JP3693646B2 - 防犯用ロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機などの防犯用に使用されるもので、機本体の扉正面に有するドア用施錠装置とは別に、機本体と扉間を跨ぐL状のロックアームを用いてロックアームを用いて扉の開閉を二重にロックする防犯用ロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動販売機などでは、図15に示すように、販売機本体1の扉2にドア用施錠装置3が組み込まれているが、バール等の適宜工具を使って不正に解錠されたり、破壊されたりして盗難に会うことがあるため、主たるドア用施錠装置3とは別に防犯用ロック装置4を備え、この防犯用ロック装置4とドア用施錠装置3とで扉2の開閉を二重にロックしている。
【0003】
従来の防犯用ロック装置4には、丸棒をL状に折り曲げたロックアーム5と、ロックアーム5の基端側アーム部5aを回動自在に保持するアームホルダ6を備えている。アームホルダ6は、シリンダ錠6aと、シリンダ錠6aの施解錠動作と連動してロックアーム5を係脱自在に保持するアーム保持機構(図示省略)を内蔵し、販売機本体1の側面に固定する構造になっている。そして、扉2の開閉をロックするときは、鍵でシリンダ錠6aを解錠してロックアーム5の回動規制を解除してから、ロックアーム5を回動し、その先端側アーム部5bがドア用施錠装置3の鍵穴3aを覆うロック位置に配して扉2の開閉を規制している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のような従来の防犯用ロック装置では、ロック時に細い先端側アーム部5bがドア用施錠装置3の鍵穴3aを覆うロック位置になるように、ロックアーム5を正確に機本体1に取り付けることができず、アーム取付位置にズレを生じやすいという問題がある。しかも、自動販売機側において、ドア用施錠装置3が扉正面に縦付けだったり横付けだったり、通常、ドア用施錠装置3の取付態様も一定でないため、それが原因で、ロックアーム5を取り付けたとき、細い先端側アーム部5bが鍵穴3aを覆う遮蔽位置からずれやすいという問題がある。そのような結果、従来、ロックアーム5は、先端側アーム部5bから鍵穴3aが一部覗いた取付状態になりやすく、結局、不正に解錠されて、依然として盗難を十分に防止できないという課題があった。
【0005】
また、仮に、先端側アーム部5bが鍵穴3aを覆うロック位置に、ロックアーム5を正確に機本体1に取り付けた状態にしても、従来の構造によっては、適宜工具を使って、細い先端側アーム部5bを叩いて鍵穴3aからずらすことにより、不正に解錠されることがあり、やはり盗難を十分に防止できないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ロックアーム取付の位置ズレに関係なく、たとえドア用施錠装置を鍵穴から不正に解錠しようとしても、これを防止して盗難防止効果をより一層向上させる防犯用ロック装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成すべく、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、機本体Aの扉正面に有するドア用施錠装置Cとは別に、機本体Aに扉との間を跨ぐL状のロックアーム10を取り付けて扉Bの開閉を二重にロックするロック装置であって、機本体Aの側面49にアームホルダ11を固定し、該アームホルダ11で、ロックアーム10を、その先端側アーム部10dがドア用施錠装置Cの鍵穴26aを覆うロック位置と、その鍵穴部位から離れた機本体Aの側面49に沿って直立するロック解除位置とに回動可能に保持する構造の防犯用ロック装置Rにおいて、前記ロックアーム10の先端側アーム部10dに施錠カバー手段12を取り付け、該施錠カバー手段12を、それぞれ耐衝撃性成形材料を用いて異なるブロック形状に一体成形した複数種類の成形カバー部材12a…を備えて構成し、各々の成形カバー部材12a…は、前記ロックアーム10の先端側アーム部10dが前記ロック位置にあるとき、扉正面と向き合う背面t側に、固定用ねじ16のような固定手段を嵌め込む取付穴55を設け、先端側アーム部10dが前記ロック解除位置にあるとき、取付穴55から固定手段を外して別の成形カバー部材に取り替え可能に構成してなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防犯用ロック装置Rにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記成形カバー部材12a…に凹状のグリップ部54を設けてなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の防犯用ロック装置Rにおいて、たとえば以下に示す図示実施の形態のとおり、前記成形カバー部材12a…に掛止め部60を設けてなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図6は、本発明による防犯用ロック装置を、一例として自動販売機に取り付けた状態を示す斜視図である。図中符号Aは、自動販売機の機本体、Bは、機本体Aに開閉自在に取り付けた扉、Cは、扉Bの正面に組み込まれたドア用施錠装置である。ドア用施錠装置Cは、扉Bに周知のシリンダ錠26を内蔵する一方、その鍵穴26aを扉正面から臨ませ、鍵穴26aから鍵45を差し込んで施解錠可能になっている(図1参照)。
【0012】
さて、図6中符号Rで示す装置が、ドア用施錠装置Cと相俟って、扉Bを二重にロックする本発明の防犯用ロック装置である。防犯用ロック装置Rには、ロックアーム10およびアームホルダ11と共に、特に、施錠カバー手段12の成形カバー部材12aを備える。
【0013】
ロックアーム10は、自動販売機のコーナー部形状に合わせて、図2〜図4に示すように、金属製の丸棒をL字状に曲げ成形して基端側アーム部10aを一段やや細径に形成し、基端側アーム部10aの片側に、後述するロックプレートcの板厚に合わせた溝幅の切欠き溝10bを設けている。同じ基端側アーム部10aの他側には、回転規制用のねじ14のねじ穴10cを径方向に螺設している。回転規制用ねじ14には、捩じ込み用の断面六角穴を有する。一方、先端側アーム部10dには、ねじ穴10cと同じ他側に、施錠カバー手段12の固定用ねじ(固定手段)16のねじ穴10eを径方向に螺設している。
【0014】
本発明における施錠カバー手段12は、複数種類の異なるブロック形状をなす成形カバー部材12a…を揃えて構成するが、図1〜図10に、その1種類の成形カバー部材12aを示している。成形カバー部材12aは、耐衝撃性成形材料、たとえば硬質で高強度の樹脂材料や金属材料を用いてブロック形状に一体成形する。そして、図2〜図4に示すように、少なくともブロック正面sと背面t側をドア用施錠装置Cのシリンダ錠26の円形鍵穴部位より幅広で、丸みを帯びた略直方体状に形成している。また、両端面v間には、アーム挿通穴53を挿設し、図中上面w側に凹状のグリップ部54を設け、アーム挿通穴53を外部に臨ませている。さらに、特に背面t側には、固定用ねじ16のねじ穴10eと対応する雌ねじ穴から成る取付穴55を、アーム挿通穴53へと貫通するように螺設してなる。
【0015】
上記アームホルダ11は、ホルダ本体13と、ホルダ本体13に内蔵するシリンダ錠15およびロックアーム10の保持手段を構成する複数の機構部品Pを備える。機構部品Pとしては、シリンダストッパaと、カムbと、ロックプレートcと、付勢ばねdを備える。
【0016】
ホルダ本体13は、外装ケース19と、外装ケース19内に嵌め込む組付用ブロック20の2つに分割して構成してなる。外装ケース19は、硬質で剛性の高い金属材料、例えばステンレス鋼を用い、固定側の背面側に矩形な開口21をあけて板厚を肉厚にした直方形箱状に成形する。そして、底面に、シリンダ錠15を挿通する円形なシリンダ挿通穴22を設ける。一方、ロックアーム10を嵌挿する側の一側面23には、円形のアーム挿通穴24を設けると共に、同じ一側面23の内側には、アーム挿通穴24の下側に、凸状の第1掛止部19aを設ける。さらに、矩形開口21側と反対の正面18にも、図5に示すように、内側に凸状の第2掛止部19bを設ける。第2掛止部19bは、突端部分を屈曲させて第1掛止部19aと同じ向きに突設している。
【0017】
組付用ブロック20は、低融点合金、例えばダイカスト用亜鉛合金を用いてダイカスト鋳造法により、図2〜図4に示すように、外装ケース19の中空部形状に合わせて全体を直方体状に成形する。また、そのほかダイカスト用アルミニウム合金などを用いて成形することもできる。
【0018】
