JP3694192B2 - 抗菌防黴性ポリ乳酸構造体及びその製造方法 - Google Patents
抗菌防黴性ポリ乳酸構造体及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性ポリ乳酸樹脂からなる線条にて三次元構造に形成され、優れた抗菌性及び防黴性と、生分解性とを有する抗菌防黴性ポリ乳酸構造体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ポリ塩化ビニルやポリプロピレンを原料にした三次元網状構造体が、ベッド用クッション材や玄関マット(特開平01−207462号公報等)、土質改良用ドレン材(特開昭47−44839号公報等)などとして提供されている。これらは自然分解せず、また、廃棄に際し焼却すると、有毒ガスの発生や焼却炉の損傷などの問題が生じるため、埋め立てに使用されることが多くなり、埋め立て用地が不足するようになった。このため不法投棄により自然環境に放置されると、動物が誤って捕食して死滅したり、可塑剤等の添加剤が流出して環境ホルモンとして働き、環境破壊するなど環境汚染の問題が大きくなってきた。
【0003】
これらの問題を解決するため、生分解ポリマーの研究が行われている。特に、植物資源を原料として酵素や微生物により容易に分解してオリゴマー化すると植物の成長にも有用な堆肥になり、最終的には水と炭酸ガスに分解され、光合成を介して再度植物資源に再生できるポリ乳酸が注目を集めている。ポリ乳酸は光合成以外にも、加水分解させることで乳酸として、又は環化反応によりラクチドとして、原料回収する方法により直接マテリアルリサイクルも可能である。
【0004】
現在では、生体適合除放性ポリマーでもあるポリ乳酸は、フイルム、繊維、成形品として一般家庭用品以外にも、医療用途や農業用途にも使用されるようになった。かくしてポリ乳酸は、石化樹脂に代わる汎用樹脂としての地位を得ようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、石化樹脂用途のニーズとして、近年、黄色ブドウ球菌による院内感染問題に端を発して、抗菌防黴性の要求が高まり、生活資材や病院用品にも抗菌防黴性を付与したものが多数提案されている。しかして、ポリ乳酸には抗菌防黴機能を付与したものが未だ提案されていなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、優れた抗菌性及び防黴性と生分解性とを有し、しかも適度な取り扱い性や抗圧縮性(弾力性)、接合性、耐脆性、耐熱性等を有する抗菌防黴性ポリ乳酸構造体、及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、熱分解を抑制するための触媒を失活させたポリ乳酸に適当な量のオリゴマーを含有させることで、驚くべきことに何らの抗菌防黴剤を添加することなく抗菌防黴性を付与できることを知見し、更に検討を加えて、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体は、繊度が300〜100000デニ−ルで、重量平均分子量が100000〜400000の熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体としてなる線条が、繰返し屈曲して接触部の大部分で接合するとともに、表面の線条を45°以上折り曲げてフラット化した三次元構造体であって、見掛密度が0.01〜0.2g/ccであり、前記ポリ乳酸樹脂中にそのオリゴマー成分を0.01〜10重量%含有することを特徴とする。本発明におけるオリゴマー成分とは、数平均分子量が100〜3000のものを指し、ラクチドのような環状化合物も含むものである。
【0009】
上記において、前記ポリ乳酸樹脂の融点が150℃以上であることが好ましい。当該融点は、示差走査熱量計DSCで測定した結晶融解に由来する吸熱ピーク温度を指す。
【0010】
前記オリゴマー成分は、上記のものを指すが、オリゴマー成分の好ましい数平均分子量は100〜1000であり、ラクチド、乳酸の鎖状2量体、又はこれらの混合物を主成分とするものであることが好ましい。特に、ラクチドと乳酸の鎖状2量体の混合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0011】
前記線条の断面形状としては、いずれの形状も使用可能であるが、中空断面又は異形断面であることが好ましい。
【0012】
一方、本発明の製造方法は、請求項1記載の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体の製造方法であって、オリゴマー成分を0.01〜10重量%含有せしめた熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体とする溶融物を、複数のオリフィスを持つノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で繰返し屈曲させつつ互いに接触させて接合させながら、引取り装置で挟み込んで冷却することを特徴とする。
【0013】
〔作用効果〕
