JP3694058B2 - デファレンシャル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両のデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平5−280596号公報に図6のようなデファレンシャル装置201が記載されており、図6はその構成を示している。
【0003】
デファレンシャル装置201は、デフケース203、これと同軸配置された出力側のヘリカルサイドギヤ205,207、これらの径方向外側に配置された長短のヘリカルピニオンギヤ209,211(211は図7参照)などを備えている。ピニオンギヤ209はデフケース203の収納孔213に摺動回転自在に収納され、ピニオンギヤ211は他の収納孔に摺動回転自在に収納されている。各ピニオンギヤ209,211は、それぞれの第1ギヤ部215,217がサイドギヤ205,207と各別に噛み合い、第2ギヤ部219,221が互いに噛み合うことによりサイドギヤ205,207を連結している。長いピニオンギヤ209は第1と第2のギヤ部215,219を連結する小径の軸部223を持っている。エンジンの駆動力はデフケース203を回転させ、ピニオンギヤ209,211からサイドギヤ205,207を介して車輪側に伝達される。
【0004】
トルクを伝達している間、ピニオンギヤ209,211はサイドギヤ205,207との噛み合い反力により歯先を各収納孔の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が生じると共に、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によって、サイドギヤ205,207の間で、あるいはピニオンギヤ209,211やサイドギヤ205,207とデフケース203との間で摩擦抵抗が生じ、これらの摩擦抵抗によりトルク感応型の差動制限機能を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図7、図8、図9の矢印225は車両が前進走行するときのデフケース203の回転方向を示す。一対のピニオンギヤ209,211のうち長いピニオンギヤ209はデフケース203の回転方向に対して短いピニオンギヤ211よりも先行して公転するように配置されている。図7のように、デフケース203が矢印225の方向に回転するとピニオンギヤ209の第1ギヤ部215とピニオンギヤ211の第1ギヤ部217にはそれぞれの収納孔から破線の矢印のような回転トルク227,229が作用すると共に、実線の矢印のようにその反力の負荷トルク231,233が各収納孔を介してデフケース203に作用する。
【0006】
このとき、図8、図9に示すように、各ピニオンギヤ211,209の第2ギヤ部221,219では、互いの噛み合いによる反対方向の噛み合い反力F1,F2が生じ、図9に示すように、各第1ギヤ部217,215では、サイドギヤ207,205との噛み合いによる同方向の噛み合い反力F3,F4が生じる。
【0007】
このように、デフケース203の回転方向225に対して後行して公転する短いピニオンギヤ211では反力F1,F3が略同方向側であるのに対して、先行して公転する長いピニオンギヤ209では反力F2,F4が反対方向になって転倒トルクが生じるときがある。長いピニオンギヤ209及び短いピニオンギヤ211は、歯先でデフケース203の収納孔に回転自在に収納されており、収納孔とピニオンギヤ209,211の歯先との間に僅かな隙間を有しているため、こうして生じた転倒トルクを受けて長いピニオンギヤ209には回転中心軸に対する倒れが生じ、図7に示すように、無負荷時の位置から負荷を受けたときの位置まで端部が移動する。
【0008】
ここで、デフケース203に駆動トルクが入力し矢印225の方向に回転した場合、ピニオンギヤ211はデフケース203の収納孔より直接駆動トルクを受けて略同方向の反力が生じるため高反力側のピニオンギヤと呼び、ピニオンギヤ209はピニオンギヤ211よりデフケース203の回転方向225に対して先行して公転する側に配置されているため、ピニオンギヤ209の第2のギヤ部219へはピニオンギヤ211の第2のギヤ部221から駆動トルクを受け、反対方向の反力が生じるため低反力側のピニオンギヤと呼ぶことにする。
【0009】
長いピニオンギヤ209が倒れると、図10のように、第1ギヤ部215はサイドギヤ205と、また、第2ギヤ部219は短いピニオンギヤ211の第2ギヤ部221とそれぞれが矢印235,237で示す部分で局部当りを起こす。この局部当りによって、図11に示すように、各歯面の各歯当り部239,241にピッチング(歯面が荷重を受けて歯面の表面が薄片となって剥離する現象)が生じ、ピニオンギヤ209,211及びサイドギヤ205等の耐久性が低下し、最終的にはデファレンシャル装置201自体の耐久性が低下することになる。
【0010】
