JP2020078884A - シート融着体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂ヒュームに起因する装置の不具合を効果的に防止しつつ、不良品の少ないシート融着体の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造方法である。本発明は、第1面及び該面と反対側に位置する第2面を有する支持部材における第1面に、複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体を配し、これを加圧部材を用いて加圧し、第2面側に配置される照射ヘッドから前記シート積層体に向けてレーザー光を照射する溶断工程を有する。溶断工程は、シート積層体の幅方向に沿って延びるスリット状の支持部材側開口部に沿ってレーザー光を該シート積層体に照射して、シート積層体をその幅方向に分断し複数枚のシートが重なった状態で融着させてシール縁部を形成するとともに、シート積層体に対して、2つの空気吹出部それぞれから空気を供給する。【選択図】図9
Description
本発明は、シート融着体の製造方法に関する。
従来、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の製造工程においては、重ね合わせたシートどうしの接合方法として、レーザー光線を用いて溶着させる方法が知られている。例えば特許文献1ないし3には、複数枚のシートが重ねられたシート積層体を、レーザー光透過性部を有する回転ロールの該周面に沿った形状に変形させて搬送しながら、該シート積層体に対して該回転ロールの内側からレーザー光を照射し、該シート積層体におけるシートどうしを融着させる方法が記載されている。
ところで、レーザー光を用いたシート融着体の製造装置においては、シート積層体はレーザー光の照射によって分断し融着されるが、その融着時に、樹脂ヒューム等の粒子が発生する。これらの粒子は、製造装置に付着し堆積したり、製造環境中に飛散してしまうので、装置の保守頻度が増加し、シート融着体の不良品が生産されるおそれがある。
この点に関して、特許文献1ないし3の製造装置は、レーザー光が照射される部位の近傍に一方向に空気を吹き出す空気吹出部を設けたり、空気吹出部と空気吸引部とを組み合わせて設けたりすることで、分断によって発生した樹脂ヒュームを除去している。しかし、これらの構成を有する製造装置は、樹脂ヒュームの効果的な除去に関して改善の余地があった。
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を解決し得るシート融着体の製造方法を提供することにある。
本発明は、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造方法であって、
第1面及び該面と反対側に位置する第2面を有する支持部材における第1面に、少なくとも一部に樹脂を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体を配し、その状態で該シート積層体を加圧部材を用いて加圧し、次いで
前記支持部材における第2面側に配置される照射ヘッドから、第1面に配された状態の前記シート積層体に向けてレーザー光を照射する溶断工程を有し、
前記溶断工程において、前記シート積層体の幅方向に沿って延びるスリット状の支持部材側開口部に沿って前記レーザー光を該シート積層体に照射して、該シート積層体をその幅方向にわたって分断し複数枚のシートが重なった状態で融着させて、前記シール縁部を形成するとともに、
分断される前記シート積層体に対して、前記加圧部材側に配置された第1空気吹出部及び前記支持部材側に配置された第2空気吹出部それぞれから空気を供給する、シート融着体の製造方法を提供するものである。
第1面及び該面と反対側に位置する第2面を有する支持部材における第1面に、少なくとも一部に樹脂を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体を配し、その状態で該シート積層体を加圧部材を用いて加圧し、次いで
前記支持部材における第2面側に配置される照射ヘッドから、第1面に配された状態の前記シート積層体に向けてレーザー光を照射する溶断工程を有し、
前記溶断工程において、前記シート積層体の幅方向に沿って延びるスリット状の支持部材側開口部に沿って前記レーザー光を該シート積層体に照射して、該シート積層体をその幅方向にわたって分断し複数枚のシートが重なった状態で融着させて、前記シール縁部を形成するとともに、
分断される前記シート積層体に対して、前記加圧部材側に配置された第1空気吹出部及び前記支持部材側に配置された第2空気吹出部それぞれから空気を供給する、シート融着体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、樹脂ヒュームに起因する製造装置の不具合を抑制しつつ、不良品の少ないシート融着体を製造することができる。