そして、組付用ブロック20には、図中下部に、外装ケース19のシリンダ挿通穴22と対応する円形穴25を、底面から図中上向きに設けて成形する。一方、上部には、アーム挿通穴24と対応する位置で、横向きに貫通する筒穴27を設ける。また、片側の側面28には、外装ケース19の凸状第1掛止部19aと対応する、凹状の第1掛止部20aを設ける。第1掛止部20aは、一側の側面28に一段低い段部を設けて凹状に成形する。他側の側面29と正面30間の角部には、外装ケース19の凸状第2掛止部19bと対応する、凹状の第2掛止部20bを設ける。第2掛止部20bは、角部に矩形の連通穴をあけて凹状に形成している。
【0019】
さらに、組付用ブロック20の下部には、固定側の背面31に、機構部品Pのシリンダストッパaを組み込むストッパ組付凹部20cと、その上段にカムbを組み込むカム組付凹部20dを設ける。また、ストッパ組付凹部20cの横には、シリンダストッパaと係合する凸状のストッパ係合部20eを、縦向きに残して成形している。さらに、ストッパ係合部20eの上方には、同じ背面31において、筒穴27と連通する直交方向に、回転規制用ねじ12のねじ挿通穴32を設ける。
【0020】
加えて、組付用ブロック20には、筒穴27とねじ挿通穴32とが直交する連通位置において(図7参照)、さらに図中上向きに開口する穴を穿設し、そこにロックアーム10の回転角度を90度の範囲に規制する回転規制凹部20fを成形する。なお、図3および図4に示すように、同じ背面31には、その角縁に2個所雌ねじを切って、固定ねじ用のねじ穴33を成形している。
【0021】
一方、上部には、その頂面34に、機構部品Pの付勢ばねdを配置する収納凹部20gを設ける。収納凹部20gは、付勢ばねdの外形に合わせて略H型に成形し、付勢ばねdを入れて載置できるように形成している。さらに、同じ頂面34には、収納凹部20gの間に図中下向きにロックプレートcを差し込む組付穴20hを設ける。組付穴20hは、ロックプレートcの上下動を案内するために、その厚板な形状に合わせて縦長に穿設し、下方のカム組付凹部20dと連通するように成形する。
【0022】
この組付用ブロック20に組み込む機構部品Pの中で、シリンダストッパaは、亜鉛ダイカスト製で、シリンダ錠15の本体の外周形状に合わせて凹設したシリンダ保持凹部35を有し、該シリンダ保持凹部35の上段に、カムbの外周形状に合わせて凹設したカム保持凹部36を有する。加えて、これら凹部35・36の横に、組付用ブロック20に有するストッパ係合部20eに対応させて、図中高さ方向に溝状の係合部37を設けている。
【0023】
カムbは、亜鉛ダイカスト製で、円板部38の中心に、シリンダ錠15の先端に有する作用突起15aの外形に合わせてあけた係合穴38aを有する。円板部38の周縁には、凹部と凸部をそれぞれ対称な位置に設け、それら凹凸部の端面にカム曲線を形成している。そして、凹部と凸部の端面に、それぞれ一段高い第1カム面mと低い第2カム面nを形成してなる。
【0024】
ロックプレートcは、ステンレス鋼製で、アーム挿通穴39をあけた略矩形状の厚肉な板材からなる。そして、アーム挿通穴39の内周縁を、径方向外向きに一部を切り欠いて、その横にアーム係止板部39aを形成する。さらに、アーム係止板部39aと反対の図中下端に、カムbのカム面m・nと各々対応する一対の下向き凸部39bを設けている。なお、図示例の付勢ばねdは、略H形のねじりスプリングである。
【0025】
アームホルダ11は、上記した機構部品Pの他に、外装ケース19の矩形開口21に被せる樹脂製の蓋体40、固定用ねじ41、ばね座金42、六角ナット43を備える。固定用ねじ41には、捩じ込み用の断面六角穴を有する。
【0026】
さて、上述した構成部品を備える防犯用ロック装置Rを組み立てる場合、ロックアーム10は、先端側アーム部10dを成形カバー部材12aのアーム挿通穴53に挿入し、ねじ穴10e位置に取付穴55を合わせてから、成形カバー部材12aの背面t側から固定用ねじ16を捩じ込み、図2に示すように成形カバー部材12aを組み付ける。
【0027】
一方、組付用ブロック20には、図3および図4に示すように、背面31側からカム組付凹部20dにカムbを組み込む。また、頂面34側から、組付穴20hにロックプレートcを差し込み、一対の凸部39bをカムb上に載せる。次いで、付勢ばねdを組付凹部20gに入れて載置する。それから、付勢ばねdを押えながら、組付用ブロック20を、正面30側を矩形開口21に向けて、外装ケース19内に嵌め入れる。しかる後、組付用ブロック20を外装ケース19内で図5中矢示するX方向にスライドし、凹状の第1掛止部20aは、外装ケース19の凸状第1掛止部19aに嵌め合わせ、凹状の第2掛止部20bは、外装ケース19の凸状第2掛止部19bに嵌め合わせて、組付用ブロック20と外装ケース19とを連結する。
