JP3693264B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波のドプラ効果を利用して血液等、被検体内の運動状態を診断する超音波診断装置に係り、特に高精度でドプラ偏移の最高周波数を検出する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、超音波パルスドプラ法とパルス反射法とを併用することによって一つの超音波プローブで血流情報と断層像(白黒Bモード像)情報を得、血流情報をリアルタイムで表示するようにした超音波診断装置が知られている。
【0003】
図11は、従来の超音波診断装置の機能ブロック図を示している。図11に示すように、従来の超音波診断装置100は、超音波振動子101と、パルサ103と、前置増幅器105と、ミキサ107と、ローパスフィルタ109と、サンプルホールド回路111と、バンドパスフィルタ113と、高速フーリエ変換器(以下FFTと記す)115と、表示器117と、レンジゲート回路119と、パルス発生回路121とを備えている。
【0004】
次に、従来の超音波診断装置100を用いて血流速度を測定する場合の動作原理を図11と図12を用いて説明する。
【0005】
まず、パルス発生回路121は、クロックパルスaを発振し、このクロックパルスaをレンジゲート回路119に出力する。また、パルス発生回路121は、分周回路およびゲート回路等を備え、このクロックパルスaに基づき超音波繰り返し周波数に相当するレートパルスbを発生し、パルサ103およびレンジゲート回路119に出力する。
【0006】
パルサ103は、供給されたレートパルスbから高電圧の駆動パルスを作り、超音波振動子101を駆動する。超音波振動子101は、電気信号を機械振動に変換し、生体表面Pを介して生体内へ超音波を送波する。この超音波は生体内の血管壁および血管内の血流(主に赤血球)により一部反射され、そのエコー信号は同一の超音波振動子101で受信され、電気信号dに変換される。
【0007】
すなわち、被検体である生体内を流れている血流に対して超音波パルスを送波すると、この超音波ビームの中心周波数fcは、流動する血流によって散乱され、ドプラ偏移を受けて周波数fdだけ変化する。このため、受信周波数fはf=fc+fdとなる。このとき、周波数fc,fdは、次の式(1)により現される。
fd=(2・V・cosθ/C)・fc …(1)
ここで、Vは血流速度、θは超音波ビームと血流との成す角度、Cは生体内の音速(約1530m/S)を表している。
【0008】
したがって、ドプラ偏移fdを検出することによって血流速度Vを得ることができる。
【0009】
前置増幅器105は、超音波振動子101から入力する前記電気信号dを増幅した後、ミキサ107に入力する。ミキサ107は前置増幅器105から入力する電気信号dとクロックパルス発生部121から入力するクロックパルスaとを混合する。そしてローパスフィルタ109は、ミキサ107から入力する混合信号の内、超音波周波数等の高周波成分を除去する。
【0010】
そして生体内の血流が流れている深さの位置Oだけのドプラ信号を抽出するために、ローパスフィルタ109からの信号をサンプルホールド回路111に出力する。
【0011】
レンジゲート回路119は、遅延時間が任意に設定できるが、ここでは、超音波が超音波振動子101からレンジゲート位置(サンプリングポイント位置)Oまでの往復する時間だけ、信号dより遅延させ、設定された長さに対応する幅を有するサンプリングパルスcをサンプルホールド回路111に加える。
【0012】
前記レンジゲート位置Oは操作者が超音波断層像中の血流信号を得たい血管に、トラックボールやジョイスティック等のポインティングデバイスを用いて自由に位置を合わせることが可能である。
【0013】
サンプルホールド回路111は、サンプリングパルスcによりローパスフィルタ109の出力信号をサンプルホールドする。バンドパスフィルタ113は、サンプルホールド回路111でのサンプリングにより生じた高周波成分並びに血管等の固定反射信号または比較的ゆっくりした動きによるドプラ偏移周波数を除去し、血流によるドプラ信号のみを抽出する。次に周波数分析器としてのFFT115を介して周波数スペクトルパターンを表示器117に表示する。
【0014】
このようにして、超音波診断装置100は血流速度に対応するドプラ偏移周波数を検出、表示するとともに、最高周波数を検出して表示している。
【0015】
次に、従来の最高周波数の検出アルゴリズムを図13に示す周波数スペクトルが得られた場合を例に説明する。従来の超音波診断装置100は、図13(a),(b)に示すようにパワー値のピーク値を基準にし、このピーク値より所定の比率低い値を閾値とし、この閾値を最初に越える所のドプラ偏移周波数を最高周波数としている。
【0016】
なお、最高周波数とは、流れの方向(順流方向(超音波プローブに近付く方向)の場合は図13中、(+)f側、逆流方向(超音波プローブから遠ざかる方向)の場合は図13中、(−)f側)から0Hz側へ向かってパワー値をサーチしていき、パワー値が閾値を最初に越えた所のドプラ偏移周波数としている。また、前記流れの方向は、周波数スペクトラムにて最大周波数fpeakまたは平均周波数fmeanがプラス側((+)f側)にあれば順流方向、マイナス側((−)f側)にあれば逆流方向となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波診断装置の最高周波数の検出アルゴリズムでは、閾値を比率Aに設定した場合、図13(a)に示すように低S/N比のときに検出される最高周波数(fmax-A )は良いが、図13(b)に示すように高S/N比のときに検出される最高周波数(fmax-A )は低めの値となり、閾値を比率Bに設定した場合、図13(b)に示すように高S/N比のときに検出される最高周波数(fmax-B )は良いが、図13(a)に示すように低S/N比のときに検出される最高周波数(fmax-B )は高めの値になるという問題がある。