本発明の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体は、比較的太い線条が繰返し屈曲して三次元構造体中に、コイルバネ状やループ状の部分等が形成されているため、圧縮応力に対しその部分が好適に変形して応力を分散できるので、直梁構造体に較べて圧縮回復性に優れる。更には繊度の太い線条で、かつ見掛密度が低いため大きな空隙を持ち、通気性や通水性が非常に優れ、しかも形状の保持力が高い。又線条の表面積が少ないため、水切り性や乾燥性にも優れる。その上、オリゴマー成分を含有するため抗菌防黴性に優れるので、細菌や黴の発生しやすい環境でも安心して使用できる。さらには不要になった場合は、環境汚染を出さないでリサイクルが可能な環境適合性に優れる。その結果、優れた抗菌性及び防黴性と生分解性とを有し、しかも適度な取り扱い性や弾力性等を有する抗菌防黴性ポリ乳酸構造体を提供することができる。さらに、表面の線条のフラット化によって、構造体表面が補強面となり、剛性の向上や耐久性の向上を図ることができる。
【0014】
前記ポリ乳酸樹脂の融点が150℃以上である場合、耐熱性が良好になり、溶融時の分解等による製造時の問題を少なくすることができる。
【0015】
前記オリゴマー成分が、ラクチド、乳酸の鎖状2量体、又はこれらの混合物を主成分とするものである場合、理由は解明されてはいないが、より好ましい抗菌防黴機能を発現することが判明した。
【0016】
前記線条の断面形状が、中空断面又は異形断面である場合、線条の断面二次モーメントが高くなるため、繊度を細くして腰を要求される用途や軽量且つ抗圧縮性を要求される用途に対しても、好適に使用できる。
【0017】
一方、本発明の製造方法によると、上記の如き優れた抗菌性及び防黴性と生分解性とを有し、しかも適度な取り扱い性や抗圧縮性(弾力性)、接合性、耐脆性、耐熱性等を有する抗菌防黴性ポリ乳酸構造体を、簡易な装置及び工程により、低コストで連続的に製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。本発明の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体は、熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体としてなる線条が、繰返し屈曲して接触部の大部分で接合した三次元構造体である。
【0019】
本発明で言う熱可塑性ポリ乳酸樹脂とは、乳酸又はラクチドを主原料にして重合した平均分子量50000から500000のポリヒドロキシカルボン酸を主成分としたポリ乳酸(以下PLAと略す)を言う。本発明の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体(以下PLA構造体と略す)において、PLAの平均分子量が50000未満では構造体の強度が弱くなりすぎて脆いPLA構造体となる傾向がある。平均分子量が500000を超えると溶融粘度が高くなり過ぎてPLA構造体の形成が困難となる傾向がある。従って、PLAの好ましい平均分子量は100000以上400000以下である。なお、本発明で言う平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定された重量平均分子量である。
【0020】
本発明のPLA構造体を構成するPLAの融点は、耐熱性の観点から150℃以上が好ましく、より好ましくは170℃以上である。融点を示さない非晶性のPLAを本発明に使用する場合、耐熱性の制限を受けるので用途を吟味して用いるのが好ましい。なお、本発明におけるPLAは構造体を形成するのに、通常、溶融押し出しを行うため、溶融時の熱分解を抑制すべく、触媒を失活させ、又は酸末端封鎖させておくのが好ましい。
【0021】
PLAの重合方法は、例えば、特公昭56−14688号公報等に開示されたオクチル酸錫等の周期律表IA族、IVA族、IVB族、VA族の中の一種の金属又は金属化合物を触媒として用いる方法等があるが、特にこれに限定されるものではなく、全ての公知の製造方法が適用できる。例えば、特開平7−33861号公報、特開平10−158370号公報等に開示された方法にて乳酸から直接又はラクチドから所定の重合処方により得ることができる。
【0022】
本発明は、上記のPLAが、そのオリゴマー成分を0.01〜10重量%含有することを特徴とする。理由は解明されていないが、驚くべきことに上記範囲のオリゴマー成分を含有すると、抗菌防黴性を発現することが判明した。含有量が0.01重量%未満では抗菌性を示さないので好ましくない。10重量%を超えると融点の低下や耐熱性の低下、及び構造体形成時のオリゴマーの昇華によるトラブルの発生が顕著になるので好ましくない。本発明の好ましいオリゴマー含有量は0.1重量%以上5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以上2重量%以下である。
【0023】
オリゴマー量の調整は、重合時にオリゴマーを適量残留させる方法や、触媒量を少なくしてより高分子量化して触媒活性を失活させたり酸末端を封鎖したオリゴマー含有量の少ないPLAでは、溶融紡糸前にオリゴマーを添加練りこむ方式等により、好ましいオリゴマーを必要量含有させることができる。なお、本発明を構成するPLAには、必要に応じ安定剤、可塑剤、着色剤などの公知の添加剤を特性を損なわない程度において添加できる。