【0028】
次いで、ロックアーム10は、基端側アーム部10aを、図3および図4に示す外装ケース19のアーム挿入穴24を通して組付用ブロック20の筒穴27に挿入する。そして、回転規制用ねじ14を、ねじ挿通穴32を通してロックアーム10のねじ穴10cに捩じ込み、ねじ頭部を、回転規制凹部20f内において基端部10aの外周から突出させる(図7参照)。
【0029】
その後、シリンダ錠15を、シリンダ挿通穴22と円形穴25を通して挿入し、シリンダストッパaのシリンダ保持凹部35に嵌め込み、先端の作用突起15aをカムbの中心係合穴38aに係合させて保持する。それから、シリンダストッパaをストッパ組付凹部20cに組み込む。そして、シリンダ保持凹部35をシリンダ錠15の本体に、カム保持凹部36をカムbに、溝状の係合部37を組付用ブロック20のストッパ係合部20eに、それぞれ嵌め付ける。こうして機構部品Pの中で最後にシリンダストッパaを組み込むと、その他の機構部品Pが組付状態の組付用ブロック20と外装ケース19とが固定状態になる。しかる後、外装ケース19の矩形開口21に蓋体40を被せて弾性的に嵌め付けると、防犯用ロック装置Rが組み立てられる。
【0030】
この防犯用ロック装置Rを機本体Aに取り付けるときは、図5および図6に示す機本体Aの側面49のドア用施錠装置C寄りにおいて、ドア用施錠装置Cと対応する所定取付高さ位置に、アームホルダ11の蓋体40を当てがい、機本体Aの内側から、固定用ねじ41を組付用ブロック20のねじ穴33に捩じ込み、固定用ねじ41にばね座金42を介して六角ナット43を螺合して締め付け、アームホルダ11を機本体Aの側面49に固定する。
【0031】
さて、図示自動販売機において、扉Bを閉じてから、その扉Bをロックする場合は、始めに、鍵45を操作して扉Bのドア用施錠装置Cを施錠する。そのとき、防犯用ロック装置Rでは、ドア用施錠装置Cを施錠操作しやすいように、ロックアーム10は、図8に示すように、先端側アーム部10dが直立状態にある退避姿勢とし、ドア用施錠装置Cから離しておく。
【0032】
しかる後、防犯用ロック装置Rを作動させて扉Bを二重にロックする。その場合は、まずロックアーム10を、成形カバー部材12のグリップ部54を握って、図7(A)中矢示する方向に90度回動する。なお、このとき、ロックアーム10は、後述するロック解除操作を行うことにより、予め回動可能なロック解除状態にあるとする。こうして90度回動させると、ロックアーム10は、回転規制用ねじ14が回転規制凹部20fの水平な第1規制面50に当たり、切欠き溝10bが上向きのロック位置で止まる。すると、図9に示すように、成形カバー部材12aにより、ドア用施錠装置C側のシリンダ錠26における鍵穴部位を完全に覆った水平なロック姿勢になる。
【0033】
次いで、防犯用ロック装置R側のシリンダ錠15における鍵穴に、図1に示すように、鍵45を差し込んで回し、図10(A)に示すように、シリンダ錠15の作用突起15aを、施錠角度位置へ90度回動する。すると、カムbは、一段低い第2カム面n上にロックプレートcの凸部39bが乗るロック位置へ回転する。そのため、ロックプレートcは、付勢ばねdによりロック解除高さ位置からロック高さ位置へ一段押し下がり、アーム係止板部39aを切欠き溝10bに係止してロックアーム10の動きをロックする。これにより、ロックアーム10で扉Bの開閉を規制するロック状態にする。
【0034】
加えて、防犯用ロック装置Rは、図1に示すように、成形カバー部材12aにより、ドア用施錠装置Cのシリンダ錠26における鍵穴部位およびその周辺を覆った状態で扉Bの開閉をロックする。しかも、このとき、成形カバー部材12aは、背面t側が扉正面と向き合い、その間で固定用ねじ16を遮蔽して固定用ねじ16の取り外しを規制した状態になる。
【0035】
従って、図示自動販売機では、たとえドア用施錠装置Cを不正に解錠操作して扉Bを開けようとしても、成形カバー部材12aが邪魔で、その開放を阻止することができる。たとえ適宜工具を使って叩いたりして成形カバー部材12aをずらそうとしても、その程度では、幅広な成形カバー部材12aによる鍵穴部位の遮蔽状態は変わらず、とてもドア用施錠装置Cを不正解錠して扉Bを開けることはできない。