【0018】
また、従来の超音波診断装置の最高周波数の検出アルゴリズムでは、閾値を最初に越える所のドプラ偏移周波数を最高周波数としているので、ノイズ成分でも最高周波数と検出する場合があった。
【0019】
さらに、従来の超音波診断装置の最高周波数の検出アルゴリズムでは、平均処理をしていない周波数スペクトルを用いて最高周波数の検出を行っているため、ノイズ成分でも最高周波数と検出する場合があった。
【0020】
このため、正確な最高周波数の検出に時間が掛かり、操作者の大きな負担となっていたと同時に、診断に非常に多くの時間が掛かっていた。
【0021】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、ノイズの影響を少なくして最高周波数を検出することでその検出精度を向上させ、操作者の負担を軽減でき、さらに、診断時間を著しく短縮できる超音波診断装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、被検体内に超音波を送受波し、これにより得られた受信信号からドプラ信号を抽出し、このドプラ信号を処理して周波数スペクトラムを得、この周波数スペクトラムを表示するとともに、前記周波数スペクトラムの各周波数についての最高周波数を検出する超音波診断装置において、前記周波数スペクトラムの各周波数の信号強度を示すデータ値について、流れ方向側端部から周波数0Hzの方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えた時、その最初に越えた位置を最高周波数とするか、或いは最も信号強度の大きい周波数ないし平均周波数から流れ方向側端部の方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えなかった時、その最初に越えなかった位置を最高周波数とすることを要旨とする。
【0024】
すなわち、周波数スペクトラムを流れ方向側端部から周波数0Hzに向かって順に検索する場合、検索開始当初は各データ値は予め設定された閾値より信号強度が低く、ノイズによる不規則な変動を伴って徐々に信号強度が高くなると考えられる。そして各周波数の信号強度を示すデータ値が所定の周波数幅中で所定回数以上閾値を越える時、その最初に閾値を越える位置を最高周波数とする。
【0025】
これとは逆に、周波数スペクトラムを最も信号強度の大きい周波数ないし平均周波数から流れ方向側端部に向かって順に検索する場合、検索開始当初は各データ値は予め設定された閾値より信号強度が高く、ノイズによる不規則な変動を伴って徐々に信号強度が低くなると考えられる。そして各周波数の信号強度を示すデータ値が所定の周波数幅中で所定回数以上閾値を越えない時、その最初に閾値を越えない位置を最高周波数とする。
【0026】
また本発明は、前記周波数スペクトラムを時間方向、周波数方向の少なくとも一方向について平均処理する平均処理手段と、前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数の信号強度を示すデータ値について、流れ方向側端部から周波数0Hzの方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えた時、その最初に越えた位置を最高周波数とするか、或いは最も信号強度の大きい周波数ないし平均周波数から流れ方向側端部の方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えなかった時、その最初に越えなかった位置を最高周波数とする最高周波数抽出手段と、を備えることを要旨とする。
【0027】
また本発明は、前記周波数スペクトラムを時間方向、周波数方向の少なくとも一方向について平均処理する平均処理手段と、前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数について、その信号値とノイズ値とを基に、最高周波数の閾値を演算する閾値演算手段とをさらに備え、前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムに対して、前記演算された閾値を用いて最高周波数を検索することができる。
【0028】
さらに、前記最高周波数をリアルタイム表示する場合は、所定の演算処理を省いて最高周波数を求め、前記最高周波数を画像フリーズ後に表示させる命令が出力されたときは全ての演算処理を行って最高周波数を求める。さらに、前記周波数スペクトラムをフリーズして表示させる命令が出力されたときのみ前記最高周波数を求める。これらにより、前記平均処理手段、前記最高周波数抽出手段、前記閾値演算手段に掛かる負担を軽減させる。
【0029】
