JP2703943B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、超音波のドプラ効果を利用して生体の血流
情報を得るようにした超音波診断装置に関する。
(従来の技術) 近年、超音波断層像(Bモード,Mモード)との併用に
より血流計測部位の同定が容易になったことや周波数分
析器等の技術が向上したことから、超音波ドプラ法によ
る血流計測が臨床的にも使われるようになってきた。更
には、CWドプラ法による圧の測定やリアルタイム2次元
血流イメージング法(カラードプラ断層法)への応用に
より、ますますこのドプラ法の有用性が高まりつつあ
る。
ところで、生体に向けて送波した超音波の反射成分を
位相検波して得たドプラ信号中には、例えば心臓の壁な
どのように動きの遅い物体からの不要の反射成分(これ
を「クラッタ」という)が含まれているため、従来装置
においてはこのクラッタをフィルタによって除去するよ
うにしている。このフィルタの遮断周波数及び次数は、
装置の操作卓より適宜に切換え可能となっている。
(発明が解決しようとする課題) しかし従来装置においては、上記フィルタの特性をオ
ペレータが直感的に把握することができないため、現在
設定されているフィルタ特性が低流速検出能にどの程度
影響を及ぼしているのか解らないという欠点がある。特
に2次元血流イメージングにおいては、フィルタ特性に
よってカラー血流分布像の面積が変動するため、フィル
タ特性の把握は極めて重要となる。
そこで本発明は上記の欠点を除去するもので、その目
的とするところは、クラッタ除去を可能とするフィルタ
の特性を容易に把握できるようにした超音波診断装置を
提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、超音波のドプラ信号中に含まれるクラッタ
を除去するフィルタと、このフィルタ出力に基づく血流
情報表示を行う表示手段とを有する超音波診断装置にお
いて、前記フィルタの特性を示すフィルタ特性曲線を血
流情報の速度レンジに対応させて前記表示手段に表示さ
せるフィルタ特性表示制御手段を具備するものである。
(作 用) 本発明では、上記のフィルタ特性曲線を血流情報の速
度レンジに対応させて表示手段に表示させることによ
り、フィルタ特性の把握容易化を図っている。
2次元血流イメージング(CFM)モードにおいては、
カラーバーが表示されるから、このカラーバーの一辺を
湾曲させることでフィルタ特性曲線表示を行うことがで
きる。
また、パルス(PW)モード及び連続波(CW)モードに
おいては、血流パターンが表示されるので、この血流パ
ターンの速度レンジに対応するようにフィルタ特性曲線
を表示させるとよい。
(実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
第1図は本発明の一実施例装置のブロック図である。
同図に示すように本実施例装置は、超音波プローブ1,
セクタ電子走査部12,ミキサー8a,8b,移相器9,ローパス
フィルタ10a,10b,FFT部20,MTI演算部29,D.S.C.36,カラ
ー処理部37,D/A変換部38,カラーモニタ39,VTR40,フィル
タ特性コントロール部41,フィルタ特性表示コントロー
ル部42を有する。
超音波プローブ1は、生体に向けて超音波送受を行う
もので、セクタ電子走査部12に接続されている。
セクタ電子走査部12は、超音波ビームのセクタ電子走
査を実行するもので、前記超音波プローブ1の振動子を
励振するためのパルス信号を出力するパルサ3と、生体
よりの超音波エコー(反射成分)を増幅するプリアンプ
2と、超音波送受における遅延時間を設定するディレー
ライン4と、このディレーライン4を介して取込まれた
超音波エコーを加算する加算器5と、この加算出力より
エンベロープを取り出す検波器6と、レイトパルスを発
生する発振器7とを有して成る。そして前記検出器6の
検波出力は、後述するD.S.C.36に送出されるようになっ
ている。また、発振器7の発振出力はミキサー8aに入力
されると共に移相器9を介してミキサー8bに入力される
ようになっている。ミキサー8a,8bは前記加算器5の出
力と基準周波数f0とを掛け合わせることにより、ドプラ
シフト周波数成分(fd)と高周波成分(2f0+fd)とを
得るものであり、ローパスフィルタ10a,10bはこのミキ