【0036】
一方、必要に応じて、扉Bのロックを解除するときは、防犯ロック装置R側におけるシリンダ錠15の鍵穴に鍵45を差し込んで回し、図10(B)に示すように、シリンダ錠15の作用突起15aを、反対の解錠角度位置へ90度回動する。すると、カムbが連動し、第1カム面m上にロックプレートcの凸部39bが乗り上がるロック解除位置へ回転する。そして、第1カム面mでロックプレートcを付勢ばねdに抗して押し上げ、アーム係止板部39aがロックアーム10の切欠き溝10bと非係合状態になるロック解除位置へ退避させる。このようにロック解除状態にしてから、成形カバー部材12aのグリップ部54を握って、ロックアーム10を図7(B)中矢示する方向に90度回動する。すると、ロックアーム10は、回転規制用ねじ14が回転規制凹部20fの垂直な第2規制面51に当たって止まり、図8に示すように先端側アーム部10dが機本体Aの側面49に沿って直立した退避状態のロック解除位置に戻る。
【0037】
そのようにロックアーム10を退避姿勢とし、先端側アーム部10dをドア用施錠装置Cから離れたロック解除位置にしてから、鍵45を操作して扉Bのドア用施錠装置Cを解錠し、扉Bの二重ロック状態を解く。
【0038】
ところで、本発明の防犯用ロック装置Rでは、上述のようにロックアーム10を、先端側アーム部10dが機本体Aの側面49の横に退避した姿勢にしてから、たとえば商品のキャンペーン期間毎に、自動販売機の商品販売上の都合などに応じて、成形カバー部材12aを、施錠カバー手段12に別に備える成形カバー部材と取り替える。このとき、成形カバー部材12aは、その背面t側が機本体Aの側面49の横で開放状態にあるため、固定用ねじ16を、障害なく取付穴55から簡単に外すことができる。
【0039】
図11〜図14に、図示防犯用ロック装置Rにおいて、施錠カバー手段12に別に備える取替用成形カバー部材の一例を示す。施錠カバー手段12には、図11に示す成形カバー部材12bの如く、玩具のキャラクタ形状に成形した成形カバー部材を備える。図12には、他のキャラクタ形状に成形した取替用に備える成形カバー部材12cを示す。
【0040】
さらに、施錠カバー手段12には、図13に示すように、凹部59に軸を渡して掛止め部60を設けて成形した成形カバー部材12dを、取替用に備えることもできる。図示例では、掛止め部60に、たとえば商品キャンペーン用の懸賞応募はがきや宣伝広告用のパンプレット等を紐やフックなどを介して掛けて使用することができる。図14には、他の凹形状のグリップ部54を形成した取替用の成形カバー部材12eを示す。
【0041】
なお、上述した図示実施の形態では、施錠カバー手段12の固定手段として固定用ねじ16を用いたが、それに限らず、たとえば固定用ピンを用いて取付穴に圧入するなど、そのほか適宜固定手段を使用して成形カバー部材12a…をロックアーム10に取り付けることもできるのは、勿論である。
【0042】
以上の図示実施の形態では、防犯用ロック装置Rを自動販売機に適用した例を示したが、本発明は、自動販売機に限らず、盗難防止のために、主たる錠装置とで開閉扉を二重にロックすることが必要な機器であれば、開閉扉付きの重要機器に広く適用することができる。
【0043】
【発明の効果】
上述の如く構成した本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0044】
請求項1に記載の防犯用ロック装置によれば、施錠カバー手段の成形カバー部材により、ロックアームの機本体に対する取付位置のズレや、扉正面に対する縦付けや横付けなどドア用施錠装置の取付態様の違いに関係なく、ドア用施錠装置の鍵穴部位およびその周辺を広く覆って扉の開閉をロックし、たとえ適宜工具を使って叩いたりして成形カバー部材をずらすなどドア用施錠装置を不正に解錠操作して扉を開けようとしても、これを確実に防止して盗難防止効果をより向上させることができる。
【0045】
しかも、ロックアームで扉の開閉をロックしたとき、成形カバー部材の固定手段を取り付けた背面側が扉正面と向き合い、その間で固定手段を隠して固定手段の取り外しを規制し、これにより、成形カバー部材のロックアームからの取り外しを困難にし、それだけ盗難防止効果をより一層向上させることができる。