さらに、前記閾値演算手段は、前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数について、そのデータ中の最大値もしくは平均値をその周波数の信号値とするとともに、前記各周波数について、そのデータ中の所定の領域をノイズとし、前記ノイズとする領域のデータの平均値をノイズ値として前記最高周波数の閾値を演算することを特徴としている。
【0030】
さらに、流れ方向を検出する手段は、前記周波数スペクトラムの周波数軸において、データ値が最大となる最大周波数または周波数スペクトラムの平均周波数が周波数0に対して位置する側を流れ方向として検出する。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【0041】
図1に示すように、本実施例の超音波診断装置10は、電子走査型超音波プローブ(以下超音波プローブと記す)11と、電子走査装置アナログ部13と、走査変換手段(ディジタル・スキャン・コンバータ,以下DSCと記す)30と、D/A変換器31と、表示器33と、入力手段としてのトラックボール35と、ミキサ40と、90゜位相器41と、ローパスフィルタ43と、スペクトラムドプラ演算部50と、最高周波数検出部80とを備えている。
【0042】
また、電子走査装置アナログ部13は、基準信号発生器20と、ディレーライン21と、パルサ23と、プリアンプ25と、加算器27と、検波器29とから成る。
【0043】
まず、電子走査装置アナログ部13では、基準信号発生器20から出力される基準信号を基に、ディレーライン21により超音波プローブ11の振動子の駆動タイミングが制御された後、パルサ23により超音波プローブ11の振動子が駆動される。これにより超音波プローブ11の振動子は生体内に超音波を送波する。また、その反射波信号がプリアンプ23により増幅され、ディレーライン21により受信タイミングが制御されて加算器25により加算される。
【0044】
次いで加算器25から出力された信号の一方は検出器29に供給され、そこで対数増幅処理、包絡線検波処理を経てDSC30へ送られBモード像として形成され、D/A変換器31を介して表示器33に表示される。
【0045】
他方、加算器25からの出力はミキサ40にも加えられる。また、90゜位相器41よって基準信号発生器20からの基準信号f0 が90゜の位相差でミキサ40に加えられる。
【0046】
この結果、ローパスフィルタ43にはドプラ偏移信号fdと(2f0 +fd)信号が入力され、ローパスフィルタ43によって高周波成分が除去されてドプラ偏移信号fdのみが得られる。これは血流情報演算のための位相検波出力信号となる。
【0047】
ローパスフィルタ43より出力された位相検波出力信号はスペクトラムドプラ演算部50に加えられる。なお、血流が流れている深さの位置だけのドプラ信号を抽出するために、前記ローパスフィルタ43からの位相検波出力信号はサンプルホールド回路61に出力する。
【0048】
レンジゲート回路60は、遅延時間が任意に設定できるが、ここでは、超音波が超音波プローブ11の振動子からレンジゲート位置(サンプリングポイント位置)までの往復する時間だけレートパルスより遅延させ、設定された長さに対応する幅を有するサンプリングパルスをサンプリングホールド回路61に加える。サンプルホールド回路61は、サンプリングパルスによりローパスフィルタ43の出力信号をサンプルホールドする。バンドパスフィルタ63は、サンプルホールド回路61でのサンプリングにより生じた高周波成分並びに血管等の固定反射信号または比較的ゆっくりした動きによるドプラ偏移周波数を除去し、血流によるドプラ信号のみを抽出する。バンドパスフィルタ63からの出力は、A/D変換器65でディジタル信号に変換された後、周波数分析器としてのFFT67を介して周波数スペクトルに変換され、DSC30、D/A変換器31を介して表示器33に表示される。
【0049】
また、前記周波数スペクトルに変換された信号は、最高周波数検出部80に送られる。これを基に最高周波数検出部80では最高周波数が検出される。この検出された最高周波数も表示器33に表示される。
【0050】
表示器33は、ドプラ周波数の周波数スペクトルとともにドプラ周波数の最高周波数の時間経過に伴う推移を表示し、その表示は、横軸(X軸)に時間、縦軸(Y軸)にドプラ偏移周波数、輝度軸(Z軸)に信号強度または信号パワーを表示しており、この表示は通常ソナグラム表示と呼ばれている。
【0051】
トラックボール35は、周波数スペクトラム及び最高周波数の時間経過に伴う推移が表示された表示器33の画面上で、ノイズなどの影響により異常な最高周波数が表示されている期間をオペレータが指定して補間させたり、この期間の推測される最高周波数値をオペレータが入力する際に使用される入力手段である。この入力手段は、トラックボールに限らず、マウス、ライトペン、キーボード等の他の入力手段であってもかまわない。
【0052】
図2は、本実施例の超音波診断装置10の特徴である最高周波数検出部80を示す機能ブロック図である。
最高周波数検出部80は、並べ変え部81と、リニア軸変換部83と、スペクトラム平均部85と、ノイズ検出部87と、信号値検出部89と、閾値演算部91と、流れ方向検出部93と、最高周波数抽出部95と、最高周波数補間部96と、平均処理部97と、最高周波数補正部98とから成る。
【0053】
まず、FFT67により周波数スペクトルに変換された信号は最高周波数検出手段80の並べ変え部81に供給される。
