JP3693868B2 - 吸収性物品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品を、効率的且つ経済的に連続生産することのできる吸収性物品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品は、その多数が連続したものを、ロータリーカッター等の切断装置により間欠的に切断して製造されている。
しかし、機械的に切断する切断装置は、刃の摩耗や損傷するため、寿命が短く、メンテナンス等の負担が大きい。
近年、レーザー光線を用いた切断装置が、他の分野において用いられるようになってきたが、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の分野においては、切断すべき被切断物の搬送速度が著しく速く、その速度にレーザー装置が対応できないことや、紙粉が多い環境中での使用は火災の危険があること等から、レーザー光線を用いた切断装置を有効に活用することができなかった。
また、ウイング付きの生理用ナプキンは、そのウイングを、一般に、ウイング形成用の帯状シートの両側部を、周面に切断刃を有するロータリーカッター等により切断加工して形成していたため、そのウイングの形状は自ずと単純な形状となり、また、そのウイングの形状を容易に変更することはできなかった。
【0003】
従って、本発明の第1の目的は、レーザ装置を活用して、生理用ナプキン等の吸収性物品を、効率的且つ経済的に連続生産することのできる吸収性物品の製造方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、ウイング付きの生理用ナプキンにおけるウイングを多様な形状に形成することができ、また、ウイングの形状を容易に変更することができる吸収性物品の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多数の吸収性物品が連続した連続体を、切断装置により個々の吸収性物品に切断して、多数の吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法において、前記切断装置として、複数のレーザー装置を用い、レーザー光線が照射される被照射面を冷却しながら、前記連続体を、該被照射面上において該連続体の幅方向に亘って切断すると共に、切断によって生じる切断片を、該被照射面に設けた吸引開口部から吸引して、該切断片が生じると同時に該被照射面上から除去する吸収性物品の製造方法を提供することにより、上記第1の目的を達成したものである(以下、この発明を第1発明という)。
【0005】
また、本発明は、実質的に縦長に形成され、長手方向の両側部に左右一対のウイングを有する吸収性物品を製造する方法において、連続搬送されるウイング形成用シートの長手方向の両側部を、異なるレーザー装置から照射される一対のレーザー光線によりそれぞれ所定形状に切断加工して、左右一対の前記ウイングを形成する工程を具備しており、前記レーザー装置として、そのレーザー光線の動きが制御プログラムにより制御されるレーザー装置を用いる吸収性物品の製造方法を提供することにより、上記第2の目的を達成したものである(以下、この発明を第2発明という)。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明(第1及び第2発明)をその好ましい実施形態に基づいて説明する。本実施形態は、吸収性物品としての生理用ナプキン1を製造する方法である。
生理用ナプキン1は、図1に示すように、液保持性の吸収層21を具備する吸収性本体2を有し、実質的に縦長に形成され、長手方向の両側部に左右一対のウイング31,31を有する、ウイング付きのナプキンである。より具体的に説明すると、吸収性本体2における吸収層21は、液透過性の表面シート22と液保持性の吸収体23とからなり、表面シート22は、その左右両側が、吸収体23の非肌当接面側に巻き込まれている。また、左右一対のウイング31,31は、長手方向の左右両側にウイング31,31を有するウイング付シート3を、両ウイング31,31が吸収性本体2の両側縁部の左右両外方に延出するように、該吸収性本体2に接合して形成されている。本実施形態におけるウイング付シート3は、液不透過性のシートであり、吸収体22の非肌当接面側に液不透過性の防漏層を形成している。尚、ウイング付シート3は、吸収性物品の連続体を個々の吸収性物品に切断する際に、ウイング付帯状シート30が切断されて形成される。
【0007】