【0024】
本発明のPLA構造体は、上記の如きPLAを主体としてなり、繊度が300〜100000デニ−ルの線条が、繰返し屈曲して接触部の大部分で接合した三次元構造体であって、見掛密度が0.005〜0.2g/ccのものである。本発明の抗菌防黴性PLA構造体の主要な用途は生活資材、クッション材、農業資材、土木資材などが例示でき、個々にはこれら用途に適合する特性を付与することが望ましい。
【0025】
PLA構造体を構成する線条の繊度は300〜100000デニ−ルである。300デニール未満では、三次元立体構造体の抗圧縮性が低下して形態保持性が劣るので好ましくない。100000デニールを超えると抗圧縮性は充分満足されるが一定の構成本数を保持した構造体の形態とする場合には見掛密度が大きくなるため取り扱い性が劣り好ましくない。
【0026】
好ましい繊度は各用途に応じて異なるため、用途毎の好ましい範囲を示すと次のようになる。生活資材ではソフトなタッチが所望される場合は300デニールから5000デニール、より好ましくは500デニールから2000デニールであり、ハードなタッチが所望される場合は2000デニールから50000デニール、より好ましくは3000デニールから20000デニールである。クッション材としては500デニールから20000デニール、より好ましくは1000デニールから5000デニールである。農業資材や土木資材としてドレン材用途として土中に埋設する場合は2000デニールから100000デニール、より好ましくは5000デニールから50000デニールである。水耕栽培用途の水路として極端な圧縮応力が掛からない場合は500デニールから5000デニールであり、より好ましくは1000デニールから3000デニールである。法面保護用途として植物の苗を育成保持する場合は2000デニールから20000デニールであり、より好ましくは3000デニールから10000デニールである。
【0027】
本発明の抗菌防黴性PLA構造体の見掛密度は0.005g/ccから0.2g/ccである。0.005g/cc未満では抗圧縮性が劣り好ましくない。0.2g/ccを超えると重量が重くなり取り扱い性が劣るので好ましくない。好ましい見掛密度は、軽量化やソフト化を所望される用途には0.01g/ccから0.05g/ccであり、より好ましくは0.015g/ccから0.03g/ccである。耐久性や抗圧縮性を所望される用途では0.03g/ccから0.2g/ccであり、より好ましくは0.05g/ccから0.1g/ccとするのが良い。
【0028】
上記線条の断面形状は特には限定されないが、繊度を細くして腰を要求される場合や軽量且つ抗圧縮性を要求される場合には、線条の断面二次モーメントを高くした中空断面形状化や異形断面形状化を適用するのが好ましい。中空断面の中空率は60%以下にしないと中空形成時に潰れてしまう場合があり、実使用時にも螺旋コイルスプリング構造のため捩れ応力で破壊する場合がある。他方、中空率が低いと断面二次モーメントの増加が少ないため中空化による軽量且つ抗圧縮性の効果が少なくなる。従って、好ましい中空率は10%から50%であり、より好ましくは15%から40%である。異形断面でも同様のことが言え、好ましい異形度は1.2から4.0であり、より好ましくは1.5から3.0である。
【0029】
本発明の抗菌防黴性PLA構造体の製造方法は、オリゴマー成分を0.01〜10重量%含有せしめた熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体とする溶融物を、複数のオリフィスを持つノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で繰返し屈曲させつつ互いに接触させて接合させながら、引取り装置で挟み込んで冷却することを特徴とする。これにより、熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体としてなる線条が、繰返し屈曲して接触部の大部分で接合した三次元構造体を形成することができる。
【0030】
オリゴマー成分を含有せしめたPLA溶融物は、重合段階で所定分子量に到達した後に所望の残留オリゴマーが残るように減圧精製するか、又は、残留オリゴマーを除去して精製状態で得たPLAに紡糸前にオリゴマーを所定量添加混練りする方法か、紡糸時に添加混練しつつ紡糸する方法等、いずれかの方法で所望のオリゴマー量をPLAに含有させてもよい。本発明においてオリゴマーを多量含有するPLAを用いる場合には、開環重合開始時に酸末端を封鎖して加水分解を抑制するのが特に好ましい。
【0031】
