JP3694648B2 - 熱収縮性フィルム - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はポリ乳酸系重合体を含有する熱収縮性フィルムに関し、特に、低温で収縮を開始し、かつ自然収縮率の小さい熱収縮性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴミ処理等の環境問題を解決することを期待して、生分解性を有するポリ乳酸系重合体を用いた、各種のフィルムや成形体の研究が近年活発に行われている。
多くの需要が見込まれるペットボトルやビンのラベル等に、ポリ乳酸を用いた熱収縮性フィルムが適用されている。例えば、ポリ乳酸あるいはポリ乳酸とヒドロキシカルボン酸からなるラベル用収縮フィルムが特開平5−212790号公報に、また、ポリ乳酸、グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体、ポリカプロラクトンのうち二種以上の混合物を主成分とする生分解性ポリマー組成物を用いた生分解性フィルムが特開平9−169896号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ラベル用フィルムは、ボトル等にフィルムを貼り付けるラベリング工程で工程適性の観点から蒸気シュリンカーの使用が主流となり、また無菌充填のため、あるいは高温により内容物の品質が低下することを回避するために、蒸気シュリンカーの設定温度をより低くする傾向にある。すなわち、ラベル用の収縮性フィルムは低温で収縮を開始することが期待されているが、通常、低温で収縮を開始するフィルムは、その収縮特性から常温で放置しても収縮を開始(いわゆる自然収縮)してしまい、寸法安定性に欠ける。
一方、上述した特開平5−212790号公報に開示されているフィルムは160℃で収縮するフィルムであり低温収縮性を有していない。また、特開平9−169896号公報においては、グリコール/脂肪族ジカルボン酸共重合体、ポリカプロラクトンを含有することによる引張強度の改善、および50℃前後で収縮の開始は記載されているが、自然収縮性については考慮されていない。
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、低温で収縮を開始しながらも自然収縮が小さい、生分解性を有する熱収縮性フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、フィルムの収縮開始温度と65℃の収縮率を特定範囲とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し本発明を完成するに至った。本発明の熱収縮性フィルムは、ポリ乳酸系重合体を主成分とする、少なくとも1方向に延伸された熱収縮性フィルムであって、脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン及び脂肪族ポリエステルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1つを更に含有し、前記ポリ乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との重量比が97:3〜85:15の範囲か又は3:97〜15:85の範囲にあり、D−乳酸とL−乳酸との構成割合が異なる2種類以上をブレンドしたものであり、かつ、前記熱収縮性フィルムの収縮開始温度が50〜63℃の範囲内にあり、65℃の温水に10秒間浸漬した際の収縮率が10%以上であり、自然収縮率が1.5%以下であることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性フィルムは、ポリ乳酸系重合体を主成分とする、少なくとも1方向に延伸されたフィルムであって、収縮開始温度が50〜63℃の温度範囲であり、かつ65℃の温水に10秒間浸漬した際の収縮率が10%以上である。
ここで、収縮開始温度とは、一定温度の温水に10秒間浸漬することにより収縮が認められたときの温水の温度のうち最も低い温度をいう。具体的には、フィルムを一定温度の温水中に10秒間浸漬したときの収縮率を下記式に基づいて求め、その収縮率とそのときの温度の関係を、横軸に温水温度、縦軸にその温度での収縮率をプロットして温度−収縮率曲線として作成すると、その曲線が立ち上がるときの温度が収縮開始温度である。本発明において、収縮開始温度は50〜63℃であることが必要であり、55〜63℃であることが好ましい。なお、収縮率は、収縮率=(収縮量/収縮前の原寸)×100から求められる。
【0006】
