種操作スイッチ33…及びカナ、数字等の入力キー34…と液晶表示による表示部23が設けられ、一側面にROMカード28及びRAMカード29の挿入口36、37とプリンタコネクタ38が設けられている。操作スイッチ33の中にはデータ取りを開始するときに押す作業開始スイッチ33aと、作業を一時的に中断するときに押す作業中断スイッチ33bと、作業を終了したときに押す作業終了スイッチ33cがある。
【0008】
制御装置1とデータ収集装置20の通信は通信インターフェース40、41を介して行なう。図示例のものは光通信による方法であって、データ収集装置本体の取付溝43の底面部に光インターフェース41が設けられているとともに、制御装置の通信インターフェースユニット44(図6参照)にも同様の光インターフェースが設けられている。データ収集装置本体20aを通信インターフェースユニット44に取り付けると、両光インターフェースが正対するようになり、両装置間の情報交換が可能となる。このように光通信で通信を行なうようにすると、農業機械へのデータ収集装置20の着脱が容易であるとともに、振動の影響を受け難く良好な通信を行なえるという利点がある。図6において符号50はハンディプリンター、51はカードリーダ、52はパソコン、53はプリンターである。
【0009】
農業機械がトラクタである場合のデータ収集装置20の取り付け場所と、その周辺の構成を説明する。図7はトラクターのキャビン58内のコックピット59部にデータ収集装置20を取り付けた状態を示すものである。傾斜計60、ラジオ61、デジタル時計62と共にデータ収集装置20を着脱自在に取り付けるように構成している。キャビン58の天井部に近い個所であって、しかも、操縦席の正面にデータ収集装置20が取り付けられているので、その液晶表示部23の表示を容易に確認することができる。
【0010】
図8はキャビン58に代えて簡易型のロプスフレーム64に取り付けたものである。右側後部のロプスフレーム64に通信インターフェースユニット44を取り付け、これにデータ収集装置20を着脱自在に取り付けるようにしたもので、データ収集装置20及び通信インターフェースユニット44の後付けが可能であり、このためオプション仕様に容易に対応できる。65は計器盤、66はハンドル、67はフェンダー、68はステップ、69は前輪、70は後輪である。
【0011】
図9はトラクターの乗降部に設けたものである。即ち、ステップ68の前側に設けられた透明フード71部分に通信インターフェースユニット44を設置し、これにデータ収集装置20を着脱自在に取り付けたものである。小型のトラクターのように操縦席の周囲の空間が狭いものには有効であり、操作し易く、しかも見易い位置にデータ収集装置20が設けられることになる。図中符号72は座席、73は変速レバー、74は油圧操作レバーである。なお、図示は省略するが、データ収集装置20はフェンダーの上部に取り付けるようにしても良く、前記実施例に限定されるものではない。
【0012】
データ収集装置20の操作方法及びデータの記録の仕方を簡単に説明する。まず、データ収集装置20を通信インターフェースユニット44に装着して電源ONスイッチ31を押す(パワーON)。すると、データ収集装置20と制御装置1の通信が開始される。このとき、作業データの収集に先立ち、オペレータは圃場番号、作業者名、機械番号等の検索キーとなる項目(ヘッダ部分)を入力し、新規にデータファイルを作成する。そして、その後、作業を開始する。作業データの収集記録は作業開始スイッチ33aを押すことで始まる。このとき、作成されたファイル名はRAMカード29内のファイルリストに登録される。そして作業の開始と共に作業データが管理端末器側に記録されるのであるが、得られたデータ、例えば走行距離、燃料消費量、作業面積等はRAM25内に一時的に記憶される。このとき、作業中断スイッチ33bを押すと、そのスイッチに基づく処理がなされる。具体的には、食事等で農業機械を一時的に停止させる場合に作業中断スイッチ33bを押すとそれまでの作業データを保留のままにしておくことができる。作業を再開する場合には中断スイッチ33bをもう一度押す。作業終了スイッチ33cを押すとRAM25に書き込まれていたデータがRAMカード29に転送されてそのまま記憶される。図10は一度作業を中断して再び作業を開始する際の制御のプログラムの内容を説明したものである。収集されたデータは圃場単位で管理され、日付と関連付けられたデータファイルに自動的に記録されるが、一度閉じたファイルを再びオープンして作業データを記録すると、それまでに記録したデータが全部消えることになる。また、別ファイルとして新規にファイルを作成すると、フアイルの数が増大し、同一圃場のデータでありながら一部の作業データが分かれてしまい、以後のデータ分析が複雑で面倒になる。
【0013】
そこで、この例では作業を開始した際にファイルの中に既存のファイルがあるかどうかを検索し、無い場合は新規なものとして判別してデータの初期値を0にセットし、既にファイルがある場合はそれまでのデータに新規発生分を累積加算するようにしたものである。例えば、作業面積の場合、中断するまでの作業面積の結果がS1であって、再開後の作業面積がS2であれば、トータルとしての作業面積をS1+S2としたものである。
【0014】
次に図12のフローチャートを説明する。
このフローチャートの特徴は、作業データの記録をバックアップ付RAMカード29に記録するだけでなく、制御装置1の不揮発性メモリにも記憶できるようにして作業データが取れないといった不測の事態に対して安全性を高めたものである。不揮発性メモリ12の容量は500〜1Kバイト分の記憶容量が確保されており、少なくとも10圃場(1圃場当たり50〜100バイト使用)のデータが取れるようにしている。
【0015】
不揮発性メモリ12には当日分の作業データしか記録されず、前日までの作業データは常に削除されるようにしている。作業開始スイッチ33aを押してデータ収集作業を開始すると、その圃場のデータが不揮発性メモリ12に記憶され、更にRAMカード29のチェックが行なわれる。RAMカード29のチェックを行なった結果、異常がなければRAMカード29にデータを転送して記録する。
【0016】
