JP3694567B2 - 線状体巻き束用リール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば配電工事に用いるケーブルや鋼より線などの線状体の巻き束から線状体を引き出すのに用いる線状体巻き束用リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
配電工事に用いるケーブルや鋼より線などの線状体は、従来では一般に木製のドラムを用いたドラム巻きで扱われているが、木製ドラムが再利用性に乏しいために、木材資源の保護や産業廃棄物の削減の流れから、最近はドラムを用いずに、無芯の巻き束で線状体を扱うことが増えて来ている。
【0003】
巻き束で線状体を扱う場合は、一般に巻き束用のリールに巻き束をセットして線状体の引き出しを行なうことになるが、これについて問題がある。すなわち巻き束の場合には、ドラム巻きのように線状体がしっかり巻かれていないのでリールからの引き出し時に巻き束がばらけ易く、場合によってはばらけた巻き束の外周がリールからはみ出して引き出しを行なえない状態になってしまうし、またこの“ばらけ”に伴って線状体の先端側が撥ね出して作業員に危険を及ぼしかねないなどの問題である。
【0004】
このような“ばらけ”の問題に対処するに、従来では現場ごとに適宜に工夫してリールに適当なブレーキを掛けるか、あるいはブレーキ付きのリールを用いるなどしているが、実際問題としてブレーキだけでは必ずしも有効に“ばらけ”を防止できないし、またブレーキにより線状体の引き出しに大きな抵抗が掛かり、作業者に余分な負担を強いることになってしまう。
【0005】
以上のような事情の下に本願出願人は、先に特願平6−202042号(特開平8−59093号;以下先行技術1)及び特願平7−131649号(以下先行技術2)としてそれぞれ新規な線状体巻き束用リールを提案した。先行技術1の線状体巻き束用リールは、架台に回転可能に支持させて用いるタイプで、自由に回転しつつ巻き束の外周を規制する遊転輪を備えており、この遊転輪による規制で巻き束の“ばらけ”の問題を解消している。一方、先行技術2の線状体巻き束用リールは、これに装着される巻き束の外周、側面及び内周をそれぞれ支持する複数のローラを有し、これらのローラによる支持で巻き束自体を回転させながら線状体の引き出しを行なう構造となっており、巻き束の外周をローラで支持規制することにより巻き束の“ばらけ”の問題を解消している。
【0006】
これらの線状体巻き束用リールは、それぞれ優れた特性を持っている。しかしその一方で、先行技術1の線状体巻き束用リールには、構造が複雑であるという欠点があり、また先行技術2の線状体巻き束用リールには、側面支持用のローラを左右に必要とすることから、横幅が広くなって大型化し、このためトラックに載せる場合の車載性などに劣るという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情を背景になされたのが本発明で、巻き束の“ばらけ”を防止できる線状体巻き束用リールについて、構造の簡易化を図ると共に小型化、特に横幅の広がりを小さくすることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による線状体巻き束用のリールは、フレーム体とこのフレーム体に回転可能に支持された回転体とを備え、前記フレーム体は、複数の環状部材を複数の横桟で接続して短円筒状に形成し且つ複数のローラを取り付けた外周規制フレーム、この外周規制フレームの中心に配した回転支持軸、及びこれら外周規制フレームと回転支持軸とを接続する複数の接続アームを有してなり、前記回転体は、前記外周規制フレームより小径に形成した環状の外周リム、前記回転支持軸に回転可能に支持させた胴筒、及びこれら外周リムと胴筒とを接続する複数の接続アームを有する本体ユニットと、前記本体ユニットの外周リムと対になる外周リム、前記胴筒へ装着するための装着部、及びこれら外周リムと装着部とを接続する複数の接続アームを有し、前記装着部を介して前記本体ユニットに着脱可能とされた着脱ユニットとからなり、そして着脱ユニットを外して一側を開放することで回転体への線状体の巻き束の装着を可能とし、回転体に装着された巻き束はその外周を外周規制フレームのローラで規制され、この状態で巻き束を回転体と共に回転させつつ線状体の引き出しをなせるようになっている。
【0009】