また、デフケース203が矢印225と反対方向に回転する後進走行時は、ピニオンギヤ209が第1ギヤ部219及び第2ギヤ部215でデフケース203の収納孔より直接駆動トルクを受けるため、ピニオンギヤ209に略同方向の反力が生じて高反力側となる。このため、先行して公転する短いピニオンギヤ211が倒れ、短いピニオンギヤ211に局部当りが生じてピッチングが発生し耐久性が低下することになる。
【0011】
ピニオンギヤの倒れ角は、収納孔との隙間が適正値に保たれている間は小さいが、経時変化によって隙間が広がるにしたがって倒れ角が大きくなり、やがてはピッチングによって耐久性を低下させることになる。
【0012】
そこで、本発明は、デフケースの収納孔でピニオンギヤの歯先を支承するように構成されたデファレンシャル装置において、ピニオンギヤの片当りを防止し、デファレンシャル装置の耐久性を向上させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するたに、請求項1に記載の発明は、エンジンの駆動力により回転駆動されるデフケースと、デフケースの内部に回転自在に支承された一対のサイドギヤと、これらサイドギヤの径方向外側に配置され、サイドギヤと各別に噛み合う第1ギヤ部および互いに噛み合う第2ギヤ部を有する少なくとも一対のピニオンギヤと、デフケースに形成され各ピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔とを備え、少なくともいずれか一方のピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部のいずれか一方又は両方のギヤ部の歯面が回転軸方向に軸端部から他方のギヤ部側の端部にかけてギヤ部の周方向両側に向けて突出する凸型曲線形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデファレンシャル装置であって、該デファレンシャル装置は車両用に用いられ、凸型曲線形状に形成されピニオンギヤは、車両が前進走行する際のデフケースの回転方向に対し、一対のピニオンギヤのうち先行回転側に配置されたことを特徴とする。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のデファレンシャル装置であって、前記ピニオンギヤはヘリカルギヤとして形成され、凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤは回転方向左右の歯面での曲率が異なるように形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のデファレンシャル装置であって、歯先が凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部は小径の軸部を介して連結され、第1ギヤ部の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の他方側の歯面の曲率および第1ギヤ部の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の一方側の歯面の曲率が等しく形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のデファレンシャル装置であって、前記第1と第2のギヤ部の少なくとも一方のギヤ部に形成された凸型曲線形状は、他方のギヤ部と向かい合う側のみに形成されていることを特徴とする。
【0019】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、少なくともいずれか一方のピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部のいずれか一方又は両方のギヤ部を、歯先が軸端部から他方のギヤ部側の端部に向けて凸型曲線形状に形成した。
【0020】
トルクの伝達中、ピニオンギヤの歯先はサイドギヤとの噛み合い反力により収納孔の壁面に押し付けられることにより摩擦抵抗が生じ、トルク感応型の差動制限機能が得られる。
【0021】
このとき、ピニオンギヤに第1と第2のギヤ部で生じる噛み合い反力が反対方向の反力として発生しピニオンギヤに倒れが生じても、ピニオンギヤを歯先が軸端部から他方のギヤ部側の端部に向けて凸型曲線形状に形成したことにより、ピニオンギヤの歯面端部でギヤの倒れによる相手側ギヤと局部当りが発生しない。このため、局部当りによるピッチングを防止でき耐久性の向上が図れる。
【0022】
また、凸型曲線形状を一対のピニオンギヤのいずれか一方に設けるだけでもよく、その場合にはその分加工が容易となり、コストの上昇が抑えられる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による作用に加え、凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤは車両が前進走行する際のデフケースの回転方向に対し、一対のピニオンギヤのうち先行回転側に配置されているので、実質的に十分な耐久性の向上効果を得ることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明による作用に加え、ピニオンギヤはヘリカルギヤとして形成され、凸型曲線形状に形成されたギヤは回転方向左右の歯面での曲率が異なるように形成されていることによりピニオンギヤの歯厚を増加でき、耐久性をより向上できる。