以下、本発明のシート融着体の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。以下の実施形態では、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体として、一対のサイドシール部を有する外装体を具備するパンツ型使い捨ておむつを例にとり説明する。
図1ないし図3には、シート融着体としてのパンツ型使い捨ておむつ1が示されている。同図に示すおむつ1は、吸収性本体2と、おむつ1の外面を形成する外装体3とを備え、前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9が形成されている。外装体3は、吸収性本体2の非肌当接面側に位置しており、吸収性本体2を固定している。おむつ1は、着用時に股下部に配される股下部1C並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができる。
肌当接面とは、シート融着体の構成部材が、その着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、シート融着体の構成部材が、その着用時に着用者の肌側とは反対側(外側)に向けられる面である。また図3における縦方向Xと吸収性本体2の長手方向とが一致しており、同図における横方向Yと吸収性本体2の幅方向とが一致している。
吸収性本体2は、縦方向Xが相対的に長い縦長の形状を有しており、肌当接面を形成する表面シート2aと、非肌当接面を形成する裏面シート2bと、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体2cとを備えている。吸収体2cは、縦方向Xと同方向に長い形状を有している。吸収性本体2は、その長手方向を、図3に示すような展開かつ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の中央部に接着剤等の接合手段によって接合されている。展開かつ伸長状態とは、おむつのサイドシール部4を引き剥がして展開状態とし、その展開状態における設計寸法となるまで広げた状態をいう。
外装体3は、図2及び図3に示すように、おむつ1の非肌当接面を形成する外層シート31と、該外層シート31の内面側に配され、おむつ1の外装体3の肌当接面を形成する内層シート32とを備えている。両シート31,32間には、接着剤又はヒートシール等の接合手段によって固定された複数本の弾性部材5,6,7を備えている。外装体3は、少なくとも一部に樹脂を含むシート材料を有し、好ましくは樹脂材料を主成分として形成されている。外装体3は、例えば、熱可塑性樹脂を原料としたエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の通気性を有する不織布、フィルム及び該不織布とフィルムとのラミネートシート等を用いることができる。
一対のサイドシール部4,4は、図2に示すように、外装体3の両縁部が、サイドシール部4の長手方向に連続的に延びる融着部40で結合したシール縁部41を有している。シール縁部41は、各サイドシール部において、ウエスト開口部8とレッグ開口部9との間の全長にわたって連続して形成されている。シール縁部41における融着部40は、外装体3を構成する複数枚のシートの縁部が重なった状態で、それらのシートの構成樹脂がシートどうしを融着して形成されている。
以上の構成を有するシート融着体(おむつ1)は、以下に説明する装置を用いた方法によって製造することができる。例えば、図4に示す装置を用いて帯状のシート積層体としてのおむつ連続体10を製造し、その後、図5ないし9に示すレーザー式接合装置20におむつ連続体10を供給して、後述する溶断工程を行うことによってシート積層体を分断し、シート融着体としてのおむつ1を製造することができる。
まず図4に示す装置を用いて、帯状の複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体を形成する。詳細には、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート31と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート32の間に、ウエストギャザーを形成するウエスト部弾性部材5、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材6及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材7を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、レッグ部弾性部材7は、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また各構成部材は所定の部位にホットメルト型接着剤を塗工して接着することができる。