並べ変え部81は、FFT67から供給された周波数スペクトルの各周波数軸について平均周波数もしくは最大周波数が中心に位置にするようにデータ列の並べ換えを行う。
【0054】
例えば、図3に示すような周波数スペクトルの時系列がFFT67から供給されたとする。このとき、図3に示すある時刻における一周波数軸について、周波数に対するパワー値(輝度値)を示すと図4(a)のようになり、ドプラ偏移周波数0が中心となっている。なお、図3、図4中、tは時間、fは周波数、Pはパワー値を表し、以下図5〜図7についても同様とする。
【0055】
この状態で平均処理等を行うとデータの折り返りにより正確な処理が行えないため、図4(b)に示すように平均周波数fmean(または最大周波数)が中心にくるようにデータ列の並べ変えを行う。なお、データの折り返りが生じない範囲の周波数帯である場合、この処理は省略しても良い。
【0056】
リニア軸変換部83は、FFT67によりログ変換されたデータをリニア軸の数に変換する。なお、前記ログ変換されたデータを用いて演算処理を行っても誤差が少ない場合、この処理は省略しても良いし、上端、下端どちらか一方でも良い。
【0057】
スペクトラム平均部85は、前記並べ変え部81によりデータ列の並べ変え、前記リニア軸変換部83によりリニア軸の数に変換された周波数スペクトラムについて、周波数軸方向、時間軸方向に平均処理を行う。なお、前記周波数軸方向、時間軸方向の内、いずれか一方向について平均処理するようにしても良い。
【0058】
ノイズ検出部87は、スペクトラム平均部85により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数軸について、上端側、下端側それぞれ所定の領域をノイズ領域Nrとし、このノイズ領域Nr内のパワー値の平均をノイズ値Nとする。例えば、図5(a)に示す一周波数軸についてのノイズ領域Nrは、図5(b)に示すような領域となる。なお、ここでは各周波数軸について、上端側、下端側それぞれ所定の領域をノイズ領域Nrとしてノイズ値を求めているが、これに限らず、複数の周波数軸について、上端側、下端側それぞれ所定の領域をノイズ領域Nrとしてノイズ値を求めるようにしても良い。
【0059】
また、最高周波数の検出(表示)を、ある一定時間幅を指示して行う場合には、その時間幅内の所定領域をNrとしても良い。
【0060】
信号値検出部89は、スペクトラム平均部85により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数軸について、パワー値の最大値を信号値Sとする。例えば図6に示すような周波数スペクトルがスペクトラム平均部85により供給されたとき、図6に示す一周波数軸については図6(b)に示すように、パワー値の最大値(Peak)が信号値Sとなる。
【0061】
なお、前記各周波数軸について、最大値の前後所定数の周波数に対応するパワー値の平均もしくは平均周波数に対応するパワー値を信号値Sとするようにしても良い。
【0062】
閾値演算部91は、ノイズ検出部87によりノイズ値、信号値検出部89により信号値が得られると、前記得られたノイズ値と信号値を基に以下に示す式(4)ないし式(6)のいずれかを用いて閾値Thを演算する。
Th=(S+N)/2 …(4)
またはTh=(S/N)1/2 *N …(5)
またはTh=N*C(const.) …(6)
【0063】
流れ方向検出部93は、スペクトラム平均部85により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数軸について、最大周波数fpeak(または平均周波数fmean)がプラス側にある場合は、流れの方向を順流方向(超音波プローブに近付く方向)とし、最大周波数fpeak(または平均周波数fmean)がマイナス側にある場合は、流れの方向を逆流方向(超音波プローブから遠ざかる方向)とする。また、スペクトラム平均部85により平均処理された周波数スペクトラムを最高周波数抽出部95に供給する。
【0064】
例えば図6に示すような周波数スペクトルがスペクトラム平均部85により供給され、このとき、図6に示す一周波数軸について、周波数に対するパワー値を示すと図6(b)に示すようになる。この場合、最大周波数はプラス側にあるので流れの方向は順流方向と検出される。なお、前記流れの方向および閾値は、操作者が入力するようにしても良い。
【0065】
最高周波数抽出部95は、閾値演算部91により閾値が演算されるとともに、流れ方向検出部93により流れ方向が検出され、かつ、流れ方向検出部93から周波数スペクトラムが供給されると、前記周波数スペクトラムの各周波数軸について、前記検出された流れの方向の端部から0Hz側に向かってパワー値をサーチして行き、前記パワー値が閾値を連続してN個越えた最初の位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax とする。
【0066】
例えば、閾値を連続して4個越えた最初の位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax とするように最高周波数抽出部95に設定し、そして、図7(a)に示すような周波数スペクトラムがスペクトラム平均部85から流れ方向検出部93を介して供給され、図7(a)に示す一周波数について、周波数に対するパワー値が図7(b)に示すように得られたとする。このとき、流れの方向は順流方向であるので、最高周波数抽出部95はプラス側の端部から0Hz側に向かってサーチしていき、図7(b)に示すように閾値を連続して4個越えた最初の位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax とする。