【0026】
請求項に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の発明による作用に加え、歯先が凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部は小径の軸部を介して連結され、第1ギヤ部の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の他方側の歯面の曲率および第1ギヤ部の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の一方側の歯面の曲率が等しく形成されていることにより、軸部を介して第1ギヤ部と第2ギヤ部とが連結されたピニオンギヤがデフケースの回転方向によって倒れたり、他方のピニオンギヤが倒れて軸部を介して第1ギヤ部と第2ギヤ部とが連結されたピニオンギヤが倒れない場合でもギヤ部端部での各歯当たり部での局部当たりが発生することがなくなり、局部当たりによるピッチングを防止でき、耐久性の向上が図れる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の発明による作用に加え、第1と第2のギヤ部の少なくとも一方のギヤ部に形成された凸型曲線形状は、他方のギヤ部と向かい合う側のみに形成されていることにより、ピニオンギヤに倒れが生じないときにあっても、各歯面での歯当り面積が増大して耐久性の向上が図れる。
【0028】
【実施例】
本発明の第1実施例を図1〜図3により説明する。この実施例は請求項1,2,3の特徴を備えている。図1は本実施例のデファレンシャル装置1の全体構成を示す断面図である。
【0029】
デフケース3はケース本体5とカバー7とをボルト9で固定して構成されている。デファレンシャル装置1全体がデフキャリア(図示省略)の内部に配置されており、デフケース3の左右のボス部11,13はベアリングを介してデフキャリアに支承されている。デフキャリアにはオイル溜りが設けられており、デファレンシャル装置1は、静止状態では下部がこのオイル溜りに浸されており、回転するとオイル溜りからオイルを撥ねあげる。
【0030】
デフケース3の内部には、それぞれヘリカルギヤで構成された左右のサイドギヤ15,17が配置されている。
【0031】
各サイドギヤ15,17の中空ボス部19,21はデフケース3の支承部23,25によって回転自在に支承されている。ボス部19,21の内側に形成された大径部27,29には、これらの内周に跨がってスラストブロック31が配置され、サイドギヤ15,17の各自由端を支承しセンタリングしている。
【0032】
左右の車輪側出力軸(図示省略)はそれぞれデフケース3のボス部11,13を貫通し、サイドギヤ15,17のボス部19,21にスプライン連結されている。サイドギヤ15,17とデフケース3との間にはそれぞれスラストワッシャ33が配置されており、サイドギヤ15,17の間(スラストブロック33の外周側)にはスラストワッシャ35が配置されている。
【0033】
デフケース3には長短の収納孔37,39が周方向に複数組形成されている。これらの収納孔37,39にはそれぞれヘリカルギヤで構成された長短のピニオンギヤ41,43が摺動回転自在に収納されている。
【0034】
長いピニオンギヤ41は、第1と第2のギヤ部45,47とこれらを連結する小径の軸部49とからなり、第1ギヤ部45は右のサイドギヤ17と噛み合っている。また、短いピニオンギヤ43は、互いの間に軸部を持たない第1と第2のギヤ部51,53からなり、第1ギヤ部51は左のサイドギヤ15と噛み合い、第2ギヤ部53はピニオンギヤ41の第2ギヤ部47と互いに噛み合っている。
【0035】
デフケース3を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンギヤ41,43からサイドギヤ15,17を介して左右の出力軸側に分配される。また、例えば悪路走行中に、出力軸間に駆動抵抗差が生じると各ピニオンギヤ41,43の自転によってエンジンの駆動力は左右各側に差動分配される。
【0036】
トルクの伝達中、各ピニオンギヤ41,43の歯先はサイドギヤ17,15との噛み合い反力により収納孔37,39の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。また、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によって各ピニオンギヤ41,43の端面とデフケース3との間で摩擦抵抗が発生し、スラストワッシャ33を介してサイドギヤ15,17とデフケース3との間で、また、スラストワッシャ35を介してサイドギヤ15,17の間で摩擦抵抗が発生する。これらの摩擦抵抗により、トルク感応型の差動制限機能が得られる。