一般的に、収縮を開始する温度(収縮開始温度)は収縮性フィルムのガラス転移温度に依存し、ポリ乳酸系重合体を主成分とする熱収縮性フィルムの場合、フィルムの結晶状態に影響されるが、通常、50〜70℃である。本発明では、D−乳酸とL−乳酸の構成割合や延伸条件を適宜選択することによりガラス転移温度を最適化することができ、収縮開始温度を50〜63℃の範囲内となるように調整することができる。
【0007】
本発明において、65℃の温水に10秒間浸漬した際の収縮率(以下「65℃の収縮率」と称することもある)が10%以上であるとは、上述した温度−収縮率曲線において、65℃の温度における収縮率が10%以上であることをいう。D−乳酸とL−乳酸との構成割合や延伸条件を調整することにより、65℃の収縮率を10%以上に設定することができる。
【0008】
ここで延伸条件は、ポリ乳酸の結晶性あるいは熱収縮性フィルムの用途に応じて変更されるが、自然収縮率を低下させるためには、通常、延伸温度が65〜100℃の範囲で、より好ましくは70〜90℃の範囲で選択される。延伸温度が65℃未満であると、延伸が難しくなる。また、100℃を越えると、収縮開始温度の調整が難しくなる傾向にあり、また、厚み精度が劣化しやすい。延伸倍率とは主収縮方向における倍率をいい、通常、1.5〜6倍の範囲内で選択される。延伸倍率が1.5倍未満では収縮性能が不十分な場合があり、6倍を越えると延伸時に破断が生じやすくなる。
【0009】
本発明の熱収縮性フィルムは少なくとも1方向に延伸されていることが必要であるが、1軸延伸にするか2軸延伸にするか等は目的とする製品の用途によって決定される。
【0010】
本発明に用いられるポリ乳酸系重合体とは、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸である、ポリ(DL−乳酸)やこれらの混合体を主成分とするものをいう。本発明においては、さらにヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールおよび/または脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。ただし、共重合体とする場合には、ポリ乳酸系重合体を50質量%以上含む。
【0011】
ポリ乳酸系重合体に共重合されるヒドロキシカルボン酸としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
乳酸系重合体に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、乳酸系樹脂に共重合される脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
【0012】
乳酸系重合体の重合法としては、縮合重合法、開環重合法など公知のいずれの方法をも採用することができる。例えば、縮合重合法ではL−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。
また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、適宜選択された触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性を有する乳酸系樹脂を得ることができる。
【0013】
本発明においては、必要に応じて共重合成分等、他の成分をさらに用いることができる。例えば、耐熱性を向上させるために、少量の共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノーAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いることができる。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを使用することができる。
また、諸物性を調整する目的で、熱安定剤、光吸収剤、滑り剤、可塑剤、無機充填剤、着色剤、顔料等を添加することもできる。
【0014】
本発明に用いられる乳酸系重合体は、重量平均分子量が5万〜40万の範囲内であることが好ましい。この範囲を下回る場合には機械物性や耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、上回る場合には、溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る。
【0015】
D−乳酸とL−乳酸との構成割合が100:0かまたは0:100であるポリ乳酸系重合体は、結晶性樹脂となり、融点が高く、耐熱性、機械的物性に優れる傾向にあるが、一方、結晶性樹脂であるために延伸時に延伸配向結晶化が進行してしまう。たとえ延伸配向結晶化を延伸条件で調整することができたとしても、熱収縮時に結晶化してしまうことがある。