三次元網状構造体の成形方法としては、例えば米国特許第5639543号明細書に記載の方法が、好適なものとして例示される。以下、この方法について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1に示すように、一般的な溶融押出機1を用い、所定のオリゴマー成分を含有させた熱可塑性PLA樹脂を溶融し(又はオリゴマーを含有しないPLAを用いる場合は、オリゴマーをPLAと同時に定量添加しつつ好ましくは混練用二軸溶融押出機にて溶融混練りしつつ)、ギヤポンプ等で融点より10℃以上80℃未満の溶融温度に保持した溶融物を複数のオリフィスを持つ多列ノズル5の背面に所定量だけ供給する。溶融物はオリフィスより下方へ向けて溶融線条2として吐出され、その下側で溶融状態にて繰返し屈曲されてループ等を形成しつつ、互いに接触して接合し、三次元構造体3を形成する。これが、引取り装置7で挟み込まれ、冷却槽6中の冷却水等にて冷却され、送りローラ8で水中から引き上げられ、更に脱水、乾燥等が行われて、抗菌防黴性ポリ乳酸構造体が得られる。
【0033】
溶融温度が融点より10℃未満の温度では、異常流動を生じて線条が太細斑を発生したり、溶融粘度が高くなり過ぎてループ形成ができなくなる場合や、線条温度が低下してループ相互の接触時に接合しなくなるなどの問題が発生するので好ましくない。他方、溶融温度が融点より80℃以上高い場合は熱劣化が顕著になり分子量低下して脆いPLA構造体しか得られない場合や、含有オリゴマーの著しい昇華が起こり含有オリゴマーの減少や昇華したオリゴマーがオリフィスに付着して孔曲がりの発生や線条切れを発生する場合があるので好ましくない。従って、好ましい溶融温度は融点より20℃以上60℃以下であり、より好ましくは25℃以上40℃以下である。
【0034】
オリフイスの形状は特には限定されないが、中空断面(例えば、三角中空、丸型中空、突起つき中空等になるような断面形状)、及び異形断面(三角、Y型、星型等の断面二次モーメントが高くなる形状)とすることで、前記効果以外に溶融状態の吐出線条が形成する三次元構造の流動緩和を抑制して接触点の接合を強固にできるので特に好ましい。なお、中空断面を形成するオリフィスの見掛中空率は90%以下にして、線条の中空率を60%以下にするのが好ましい。
【0035】
特開平1−2075号公報に記載の接着のための加熱をする場合、三次元構造が緩和し易くなり平面的なループ構造化が起こる場合があるので、用途によっては好ましくない場合がある。
【0036】
オリフィスの孔間ピッチは、線条が形成するループ径で充分接触できるピッチとするのが好ましい。緻密な構造にするには孔間ピッチを短くし、粗密な構造にするには孔間ピッチを長くする。本発明の孔間ピッチは好ましくは3〜20mm、より好ましくは5〜10mmである。
【0037】
本発明では所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列間のピッチ又は孔間のピッチを変えた構成、及び列間と孔間の両方のピッチを変える方法で異密度層を形成できる。また、オリフィスの断面積を変え吐出時の圧力損失差を付与すると圧力損失の大きいオリフィスほど吐出量が少なくなる原理を用いて異繊度線条からなる構造が形成できる。断面積の少ないオリフィスの孔間ピッチを短くし、断面積の大きいオリフィスの孔間ピッチを広げると繊度の細い緻密な構造と繊度の太い粗い構造が形成できる。
【0038】
ノズルより下方に向けて吐出された溶融線条2は、引き取り装置7のネットと接する位置で、引き取り速度と線条の落下速度の差を与えて、弛み分のループ等を形成させる。また、引き取り装置7のネットで挟み込み、ループ等の形態が緩和により変形しない時間内に、連続して冷却媒体(通常は室温の水を用いるのが冷却速度が速く、コストも安価で好ましい)にて急冷固化させる。ノズル面と引き取り点の距離は少なくとも50センチ以下にすることで、溶融線条が冷却されて接触部が融着しなくなるのを防止できるので好ましい。溶融線条の吐出量が5g/分孔未満と少ない場合は5センチから30センチが好ましく、5g/分孔以上では10センチから40センチが好ましい。
【0039】
三次元構造体3の厚みはノズルのオリフィス有効幅とネットの開口幅(引き取り装置のネット間の間隔)で決まる。オリフィス有効幅より引き取りネットの開口幅を狭くして、表面の線条を45°以上折り曲げてフラット化すると構造体表面が補強面となり、剛性の向上や耐久性が向上するので、より好ましい実施形態となる。
【0040】
通常はネットの開口幅はオリフィスの有効幅より−5〜−10mm狭くするのが好ましい。オリフィス有効幅より広くすると構造体に引き取り斑を発生したり表面に凹凸を発生する傾向がある。凹凸を発生させる場合は引き取りネットの搬出側の幅をオリフィス有効幅より狭くすることで引き取り斑を防止できる。引き取り速度は線条の落下速度より少なくともループ径の弛み分だけは遅くする必要があり、早すぎるとループ形成ができなくなったり接触点の接合が不充分になり好ましくない。遅すぎると溶融線条が滞留しすぎて密度が高くなり過ぎるので、引き取りネットの引き取り速度調整は吐出量と吐出線条の溶融粘度による落下速度とのバランスから所望の見掛密度に調整する。
【0041】
構造体の形成時の線条の溶融粘度は、500ポイズから10000ポイズが好ましく、20000ポイズを超えるとループ形成速度が遅くなるので、溶融粘度の調整は分子量と紡糸温度のバランスで適切な条件を設定するのが好ましい。
【0042】