【0037】
デフケース3には開口55,57,59が設けられており、ボス部11,13の内周には螺旋状のオイル溝61,61が形成されている。デファレンシャル装置1の回転時はオイル溜りから撥ね上げられたオイルが、また、静止時にはオイル溜りのオイルが、開口55,57,59とオイル溝61,61とからデフケース3に流出入し、収納孔37,39や各ギヤの噛み合い部などに供給され、これらを潤滑する。
【0038】
車両が前進走行するとき、デフケース3は短いピニオンギヤ43から長いピニオンギヤ41の方向に回転する。つまり短いピニオンギヤ43が高反力側のピニオンギヤで、長いピニオンギヤ41が低反力側のピニオンギヤであり、デフケース3の回転方向に対してピニオンギヤ41は先行して公転する。このとき、ピニオンギヤ41には、第1ギヤ部45が右のサイドギヤ17から受ける噛み合い反力と、第2ギヤ部47がピニオンギヤ43の第2ギヤ部53から受ける噛み合い反力とによって転倒トルクがかかり、倒れが生じる。
【0039】
そこで、長いピニオンギヤ41の第1と第2のギヤ部45,47には、図2に示すように、それぞれの歯先が一方の端部から他方の端部に至る中間で凸型曲線形状に形成してある。このように凸型曲線形状に形成したことにより、図3に破線で示すように、ピニオンギヤ41の第1ギヤ部45と第2ギヤ部47の各歯当り部63,65は、それぞれサイドギヤ17とピニオンギヤ43の第2ギヤ部53と歯幅の中央部で接触しており、図11に示す前記従来例の現象と異なって、片当りとピッチングが防止され、耐久性が大幅に向上する。
【0040】
こうして、デファレンシャル装置1が構成されている。
【0041】
デファレンシャル装置1を搭載した車両は、デファレンシャル装置1のトルク感応型差動制限力によって、発進時や加速時のように大きなトルクをかけたときの車体の挙動が安定すると共に、デファレンシャル装置1の大きな耐久性によって長期にわたり優れた操縦性と安定性とが得られる。
【0042】
つぎに、本発明の第2実施例を図4により説明する。
【0043】
この実施例は請求項1〜5の特徴を備えている。全体構成は上記第1実施例と同じである。従って、以下の説明の中で上記第1実施例の部材と同機能の部材は同一の符号を付して引用し、重複する説明は省略する。
【0044】
図4は本実施例のデファレンシャル装置に用いられた長いピニオンギヤ67の第1と第2のギヤ部69,71を展開して示している。ピニオンギヤ67はデフケース3の収納孔37に摺動回転自在に収納され、車両の前進走行時にデフケース3の回転方向に対して先行して公転する低反力側に配置されている。ピニオンギヤ67は第1と第2のギヤ部69,71とこれらを連結する小径の軸部(図示省略)とからなり、第1ギヤ部69はサイドギヤ17と噛み合い、第2ギヤ部71は短いピニオンギヤ43の第2ギヤ部53と噛み合っている。
【0045】
デフケース3は車両の前進走行時に短いピニオンギヤ43から長いピニオンギヤ67の方向に回転し、長いピニオンギヤ67は第1と第2のギヤ部69,71の噛み合い反力による転倒トルクを受けて回転中心軸に対する倒れが生じる。
【0046】
そこで、図4に示すように、ピニオンギヤ67の第1と第2のギヤ部69,71は軸端部から他方のギヤ部に向けてしだいに歯先が小さくなる凸型の連続した曲線形状とされている。なお、この曲線形状の曲率は回転方向左右の歯面で異なって形成されている。また、第2ギヤ部71の曲線形状は図4において第1ギヤ部69を180度(上下逆に)回転した形状とされている。つまり第1ギヤ部69の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部71の他方側の歯面の曲率とが等しく、第1ギヤ部69の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部71の一方側の歯面の曲率が等しく形成されている。
【0047】
このような曲線形状の形成は、各ギヤ部69,71の歯幅L1の80%となる歯幅中央部の幅L2における減少量tを指定するとともに、歯厚は歯幅中央付近Cでのピッチ円径に沿った歯厚u´を指定することにより設定される。
【0048】
こうして、ピニオンギヤ67の第1と第2のギヤ部69,71は回転方向左右の歯面で異なった曲率の曲線形状に形成されていることにより、同一の曲率の曲線形状に形成する場合よりもギヤ部69,71の歯厚を増加でき、耐久性をより向上できる。
【0049】
また、第1ギヤ部69の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部71の他方側の歯面の曲率とが等しく、第1ギヤ部69の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部71の一方側の歯面の曲率が等しく形成されていることにより、凸型曲線形状をピニオンギヤ67にだけ設けた場合であっても、デフケースの回転方向にかかわりなくギヤ部端部での各歯当り部でピニオンギヤ67,43の倒れによる局部当りが発生せず、局部当りによるピッチングを防止でき耐久性の向上が図れる。