而して、本実施形態の製造方法は、ウイング付帯状シートの製造工程、ウイング付帯状シートと吸収性本体の連続体とを接合する接合工程、及び吸収性物品の連続体を個々の吸収性物品に切断する切断工程を具備し、これらの各工程を経て上記構成の生理用ナプキン1を製造するものである。
【0008】
前記ウイング付帯状シートの製造工程においては、図2に示すように、ウイング形成用の帯状シート30’の両側部を、異なるレーザー装置4A,4Bから発射される一対のレーザー光線により、それぞれ所定形状に切断加工して、左右一対のウイング形成部31’,31’が長手方向に所定の間隔で多数形成されたウイング付帯状シート30を得る。図2には、一対のレーザー光線それぞれによる切断ポイントを、それぞれ4a,4bで示してある。各レーザー装置4は、レーザー発生源、レンズ、レーザー光線の照射方向を変更し、レーザーによる切断ポイントを移動させるガルバノミラー等から構成されており、斯かるレーザー装置4の構成は、従来公知のレーザー装置と同様である。
【0009】
異なるレーザー装置4A,4Bから一対のレーザー光線を照射することにより、高速搬送されるウイング形成用の帯状シート30’の両側部を自由な形状に加工することができる。また、レーザー装置4を制御するプログラムを変更するだけで、ウイング31の形状を容易に変更することができる。尚、本実施形態の製造方法におけるライン速度は、80〜150m/min程度である。
【0010】
前記接合工程においては、図3に示すように、ウイング付帯状シートの製造工程において得られたウイング付帯状シート30と、多数の前記吸収性本体2が連続した吸収性本体の連続体20とを接合する。図3には、ウイング付帯状シート30と吸収性本体の連続体20との合流ポイントを白抜き矢印Pで示してある。吸収性本体の連続体20は、ウイング付帯状シート30のウイング形成部31’,31’が該連続体20の両側縁部から延出するように、該シート30の中央部に接合される。そして、この接合により、多数の生理用ナプキン1が連続した吸収性物品の連続体10が得られる。接合方法としては、ホットメルト粘着剤等の接着剤を用いた接着でも、ヒートシール等の溶着でも良い。
【0011】
このように、予めウイング形成部(個々の吸収性物品に切断された際にウイングを形成する部分)が形成されたウイング付帯状シートと、吸収性本体の連続体20とを接合することにより、吸収性本体の連続体20を、ウイング形成用の切断装置により損傷することを防止することができる。また、吸収性本体2の一部がウイング31上に張り出した構成の生理用ナプキン1を容易に製造することができる。
【0012】
本実施形態においては、接合工程において得られた吸収性物品の連続体10は、図4に示されるように、シール工程に送られる。シール工程において、吸収性物品の連続体10は、生理用ナプキン1の長さに対応する所定の間隔で、上下面間を幅方向に亘って接合される。図4中には、シール工程において用いられるシール装置が符号5で示されており、一対のシールロール51,51間に吸収性物品の連続体10を導入することで、該連続体10の長手方向に間欠的に多数のシール部11が順次形成される。
【0013】
吸収性物品の連続体10は、保持手段により保持された状態で前記切断工程に搬送される。図4中には、保持手段として、吸引手段61aを備え、連続体10の下面を吸引するサクションコンベア61と、該連続体10の上面を押圧する浮き上がり防止用のベルト62とが示されている。
【0014】
切断工程においては、吸収性物品の連続体10を、所定の間隔で間欠的に切断し、個々の吸収性物品としての生理用ナプキン1を得る。即ち、図5に示すように、吸収性物品の連続体10を、長手方向に間欠的に形成された被切断部としてのシール部11において、幅方向に亘って切断する。
本実施形態の切断工程においては、多数の吸収性物品1が連続した連続体10を、複数のレーザー装置を用いて切断する。
具体的には、二つのレーザー装置7(一方のみ図示)が、連続体10の搬送方向に直交する方向に並設されており、二つの該レーザー装置7それぞれから発射されるレーザー光線72(一本のみ図示)により、該連続体10を同一のシール部において切断する。図4に示すレーザー装置7は、上述したレーザー装置4A,4Bと同様の構成を有しており、同様に制御装置(コンピュータ)71により制御されている。尚、図5に、二つの該レーザー装置7から照射される一対のレーザー光線の軌跡を、それぞれ72a,72bとして示した。
【0015】