したがって、熱収縮性フィルムとしてポリ乳酸系重合体を使用する場合には用途に応じて結晶性を最適化することが重要である。
【0016】
本発明においては、D−乳酸とL−乳酸の構成比が重量比で97:3〜85:15の範囲内または3:97〜15:85の範囲内にあることが好ましい。ここで構成比は、D−乳酸とL−乳酸が混合されている場合には、それぞれの重量比を、DL−乳酸の場合は共重合体中のD−乳酸成分とL−乳酸成分の重量比を、これらが混合されている場合には、D−乳酸の合計重量とL−乳酸の合計重量の比をいう。例えば、D−乳酸がL−乳酸より多い場合、L−乳酸が3質量部未満ではフィルムを収縮させると同時に結晶化が進行し、収縮率の調整が難しくなり、また、皺やアバタが入りやすく、仕上がりの質が低下する。15質量部を越えると、ラベル用などの1軸延伸製品において、未延伸方向の耐破断特性が不十分になる場合がある。
本発明においては、D−乳酸とL−乳酸の構成割合が異なるポリ乳酸系重合体を2種類以上ブレンドすることもできる。
【0017】
既述したように延伸条件とポリ乳酸の結晶性を適宜選択することにより、熱収縮性フィルムの収縮開始温度を50〜63℃の範囲に、かつ65℃の温水に10秒間浸漬した際の収縮率を10%以上となるように設定することができる。熱収縮性フィルムの収縮開始温度と65℃の収縮率を特定範囲とすることにより、低温で収縮を開始しながらも自然収縮率が小さい、熱収縮フィルムを得ることができる。
【0018】
本発明において自然収縮率が小さいとは、30℃環境下で30日間保存した後の収縮率が1.5%以下であることを指すが、1.0%以下であることが好ましい。収縮率が1.5%を越えると、寸法がずれたり、印刷ずれが生じる等のトラブル発生の原因となる。
【0019】
本発明のポリ乳酸を主成分とする熱収縮性フィルムは透明性、剛性(フィルムの腰)等の特性を損なわない範囲内で、ポリ乳酸系重合体以外の他の生分解性樹脂を添加することができる。例えば、脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステルカーボネートなどである。ポリ乳酸系重合体が60質量%以下となると、ポリ乳酸系重合体の特性が低下する傾向にあり、70質量%以上であればポリ乳酸系重合体の特性を発現することができるので、通常、70質量%以上であることが好ましい。
ラベル用フィルムの場合、PETボトルやビンボトルに挿入時に折れることを防止するために、フィルムの腰が強いものが好まれるが、用途によっては柔軟性を要求される場合もある。その場合には、特に脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステルカーボネートを添加することが好ましい。また、透明性を要求される場合には、脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステルカーボネートを添加することが好ましい。
また、目的に応じて、生分解性樹脂以外の樹脂をブレンドすることも可能である。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などは屈折率がポリ乳酸と近いため、ブレンド後の透明性を維持しつつ柔軟性を付与することができる。
【0020】
本発明の熱収縮性フィルムは単層フィルムでも積層体フィルムでもよい。ただし、積層体の場合には、ポリ乳酸系重合体をフィルム全体の60質量%以上含有することが必要である。積層体の場合には、例えば中間層にポリ乳酸系重合体と他の生分解性樹脂をブレンドしたものを使用し、最外層にポリ乳酸系重合体単体を使用することが好ましい。また、D−乳酸の量の異なるポリ乳酸系重合体を使用した層を積層することもできる。
【0021】
本発明の熱収縮性フィルムの製造方法は、まず、ポリ乳酸系重合体を主成分とする樹脂を押出機により溶融させ押し出す。押出に際しては、Tダイ法、チューブラー法などの公知の方法を採用することができる。その際には、分解による分子量の低下を考慮して温度設定をする必要がある。
溶融押出しされた樹脂は、冷却ロール、空気、水等で冷却された後、熱風、温水、赤外線、マイクウェーブ等の適当な方法で再加熱され、ロール法、テンター法、チューブラー法等により、1軸または2軸に上述した延伸条件で延伸された後、巻き取られる。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いられた測定値および評価は以下のようにして行った。ただし、フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、その直交する方向をTDとした。