次いで、一対のニップロール11,11の間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6及びレッグ部弾性部材7を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32を供給して挟圧することによって、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32の間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状のシート積層体、すなわち帯状の外装体3を形成する。また、この外装体3の形成工程においては、隣り合う2本の胴回り部弾性部材6,6間において帯状の外層シート31と帯状の内層シート32とを接合する複数の接合部(図示せず)を、凸ロール12とこれに対応するアンビルロール13等の接合手段を用いて形成する。その後、必要に応じて、例えば特開2002−253605号公報に記載の各弾性部材を複数個に分断する弾性部材プレカット手段を行うことができる。
続いて、図4に示すように、別工程で製造された吸収性本体2に予めホットメルト接着剤等の接着剤を塗工し、該吸収性本体2の長手方向と帯状のシート積層体(外装体3)の幅方向とが一致するように、帯状の外装体3を構成する内層シート32上に間欠的に供給して固定する。そして、図4に示すように、吸収性本体2が配置された帯状の外装体3におけるレッグ部弾性部材7で環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールLO’を形成する。このレッグホール形成工程は、ロータリーカッター等の当該技術分野で公知の方法を用いて実施することができる。
次いで、帯状の外装体3をその幅方向(外装体3の搬送方向と直交する方向)に折り畳む。図4に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3aを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返して吸収性本体2の長手方向両端部を固定した後、外装体3を吸収性本体2とともにその幅方向に2つ折りする。このようにして、おむつ連続体10が得られる。
次いで、図5ないし図9に示す装置を用いて、帯状のシート積層体であるおむつ連続体にレーザー光を照射して、シート積層体を幅方向にわたって分断し、これとともに複数枚のシートが重なった状態で融着させて、該シート積層体にシール縁部となる溶融縁部を形成して、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するおむつ1を連続的に製造する。また、シール縁部の形成とともに、分断される前記シート積層体に対して、空気吹出部から空気を供給する。
図5に示すレーザー式接合装置20は、第1面21aと該面と反対側に位置する第2面21bを有し、おむつ連続体10、すなわち少なくとも一部に樹脂を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体10をその長手方向にわたって第1面21aに支持する支持部材21と、支持部材21における第2面21b側に配置され且つレーザー光30を集光するレンズを有する照射ヘッド35と、支持部材21の第1面21a上に支持されたおむつ連続体10を加圧する加圧部材26とを具備している。レーザー式接合装置20は、矢印D方向に回転可能に駆動される円筒である中空の円筒ロール23の周面部を形成している。
支持部材21は、円筒形状の部材であり、外面を形成する第1面21aと内面を形成する第2面21bとを有する。支持部材21は、円筒ロール23の周面部(被加工物との当接部)を形成しており、円筒ロール23の回転軸方向両端部を形成する一対の環状の枠体(図示せず)間に挟持固定されている。支持部材21は、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属材料又はセラミックス等の耐熱性を有する材料からなる。
支持部材21は、図5及び図9に示すように、第2面21b側から照射されたレーザー光30の通過可能なおむつ連続体10の幅方向に沿って延びるスリット状の支持部材側開口部27と、支持部材側開口部27の第2面21b側を覆う被覆部材28と、支持部材21の第2面21b側に離間して配置され、支持部材側開口部27に向かって空気を供給する第1空気吹出部29とを有している。