このように、複数のレーザー装置7を用いて、連続体10を切断することにより、高速搬送される連続体10の切断を容易に行うことができる。また、レーザー装置は、切断刃で切断する切断装置のように刃の摩耗や損傷の心配がないので、メンテナンス等の負担を大幅に軽減することができ、経済的且つ効率的に吸収性物品を製造することができる。また、レーザー装置7の制御プログラムを変更するだけで、切断形状を変更したり、切断の間隔を変更する等、切断の条件を容易に変更することができる。
【0016】
また、本実施形態において、二つのレーザー装置7は、それぞれレーザー光線72を被照射面81に向けて照射し、吸収性物品の連続体10を、該被照射面81上において切断する。
被照射面81上において連続体10を切断する際には、該被照射面81を、所定の冷却手段により冷却しておく。本実施形態においては、図4及び6に示すように、被照射面81は、切断片13の回収ボックス8の上面に形成されており、該回収ボックス8の周囲に配された冷却管83中に冷媒を流通させることで、該被照射面81を冷却することができるようになっている。
【0017】
このように、被照射面81又は該被照射面81の近辺を冷却することにより、紙粉が多い環境中であっても、火災の危険を防止して、レーザー光線を用いた切断が可能となる。また、冷却により、形成材料の変形が抑制されるので、品質の良い生理用ナプキンを製造することができる。
【0018】
尚、本発明における被照射面は、物理的な平面や曲面等に限られず、レーザー光線の焦点が合う点を結ぶことによって得られる面であっても良い。また、被照射面81の近辺とは、レーザー光線が通過する空間や、レーザー光線の照射を受けた紙分が飛び散る範囲を含み、レーザー光線による熱を奪うことにより火災の危険を低減することができる空間や部位を広く含む。
【0019】
また、連続体10を切断して生じるナプキンも、冷却手段により冷却することが好ましい。切断して得られる個々の吸収性物品の冷却する手段としては、被照射面81又はその近辺を冷却するのに用いた冷却手段を用いても良いし、別の冷却手段を用いても良い。本実施形態においては、図5に示すように、切断後の吸収性物品に、冷風送風装置86の送風口から冷風を吹き付けて冷却する。
このように、切断後の吸収性物品を冷却手段により冷却することで、火災の発生をより効果的に防止し、また、材料の変形により生じる不都合を防止することができる。尚、上記のウイング付帯状シートの製造工程における帯状シート30’を切断加工する際にも、レーザー光線が照射される被照射面又はその近辺を冷却することが好ましく、また、切断後のシートも冷却することが好ましい。
【0020】
また、切断工程においては、レーザー光線による切断によって生じる切断片13,13を、被照射面81上から直ちに除去する。
具体的には、切断片の回収ボックス8は、被照射面81としての上面に一対の吸引開口部82,82が開口しており、該ボックス8内を、下部に連通接続された排気管84を介して減圧することにより、切断片13,13が、吸引開口部82,82から吸引されて、該排気管84を介して外部に除去されるようになっている。尚、吸引開口部82,82は、切断片13,13が生じる部位に配されており、切断片は、生じると同時に被照射面81上から除去される。このように、切断により生じる切断片13,13を、被照射面81から直ちに除去することで、該切断片13がレーザー光線により加熱され発火する等の危険を効果的に防止することができる。
【0021】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は種々変更が可能である。
本発明(第1,第2発明)の他の実施形態の概略を図7及び8に示した。図7及び8に示す第2の実施形態においては、二つのレーザー装置7A,7Bを、連続体10の搬送方向の上流側と下流側とに並設し、一方のレーザー装置7Aから発射されるレーザー光線72で、吸収性物品の連続体10の所定箇所を切断した後、他方のレーザー装置7Bから発射されるレーザー光線72で同一箇所を切断する。そして、両レーザー装置による切断によって、長手方向に左右対称の生理用ナプキン1を得る。
【0022】
第2実施形態においては、吸収性物品の連続体10は、サクションドラム85に吸着された状態で、両レーザー装置7A,7Bにより切断される。本実施形態における被照射面81は、チラーサクションドラム85の周面である。チラーサクションドラム85は、内部に冷媒を流通させて冷却することができるようになっており、被照射面81及びその近辺の雰囲気を冷却することによって、火災の危険が低減し、また、材料の変形が防止される。また、切断により生じたナプキン1は、ドラム85に対向配置された同様の構成を有するチラーサクションドラム86によって冷却され、更に火災の危険が低減し、材料の変形が防止される。尚、図8に、二つのレーザー装置7A,7Bから照射される一対のレーザー光線の軌跡を、それぞれ72a,72bとして示した。