サー8a,8bの出力より高周波成分を除去してfd成分のみ
を取り出すものである。このローパスフィルタ10a,10b
の出力は、後段に配置されたFFT部20及びMTI演算部29に
取り込まれるようになっている。
FFT部20は、生体表面から任意の深さに相当する時間
に前記ローパスフィルタ10a,10bの出力をサンプルホー
ルドするサンプルホールド回路13,14と、サンプルホー
ルドされた信号中より、クラッタを除去する帯域フィル
タ15,16と、この帯域フィルタ15,16の出力をそれぞれデ
ィジタル信号に変換するA/D(アナログ・ディジタル)
変換回路17,18と、このA/D変換出力の周波数分析を行う
FFT(高速フーリエ変換)演算回路19とを有して成る。
このFFT出力が血流のドプラシフト周波数スペクトラム
であり、これがD.S.C.36に取込まれるようになってい
る。
また、MTI演算部29は、前記ローパスフィルタ10a,10b
の出力をディジタル信号に変換するA/D変換回路21,22
と、このA/D変換出力中よりクラッタを除去するMTIフィ
ルタ23,24と、入力信号を遅延し遅延信号と遅延されな
い信号との積を取る自己相関器25と、平均速度演算を行
う平均速度演算回路26と、分散演算を行う分散演算回路
27と、パワー演算を行うパワー演算回路28とを有して成
り、各演算回路26乃至28の演算出力はD.S.C.36に取込ま
れるようになっている。
D.S.C.(ディジタル・スキャン・コンバータ)36は、
サンプリング系と表示系との間で走査変換を行うもので
あり、フレームメモリを有して構成されている。
カラー処理部37は主として血流情報のカラー変換を行
うものであり、D/A変換部38はカラー処理部出力をアナ
ログ信号に変換するものであり、カラーモニタ39はBモ
ード断層像及び血流情報等の表示を行うものであり、VT
R(ビデオ・テープ・レコーダ)40はD/A変換出力を記録
するものである。ここでカラーモニタ39は、本発明にお
ける表示手段の一例である。
上記の帯域フィルタ15,16及びMTIフィルタ23,24のフ
ィルタ特性はフィルタ特性コントロール部41によって制
御されるようになっている。そしてこのフィルタ特性コ
ントロール部41のコントロール情報は、フィルタ特性表
示コントロール部42に伝達されるようになっている。
このフィルタ特性表示コントロール部42は、帯域フィ
ルタ15,16及びMTIフィルタ23,24の特性を示すフィルタ
特性曲線を血流情報の速度レンジに対応させてカラーモ
ニタ39上に表示させるものである。このような表示は、
カラー処理部37の動作を制御することにより次のように
行われる。
MTI演算部29の出力に基づくCFMモードにおいては、2
次元血流イメージと共に第2図又は第3図に示すカラー
バーが表示される。第2図は血流速度表示の場合を示
し、第3図は血流速−分散表示の場合を示している。血
流の方向を赤系(プローブに近づく流れ),青系(プロ
ーブから遠ざかる流れ)で示し、速度Vの大きさを輝度
で示し、速度Vの分散値を色相(緑をまぜる)で表示し
ている。このようなカラーバーはカラー処理部37におい
て形成されるものであるが(これについては従来装置と
同様である)、本実施例装置では、このカラーバー形成
において、カラーバーの一辺を湾曲させるようにしてい
る。この湾曲は、前記MTIフィルタ23,24のフィルタ特性
に対応する。
また、FFT部20の出力に基づくPWモードにおいては、
第4図に示す血流パターン(ドプラデータ)が表示され
る。この血流パターンは血流の「方向」をゼロレベルの
「上下方向」、「速度」をゼロレベルからの距離、「分
散」をパターンの「幅」で表わしている。このような血
流パターンのゼロレベルを基準として「上下方向」に、
フィルタ特性を示す曲線43を形成する。曲線43の形成
は、フィルタ特性表示コントロール部42の出力に基づい
てカラー処理部37において行われる。
次に、上記構成の作用について説明する。
セクタ電子走査部12内のパルサ3より出力された励振
パルスの印加により超音波プローブ1より生体に向けて
一定の周期で超音波パルスが送波され、生体からの超音
波エコーは再び同一のプローブ1で受波され、この超音
波エコーがプリアンプ2,ディレイライン4,加算器5を順
に経由してミキサ8a,8bに取込まれる。そしてこのミキ
サ8a,8bにおいてドプラシフト周波数成分(fd)と高周