【0067】
なお、ここでは前記パワー値が閾値を連続してN個越えた最初の位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax としているが、連続して越えていなくても、M個中R個越えた場合は、その最初に越えた位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax とするようにしても良い。さらに、スペクトラム平均部85により時間軸方向に平均処理を行った場合は、その平均幅の分、元に戻すように最高周波数を補正しても良い。
【0068】
最高周波数抽出部95による周波数スペクトラムのサーチにおいて、上記のように流れ方向端部からサーチする他に、パワー値が最大となる最大周波数またはパワー値が平均となる平均周波数から流れ方向端部に向かってサーチしても良い。この場合には、閾値より十分大きいパワー値を持つ周波数から検索を開始して、各周波数のパワー値が閾値を下回る周波数を求めることとなるので、例えば、閾値を連続して4個下回った最初の位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax とする。
【0069】
また最高周波数抽出部95による最高周波数抽出において、最高周波数検出窓という概念を導入し、最高周波数抽出の耐ノイズ性を高めることも考えられる。即ち、ある時刻t1の周波数スペクトルから最高周波数f1が抽出されたとしたとき、次の時刻t2の周波数スペクトルから抽出される最高周波数はf1から大きく離れているとは考えられないので、f1に基づいて妥当な範囲であるfwを定数a,bを使用して、
(f1−a)≦fw≦(f1+a) …(2)
または、
【数2】
f1×(1−b)≦fw≦f1×(1+b) …(3)
式(2)または式(3)によって定める。
【0070】
そして、時刻t2の周波数スペクトルから抽出される最高周波数は、このfwの範囲に入る最高周波数値のみを有効な値とし、この範囲に入らない値はノイズ等による誤りとして最高周波数値が検出されなかったとする。
【0071】
また、従来は図8(a)に示すように、最高周波数値が実際に検出されず0Hzとなった場合、その期間の最高周波数値の軌跡は、0Hzとなり不自然な表示となっていたが、本発明を適用すれば、最高周波数値が実際に検出されず0Hzとなった場合、または上記最高周波数検出窓の範囲に入らなかった場合に、その期間が一定範囲内であれば、この期間の最高周波数値を補間することができる。この補間機能は、最高周波数補間部96のソフトウェアにより実現され、最高周波数値が検出されなかった期間の前後の期間に抽出された最高周波数値を用いて、最高周波数値を補間するものであり、その表示は図8(b)に示すようになる。補間方法には、直線補間、2次曲線補間、3次曲線補間等があり、いずれの補間方法を選んでも良い。
【0072】
なお、実時間で周波数スペクトラム及び最高周波数を検出して表示するリアルタイムオートトレースを行う場合には、最後に検出された最高周波数値をホールドし、この値を最高周波数が検出されなかった期間の最高周波数値として表示し、これ以後新たに最高周波数値が検出されるとその値を表示するようにしてもよい。
【0073】
平均処理部97は、最高周波数抽出部95により最高周波数が求められると、この最高周波数に対し、時間軸方向に平均処理を施す。なお、平均処理部97による平均処理は省略しても良い。
こうして得られた最高周波数はDSC30に供給され、D/A変換器31を介して表示器33に表示される。
【0074】
このように本実施例の超音波診断装置10では、周波数分析器であるFFT67から供給される周波数スペクトラムを各周波数軸について、データ列の並べ変え、リニア軸の数への変換および平均処理を行った後、ノイズ値と信号値を求め、それを基に閾値を演算するとともに流れ方向を検出し、前記検出された流れの方向の端部から0Hz側に向かって、または最大のパワー値を持つ最大周波数ないし平均のパワー値を持つ平均周波数から流れ方向端部へ向かって、パワー値をサーチして行き、前記パワー値が閾値を連続してN個越えた最初の位置のドプラ偏移周波数を最高周波数fmax としているので、ノイズの影響を少なくすることができ、そのため、最高周波数の検出精度を向上させることが可能となる。また、特別な操作を行うこと無く前記検出精度を向上させることができるので、操作者の負担が軽減し、さらに、診断時間を著しく短縮することができる。
【0075】
なお、最高周波数をリアルタイム表示する場合は、演算処理時間を短縮させるために所定の演算処理(並べ変え部81によるデータ列の並べ変え、リニア軸変換部83によるリニア軸の数への変換、スペクトラム平均部85による周波数軸方向の平均処理または時間軸方向の平均処理、平均処理部97による平均処理の内、少なくとも一つ)を省いて最高周波数を求め、また、最高周波数をフリーズ後に表示させる命令が出力されたときは全ての演算処理を行って最高周波数を求めるようにしても良い。さらに、本実施例の超音波診断装置10では、最高周波数をリアルタイムで求める場合を例に説明したが、これに限らず、例えば、周波数スペクトルをフリーズさせる命令が図示しない入力手段を介してオペレータにより出されたときのみ前記最高周波数を求めるようにしても良い。これらにより、スペクトラム平均部85、閾値演算部91、最高周波数抽出部95に掛かる負担を軽減させることができる。