【0023】
また、第1発明は、ウイングのない生理用ナプキンに適用しても良いし、また、第1及び第2発明は、使い捨ておむつや、失禁パット、生理用ナプキン等の他の吸収性物品に適用することもできる。
【0024】
【発明の効果】
第1発明によれば、レーザ装置を活用して、生理用ナプキン等の吸収性物品を、効率的且つ経済的に連続生産することのできる吸収性物品の製造方法を提供することができる。
また、第2発明によれば、ウイング付きの生理用ナプキンにおけるウイングの形状を多様な形状に形成することができ、また、該ウイングの形状を容易に変更することができる吸収性物品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明(第1,第2発明)の製造方法の一実施形態により製造される吸収性物品の一例としての生理用ナプキンを示す図で、(a)は平面図、及び(b)はX−X断面図である。
【図2】図2は、ウイング付帯状シートの製造工程を示す模式図である。
【図3】図3は、接合工程を示す模式図である。
【図4】図4は、切断工程の概略を示す模式図である。
【図5】図5は、切断工程における切断態様を示す模式図である。
【図6】図6は、被照射面の冷却装置を示す模式図で、(a)は平面図、及び(b)は縦断面図である。
【図7】図7は、本発明(第1,第2発明)の製造方法の他の実施形態における要部を示す概略図である。
【図8】図8は、図7に示す実施形態における切断工程の切断態様を示す図である。
【符号の説明】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 吸収性本体
21 吸収層
22 表面シート
23 吸収体
3 ウイング付シート
4 レーザー装置
7 レーザー装置
81 被照射面
10 吸収性物品の連続体
20 吸収性本体の連続体
30 ウイング付帯状シート
30’ウイング形成用の帯状シート
Claims (5)
- 多数の吸収性物品が連続した連続体を、切断装置により個々の吸収性物品に切断して、多数の吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法において、
前記切断装置として、複数のレーザー装置を用い、レーザー光線が照射される被照射面を冷却しながら、前記連続体を、該被照射面上において該連続体の幅方向に亘って切断すると共に、切断によって生じる切断片を、該被照射面に設けた吸引開口部から吸引して、該切断片が生じると同時に該被照射面上から除去する吸収性物品の製造方法。 - 複数の前記レーザー装置を、前記連続体の搬送方向に直交する方向に並設し、複数の前記レーザー装置から発射されるレーザー光線により、該連続体を切断する請求項1記載の吸収性物品の製造方法。
- 前記連続体の長手方向に間欠的に形成した被切断部それぞれの切断を、一つのレーザー装置から発射されるレーザー光線と他の一つのレーザー装置から発射されるレーザー光線とを、該連続体の長手方向両側の相異なる側からそれぞれ該連続体を幅方向に横切るように移動させて行う請求項1又は2記載の吸収性物品の製造方法。
- 実質的に縦長に形成され、長手方向の両側部に左右一対のウイングを有する吸収性物品を製造する方法において、
連続搬送されるウイング形成用シートの長手方向の両側部を、異なるレーザー装置から照射される一対のレーザー光線によりそれぞれ所定形状に切断加工して、左右一対の前記ウイングを形成する工程を具備しており、前記レーザー装置として、そのレーザー光線の動きが制御プログラムにより制御されるレーザー装置を用いる吸収性物品の製造方法。 - ウイング形成用の帯状シートの両側部を、一対の前記レーザー光線により、それぞれ所定形状に切断加工して、左右一対のウイング形成部が長手方向に所定の間隔で形成されたウイング付帯状シートを得るウイング付帯状シートの製造工程、前記ウイング付帯状シートを、一対の前記ウイング形成部が吸収性本体の連続体の両側縁部から延出するように、該吸収性本体の連続体と接合して吸収性物品の連続体を得る接合工程、及び前記吸収性物品の連続体を所定の間隔で間欠的に切断して個々の吸収性物品を得る切断工程を具備する請求項4記載の吸収性物品の製造方法。
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