この線状体巻き束用リールを用いるには、先ず着脱ユニットを外して回転体の一側を開放する。この状態で回転体に巻き束を装着して着脱ユニットを装着すれば線状体の引出しが可能な状態になる。この状態で線状体を引き出すと、回転体と共に巻き束が回転し、これにより線状体のスムーズな引出しを連続的に行なうことができる。また巻き束は、その外周を外周規制フレームのローラに摺接させてこれらを回転させながら規制される。この結果、線状体の引出しに大きな抵抗を与えることなく巻き束の“ばらけ”を有効に防止することができる。
【0010】
このような本発明の線状体巻き束用リールは、巻き束の外周規制を外周規制フレームに設けたローラで行なう点で、上記先行技術2における線状体巻き束用リールと同様であり、このため上記先行技術1の線状体巻き束用リールに比べ構造が簡易化している。また先行技術2の線状体巻き束用リールとの比較では、巻き束を回転体と共に回転させるようにしたことにより、先行技術2の線状体巻き束用リールにおけるような巻き束の側面を支持するローラを不要とすることができ、その分、横幅を狭くすることができる。つまり横幅について小型化できる。その程度は、例えば横幅が200mm程度の巻き束用の場合であれば、120mm程度横幅を狭めることができる。
【0011】
【実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態による線状体巻き束用リールは、図1〜図3に示すように、フレーム体1とこれに支持させた回転体2、及び端末止め3とからなっている。
【0012】
フレーム体1は、中心に配される回転支持軸5と外周に配される外周規制フレーム6とを6本の接続アーム7で接続した構造とし、接続アーム7の回転支持軸5への固定は、回転支持軸5に設けたフランジ8を介してなす。その外周規制フレーム6は、それぞれパイプを用いた2個の環状部材10を各接続アーム7のそれぞれと一体化した横桟11で接続して短円筒状に形成し、各横桟11の位置に横桟11と平行させてローラ12を取り付ける。
【0013】
回転体2は、本体ユニット13と、これに着脱可能とした着脱ユニット14とで形成する。本体ユニット13は、中心に配される胴筒15と外周に配される外周リム16とを4本の接続アーム17で接続した構造とする。その胴筒15は、ボールベアリング18を介在させて回転支持軸5に嵌装できる太さの筒状に形成し、その先端部に装着受け部20を設ける。この装着受け部20は、胴筒15の外側から内側に通した保持ボルト21でU形のブラケット金具22を保持させ、且つブラケット金具22に螺合受けボルト23を保持させて形成する。一方、その外周リム16は、外周規制フレーム6の内側でそのローラ12に接するかあるいは若干離れる程度の径に形成する。この本体ユニット13は、その胴筒15を介して回転支持軸5に嵌装させ、胴筒15と回転支持軸5の間にはボールベアリング18を介在させる。
【0014】
着脱ユニット14は、中心に配する装着部24に外周リム16と同様な外周リム25を4本の接続アーム26で接続した構造とする。装着部24は、フランジ27をベースにしてこれに螺合受けボルト23と螺合可能な雌ねじを有する螺合ピン28を回動可能に保持させると共に、この螺合ピン28を囲むようにして係合筒29を突設させた構造とする。この装着部24による本体ユニット13の装着受け部20への装着は、螺合ピン28を螺合受けボルト23に螺合させることでなし、この際に係合筒29がその先端に有する係合凹部30を保持ボルト21に係合させることで(図4)、本体ユニット13の接続アーム17と着脱ユニット14の接続アーム26を位置対応させることができる。
【0015】
端末止め3は、後述のようにして装着される巻き束における線状体の端末を固定するためのもので、一般的な巻き束の内径より若干小さい程度の外径内径を有する環状に形成し、回転支持軸5の周囲で自由に回転できるように組み込む。この端末止め3は、環状であるために、その全周の任意の位置に線状体の端末を固定することが可能で、端末固定位置についての制約をなくすことができる。また回転支持軸5の周囲で自由に回転できるようになっているために巻き束の残りが少なくなった状態での線状体の“あばれ”をなくすことにも機能する。すなわち、線状体の引出しに伴ってはある種の応力が端末に掛かり、これが蓄積すると巻き束の残りが少なくなった際に線状体の“あばれ”を招くおそれがあるが、回転支持体4の周囲で自由に回転することで上記応力を吸収し、“あばれ”の原因を取り除くことができる。