支持部材側開口部27は、支持部材21を厚み方向に貫通するスリット状の開口部であり、レーザー光が通過可能な光通過部である。支持部材側開口部27は、平面視して矩形形状を有し、その長手方向を、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)の搬送方向Dと交差する方向に延びており、支持部材21の周方向に沿って所定間隔を置いて複数設けられている。各支持部材側開口部27には、一対の第1空気吹出部29,29が、支持部材側開口部27から第2面21b側に離間して、円筒ロール23の内部に配置されている。各支持部材側開口部27、被覆部材28及び第1空気吹出部29は、支持部材21の回転とともに矢印D方向に回転可能となっている。円筒ロール23の回転軸の軸長方向に関して、支持部材側開口部27の長さは、支持部材21に支持されるおむつ連続体10の分断予定部分(サイドシール部)の長さよりも長く形成されている。
支持部材21は、支持部材側開口部27及び被覆部材28においてはレーザー光を通過させる一方、それ以外の部材ではレーザー光を通過させない。支持部材側開口部27を支持部材21に形成する方法としては、例えば環状の枠体の周長と同じ長さの単一の環状部材からなる支持部材21の所定箇所に穿設する方法や、湾曲した矩形形状の部材を所定の間隔で配置して、環状の支持部材21とすることができる。
図9に示す被覆部材28は、支持部材側開口部27の第2面21b側を覆い、第1空気吹出部29から供給された空気を支持部材側開口部27を介してシート積層体へ向けて供給できるようになっている。被覆部材28は、レーザー光30が通過可能又は透過可能であり且つシート積層体の分断が可能なエネルギーを維持可能になっていれば、その構成に特に制限はなく、例えばガラス等の透明部材を用いて支持部材側開口部27の第2面21b側の全面を覆ったり、レーザー光30が通過可能なスリットが支持部材側開口部27の延びる方向に沿って形成されていてもよい。支持部材側開口部27と被覆部材28とで挟まれた領域は中空となっており、第1空気吹出部29から供給された空気によってその内部が陽圧となっている。これによって、支持部材側開口部27から空気が吹き出すようになっている。
第1空気吹出部29は、常温の圧縮空気を供給する部位である。第1空気吹出部29は、図5及び図9に示すように、円筒ロール23の内部に配置されており、円筒ロール23の回転軸方向両端部を形成する一対の環状の枠体に取り付けられている。第1空気吹出部29は、支持部材21の周方向に沿って、支持部材側開口部27を挟んで一対で配されている。第1空気吹出部29は、支持部材側開口部27に向かって開口した吹出し口を有しており、その吹出し口は被覆部材28を貫通して設けられている。第1空気吹出部29における吹出し口は、支持部材側開口部27の延びる方向に沿って延びており、支持部材側開口部27に向かって圧縮空気を供給できる構造となっている。円筒ロール23の回転軸の軸長方向(シート積層体の幅方向)における、第1空気吹出部29の吹出し口の長さは、支持部材21に支持されるおむつ連続体10の分断予定部分(サイドシール部)の長さよりも長く、かつ支持部材側開口部27の長さよりも短いことが好ましい。
照射ヘッド35は、図5に示すように、レーザー光30を自在に走査するガルバノスキャナ(モータ軸にミラーが付いた装置)であり、レーザー光30を円筒ロール23の回転軸と平行な方向に進退させる機構、レーザー光30が支持部材21の第1面21a上に支持されたおむつ連続体10に当たる位置(照射点)を円筒ロール23の周方向に移動させる機構、及び円筒ロール23の周面上でレーザー光30のスポット径を一定にする機構等を備えており、レーザー光30の照射点を任意に移動させることができる。
加圧部材26は、図5ないし図7に示すように、支持部材側開口部27の延びる方向と同方向に延びており、かつ支持部材側開口部27と対向配置される加圧部材側開口部55と、加圧部材26側に配置され、加圧部材側開口部55に向かって空気を供給する第2空気吹出部59とを有している。加圧部材26は、上述した支持部材21の第1面21a上に支持されたおむつ連続体10(シート積層体)を加圧するためのものである。加圧部材26は、各支持部材側開口部27に設けられている。各加圧部材26は、円筒ロール23の回転軸の延長線上に回転軸を持ち、円筒ロール23に隣接して配置された第2円筒ロール25の周面に配置されている。第2円筒ロール25は、円筒ロール23と同期して回転する。
図6ないし8に示されている加圧部材26は、本体部50Aと、加圧部50Bとを有している。本体部50Aは、平面視して略矩形状のブロック体から構成されており、その長手方向X1が、支持部材側開口部27の延びる方向に沿って配置されている。本体部50Aは、その長手方向X1の一端に先端部52aを有し、その長手方向X1の他端に後端部52bを有している。後端部52bには、接続部材53が接続されている。本体部50Aは、その内部に本体中空部51を有している。本体中空部51は、その横断面の形状が多角形状のものであり、本体部50Aの長手方向X1に沿って延びている。本体中空部51は、本体部50Aの後端部52bの位置において、接続部材53と連通している。接続部材53は、空気吸引装置(図示せず)に接続されている。