【0050】
つぎに、本発明の第3実施例を図5により説明する。
【0051】
この実施例は請求項1〜6の特徴を備えている。全体構成は上記第1実施例と同じである。従って、以下の説明の中で上記第1実施例の部材と同機能の部材は同一の符号を付して引用し、重複する説明は省略する。
【0052】
図5は本実施例のデファレンシャル装置に用いられた長いピニオンギヤ91の第1と第2のギヤ部93,95を展開して示している。ピニオンギヤ91はデフケース3の収納孔37に摺動回転自在に収納され、車両の前進走行時にデフケース3の回転方向に対して先行して公転する低反力側に配置されている。ピニオンギヤ91は第1と第2のギヤ部93,95とこれらを連結する小径の軸部(図示省略)とからなり、第1ギヤ部93はサイドギヤ17と噛み合い、第2ギヤ部95は短いピニオンギヤ43の第2ギヤ部53と噛み合っている。
【0053】
デフケース3は車両の前進走行時に短いピニオンギヤ43から長いピニオンギヤ91の方向に回転し、長いピニオンギヤ91は第1と第2のギヤ部93,95の噛み合い反力による転倒トルクを受けて回転中心軸に対する倒れが生じる。
【0054】
そこで、図5に示すように、ピニオンギヤ91の第1と第2のギヤ部93,95はそれぞれ各歯幅の中央付近Cから他方のギヤ部95,93側にだけ設けられ、かつ他方のギヤ部95,93に向けてしだいに歯先が小さくなる凸型の連続した曲線形状とされている。なお、この曲線形状の曲率は回転方向左右の歯面で異なって形成されている。また、第2ギヤ部95の曲線形状は図5において第1ギヤ部93を180度(上下逆に)回転した形状とされている。つまり第1ギヤ部93の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部95の他方側の歯面の曲率とが等しく、第1ギヤ部93の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部95の一方側の歯面の曲率が等しく形成されている。
【0055】
こうして、ピニオンギヤ91の第1と第2のギヤ部93,95は回転方向左右の歯面で異なった曲率の曲線形状に形成されていることにより、同一の曲率の曲線形状に形成する場合よりもギヤ部93,95の歯厚を増加でき、耐久性をより向上できる。
【0056】
また、第1ギヤ部93の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部95の他方側の歯面の曲率とが等しく、第1ギヤ部93の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部95の一方側の歯面の曲率が等しく形成されていることにより、凸型曲線形状をピニオンギヤ91にだけ設けた場合であっても、デフケースの回転方向にかかわりなくギヤ部端部での各歯当り部でピニオンギヤ91,43の倒れによる局部当りが発生せず、局部当りによるピッチングを防止でき耐久性の向上が図れる。
【0057】
さらに、曲線形状が他方のギヤ部と向かい合う側のみに形成されていることにより、ピニオンギヤ91,43に倒れが生じないときにあっても、各歯面での歯当り面積が増大して耐久性の向上が図れる。
【0058】
なお、上記の各実施例では長いピニオンギヤに凸型曲線形状を形成しているが、短いピニオンギヤに凸型曲線形状を形成してもよい。また、上記各実施例のようなヘリカルギヤに形成するのではなく、スパーギヤに形成してもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、少なくともいずれか一方のピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部のいずれか一方又は両方のギヤ部を、歯先が軸端部から他方のギヤ部側の端部に向けて凸型曲線形状に形成したので、ピニオンギヤに第1と第2のギヤ部で生じる噛み合い反力が反対方向の反力として発生しピニオンギヤに倒れが生じても、ピニオンギヤの歯面端部でギヤの倒れによる相手側ギヤと局部当りが発生しない。このため、局部当りによるピッチングを防止でき耐久性の向上が図れる。
【0060】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加え、凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤは車両が前進走行する際の回転方向に対し、一対のピニオンギヤのうち先行回転側に配置されているので、実質的に十分な耐久性の向上効果を得ることができる。
【0062】
請求項に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明による効果に加え、ピニオンギヤはヘリカルギヤとして形成され、凸型曲線形状に形成されたギヤは回転方向左右の歯面での曲率が異なるように形成されていることによりピニオンギヤの歯厚を増加でき、耐久性をより向上できる。