【0046】
さらに、請求項1に記載の防犯用ロック装置によれば、固定手段を外して、成形カバー部材を、施錠カバー手段に備える別の成形カバー部材と取り替えることにより、たとえば商品のキャンペーン期間毎に成形カバー部材の種類を切り替えて、自動販売機の商品販売の都合などに適応させることができる。しかも、成形カバー部材の取替時は、ロックアームを、ロック解除位置にして成形カバー部材の背面側が機本体の側面の横で開放状態にすることにより、固定手段を、障害なく取付穴から簡単に外すことができ、取り替え作業に便利であるという効果を奏することができる。
【0047】
請求項2に記載の防犯用ロック装置によれば、成形カバー部材のグリップ部がロックアームの取っ手を兼ね、グリップ部を握って、ロックアームをロック位置とロック解除位置とに容易に回動操作することができる。
【0048】
請求項3に記載の防犯用ロック装置によれば、成形カバー部材の掛止め部に、たとえば商品キャンペーン用の懸賞応募ハガキや宣伝広告用のパンプレット等を紐やフックなどを介して掛けて使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ロックアームが成形カバー部材でドア用施錠装置の鍵穴部位を覆ったロック位置にある本発明の防犯用ロック装置を示す正面図である。
【図2】 防犯用ロック装置の組立斜視図である。
【図3】 防犯用ロック装置の分解斜視図である。
【図4】 図3と逆向きに示す防犯用ロック装置の分解斜視図である。
【図5】 防犯用ロック装置の横断面図である。
【図6】 防犯用ロック装置を取り付けた自動販売機を示す斜視図である。
【図7】 防犯用ロック装置におけるロックアームの回動規制構造を示し、(A)はロック時の回動規制状態を示し、(B)はロック解除時の回動規制状態を示す状態説明図である。
【図8】 扉に対しロックアームを退避させてロック解除状態にある防犯用ロック装置を示す正面図である。
【図9】 扉に対しロックアームがロック姿勢にある防犯用ロック装置を示す正面図である。
【図10】 防犯用ロック装置のロックアームに対するロック構造を、(A)はアームロック状態において、(B)はその解除状態においてそれぞれ一部を断面にして示す状態説明図である。
【図11】 施錠カバー手段に備えるキャラクタ形状の成形カバー部材を示す斜視図である。
【図12】 別のキャラクタ形状の成形カバー部材を示す斜視図である。
【図13】 掛止め部を有する成形カバー部材を示す斜視図である。
【図14】 他のグリップ部を有する成形カバー部材を示す斜視図である。
【図15】 従来の防犯用ロック装置を組み付けた自動販売機を示す斜視図である。
【符号の説明】
A 機本体
B 扉
C ドア用施錠装置
R 防犯用ロック装置
t 成形カバー部材の背面
10 ロックアーム
10d 先端側アーム部
11 アームホルダ
12 施錠カバー手段
12a〜12e 成形カバー部材
16 固定用ねじ(固定手段)
49 機本体の側面
54 グリップ部
55 取付穴
60 掛止め部
Claims (3)
- 機本体の扉正面に有するドア用施錠装置とは別に、機本体に扉との間を跨ぐL状のロックアームを取り付けて扉の開閉を二重にロックするロック装置であって、機本体の側面にアームホルダを固定し、該アームホルダで、ロックアームを、その先端側アーム部がドア用施錠装置の鍵穴を覆うロック位置と、その鍵穴部位から離れた機本体の側面に沿って直立するロック解除位置とに回動可能に保持する構造の防犯用ロック装置において、
前記ロックアームの先端側アーム部に施錠カバー手段を取り付け、該施錠カバー手段を、それぞれ耐衝撃性成形材料を用いて異なるブロック形状に一体成形した複数種類の成形カバー部材を備えて構成し、
各々の成形カバー部材は、前記ロックアームの先端側アーム部が前記ロック位置にあるとき、扉正面と向き合う背面側に固定手段を嵌め込む取付穴を設け、先端側アーム部が前記ロック解除位置にあるとき、取付穴から固定手段を外して別の成形カバー部材に取り替え可能に構成してなる、防犯用ロック装置。 - 前記成形カバー部材に凹状のグリップ部を設けてなる、請求項1に記載の防犯用ロック装置。
- 前記成形カバー部材に掛止め部を設けてなる、請求項1又は2に記載の防犯用ロック装置。
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