次いで水切り乾燥し所望の長さに切断、又は、切断後水切り乾燥する。かくして得られた抗菌防黴性PLA構造体は所望に応じて、後加工処理や他の素材との積層複合化によりより好ましい用途適合化をさせることができる。
【0043】
本発明の抗菌防黴性PLA構造体は抗菌防黴性、適度のクッション性、優れた通気通水性や水切り乾燥性及び生分解性を有しておりリサイクルも可能な機能を生かして、例えば、生活資材用途では、水回りの洗浄用具やお風呂マット、トイレマット、流しマット、玄関マット、家庭植栽用マット、庭土の流出防止フェンス、泉水のゴミフェンス、病院用院内マット、生け花用剣山代替、押し入れ用スノコなどに有用であり、農業資材としては、水耕栽培の植栽ベース、苗床、養殖池のごみフェンス、田圃等湿地のドレン材、植林や農地、植栽用の叙放性農薬や肥料のベース、巨大な構造体に組み立てれば一時的な漁礁等にも有用であり、土木用途では、使い捨てドレン材、法面の植生保護、土砂流出防止フェンス、河川のバクテリヤ担持材、夏スキー場用一時マット等に有用である。
【0044】
【実施例】
以下に実施例等により、本発明を更に詳述する。なお、実施例中の評価は以下の方法で行い、また、「部数」は特に断りのない限り、「重量部数」を示す。
【0045】
1)抗菌性
繊維製品新機能評価協議会が制定した、繊維製品の定量的抗菌性試験方法マニュアルに準拠した。すなわち、滅菌した1/20濃度のニュートリエントブロスに下記試験菌を1±0.3×105 個/ml含有する試験菌懸濁液0.2mlを0.4gの試料に均一に接種し、37℃で18時間培養した。培養終了後、試験菌を洗い出し、その液で混釈平板寒天培地を作製し、37℃で24〜48時間培養し生菌数を測定した。なお、未加工品に関しては接種直後にも試験菌を洗い出し、その液で混釈平板寒天培地を作製し、37℃で24〜48時間培養することによって、接種した生菌数を測定した。抗菌性は下記式による静菌活性値で評価した。静菌活性値の高いものほど抗菌性に優れている。なお、試験菌として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC6538P)を使用した。
静菌活性値=LogB−LogC
ただし、試験成立条件 (LogB−LogA) >1.5 を満たす。
【0046】
A;未加工品の接種直後に回収した菌数の平均値
B;未加工品の18時間培養後回収した菌数の平均値
C;加工品の18時間培養後回収した菌数の平均値
2)防黴性
JIS Z−2911の方法により25℃、4週間経過後の黴の増殖状態を評価した。乾熱殺菌したペトリ皿の中央に50×50mmの試験片を置き、その試験片の中央にかびの胞子担体1個を載せ、さらにその上に乾燥したガラス板を載せ、ふたをした。このペトリ皿を温度28℃、湿度95〜99%に保った装置に入れ、4週間培養した後、、菌糸の発育を判定した。なお、試験に用いたかびの種類は、アスペルギルス ニゲル、ペニシリウム シトリナム、ケトミウム グロボスム、クラドスポリウム クラドスポリオイデス、リゾープス ストロニフェルである。
【0047】
3)融点(Tm)
島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。
【0048】
4)PLAの平均分子量
試料のPLAを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFP)に溶解して濃度が約0.2重量%の溶液を調製し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工(株)製、形式:GPC−SYSTEM21、以下GPCという)を用いて測定した。ポリメチルメタクリレートを標準物質として重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0049】
5)オリゴマ−含有量
ラクチドの含有量:試料を重クロロホルムに溶解して4.2重量%の溶液を調製し、核磁気共鳴分光法(バリアン製、200MH−NMR)を用いて測定し、ポリマーのメインピークとラクチドのメインピークの面積比から算出した
。
【0050】
2量体乳酸含有量:PLA分子量測定で低分子量用カラムから得られたプロフィルより、ラクチドの含有量を除いた値を2量体乳酸の含有量とした。
【0051】
6)見掛密度
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さを測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示した(n=4の平均値)。
【0052】
7)線条の繊度
試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を得た。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求めた。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃にて測定した比重(SGi)を求めた。ついで次式より線状の9000mの重さを求めた(単位cgs)。
【0053】
繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000
8)中空率