【0016】
このような線状体巻き束用リールの使用状態は、以下の通りである。先ず線状体の巻き束を装着する。この作業は、通常、フレーム体1の側を下にして地面に横置き状態として進め、先ず着脱ユニット14を本体ユニット13から取り外す。次いで本体ユニット13に巻き束Mを装着する。そから巻き束Mより線状体Wの端末を取り出して端末止め3に縛り付けるなどして固定した後、着脱ユニット14を再び本体ユニット13に装着する。この状態で線状体Wの引出しが可能となる。線状体Wの引出しは、通常は起こして縦にした状態で適当なストッパーBなどを当てがって行なうが、横にしたままで行なうことも可能である。
【0017】
線状体Wの引出しを行なうと、巻き束Mが回転体2と共に回転し、これにより線状体Wをスムーズに引き出すことができる。また巻き束Mは、その外周を外周規制フレーム6のローラ12に摺接させてこれらを回転させながら規制される。この結果、線状体Wの引出しに大きな抵抗を与えることなく巻き束Mの“ばらけ”を有効に防止することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による線状体巻き束用のリールは、巻き束の“ばらけ”を有効に防止しつつ、小さな引き出し抵抗で線状体のスムーズな引出しを行なうことができるという効果に加えて、構造の簡易化と共に、小型化、特に横幅について小型化を図れ、車載性に優れるなど、使い勝手を改善できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態による線状体巻き束用のリールの断面図。
【図2】図1中の矢印DA方向から見た側面図。
【図3】図1中の矢印DB方向から見た側面図。
【図4】装着受け部と装着部の関係を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 フレーム体
2 回転体
5 回転支持軸
6 外周規制フレーム
7 接続アーム
10 環状部材
11 横桟
12 ローラ
13 本体ユニット
14 着脱ユニット
15 胴筒
16 外周リム
17 接続アーム
24 装着部
25 外周リム
26 接続アーム
M 巻き束
W 線状体
Claims (1)
- 線状体の巻き束から線状体を引き出すのに用いる線状体巻き束用リールにおいて、フレーム体とこのフレーム体に回転可能に支持された回転体とを備え、
前記フレーム体は、複数の環状部材を複数の横桟で接続して短円筒状に形成し且つ複数のローラを取り付けた外周規制フレーム、この外周規制フレームの中心に配した回転支持軸、及びこれら外周規制フレームと回転支持軸とを接続する複数の接続アームを有してなり、
前記回転体は、前記外周規制フレームより小径に形成した環状の外周リム、前記回転支持軸に回転可能に支持させた胴筒、及びこれら外周リムと胴筒とを接続する複数の接続アームを有する本体ユニットと、前記本体ユニットの外周リムと対になる外周リム、前記胴筒へ装着するための装着部、及びこれら外周リムと装着部とを接続する複数の接続アームを有し、前記装着部を介して前記本体ユニットに着脱可能とされた着脱ユニットとからなり、
そして着脱ユニットを外して一側を開放することで回転体への線状体の巻き束の装着を可能とし、回転体に装着された巻き束はその外周を外周規制フレームのローラで規制され、この状態で巻き束を回転体と共に回転させつつ線状体の引き出しをなせるようになっていることを特徴とする線状体巻き束用リール。
Priority Applications (1)
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JP30666196A JP3694567B2 (ja) | 1996-11-18 | 1996-11-18 | 線状体巻き束用リール |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH10147475A JPH10147475A (ja) | 1998-06-02 |
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1996
- 1996-11-18 JP JP30666196A patent/JP3694567B2/ja not_active Expired - Fee Related
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