【0076】
また、並べ変え部81と、リニア軸変換部83とスペクトラム平均部85とノイズ検出部87と信号値検出部89と流れ方向検出部93と閾値演算部91と最高周波数抽出部95と平均処理部97の各処理については、その一部または全てをソフトウェアで行うようにしても良い。
【0077】
また、本発明によれば、オペレータの判断により最高周波数の時間経過をマニュアルで修正することができる。このマニュアル修正機能は、最高周波数補間部96及び最高周波数修正部98のソフトウェアによって実現され、ノイズなどの影響を受けた周波数スペクトラムにより上記の自動最高周波数検出を行った結果、ほんの僅かの最高周波数のミストレースが生じた場合、この僅かのミストレースのために再度データを収集、分析するのではなく、ノイズによりミストレースした部分をマニュアル修正するものである。
【0078】
図9(a)ないし(d)は、マニュアル修正機能による最高周波数トレースの修正の様子を示す周波数スペクトラム及び最高周波数を表示する画面の変遷である。また図10は、マニュアル修正の操作を示すフローチャートである。
【0079】
図10のフローチャートにおいて、まず、ドプラ周波数偏移の周波数スペクトラム及び自動検出された最高周波数の時間経過であるトレースが表示器33に表示される(ステップS10)。この表示が例えば、図9(a)に示すようにノイズ等の影響により、ドプラ周波数偏移トレースの一部に最高周波数が高い値へ突出していたとする。
【0080】
オペレータはノイズの影響の程度を判断して、再度データを取るか、マニュアル修正機能を使用してデータを修正するかを決め、マニュアル修正をする場合、修正作業開始を入力する(ステップS12)。修正作業開始の入力には、修正作業開始スイッチを別途設けて認識してもよいし、トラックボールにより修正作業開始のアイコンを指定するか又はトラックボール35の作動を検知して入力作業開始を認識してもよい。
【0081】
次いで、最高周波数トレースを修正すべき修正期間の始点t1にトラックボールによりカーソルを合わせて始点t1を指定する(ステップS14)。次いで、修正期間の終点t2にトラックボールによりカーソルを合わせて終点t2を指定する(ステップS16)。始点と終点とが指定された状態を図9(b)に示す。なお、始点と終点の指定は順序が入れ替わってもよい。ここで、修正期間が指定されると同時に修正期間の最高周波数の自動トレースを消してもよいが、補間によるトレースまたはマニュアルトレースにより最高周波数トレースが確定するまで異なる色で2つのトレースを表示してもよい。
【0082】
次いで、修正期間の最高周波数値をマニュアルで入力するか、入力しないで修正期間の前後の期間の値から補間するかを指定する(ステップS18)。これは極めて僅かのミストレースであれば、人手により修正値を入力しなくても補間により十分修正できるからである。
【0083】
マニュアルトレースしない場合には(ステップS18でNoの場合)、修正期間の前後の期間の最高周波数値から補間を行い(ステップS30)、修正期間の最高周波数値を補間曲線(または補間直線)により代替して(ステップS32)、終了する。
【0084】
一方マニュアルトレースする場合には(ステップS18でYesの場合)、トラックボールによりカーソルを移動させて、時間軸座標と周波数軸座標とからなる修正点を入力する(ステップS20)。修正点を入力した状態を図9(c)に示す。修正点は複数入力してもよい。修正点の入力が終了すれば(ステップS22でYes)、修正期間両端の2つの最高周波数値と、入力された修正点(または修正点列)よりスプライン曲線を計算して表示器の画面に描画する(ステップS24)。次いで、修正期間の最高周波数値をスプライン曲線により代替して(ステップS26)、マニュアル修正作業を終了する。
【0085】
なお、図10のフローチャートでは、1つまたは複数の修正点を入力してスプライン曲線により最高周波数トレースを修正するとしたが、トレース(修正曲線)そのものを入力してもよい。この場合には、入力されたトレースを自動的に滑らかにする平均化ないし平滑化をさらに行ってもよい。
【0086】
以上好ましい実施の形態をパルスドプラを用いた場合を例にして説明したが、これに限らず、連続波ドプラを用いた場合でも、本発明を適用できることは明らかである。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、周波数スペクトルの各周波数について、そのデータ値の内、流れ方向側端部から順にサーチしていき、該値が予め設定されている閾値を所定のデータ幅中で所定数越えた時、その最初に越えた位置を最高周波数としているので、ノイズの影響を少なくすることができ、そのため、最高周波数の検出精度を向上させることが可能となる。また、特別な操作を行うこと無く前記検出精度を向上させることができるので、操作者の負担が軽減し、さらに、診断時間を著しく短縮することができる。
【0088】
また、周波数スペクトラムを時間方向、周波数方向の少なくとも一方向について平均処理した後、その周波数スペクトルの各周波数について、そのデータ値の内、流れ方向側端部から順にサーチしていき、該値が予め設定されている閾値を所定のデータ幅中で所定数越えた時、その最初に越えた位置を最高周波数としているので、ノイズの影響を少なくすることができ、そのため、最高周波数の検出精度を向上させることが可能となる。また、特別な操作を行うこと無く前記検出精度を向上させることができるので、操作者の負担が軽減し、さらに、診断時間を著しく短縮することができる。