繊度測定用に撮影した断面写真の中空部面積を中空部を含む繊維の全断面積で除した値(n=4)の平均値を%で表示した。
【0054】
9)異形度
繊度測定用に撮影した断面写真の線条の外接円を内接円で除した値(n=4)の平均値を%で表示した。
【0055】
10)接合
試料を目視判断で接合しているか否かを接合部の繊維同士を手で引っ張って外れないか否かで判断した(n=20)。大部分が外れないもの:◎、60%以上外れないもの:○、40%以上外れないもの:△、40%未満:×と判定した。
【0056】
11)弾力性(クッション性)
幅500mm、長さ1000mmに切断した試料の上に10名のパネラーが玄関マットとして靴で踏込み、その時の触感で以下の判断をして弾力性の評価とした。コンクリート並み:0点、板並み:2点、繊維クッション並み:5点、ウレタンクッション並み:10点とし、評価点が50点以上:◎、20点以上:○、10点以上:△、10点未満:×と判定した。
【0057】
12)脆さ
弾力性評価に使用したマットが評価時に破壊したものの脆さ:×、破壊しなかったものの脆さ:○として評価した。
【0058】
13)取り扱い性
幅1000mm、長さ2000mmの試料を20枚積み上げた場所から、パネラー10名に5m離れた場所へ移動させて各自20枚を積み上げさせた。この時のパネラーの取り扱い易さ判断で、良好:10点、良:5点、やや不良:2点、不良:0点とし、評価点が50点以上:◎、20点以上:○、10点以上:△、10点未満:×と判定した。
【0059】
14)耐熱性
10cm角の試料の上全面に5kgの荷重をかけて50℃雰囲気内で22時間放置した後、室温まで冷却して除重したときの嵩保持率が50%以上:◎、30%以上:○、15%以上:△、15%未満:×と判定した(n=4の平均値)。
【0060】
実施例1
常法により精製したL−ラクチド100部を窒素雰囲気内で190℃にて溶融後、触媒を0.1 部添加して開環重合せしめた後、1torr以下に減圧せしめて残留オリゴマーを除去して溶融粘度を所定の粘度に到達せしめ、次いでペレット化した。得られたPLAは分子量が320000、融点が180℃、オリゴマー含有量は0.005重量%であった。ついで、1500mm、長さ120mmのノズル有効面に、外形3.6mm、内径3.2mmでトリプルブリッジを有するオリフィスを、孔間ピッチ8.5mm、列間ピッチ7.36mmの千鳥配列をした1425孔のノズルを用いて、PLA100部を50℃にて真空乾燥し、2量体の乳酸1部とラクチド1部を加え二軸押出機にて195℃にて練り込みつつ、紡糸温度200℃、吐出量2800g/分にて、ノズル下方に溶融状態の線条として吐出させ、ノズル面150mm下に冷却水を配し、駆動軸で駆動する一対の平行に配した幅1400mmのステンレス製エンドレスネットを持つ引取りコンベアを水面に一部出るようにして、平行部が35mm間隔の開口幅となるよう配し、該溶融状態の吐出線条を曲がりくねらせループを形成しつつ互いに接触させて接合させ三次元構造を形成し、該溶融状態の三次元構造体の両面を引取りコンベアーで挟み込みつつ、毎分2000mmの速度で25℃の冷却水中へ引き込み固化させ、両面をフラット化した三次元構造体を形成して引き出し、水切り後、連続して長さ2000mmに切断し、乾燥した。
【0061】
得られたPLA構造体は、接合状態は良好で、見掛密度0.040g/cc、厚み35mmで、線条は中空率42%の三角おむすび型の中空断面で繊度が3000デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量280000、融点が176℃、オリゴマ−含有量が2.8重量%で2量体の乳酸含有量が1.4重量%、ラクチド含有量が1.4重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明の構造体は優れた抗菌防黴性を示し、弾力性、取り扱い性にも優れた構造体である。本構造体をお風呂の敷きマットとして3ヶ月間着用試験した結果では黴の育成が認められなかった。
【0062】
【表1】
実施例2
1500mm、長さ120mmのノズル有効面に、直径1.0mmの丸断面を有するオリフィスを、孔間ピッチ8.0mm、列間ピッチ6.93mmの千鳥配列をした1100孔のノズルを用いて、吐出量1600g/分、開口幅20mmとした以外は、実施例1と同様にしてPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態が良好で、見掛密度0.040g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が2600デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量270000、融点が174℃、オリゴマ−含有量が2.9重量%で2量体の乳酸含有量が1.5重量%、ラクチド含有量が1.4重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明の構造体は優れた抗菌防黴性を示し、弾力性、取り扱い性にも優れた構造体である。
【0063】
比較例1