【0063】
請求項に記載の発明によれば、請求項1ないしのいずれかに記載の発明による効果に加え、歯先が凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部は小径の軸部を介して連結され、第1ギヤ部の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の他方側の歯面の曲率および第1ギヤ部の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の一方側の歯面の曲率が等しく形成されていることにより、凸型曲線形状を一対のピニオンギヤのいずれか一方のピニオンギヤにだけ設けた場合であっても、デフケースの回転方向にかかわりなくギヤ部端部での各歯当り部でピニオンギヤの倒れによる局部当りが発生せず、局部当りによるピッチングを防止でき耐久性の向上が図れる。
【0064】
請求項に記載の発明によれば、請求項1ないしのいずれかに記載の発明による効果に加え、第1と第2のギヤ部の少なくとも一方のギヤ部に形成された凸型曲線形状は、他方のギヤ部と向かい合う側のみに形成されていることにより、ピニオンギヤに倒れが生じないときにあっても、各歯面での歯当り面積が増大して耐久性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の全体構成を示す断面図である。
【図2】第1実施例の長いピニオンギヤの側面図である。
【図3】第1実施例の長いピニオンギヤにおける歯面の歯当りを示す図である。
【図4】第2実施例の長いピニオンギヤを展開して示す図である。
【図5】第3実施例の長いピニオンギヤを展開して示す図である。
【図6】従来例の断面図である。
【図7】ピニオンギヤの転倒状態を示すギヤ組の斜視図である。
【図8】ピニオンギヤ間の噛み合い反力の方向を示す断面図である。
【図9】長短のピニオンギヤに生じる噛み合い反力の方向を示す斜視図である。
【図10】倒れによって従来のピニオンギヤに生じる片当り箇所を示す側面図である。
【図11】図10での片当りにより従来のピニオンギヤの歯当り部に生じたピッチングを示す側面図である。
【符号の説明】
3 デフケース
15,17 サイドギヤ
37,39 収納孔
41,67,91 長いピニオンギヤ
43 短いピニオンギヤ
45,51,69,93 第1ギヤ部
47,53,71,95 第2ギヤ部
49 小径の軸部
F1,F2,F3,F4 噛み合い反力

Claims (5)

  1. エンジンの駆動力により回転駆動されるデフケースと、デフケースの内部に回転自在に支承された一対のサイドギヤと、これらサイドギヤの径方向外側に配置され、サイドギヤと各別に噛み合う第1ギヤ部および互いに噛み合う第2ギヤ部を有する少なくとも一対のピニオンギヤと、デフケースに形成され各ピニオンギヤを摺動回転自在に収納する収納孔とを備え、
    少なくともいずれか一方のピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部のいずれか一方又は両方のギヤ部の歯面が回転軸方向に軸端部から他方のギヤ部側の端部にかけてギヤ部の周方向両側に向けて突出する凸型曲線形状に形成されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
  2. 請求項1に記載のデファレンシャル装置であって、
    該デファレンシャル装置は車両用に用いられ、凸型曲線形状に形成されピニオンギヤは、デフケースの回転方向に対し、一対のピニオンギヤのうち先行回転側に配置されたことを特徴とするデファレンシャル装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のデファレンシャル装置であって、
    前記ピニオンギヤはヘリカルギヤとして形成され、凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤは回転方向左右の歯面での曲率が異なるように形成されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデファレンシャル装置であって、
    歯面が凸型曲線形状に形成されたピニオンギヤの第1ギヤ部と第2ギヤ部は小径の軸部を介して連結され、第1ギヤ部の一方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の他方側の歯面の曲率および第1ギヤ部の他方側の歯面の曲率と第2ギヤ部の一方側の歯面の曲率が等しく形成されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデファレンシャル装置であって、
    前記第1と第2のギヤ部の少なくとも一方のギヤ部に形成された凸型曲線形状は、他方のギヤ部と向かい合う側のみに形成されていることを特徴とするデファレンシャル装置。
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