波数成分(2f0+fd)とが求められ、ローパスフィルタ1
0a,10bによりfd成分が抽出され、これがFFT部20及びMTI
演算部29に取込まれる。
FFT部20においては、生体表面から任意の深さに相当
する時間にサンプルホールド回路13,14でfd成分がサン
プルホールドされ、帯域フィルタ15,16によりクラッタ
が除去され、これがA/D変換回路17,18によりディジタル
信号に変換された後にFFT演算回路19に取込まれ、ここ
で周波数分析が行われ、血流のドプラシフト周波数スペ
クトラムが求められる。それがD.S.C.36に取込まれる。
また、MTI演算部29においては、A/D変換回路21,22に
よりドプラシフト周波数成分がディジタル信号に変換さ
れ、MTIフィルタ23,24によりクラッタが除去された後
に、自己相関器25により信号の自己相関が求められ、平
均速度演算回路26,分散演算回路27,パワー演算回路28に
おいて平均速,分散,パワーが求められ、それがD,S.C.
36に取込まれる。
一方、Bモード情報は、検波器6により振幅検波され
て、D.S.C.36に取込まれる。
D.S.C.36に取込まれたデータは、カラー処理部37,D/A
変換部38を介してカラーモニタ39に伝達され、ここで可
視化される。
そして、フィルタ特性コントロール部41の制御下で設
定されたフィルタ特性は、フィルタ特性表示コントロー
ル部42の制御下でカラーモニタ39に表示される。
すなわち、CFMモードにおいては、第2図又は第3図
に示すようにカラーバーの一辺を利用することによりMT
Iフィルタ23,24のフィルタ特性が表示され、またPWモー
ドにおいては第4図にに示すように血流パターンの近傍
に帯域フィルタ15,16のフィルタ特性が表示される。
尚、CW(連続波)ドプラモードにおいては、超音波送
信用のプローブと受信用のプローブとが使用されること
になるが、帯域フィルタ15,16のフィルタ特性制御及び
フィルタ特性曲線の表示については上記PWモードの場合
と同様である。
このように本実施例装置においては、クラッタ除去を
行うフィルタの特性曲線を血流情報の速度レンジに対応
させて表示するようにしているので、オペレータは、表
示画面より直感的にフィルタ特性を把握することがで
き、現在設定されているフィルタ特性が低流速検出能に
どの程度影響を及ぼしているのかを容易に理解できる。
以上本発明の一実施例について説明したが、本発明は
上記実施例に限定されず、種々の変形実施が可能である
のはいうまでもない。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、クラッタ除去を
可能とするフィルタの特性を容易に把握することができ
るようにした超音波診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例装置のブロック図、第2図,
第3図及び第4図はフィルタ特性曲線の表示例説明図で
ある。 15,16……帯域フィルタ(フィルタ)、 23,24……MTIフィルタ(フィルタ)、 39……カラーモニタ(表示手段)、 42……フィルタ特性表示コントロール部(フィルタ特性
表示制御手段)。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超音波のドプラ信号中に含まれるクラッタ
    を除去するフィルタと、このフィルタ出力に基づく血流
    情報表示を行う表示手段とを有する超音波診断装置にお
    いて、前記フィルタの特性を示すフィルタ特性曲線を血
    流情報の速度レンジに対応させて前記表示手段に表示さ
    せるフィルタ特性表示制御手段を具備することを特徴と
    する超音波診断装置。
  2. 【請求項2】前記フィルタ特性表示制御手段は、2次元
    血流イメージングモードにおいてカラーバーの一辺を湾
    曲させることで、速度レンジに対応するフィルタ特性曲
    線表示を可能とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 【請求項3】前記フィルタ特性表示制御手段は、パルス
    ドプラ及び連続波ドプラモードにおいてフィルタ特性曲
    線を血流パターンの速度レンジに対応させて表示させる
    請求項1記載の超音波診断装置。
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