加圧部50Bは、図6及び図7(b)に示すように、本体部50Aを構成する長手方向X1に延びる両側壁50A1の先端から外方に傾斜しながら互いに近づく一対の局所加圧部材54,54を備えている。各局所加圧部材54は、長手方向X1に延びる縦長の板状のものであり、本体部50Aと一体的に形成されている。各局所加圧部材54は、幅方向Y1に沿って所定の厚みを有しており、その先端部が平坦な面となっている加圧面54Aとなる。各局所加圧部材54は、その加圧面54Aによって、支持部材21の第1面21a上に支持されたおむつ連続体10(シート積層体)を局所的に加圧するために用いられる。
一対の局所加圧部材54,54は、本体部50Aの両側壁50A1の先端から互いに近づくように傾斜して配され、その一対の加圧面54A,54Aが、幅方向Y1に所定の間隔を置いて非接触状態で配置され、長手方向X1に沿って平行に配置されている。一対の局所加圧部材54,54の間には空間Sが設けられており、その空間は、上述した本体部50Aの内部に設けられた本体中空部51と連通している。空間Sは、一対の局所加圧部材54,54の先端部において開口しており、この開口が加圧部材側開口部55となっている。本体部50Aには、吸引装置が設けられているので、該吸引装置を動作させることで、加圧部材側開口部55を通じ、加圧部材26の内部(本体中空部51)に向けて空気が吸引されるようになっている。
図7に示す加圧部材側開口部55は、その幅(図7(b)中、幅方向Y1に沿った長さ)が、支持部材21における支持部材側開口部27の長さ(支持部材21の軸線方向に沿った長さ)と同じか、又はそれよりも大きくなっている。加圧部材26における加圧部材側開口部55が、支持部材21における支持部材側開口部27の全体を覆うように、支持部材21の第1面21aである外面に当接するように対向配置される。このような構成となっていることによって、局所加圧部材54は、支持部材21における第1面21a側の位置において、図6に示すように、その加圧面54Aが、加圧部材側開口部55の延びる方向と同方向に延びており、かつ加圧面54Aが加圧部材側開口部55を挟んで位置するように、該加圧部材側開口部55に隣接して一対配置されている。
第2空気吹出部59は、上述した第1空気吹出部29と同様に、常温の圧縮空気を供給する部位である。第2空気吹出部59は、レーザー式接合装置20においては、図5ないし図8に示すように、加圧部材26を構成する本体部50Aに取り付けられている。本体部50Aにおける各側壁50A1は、局所加圧部材54との境界部分に長手方向X1に延びる貫通口50A2(図7(a)参照)を有している。各第2空気吹出部59は、その吹出し口が、貫通口50A2に位置するように、本体部50Aの各側壁50A1に取り付けられている。各第2空気吹出部59の吹出し口及び貫通口50A2は、加圧部材側開口部55と平行な方向であり長手方向X1に延びている。そして、各第2空気吹出部59は、各側壁50A1に設けられた貫通口50A2を介して、加圧部材26の本体部50Aの内部に向かって圧縮空気を供給できる構造となっている。
第2空気吹出部59の空気の供給方向は、側壁50A1の先端から傾斜して配されている局所加圧部材54の傾斜面の傾斜方向と略一致しており、各第2空気吹出部59の吹出し口から供給された圧縮空気は、局所加圧部材54の傾斜面に沿って移動することで、本体中空部51から加圧部材側開口部55に向かって圧縮空気を供給し、加圧部材側開口部55から空気を吹き出す構造となっている。第2空気吹出部59は、加圧部材側開口部55を挟んで一対で配されている。長手方向X1において、第2空気吹出部59の吹出し口の長さは、支持部材21に支持されるおむつ連続体10の分断予定部分(サイドシール部)の長さよりも長いことが好ましい。
以上の構成を有する加圧部材26の動作を示す様子が図8に示されている。図8は、レーザー式接合装置20の断面の要部を模式的に示すものである。同図は、円筒ロール23及び支持部材21の回転軸を通る縦断面図である。同図に示すとおり、加圧部材26は、その長手方向X1、換言すれば、該加圧部材26に設けられた加圧部材側開口部55の延びる方向の一端である後端部52bにヒンジ構造の支持部24を有している。支持部24は、第2円筒ロール25に取り付けられている。そして加圧部材26は、支持部24を支点として、支持部材21の回転軸を通る面内、例えば図8における紙面内において揺動運動が可能になっている。
加圧部材26が揺動運動を行う範囲は、図8に示すとおり、加圧部材26の加圧面54Aが、支持部材21の周面から十分に離間して、支持部材21の周面に導入されるおむつ連続体10と干渉しない状態(例えば図8においては、上側に示す加圧部材26が支持部材21の周面と直交する状態)から、該加圧面54Aが、支持部材21の周面と平行になる状態(図8における下側に示す状態)までの範囲である。この揺動範囲内において、加圧部材26は、支持部材21の周面に沿って周回しながら揺動運動を行い、周回をしている間、該加圧部材26の局所加圧部材54が、支持部材21の第1面21aに対して接離動作を繰り返すようになっている。加圧部材26を揺動運動させるためには、例えばカム機構を用いたり、シリンダ機構を用いたり、あるいはサーボモータを用いたりするなどの手段を用いることができる。本実施形態において、1つの加圧部材26に着目したときに、加圧部材26が支持部材21の周面に沿って1回の周回運動をする間に、開放状態、加圧に向かう揺動過程状態、加圧状態及び開放に向かう揺動過程状態の動作をこの順で1周期の動作として行っている。