紡糸時に2量体の乳酸5部とラクチド6部を添加した以外は、実施例2と同様にしてPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態が良好で、見掛密度0.040g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が2400デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量210000、融点が165℃、オリゴマ−含有量が12.1重量%で2量体の乳酸含有量が5.5重量%、ラクチド含有量が6.6重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明のオリゴマー含有量の範囲を外れる構造体は、紡糸時著しいオリゴマ−の昇華を伴い、線条の孔曲がりのため糸切れを発生したり、密度斑を発生した。但し、優れた抗菌防黴性を示し、取り扱い性はよいが、弾力性や耐熱性がやや劣る構造体である。
【0064】
実施例3
1500mm、長さ120mmのノズル有効面に、直径0.5mmの丸断面を有するオリフィスを、孔間ピッチ5.0mm、列間ピッチ4.33mmの千鳥配列をした2426孔のノズルを用いて、吐出量800g/分、ノズル面と水面間距離80mmとした以外は、実施例1と同様にしてPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態が良好で、見掛密度0.020g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が1200デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量240000、融点が170℃、オリゴマ−含有量が3.1重量%で2量体の乳酸含有量が1.6重量%、ラクチド含有量が1.5重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明の構造体は優れた抗菌防黴性を示し、弾力性、取り扱い性にも優れた線条径のやや細い緻密な構造体である。
【0065】
比較例2
吐出量360g/分とした以外は実施例3と同様にしてPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態がやや不良で、見掛密度0.009g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が500デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量200000、融点が167℃、オリゴマ−含有量が3.8重量%で2量体の乳酸含有量が1.8重量%、ラクチド含有量が2.0重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明と異なり接合状態がやや不良な構造体は優れた抗菌防黴性を示すが、見掛密度が低いために弾力性、取り扱い性にやや劣る構造体である。
【0066】
比較例3
吐出量を4100g/分、引き取り速度を1000mm/分とした以外は実施例2と同様の方法でPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態が良好で、見掛密度0.205g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が4600デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量290000、融点が178℃、オリゴマ−含有量が2.5重量%で2量体の乳酸含有量が1.3重量%、ラクチド含有量が1.2重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明の見掛密度の範囲を外れる構造体は優れた抗菌防黴性を示すが、弾力性、取り扱い性が劣る構造体である。
【0067】
比較例4
ノズル面と水面間距離180mmとした以外実施例とした以外は実施例3と同様にしてPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態がやや不良で、見掛密度0.02g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が280デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量240000、融点が170℃、オリゴマ−含有量が3.1重量%で2量体の乳酸含有量が1.5重量%、ラクチド含有量が1.6重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明と異なり接合状態がやや不良な構造体は優れた抗菌防黴性を示すが、線条繊度が細いために弾力性、取り扱い性にやや劣る構造体である。
【0068】
比較例5