【0023】
(1)収縮開始温度
まず、温度−収縮率曲線を作成する。すなわち、熱収縮フィルムをMD100mm、TD100mmの大きさに切断し、これを40℃の温水バスに10秒間浸漬して収縮量を測定し、40℃の収縮率を求める。温水温度を横軸に、収縮率を縦軸にとり、40℃における収縮率をプロットする。次いで、温水の温度を5℃高くして45℃で同様の操作を行い、45℃の収縮率をプロットする。このように温水の温度を5℃きざみで高くしていき、その温度における収縮率をプロットし、温度−収縮率曲線を作成する。なお、収縮率は 収縮率=(収縮量/収縮前の原寸)×100 により求めた。
作成した温度−収縮率曲線から、曲線の立ち上がりが認められる温度を読みとり、収縮開始温度とした。
(2)65℃の収縮率
作成した温度−収縮率曲線から、温水が65℃の温度における収縮率を読みとり、65℃の収縮率とした。
(3)自然収縮率
熱収縮性フィルムをMD50mm、TD1,000mmの大きさに切断し、30℃雰囲気の恒温槽に入れ、恒温槽中で30日間放置した後、TD方向の収縮量を測定し、収縮率(%)を求める。
(4)仕上がり性
10mm間隔の格子模様を印刷した熱収縮性フィルムを、MD100mm、TD298mmの大きさに切断して、TD方向のフィルムの両端を10mm重ねて溶剤等で接着して円筒状に形成した。この円筒状フィルムを、容量が1.5リットルの円筒型ペットボトルに装着して、蒸気加熱方式の長さ3.2mの収縮トンネル内を通過させた。ただし、トンネル内の雰囲気温度は蒸気バルブで供給される蒸気量を調節することにより70〜85℃の範囲の温度となるようにした。
熱収縮処理を施した後、フィルムに発生した皺、アバタ、歪みの大きさ及びその個数を調べ、総合的に評価した。ただし、評価基準は、皺、アバタ、格子模様の歪みがなく、ペットボトルとの密着性が良好なものを記号「○」、皺、アバタ、格子模様の歪みが若干認められるが実用上問題のないものを「△」、皺、アバタ、格子模様の歪みがあるか、または収縮不足が目立ち実用上問題のあるものを「×」で示した。
【0024】
参考例1
L−乳酸とD−乳酸との構成が重量比で95.0:5.0のポリ乳酸系重合体(商品名:EcoPLA、カーギルダウポリマー社製)を乾燥させた後、Tダイ押出機に搭載し、210℃で溶融押出し、溶融体をキャスティングロールにて急冷し、未延伸のシートを得た。次いで、未延伸シートを長手方向に65℃で1.01倍にロール延伸を行い、幅方向にテンターを用いて72℃で5.3倍に延伸して、厚さが約50μmの熱収縮性フィルムを作製した。
得られたフィルムについて、収縮開始温度、65℃の収縮率、自然収縮率を求め、また仕上がり性の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0025】
参考例2
L−乳酸とD−乳酸の構成が重量比で95.0:5.0のポリ乳酸系重合体(商品名:EcoPLA、カーギルダウポリマー社製)を40質量%と、L−乳酸とD−乳酸の構成が重量比で90.3:9.7のポリ乳酸系重合体(商品名:EcoPLA、カーギルダウポリマー社製)40質量%と、テレフタル酸43モル%、アジピン酸57モル%および1,4−ブタンジオール100モル%からなる芳香族脂肪族ポリエステル(商品名:イースターバイオ、イーストマンケミカル社製)[テレフタル酸48モル%、アジピン酸52モル%、1,4−ブタンジオール100モル%からなる芳香族脂肪族ポリエステル(商品名:Ecofles、BASF社製)]を20質量%との混合樹脂を乾燥させた後、Tダイ押出機に搭載して、210℃で溶融押出し、溶融体をキャスティングロールにて急冷し、未延伸のシートを得た。次いで、未延伸シートを長手方向に65℃で1.01倍にロール延伸を行い、幅方向にテンターを用いて72℃で4.9倍に延伸して、厚さが約50μmの熱収縮性フィルムを作製した。
得られたフィルムについて、参考例1と同様の測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
実施例3
L−乳酸とD−乳酸との構成が重量比で95.0:5.0のポリ乳酸系重合体(商品名:EcoPLA、カーギルダウポリマー社製)を45質量%と、L−乳酸とD−乳酸との構成が重量比で90.3:9.7のポリ乳酸系重合体(商品名:EcoPLA、カーギルダウポリマー社製)を45質量%と、脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネート/アジペート(商品名:ビオノーレ#3003、昭和高分子社製)を10質量%との混合樹脂を乾燥させた後、Tダイ押出機に搭載して、210℃で溶融押出し、溶融体をキャスティングロールにて急冷し、未延伸のシートを得た。次いで、未延伸シートを長手方向に65℃で1.01倍にロール延伸を行い、幅方向にテンターを用いて77℃で4.8倍に延伸して、厚さが約50μmの熱収縮性フィルムを作製した。