以下に、シート融着体の製造方法における溶断工程を詳細に説明する。本製造方法における溶断工程は、溶断対象のシート積層体を加圧部材を用いて加圧し、次いで、該積層体に向けてレーザー光を照射して、シート積層体を所定の位置で分断する。以下の説明では、シート積層体及びシート融着体として、おむつ連続体10及びおむつ1をそれぞれ例にとり説明する。
まず、支持部材21における第1面21aに、帯状のシート積層体(帯状のおむつ連続体10)を配する。おむつ連続体10は、上述のとおり、少なくとも一部に樹脂を含む複数枚のシートが重ねられた積層体である。
次いで、第1面21a上におむつ連続体10が配されている状態で、おむつ連続体10におけるレーザー光が照射される部位を、加圧部材26を用いて加圧する。加圧部材26は、円筒ロール23の周方向に沿って周回移動しながら、加圧に向かう揺動過程状態を経て、おむつ連続体10を加圧する加圧状態となる。なお、開放状態は、支持部材21の第1面21aから、製品であるおむつ1が離間し、かつ加工の対象であるおむつ連続体10が支持部材21の第1面21aに支持されるまで範囲であり、加圧状態は、開放状態の範囲に対して180度反対側に位置し、かつ開放状態の扇形の中心角よりも広い中心角をもつ扇形の範囲である。揺動過程状態は、開放状態から加圧状態に遷移する間、及び加圧状態から開放状態に遷移する間の状態である。
詳細には、図9(a)に示す加圧に向かう揺動過程状態では、加圧部材26の局所加圧部材54は、支持部材21の第1面21aに支持されたおむつ連続体10に当接していない。図9(a)に示す状態から揺動運動が進行すると、図9(b)に示すように、加圧部材26がおむつ連続体10に当接する。この場合、支持部材側開口部27を挟んだ加圧部材26における一対の局所加圧部材54,54の先端の加圧面54Aがおむつ連続体10を局所的に加圧して押さえ付ける。つまり、支持部材21の第1面21a上に支持されたおむつ連続体10は、支持部材側開口部27を挟んだ両側の位置において、局所加圧部材54によって局所的に加圧される。このように局所的に加圧を行うことで、一対の局所加圧部材54に位置するおむつ連続体10は、それを構成する複数枚のシートが確実に密着するようになる。
おむつ連続体を構成する各シートが密着した状態下で、照射ヘッド35から、第1面21a上に配された状態のおむつ連続体10に向けて、レーザー光30を支持部材側開口部27に沿って照射し、おむつ連続体10をその幅方向にわたって分断する。レーザー光30が照射されるおむつ連続体10の部位は、レーザー光30から吸収した熱エネルギーによって分断され、これとともにシート積層体の構成シートに含まれる樹脂が溶融することによってシート積層体どうしの融着が進行する。これによって、分断部分は外装体3を構成する複数枚のシートが溶融状態となっている溶融縁部40Aが形成され、該溶融縁部40Aが冷却されることによって、複数枚のシートの縁部が融着したシール縁部41となる。
おむつ連続体10は、その構成シートとして樹脂を含むシートを有しているので、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10が分断され、溶融縁部が形成されたときに、微粒子化した樹脂(樹脂ヒューム)が発生してしまう。樹脂ヒュームは、製造環境中に飛散しやすく、また付着性も高いので、例えば支持部材側開口部27や加圧部材側開口部55等のレーザー光の照射部位近傍の部材に付着し堆積物が形成してしまうことがある。この堆積物は、シート融着体を含む製品に付着して、製品の品質低下を起こすことがある。
このような樹脂ヒュームを効率的に除去するために、レーザー光30をおむつ連続体10に照射して、おむつ連続体10が分断され且つ溶融縁部が形成されるとともに、第1空気吹出部29及び第2空気吹出部59の双方から空気を供給して、各部材の開口部27,55を介して、レーザー光30が照射されるおむつ積層体の部位(分断部位)に対して空気を吹きつける。各空気吹出部29,59から供給された空気は、おむつ連続体10が配されている方向(図9中Y1方向)に沿って流れるようになるので、分断によって発生した樹脂ヒュームをおむつ連続体10側に飛ばし、該連続体10に付着させて除去することができる。このあと、図9(b)に示す状態から揺動運動が進行すると、図9(c)に示すとおり、加圧部材26が、シール縁部41が形成されたシート積層体の部位から離間し加圧状態を開放する。