オリフィス形状が丸断面で直径2 としたノズルを用い、吐出量を5250g/分、ノズル水面間距離を80mm、引き取り速度を1000mm/分とした以外は実施例1と同一の条件でPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態が良好で、見掛密度0.15g/cc、厚み35mmで、線条は中実丸断面で繊度が110000デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量290000、融点が178℃、オリゴマ−含有量が2.7重量%で2量体の乳酸含有量が1.3重量%、ラクチド含有量が1.4重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明の繊度範囲を外れる粗い構造体は優れた抗菌防黴性を示すが、弾力性、取り扱い性に劣る構造体である。
【0069】
比較例6
ノズル水面間距離を350mmとした以外は実施例3と同様の条件で得た吐出線条は、水面に到達する以前に固化してループ形成もせず、網状構造は形成できなかった。構造形成しなかったので評価は実施しなかった。
【0070】
比較例7
実施例1と同様の方法で重合条件及び残留オリゴマーの除去条件を変更して得た分子量48000、融点142℃、オリゴマ−含有量10.5重量%のPLAを真空乾燥して、2量体乳酸及びラクチドを添加しなかった以外は実施例2と同様の紡糸条件でPLA構造体を得た。このPLA構造体は、接合状態は良好で、見掛密度0.040g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が1800デニールであった。又、構造体を構成するPLAの特性は分子量40000、融点が135℃、オリゴマ−含有量が12.8重量%で2量体の乳酸含有量が6.5重量%、ラクチド含有量が7.4重量%であった。構造体のその他の評価結果を表1に示す。本発明のオリゴマ−含有量の範囲を外れる融点の低いPLAを用いた構造体は優れた抗菌防黴性を示すが、脆さ、弾力性、取り扱い性に劣る構造体である。ちなみに、比較例1と同様に紡糸時著しいオリゴマ−の昇華を伴い、線条の孔曲がりのため糸切れを発生したり、密度斑を発生した。
【0071】
比較例8
実施例2の構造体を溶剤を用いてオリゴマ−を抽出し、オリゴマ−含有量を0.005重量%以下としたPLA構造体は、抗菌性評価0.3と抗菌性をまったく示めさなかった。
【0072】
比較例9
紡糸温度を180℃とした以外は実施例2と同様にして、構造体を得ようとしたが、溶融粘度が高くなりループ形成が不良で構造体を得ることができなかった。
【0073】
比較例10
紡糸温度を285℃とした以外は実施例2と同様にして得られた構造体は、高温で紡糸したため劣化が著しく構造体を形成したが、荷重が掛かると脆く崩れてしまい各種評価が不可能であった。
【0074】
比較例11
メルトフローインデックス50のポリプロピレンを紡糸温度を210℃とし、引き取り速度を1000mm/分(引き取り速度が速いと構造形成できなかったため引取り速度を遅くした)とした以外は実施例2と同一の紡糸条件でポリプロピレン構造体を得た。このポリプロピレン構造体は、接合状態が良好で、見掛密度0.08g/cc、厚み20mmで、線条は中実丸断面で繊度が8500デニールであった。その他の特性を表1に示す。本発明を外れる素材の構造体は抗菌防黴性を示さず、弾力性も劣る構造体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に使用する装置の一例を示す概略構成図
【符号の説明】
2 溶融線条
3 三次元構造体
5 多列ノズル
6 冷却槽
7 引取り装置
Claims (5)
- 繊度が300〜100000デニ−ルで、重量平均分子量が100000〜400000の熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体としてなる線条が、繰返し屈曲して接触部の大部分で接合するとともに、表面の線条を45°以上折り曲げてフラット化した三次元構造体であって、見掛密度が0.01〜0.2g/ccであり、前記構造体を構成するポリ乳酸樹脂中にそのオリゴマー成分を0.01〜10重量%含有することを特徴とした抗菌防黴性ポリ乳酸構造体。
- 前記ポリ乳酸樹脂の融点が150℃以上である請求項1記載の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体。
- 前記オリゴマー成分が、ラクチドと乳酸の鎖状2量体の混合物を主成分とするものである請求項1又は2に記載の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体。
- 前記線条の断面形状が、中空断面又は異形断面である請求項1〜3いずれかに記載の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体。
- 請求項1記載の抗菌防黴性ポリ乳酸構造体の製造方法であって、オリゴマー成分を0.01〜10重量%含有せしめた熱可塑性ポリ乳酸樹脂を主体とする溶融物を、複数のオリフィスを持つノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で繰返し屈曲させつつ互いに接触させて接合させながら、引取り装置で挟み込んで冷却することを特徴とする抗菌防黴性ポリ乳酸構造体の製造方法。
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