【0089】
さらに、周波数スペクトラムを時間方向、周波数方向の少なくとも一方向について平均処理した後、その周波数スペクトルの各周波数について、その信号値とノイズ値とを基に、最高周波数の閾値を演算するとともに、前記平均処理された周波数スペクトルの各周波数について、そのデータ値の内、流れ方向側端部から順にサーチしていき、該値が前記閾値演算手段により演算された閾値を所定のデータ幅中で所定数越えた時、その最初に越えた位置を最高周波数としているので、ノイズの影響を少なくすることができ、そのため、最高周波数の検出精度を向上させることが可能となる。また、特別な操作を行うこと無く前記検出精度を向上させることができるので、操作者の負担が軽減し、さらに、診断時間を著しく短縮することができる。
【0090】
さらに、最高周波数をリアルタイム表示する場合は、所定の演算処理を省いて最高周波数を求め、前記最高周波数をフリーズ後に表示させる命令が出力されたときは全ての演算処理を行って最高周波数を求めるようにしているので、前記演算処理に掛かる負担を軽減させることができる。
【0091】
さらに、周波数スペクトラムをフリーズさせる命令が出力されたときのみ前記最高周波数を求めるようにしているので、前記演算処理に掛かる負担を軽減させることができる。
【0092】
さらに、ノイズ等の影響により、最高周波数トレースが少しだけ誤った場合には、マニュアルで誤った期間を修正期間と指定し、修正期間の前後の期間の最高周波数値から補間したり、必要ならば推測される正しい値である修正点ないし修正トレースそのものをマニュアルで入力することにより、誤ったデータを簡単に修正することができるので、再度データ収集する必要がなくなり、診断時間を短縮し、操作者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の最高周波数検出部80を示す機能ブロック図である。
【図3】周波数スペクトルの一例を示す説明図である。
【図4】図3に示す周波数スペクトルの一周波数軸について、周波数に対するパワー値を示す説明図である。
【図5】周波数スペクトル上のノイズ領域Nr(図5(a))と、周波数スペクトルの一周波数軸についてのノイズ領域Nr(図5(ba))を示す説明図である。
【図6】周波数スペクトル(図6(a))の一周波数軸について、パワー値の最大値(図6(b))を示す説明図である。
【図7】周波数スペクトル(図7(a))の一周波数軸について、最高周波数fmax (図7(b))を示す説明図である。
【図8】従来の最高周波数値が検出できなかった期間を含むトレース(図8(a))、及び本発明による最高周波数値の補間を含むトレース(図8(b))を示す説明図である。
【図9】マニュアル修正機能による最高周波数トレースの修正の様子を示す周波数スペクトラム及び最高周波数値を表示する画面の変遷を示す説明図である。
【図10】マニュアル修正の操作を示すフローチャートである。
【図11】従来の超音波診断装置を示す機能ブロック図である。
【図12】従来の超音波診断装置により発生されるクロックパルスと、レートパルスと、サンプリングパルスおよび超音波診断装置により受信されたエコー信号を示す説明図である。
【図13】従来の最高周波数の検出アルゴリズムの例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 超音波診断装置、 11 超音波プローブ、 13 電子走査装置アナログ部、 20 基準信号発生器、 21 ディレーライン、 23 パルサ、25 プリアンプ、 27 加算器、 29 検波器、 30 DSC、 31 D/A変換器、 33 表示器、 35 トラックボール、 40 ミキサ、 41 90゜位相器、 43 ローパスフィルタ、 50 スペクトラムドプラ演算部、 60 レンジゲート回路、 61 サンプルホールド回路、 63 バンドパスフィルタ、 65 A/D変換器、 67 FFT、 80 最高周波数検出部、 81 並べ変え部、 83 リニア軸変換部、 85 スペクトラム平均部、 87 ノイズ検出部、 89 信号値検出部、 91 閾値演算部、 93 流れ方向検出部、 95 最高周波数抽出部、 96 最高周波数補間部、 97 平均処理部、 98 最高周波数修正部。
Claims (8)
- 被検体内に超音波を送受波し、これにより得られた受信信号からドプラ信号を抽出し、このドプラ信号を処理して時系列の周波数スペクトラムを得、この周波数スペクトラムを表示するとともに、前記周波数スペクトラムの各時点における各周波数についての最高周波数を検出する超音波診断装置において、
前記周波数スペクトラムの各周波数の信号強度を示すデータ値について、
流れ方向側端部から周波数0Hzの方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えた時、前記所定回数越えた位置のうち、最も流れ方向側端部に近い位置を最高周波数とするか、