以上の工程を経ることによって、おむつ連続体10を構成する各シートどうしの融着を確実に行うことができ、十分な強度を有する融着部40を形成することができる。また、分断によって発生した樹脂ヒューム等が支持部材21及び加圧部材26に付着することを抑制することができ、樹脂ヒュームの付着に起因するレーザー式接合装置20の不具合を効果的に防止することができる。更に支持部材21及び加圧部材26に付着した樹脂ヒュームの堆積物ができにくいので、該堆積物がシート融着体を含む製品に移ることが起こりにくく、柔軟性、肌触りに優れた製品を製造することができる。
シート積層体の分断によって発生した樹脂ヒュームをシート積層体に付着させて効率的に除去する観点から、第1空気吹出部29及び第2空気吹出部59からの空気の供給は、レーザー光30の照射の前後で連続して行われていることが好ましい。具体的には、第1空気吹出部29及び第2空気吹出部59からの空気の供給は、照射ヘッド35からレーザー光30がシート積層体に照射される前に開始することが好ましい。この場合、図9(a)に示すように、おむつ連続体10(シート積層体)が加圧部材26によって加圧される前に各空気吹出部29,59からの空気の供給を開始してもよく、図9(b)に示すように、シート積層体が加圧部材26によって加圧された後で各空気吹出部29,59からの空気の供給を開始してもよい。加圧部材26によるシート積層体への加圧は、好ましくは0.1MPaより大きく8MPaより小さく、より好ましくは0.5MPaより大きく5MPaより小さく、更に好ましくは1.15MPaより大きく5MPaより小さい。
また同様の観点から、図9(c)に示すように、レーザー光30がおむつ連続体10に照射された後、加圧部材26によるシート積層体への加圧を弱めつつ、各空気吹出部29,59から空気を供給することも好ましく、また、加圧部材26による加圧が解除されるまで空気の供給が行われることも好ましい。
各空気吹出部29,59からの空気の供給によって各開口部27,55から吹き出す空気は、その圧力に偏りが生じてしまうことがある。この場合、空気の流れが支持部材21側又は加圧部材26側へ向かうようになってしまい、空気中に浮遊する樹脂ヒュームが支持部材21又は加圧部材26に付着し堆積物が形成されてしまうことがある。この点に関して、装置20の構成部材への堆積物の形成を防ぐ観点から、樹脂ヒュームが飛散する方向をシート積層体の面方向に沿う方向となるように制御することが好ましい。具体的には、レーザー光30が照射されるシート積層体に向けて、第1空気吹出部29及び第2空気吹出部59のそれぞれから同圧の空気を供給することが好ましい。特に、第1空気吹出部29の供給によって、支持部材21における支持部材側開口部27から吹き出す空気と、第2空気吹出部59によって、加圧部材26における加圧部材側開口部55から吹き出す空気とが、それぞれ同圧となるようにすることが、樹脂ヒュームの飛散を防いで、シート積層体への樹脂ヒュームの付着を効果的に促進する点で一層好ましい。
各空気吹出部によって供給された空気を樹脂ヒュームとともにシート積層体の内部に通過させて、シート積層体への樹脂ヒュームの付着性を高める観点から、シート積層体は、通気性を有するシートを含むことが好ましい。通気性を有するシートとしては、例えば上述した外装体に用いられる各種の不織布等が挙げられる。
シート積層体の分断及び融着によって形成されたシール縁部は、溶融縁部の形成及び冷却固化の過程において、その周囲に樹脂片等の意図しない突起物(いわゆるバリ)が付着又は形成することがある。この樹脂片は、シート融着体であるおむつ1の外観上の見栄えを悪くしたり、また肌触りが悪くなったりすることがある。見栄えを良好にし、且つシート融着体の肌触りを一層向上させる観点から、レーザー光による分断融着を行って、シール縁部を有するシート融着体を製造した後で、加圧部材26による加圧を解除し、その後で、形成されたシール縁部に対して空気を吹き付けるか、又は吸引して、該シール縁部に付着した樹脂片を除去することが好ましい。つまり、加圧部材26が開放状態になった後で、おむつ1に形成されたシール縁部41に対して、ブロワー等の空気吹き付け手段によって空気を吹き付けるか、又は吸引ポンプ等の吸引手段によって樹脂片を吸引することによって、シール縁部41に付着した樹脂片を除去することが好ましい。
このように製造されたシート融着体を含む製品であるおむつ1は、図1及び図2に示すとおり、サイドシール部4に、前身頃Fにおける外装体3の縁部と後身頃Rにおける外装体3の縁部とが、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41が形成されている。融着部40の厚みは、外装体の合計厚みと同じか、それより小さくなる。