得られたフィルムについて、参考例1と同様の測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0027】
参考例4
参考例1において、ポリ乳酸系重合体として、L−乳酸とD−乳酸との構成が重量比で98.5:1.5のポリ乳酸系重合体(商品名:ラクティ5000、島津製作所製)に変更した以外は参考例1と同様にして未延伸シートを得た。次いで、参考例1と同様にして延伸フィルムを作製した。
得られたフィルムについて、参考例1と同様の測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
比較例1
脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネート/アジペート(商品名:ビオノーレ#3001、昭和高分子社製)を乾燥させた後、Tダイ押出機に搭載し、実施例1と同様にして未延伸のシートを得た。次いで、未延伸シートを長手方向に65℃で1.01倍にロール延伸を行い、幅方向にテンターを用いて75℃で4.0倍に延伸してフィルムを作製したところ、延伸後直にTD方向にフィルムが収縮してしまい、熱収縮性シートを作製することはできなかった。
得られたフィルムについて、参考例1と同様の測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
比較例2
L−乳酸とD−乳酸との構成が重量比で90:10のポリ乳酸系重合体(商品名:EcoPLA、カーギルダウポリマー社製)を50質量%と、脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサクシネート/アジペート(商品名:ビオノーレ#3001、昭和高分子社製)50質量%の混合樹脂を乾燥させた後、Tダイ押出機に搭載して、210℃で溶融押出し、溶融体をキャスティングロールにて急冷し、未延伸のシートを得た。次いで、未延伸シートを長手方向に65℃で1.01倍にロール延伸を行い、幅方向にテンターを用いて72℃で4.8倍に延伸して、厚さが約50μmの熱収縮性フィルムを作製した。
得られたフィルムについて、参考例1と同様の測定と評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から明らかなように、本発明の熱収縮性フィルムである実施例3、及び、参考例1,2,4は、収縮開始温度が50〜63℃の範囲内にあり、かつ65℃の収縮率が10%以上あるので、自然収縮率が1.5%以下を達成し、仕上がりが良好である。ただし、参考例4の熱収縮性フィルムはL−乳酸とD−乳酸の構成が重量比で98.5:1.5であるので、仕上がり状態が実施例3、参考例1〜2と比較すると、若干劣っていた。
一方、ポリ乳酸系重合体を使用してない比較例1のフィルムは収縮性フィルムとして使用することは不可能であり、また収縮開始温度が50℃より低い比較例2のフィルムは自然収縮率が1.5%より大きく、収縮性フィルムとしての適性に欠けていることが分かった。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の熱収縮性フィルムは、低温で収縮を開始し、かつ自然収縮率が小さいので印刷ずれがなく、また、ポリ乳酸系重合体を主成分とするので生分解性があり、環境にやさしいフィルムである。
Claims (1)
- ポリ乳酸系重合体を主成分とする、少なくとも1方向に延伸された熱収縮性フィルムにおいて、脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン及び脂肪族ポリエステルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1つを更に含有し、前記ポリ乳酸系重合体は、D−乳酸とL−乳酸との重量比が97:3〜85:15の範囲か又は3:97〜15:85の範囲にあり、D−乳酸とL−乳酸との構成割合が異なる2種類以上をブレンドしたものであり、かつ、前記熱収縮性フィルムの収縮開始温度が50〜63℃の範囲内にあり、65℃の温水に10秒間浸漬した際の収縮率が10%以上であり、自然収縮率が1.5%以下であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
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