或いは最も信号強度の大きい周波数ないし平均周波数から流れ方向側端部の方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えなかった時、前記所定回数越えなかった位置のうち、最も周波数0Hzに近い位置を最高周波数とすることを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内に超音波を送受波し、これにより得られた受信信号からドプラ信号を抽出し、このドプラ信号を処理して時系列の周波数スペクトラムを得、この周波数スペクトラムを表示するとともに、前記周波数スペクトラムの各時点における最高周波数を検出する超音波診断装置において、
前記周波数スペクトラムを時間方向、周波数方向の少なくとも一方向について平均処理する平均処理手段と、
前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数の信号強度を示すデータ値について、流れ方向側端部から周波数0Hzの方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えた時、前記所定回数越えた位置のうち、最も流れ方向側端部に近い位置を最高周波数とするか、或いは最も信号強度の大きい周波数ないし平均周波数から流れ方向側端部の方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えなかった時、
前記所定回数越えなかった位置のうち、最も周波数0Hzに近い位置を最高周波数とする最高周波数抽出手段と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内に超音波を送受波し、これにより得られた受信信号からドプラ信号を抽出し、このドプラ信号を処理して時系列の周波数スペクトラムを得、この周波数スペクトラムを表示するとともに、前記周波数スペクトラムの各時点における最高周波数を検出する超音波診断装置において、
前記周波数スペクトラムを時間方向、周波数方向の少なくとも一方向について平均処理する平均処理手段と、
前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数について、その信号値とノイズ値とを基に、最高周波数の閾値を演算する閾値演算手段と、
前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数の信号強度を示すデータ値について、流れ方向側端部から周波数0Hzの方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えた時、前記所定回数越えた位置のうち、最も流れ方向側端部に近い位置を最高周波数とするか、或いは最も信号強度の大きい周波数ないし平均周波数から流れ方向側端部の方向に向かって順に検索し、該データ値が予め設定された閾値を所定の周波数幅中で所定回数以上越えなかった時、
前記所定回数越えなかった位置のうち、最も周波数0Hzに近い位置を最高周波数とする最高周波数抽出手段と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。 - 前記閾値演算手段は、前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数軸でその信号値とノイズ値との比を基に、最高周波数の閾値を演算することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
- 前記閾値演算手段は、前記平均処理手段により平均処理された周波数スペクトラムの各周波数について、そのデータ中の最大値もしくは平均値をその周波数の信号値とするとともに、前記各周波数について、そのデータ中の所定の領域をノイズとし、前記ノイズとする領域のデータの平均値をノイズ値として前記最高周波数の閾値を演算することを特徴とする請求項3または請求項4いずれか記載の超音波診断装置。
- 被検体内に超音波を送受波し、これにより得られた受信信号からドプラ信号を抽出し、このドプラ信号を処理して周波数スペクトラムを得、この周波数スペクトラムを表示するとともに、前記周波数スペクトラムの各周波数についての最高周波数を検出する超音波診断装置において、
前記最高周波数をリアルタイム表示する場合は、所定の演算処理を省いて最高周波数を求め、前記最高周波数を画像フリーズ後に表示させる命令が出力されたときは全ての演算処理を行って最高周波数を求めることを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1項記載の超音波診断装置。 - 被検体内に超音波を送受波し、これにより得られた受信信号からドプラ信号を抽出し、このドプラ信号を処理して周波数スペクトラムを得、この周波数スペクトラムを表示するとともに、前記周波数スペクトラムの各周波数についての最高周波数を検出する超音波診断装置において、
前記周波数スペクトラムをフリーズさせる命令が出力されたときのみ前記最高周波数を求めることを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1項記載の超音波診断装置。 - 前記周波数スペクトラムの周波数軸において、データ値が最大となる最大周波数または周波数スペクトラムの平均周波数が周波数0に対して位置する側を流れ方向として検出する手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれか1項記載の超音波診断装置。
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