またシール縁部41は、図2に示すとおり、着用時におけるサイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、融着部40からなる外縁が、おむつ1の内方に向かって窪んだ形状を有している。また、そのシール縁部41は、内外方向Pにおける融着部40より外側に、外装体3の構成繊維が繊維形状を残した部分を有しない。そのため、外観上の見栄えもよく、また、肌触りが向上する。
シート積層体の分断及び融着に用いられるレーザー光は、外装体3を構成するシート(例えば外層シート31及び内層シート32)に吸収され、該シートを発熱させる波長のレーザー光を用いる。このようなレーザー光としては、CO2レーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。また、レーザー光の波長としては、例えば8.0μm以上15.0μm以下を用いることが好ましく、高出力のレーザー装置が存在するCO2レーザーの発振波長の9.0μm以上11.0μm以下を用いることが特に好ましい。レーザー光のスポット径、レーザー出力等は、外装体を構成するシートの材質や厚み等を考慮して適宜選択することができる。
加圧部材26を揺動運動させる代わりに、加圧部材26を、支持部材21の径方向に沿った往復運動させるような構成とすることもできる。本構成では、加圧部材26が支持部材21の周面に沿って周回をしている間、該加圧部材26が支持部材21の径方向に沿って往復運動を行い、それによって該加圧部材26が支持部材21の第1面21aに対して接離動作を繰り返すようになる。加圧部材26を往復運動させる手段は、揺動運動させる手段と同様の手段を用いることができる。
1 シート融着体(パンツ型使い捨ておむつ)
2 吸収性本体
3 外装体
4 サイドシール部
40 融着部
41 シール縁部
10 シート積層体(おむつ連続体)
20 レーザー式接合装置
21 支持部材
26 加圧部材
27 支持部材側開口部(光通過部)
29 第1空気吹出部
55 加圧部材側開口部
59 第2空気吹出部
2 吸収性本体
3 外装体
4 サイドシール部
40 融着部
41 シール縁部
10 シート積層体(おむつ連続体)
20 レーザー式接合装置
21 支持部材
26 加圧部材
27 支持部材側開口部(光通過部)
29 第1空気吹出部
55 加圧部材側開口部
59 第2空気吹出部
Claims (5)
- 複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造方法であって、
第1面及び該面と反対側に位置する第2面を有する支持部材における第1面に、少なくとも一部に樹脂を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体を配し、その状態で該シート積層体を加圧部材を用いて加圧し、次いで
前記支持部材における第2面側に配置される照射ヘッドから、第1面に配された状態の前記シート積層体に向けてレーザー光を照射する溶断工程を有し、
前記溶断工程において、前記シート積層体の幅方向に沿って延びるスリット状の支持部材側開口部に沿って前記レーザー光を該シート積層体に照射して、該シート積層体をその幅方向にわたって分断し複数枚のシートが重なった状態で融着させて、前記シール縁部を形成するとともに、
分断される前記シート積層体に対して、前記加圧部材側に配置された第1空気吹出部及び前記支持部材側に配置された第2空気吹出部それぞれから空気を供給する、シート融着体の製造方法。 - 前記照射ヘッドからレーザー光を照射する前に、第1空気吹出部及び第2空気吹出部それぞれから空気を供給する、請求項1に記載のシート融着体の製造方法。
- 前記レーザー光が照射される前記シート積層体に向けて、第1空気吹出部及び第2空気吹出部それぞれから同圧の空気を供給する、請求項1又は2に記載のシート融着体の製造方法。
- 前記シート積層体は、通気性を有するシートを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシート融着体の製造方法。
- 前記シール縁部を有するシート融着体を製造した後で、前記加圧部材による加圧を解除し、然る後に、
前記シール縁部に対して空気を吹き付けるか、又は吸引して、該シール縁部に付着した樹脂片を除去する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のシート融着体の製造方法。
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CN114224617A (zh) * | 2021-12-01 | 2022-03-25 | 杭州可靠护理用品股份有限公司 | 内裤型纸尿裤的侧封压合工艺 |
-
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- 2018-11-13 JP JP2018212705A patent/JP2020078884A/ja active Pending
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