一方、RAMカード29に異常が生じていれば、液晶表示部23にその内容を表示し、作業終了時に、不揮発性メモリ12内に蓄えられているデータをパソコン52へ転送、あるいはハンディプリンター50等で印刷するように指示する。
このようにRAMカード29へのデータ転送が困難な場合は制御装置1の不揮発性メモリ12にその日の圃場データを記憶させることが出来るので、データの消失といった不具合が発生することがなく、データの安全性が格段に高まる。
【0017】
図13は本機側の制御装置で通信の状況を監視し、異常があった場合にオペレータに報知するようにしたものである。即ち、本機側の制御装置1とデータ収集装置20間で送・受信中に、一定時間経過しても本機側制御装置1で受信できない場合は両者の間に介装された通信ラインが抜けたものと見做してオペレータに早期に報知し、データ欠落等の異常を早い時期に知らせて迅速な対応を促すようにしたものである。報知の方法としては、管理端末器の液晶表示部23にエラーメッセージを流すようにしてもよく、また、特別に設けたランプ、ブザー等で報知するようにしてもよい。
【0018】
図14は本機側の表示器11とデータ収集装置20側の表示部23との表示区分について説明したものである。本機側の表示器11には車速やエンジン回転数、PTO回転数等の瞬時データを表示するようになし、管理端末器では、センサが検出したセンサ値を加工した結果の表示、例えば単位時間当たりに燃料消費量、単位面積当たりの燃料消費量、機体のスリップ率、作業面積等を表示するように構成している。
【0019】
【発明の効果】
この効果は前記の如く、請求項1の発明では、電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、農作業機の 適所に設置された通信インターフェースユニット(44)にデータ収集装置本体(20a)を取り付け、取り外し自在に構成し、この取付部(43)に、同装置本体(20a)の前記ユニット(44)に対する取り付け固定操作と共に、前記ユニット(44)側の通信インターフェース(40)と通信接続が可能となる通信インターフェース(41)を備えたことを特徴とする農作業機のデータ収集装置としたものであるから、作業中にも表示部(23)が振れ難く表示内容を確認し易く、またスイッチ操作も行い易い。更に装置本体(20a)を取り付け固定すると、通信接続も可能となるので取付操作も簡単である。
また請求項2の発明では、電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、前記データ収集装置(20)は、圃場単位で検索できるデータファイルを作成し、作業再開時に既存の圃場データファイルがある場合は、前記作業データを累積情報として記憶する制御手段(21)を備えたことを特徴とする請求項 1 に記載の農作業機のデータ収集装置としたものであるから、通信の不調を早期に知らせることができ、データの欠落を防止することができる。
また請求項3の発明では、電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、前記農作業機の制御部(1)との通信時に一定時間経過してもデータが受信できない場合は、エラーを報知する制御手段(21)を備えたことを特徴とする請求項 1 に記載の農作業機のデータ収集装置としたものであるから、作業の中断毎に新規のデータファイルを作成して後に累積処理する構成と比較して、ファイルの数を削減することができ管理も行い易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】システムブロック図である。
【図2】センサの検出方法を示す図である。
【図3】データ収集装置の正面図である。
【図4】データ収集装置の斜視図である。
【図5】データ収集装置の側面図である。
【図6】管理システムの説明図である。
【図7】キャビン内にデータ収集装置を取り付けた状態を示す図である。
【図8】ロプスフレームにデータ収集装置を取り付けた状態を示す図である。
【図9】トラクターの乗降部にデータ収集装置を取り付けた状態を示す図である。
【図10】フローチャートである。
【図11】データファイルの構成を示した図である。
【図12】フローチャートである。
【図13】通信を監視するフローチャートである。
【図14】データの表示区分を説明したブロック図である。
【符号の説明】
1 制御装置
2 センサ
3 操作スイッチ
4 設定器
20 データ収集装置(管理端末器)
21 CPU
22 操作部
23 表示部
25 RAM
26 ROM
28 ROMカード
29 RAMカード
33a 作業開始スイッチ
33b 作業中断スイッチ
33c 作業終了スイッチ
40 通信インターフェース
41 通信インターフェース
43 取付溝
44 通信インターフェースユニット

Claims (3)

  1. 電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、農作業機の適所に設置された通信インターフェースユニット(44)にデータ収集装置本体(20a)を取り付け、取り外し自在に構成し、この取付部(43)に、同装置本体(20a)の前記ユニット(44)に対する取り付け固定操作と共に、前記ユニット(44)側の通信インターフェース(40)と通信接続が可能となる通信インターフェース(41)を備えたことを特徴とする農作業機のデータ収集装置。
  2. 電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、前記データ収集装置(20)は、圃場単位で検索できるデータファイルを作成し、作業再開時に既存の圃場データファイルがある場合は、前記作業データを累積情報として記憶する制御手段(21)を備えたことを特徴とする請求項 1 に記載の農作業機のデータ収集装置。
  3. 電源のON/OFFスイッチ(31,32)と各種情報を表示する表示部(23)を備え、農作業機の作業データを同農作業機の制御部(1)との通信を介して収集する農作業機のデータ収集装置において、前記農作業機の制御部(1)との通信時に一定時間経過してもデータが受信できない場合は、エラーを報知する制御手段(21)を備えたことを特徴とする請求項 1 に記載の農作業機のデータ収集装置。
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